(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203693
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】電気機器
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20170914BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20170914BHJP
H01L 23/427 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
H05K7/20 D
H01L23/36 D
H05K7/20 R
H01L23/46 B
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-186284(P2014-186284)
(22)【出願日】2014年9月12日
(65)【公開番号】特開2016-58686(P2016-58686A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2015年4月1日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000309
【氏名又は名称】IDEC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 裕康
【審査官】
馬場 慎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−119181(JP,A)
【文献】
特開2010−251634(JP,A)
【文献】
特開2012−170183(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3122382(JP,U)
【文献】
特許第5579349(JP,B1)
【文献】
特開昭57−111053(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0108250(US,A1)
【文献】
特開2009−187074(JP,A)
【文献】
特開2009−188329(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/155247(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H01L 23/34 − 23/473
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給を受けて発熱する発熱部品の底面全体が熱的に面接触し、発熱部品よりも横方向に長い帯状の高熱伝導体で構成され、前記発熱部品からの熱が熱的に接触している高温側から、熱的に接触していない低温側への帯状方向に伝導させる熱拡散部材と、
前記熱拡散部材の底面全体が熱的に面接触する前面と、その反対側に形成された複数の縦方向の放熱フィンとを備える放熱器と、
前記複数の縦方向の放熱フィンが上下方向となるように前記放熱器が取り付けられるパネルと、を備え、
前記放熱器は前記熱拡散部材よりも大きく、
前記熱拡散部材は、前記放熱器の下部に横方向に配置され、
前記放熱器は、前記発熱部品から前記熱拡散部材の帯状方向に伝導された熱を前記放熱フィンに伝熱し、前記複数の上下方向の放熱フィンで放熱させる、電気機器。
【請求項2】
前記熱拡散部材は、前記発熱部品の取付用の第1の孔部と、前記放熱器に対する取付用の第2の孔部と、を備え、前記第1の孔部及び前記第2の孔部は、同一の位置に形成した請求項1に記載の電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電力変換装置等の電気機器が備えるパワーモジュール等の発熱部品の熱を効率的に放熱するための放熱構造、及びこの放熱構造を備えた電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムに用いられる電力変換装置のように屋外に設置される電気機器は、風雨や塵埃の侵入を防ぐべく、密閉構造の筐体の内部に電気部品を収納している。
【0003】
このため、電気部品のうちで電力供給を受けて発熱する発熱部品による筐体内部の温度上昇を解消するために、外気を導入する強制空冷方式を採用することは難しく、発熱部品の熱を筐体外部に配置された放熱器に伝導させる方式が採用されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
