特許第6203656号(P6203656)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203656
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/04 20060101AFI20170914BHJP
   B65D 1/22 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   B65D25/04 Z
   B65D1/22
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-27397(P2014-27397)
(22)【出願日】2014年2月17日
(65)【公開番号】特開2015-151168(P2015-151168A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】大鷲 高司
【審査官】 西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−264946(JP,A)
【文献】 実開昭55−027641(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0045511(US,A1)
【文献】 特許第3300276(JP,B2)
【文献】 特開2010−241435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 23/00−25/56
B65D 1/00− 1/46
B65D 6/00−13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略板状の底壁部と、前記底壁部の側辺部から上方に延出する側壁部とを具備し、内側の収容空間に対して物品を収容可能な容器本体と、
前記収容空間を仕切るようにして、前記容器本体に対して着脱自在に取付けられた略板状の仕切り壁とを備える容器において、
前記仕切り壁には、前記側壁部に形成された係止孔に係止される係止部が設けられ、
前記係止部の近傍部位に凹部が形成されることで、当該係止部の近傍部位が弾性変形可能に構成されるとともに、
前記係止部の近傍部位が弾性変形可能に構成されることによって、前記係止部が、前記係止孔に係止可能な係止位置と、前記係止孔との係止状態が解除される解除位置との間を変位可能とされる構成であって、
前記側壁部の前記係止孔に前記係止部が係止状態とされた前記仕切り壁の前記凹部に対して挿入される固定パーツを備え
前記固定パーツは、前記仕切り壁の前記係止部が前記係止孔から抜け出す方向への変位を規制する挿入部を備え、該挿入部が前記仕切り壁の前記凹部に対し挿入されることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記固定パーツは、前記側壁部に形成された取付孔を介して、前記側壁部の外面に係止される係止爪を備えていることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記固定パーツには、前記側壁部に形成された係合孔に係合される係合部が設けられ、
前記係合部が前記係合孔に係合状態とされることで、前記側壁部に対する前記固定パーツの前記凹部から抜け出す方向への相対変位が規制されるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器。
【請求項4】
1つの前記容器本体に対して複数の前記仕切り壁を設置可能に構成されているとともに、
前記固定パーツの前記挿入部は、前記容器本体に設置された複数の前記仕切り壁の前記凹部に挿入可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の容器。
【請求項5】
前記固定パーツは、前記挿入部よりも上方に位置するベース部を備え、該ベース部が前記側壁部に当接状態とされることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の運搬等に使用され、収容空間を仕切る仕切り壁を備えた容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上方に開口する箱型の容器本体と、容器本体内側の収容空間を仕切るべく、容器本体に対して着脱自在に設けられた仕切り壁とを備える容器が存在する(例えば、特許文献1等参照。)。
【0003】
