(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
放水口を塞ぐ弁体と、該弁体を支持するシリンダ及びピストンを有する感熱分解部と、該シリンダ内に収容され、ピストンによって押圧される感熱体とを備えたスプリンクラヘッドにおいて、
前記感熱体は、50〜60度の温度範囲の融点を持つ有機化合物の微粉末を硬度1.4kg以上に圧縮成型してなり、
前記有機化合物は、1,8−オクタンジオール又は4−クロロベンズヒドロールから選ばれることを特徴とするスプリンクラヘッド。
前記ピストンと前記シリンダとの間に形成される隙間と、前記感熱体との間に、前記隙間を塞いで、前記感熱体を外気と接触させないように、平板状の半田を設けることを特徴とする請求項1記載のスプリンクラヘッド。
【発明を実施するための形態】
【0012】
・第1の実施形態
本発明の第1の実施形態は、特に作動温度が60度である低温タイプのスプリンクラヘッドの感熱体を有機化合物で構成することを目的とするものであり、本発明の実施の形態1に係るスプリンクラヘッドの感熱体は、50〜60度の温度範囲の融点を持つ有機化合物の微粉末を硬度1.4kg以上に圧縮成型してなり、その有機化合物は、1,8−オクタンジオール又は4−クロロベンズヒドロールであることを特徴とするものである。
【0013】
感熱体の特徴はスプリンクラヘッドの構造と密接に関連するので、以下においてはまずスプリンクラヘッドの構造を説明し、その後で感熱体について説明する。
【0014】
<スプリンクラヘッドの構造>
図1は本実施の形態1のスプリンクラヘッドの縦断面図、
図2は感熱分解部の斜視図である。以下、図に基づいてスプリンクラヘッドの構造を説明する。
【0015】
1は本体で、中心部には放水口5が設けられている。そして、放水口5の下端周縁には弁座7が設けられ、弁体20により放水口5は塞がれている。
【0016】
10は円筒状のフレームで、外壁の上部には本体1のねじ部4に螺合されるめねじ11が設けられ、めねじ11の下方には係止段部12が形成されている。
【0017】
30はアームガイドで、断面がほぼコ字状に形成され、弁体20の下部をかしめて、弁体20と一体に結合されている。35は板状のバランサで、スプリンクラヘッドが組立てられた際、弁体20へ加わる所定の組立荷重を感熱分解部40のアーム41a,41bに均等にかけるものである。
【0018】
40は一対のアーム41a,41b、アーム支持板46、リンク押え坂55等からなる感熱分解部で、弁体20を支持するものである。61は感熱板である。
【0019】
次に
図2を用いて感熱分解部40について詳しく説明する。
図2において、アーム41a,41bはほぼ逆J字状に形成されており、第1の係止穴44と第2の係止穴45が設けられている。アーム支持板46は、ほぼ四角形状に形成され、中心部に貫通穴48を有する本体47と、係止片49a,49bとからなり、アーム41a,41bの間に配設されて係止片49a,49bがアーム41a,41bの第1の係止穴44に係止される。
【0020】
50は金属製のシリンダで、外壁にはつば部51が設けられている。シリンダ50はアーム支持板46の貫通穴48に挿入され、つば部51によってアーム支持板46上に載置される。53はシリンダ50内に収容された感熱体である。シリンダ50の下部には感熱板53が螺合する。
【0021】
感熱体53は、50〜60度の温度範囲の融点を持つ、例えば、1,8−オクタンジオール又は4−クロロベンズヒドロールが主成分である有機化合物の微粉末を硬度1.4kg以上に圧縮成型してなるものである。このような感熱体53を用いた作用効果は後述する。なお、感熱体53、感熱板61で感熱部が構成される。
【0022】
54はシリンダ50内に摺動可能に収容され、感熱体53を押圧する第1のピストンである。第1のピストン54とシリンダ50の間には隙間S(
図7参照)があり、溶融した感熱体53は、その隙間Sからスプリンクラヘッドの外部に流出する。
【0023】
