特許第6203694号(P6203694)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203694
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】包装容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/42 20060101AFI20170914BHJP
   B65D 5/54 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   B65D5/42 Z
   B65D5/54 301P
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-186747(P2014-186747)
(22)【出願日】2014年9月12日
(65)【公開番号】特開2016-60490(P2016-60490A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2016年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106885
【氏名又は名称】シグマ紙業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 好春
【審査官】 新田 亮二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−168819(JP,A)
【文献】 特開2008−296917(JP,A)
【文献】 実開昭56−006723(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00 − 5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り目を介して順に連設される正面板、底面板、背面板、上面板および正面蓋板を備え、前記正面蓋板が前記正面板に貼着されることにより前記正面蓋板の端縁が前記正面板と前記底面板との折り目近傍に配置される包装容器において、
前記正面板と前記底面板との折り目は、前記正面板と前記底面板とが交差する辺上に部分的に離間するように設けられた第1折り目と、前記第1折り目の部分的に離間した部分を挟むように前記正面板と前記底面板とが交差する辺に沿って延びるように設けられた平行な2本の第2折り目とを含み、
前記第1折り目の前記第2折り目側の端部と、前記第2折り目の前記第1折り目側の端部との間には、前記正面板と前記底面板とが交差する辺に沿った方向に沿って隙間が形成されていることを特徴とする包装容器。
【請求項2】
請求項1に記載の包装容器において、
前記平行な2本の第2折り目の端部は、それぞれ、前記第2折り目の延びる方向に直交する方向に沿って設けられた切れ目により接続されていることを特徴とする包装容器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の包装容器において、
前記正面蓋板の端縁近傍には、前記正面蓋板の所定の部分を切り取るための切取用ミシン目が設けられていることを特徴とする包装容器。
【請求項4】
請求項3に記載の包装容器において、
前記正面蓋板の切取用ミシン目は、前記正面蓋板が前記正面板に貼着された状態において、正面から見て、前記第2折り目を取り囲むように設けられていることを特徴とする包装容器。
【請求項5】
請求項3または4に記載の包装容器において、
前記正面蓋板の切取用ミシン目は、前記正面板と前記底面板とが交差する辺に沿って長辺を有するとともに、前記正面板と前記底面板とが交差する辺に直交する方向に沿って短辺を有する矩形状に形成されていることを特徴とする包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装容器に関し、特に、医薬品や菓子などの商品を包装する包装容器が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