より具体的に、特許文献1の容器は、相対する一対の側壁部の内側面に対して、それぞれ上下に延びる側壁リブが側壁部の横幅方向に並ぶようにして複数形成され、当該側壁部の横幅方向に並ぶ側壁リブの間に仕切り壁の両側部を挿入させるようにして、仕切り壁が容器本体の内部に設置されている。また、仕切り壁の両側部には、仕切り壁の設置状態において、各側壁リブの上端部に形成された突起を挿入させる孔が形成された取付部が設けられており、仕切り壁の設置状態の安定化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平6−28425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、仕切り壁の傾倒変位等を防止するために容器本体の側壁部の内面側に側壁リブを設けることとしている。このため、容器本体等の形状の設計に比較的大きな制約ができてしまったり、容器本体が重くなったりする等の各種不具合を招いてしまうことが懸念される。
【0006】
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、容器本体の内面側において容器本体に設置される仕切り壁の傾倒を防止するためのリブを設けることなく、仕切り壁を安定的に設置することのできる容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0008】
手段1.略板状の底壁部と、前記底壁部の側辺部から上方に延出する側壁部とを具備し、内側の収容空間に対して物品を収容可能な容器本体と、
前記収容空間を仕切るようにして、前記容器本体に対して着脱自在に取付けられた略板状の仕切り壁とを備える容器において、
前記仕切り壁には、前記側壁部に形成された係止孔に係止される係止部が設けられ、
前記係止部の近傍部位に凹部が形成されることで、当該係止部の近傍部位が弾性変形可能に構成されるとともに、
前記係止部の近傍部位が弾性変形可能に構成されることによって、前記係止部が、前記係止孔に係止可能な係止位置と、前記係止孔との係止状態が解除される解除位置との間を変位可能とされる構成であって、
前記側壁部の前記係止孔に前記係止部が係止状態とされた前記仕切り壁の前記凹部に対して挿入される固定パーツを備え
前記固定パーツは、前記仕切り壁の前記係止部が前記係止孔から抜け出す方向への変位を規制する挿入部を備え、該挿入部が前記仕切り壁の前記凹部に対し挿入されることを特徴とする容器。
【0009】
手段1によれば、仕切り壁に設けられた係止部を側壁部に形成された係止孔に係止させることで、仕切り壁が容器の内側で傾倒変位する等の仕切り壁の容器本体に対する相対変位を防止することができる。特に、本手段1では、係止部が係止孔に係止状態とされるようにして仕切り壁が容器本体に設置された後、仕切り壁の係止部を変位可能(係止部の近傍部位を弾性変形可能)としている凹部に対して、固定パーツが挿入されるように構成されている。このため、係止部の係止孔から抜け出す方向への変位(弾性変形)を規制することができる。従って、係止部の係止孔への係止状態を確実に維持することができ、仕切り壁の設置状態の安定化を図ることができる。結果として、仕切り壁ががたついたり、倒れたりすることに起因して、容器に収容された物品に悪影響を及ぼしてしまうといった事態を防止することができる。
【0010】
また、容器本体の側壁部に関して、仕切り壁の傾倒変位等を防止するための構成としては、係止部を係止させるための孔(係止孔)を形成するだけでよく、例えば、側壁部の内面から突出して上下に延在するようなリブを形成しなくても済む。従って、側壁部内面側にリブを形成するような場合に比べ、容器本体形状の設計自由度の向上、収容空間の収容効率の向上(容器本体の大型化の抑制)、容器本体の軽量化、容器本体を成形する金型の簡素化、容器本体内側の清掃作業性の向上等を図ることができる。
【0011】
さらに、固定パーツが取付けられる前の段階であっても、仕切り壁の係止部が側壁部の係止孔に係止されることで、仕切り壁の位置決めを行うことができる。従って、仕切り壁から手を離しただけで仕切り壁が倒れてしまったり、固定パーツを凹部に挿入しようとした際に固定パーツの接触の仕方が少し悪いだけで仕切り壁が傾いてしまったりすることを回避することができ、作業性の飛躍的な向上を図ることができる。
【0012】
手段2.前記固定パーツは、前記側壁部に形成された取付孔を介して、前記側壁部の外面に係止される係止爪を備えていることを特徴とする手段1に記載の容器。
【0013】
