特許第6203704号(P6203704)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203704
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】積層造形装置の管理システム
(51)【国際特許分類】
   B22F 3/16 20060101AFI20170914BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20170914BHJP
   B29C 64/386 20170101ALI20170914BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20170914BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20170914BHJP
【FI】
   B22F3/16
   B29C64/153
   B29C64/386
   B22F3/105
   B33Y50/00
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-256546(P2014-256546)
(22)【出願日】2014年12月18日
(65)【公開番号】特開2016-117919(P2016-117919A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2016年6月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000132725
【氏名又は名称】株式会社ソディック
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】元矢 享嘉
【審査官】 池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−204828(JP,A)
【文献】 特表2013−532592(JP,A)
【文献】 特開2013−067016(JP,A)
【文献】 特開2004−009574(JP,A)
【文献】 特開2001−187424(JP,A)
【文献】 特開平11−254542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 3/00−3/24
B29C 64/00−64/40
B33Y 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の三次元形状を有する造形物モデルを所定単位高で水平面で分割してなる各分割層に対応する材料粉体層を形成し、前記造形物モデルの各分割層の輪郭形状で囲まれた照射領域にレーザ光を照射して前記照射領域内の前記材料粉体層の材料粉体を選択的に焼結して焼結層を形成する焼結工程と、
1又は複数の焼結工程の度に前記焼結層に対して切削加工を行う切削工程と含む複数の単位工程からなる積層造形工程を実行することによって造形物を生成する積層造形装置の管理システムであって、
前記積層造形装置に関連する保守項目のそれぞれについて保守作業が必要になるまでに残時間を記憶する保守管理データベースを備え、
前記保守作業からなる事象に関連付けて、その事象の発生予定の単位工程に対応した造形高さの部分造形物モデルを表示させるように構成された造形物モデル表示部を備える、積層造形装置の管理システム。
【請求項2】
前記造形物モデル表示部は、任意の造形高さの部分造形物モデルを表示可能に構成され、且つ表示させる部分造形物モデルがユーザーの操作によって選択可能に構成されている、請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
1又は複数の前記事象を表す識別子をユーザーが選択できるように表示させる事象管理部をさらに備え、
前記造形物モデル表示部は、ユーザーが前記事象のうちの特定のものを選択すると、その事象に関連付けられた単位工程に対応した造形高さの部分造形物モデルを表示させるように構成される、請求項1又は請求項2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記事象管理部は、前記保守作業を行う造形高さを変更可能に構成される、請求項に記載の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、積層造形装置の管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ光による金属の積層造形においては、上下方向に移動可能な造形テーブル上に非常に薄い材料粉体層を形成し、この材料粉体層の所定箇所にレーザ光を照射して照射位置の材料粉体を焼結させる工程を繰り返すことによって、所望の造形物を形成する。
【0003】
