特許第6203680号(P6203680)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6203680-車両用コンソールのヒンジ機構 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203680
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】車両用コンソールのヒンジ機構
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/04 20060101AFI20170914BHJP
   E05F 1/12 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   B60R7/04 C
   E05F1/12
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-120387(P2014-120387)
(22)【出願日】2014年6月11日
(65)【公開番号】特開2016-542(P2016-542A)
(43)【公開日】2016年1月7日
【審査請求日】2016年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 啓文
【審査官】 高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−147223(JP,A)
【文献】 特開平10−339066(JP,A)
【文献】 特開2004−150018(JP,A)
【文献】 特開2009−243041(JP,A)
【文献】 実公昭44−029220(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/04
E05F 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能部材が取付けられた可動アームが、ヒンジシャフトの軸心まわりの回転によってコンソール本体に対して倒され、あるいは、起こされるように設けられ、かつ、この可動アームがトーションスプリングによってコンソール本体に対して起こされる方向に付勢された車両用コンソールのヒンジ機構であって、
ヒンジシャフトの軸心まわりに可動アームと相対的に回転可能に設けられた回転調整体と、
コンソール本体側に対するねじ込み量の調整により、回転調整体を任意の回転位置で位置決めする調整ボルトとを備え、
トーションスプリングは、一端が可動アームに係止され、かつ、他端が回転調整体に係止され、
このトーションスプリングの可動アームに対する付勢力が、調整ボルトで位置決めされた回転調整体の回転位置に応じて調整されるように構成されている車両用コンソールのヒンジ機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブルなどの機能部品が取付けられた可動アームが回転によってコンソール本体に対して倒され、あるいは、起こされるように設けられた車両用コンソールのヒンジ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用コンソールのヒンジ機構においては、その一例が特許文献1に開示されている。この車両用コンソールのヒンジ機構においては、コンソール本体に対してコンソールリッドのアームがヒンジシャフトの軸心まわりに回転できるように取付けられている。この回転により、コンソールリッドはコンソール本体の開口部を開閉するようになっている。また、ヒンジシャフトの軸心にはトーションスプリングが組付けられている。トーションスプリングは、その一端がコンソール本体に係止され、他端がコンソールリッドのアームに係止され、コンソールリッドを開く方向へ付勢している。この付勢力により、コンソールリッドを開くときの操作荷重が補助される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−91130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された車両コンソールのヒンジ機構において、例えばコンソールリッドの重量やユーザのニーズに応じて操作荷重の補助力を調整するには、トーションスプリングそのものを取替えなければならない。このため、弾性力の異なる複数種類のトーションスプリングを用意しておくことが必要となり、かつ、作業性もわるい。
【0005】
本発明は、このような課題を解決しようとするものであって、その目的は、トーションスプリングを取替えることなく、テーブルなどの機能部品が取付けられた可動アームに作用させる付勢力を調整可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の目的を達成するためのもので、以下のように構成されている。
【0007】