手段2によれば、固定パーツの係止爪が側壁部の外面に係止されることから、例えば、係止爪が係止されている側壁部が容器本体の外側に膨らむようにして変形した場合、固定パーツについてもその変形に追従して容器本体の外側に向けて変位することとなる。つまり、側壁部と固定パーツとが一定距離を保つ(離間しない)ように構成されている。このため、側壁部と、固定パーツとの間に挟まれた格好となっている仕切り壁の係止部についても、側壁部と一定距離を保つ(離間しない)ようになっている。従って、たとえ側壁部が容器本体の外側に変形したとしても、係止部が係止孔から抜けてしまうといった事態を防止することができ、係止部の係止孔への係止状態を確実に維持するといった上記作用効果がより確実に奏される。
【0014】
また、仕切り壁の凹部に挿入された固定パーツに設けられている係止爪が側壁部の外面に係止されることによって、側壁部の容器本体外側への変形自体を抑制することができる。従って、仕切り壁が設置されて固定パーツが取付けられた状態にある容器本体の形状の安定化を図ることができる。結果として、容器としての強度の向上を図ることができ、物品をより安全に運搬・保管等することができる。
【0015】
手段3.前記固定パーツには、前記側壁部に形成された係合孔に係合される係合部が設けられ、
前記係合部が前記係合孔に係合状態とされることで、前記側壁部に対する前記固定パーツの前記凹部から抜け出す方向への相対変位が規制されるように構成されていることを特徴とする手段1又は2に記載の容器。
【0016】
手段3によれば、固定パーツが側壁部に対して相対変位してしまうことを防止することができる。このため、例えば、容器の運搬等に際して容器が振動した場合であっても、固定パーツが仕切り壁の凹部から抜け出してしまうことを防止することができる。従って、凹部から固定パーツが抜けてしまうことで、仕切り壁ががたついてしまったり、係止部が係止孔から抜けてしまったりするといった事態をより確実に防止することができる。
【0017】
手段4.1つの前記容器本体に対して複数の前記仕切り壁を設置可能に構成されているとともに、
前記固定パーツの前記挿入部は、前記容器本体に設置された複数の前記仕切り壁の前記凹部に挿入可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の容器。
【0018】
実公平6−28425号公報に記載の容器は、各仕切り壁を容器本体に設置する際に、仕切り壁に設けられた取付部の孔に対して、各側壁リブの突起を逐一挿入させていく必要があり、作業性の低下を招くことが懸念される。その一方で、作業性の向上を図るべく、側壁リブの突起及び仕切り壁の取付部を省略した場合には、容器本体に設置された仕切り壁が容器の振動に伴ってがたついたりしてしまうことが懸念される。
【0019】
この点、本手段4によれば、容器本体に設置された複数の仕切り壁を固定パーツでまとめて(一挙に)固定する(係止部の解除側への変位を防止して、容器本体に対する仕切り壁の相対変位を不可能な状態とする)ことができる。このため、例えば、各仕切り壁を容器本体に逐一固定していくような構成に比べ、仕切り壁の設置作業性の向上を図ることができる。
【0020】
また、容器本体に設置された複数の仕切り壁のなかに、係止部が上手く係止孔に係止されていないものが存在したとしても、固定パーツの取付作業を行うことで、前記係止孔に上手く係止されていなかった係止部が完全な係止状態とされたりすることも期待できる。従って、複数の仕切り壁の設置作業性の向上を図りつつ、仕切り壁の設置状態が不安定なままで容器が使用されてしまうことを回避することができる。
手段5.前記固定パーツは、前記挿入部よりも上方に位置するベース部を備え、該ベース部が前記側壁部に当接状態とされることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の容器。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】容器の斜視図である。
図2】容器本体の斜視図である。
図3】仕切り壁の表面側を示す斜視図である。
図4】仕切り壁の裏面側を示す斜視図である。
図5】固定パーツの内面側を示す斜視図ある。
図6】固定パーツの外面側を示す斜視図である。
図7】物品の斜視図である。
図8】容器の一部断面を含む斜視図である。
図9図8のJ部を示す斜視図である。
図10図9と同一箇所を示す断面図である。
図11】容器の一部断面を含む斜視図である。
図12図11のK部を示す斜視図である。
図13】容器の一部断面を含む斜視図である。
図14図13のL部を示す斜視図である。
図15】容器本体及び仕切り壁を示す斜視図ある。
図16】容器本体及び仕切り壁を示す一部断面を含む斜視図である。
図17】仕切り壁及び固定パーツを設置している段階の容器本体を示す一部断面を含む斜視図である。