従来の電気機器では、筐体の外表面の一部を放熱器の外側面で構成し、発熱部品を筐体内部で放熱器の内側面に直接接触させて取り付けたものがある。発熱部品で発生した熱は、放熱器の内側面に伝導し、放熱器の外側面から筐体外部に放熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−164878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、屋外に設置される電気機器において、強制空冷方式を採用しない場合は、放熱効果を上げるために放熱器を大きくする必要があるが、放熱器を大きくすると、放熱器に比較して発熱部品が極めて小さくなり、放熱器の極めて小さい範囲に発熱部品が接触することになる。このため、発熱部品の熱は、放熱器において発熱部品が接触する部分とその上方の部分との限られた範囲にしか熱を伝導させることができず、放熱器の大きさを十分に活用して放熱することができない問題がある。
【0007】
この発明の目的は、発熱部品に比較して大きな放熱器を使用した場合でも、発熱部品の熱を効率的に放熱器に伝導させることができる発熱部品の放熱構造
を備えた電気機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の
電気機器の発熱部
品放熱構造は、放熱器、熱拡散部材を備えている。放熱器は、電力供給を受けて発熱する発熱部品に比較して高さ方向及び幅方向について大きい所定の範囲を有する。熱拡散部材は、放熱器よりも熱伝導率の高い高熱伝導体であって幅方向について発熱部品よりも大きい。発熱部品を、熱拡散部材を介して放熱器における所定の範囲の下部に取り付ける。
【0009】
放熱器における所定の範囲内の下部に発熱部品を取り付けると、発熱部品で発生した熱は、幅方向について発熱部品よりも大きい熱拡散部材に伝導した後に、放熱器に伝導する。放熱器において、発熱部品が対向する部分とその上方の部分とに限らず、横方向について発熱部品よりも大きい熱拡散部材が接触する部分とその上方の部分とに発熱部品の熱が伝導し、より広い範囲が放熱に活用される。
【0010】
この構成において、熱拡散部材は、高さ方向について発熱部品以上の大きさにすることが好ましい。発熱部品の熱を全て熱拡散部材に伝導させることができる。
【0011】
熱拡散部材は、互いに平行な第1面及び第2面を有する平板状を呈し、第1面に発熱部品の背面が対向し、第2面の全面が放熱器に対向するものとすることが好ましい。発熱部品の背面を直接又は熱伝導性を向上させる層を介して熱拡散部材の第1面に面接触させることができ、熱拡散部材の第2面を直接又は熱伝導性を向上させる層を介して放熱器の所定の範囲に面接触させることができる。発熱部品の熱を熱拡散部材に確実に伝導させることができるとともに、熱拡散部材の熱を放熱器に確実に伝導させることができる。
【0012】
熱拡散部材は、発熱部品の取付用の第1の孔部と、放熱器に対する取付用の第2の孔部と、を備え、第1の孔部及び第2の孔部は、高さ方向について同一の位置に形成することが好ましい。幅方向に沿って熱を伝導させる熱拡散部材において、発熱部品の取付及び放熱器への取付によって損傷を与える範囲を最小にできる。
【0013】
この発明の電気機器は、上述の発熱部品の放熱構造とともに、筐体、発熱部品、及び発熱部品を除く電気部品を備えている。電気部品は、筐体内で平面視において発熱部品の位置に重複しない位置に配置されている。発熱部品の熱が他の電気部品に与える影響を抑制できる。
【0014】
電気部品の少なくとも一部を、高さ方向について発熱部品と重複する位置に配置することで、筐体を小型化できる。
【0015】
筐体は、発熱部品、電気部品及び発熱部品の放熱構造を収納する密閉容器とすることで、屋外に設置される電気機器に適用できる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、発熱部品に比較して大きな放熱器を使用した場合でも、発熱部品の熱を効率的に放熱器に伝導させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】この発明の実施形態に係る発熱部品の放熱構造が適用される電力変換装置の内部の外観図である。
【
図2】(A)及び(B)は、同電力変換装置の側面図及び背面図である。
【
図4】(A)及び(B)は、それぞれ熱拡散部材を使用しない場合及び熱拡散部材を使用した場合における同電力変換装置の放熱器の熱伝導状態を示す図である。
【