レーザ光は、レーザ光を照射すべき領域に全体に渡ってレーザ光が照射されるように設けられた走査経路に沿って走査されながら材料粉体層に照射される(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−173123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
金属の材料粉末を用いた積層造形は、通常、1度の造形開始指令で最終形状まで作成できるため、自動連続稼働時間が長い。1造形で1週間程度かかる物もある。自動連続稼働時間が比較的長い造形の場合、積層造形の途中で積層造形装置を一時停止状態にして、保守作業を実施することがある。積層造形途中で積層造形装置を一時停止させることは、造形物の形状によってはリスクを伴うので、保守作業の行う時点までに部分的に形成された造形物の形状を確認しておきたい場合がある。また、積層造形中にアラームが発生した場合には、そのアラームの発生が造形物の品質に悪影響を与えていないことを確認するために、造形物のどの部位を形成しているときにアラームが発生したかを知りたい場合がある。従来技術では、造形物のどの部位を形成するときに保守作業が発生するのか、あるいは造形物のどの部位を形成しているときにアラームが発生したかを直感的に把握することが難しい。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、造形物のどの部位を形成するときに保守作業が発生するのか、または造形物のどの部位を形成しているときにアラームが発生したかを直感的に把握することを可能にする、積層造形装置の管理システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、所望の三次元形状を有する造形物モデルを所定単位高で水平面で分割してなる各分割層に対応する材料粉体層を形成し、前記造形物モデルの各分割層の輪郭形状で囲まれた照射領域にレーザ光を照射して前記照射領域内の前記材料粉体層の材料粉体を選択的に焼結して焼結層を形成する焼結工程と、1又は複数の焼結工程の度に前記焼結層に対して切削加工を行う切削工程と含む複数の単位工程からなる積層造形工程を実行することによって造形物を生成する積層造形装置の管理システムであって、前記積層造形装置に関連する保守項目のそれぞれについて保守作業が必要になるまでに残時間を記憶する保守管理データベースと、前記積層造形工程中に発生したアラームをその発生タイミングと関連付けてアラーム履歴として記憶するアラーム履歴データベースの少なくとも一方を備え、前記保守作業と前記アラーム履歴と少なくとも一方からなる事象に関連付けて、その事象の発生予定又は発生済みの単位工程に対応した造形高さの部分造形物モデルを表示させるように構成された造形物モデル表示部を備える、積層造形装置の管理システムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、造形物モデル表示部が、保守作業とアラーム履歴と少なくとも一方からなる事象に関連付けて、その事象の発生予定又は発生済みの単位工程に対応した造形高さの部分造形物モデルを表示させるように構成されているので、保守作業又はアラーム履歴と部分造形物モデルが関連付けられる。このため、本発明によれば、造形物のどの部位を形成するときに保守作業が発生するのか、または造形物のどの部位を形成しているときにアラームが発生したかを直感的に把握することを可能になる。
【0009】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記造形物モデル表示部は、任意の造形高さの部分造形物モデルを表示可能に構成され、且つ表示させる部分造形物モデルがユーザーの操作によって選択可能に構成されている。
好ましくは、1又は複数の前記事象を表す識別子をユーザーが選択できるように表示させる事象管理部をさらに備え、前記造形物モデル表示部は、ユーザーが前記事象のうちの特定のものを選択すると、その事象に関連付けられた単位工程に対応した造形高さの部分造形物モデルを表示させるように構成される。
好ましくは、前記事象管理部は、前記保守作業を行う造形高さを変更可能に構成される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の管理システム6に含まれる制御装置61が制御対象とする積層造形装置2の概略構成図である。
図2】粉体層形成装置3及びレーザ光照射部13の斜視図である。
図3】リコータヘッド11の斜視図である。
図4】リコータヘッド11の別の角度から見た斜視図である。
図5】管理システム2の構成図である。
図6】(a)は所望形状の造形物47の斜視図、(b)は、(a)の造形物のモデルの斜視図、(c)は、(b)のモデルを所定単位高で水平面で分割した状態を示す斜視図である。
図7】焼結層50を積層させて得られる造形物47の斜視図である。
図8】積層造形工程の流れを示すフローチャートである。
図9】制御装置61の動作を示すフローチャートである。