図18】容器本体に設置された複数の仕切り壁と、固定パーツとの相対位置関係を説明するための斜視模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1等に示すように、容器1は、上方に開口するとともに、内部に物品7を収容可能な収容空間3を有する略箱状の容器本体2と、容器本体2の内部に設置され、収容空間3を仕切ることのできる仕切り壁4と、仕切り壁4を容器本体2に固定する固定パーツ5とを備えている。詳しくは後述するが、本実施形態の容器1は、略板状をなす複数の物品7をまとめて運搬・保管等することができるように構成されている。
【0023】
図2等に示すように、容器本体2は、相対する一対の長辺部と相対する一対の短辺部とを備える略矩形板状の底壁部11と、底壁部11の各長辺部からそれぞれ上方に延出する長辺側側壁部12と、底壁部11の各短辺部からそれぞれ上方に延出する短辺側側壁部13とを備えている。本実施形態の容器本体2は、ポリカーボネートによって一体的に形成されている。
【0024】
各長辺側側壁部12には、その中央部を含む範囲において略矩形状に開口部15が形成されている。当該開口部15は比較的広範囲に形成されているが、開口部15の上方、下方、及び、左右の両側方においても長辺側側壁部12の壁部分が存在しており、長辺側側壁部12は略四角枠状をなしている。一方、短辺側側壁部13には、長辺側側壁部12のような大きな開口部15は形成されていないものの、横幅方向略中央、かつ、上辺部近傍位置において、作業者が手を差し入れることのできる持ち手孔16が形成されている。
【0025】
また、長辺側側壁部12及び短辺側側壁部13の外面側には、外方に突出する補強リブ18が格子状に設けられている。さらに、図8等に示すように、底壁部11の下面側には、下方に突出する支持リブ19が格子状に設けられている。本実施形態では、容器本体2同士を上下に積み重ねることで、上側の容器1の支持リブ19が、下側の容器1の側壁部12、13の内周側に収容されるとともに、上側の容器1の側壁部12、13の下辺部に沿って延在する補強リブ18の下面が、下側の容器1の側壁部12、13の上辺部に沿って延在する補強リブ18の上面に当接して支持されるようになっている。これにより、下側の容器1に対する上側の容器1の水平方向における位置ずれを防止しつつ、容器本体2を上下に積み重ねる(スタッキングする)ことができる。尚、図8では、便宜上、切断線上に位置する仕切り壁4のハッチングを省略している。
【0026】
図3図4図15等に示すように、仕切り壁4は、長辺側側壁部12に対してほぼ直交する向きで容器本体2内部に設置されることとなる略板状の本体部21と、本体部21の両側辺部の上端部からそれぞれ側方に突出する接続部22と、本体部21の下辺部から下方に突出する左右一対の位置決め突部23とを備えている。本実施形態の仕切り壁4は、ポリカーボネートによって一体的に形成されている。
【0027】
また、接続部22のうち、仕切り壁4が容器本体2に設置された状態において長辺側側壁部12の内面と略当接状態とされる本体部21からの突出方向先端面には、側方に突出する係止部24が設けられている。さらに、接続部22には、係止部24の近傍部位において、仕切り壁4の厚み方向に貫通し、かつ、上方に開口する凹部25が形成されている。これにより、接続部22のうち、凹部25よりも係止部24側の部位、及び、凹部25の下方部位が弾性変形可能な厚みとなるように構成され、ひいては、係止部24が仕切り壁4の横幅方向において傾倒変位可能に構成されている。尚、以下、接続部22のうち、凹部25よりも係止部24側の部位、及び、凹部25の下方部位を「弾性部26」とも称する。
【0028】
これに対し、図2図9図10図16等に示すように、各長辺側側壁部12には、仕切り壁4の係止部24を係止可能な係止孔41が形成されている。本実施形態では、複数の仕切り壁4を等間隔で設置可能なように、複数の係止孔41が、長辺側側壁部12の横幅方向に沿って並ぶようにして等間隔で形成されている。
【0029】
さらに、図2等に示すように、底壁部11には、仕切り壁4の下辺部に形成された位置決め突部23を挿入可能な位置決め孔42が形成されている。当該位置決め孔42についても、複数の仕切り壁4を等間隔で設置可能なように、複数の位置決め孔42が、底壁部11の長手方向に沿って並ぶようにして等間隔で形成されている。
【0030】