本発明の車両用コンソールのヒンジ機構においては、機能部材が取付けられた可動アームが、ヒンジシャフトの軸心まわりの回転によってコンソール本体に対して倒され、あるいは、起こされるように設けられている。この可動アームはトーションスプリングによってコンソール本体に対して起こされる方向に付勢されている。車両用コンソールのヒンジ機構においては、ヒンジシャフトの軸心まわりに可動アームと相対的に回転可能に設けられた回転調整体と、コンソール本体側に対するねじ込み量の調整により回転調整体を任意の回転位置で位置決めする調整ボルトとを備えている。トーションスプリングは、一端が可動アームに係止され、かつ、他端が回転調整体に係止されている。そして、このトーションスプリングの可動アームに対する付勢力が、調整ボルトで位置決めされた回転調整体の回転位置に応じて調整されるように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明においては、位置決めされた回転調整体の回転位置に応じて、可動アームに対するトーションスプリングの付勢力が調整される。そのため、回転調整体の位置決め位置を変更することで、トーションスプリングを取替えることなくテーブルなどの機能部品が取付けられた可動アームに作用させる付勢力を調整できる。したがって、トーションスプリングの付勢力の調整に際して弾性力の異なる種類のトーションスプリングを用意しておくことが不要で、かつ、トーションスプリングを取替えるための煩雑な作業が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】車両用コンソールの外観斜視図。
図2】車両用コンソールの側面図。
図3】車両用コンソールのヒンジ機構を表した斜視図。
図4】車両用コンソールのヒンジ機構の構成部材を分解状態で表した斜視図。
図5】車両用コンソールのヒンジ機構をコンソール本体の左側から視た断面図。
図6図5の状態から調整ボルトを前進させた状態を表した断面図。
図7図5の状態から調整ボルトを後退させた状態を表した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を用いて説明する。図1,2に示す車両用コンソール1は、例えば車室の後部座席の左右のシートの間に装着される。車両用コンソール1は、その両側に可動アーム90を備えている。各可動アーム90は、コンソール本体3の側壁に対して上下方向に回転可能に設けられ、この回転によってコンソール本体3に対して倒され、あるいは、起こされる。
【0011】
各可動アーム90の先端には、それらの各可動アーム90に対して折り畳むことが可能なテーブル7が取付けられている(図1,2参照)。図1,2に示す可動アーム90が起こされた状態においては、テーブル7を水平に配置させて使用状態とすることができる。テーブル7は使用状態から折り畳まれると可動アーム90に沿って配置される。テーブル7を可動アーム90に対して折り畳んだ後コンソール本体3に対して倒すことで、テーブル7が収納状態とされる。このテーブル7が本発明の「機能部材」に相当する。
【0012】
各可動アーム90は、つぎに説明する車両用コンソールのヒンジ機構によってコンソール本体3に取付けられている。以下では、主として図3乃至7によって車両用コンソールのヒンジ機構を説明する。図3乃至7においては、コンソール本体3(図1,2参照)の左部における可動アーム90の取付け状態が示されている。コンソール本体3の右部においては、図3乃至7と左右対称な構成によって可動アーム90がコンソール本体3に取付けられている。
【0013】
車両用コンソールのヒンジ機構においては、コンソール本体3(図1,2参照)に固定されたハウジング10に対してコンソール本体3の内側から順番に、回転体受け20、回転調整体30、トーションスプリングS、回転盤40、可動アーム90が配置されている(図3,4参照)。
【0014】
ハウジング10は、その内部に回転体受け20を組み込むための配置部10aを備えている(図4参照)。配置部10aはハウジング10の下方および側方に開口されている。なお、図4においては配置部10aの側方の開口のみが見え、下方の開口は隠れている。ハウジング10において、配置部10aの側方の開口まわりには回転調整体30の軸受けとなる内側軸受け部10bと、回転盤40の軸受けとなる外側軸受け部10cとが順に形成されている。また、ハウジング10の側部において、外側軸受け部10cの外側上縁には、可動アーム90の折曲部90bに対応する形状の受止片10dが形成されている。
【0015】
回転体受け20は、ハウジング10の配置部10aに対して下方の開口側から組み込まれている(図4参照)。回転体受け20は、回転調整体30の軸受けとなる軸受け部20aを有する(図3,4参照)。この回転体受け20の軸受け部20aに対して、ハウジング10の側部の開口側から回転調整体30が組み込まれている。回転調整体30は、回転体受け20の軸受け部20aとハウジング10の内側軸受け部10bとを跨いで配置されている。回転調整体30は、その一部を厚み方向に切り欠いて形成された係止面30aと対向面30bとを有する。係止面30aと対向面30bとは、所定角度で互いに外周側へ開いている。
【0016】
回転盤40と可動アーム90(図4参照)とは、ボルト(図示省略)で一体に結合されている。回転盤40は、ハウジング10の外側軸受け部10cに配置されている。可動アーム90は、ハウジング10の側部に配置され、自身がコンソール本体3に対して起こされた際、その折曲部90bがハウジング10の受止片10dに接触する。
【0017】
