特許第6203668号(P6203668)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203668
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】平面アンテナ検査方法及び平面アンテナ
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20170914BHJP
   H01Q 13/08 20060101ALI20170914BHJP
   H01P 11/00 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   G01B11/00 H
   H01Q13/08
   H01P11/00
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-53006(P2014-53006)
(22)【出願日】2014年3月17日
(65)【公開番号】特開2015-175749(P2015-175749A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2016年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229737
【氏名又は名称】日本ピラー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107847
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 聡
(72)【発明者】
【氏名】島内 浩一
(72)【発明者】
【氏名】奥長 剛
(72)【発明者】
【氏名】小林 美幸
【審査官】 三好 貴大
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−224737(JP,A)
【文献】 特開2005−172686(JP,A)
【文献】 特開2011−223203(JP,A)
【文献】 特開2013−034118(JP,A)
【文献】 特開2002−100907(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0265567(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
H01Q 1/00− 1/10
1/27− 1/52
3/00− 3/46
13/00−13/28
21/00−25/04
H01P 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導波管マイクロストリップ線路変換器が形成された平面アンテナの検査方法であって、
上記導波管マイクロストリップ線路変換器は、誘電体基板の第1面及び第2面にそれぞれ形成された第1回路パターン及び第2回路パターンからなり、第2回路パターンが導波管に対応づけて接地板に設けられた矩形の貫通孔を含み、第1回路パターンが上記貫通孔に対応づけて設けられた短絡板を含み、
位置合わせ用の第1検査パターンを含む第1回路パターンを上記誘電体基板の第1面に形成する第1回路パターン形成ステップと、
第1検査パターンに対応づけて配置される第2検査パターンを含む第2回路パターンを上記誘電体基板の第2面に形成する第2回路パターン形成ステップと、
検出光を上記誘電体基板に照射した際の透過光を受光し、第1検査パターン及び第2検査パターンからなる検査パターンセットを含む検査パターン画像を生成する検査パターン撮像ステップと、
上記検査パターン画像に基づいて、第1回路パターン及び第2回路パターン間の位置ずれを判定する位置ずれ判定ステップとを備え、
上記検査パターンセットは、上記貫通孔の短辺に対向する位置に形成されることを特徴とする平面アンテナ検査方法。
【請求項2】
導波管マイクロストリップ線路変換器が形成された平面アンテナにおいて、
誘電体基板の第2面に形成され、導波管に対応づけて接地板に設けられた矩形の貫通孔を含む第2回路パターンと、
上記誘電体基板の第1面に形成され、上記貫通孔に対応づけて設けられた短絡板を含む第1回路パターンとを備え、
第1回路パターンは、位置合わせ用の第1検査パターンを含み、
第2回路パターンは、第1検査パターンに対応づけて配置される第2検査パターンを含み、
第1検査パターン及び第2検査パターンからなる検査パターンセットは、上記貫通孔の短辺に対向する位置に形成されていることを特徴とする平面アンテナ。
【請求項3】