そして、図15図16等に示すように、仕切り壁4の位置決め突部23を、所定の位置決め孔42に挿通させるとともに、仕切り壁4の係止部24を、対応する係止孔41に係止させる。より具体的には、位置決め突部23の下端部を位置決め孔42に挿入するべく、仕切り壁4を容器本体2の内側に進入させると、係止部24が長辺側側壁部12の内面に圧接されて、弾性部26が弾性変形し、係止部24が容器本体2の内側に傾倒変位することとなる。さらに、位置決め突部23の下端部を位置決め孔42に挿入し、仕切り壁4を底壁部11に対して垂直に立てた姿勢としたまま、位置決め突部23が位置決め孔42にほぼ完全に挿入されるまで下方に変位させることで、係止部24と、所定の係止孔41との位置が合致することとなる。このように、係止部24と係止孔41との位置が合致することで、弾性部26の弾性力に基づいて、係止部24が容器本体2の外側に向けて変位し、係止孔41に係止されることとなる。
【0031】
以上のように、仕切り壁4の下辺部(左右2箇所)と、仕切り壁4の上辺両端部とにおいて位置決めが行われることとなり、仕切り壁4の容器本体2に対する相対変位が防止され、仕切り壁4が容器本体2に仮固定された状態となる。
【0032】
また、仕切り壁4の本体部21の表裏面は、物品7の形状に合わせて凹凸形成されており、本実施形態では、略板状をなす物品7(図7参照)の左右側辺部を支持するべく、図3に示すように、本体部21の表面側の左右側辺部から本体部21に対して直交する方向に突出する補助リブ28が形成されている。加えて、本実施形態では、複数の仕切り壁4を同じ向きで容器本体2内部に設置して使用するようになっている。さらに、互いに隣接する係止孔41に係止部24が係止された一対の仕切り壁4のうち、一方の表面側と、他方の裏面側とによって、物品7が挟まれるような格好で支持されるようになっている。また、前記補助リブ28によって、物品7の側方への変位が防止されるようになっている。加えて、仕切り壁4の本体部21の上辺部には、物品7の表裏面上部を露出させるための露出凹部29が形成されており、作業者は、露出凹部29を介して物品7を掴み、容器1に対して物品7を出し入れすることができる。
【0033】
尚、図2等に示すように、本実施形態では、係止孔41及び位置決め孔42が、長辺側側壁部12の開口部15の左右側縁部よりも短辺側側壁部13側の位置にも設けられ、長辺側側壁部12を正面視した場合に、長辺側側壁部12によって隠れる位置にも仕切り壁4及び当該仕切り壁4に支持される物品7が設置されることとなる。また、図15図16等に示すように、本実施形態では、仕切り壁4に設けられた一対の接続部22の係止部24が形成された先端面間の距離が、一対の長辺側側壁部12間の距離とほぼ同じであって、仕切り壁4の本体部21の横幅は一対の長辺側側壁部12間の距離よりも短くなっている。このため、仕切り壁4の本体部21や物品7と、長辺側側壁部12との間には隙間が形成されることとなる。これにより、長辺側側壁部12によって隠れる位置に設置された物品7についても、開口部15を介して視認可能である上、開口部15を介して接触を試みることもできるようになっている。
【0034】
図5図6図10等に示すように、固定パーツ5は、長辺側側壁部12の係止孔41に係止部24が係止状態とされた仕切り壁4の凹部25に対して挿入される挿入部31と、凹部25に挿入された挿入部31よりも上方に位置し、長辺側側壁部12の内面と略当接状態とされるベース部32と、挿入部31の上縁部とベース部32の下縁部との間を連結する連結部33とを備えている。本実施形態の固定パーツ5は、ポリカーボネートによって一体的に形成されている。
【0035】
また、図6図11図12図17等に示すように、固定パーツ5には、ベース部32のうち長辺側側壁部12と略当接する側の面(外面)から突出する基部35aと、基部35aの先端部から下方に突出する爪部35bとを備える略L字状の係止爪35が設けられている。これに対し、長辺側側壁部12には、係止爪35を挿通させ、長辺側側壁部12の外面に爪部35bを係止させるための取付孔44が形成されている。
【0036】
さらに、図6図13図14図17等に示すように、固定パーツ5には、ベース部32に対して、上下に延びる左右一対のスリットと、当該左右一対のスリットの上端部間を連結するようにして延びるスリットとを形成することで、下縁部を残してベース部32から切り離されるようにして形成された弾性片36aと、弾性片36aの先端部(上端部)から外側に突出する爪部36bとを備える係合部36が設けられている。これに対し、長辺側側壁部12には、係合部36が係合される係合孔45が形成されている。尚、図11図13では、便宜上、切断線上に位置する物品7のハッチングを省略している。
【0037】