従来の包装容器100aは、図9に示す展開図のように、右側面板101の下端縁に、上面板102、左側面板103、底面板104および糊代105が順に折り目a,b,c,dを介して連設されている。また、左右の側面板101,103の左右端縁には、それぞれフラップ106が折り目eを介して連設されている。さらに、上面板102の左右端縁には、それぞれ正面蓋板107および背面蓋板108が折り目f,gを介して連設されている。また、底面板104の左右端縁には、それぞれ正面板109および背面板110が折り目h,iを介して連設されている。
【0004】
そして、正面蓋板107には、図8において、その左右各端縁の上端近傍をそれぞれ始点とし、その下端縁107aの中間部近傍を終点とする開封用の切れ目jが正面蓋板107の左右幅方向の二等分線に関して略左右対称に形成されている。また、図9に示すように、正面板109には、前述した切れ目jに沿って切り離された正面蓋板107の下端縁107aを差し込むことのできる切り込みkが形成されている。
【0005】
このような包装容器100aを組み立てるには、図9に示す展開図にしたがってコートボールを打ち抜いた後、糊代105を底面板104に対して折り目dに沿って谷折りするとともに、糊代105の裏面に接着剤を塗布する。次いで、上面板102を右側面板101とともに左側面板103に対して折り目bに沿って谷折りし、右側面板101を糊代105に貼着する。
【0006】
次いで、底面板104に対して左側面板103を折り目cに沿って、上面板102に対して右側面板101を折り目aに沿ってそれぞれ山折りするように起こした後、右側面板101および左側面板103に対して背面側の各フラップ106をそれぞれ折り目eに沿って谷折りする。さらに、底面板104に対して背面板110を折り目iに沿って谷折りした後、背面板110の裏面に接着剤を塗布し、上面板102に対して背面蓋板108を折り目gに沿って谷折りし、背面蓋板108を背面板110に貼着する。
【0007】
そして、正面側開口を通して商品などを収容した後、右側面板101および左側面板103に対して正面側のフラップ106をそれぞれ折り目eに沿って谷折りするとともに、底面板104に対して正面板109を折り目hに沿って谷折りする。次いで、正面蓋板107における切れ目j,jによってそれぞれ区画された下隅部の裏面に接着剤を塗布した後、上面板102に対して正面蓋板107を折り目fに沿って谷折りし、正面蓋板107を正面板109に貼着する。これにより、商品を収容した包装容器100aを形成することができる。その後、包装容器100aは、販売店等に出荷される。
【0008】
一方、消費者は、図8(a)、(b)および図9に示すように、正面蓋板107における一対の切れ目j,j間の下端縁107aを指先で摘んで引き上げることにより、切れ目jに沿って正面蓋板107を切り裂くことができる。この後、正面板109および左右のフラップ106を押し広げて菓子などを引き出せばよい。また、残った商品を保管するには、再び商品を収容した後、切れ目j,jに沿って切り裂かれた正面蓋板107の下端縁107aを正面板109の切り込みkに差し込めばよい。
【0009】
また、従来の他の包装容器100bでは、図11に示すように、底面板104と正面板109との折り目hは、折り目h1,h1と分岐折り目h2とから形成されている。折り目h1,h1は、底面板104と正面板109とが交差する辺に沿って左右各端縁から中間部近傍までにわたって形成されている。分岐折り目h2は、折り目h1,h1の各終端から二股状に分岐するとともに、底面板104と正面板109とが交差する辺の近傍を迂回するように形成されている。
【0010】
この包装容器100bでは、正面板109を底面板104との折り目hに沿って折り込むと、その略中間部は、分岐折り目h2に沿って折り込まれる。すなわち、底面板104および正面板109の略中間部において、分岐折り目h2によって区画された部分が底面板104および正面板109に対してそれぞれ傾斜する傾斜面として折り目h1に連続し、かつ、底面板104と正面板109とが交差する辺の近傍にわたって形成される。
【0011】
一方、消費者は、図10(a)、(b)および図11に示すように、正面蓋板107の下端縁107aに形成される傾斜面に指先を引っ掛けて指先で摘んで引き上げることにより、切れ目jに沿って正面蓋板107を切り裂くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−75121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、従来の包装容器100aにおいては、図8(b)に示すように、正面蓋板107の下端縁107aが底面板104の表面の延長面上に位置するように設定されている。したがって、商品などを取り出すために切れ目j,jに沿って切り裂こうとした場合、正面蓋板107の下端縁107aに指先が掛からず、開封しにくいという欠点があった。