図10図1の積層造形装置2を用いた積層造形方法の説明図である。
図11図1の積層造形装置2を用いた積層造形方法の説明図である。
図12】(a)〜(d)は、所定の造形高さの部分造形物モデル48pを示す。
図13】(a)〜(d)は、積層造形の開始直後の表示状態であり、必要な保守作業を表す矢印83がスライダー81に沿って表示されている。
図14】(a)〜(c)は、積層造形の終了後の表示状態であり、保守作業を行った時点を表す矢印83と、アラームの発生を表す矢印84がスライダー81に沿って表示されている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0012】
本発明は、図5に示す、積層造形装置2の管理システム6に関する。この管理システム6は、積層造形装置2の制御装置61と、CAM装置66と、CAD装置68を含んでいる。
最初に、制御装置61が制御対象とする積層造形装置2の一実施形態について説明し、その後、管理システム6の一実施形態について説明する。
【0013】
図1図2に示すように、積層造形装置2は、所要の造形領域Rを覆い且つ所定濃度の不活性ガスで充満されるチャンバ1と、造形領域R上に形成される材料粉体層8の所定箇所にレーザ光Lを照射して照射位置の材料粉体を焼結させるレーザ光照射部13を備える。
【0014】
図1に示すように、本発明の一実施形態の積層造形装置2は、所要の造形領域Rを覆い且つ所定濃度の不活性ガスで充満されるチャンバ1と、チャンバ1内で移動しながら造形領域R上に材料粉体を供給し且つ平坦化して材料粉体層8を形成するリコータヘッド11と、材料粉体層8の所定箇所にレーザ光Lを照射して照射位置の材料粉体を焼結させて焼結層を形成するレーザ光照射部13を備える。
【0015】
チャンバ1内には、粉体層形成装置3が設けられる。粉体層形成装置3は、造形領域Rを有するベース4と、ベース4上に配置され且つ水平1軸方向(矢印B方向)に移動可能に構成されたリコータヘッド11と、リコータヘッド11の移動方向に沿って造形領域Rの両側に設けられた細長部材9r,9lとを備える。造形領域Rには、駆動機構31によって駆動されて上下方向(図1の矢印A方向)に移動可能な造形テーブル5が設けられる。積層造形装置2の使用時には、造形テーブル5上に造形プレート7が配置され、造形テーブル5上に材料粉体層8が形成される。
【0016】
造形テーブル5を取り囲むように粉体保持壁26が設けられており、粉体保持壁26と造形テーブル5によって囲まれる粉体保持空間に未焼結の材料粉体が保持される。粉体保持壁26の下側には、粉体保持空間内の材料粉体を排出可能な粉体排出部27が設けられ、積層造形の完了後に、造形テーブル5を降下させることによって、未焼結の材料粉体が粉体排出部27から排出され、排出された材料粉体は、シューターガイド28によってシューターに案内され、シューターを通じてバケット(共に図示せず)に収容される。
【0017】
リコータヘッド11は、図2図5に示すように、材料収容部11aと、材料収容部11aの上面に設けられた上面開口部11bと、材料収容部11aの底面に設けられ且つ材料収容部11a内の材料粉体を排出する材料排出口11cとを備える。材料排出口11cは、リコータヘッド11の移動方向(矢印B方向)に直交する水平1軸方向(矢印C方向)に延びるスリット状の細長い形状を有する。リコータヘッド11の両側面には材料排出口11cから排出された材料粉体を平坦化して材料粉体層8を形成するスキージングブレード11fb,11rbが設けられる。また、リコータヘッド11の両側面には、材料粉体の焼結時に発生するヒュームを吸引するヒューム吸引部11fs,11rsが設けられる。ヒューム吸引部11fs,11rsは、リコータヘッド11の移動方向(矢印B方向)に直交する水平1軸方向(矢印C方向)に沿って設けられる。材料粉体は、例えば、金属粉(例:鉄粉)であり、例えば平均粒径20μmの球形である。
【0018】
細長部材9r,9lにはそれぞれリコータヘッド11の移動方向(矢印B方向)に沿って開口部が設けられる。これらの開口部の一方が不活性ガス供給口として利用され、他方が不活性ガス排出口として利用されることによって、造形領域R上に矢印C方向の不活性ガスの流れができるので、造形領域Rで発生したヒュームがこの不活性ガスの流れに沿って容易に排出される。なお、本明細書において、「不活性ガス」とは、材料粉体と実質的に反応しないガスであり、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなどが例示される。
【0019】