そして、固定パーツ5を容器本体2に取付ける場合には、先ず、挿入部31の先端部を凹部25に挿入させつつ、係止爪35を取付孔44に挿通させる。さらに、ベース部32の外面を長辺側側壁部12の内面と当接させた状態とすることで、係止爪35の爪部35b全体を長辺側側壁部12の外面側に位置させることができ、そのまま固定パーツ5を下方に変位させることで、係止爪35の爪部35bが、長辺側側壁部12の外面に係止されるとともに、挿入部31が凹部25により深く挿入される。
【0038】
また、ベース部32の外面と長辺側側壁部12の内面とが当接状態とされることで、係合部36の爪部36bが長辺側側壁部12の内面に圧接されて、弾性片36aが弾性変形し、係合部36が容器本体2の内側に傾倒変位した状態とされている。そして、挿入部31が凹部25に対してほぼ完全に挿入されるまで固定パーツ5を下方に変位させることで、係合部36の爪部36bと、所定の係合孔45との位置が合致することとなる。このように、係合部36の爪部36bと係合孔45との位置が合致することで、弾性片36aの弾性力に基づいて、爪部36bが容器本体2の外側に向けて変位し、係合孔45に係合されることとなる。
【0039】
以上のようにして、固定パーツ5が容器本体2に取付けられることとなる。また、容器本体2に取付けられた固定パーツ5の挿入部31が仕切り壁4の凹部25に挿入されていることから、仕切り壁4の容器本体2に対する相対変位がより確実に防止されることとなる。さらに、容器本体2に設置された全ての仕切り壁4の左右一対の凹部25に対し、固定パーツ5の挿入部31が挿入された状態となるように、適宜、固定パーツ5が取付けられることで、容器本体2に設置された仕切り壁4が容器本体2に固定されることとなる。
【0040】
尚、本実施形態では、1つの容器本体2に対して39枚の仕切り壁4を設置可能に構成されている。これに対し、固定パーツ5の挿入部31は、最大で、容器本体2に設置された13枚の仕切り壁4の凹部25に挿入可能に構成されている。従って、例えば、容器本体2に仕切り壁4が最大限設置される場合には、各長辺側側壁部12に対応して3つずつ、合計6つの固定パーツ5が容器本体2に取付けられることとなる。
【0041】
また、本実施形態では、内部に仕切り壁4が設置され、かつ、固定パーツ5が取付けられた状態の容器本体2の上側に、別の容器本体2が積み重ねられた場合であっても、上側に積まれた容器本体2の支持リブ19が、下側の容器本体2に取付けられた固定パーツ5と当接しないように構成されている。これにより、物品7を収容した状態でも容器1をスタッキング可能に構成されている。
【0042】
加えて、図6図18等に示すように、固定パーツ5には、挿入部31のうち長辺側側壁部12側の外面から突出し、上下に延びる衝立リブ38が設けられている。衝立リブ38の上縁部は、連結部33と連接しているとともに、長辺側側壁部12側の先端縁は、ベース部32の外面と面一となっている。そして、挿入部31が仕切り壁4の凹部25に挿入される際に、衝立リブ38は、互いに隣り合う一対の仕切り壁4の接続部22(弾性部26)間に形成される隙間に挿入されるようになっている。これにより、接続部22、ひいては、仕切り壁4の長辺側側壁部12横幅方向における位置ずれが防止されるようになっている。
【0043】
尚、仕切り壁4を取外す場合には、先ず、固定パーツ5を取外すことによって、接続部22のうち係止部24の仕切り壁4横幅方向への傾倒変位が許容される状態とする。そして、左右一対の接続部22のうち一方を長辺側側壁部12に押し付けるようにして当該一方側の係止部24を仕切り壁4の横幅方向中央側に相対的に傾倒変位させれば、他方側の係止部24を係止孔41から外すことができる。後は、仕切り壁4を持ち上げる(抜け難い場合には、係止孔41から抜け出した他方側の係止部24を長辺側側壁部12に押し付けながら持ち上げる)だけで、容器本体2から取外すことができる。
【0044】
以上詳述したように、本実施形態によれば、仕切り壁4に設けられた係止部24を長辺側側壁部12に形成された係止孔41に係止(挿入)させることで、仕切り壁4が容器1の内側で傾倒変位する等の仕切り壁4の容器本体2に対する相対変位を防止することができる。特に、本実施形態では、係止部24が係止孔41に係止状態とされるようにして仕切り壁4が容器本体2に設置された後、仕切り壁4の係止部24を変位可能としている(弾性部26を形成している)凹部25に対して、固定パーツ5の挿入部31が挿入されるように構成されている。このため、係止部24の係止孔41から抜け出す方向への変位(弾性変形)を規制することができる。従って、係止部24の係止孔41への係止状態を確実に維持することができ、仕切り壁4の設置状態の安定化を図ることができる。結果として、仕切り壁4ががたついたり、倒れたりすることに起因して、容器1に収容された物品7に悪影響を及ぼしてしまうといった事態を防止することができる。