2つの上記検査パターンセットが、上記導波管マイクロストリップ線路変換器を挟んで配置されていることを特徴とする請求項2に記載の平面アンテナ。
【請求項4】
2以上の上記導波管マイクロストリップ線路変換器が上記貫通孔の短辺を互いに対向させて直線上に配置され、
2つの上記検査パターンセットが、上記導波管マイクロストリップ線路変換器からなる変換器列を挟んで配置されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の平面アンテナ。
【請求項5】
上記検査パターンセットが、上記短絡板から管内波長の1/4以上離間して配置されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の平面アンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面アンテナ検査方法及び平面アンテナに係り、さらに詳しくは、導波管マイクロストリップ線路変換器が形成された平面アンテナ及びその検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロストリップアンテナは、誘電体基板の両面に導体層からなる回路パターンを形成することによって構成される平面アンテナであり、導波管を用いて給電される。例えば、誘電体基板の表面には、多数の放射素子、放射素子への給電回路及び短絡板を含む回路パターンが形成され、誘電体基板の裏面には、導波管を接続するための接続回路や接地板を含む回路パターンが形成される。この様な回路パターンは、写真製版(フォトリソグラフィ)の技術を利用して形成される。
【0003】
平面アンテナの場合、誘電体基板の表面と裏面との間で回路パターンの位置に大きなずれがあれば、放射特性が劣化し、正面利得が低下してしまうという問題があった。従来、平面アンテナの製造工程では、平面アンテナの完成品について、正面利得等の放射特性を実際に測定することにより、上述した様な表裏ずれを推定し、表裏ずれの大きい完成品を不良品として除外することが行われていた。しかしながら、完成品の全数について、放射特性を測定することは、極めて生産効率が悪く、平面アンテナの製造コストを増大させる要因となっていた。
【0004】
また、上記接続回路は、導波管に対応づけて接地板に設けられる貫通孔と、貫通孔内に設けられる整合素子等により構成され、給電回路及び短絡板と合わせて、導波管マイクロストリップ線路変換器を構成している。この様な導波管マイクロストリップ線路変換器が形成された平面アンテナに位置合わせ用のパターンを設ければ、放射特性が劣化してしまうという問題もあった。
【0005】
なお、特許文献1には、基板Wの表側にディテクター11及び照明L1からなる第1の検出手段1を配置し、基板Wの裏側にディテクター12及び照明L2からなる第2の検出手段2を配置した合わせずれ検査装置が記載されている。この合わせずれ検査装置では、照明L1から基板Wの表面に検出光を照射した際の反射光がディテクター11により検出されるとともに、照明L2から基板Wの裏面に検出光を照射した際の反射光がディテクター12により検出され、これらの検出データを合成することにより、基板の両面にそれぞれ形成されたパターン間の位置ずれが求められる。
【0006】
しかし、この様な反射光を用いる検査方法では、基板面における微細な凹凸や模様を回路パターンとして誤検出し易いことから、位置ずれの検出精度が低いという問題があった。また、誘電体基板の表面側で反射光を受光して得られた検出データと誘電体基板の裏面側で反射光を受光して得られた検出データとから、位置ずれを検出するには、これらの検出データを正確に位置合わせする必要がある。このため、ディテクター11及び12の位置や向きを予めキャリブレーションし、或いは、位置合わせ用のマーク等をディテクター11及び12の撮影領域内に予め設けておかなけらばならないという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−172540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、放射特性を測定しなくても、誘電体基板の両面にそれぞれ形成された回路パターン間の位置ずれを検出することができる平面アンテナ検査方法を提供することを目的とする。特に、反射光を受光して位置ずれを検出する検査方法に比べ、位置ずれの検出精度を向上させることができる平面アンテナ検査方法を提供することを目的とする。