チャンバ1の上方にはレーザ光照射部13が設けられる。図2に示すように、レーザ光照射部13は、レーザ光Lを出力するレーザ光源42と、レーザ光源42から出力されたレーザ光Lを二次元走査する一対のガルバノスキャナ43a,43bと、レーザ光Lを集光する集光レンズ44とを備える。ガルバノスキャナ(X軸スキャナ)43aは、レーザ光Lを矢印B方向(X軸方向)に走査し、ガルバノスキャナ(Y軸スキャナ)43bは、レーザ光Lを矢印C方向(Y軸方向)に走査する。スキャナ43a,43bは、それぞれ、回転角度制御信号の大きさに応じて回転角度が制御されるので、スキャナ43a,43bに入力する回転角度制御信号の大きさを変化させることによって所望の位置にレーザ光Lの照射位置を移動させることが可能になっている。集光レンズ44の例は、fθレンズである。
【0020】
集光レンズ44を通過したレーザ光Lは、チャンバ1に設けられたウィンドウ1aを透過して造形領域Rに形成された材料粉体層8に照射される。レーザ光Lは、材料粉体を焼結可能なものであればその種類は限定されず、例えば、COレーザ、ファイバーレーザ、YAGレーザなどである。ウィンドウ1aは、レーザ光Lを透過可能な材料で形成される。例えば、レーザ光Lがファイバーレーザ又はYAGレーザの場合、ウィンドウ1aは石英ガラスで構成可能である。
【0021】
チャンバ1の上面には、ウィンドウ1aを覆うようにヒューム付着防止部17が設けられる。付着防止部17は、円筒状の筐体17aと、筐体17a内に配置された円筒状の拡散部材17cを備える。筐体17aと拡散部材17cの間に不活性ガス供給空間17dが設けられる。また、筐体17aの底面には、拡散部材17cの内側に開口部17bが設けられる。拡散部材17cには多数の細孔17eが設けられており、不活性ガス供給空間17dに供給された清浄な不活性ガスは細孔17eを通じて清浄空間17fに充満される。そして、清浄空間17fに充満された清浄な不活性ガスは、開口部17bを通じて付着防止部17の下方に向かって噴出される。
【0022】
チャンバ1内には、エンドミルなどの回転切削工具を装着して回転させることができるように構成されたスピンドルヘッド(不図示)が三次元移動可能に配置されている。この回転切削工具を用いて、所定数の焼結層が形成される度に、焼結層に対して切削加工を行われる。また、リコータヘッド11が焼結層の隆起部に衝突したときにも、隆起部を除去するために焼結層に対して切削工程が行われる。
【0023】
次に、チャンバ1への不活性ガス供給系統と、チャンバ1からのヒューム排出系統について説明する。
【0024】
チャンバ1への不活性ガス供給系統には、不活性ガス供給装置15と、ヒュームコレクタ19が接続されている。不活性ガス供給装置15は、不活性ガスを供給する機能を有し、例えば、不活性ガスのガスボンベである。ヒュームコレクタ19は、その上流側及び下流側にダクトボックス21,23を有する。チャンバ1から排出されたガス(ヒュームを含む不活性ガス)は、ダクトボックス21を通じてヒュームコレクタ19に送られ、ヒュームコレクタ19においてヒュームが除去された不活性ガスがダクトボックス23を通じてチャンバ1へ送られる。このような構成により、不活性ガスの再利用が可能になっている。
【0025】
不活性ガス供給系統は、図1に示すように、チャンバ1の上部供給口1bと、付着防止部17の不活性ガス供給空間17dと、細長部材9lにそれぞれ接続される。上部供給口1bを通じてチャンバ1の造形空間1d内に不活性ガスが充填される。細長部材9l内に供給された不活性ガスが開口部を通じて造形領域R上に排出される。
【0026】
本実施形態では、ヒュームコレクタ19からの不活性ガスが上部供給口1bに送られ、不活性ガス供給装置15からの不活性ガスが不活性ガス供給空間17d及び細長部材9lに送られるように構成されている。ヒュームコレクタ19からの不活性ガス中には除去しきれなかったヒュームが残留するおそれがあるが、本実施形態の構成では、ヒュームコレクタ19からの不活性ガスが特に高い清純度が要求される空間(清浄空間17f及び造形領域R近傍の空間)に供給されないので、残留ヒュームの影響を最小限にすることができる。
【0027】
チャンバ1からのヒューム排出系統は、図1に示すように、チャンバ1の上部排出口1cと、リコータヘッド11のヒューム吸引部11fs,11rs、及び細長部材9rにそれぞれ接続される。上部排出口1cを通じてチャンバ1の造形空間1d内の、ヒュームを含む不活性ガスが排出されることによって、造形空間1d内に上部供給口1bから上部排出口1cに向かう不活性ガスの流れが形成される。リコータヘッド11のヒューム吸引部11fs,11rsは、リコータヘッド11が造形領域R上を通過する際に造形領域Rで発生したヒュームを吸引することができる。また、細長部材9rの開口部を通じてヒュームを含む不活性ガスがチャンバ1外に排出される。ヒューム排出系統は、ダクトボックス21を通じてヒュームコレクタ19に接続されており、ヒュームコレクタ19においてヒュームが取り除かれた後の不活性ガスが再利用される。
【0028】
次に、上記の積層造形装置2を用いた粉末焼結積層造形方法について説明する。この積層造形は、積層造形装置2が図5に示す制御装置61の制御下で動作して実行される。
【0029】