【0045】
さらに、固定パーツ5が取付けられる前の段階であっても、仕切り壁4の係止部24が長辺側側壁部12の係止孔41に係止されることで、仕切り壁4の位置決めを行うことができる。従って、仕切り壁4から手を離しただけで仕切り壁4が倒れてしまったり、固定パーツ5を凹部25に挿入しようとした際に固定パーツ5の接触の仕方が少し悪いだけで仕切り壁4が傾いてしまったりすることを回避することができ、作業性の飛躍的な向上を図ることができる。
【0046】
特に、本実施形態では、1つの容器本体2に対して複数の仕切り壁4を設置可能に構成されているとともに、1つの固定パーツ5によって、容器本体2に設置された複数の仕切り壁4の左右一方側を固定可能に構成されている。すなわち、容器本体2内部に設置された複数の仕切り壁4を固定パーツ5でまとめて(一挙に)固定する(係止部24の解除側への変位を防止して、容器本体2に対する仕切り壁4の相対変位を不可能な状態とする)ことができる。このため、例えば、各仕切り壁4を容器本体2に逐一固定していくような構成に比べ、仕切り壁4の設置作業性の向上を図ることができる。
【0047】
また、仕切り壁4の仮固定の段階で、容器本体2に設置された複数の仕切り壁4のなかに、係止部24が上手く係止孔41に係止されていないものが存在したとしても、固定パーツ5の取付作業を行うことで、仕切り壁4(位置決め突部23)の差込みが不十分で、前記係止孔41に上手く係止されていなかった係止部24が完全な係止状態とされることも期待できる。また、係止部24の係止が完全とはいかない場合(例えば、仕切り壁4の今回の設置に際して係止爪24又は係止孔41が損傷したが、作業者が気付かない場合等)であっても、固定パーツ5由来のその他の構成(例えば、本実施形態では衝立リブ38)によって、係止部24が係止孔41に係止状態とされた場合と同様に、仕切り壁4の設置状態の安定化を図ることも可能となる。さらに、係止部24が係止孔41から長辺側側壁部12の横幅方向にずれてしまった場合には、固定パーツ5を取付けようとしても取付けられない(挿入部31を凹部25に挿入させることができない)。このため、作業者は、仕切り壁4が上手く設置されていないことを明確に把握することができ、適切な対応が可能となる。従って、複数の仕切り壁4の設置作業性の向上を図りつつ、仕切り壁4の設置状態が不安定なままで容器1が使用されてしまうことを回避することができる。
【0048】
また、固定パーツ5の係止爪35(の爪部35b)が、長辺側側壁部12の取付孔44を介して、長辺側側壁部12の外面に係止されるようになっている。このため、例えば、長辺側側壁部12が容器本体2の外側に膨らむようにして変形した場合、固定パーツ5についてもその変形に追従して容器本体2の外側に向けて変位することとなる。つまり、長辺側側壁部12と固定パーツ5とが一定距離を保つ(離間しない)ように構成されている。このため、長辺側側壁部12と、固定パーツ5との間に挟まれた格好となっている仕切り壁4の係止部24についても、長辺側側壁部12と一定距離を保つ(離間しない)ようになっている。従って、たとえ長辺側側壁部12が容器本体2の外側に変形したとしても、係止部24が係止孔41から抜けてしまうといった事態を防止することができ、係止部24の係止孔41への係止状態を確実に維持するといった上記作用効果がより確実に奏される。
【0049】
また、仕切り壁4の凹部25に挿入部31が挿入された固定パーツ5に設けられている係止爪35が、長辺側側壁部12の外面に係止されることによって、長辺側側壁部12の容器本体2外側への変形自体を抑制することができる。従って、仕切り壁4が設置されて固定パーツ5が取付けられた状態にある容器本体2の形状の安定化を図ることができる。結果として、容器1としての強度の向上を図ることができ、物品7をより安全に運搬・保管等することができる。
【0050】
さらに、固定パーツ5の係合部36が、長辺側側壁部12に形成された係合孔45に係合(挿入)されるようになっている。これにより、固定パーツ5が長辺側側壁部12に対して相対変位してしまうことを防止することができる。このため、例えば、容器1の運搬等に際して容器1が上下に振動した場合であっても、固定パーツ5が仕切り壁4の凹部25から抜け出してしまうことを防止することができる。従って、凹部25から固定パーツ5が抜けてしまうことで、仕切り壁4ががたついてしまったり、係止部24が係止孔41から抜けてしまったりするといった事態をより確実に防止することができる。
【0051】