55はリンク押え板で、中心部にねじ穴57を有する本体56と、その両側に突設された嵌合片58a,58bからなり、アーム41a,41bの間に配設されて嵌合片58a,58bがアーム41a,41bの第2の係止穴45に遊嵌する。
【0024】
59は一端に設けたねじ部60がリンク押え板55のねじ穴57に螺入され、他端が第1のピストン54に当接する第2のピストンである。
【0025】
図1に戻って、感熱分解部40のアーム41a,41bの先端部は、フレーム10の壁面の横長開口穴からなる係止段部12に係止し、フレーム10の螺入によりその頭部がバランサ35によって圧下されている。この時、アーム41a,41bは係止段部12への係止部を支点として外方に開く方向(シリンダ50から離れる方向)の回転力が付与され、この回転力はアーム41a,41bに係止したアーム支持板46により規制されている。
【0026】
次に、上記のように構成されたスプリンクラヘッドの動作について説明する。
火災が発生して感熱板61が加熱され、その熱及び周辺からの熱気流により感熱体53が加熱されると、感熱体53は軟化するため、第1のピストン54が感熱体53を押し潰して下方に下がる。更に、感熱体53が溶融し始めると、溶融した感熱体53の一部がシリンダ50と第1のピストン54の間の隙間Sから流出していき、それに伴って、シリンダ50及びこれに固定されたアーム支持板46が上昇し、両アーム41a,41bが、フレーム10の係止段部12との係止部を支点として外方に回動する。この結果、アーム41a,41bの係止穴44と、アーム支持板46の係止片49a,49bとの係合が外れ、感熱分解部40は分解する。これにより、感熱板61を含む感熱分解部40及びバランサ35は、フレーム10の底面に設けた開口部から外部に落下する。
【0027】
同時に、ストッパリング31がフレーム10内壁を摺動して下降し、ストッパリング31とガイドロッドによって接続されているデフレクタ32がフレーム10の下方に位置するように移動する。弁体20と一体化されたアームガイド30は、デフレクタ32の中心部に設けられる開口部に嵌合されることで、弁体20がデフレクタ32に着座する。これにより、放水口5が開口され、消火水はフレーム10内を通ってデフレクタ32に衝突して、散水される。
【0028】
<感熱体について>
次に、本発明の特徴である感熱体53について説明する。
感熱体53は、50〜60度の温度範囲の融点を持つ有機化合物の微粉末を硬度1.4kg以上に圧縮成型してなるものである。本発明の実施の形態1では、感熱体53として使用する有機化合物は1,8−オクタンジオール(融点57−61度)又は4−クロロベンズヒドロール(融点58−60度)であるとして説明するが、結晶性がある有機化合物であれば良い。結晶性がある有機化合物は硬度が高く、感熱体53に適している。
【0029】
なお、有機化合物の微粉末を圧縮成型するに際して、事前に有機化合物の微粉末をふるいにかけて微粉末の粒子径をそろえておくのが好ましい。これによって、圧縮成型したときに密度の疎密ができず、硬度を安定させることができる。また、加熱せずに圧縮して成型することで、水分が蒸発せず、融点が変化しづらいため、設計通りの融点の圧縮成型体(ペレット)を得ることができる。
【0030】
感熱体53は、上方から第1ピストン54と第2ピストン59に押圧され、50〜100kgf程度の組立荷重が加えられている。そのため、長期間経過すると、感熱体53は変形する(この変形を「クリープ」という)ことになるが、この変形が大きい場合にはスプリンクラヘッドが火災でないのに作動してしまうことになるため、クリープを所定の範囲内にする必要がある。本実施の形態の感熱体53のクリープを確認するため、クリープ試験を行ったので、以下に説明する。
【0031】