図5に示すように、制御装置61は、演算装置62と、記憶装置63と、表示装置64と、保守管理データベース65と、アラーム履歴データベース67とを備える。演算装置62は、記憶装置63に記憶されたプログラムを読みだして実行することによって後述する推定実行時間取得部71と、予定時刻算出部72と、事象管理部73と、造形物モデル表示部74の機能及びその他積層造形に関係する各種機能を実現する。保守管理データベース65には、表1に例示されるように、積層造形装置2に関連する保守項目のそれぞれについて保守作業が必要になるまでに残時間が記憶されている。なお、表1の各保守項目の残時間は、各保守項目に関連した積層造形装置2の動作に連動して減少する。具体的には、「フィルタ交換」の残時間は、不活性ガス供給装置15の動作時間に連動して減少し、「グリス追加」の残時間は、切削加工を行っている時間に連動して減少し、ヒュームコレクタ清掃は、ヒュームコレクタ19の動作時間に連動して減少する。アラーム履歴データベース67には、積層造形工程中に発生したアラームがその発生タイミングと関連付けられてアラーム履歴として記憶される。例えば、5層目の焼結工程を行っている際にチャンバ1内の不活性ガス濃度が閾値未満になった場合には、その事象が「5層目の焼結工程」という発生タイミングに関連付けられて記憶される。
【表1】
【0030】
制御装置61は、別途設けたコンピュータ支援製造(CAM)装置66において生成された造形データを受信し、この造形データに基づいて積層造形の制御を行う。また、制御装置61は、別途設けたコンピュータ支援設計(CAD)装置68において生成された形状データを受信して、その形状データに基づいて、所望の三次元形状を有する造形物モデル又はその一部(部分造形物モデル)を表示装置64に表示させる。形状データは、造形物モデル又はその一部の表示に利用可能なデータであればよく、2次元データであっても3次元データであってもよいが、3次元データが好ましい。3次元データの形式は、特に限定されないが、例えば、STL形式である。なお、CAM装置66とCAD装置68の両方の機能を1台の装置で実現してもよい。
【0031】
ここで、図6(a)に示す三次元形状を有する造形物47を積層造形によって生成する場合を例に挙げて、CAM装置66での造形データの生成及びこの造形データに基づく制御について説明する。なお、図6(a)に示す造形物47は、説明の便宜上、簡略化した形状にしている。
【0032】
まず、CAM装置66において、所望の三次元形状を有する造形物47をコンピュータ上でモデル化した造形物モデル48を作成し、このモデル48を所定単位高で水平面で分割して分割層49a,49b,・・・49fを形成する。CAM装置66は、分割層49a,49b,・・・49fのそれぞれの輪郭形状で囲まれた領域の全体に渡ってレーザ光Lが照射されるように走査経路を設定する。積層造形装置2では、図7図11に示すように、CAM装置66で設定された走査経路に沿ってレーザ光Lを材料粉体層8に対して照射することによって材料粉体を選択的に焼結させて、分割層49a,49b,・・・49fに対応した形状を有する焼結層50a,50b,・・・50fを形成すると共にこれらの層を互いに融合させる焼結工程が行われる。
【0033】
ここで、焼結工程について、より詳細に説明する。
まず、造形テーブル5上に造形プレート7を載置した状態で造形テーブル5の高さを適切な位置に調整する。この状態で材料収容部11a内に材料粉体が充填されているリコータヘッド11を図1の矢印B方向に造形領域Rの左側から右側に移動させることによって、造形テーブル5上に1層目の材料粉体層8を形成する。
次に、材料粉体層8中の所定部位にレーザ光Lを照射することによって材料粉体層8のレーザ光照射部位を焼結させることによって、図10に示すように、1層目の焼結層50aを得る。
次に、造形テーブル5の高さを材料粉体層8の1層分下げ、リコータヘッド11を造形領域Rの右側から左側に移動させることによって、焼結層50aを覆うように造形テーブル5上に2層目の材料粉体層8を形成する。
次に、上記と同様の方法に従って、材料粉体層8中の所定部位にレーザ光Lを照射することによって材料粉体層8のレーザ光照射部位を焼結させることによって、図11に示すように、2層目の焼結層50bを得る。
以上の工程を繰り返すことによって、3層目の焼結層50c、4層目の焼結層50d、5層目以降の焼結層が形成される。隣接する焼結層は、互いに強く固着される。
【0034】
なお、ここでは、説明の便宜上、分割層49及び焼結層50の数を6つにしたが、分割層49及び焼結層50の実際の層数は、(造形物47の高さ/分割層49の厚さ)によって算出され、例えば造形物47の高さが10cmで、分割層49の厚さが50μmである場合、層数は、2000となる。各焼結工程に要する時間は、造形物47の形状にもよるが、1〜60分程度である。
【0035】
ところで、造形物47の表面精度を高める等の目的で、複数層の焼結層50を形成する度に、焼結層50に対して、スピンドルヘッドに装着された回転切削工具によって切削加工を行う切削工程が実施される。CAM装置66では、この切削加工のための回転切削工具の種類や走査経路も設定される。