また、容器本体2の長辺側側壁部12に関して、仕切り壁4の傾倒変位を防止したり、固定パーツ5を取付けたりするための構成としては、係止孔41、取付孔44、及び、係合孔45といった「孔」を形成するだけでよく、例えば、長辺側側壁部12の内面から突出して上下に延在するようなリブを形成しなくても済む。従って、長辺側側壁部12等の容器本体2の内面側にリブを形成するような場合に比べ、容器本体2形状の設計自由度の向上、収容空間3の収容効率の向上(容器本体2の大型化の抑制)、容器本体2の軽量化、容器本体2を成形する金型の簡素化、容器本体2内側の清掃作業性の向上等を図ることができる。
【0052】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0053】
(a)上記実施形態では、略板状の物品7を収容するための容器1として具体化されているが、特にかかる構成に限定されるものではなく、容器本体2や仕切り壁4の形状としても、収容する物品に応じて適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では、各長辺側側壁部12に対して開口部15が形成されているが、開口部15を形成せず、仕切り壁4によって複数に間仕切りされた各収容空間3に対して複数の物品を重ねて収容する等して利用してもよい。但し、容器本体2の内側にリブを設けない構成とすることが望ましく、その場合、収容空間3に対して効率的に物品を収容することができるとともに、容器本体2の軽量化等を図ることができる。
【0054】
また、1つの容器本体2に対して取付可能な仕切り壁4の数についても特に限定されるものではない。但し、上記実施形態のように、係止孔41を複数設けることによって、仕切り壁4の設置位置や設置数を、状況に応じて自由に変更することができ、利便性の向上を図ることができる。さらに、1つの固定パーツ5によって(片側を)固定することのできる仕切り壁4の数についても特に限定されるものではない。但し、上記実施形態のように、1つの固定パーツ5によって複数の仕切り壁4(の片側)を固定可能に構成することで、複数の仕切り壁4を固定パーツ5で一挙に固定することができ、設置作業性の向上を図ることができる。
【0055】
(b)上記実施形態では、仕切り壁4の両側部において、係止部24を傾倒変位可能とするための(弾性部26を形成するための)凹部25が形成されているが、どちらか一方だけ(他方はほぼ弾性変形しない)としてもよい。この場合、凹部25に固定パーツ5を挿入していく作業が仕切り壁4の左右一方側だけとなる。また、上記実施形態では特に言及していないが、複数種類(複数形状)の仕切り壁4を用意して、物品に応じて仕切り壁4を付替え可能としてもよい。
【0056】
さらに、上記実施形態の仕切り壁4は、表面と裏面とで形状が異なっているが、同形状としてもよい。加えて、どちら向きでも容器本体2への設置が可能なように(凹部25等の位置がずれないように)、左右対称形状としてもよい。また、仕切り壁4に対して物品が固定可能又は係止可能に構成され、容器本体2に対して物品が仕切り壁4とともに出し入れされるように構成してもよい。
【0057】
(c)上記実施形態では、仕切り壁4の長辺側側壁部12横幅方向への位置ずれを防止する構成として、仕切り壁4下部の位置決め突部23と、仕切り壁4の係止部24と、固定パーツ5の衝立リブ38とが設けられているが、位置決め突部23とともに、係止部24及び衝立リブ38のうち一方を省略してもよい。但し、係止部24が設けられることによって、仕切り壁4を容器本体2に仮固定した場合の位置決めをより確実に行うことができる。さらに、衝立リブ38が設けられることによって、仕切り壁4の設置状態が不安定なままで容器1が使用されてしまうことを回避することができる。
【0058】
(d)上記実施形態では、容器本体2、仕切り壁4、及び、固定パーツ5はポリカーボネートにより構成されているが、ポリプロピレン、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。また、容器本体2、仕切り壁4、及び、固定パーツ5の構成材料が統一されていなくてもよく、例えば、容器本体2及び仕切り壁4の構成材料と、固定パーツ5の構成材料とが異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…容器、2…容器本体、3…収容空間、4…仕切り壁、5…固定パーツ、7…物品、11…底壁部、12…長辺側側壁部、13…短辺側側壁部、24…係止部、25…凹部、26…弾性部、31…挿入部、35…係止爪、36…係合部、38…衝立リブ、41…係止孔、44…取付孔、45…係合孔。
図1
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