【0014】
また、従来の他の包装容器100bにおいては、図10に示すように、分岐折り目h2に沿って折り込まれた傾斜面は正面から見て円弧状(半円状)に形成されているため、傾斜面の中央部においては指先が掛かりやすい一方で、傾斜面の端部近傍(折り目h1と折り目h2との境界部近傍)においてはほとんど指先が掛からないという欠点がある。このため、開封する際の指先の掛かり具合を十分に確保することが困難であるという問題点がある。
【0015】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、開封する際の指先の掛かり具合を十分に確保しながら、容易に開封することのできる包装容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の課題を解決するための手段として、本発明による包装容器は、以下のように構成されている。
【0017】
すなわち、本発明による包装容器は、折り目を介して順に連設される正面板、底面板、背面板、上面板および正面蓋板を備え、前記正面蓋板が前記正面板に貼着されることにより前記正面蓋板の端縁が前記正面板と前記底面板との折り目近傍に配置される構成を前提としている。
【0018】
また、本発明による包装容器は、前記正面板と前記底面板との折り目は、前記正面板と前記底面板とが交差する辺上に部分的に離間するように設けられた第1折り目と、前記第1折り目の部分的に離間した部分を挟むように前記正面板と前記底面板とが交差する辺に沿って延びるように設けられた平行な2本の第2折り目とを含み、前記第1折り目の前記第2折り目側の端部と、前記第2折り目の前記第1折り目側の端部との間には、前記正面板と前記底面板とが交差する辺に沿った方向に沿って隙間が形成されていることを特徴とするものである。
【0019】
かかる構成を備える包装容器によれば、包装容器を折り目に沿って組み立てる際に、正面板と底面板とが交差する辺のうち、第2折り目によって挟まれた部分が正面板および底面板に対して所定の角度で傾斜する傾斜面として形成される。これにより、傾斜面における正面板と底面板とが交差する辺に沿った方向の幅を、従来の円弧状(半円状)の傾斜面と比べて略均一にすることができる。その結果、正面蓋板と正面板との間(正面蓋板の裏面側)に、正面板と底面板とが交差する辺に沿った方向の幅が略均一な小空間が形成されるので、小空間のうち正面板と底面板とが交差する辺に沿った方向に対して中央部または端部のいずれにおいても、包装容器を開封する際の指先の掛かり具合を十分に確保することができる。これにより、包装容器を開封する際に、正面蓋板の裏面側に形成された小空間に指先を挿入して、正面蓋板の端縁を摘んで引き上げることにより、容易に開封することができる。
【0020】
本発明の具体的な構成として、以下の複数のものが挙げられる。
【0021】
上記包装容器では、前記第1折り目の前記第2折り目側の端部と、前記第2折り目の前記第1折り目側の端部との間に、前記正面板と前記底面板とが交差する辺に沿った方向に沿って隙間を形成するように構成しているから、第1折り目および第2折り目に沿って折り曲げた際に、第1折り目の端部と第2折り目との端部とが接続されて、傾斜面の両端部が自然に三角形状になるので、容易に正面板と底面板との間に傾斜面を形成することができる。
【0022】
また、本発明による包装容器において、好ましくは、前記平行な2本の第2折り目の端部は、それぞれ、前記第2折り目の延びる方向に直交する方向に沿って設けられた切れ目により接続されていることを特徴とする。このように構成すれば、第1折り目および第2折り目に沿って折り曲げた際に、切れ目と切れ目との間に傾斜面が形成されるので、傾斜面における正面板と底面板とが交差する辺に沿った方向の幅を均一にすることができる。その結果、正面蓋板と正面板との間(正面蓋板の裏面側)に、正面板と底面板とが交差する辺に沿った方向の幅が均一な小空間が形成されるので、小空間のうち正面板と底面板とが交差する辺に沿った方向に対して中央部または端部のいずれにおいても、包装容器を開封する際の指先の掛かり具合を十分に確保することができる。