【0036】
このように、造形物47の積層造形工程では、図8に示すように、m(mは2以上の整数)層の焼結層50を形成するための焼結工程と、すでに形成された焼結層50に対して切削加工を行う切削工程が繰り返される。以下、焼結工程と切削工程を「単位工程」と総称する。また、隣接する切削工程の間のm回の焼結工程を焼結工程ブロックと称する。なお、図8では、各焼結工程ブロック毎に行う切削工程が1回であるように示されているが、2回以上の切削工程を行うことがある。
【0037】
CAM装置66から積層造形装置2の制御装置61に送られる造形データには、焼結工程を行うために必要なレーザ光Lの走査経路及び走査速度の情報や、切削工程を行うために必要な回転切削工具の走査経路及び走査速度の情報が含まれる。
【0038】
次に、図9のフローチャートを用いて、制御装置61の動作について説明する。
まず、ステップS1では、推定実行時間取得部71が造形データに基づいて各単位工程の推定実行時間を取得する。推定実行時間は、造形データに含まれるレーザ光L又は回転切削工具の走査経路及び走査速度から算出可能であるので、推定実行時間取得部71は、走査経路及び走査速度から各単位工程の推定実行時間を算出することによって、各単位工程の推定実行時間を取得することができる。また、別の方法として、CAM装置66が走査経路及び走査速度から各単位工程の推定実行時間を算出し、この推定実行時間が造形データに含められている場合には、推定実行時間取得部71は、単に、造形データ中から各単位工程の推定実行時間を抽出することによって、各単位工程の推定実行時間を取得することができる。推定実行時間取得部71は、取得した各単位工程の推定実行時間を記憶装置63に記憶させる。さらに、推定実行時間取得部71は、表2の工程テーブルに示すように、各単位工程の推定実行時間を表示装置64に表示させる。なお、説明の便宜上、各焼結工程ブロックに含まれる焼結工程の数を3にしているが、この数は、これよりも多くてもよい。また、推定実行時間は、分まで表示しているが、秒まで表示してもよい。
【0039】
【表2】
【0040】
次に、ステップS2では、事象管理部73は、保守管理データベース65から各保守項目について保守作業が必要になるまでの残時間を取得する。
次に、ステップS3では、事象管理部73は、取得した残時間に基づいて、必要な保守作業を何れかの単位工程に関連付けて表示する。本実施形態の例では、5層目焼結工程を行っている間に、ヒュームコレクタ19の使用時間が、「ヒュームコレクタ清掃」の残時間である72分に到達する見込みであるので、表3の工程テーブルに示すように、「ヒュームコレクタ清掃」を5層目焼結工程に関連付けて表示している。
【0041】
【表3】
【0042】
次に、ステップS4では、積層造形が開始される。具体的には、積層造形の開始ボタンを押すと、チャンバ1内が不活性ガスで充填され、チャンバ1内の酸素濃度が所定値(例:3%)以下に低減されると、1層目焼結工程が開始される。1層目焼結工程の開始時刻が記憶され、工程テーブルに表示される。
【0043】
次に、ステップS5では、予定時刻算出部72が各単位工程の開始予定時刻を算出する。各単位工程の開始予定時刻は、表4の工程テーブルに示すように、1層目焼結工程の開始時刻に対して、直前の単位工程までの推定実行時間の合計を足し合わせることによって算出することができる。具体的には例えば6層目焼結工程の開始予定時刻は、1層目焼結工程の開始時刻に対して、1層目焼結工程〜5層目焼結工程及び1回目切削工程のそれぞれの推定実行時間の合計を足し合わせることによって算出できる。なお、表4において、開始時刻は括弧なしで表記し、開始予定時刻は括弧で囲んで表記している。
【0044】
また、積層造形の開始ボタンを押してから1層目焼結工程が開始されるまでの時間が決まっている場合には、積層造形の開始ボタンを押した時刻を基準に各単位工程の開始予定時刻を算出してもよい。本実施形態では、一の単位工程が終了した直後に次の単位工程が開始されることが想定されているので、一の単位工程の終了予定時刻は、次の単位工程の開始予定時刻と同一であるが、一の単位工程と次の単位工程の間にインターバルがある場合には、各単位工程の終了予定時刻を算出したり、開始予定時刻と終了予定時刻の両方を算出したりするようにしてもよい。また、表4では、開始時刻及び開始予定時刻が日時で表示されているが、日付が不要な場合は、時刻のみを表示してもよい。
【0045】
【表4】
【0046】