図5】この発明の別の実施形態に係る発熱部品の放熱構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、この発明の実施形態に係る発熱部品の放熱構造を適用した電気機器として電力変換装置について、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
図1及び
図2に示すように、電力変換装置10は、図示しない前面パネルを除いた状態で、背面パネル6の一部に放熱器1を備え、放熱器1の前面側にパワーモジュール2、コイル3、コイル4、基板5を配置している。
【0020】
背面パネル6は、開口部61及び開口部62を備えている。開口部61は、背面パネル6の略中央部に形成されている。開口部62は、背面パネル6の下部の一隅に形成されている。開口部62は、電力変換装置10の内部に外部配線を引き込むための開口であり、使用しないときには図示しない封止板で塞がれている。図示しないコネクタユニットは、周縁部を背面パネル6の前面側における開口部62の近辺に取り付けられており、コネクタユニットには複数の外線ケーブルが接続される。
【0021】
放熱器1は、例えばアルミニウムを素材として形成されており、矩形平板状の本体11の背面に複数の縦方向のフィン12を互いの間に一定の間隔を設けて背面側に延出させて備えている。本体11は、開口部61よりも僅かに大きく形成されており、前面の周縁部を背面パネル6の背面における開口部61の周囲に密着させて取り付けられている。放熱器1の前面と開口部61の周囲との間は、例えば防水パッキン等によって密閉性を確保されている。放熱器1の前面における周縁部を除く範囲が、この発明の所定の範囲に相当し、背面パネル6の前面側に露出する。
【0022】
パワーモジュール2は、電力の供給によって発熱するこの発明の発熱部品であり、放熱器1の前面における下部に取り付けられている。コイル3及びコイル4は、放熱器1の前面の上部に取り付けられている。
【0023】
基板5は、複数の電気部品を実装している。基板5は、スペーサ51を介してパワーモジュール2の前面との間に間隔を設けて、背面パネル6に固定される。
【0024】
一例として、電力変換装置10は、放熱器1の本体11の前面が略垂直となるように設置される。この発明の発熱部品は、電力供給によって放熱器1を介して放熱すべき熱を発生することを条件に、パワーモジュール2に限るものではない。
【0025】
図3に示すように、パワーモジュール2は、この発明の熱拡散部材であるヒートパイプ7を介して放熱器1の本体11の前面における所定の範囲の下部に取り付けられる。ヒートパイプ7は、横方向についてパワーモジュール2よりも長い帯状体である。ヒートパイプ7の内部には、横方向に連続する空間が上下方向に層状に形成されており、各空間に熱伝導性の高い流体が充填されている。ヒートパイプ7の熱伝動率は、放熱器1の熱伝導率よりも高く、横方向について高温側の熱を低温側に伝導させる。
【0026】
パワーモジュール2は、背面の全面が対向する状態でこの発明の第1面であるヒートパイプ7の前面に固定される。ヒートパイプ7は、この発明の第2面である背面の全面が対向する状態で放熱器1の本体11の前面に固定される。パワーモジュール2の背面は、平面に形成されており、帯状体のヒートパイプ7の第1面に面接触させることができる。放熱器1の本体11の前面は、平面に形成されており、帯状体のヒートパイプ7の第2面が面接触することができる。
【0027】
パワーモジュール2で発生した熱の殆どが、ヒートパイプ7の第1面からヒートパイプ7内を横方向に伝導し、ヒートパイプ7の全体を温度上昇させた後に、ヒートパイプ7の第2面から放熱器1の本体11の前面に伝導し、フィン12によって背面パネル6の背面側に放熱される。また、
図2(A)に示すように、基板5はパワーモジュール2と平面視において重複しないように配置されているので、基板5に実装された電気部品はパワーモジュール2で発生した熱による影響を受け難い。また、基板5は高さ方向について一部がパワーモジュール2の位置に重複する状態で配置されているので、電力変換機器10を小型に構成できる。
【0028】
ここで、「平面視において重複しない」とは
図2(A)の矢印X方向から見た時に両者が重複しないことを意味し、「高さ方向について重複する」とは
図2(A)の矢印Y方向から見た時に両者が重複することを意味する。
【0029】
なお、コイル3及びコイル4も電力の供給によって発熱するが、コイル3及びコイル4で発生した熱を放熱器1の本体11の上部に伝導させることで、他の部品(パワーモジュール2や基板5等)への影響を少なくしている。また、この発明の熱拡散部材は、熱伝導率が放熱器1の熱伝導率よりも高いことを条件として、ヒートパイプ7に限るものではない。