【0023】
また、本発明による包装容器において、好ましくは、前記正面蓋板の端縁近傍には、前記正面蓋板の所定の部分を切り取るための切取用ミシン目が設けられていることを特徴とする。このように構成すれば、正面蓋板の端縁を指先で摘んで引き上げた後に、切取用ミシン目に沿って切り取ることにより、正面蓋板から所定の部分を切り取ることができる。これにより、切り取った部分を商品名などを表示するカード(ショーカード、ポップカードなど)に利用することや、商品についての価格を表示するカードとして利用することができる。
【0024】
この場合、好ましくは、前記正面蓋板の切取用ミシン目は、前記正面蓋板が前記正面板に貼着された状態において、正面から見て、前記第2折り目を取り囲むように設けられていることを特徴とする。このように構成すれば、正面蓋板の端縁を指先で摘んで引き上げた後に、正面蓋板を摘み直すことなくそのまま切取用ミシン目に沿って正面蓋板の所定の部分を切り取ることができる。
【0025】
また、上記切取用ミシン目を備える構成において、好ましくは、前記正面蓋板の切取用ミシン目は、前記正面板と前記底面板とが交差する辺に沿って長辺を有するとともに、前記正面板と前記底面板とが交差する辺に直交する方向に沿って短辺を有する矩形状に形成されていることを特徴とする。このように構成すれば、一般的に、商品名や価格を表示する際には文字や記号などを横方向に書く場合(横書き)が多いので、商品名や価格を表示しやすい横長のカードを容易に得ることができる。
【発明の効果】
【0026】
上記のように、本発明による包装容器によれば、開封する際の指先の掛かり具合を十分に確保しながら、容易に開封することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1実施形態による包装容器の一部省略して示す斜視図およびその縦端面図である。
図2図1の包装容器の展開図である。
図3】切取用ミシン目に沿って正面蓋板の一部を切り取る様子を示す図である。
図4】本発明の第2実施形態による包装容器の一部省略して示す斜視図およびその縦端面図である。
図5図4の包装容器の展開図である。
図6】本実施形態の第1変形例による包装容器を示す斜視図である。
図7】本実施形態の第2変形例による包装容器を示す斜視図である。
図8】従来の包装容器を一部省略して示す斜視図およびその縦端面図である。
図9図8の包装容器の展開図である。
図10】従来の他の包装容器を一部省略して示す斜視図および縦端面図である。
図11図10の包装容器の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0029】
(第1実施形態)
第1実施形態による包装容器1は、図1および図2に示すように、医薬品や菓子などの商品を収容して包装するものである。また、包装容器1は、図2に示す展開図にしたがって、コートボールを打ち抜いた後に、後述する各折り目に沿って折り込むとともに、所定部分を接着剤などを用いて貼着することにより組み立てられる。そして、包装容器1に医薬品や菓子などの商品を収容した後、販売店等に出荷される。
【0030】
この包装容器1は、図2に示すように、正面板2の下端縁(正面板2と底面板3との境界の端縁)に、底面板3、背面板4、上面板5および正面蓋板6が順に折り目a,b,c,dを介して連設されている。これらの正面板2、底面板3、背面板4、上面板5および正面蓋板6は、各折り目a,b,c,dの延びる方向に沿って長辺を有するとともに、各折り目a,b,c,dの延びる方向に直交する方向に沿って短辺を有する矩形状に形成されている。また、背面板4および正面蓋板6の各左右端縁には、それぞれ、フラップ7が折り目eを介して連設されている。
【0031】
さらに、底面板3の左右端縁には、それぞれ左側面板8および右側面板9が折り目f,gを介して連設されている。また、上面板5の左右端縁には、それぞれ左側面蓋板10および右側面蓋板11が折り目h,iを介して連設されている。これらの左側面板8、右側面板9、左側面蓋板10および右側面蓋板11は、各折り目f,g,h,iの延びる方向に沿って長辺を有するとともに、各折り目f,g,h,iの延びる方向に直交する方向に沿って短辺を有する矩形状に形成されている。
【0032】