次に、実行中の単位工程が終了するまで、ステップS6〜ステップS7が繰り返される。ステップS6では、積層造形の開始時刻(積層造形の開始ボタンが押された時刻であってもよく、1層目焼結工程の開始時刻であってもよい。)からの累積時間が記録され、表示装置64に表示される。ステップS15では、単位工程の実行中にアラームが発生したかどうかが判断され、発生していない場合(ステップS15のN)はそのままステップS7に進み、発生した場合(ステップS15のY)は、ステップS16に進み、発生したアラームをその発生タイミングと関連付けてアラーム履歴として記憶するアラーム履歴データベース67に記録する。アラームの種類としては、例えば、窒素濃度低下や回転切削工具破損が挙げられる。アラームの種類と関連付けられる発生タイミングを記録する方法としては、そのアラームが発生したときの時刻やアラームが発生したときに実行中の単位工程の工程名が挙げられる。ステップS7では、実行中の単位工程が終了したかどうかの判断が行われる。終了していない場合(ステップS7のN)は、ステップS6に戻る。終了している場合(ステップS7のY)には、ステップS8に進む。
【0047】
ステップS8では、全ての単位工程が終了したかどうかが判断される。終了している場合(ステップS8のY)は、積層造形処理を完了し、終了していない場合(ステップS8のN)は、ステップS9に進む。
【0048】
ステップS9では、次の単位工程に関連付けられている保守作業が存在しているかどうかが事象管理部73によって判断される。存在している場合(ステップS9のY)は、ステップS10に進み、存在していない場合(ステップS9のN)は、ステップS11に進む。1層目焼結工程の終了後の場合は、2層目焼結工程に関連付けられている保守作業が存在していないので、ステップS11に進む。
【0049】
ステップS11では、次の単位工程が開始される。1層目焼結工程の終了後の場合は、2層目焼結工程が開始される。このときの開始時刻が記憶され、工程テーブルに表示される。
【0050】
ステップS12では、各単位工程の開始予定時刻の再算出が必要かどうかが判断される。再算出は、各単位工程の実行後に行ってもよく、複数の単位工程の実行後に行ってもよい。また、再算出は、各焼結工程ブロックが完了する度に行ってもよく、各切削工程が完了する度に行ってもよい。また、別の観点では、ステップS11で開始した単位工程の実際の開始時刻とその開始予定時刻の差が所定の閾値を超えている場合に、再算出を行うようにしてもよい。さらに別の観点では、各単位工程の開始時刻に影響を与える事象が発生したときに、その事象の発生をトリガーとして再算出を行うようにしてもよい。例えば、焼結工程において、リコータヘッド11が障害に衝突して材料粉末層8の形成工程にやり直しが発生したときに再算出を行うようにしてもよい。リコータヘッド11が障害(具体的には焼結層50の隆起部)に衝突した後には、臨時の切削工程において焼結層50の表面を削ることによって障害を除去した後に、材料粉末層8の形成工程のやり直しが発生するが、このようなやり直しが発生した場合は、これ以降の単位工程の開始時刻が開始予定時刻から大幅にずれてしまう。このため、リコータヘッド11が障害に衝突した場合に再算出を行うことによって、再算出の頻度を高めることなく、各単位工程の開始予定時刻の予測精度を向上させることができる。ステップS12で再算出が必要であると判断された場合(ステップS12のY)、ステップS13に進み、不要であると判断された場合(ステップS12のN)、ステップS6に進む。
【0051】
ステップS13では、各単位工程の開始予定時刻の再算出が予定時刻算出部72によって行われる。再算出は、表5の工程テーブルに示すように、最も直近に開始された単位工程の開始時刻に対して、直前の単位工程までの推定実行時間の合計を足し合わせることによって算出することができる。具体的には例えば、最も直近に開始された単位工程が3層目焼結工程である場合は、6層目焼結工程の開始予定時刻は、3層目焼結工程の開始時刻に対して、3層目焼結工程〜5層目焼結工程及び1回目切削工程のそれぞれの推定実行時間の合計を足し合わせることによって算出できる。
【0052】
【表5】
【0053】
次に、ステップS6及びS7に戻り、次の単位工程が終了するまで、ステップS6〜ステップS7が繰り返され、各単位工程の終了後は、ステップS8以降が実行される。
【0054】
本実施形態の例では、5層目焼結工程に「ヒュームコレクタ清掃」が関連付けられているので、4層目焼結工程の終了後には、ステップS9での判断がYとなり、ステップS10に進む。ステップS10では、次の単位工程の実行を自動停止させるかどうかが事象管理部73によって判断される。各保守項目について、ユーザーが自動停止の要否を設定することが可能に構成されており、その設定内容が、記憶装置63に記憶される。事象管理部73によっては、記憶された設定情報に基づいて自動停止の要否を判断する。自動停止が不要である場合(ステップS10のN)は、ステップS11に進み、自動停止が必要な場合(ステップS10のY)はステップS14に進む。ステップS14では、単位工程の実行が一時停止され、実行の再開の指示があるまで待機する(ステップS14のN)。指示があると(ステップS14のY)ステップS11に進んで、次の単位工程が実行される。このように本実施形態では、単位工程の終了後に、次の単位工程が開始される前の段階で、単位工程の実行が一時停止されるので、単位工程の実行途中で一時停止されることがなく、不良造形を回避することができる。