クリープ試験は実験設備により実際のリンク荷重の13倍程度の一定荷重Wを加えて、ある時間経過したときを初期状態として、その後の試料の高さを測定し、荷重によって試料が押し潰されて減じた高さhの経時変化量を測定することによって行う。試料として、本発明の実施形態1にかかる有機化合物である1,8−オクタンジオール(融点57−61度)及び4−クロロベンズヒドロール(融点58−60度)の微粉末を硬度1.4kgに圧縮成型してなるペレット各1種類と、融点が60度の半田1種類の合計3種類について行った。試験条件として、試験温度は20度、リンク荷重はスプリンクラヘッドの検定細則によって定められている組立荷重の13倍の荷重とした。
【0032】
なお、ペレットの硬度とは、圧縮成型されたペレットに荷重を加え、その荷重を徐々に大きくしてペレットが崩れるときの荷重のピーク値で表したものである。
【0033】
クリープの試験結果が
図3に示されている。
図3において、縦軸が累積変位量(mm)、横軸が経過日数(日)である。
【0034】
図3のグラフに示されるように、半田を用いた試料は、最初の1日が経過するまでに、累積変位量が急増して約0.2mm〜0.25mm程度になり、その後も経時変化量は増加していきして、10日経過時点で累積変位量は約0.55mm程度になっている。
【0035】
これに対して、本実施の形態のものは、最初の1日経過時点で累積変位量は半田の1/4以下である0.05mm程度であり、その後も経時変化量はほとんど変化せず、10日経過時点で累積変位量は0.07〜0.08mm程度である。しかも、1日経過以降、半田に比べて漸増の兆候がとても小さくなっている。
【0036】
有機化合物の微粉末を所定の硬度に圧縮成型するにあたっては、このクリープ試験において、10日経過時点での累積変位量が半田より小さければ良いが、例えば、0.1mm以下、さらに好ましくは0.08mm以下となるように、その硬度を設定することが望ましい。
【0037】
上記の試験結果から、本実施の形態の有機化合物(1,8−オクタンジオール又は4−クロロベンズヒドロール)の微粉末を硬度1.4kgに圧縮成型して感熱体53に用いることにより、クリープが半田の1/4以下になることが分かる。
【0038】
クリープではスプリンクラヘッドが作動しないようにしておく必要があるので、クリープの変形量を加味してスプリンクラヘッドにおける感熱分解部40の作動条件を決める必要がある。そのため、クリープが大きいということはその分だけ感熱分解部40の作動条件に余裕を持たせる必要があり、その結果、感度が悪くなる。
【0039】
他方、クリープが少ないということは、クリープによる変形を考慮する割合が少なくなるのでその分だけ感度を良くすることができる。
【0040】
つまり、有機化合物(1,8−オクタンジオール又は4−クロロベンズヒドロール)の微粉末を硬度1.4kgに圧縮成型して感熱体53に用いることにより、感熱体53のクリープを小さくでき、高感度のスプリンクラヘッドを実現できる。
【0041】
また、感熱体53はクリープによる変形量を考慮して厚みを設定する必要がある。したがって、クリープが大きいということは、それだけ感熱体53の厚みを厚くする必要がある。感熱体53の厚みを厚くすると、熱容量が大きくなり、感熱体53が溶融するまでの時間が長くなるので、感度が悪くなる。
【0042】
他方、クリープが小さいということは、それだけ感熱体53を薄くできるので、熱容量が小さくなり、この意味でも感度がよくなる。
【0043】
したがって、有機化合物(1,8−オクタンジオール又は4−クロロベンズヒドロール)の微粉末を硬度1.4kgに圧縮成型して感熱体53に用いることにより、感熱体53の厚みを薄く設定することができ、こうすることで高感度のスプリンクラヘッドが実現できる。
【0044】
次に感熱体53として1,8−オクタンジオール又は4−クロロベンズヒドロールの微粉末を圧縮成型したものを用いた場合の感度について、圧縮成型後のペレットの物質固有の熱特性による感度への影響について調べるため、感度試験を行ったので、この点について説明する。
【0045】
この実験では、感熱体53として1,8−オクタンジオール及び又は4−クロロベンズヒドロールを用い、試料は硬度1.4kgにして行った。実験は、1,8−オクタンジオール又は4−クロロベンズヒドロールのペレット試料を窒素雰囲気下で500gの圧縮荷重をかけながら、温度を1℃/minで上昇させて、温度ごとのペレットの高さ(変化量)を見るものである。