ここで、第1実施形態では、図2に示すように、正面板2と底面板3との折り目aは、2本の直線状の折り目a1と、2本の直線状の折り目a2とを含んで形成されている。なお、折り目a1は、本発明の「第1折り目」の一例であり、折り目a2は、本発明の「第2折り目」の一例である。
【0033】
各折り目a1は、それぞれ、正面板2と底面板3とが交差する辺上に中間部L2近傍を除いて部分的に離間するように設けられている。各折り目a1は、それぞれ、正面板2と底面板3とが交差する辺上に左右の各終端部L1から中間部L2近傍にわたって設けられている。言い換えると、折り目a1は、中間部L2近傍において途中で途切れたものとなっている。なお、正面板2と底面板3とが交差する辺とは、各終端部L1、L1を結んだ直線(辺)のことを意味している。
【0034】
各折り目a2は、それぞれ、正面板2および底面板3に設けられている。各折り目a2は、それぞれ、折り目a1の部分的に離間した部分(中間部L2)を、正面板2と底面板3とが交差する辺に直交する方向から挟むように(対向するように)設けられている。各折り目a2は、それぞれ、正面板2と底面板3とが交差する辺に沿って延びるように設けられており、かつ、正面板2と底面板3とが交差する辺上には設けられていない。各折り目a2同士の間隔は、略一定である。
【0035】
また、これらの折り目a1と折り目a2とは、互いに平行になるように設けられている。また、これらの折り目a1および折り目a2は、別個に設けられており、互いに接続(連結)されていない。
【0036】
また、折り目a1の折り目a2側の端部a11と、折り目a2の折り目a1側の端部a21およびa22との間には、正面板2と底面板3とが交差する辺に沿った方向に沿って隙間L3が形成されている。
【0037】
このような包装容器1を組み立てるには、図2に示す展開図にしたがってコートボールを打ち抜いた後、正面板2を底面板3に対して折り目aに沿って谷折りするとともに、糊代としての正面板2の裏面に接着剤を塗布する。次いで、上面板5を正面蓋板6とともに背面板4に対して折り目cに沿って谷折りし、正面蓋板6を正面板2に貼着する。
【0038】
次いで、底面板3に対して背面板4を折り目bに沿って、上面板5に対して正面蓋板6を折り目dに沿ってそれぞれ山折りするように起こした後、背面板4および正面蓋板6に対して右側面側の各フラップ7をそれぞれ折り目eに沿って谷折りする。さらに、底面板3に対して右側面板9を折り目gに沿って谷折りした後、右側面板9の裏面に接着剤を塗布し、上面板5に対して右側面蓋板11を折り目iに沿って谷折りし、右側面蓋板11を右側面板9に貼着する。
【0039】
そして、左側開口を通して医薬品や菓子などの商品を収容した後、背面板4および正面蓋板6に対してフラップ7をそれぞれ折り目eに沿って谷折りする。次いで、底面板3に対して左側面板8を折り目fに沿って谷折りし、上面板5に対して左側面蓋板10を折り目hに沿って谷折りし、左側面蓋板10を左側面板8に貼着すれば、医薬品や菓子などの商品を収容した包装容器1を形成することができる。その後、包装容器1は、販売店などに出荷される。
【0040】
ここで、第1実施形態では、正面板2を底面板3との折り目aに沿って折り込むと、正面板2と底面板3とが交差する辺のうち終端部L1から中間部L2までの領域は、2本の折り目a1に沿って折り込まれる。さらに、正面板2と底面板3とが交差する辺のうち中間部L2は、2本の折り目a2に沿って折り込まれる。
【0041】
さらに、折り目a1および折り目a2に沿って折り曲げた際に、折り目a1の端部a11と折り目a2との端部a21およびa22が接続されて、傾斜面a3の両端部(a11、a21、a22により囲まれた領域)が自然な三角形状になる。これにより、正面板2と底面板3とが交差する辺の中間部L2において、2本の折り目a2によって挟まれた部分が正面板2および底面板3に対してそれぞれ傾斜する傾斜面a3(図1参照)として形成される。
【0042】
傾斜面a3は、正面板2と底面板3とが交差する辺の近傍にわたって形成されている。この傾斜面a3は、傾斜面a3に直交する方向から見て、六角形状に形成されている。言い換えると、傾斜面a3のうち平行な2本の折り目a2に挟まれた領域の正面板2と底面板3とが交差する辺に沿った方向の幅は、正面板2と底面板3とが交差する辺に直交する方向に対して略等しい幅になっている。これにより、傾斜面a3が円弧状や半円状に形成されている場合と比べて、正面蓋板6の端縁6aが摘み易くなっている。さらに、傾斜面a3のうち両端部(a11、a21、a22により囲まれた領域)は三角形状に形成されており、平行な2本の折り目a2に挟まれた領域をより広げるように形成されている。また、正面蓋板6の端縁6aは、図1(a)および(b)に示すように、正面板2と底面板3との折り目a近傍に配置されているとともに、底面板3の表面の延長面上に位置している。