また、放射特性の劣化を抑制しつつ、導波管マイクロストリップ線路変換器を構成する回路パターン間の位置ずれを検出することができる平面アンテナ検査方法を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、放射特性を測定しなくても、誘電体基板の両面にそれぞれ形成された回路パターン間の位置ずれを光学的に検出することができる平面アンテナを提供することを目的とする。特に、放射特性の劣化を抑制しつつ、導波管マイクロストリップ線路変換器を構成する回路パターン間の位置ずれを光学的に検出することができる平面アンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の本発明による平面アンテナ検査方法は、導波管マイクロストリップ線路変換器が形成された平面アンテナの検査方法であって、上記導波管マイクロストリップ線路変換器が、誘電体基板の第1面及び第2面にそれぞれ形成された第1回路パターン及び第2回路パターンからなり、第2回路パターンが導波管に対応づけて接地板に設けられた矩形の貫通孔を含み、第1回路パターンが上記貫通孔に対応づけて設けられた短絡板を含み、位置合わせ用の第1検査パターンを含む第1回路パターンを上記誘電体基板の第1面に形成する第1回路パターン形成ステップと、第1検査パターンに対応づけて配置される第2検査パターンを含む第2回路パターンを上記誘電体基板の第2面に形成する第2回路パターン形成ステップと、検出光を上記誘電体基板に照射した際の透過光を受光し、第1検査パターン及び第2検査パターンからなる検査パターンセットを含む検査パターン画像を生成する検査パターン撮像ステップと、上記検査パターン画像に基づいて、第1回路パターン及び第2回路パターン間の位置ずれを判定する位置ずれ判定ステップとを備え、上記検査パターンセットが、上記貫通孔の短辺に対向する位置に形成されるように構成される。
【0011】
この平面アンテナ検査方法では、第1及び第2検査パターンがそれぞれ第1及び第2回路パターンとして形成されるので、第1及び第2検査パターンからなる検査パターンセットが撮影された検査パターン画像を解析することにより、第1回路パターン及び第2回路パターン間の位置ずれを判定することができる。つまり、放射特性を測定しなくても、誘電体基板の両面にそれぞれ形成された回路パターン間の位置ずれを検出することができる。
【0012】
また、検出光を誘電体基板に照射した際の透過光を受光して検査パターン画像を得るので、反射光を受光して位置ずれを検出する検査方法に比べ、位置ずれの検出精度を向上させることができる。さらに、検査パターンセットは、導波管に対応づけて接地板に設けられた貫通孔の短辺に対向する位置に形成される。貫通孔の長辺及び短辺は、それぞれ導波管の広壁及び狭壁に対応し、短辺と交差する方向に比べ、長辺と交差する方向への電界の漏れが大きい。このため、検査パターンセットを貫通孔の長辺に対向する位置に形成する場合に比べ、放射特性が劣化するのを抑制することができる。従って、放射特性の劣化を抑制しつつ、導波管マイクロストリップ線路変換器を構成する回路パターン間の位置ずれを検出することができる。
【0013】
第2の本発明による平面アンテナは、導波管マイクロストリップ線路変換器が形成された平面アンテナであって、誘電体基板の第2面に形成され、導波管に対応づけて接地板に設けられた矩形の貫通孔を含む第2回路パターンと、上記誘電体基板の第1面に形成され、上記貫通孔に対応づけて設けられた短絡板を含む第1回路パターンとを備え、第1回路パターンが、位置合わせ用の第1検査パターンを含み、第2回路パターンが、第1検査パターンに対応づけて配置される第2検査パターンを含み、第1検査パターン及び第2検査パターンからなる検査パターンセットが、上記貫通孔の短辺に対向する位置に形成されているように構成される。
【0014】
この平面アンテナでは、第1及び第2検査パターンがそれぞれ第1及び第2回路パターンとして形成されるので、第1及び第2検査パターンからなる検査パターンセットを撮影した検査パターン画像を解析することにより、第1回路パターン及び第2回路パターン間の位置ずれを判定することができる。つまり、放射特性を測定しなくても、誘電体基板の両面にそれぞれ形成された回路パターン間の位置ずれを光学的に検出することができる。また、検査パターンセットは、導波管に対応づけて接地板に設けられた貫通孔の短辺に対向する位置に形成されるので、放射特性の劣化を抑制しつつ、位置ずれを光学的に検出することができる。
【0015】
第3の本発明による平面アンテナは、上記構成に加え、2つの上記検査パターンセットが、上記導波管マイクロストリップ線路変換器を挟んで配置されているように構成される。この様な構成によれば、導波管マイクロストリップ線路変換器を構成する回路パターン間の位置ずれを検出することができるとともに、位置ずれを検査パターンセット間で比較することにより、第1回路パターン及び第2回路パターン間における相対的な回転ずれを検出することができる。