【0046】
1,8−オクタンジオールの感度試験の試験結果は
図4に示されており、4−クロロベンズヒドロールの感度試験の試験結果は
図5に示されている。
図4及び
図5において、縦軸は変位量(μm)であり、横軸が感熱体53の温度(℃)を示している。なお、
図4及び5においては、温度が55度近傍以降の状態を示している。
【0047】
図4に示されるように、1,8−オクタンジオールは、温度が約53度から55度にかけて、グラフの傾斜角度が急になっている。より詳細には、53度付近までの傾き(
図4における破線)と離れ始める溶融開始点aと、1000μm高さが減少する一定溶融終了点bとの間のグラフの傾きが、
図4における破線より急激に下に傾いている。そして、溶融開始点aの温度と一定溶融終了点bの温度は約2度の範囲内に収まっている。
【0048】
また、
図5に示されるように、4−クロロベンズヒドロールは、温度が約55度から57度にかけて、グラフの傾斜角度が急になっている。より詳細には、55度付近までの傾き(
図5における破線)と離れ始める溶融開始点aと、1000μm高さが減少する一定溶融終了点bとの間のグラフの傾きが、
図5における破線より急激に下に傾いている。そして、溶融開始点aの温度と一定溶融終了点bの温度は約2度の範囲内に収まっている。
【0049】
これらのことは、1,8−オクタンジオール及び4−クロロベンズヒドロールのペレット試料が溶融を開始すると一気に溶融することを意味しており、スプリンクラヘッドとしての感度が良いことを意味している。このように、1,8−オクタンジオール及び4−クロロベンズヒドロールの微粉末を圧縮成型して感熱体53に用いる場合には、感度が良いことが確認された。
【0050】
なお、硬度を低くしすぎると、感熱体は大きな温度幅の中でゆっくりと溶けることになるので、スプリンクラヘッドに使用すると感度が悪いものとなってしまう。
【0051】
図4及び
図5においては、グラフの傾斜角度が急激、つまり、特定の温度において、変位量がほぼ垂直に落ちるような傾斜角度が90度となるグラフになるのが一番理想であるが、少なくとも、スプリンクラヘッドに使用する感熱体としては、60度で溶融する半田の傾斜角度と同程度か、それより急激になることが望ましい。
【0052】
なお、融点が60度の半田の感度試験の試験結果は
図6に示されている。
図6に示されるように、半田は温度が約57度から60.5度にかけて、グラフの傾斜角度が急になっている。より詳細には、57度付近までの傾き(
図6における破線)と離れ始める溶融開始点aと、1000μm高さが減少する一定溶融終了点bとの間のグラフの傾きが、
図6における破線より急激に下に傾いている。そして、溶融開始点aの温度と一定溶融終了点bの温度は約3.5度の範囲内に収まっている。
【0053】
以上のように、1,8−オクタンジオール又は4−クロロベンズヒドロールの微粉末を硬度1.4kg以上の硬度になるように圧縮成型した感熱体53に用いることにより、クリープを小さくして感度を高くできる。また、1,8−オクタンジオール又は4−クロロベンズヒドロールの微粉末を圧縮成型した感熱体53に用いる場合には、感熱体53の硬度が高い方が感度を高くできることも確認できている。
【0054】
これらのことから、1,8−オクタンジオール又は4−クロロベンズヒドロールの微粉末を圧縮成型した感熱体53は一気に溶融するので感度が高く、また、スプリンクラヘッドの感熱体53に用いる際の硬度としては、硬度1.4kg以上が好ましいことが確認できた。
【0055】
なお、微粉末を圧縮成型した場合の硬度は高いほど好ましいが、あまりに硬度を高くすると、圧縮成型する際に用いる金型等が破損してしまう虞があることから、硬度の上限値としては、そのような金型等が破損しない程度の値に設定され、例えば、硬度は、1.4〜4.0kgに設定される。また、有機化合物の微粉末の圧縮成型時の荷重は、例えば5〜10kNであり、この荷重で有機化合物を圧縮成型したときの硬度は1.4kg以上となるため、この荷重が感熱体の圧縮成型に適した荷重と言うこともできる。