【0043】
また、商品を購入した消費者が包装容器1を開封する場合は、正面蓋板6の端縁6aを指先で摘んで引き上げればよい。この際、図1(a)および(b)に示すように、正面板2および底面板3との交差する辺の中間部L2には、折り目a2によって傾斜面a3が形成されているとともに、正面蓋板6の裏面側には小空間sが形成されている。したがって、消費者は、正面蓋板6の裏面側に形成された小空間sに指先を挿入することができ、正面蓋板6の端縁6aを摘んで引き上げることができる。
【0044】
また、図1(a)に示すように、包装容器1が組み立てられた状態において、正面蓋板6の折り目a2と重なる部分には、折り目a2を取り囲むように切取用ミシン目6bが設けられている。この切取用ミシン目6bは、正面板2と底面板3とが交差する辺に沿って長辺を有するとともに、正面板2と底面板3とが交差する辺に直交する方向に沿って短辺を有する矩形状に形成されている。
【0045】
また、正面蓋板6の端縁6aを摘んで引き上げた後には、図3に示すように、切取用ミシン目6bに沿って切り取ることにより、正面蓋板6から矩形状のカード6cを得ることが可能である。この矩形状のカード6cは、その包装容器1に収納されている商品の商品名や価格などを記載することにより、商品名を表示するカードや商品の価格を表示するカードとして利用することが可能である。また、正面蓋板6のカード6cとなる部分に予め商品名や価格などが印刷されていてもよい。
【0046】
以上説明したように、第1実施形態による包装容器1によれば、以下に列記するような効果が得られる。
【0047】
第1実施形態では、上記のように、正面板2と底面板3とが交差する辺(終端部L1とL1とを結んだ直線)上に部分的に離間するように設けられた折り目a1と、折り目a1とは接続せずに折り目a1の部分的に離間した部分(中間部L2)を挟むように正面板2と底面板3とが交差する辺に沿って延びるように設けられた平行な2本の折り目a2とを設ける。これにより、包装容器1を各折り目に沿って組み立てる際に、正面板2と底面板3とが交差する辺のうち、各折り目a2によって挟まれた部分が正面板2および底面板3に対して所定の角度で傾斜する傾斜面a3として形成される。その結果、傾斜面a3における正面板2と底面板3とが交差する辺に沿った方向の幅を、従来の円弧状(半円状)の傾斜面と比べて略均一にすることができる。これにより、正面蓋板6と正面板2との間(正面蓋板6の裏面側)に、正面板2と底面板3とが交差する辺に沿った方向の幅が略均一な小空間sが形成されるので、小空間sのうち正面板2と底面板3とが交差する辺に沿った方向に対して中央部または端部のいずれにおいても、包装容器1を開封する際の指先の掛かり具合を十分に確保することができる。これにより、包装容器1を開封する際に、正面蓋板6の裏面側に形成された小空間sに指先を挿入して、正面蓋板6の端縁6aを摘んで引き上げることにより、容易に開封することができる。
【0048】
また、第1実施形態では、上記のように、折り目a1の折り目a2側の端部a11と、折り目a2の折り目a1側の端部a21およびa22との間に、正面板2と底面板3とが交差する辺に沿った方向に沿って隙間L3を形成する。これにより、折り目a1および折り目a2に沿って折り曲げた際に、折り目a1の端部a11と折り目a2との端部a21およびa22とが接続されて、傾斜面a3の両端部(a11、a21、a22により囲まれた領域)が自然に三角形状になるので、容易に正面板2と底面板3との間に傾斜面a3を形成することができる。
【0049】
また、第1実施形態では、上記のように、正面蓋板6の端縁6a近傍に、正面蓋板6の所定の部分を切り取るための切取用ミシン目6bを設ける。これにより、正面蓋板6の端縁6aを指先で摘んで引き上げた後に、切取用ミシン目6bに沿って切り取ることにより、正面蓋板6から所定の部分を切り取ることができる。その結果、切り取った部分を商品名などを表示するカード6c(ショーカード、ポップカードなど)に利用することや、商品についての価格を表示するカード6cとして利用することができる。