回転体受け20と回転調整体30と回転盤40と可動アーム90とに対してコンソール本体3の外方側からヒンジシャフト60が挿通されている(図3,4参照)。ヒンジシャフト60の先端は、各部材20,30,40,90を貫通してハウジング10に固定されている。ヒンジシャフト60の頭部60aは、可動アーム90を外側から抜け止めしている。ヒンジシャフト60に挿通された可動アーム90と回転調整体30とはヒンジシャフト60を軸心として相対的に回転可能である。回転調整体30および可動アーム90の回転は、それぞれ対応する軸受けによって安定して支持される。
【0018】
回転調整体30と可動アーム90との間においては、ヒンジシャフト60の軸心まわりにコイル状のトーションスプリングSが組付けられている(図3,4参照)。トーションスプリングSは、一端が回転調整体30の係止面30aに接触し、他端が可動アーム90に設けられた係止溝90aに嵌め込まれている。
【0019】
回転調整体30と可動アーム90とは、その両者30,90に対してトーションスプリングSの弾性力が働く回転位置に配置されている。そして、後述するように、回転調整体30における可動アーム90が倒される方向への回転は、調整ボルト70で受止められている。そのため、トーションスプリングSは、その一端が回転調整体30の係止面30aに対して押し付けられた状態で係止され、他端が可動アーム90を起こす方向へ付勢した状態で可動アーム90の係止溝90aに係止されている。
【0020】
上述の調整ボルト70は、ハウジング10に形成されたねじ孔10eにねじ込まれている(図5参照)。なお、図5およびこれにと対応する図6,7においては、ねじ孔10eに対応する位置でハウジング10が断面によって示され、回転調整体30、トーションスプリングS、調整ボルト70が側面視で示されている。
【0021】
ねじ孔10eには雌ねじが切られている。ねじ孔10eは、ユーザが調整ボルト70をねじ込む(前進)もしくは緩める(後退)操作が可能な位置から、回転調整体30と対向する位置まで貫通されている(図4,5参照)。調整ボルト70の先端は、ねじ孔10eから突出して回転調整体30の対向面30bと接触している(図3,5参照)。調整ボルト70はトーションスプリングSの付勢力による回転調整体30の回転を受止めて、回転調整体30を任意の回転位置で位置決めしている。
【0022】
図5乃至7に示すように、調整ボルト70は、そのねじ孔10eに対するねじ込み量を調整可能である。調整ボルト70のねじ込み量を変更すると、調整ボルト70の先端のねじ孔からの突出量が変更され、それによって可動アーム90に対するトーションスプリングSの付勢力を強めたり弱めたりする方向に回転調整体30を回転させることができる。なお、図6,7では、図5における回転調整体30の係止面30aの回転位置が仮想線P1で示されている。
【0023】
調整ボルト70を図5に示す位置から図6に示す位置へ前進させると、トーションスプリングSの付勢力に抗して回転調整体30が回転し(図6参照)、可動アーム90に対するトーションスプリングSの付勢力が強められる。
【0024】
調整ボルト70を図5に示す位置から図7に示す位置へ後退させると、トーションスプリングSの付勢力によって回転調整体30が回転し(図7参照)、可動アーム90に対するトーションスプリングSの付勢力が弱められる。
【0025】
図5乃至7に例として示すような回転調整体30の回転位置の変更は、可動アーム90が任意の回転位置にある状態で実施可能である。
【0026】
このように、本発明では、調整ボルト70で位置決めされた回転調整体30の回転位置に応じて、可動アーム90に対するトーションスプリングSの付勢力が調整可能である。そのため、回転調整体30の位置決め位置を変更することで、トーションスプリングSを取替えることなく可動アーム90に作用させる付勢力を調整できる。
【0027】
また、本発明では、調整ボルト70のねじ込み量を調整するだけで、可動アーム90に対するトーションスプリングSの付勢力を調整できる。そのため、可動アーム90に作用させる付勢力の調整が簡単である。
【0028】
以上は本発明を実施するための最良の形態を図面に関連して説明したが、この実施の形態は本発明の趣旨から逸脱しない範囲で容易に変更できるものである。例えば、可動アーム90に取付けられる機能部品は、テーブル7に限定されるものではなく、例えばコンソール本体3の上面開口を開閉するためのコンソールリッド、ドリンクホルダー、トレイでもよい。
【0029】
ハウジング10に形成されたねじ孔10eは、ユーザが調整ボルト70を操作が可能な位置から、回転調整体30と対向する位置まで貫通されていればよく、その形成位置は図4,5に示す位置に限定されるものではない。ねじ孔10eは、ハウジング10以外の部材に形成されていてもよく、例えば、回転体受け20に形成されてもよい。
【0030】
回転調整体30の回転位置の変更範囲は、各部材の設計変更によって自由に変更可能であり、図5乃至7に示す範囲に限定されるものではない。例えば、調整ボルト70のねじ孔10eからの突出量を図5乃至7よりも大きく取れるように設定することで、回転調整体30の回転位置の変更範囲を図5乃至7に示す範囲よりも広げることができる。
【符号の説明】
【0031】
1 車両用コンソール
3 コンソール本体
7 テーブル(機能部材)
30 回転調整体
60 ヒンジシャフト
70 調整ボルト
90 可動アーム
S トーションスプリング

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7