【0056】
なお、実施の形態1では、有機化合物として、1,8−オクタンジオール又は4−クロロベンズヒドロールを例示したが、50〜60度の温度範囲に融点を持つ有機化合物であって、その有機化合物の微粉末を硬度1.4kg以上に圧縮成型したときに、上述したクリープ試験の累積変位量が半田よりも小さく、かつ、
図4で示した温度に対する変位量の曲線の傾斜角度が所定の角度内に収まるような、狭い温度範囲内において急激に溶融するものであれば、他の有機化合物を使用してもよい。急激な溶融とは、溶融開始点aの温度と一定溶融終了点bの温度が、例えば60度で溶融する半田と同等の3.5度の範囲内に収まっていることである。また、これらの有機化合物は、スプリンクラヘッドに使用される有機化合物なので、水に難溶性の有機化合物でなければならないことは言うまでもない。
【0057】
・実施の形態2
図7(a)を参照して、本発明の実施の形態2に係る発明について、以下に説明する。本発明の実施の形態2は、実施の形態1と比べて、感熱体53の構成が異なり、それ以外のスプリンクラヘッドの基本構成及び火災時の動作は同じものである。従って、実施の形態2では、上述の実施の形態1との相違点である感熱体53について詳細に説明するものとし、実施の形態1に対応している部材については同じ符号をつけて説明を省略する。
【0058】
本発明に係る実施の形態2は、スプリンクラヘッドの感熱部の拡大図である
図7(a)に示されるように、感熱体53の上面に平板状の半田からなる被覆部材52を設ける。より詳細には、被覆部材52は、外径がシリンダ50の内径とほぼ等しく形成され、被覆部材52の外周面がシリンダ50の外周面と接している。即ち、シリンダ50と第1ピストン54との間に形成される隙間Sと、感熱体53との間に、隙間Sを塞ぐように被覆部材52が設けられ、有機化合物からなる感熱体53が外気と接触しないように構成されている。
【0059】
半田には、有機化合物と比べて、感熱体として優れている性質があり、上記のような構成により、半田の優れた特性を有機化合物からなる感熱体53の特性に組み合わせることができる。なお、半田が有機化合物より優れている感熱体としての特性とは、アルコール類、アセトン、ベンゼン、トルエン等の有機溶剤に溶けるにくい性質(耐薬品性)等が挙げられる。また、上記のような構成にすることで、被覆部材52が有機化合物からなる感熱体53をシリンダ50内に密閉するため、有機化合物が昇華してしまうような不安定な物質であっても、感熱体53として使用できる。
【0060】
また、半田の特性を感熱体53に組み合わせるには、上述したような感熱体53と隙間Sとの間に被覆部材52を設けるという構成だけに限らない。例えば、
図7(b)に示すように、有機化合物からなる感熱体53を半田からなる被覆部材52で全面的に薄く被覆しても良い。この場合でも、上記と同様に、有機化合物の特性と半田の特性を組み合わせることができると共に、不安定な有機化合物でも感熱体53として使用できるという効果がある。
【0061】
なお、本発明にかかる実施の形態では、感熱分解部40がアーム41a、41bで構成されたスプリンクラヘッドで説明したが、シリンダとピストンで感熱体を押圧するスプリンクラヘッドであれば良く、感熱分解部が他の構成からなるスプリンクラヘッドであっても良い。例えば、感熱体を収容するシリンダがピストンの上部にあって、ピストンが感熱体を下部から押圧するタイプのスプリンクラヘッドでも良い。このタイプのスプリンクラヘッドの場合でも、シリンダとピストンとの間に感熱体53が流出する隙間Sがあるので、上述のように、感熱体53を被覆しても良いし、シリンダとピストンとの間の隙間Sと感熱体53との間に、平板状の半田を設けても良い。このようにすることで、感熱体53が外気と接触することなく、半田の有利な特性を感熱体53と組み合わせることができる。