【0050】
また、第1実施形態では、上記のように、正面蓋板6が正面板2に貼着された状態において、正面から見て、折り目a2を取り囲むように切取用ミシン目6bを設ける。これにより、正面蓋板6の端縁6aを指先で摘んで引き上げた後に、正面蓋板6を摘み直すことなくそのまま切取用ミシン目6bに沿って正面蓋板6の所定の部分を切り取ることができる。
【0051】
また、第1実施形態では、上記のように、正面蓋板6の切取用ミシン目6bを、正面板2と底面板3とが交差する辺に沿って長辺を有するとともに、正面板2と底面板3とが交差する辺に直交する方向に沿って短辺を有する矩形状に形成する。これにより、一般的に、商品名や価格を表示する際には文字や記号などを横方向に書く場合(横書き)が多いので、商品名や価格を表示しやすい横長のカード6cを容易に得ることができる。
【0052】
(第2実施形態)
次に、図4および図5を参照して、第2実施形態について説明する。
【0053】
この第2実施形態では、上記第1実施形態とは異なり、2本の折り目a2の端部a21およびa22を接続するように切れ目a4を形成した包装容器1aについて説明する。
【0054】
第2実施形態による包装容器1aは、図4および図5に示すように、平行な2本の折り目a2の端部a21と端部a22とは、それぞれ、折り目a2の延びる方向に直交する方向に沿って形成された切れ目a4により接続されている。言い換えると、折り目a2が延びる方向と、切れ目a4が延びる方向とは、互いに直交している。また、切れ目a4と、折り目a1の端部a11とは、間隔を隔てて配置されている。
【0055】
このような包装容器1aを組み立てるには、図5に示す展開図にしたがって、上記第1実施形態と同様に組み立て、第2実施形態では、正面板2を底面板3との折り目aに沿って折り込むと、正面板2と底面板3とが交差する辺のうち終端部L1から中間部L2までの領域は、2本の折り目a1に沿って折り込まれる。さらに、正面板2と底面板3とが交差する辺のうち中間部L2は、2本の折り目a2に沿って折り込まれる。
【0056】
さらに、折り目a1および折り目a2に沿って折り曲げた際に、切れ目a4が傾斜面a31(図4参照)の端辺となるので、容易に折り曲げることが可能となる。これにより、正面板2と底面板3とが交差する辺の中間部L2において、2本の折り目a2によって挟まれた部分が正面板2および底面板3に対してそれぞれ傾斜する傾斜面a31として形成される。
【0057】
傾斜面a31は、正面板2と底面板3とが交差する辺の近傍にわたって形成されている。この傾斜面a31は、傾斜面a31に直交する方向から見て、四角形状(長方形状)に形成されている。言い換えると、傾斜面a31の正面板2と底面板3とが交差する辺に沿った方向の幅は、略等しい幅になっている。これにより、傾斜面a31が円弧状や半円状に形成されている場合と比べて、正面蓋板6の端縁6aが摘み易くなっている。
【0058】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0059】
以上説明したように、第2実施形態による包装容器1aによれば、以下に列記するような効果が得られる。
【0060】
第2実施形態では、上記のように、平行な2本の折り目a2の端部a21およびa22を、それぞれ、折り目a2の延びる方向に直交する方向に沿って設けられた切れ目a4により接続する。これにより、折り目a1および折り目a2に沿って折り曲げた際に、切れ目a4と切れ目a4との間に傾斜面a3が形成されるので、傾斜面a3における正面板2と底面板3とが交差する辺に沿った方向の幅を均一にすることができる。その結果、正面蓋板6と正面板2との間(正面蓋板6の裏面側)に、正面板2と底面板3とが交差する辺に沿った方向の幅が均一な小空間sが形成されるので、小空間sのうち正面板2と底面板3とが交差する辺に沿った方向に対して中央部または端部のいずれにおいても、包装容器1aを開封する際の指先の掛かり具合を十分に確保することができる。
【0061】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0062】
−他の実施形態−
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0063】