【0016】
第4の本発明による平面アンテナは、上記構成に加え、2以上の上記導波管マイクロストリップ線路変換器が上記貫通孔の短辺を互いに対向させて直線上に配置され、2つの上記検査パターンセットが、上記導波管マイクロストリップ線路変換器からなる変換器列を挟んで配置されているように構成される。この様な構成によれば、導波管マイクロストリップ線路変換器の配列方向への位置ずれや変換器列の回転ずれを高い精度で検出することができる。
【0017】
第5の本発明による平面アンテナは、上記構成に加え、上記検査パターンセットが、上記短絡板から管内波長の1/4以上離間して配置されているように構成される。この様な構成によれば、平面アンテナの放射特性や導波管マイクロストリップ線路変換器の変換特性を劣化させることなく、検査パターンセットを形成することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、放射特性を測定しなくても、誘電体基板の両面にそれぞれ形成された回路パターン間の位置ずれを検出することができる平面アンテナ検査方法を提供することができる。特に、反射光を受光して位置ずれを検出する検査方法に比べ、位置ずれの検出精度を向上させることができるとともに、放射特性の劣化を抑制しつつ、導波管マイクロストリップ線路変換器を構成する回路パターン間の位置ずれを検出することができる。
【0019】
また、本発明による平面アンテナでは、放射特性を測定しなくても、誘電体基板の両面にそれぞれ形成された回路パターン間の位置ずれを光学的に検出することができる。特に、放射特性の劣化を抑制しつつ、導波管マイクロストリップ線路変換器を構成する回路パターン間の位置ずれを光学的に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態による平面アンテナ2の表裏ずれを検査する平面アンテナ検査装置1の一構成例を示したブロック図である。
図2図1の平面アンテナ2の一構成例を示した図であり、平面アンテナ2の表面が示されている。
図3図2の平面アンテナ2の構成例を示した断面図であり、平面アンテナ2をA−A切断線により切断した場合の切断面が示されている。
図4図2の平面アンテナ2の構成例を示した断面図であり、平面アンテナ2をB−B切断線により切断した場合の切断面が示されている。
図5図2の平面アンテナ2の使用状態を示した断面図であり、導波管6を平面アンテナ2の接続回路26に取り付けた状態が示されている。
図6図1の表裏ずれ検査装置1の動作の一例を示した図であり、透過照明により平面アンテナ2を撮影して得られた検査パターン画像7が示されている。
図7】平面アンテナ2の放射特性の一例を示した図であり、回路パターン21及び25間の位置ずれを変化させながら測定された正面利得の低下量が示されている。
図8】平面アンテナ2の他の構成例を示した図であり、6つの導波管−MSL変換器4が誘電体基板20に形成されている場合が示されている。
図9】平面アンテナ2のその他の構成例を示した図であり、1つの導波管−MSL変換器4が誘電体基板20に形成されている場合が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の説明において、上下左右とは、図面の紙面を基準とした上下左右を指し、回転とは、図面の紙面に垂直な中心軸に基づく回転を指す。
<平面アンテナ検査装置1>
図1は、本発明の実施の形態による平面アンテナ2の表裏ずれを検査する平面アンテナ検査装置1の一構成例を示したブロック図である。この平面アンテナ検査装置1は、平面アンテナ2の表裏ずれを光学的に検出する画像測定装置であり、ステージ10、カメラ11、撮像制御部12、検査パターン画像記憶部13、表裏ずれ判定部14及び照明装置15により構成される。
【0022】
ステージ10は、検査対象物を載置するための作業台であり、照明装置15から出射された検出光3を透過させる検出領域SAが形成されている。検出領域SAは、透明ガラス等の透光性材料からなる領域であり、検査対象の平面アンテナ2は、この検出領域SA内に載置される。カメラ11は、検出光3を検査対象物に照射した際に、検査対象物を透過した透過光3aを受光し、撮影画像を生成する撮像装置である。このカメラ11は、向きを下方に向けた状態で、ステージ10の上方に配置されている。
【0023】