【0030】
放熱器1内では、上方向の熱伝導が支配的であり、横方向に伝導する熱量は上方向に伝導する熱量に比較して少ない。このため、
図4(A)に示すように、パワーモジュール2の横方向の長さに比較して十分に広い幅の放熱器1の本体11の下部にパワーモジュール2を直接固定した場合、本体11の横方向における広い部分が放熱に寄与せず、パワーモジュール2の熱を十分に放熱できない。
【0031】
これに対して、
図4(B)に示すように、横方向についてパワーモジュール2よりも長いヒートパイプ7を介してパワーモジュール2を本体11の下部に固定すると、パワーモジュール2の熱を横方向に拡げた状態で本体11に伝導させることができる。これによって本体11の横方向の広い範囲を使ってパワーモジュール2の熱を効率的に放熱できる。また、放熱効率が向上することにより、放熱器1を小さくすることができる。
【0032】
ヒートパイプ7の高さ
(幅)がパワーモジュール2の高さ
(幅)よりも低い
(小さい)場合には、高さ方向についてパワーモジュール2が背面の一部でのみヒートパイプ7に接触することになる。ヒートパイプ7の高さ
(幅)がパワーモジュール2の高さ
(幅)よりも高い場合には、高さ方向についてヒートパイプ7においてパワーモジュール2の背面が接触しない部分が無駄になる。ヒートパイプ7の高さ
(幅)を、パワーモジュール2の高さ
(幅)に略等しくすることで、パワーモジュール2の熱をヒートパイプ7に最も効率的に伝導させることができる。横方向についてヒートパイプ7の長さを放熱器1の本体11の長さに等しくすることで、パワーモジュール2の熱をヒートパイプ7を介してより効率的に放熱器1に伝導させることができる。
【0033】
図5(A)に示すように、放熱器1の本体11の前面へのパワーモジュール2及びヒートパイプ7の取付に際して、ヒートパイプ7に孔部を形成する場合には、高さ方向についてパワーモジュール2のヒートパイプ7への取付用孔(第1の孔部)とヒートパイプ7の放熱器1への取付用孔(第2の孔部)とを同じ位置とすべきである。
【0034】
前述のごとく、ヒートパイプ7の内部には、横方向に連続する空間が上下方向に層状に形成されており、各空間に熱伝導性の高い流体が充填されている。このため、ヒートパイプ7に孔部を形成する場合は、その孔部から流体が漏れてしまい、流体が漏れた層については熱伝導の機能が失われる。ここで、パワーモジュール2及びヒートパイプ7をヒートパイプ7を貫通するピン又はネジ等の固定部材を介して放熱器1に固定する場合、ヒートパイプ7における固定部材の貫通位置を高さ方向(上下方向)について一致させておけば、流体の漏れを一部の層のみに限定することができ、ヒートパイプ7において熱伝導に機能しない空間を最小にすることができる。
【0035】
また、パワーモジュール2とヒートパイプ7との間、及びヒートパイプ7と本体11との間の一方又は両方に、放熱シート又は放熱グリスによって熱伝導性を向上させる熱伝導向上層21及び熱伝導向上層71を形成することもできる。パワーモジュール2の背面は熱伝導向上層21を介して全面がヒートパイプ11の第1面に面接触し、ヒートパイプ7の第2面は、熱伝導向上層71を介して全面が本体11の前面に面接触する。パワーモジュール2の背面、ヒートパイプ7の第1面及び第2面、並びに本体11の前面には、微視的には凹凸が存在するが、柔軟性を有する熱伝導向上層21及び熱伝導向上層71によって凹凸を解消し、パワーモジュール2、ヒートパイプ7及び本体11の接触面積を最大にして熱伝導性を向上させることができる。
放熱シートや放熱グリスを使用しない場合も使用する場合も、パワーモジュール2とヒートパイプ7との間は熱的に面接触状態となる。
【0036】
図5(B)に示すように、放熱器1の本体11の板厚が十分に厚い場合、ヒートパイプ7を本体11の前面から左右側面に連続して接触するように配置することで、ヒートパイプ7から放熱器1により大量の熱を伝導することができる。パワーモジュール2の熱をヒートパイプ7を介して放熱器1からより効率的に放熱できる。
【0037】
以上の説明では、電力変換装置を例に挙げて説明したが、この発明の発熱部品の放熱構造を他の電気機器に同様に適用することができる。
【0038】
また、この発明は、本体11が平板状の放熱器1を略垂直に配置した場合に限らず、幅方向について発熱部品より大きい所定の範囲を備え、発熱部品の熱を主に上方に伝導させる放熱器であれば、所定の範囲が傾斜面、屈曲面又は湾曲面で構成された放熱器にも同様に適用できる。
【符号の説明】
【0039】
10−電力変換装置(電気機器)
1−放熱器
2−パワーモジュール(発熱部品)
5−基板
7−ヒートパイプ(熱拡散部材)