たとえば、上記実施形態では、折り目a1の折り目a2側の端部a11と、折り目a2の折り目a1側の端部a21およびa22との間に、正面板2と底面板3とが交差する辺に沿った方向に沿って隙間L3を形成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、折り目a1の折り目a2側の端部a11と、折り目a2の折り目a1側の端部a21およびa22とが、正面板2と底面板3とが交差する辺に沿った方向に沿って略一致するように配置してもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、正面蓋板6の端縁6aを指先で摘んで引き上げた後に、切取用ミシン目6bに沿って切り取った部分を商品名などを表示するカード6cに利用する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、カード6cの他の利用例として、図6に示す第1変形例による包装容器1bのように、カード6cをめくり上げることが可能なように、カード6cの端辺のうち折り目a1およびa2に直交する2辺にのみ切取用ミシン目6bを設けるようにしてもよい。そして、カード6cの表面に問題を記載しておき、カード6cをめくり上げるとカード6cの裏面やカード6cによって隠れていた部分(正面板2の表面)に問題に対する解答が記載されているような、クイズ用のカードとしても利用することが可能である。
【0065】
また、上記実施形態では、正面板2と底面板3との交差する辺に1つの傾斜面a3を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、正面板2と底面板3との交差する辺に2つ以上の傾斜面a3を設けてもよい。たとえば、図7に示す第2変形例による包装容器1cでは、正面板2と底面板3とが交差する辺に沿って折り目a1の離間する部分が3箇所設けられているとともに、これらの離間した部分を挟むように折り目a2が3箇所設けられている。これにより、正面板2と底面板3との間に傾斜面a3が3箇所形成されるとともに、正面蓋板6と正面板2との間(正面蓋板6の裏面側)に小空間sが3箇所形成される。また、正面蓋板6には3箇所の傾斜面a3に対応するように切取用ミシン目6bが形成されており、切取用ミシン目6bに沿って切り取ることにより、正面蓋板6から3つのカード6cを得ることが可能である。
【0066】
また、上記実施形態では、正面板2と底面板3との交差する辺に1つの傾斜面a3を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、正面板2と底面板3との交差する辺に加えて折り目f、g、h、iなどの辺に傾斜面を設けてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、切取用ミシン目を矩形状に形成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、切取用ミシン目を矩形状以外の形状により形成してもよい。たとえば、切取用ミシン目を台形形状や半円形状などの形状に形成してもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、正面蓋板に切取用ミシン目を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、正面蓋板に切取用ミシン目を設けない構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、包装容器に利用することができ、より詳細には、医薬品や菓子などの商品を包装する包装容器に利用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1、1a、1b、1c 包装容器
2 正面板
3 底面板
4 背面板
5 上面板
6 正面蓋板
6a 端縁
6b 切取用ミシン目
6c カード
7 フラップ
8 左側面板
9 右側面板
10 左側面蓋板
11 右側面蓋板
a,b,c,d,e,f,g,h,i 折り目
a1 折り目(第1折り目)
a11 端部
a2 折り目(第2折り目)
a21 端部
a22 端部
a3 傾斜面
a31 傾斜面
a4 切れ目
L1 終端部
L2 中間部
L3 隙間
s 小空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11