照明装置15は、ステージ10上の検査対象物に検出光3を下方から照射する透過照明用の光源装置である。例えば、検出光3には、可視光が用いられる。平面アンテナ検査装置1は、ステージ10上の検査対象物を撮影した撮影画像を解析することにより、撮影画像内のエッジを抽出して検査対象物の寸法や形状を測定することができる。
【0024】
平面アンテナ2は、後述するように、誘電体基板の両面に導体層からなる回路パターンが形成された検査対象物であり、位置合わせ用の検査パターンが設けられる。誘電体基板の表面に設けられる検査パターンは、予め定められた図形、例えば、中心を特定することが容易な幾何学的な図形からなる。一方、誘電体基板の裏面に設けられる検査パターンは、表面の検査パターンと寸法の異なる同一形状の図形、すなわち、相似形状の図形からなり、表面の検査パターンと略同心に配置される。
【0025】
撮像制御部12は、カメラ11による撮像を制御し、ステージ10上の平面アンテナ2が撮影された撮影画像を取得する。この撮像制御部12は、検査パターンが撮影された検査パターン画像を取得し、検査パターン画像記憶部13内に格納する。
【0026】
表裏ずれ判定部14は、検査パターン画像記憶部13から検査パターン画像を読み出して解析し、回路パターンの表裏ずれを判定する。表裏ずれは、誘電体基板の両面にそれぞれ形成された回路パターン間における相対的な位置ずれ又は回転ずれであり、検査パターンを示すエッジを抽出し、エッジの中心位置を特定することにより判定される。
【0027】
例えば、検査パターン画像に対し、エッジ抽出のための画像領域が測定対象領域として予め指定される。エッジ抽出は、この測定対象領域内の輝度変化を解析してエッジ点を検出し、検出した複数のエッジ点に直線、円、円弧などの幾何学図形をフィッティングさせることにより行われる。位置ずれは、表面の検査パターンを示すエッジの中心位置と、裏面の検査パターンを示すエッジの中心位置との間における2次元的な位置の変化量として求められる。
【0028】
平面アンテナ2の製造工程において、平面アンテナ検査装置1を用いて平面アンテナ2の完成品を検査すれば、正面利得等の放射特性を実際に測定しなくても、回路パターンの表裏ずれを検出することができる。また、検出光3を誘電体基板に照射した際の透過光3aを受光して検査パターン画像を得るので、反射光を受光して位置ずれを検出する検査方法に比べ、位置ずれの検出精度を向上させることができる。
【0029】
また、この様な光学的な検査方法により、平面アンテナ2の完成品から位置ずれの大きい完成品を不良品として除外した上で、完成品の放射特性を測定すれば、品質管理が容易化されるので、生産効率を顕著に向上させることができる。
【0030】
<平面アンテナ2>
図2は、図1の平面アンテナ2の一構成例を示した図であり、平面アンテナ2の表面が示されている。この図2には、左右方向を長手方向とする矩形の誘電体基板20に対し、5つの導波管−MSL(マイクロストリップ線路)変換器4と、4つの検査パターンセット30とを形成した平面アンテナ2が示されている。図3及び図4は、図2の平面アンテナ2の構成例を示した断面図であり、図3には、平面アンテナ2をA−A切断線により切断した場合の切断面が示され、図4には、平面アンテナ2をB−B切断線により切断した場合の切断面が示されている。
【0031】
この平面アンテナ2は、MSL23を介して放射素子22に給電するマイクロストリップアンテナであり、誘電体基板20と、誘電体基板20の表面に形成された回路パターン21と、誘電体基板20の裏面に形成された回路パターン25と、2以上の検査パターンセット30とにより構成される。
【0032】
誘電体基板20は、検出光3を透過させる誘電体からなるアンテナ用の基板である。例えば、誘電体基板20には、比誘電率が小さいフッ素樹脂からなる絶縁性の樹脂基板が用いられる。回路パターン21は、導体層からなり、2以上の放射素子22と、2以上のMSL23と、2以上の短絡板24とを含む。MSL23は、放射素子22への給電回路であり、誘電体基板20の基板面に沿って概ね等幅で延びる伝送線路からなる。
【0033】
回路パターン25は、導体層からなり、2以上の接続回路26と、接地板29とを含む。接続回路26は、導波管(不図示)を接続するための回路パターンであり、接地板29に形成された矩形の貫通孔27と、この貫通孔27内に形成された整合素子28とにより構成される。
【0034】
接地板29は、MSL23に対してグランド電極として機能する回路パターンであり、誘電体基板20の基板面の全体を概ね覆っている。貫通孔27の長辺27a及び短辺27bは、それぞれ導波管の広壁及び狭壁に対応する寸法からなる。整合素子28は、電磁波を共振させる共振器であり、貫通孔27内に島状に形成された1又は2以上の連続領域からなる。この例では、1つの矩形領域からなる整合素子28が貫通孔27内に形成されている。短絡板24は、導波管を短絡させるための回路パターンであり、接続回路26に対向する位置に形成されている。
【0035】
導波管−MSL変換器4は、導波管とMSL23との間で電磁波による電力変換を行う給電ポートであり、MSL23、短絡板24及び接続回路26により構成される。短絡板24には、上下方向に延びるMSL23を配置するための切り欠きが形成されている。また、MSL23は、その一端が貫通孔27の長辺27aを跨いでいる。短絡板24及び接続回路26は、導波管−MSL変換器4ごとに形成されている。
【0036】
各導波管−MSL変換器4は、貫通孔27の短辺27bを左右方向に延びる中心線5と交差させた状態で、中心線5上に配置されている。中心線5は、短辺27bの中点を結ぶ直線である。また、各導波管−MSL変換器4は、貫通孔27の短辺27bを互いに対向させて中心線5上に配置されている。また、1又は2以上の放射素子22とMSL23とからなる放射パターンは、導波管−MSL変換器4ごとに形成され、中心線5に関して上下対称である。導波管−MSL変換器4の数や放射パターンの形状は、平面アンテナ2に要求される性能、指向特性及びチャンネル数に応じて決定される。
【0037】
この例では、左から1つ目及び2つ目の導波管−MSL変換器4と、左から3つ目〜5つ目の導波管−MSL変換器4とで、接続される導波管のサイズが異なっている。左から1つ目の導波管−MSL変換器4は、短絡板24が、下方への凹形状からなる1つの上切り欠きと、上方への凹形状からなる1つの下切り欠きとを有し、上切り欠きから上方に延びる放射パターンと、下切り欠きから下方に延びる放射パターンとが形成されている。上下の放射パターンは、MSL23が途中で3つに分岐し、それぞれ放射素子22に接続されている。
【0038】
左から2つ目の導波管−MSL変換器4は、短絡板24が、下方への凹形状からなる1つの上切り欠きと、上方への凹形状からなる1つの下切り欠きとを有し、上切り欠きから上方に延びるMSL23に1つの放射素子22が接続され、下切り欠きから下方に延びるMSL23に1つの放射素子22が接続されている。左から3つ目〜5つ目の導波管−MSL変換器4は、いずれも短絡板24が、下方への凹形状からなる2つの上切り欠きと、上方への凹形状からなる2つの下切り欠きとを有している。これらの切り欠きごとに放射パターンが形成され、上切り欠きから上方に延びるMSL23には1つの放射素子22が接続され、また、下切り欠きから下方に延びるMSL23には1つの放射素子22が接続されている。
【0039】
この様な回路パターン21及び25は、誘電体基板20に金属薄膜、例えば、銅箔を貼り付け、誘電体基板20上の金属薄膜をエッチング加工等によりパターニングすることによって製作される。MSL23の線路幅等は、送受信させる電磁波の周波数、帯域幅及び放射特性に応じて決定される。また、MSL23の線路幅は、送受信しようとする電磁波の管内波長λgに比べて十分に短い。ここでいう管内波長λgは、誘電体基板20に形成されたMSL23を伝搬する電磁波の波長である。
【0040】
検査パターンセット30は、誘電体基板20の表面に設けられた表面検査パターン31と、誘電体基板20の裏面に設けられた裏面検査パターン32とにより構成される表裏ずれ検出用のシンボル対である。
【0041】
表面検査パターン31は、中心の特定が容易な図形からなる位置合わせ用のシンボルであり、回路パターン21と同時に誘電体基板20に形成される。例えば、表面検査パターン31は、回路パターン21と同一の金属材料からなるパターンであり、回路パターン21と共通のパターニング工程において形成される。
【0042】
裏面検査パターン32は、表面検査パターン31に対応づけて配置される位置合わせ用のシンボルであり、回路パターン25と同時に誘電体基板20に形成される。例えば、裏面検査パターン32は、回路パターン25と同一の金属材料のパターンに形成された貫通孔からなる導体層抜きパターンであり、回路パターン25と共通のパターニング工程において形成される。この裏面検査パターン32は、表面検査パターン31と寸法の異なる同一形状(相似形状)の図形からなり、表面検査パターン31と略同心に配置される。
【0043】
表面検査パターン31及び裏面検査パターン32の形状及びサイズは、特に限定されるものではないが、位置ずれの検出精度を上げるという観点から、中心を特定することが容易な幾何学的図形であることが望ましい。中心を特定し易い図形には、円、長方形、正六角形等の点対称な図形がある。また、表面検査パターン31及び裏面検査パターン32のサイズは、カメラ11の分解能よりも大きければ良い。
【0044】
また、表面検査パターン31及び裏面検査パターン32の大小関係は、特に限定されるものではないが、透過照明を利用した撮影画像を解析して表面検査パターン31及び裏面検査パターン32を識別する際の識別精度を向上させるという観点から、表面検査パターン31が裏面検査パターン32に内包されていることが望ましい。
【0045】
この例では、円形の表面検査パターン31に対向させて、表面検査パターン31よりも径が大きい円形の貫通孔を接地板29に形成することにより、裏面検査パターン32が形成され、表面検査パターン31及び裏面検査パターン32が同心に配置されている。
【0046】
検査パターン31及び32がそれぞれ回路パターン21及び25と同時に形成されるパターンであるので、検査パターンセット30が撮影された検査パターン画像を解析することにより、回路パターン21及び25の位置ずれを判定することができる。
【0047】
検査パターンセット30は、貫通孔27の短辺27bに対向する位置に形成されている。好ましくは、検査パターンセット30は、短辺27bの中点を結ぶ直線からなる中心線5上であって、短辺27bに対向する位置に形成されている。具体的には、表面検査パターン31と短絡板24との距離dが管内波長λgの1/4以上となるように、検査パターンセット30は、短絡板24から離間して配置されている。
【0048】
この様に検査パターンセット30は、貫通孔27の短辺27bに対向する位置に形成されるので、放射特性の劣化を抑制しつつ、導波管−MSL変換器4を構成する回路パターン間の位置ずれを検出することができる。また、検査パターンセット30を短絡板24から管内波長λgの1/4以上離間して配置するので、平面アンテナ2の放射特性や導波管−MSL変換器4の変換特性を劣化させることなく、検査パターンセット30を形成することができる。
【0049】
また、各検査パターンセット30は、長辺27aに平行な同一直線上(好ましくは、中心線5上)に形成され、左から1つ目及び4つ目の検査パターンセット30は、中心線5上に配置された導波管−MSL変換器4からなる変換器列を挟んで配置されている。この様に構成することにより、導波管−MSL変換器4の配列方向への位置ずれや変換器列の回転ずれを高い精度で検出することができる。
【0050】
図5は、図2の平面アンテナ2の使用状態を示した断面図であり、導波管6を平面アンテナ2の接続回路26に取り付けた状態が示されている。導波管6は、マイクロ波又はミリ波帯の電磁波を管軸方向に伝送させる中空の構造体からなる。この導波管6は、狭壁6aの上端を貫通孔27の短辺27bに一致させた状態で、平面アンテナ2に取り付けられている。
【0051】
導波管6の管軸は、誘電体基板20の基板面に垂直であり、各導波管6は、誘電体基板20の裏面から突出するように配置されている。平面アンテナ2の放射特性は、この様な使用状態において測定される。
【0052】
<検査パターン画像7>
図6は、図1の表裏ずれ検査装置1の動作の一例を示した図であり、透過照明により平面アンテナ2を撮影して得られた検査パターン画像7が示されている。この検査パターン画像7には、表面検査パターン31及び裏面検査パターン32からなる検査パターンセット30が被写体として撮像されている。
【0053】
表裏ずれの検出処理では、まず、検査パターン画像7を解析することにより、表面検査パターン31を示す円と、裏面検査パターン32を示す円とがエッジとして抽出される。次に、これらの円の中心31a及び32aの位置を求め、中心位置の変化量ΔZから表裏ずれが判定される。
【0054】
図7は、平面アンテナ2の放射特性の一例を示した図であり、回路パターン21及び25間の位置ずれを変化させながら測定された正面利得の低下量が示されている。この図では、横軸が位置ずれ(mm)を表し、縦軸が正面利得の低下量(dB)を表し、ミリ波帯の電波を送受信する場合の放射特性が示されている。
【0055】
平面アンテナ2の正面利得は、位置ずれが0mmである場合に、低下量=0dBであり、位置ずれが大きくなるに従って、単調に低下している。例えば、位置ずれ=0.1mmでは、低下量=−0.7dB程度であり、位置ずれ=0.2mmでは、低下量=−2.6dB程度である。この様な放射特性を示すテーブルを予め作成しておくことにより、平面アンテナ2の放射特性を実際に測定しなくても、位置ずれから放射特性を推定することができるので、平面アンテナ2の品質検査を容易化することができる。
【0056】
本実施の形態によれば、放射特性を測定しなくても、誘電体基板20に形成された回路パターン21及び25間の位置ずれを検出することができる。また、検出光3を誘電体基板20に照射した際の透過光3aを受光して検査パターン画像7を得るので、反射光を受光して位置ずれを検出する検査方法に比べ、位置ずれの検出精度を向上させることができる。
【0057】
図8は、平面アンテナ2の他の構成例を示した図であり、6つの導波管−MSL変換器4と4つの検査パターンセット30とが誘電体基板20に形成されている場合が示されている。1又は2以上の放射素子22とMSL23とからなる放射パターンは、導波管−MSL変換器4ごとに形成され、中心線5に関して上下非対称である。
【0058】
左から1つ目〜5つ目の導波管−MSL変換器4と、左から6つ目の導波管−MSL変換器4とで、接続される導波管のサイズが異なっている。左から1つ目〜4つ目の導波管−MSL変換器4は、短絡板24が、上方への凹形状からなる1つの下切り欠きを有し、下切り欠きから下方に延びるMSL23に1つの放射素子22が接続されている。
【0059】
左から5つ目の導波管−MSL変換器4は、短絡板24が、上方への凹形状からなる1つの下切り欠きを有し、下切り欠きから下方に延びる放射パターンが形成されている。この放射パターンは、MSL23が途中で3つに分岐し、それぞれ放射素子22に接続されている。
【0060】
左から6つ目の導波管−MSL変換器4は、短絡板24が、上方への凹形状からなる2つの下切り欠きを有している。これらの切り欠きごとに放射パターンが形成され、下切り欠きから下方に延びるMSL23には1つの放射素子22が接続されている。
【0061】
各導波管−MSL変換器4及び各検査パターンセット30は、中心線5上に形成されている。この様な平面アンテナ2であっても、検査パターンセット30が撮影された検査パターン画像7を解析することにより、回路パターン21及び25間の表裏ずれを検出することができる。
【0062】
図9は、平面アンテナ2のその他の構成例を示した図であり、1つの導波管−MSL変換器4と2つの検査パターンセット30とが誘電体基板20に形成されている場合が示されている。導波管−MSL変換器4は、貫通孔27の短辺27bを上下方向に延びる中心線8と交差させた状態で、中心線8上に配置されている。中心線8は、短辺27bの中点を結ぶ直線である。
【0063】
2以上の放射素子22とMSL23とからなる放射パターンは、導波管−MSL変換器4の左右に形成されている。導波管−MSL変換器4は、短絡板24が、右方への凹形状からなる1つの左切り欠きと、左方への凹形状からなる1つの右切り欠きとを有し、左切り欠きから左方に延びる放射パターンと、右切り欠きから右方に延びる放射パターンとが形成されている。左右の放射パターンは、MSL23に多数の放射素子22が接続されている。
【0064】
各検査パターンセット30は、中心線8上に形成され、導波管−MSL変換器4を挟んで配置されている。この様な平面アンテナ2であっても、検査パターンセット30が撮影された検査パターン画像7を解析することにより、回路パターン21及び25間の表裏ずれを検出することができる。
【0065】
なお、本実施の形態では、検出光3を誘電体基板20の裏面側(裏面検査パターン32が形成されている側)から照射し、表面側(表面検査パターン31が形成されている側)でその透過光3aを受光して、検査パターンセット30の検査パターン画像を取得する場合の例について説明したが、本発明は、検出光3を表面側から照射し、裏面側でその透過光3aを受光して検査パターン画像を取得するような構成であっても良い。また、本実施の形態では、検出光3を誘電体基板20に照射した際の透過光3aを受光して位置ずれを検出する場合の例について説明したが、本発明は、検出光3を誘電体基板20に照射した際の反射光を受光して位置ずれを検出する検査方法にも適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 平面アンテナ検査装置
10 ステージ
11 カメラ
12 撮像制御部
13 検査パターン画像記憶部
14 表裏ずれ判定部
15 照明装置
2 平面アンテナ
20 誘電体基板
21,25 回路パターン
22 放射素子
23 MSL
24 短絡板
26 接続回路
27 貫通孔
27a 長辺
27b 短辺
28 整合素子
29 接地板
30 検査パターンセット
31 表面検査パターン
32 裏面検査パターン
3 検出光
3a 透過光
4 導波管−MSL変換器
5,8 中心線
6 導波管
6a 狭壁
7 検査パターン画像
SA 検出領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9