【0055】
以上の通り、制御装置61の制御下で積層造形工程に含まれる各単位工程が実施され、造形物47が形成される。なお、積層造形の完了後は、粉体排出部27を通じて未焼結の材料粉体を排出することによって、造形物47を取り出すことができる。
【0056】
ところで、上記実施形態では、事象管理部73は、保守管理データベースに記憶された残時間に基づいて保守作業を行うタイミングを決めているが、この場合、保守作業を行うオペレータが不在のタイミングで保守作業が発生して積層造形が一時停止されたり、保守作業が行われなかったりするという不都合が生じてしまう。一方、保守作業を行うタイミングは、多少前後させることが許容される場合がある。そこで、このような不都合を解消するために、表6の工程テーブルに示すように、保守作業の表示を別の単位工程に移動させることが可能なように、事象管理部73が構成されることが好ましい。表6の例では、ヒュームコレクタ清掃の表示を5層目焼結工程から1回目切削工程に移動させている。このような移動が行われた場合、ステップS9での判断が移動後の表示内容に基づいて行われるので、3層目焼結工程終了後にステップS9の判断がYとなる。また、焼結工程ブロックの実行途中で処理を中断して保守作業を行うと、造形物47の品質に影響が出やすいので、切削工程の開始前又は切削工程の終了後に保守作業が行われるように、保守作業の表示を上記焼結工程ブロックの直前又は直後の切削工程又はその切削工程の直後の単位工程に自動的に移動させる設定が可能なように事象管理部73が構成されることが好ましい。
【0057】
【表6】
【0058】
ところで、制御装置61は、図12図14に示すように、任意の造形高さの部分造形物モデル48pを生成して表示装置64に表示させる造形物モデル表示部74を備えている。部分造形物モデル48pは、CAD装置68から受け取った形状データに基づいて生成されるものである。ユーザーは、スライダー81のゲージ82の位置を変更することによって、所望の造形高さの部分造形物モデル48pを表示させることができる。ユーザーは、ゲージ82を操作する代わりに別の手段によって部分造形物モデル48pの造形高さを指定することができる。例えば、造形高さを数値で入力することによって部分造形物モデル48pの造形高さを指定してもよい。造形高さは、造形物47の全体の高さに対する割合で指定してもよく、造形高さに対応した単位工程で指定してもよい。例えば、156層目焼結工程後の造形高さの部分造形物モデル48pを表示させたいときは、「156層目焼結工程」と指定することができる。また、造形高さは、その造形高さに対応した単位工程の開始予定時刻や、その造形高さまでの各単位工程の推定実行時間を積算して得られる累積推定実行時間で指定してもよい。このような指定方法によれば、午後4:37の時点での部分造形物モデル48pや、積層造形の開始から3時間14分経過後の部分造形物モデル48pを表示させることが可能になる。
【0059】
部分造形物モデル48pは、積層造形の開始前、積層造形中、積層造形終了後の何れの時点においても表示可能である。図12は、積層造形中に部分造形物モデル48pを表示させた例であり、部分造形物モデル48pと共に開始予定時刻が表示されている。各単位工程の開始予定時刻は、積層造形の開始前には決定されていないので、積層造形開始前に部分造形物モデル48pを表示させる場合は、開始予定時刻は表示させない。この場合、開始予定時刻の代わりに、累積推定実行時間を表示させてもよい。
【0060】
積層造形中に部分造形物モデル48pを表示させる場合は、部分造形物モデル48pに対応した造形高さまで積層造形がすでに完了している場合は、その造形高さまでの各単位工程の開始時刻がすでに確定しているので、その造形高さに対応した単位工程の開始時刻を部分造形物モデル48pと共に表示する。一方、部分造形物モデル48pに対応した造形高さまで積層造形がまだ完了していない場合は、図12のように開始予定時刻を表示する。
【0061】
積層造形終了後には全ての単位工程について開始時刻が確定しているので、図14に示すように、何れの造形高さの部分造形物モデル48pについても、その造形高さに対応した単位工程の開始時刻を部分造形物モデル48pと共に表示する。
【0062】
また、事象管理部73は、図13図14に示すように、保守作業及びアラーム履歴を表す識別子をユーザーが選択できるように表示装置64に表示させることができる。本実施形態では、識別子は、矢印であるが、別の図形又は文字であってもよい。
【0063】
図13(a)〜(d)は、積層造形の開始直後の表示状態であり、必要な保守作業を表す矢印83がスライダー81に沿って表示されている。図13(a)の表示状態のときに矢印83を選択すると、図13(b)に示すように、ゲージ82が矢印83の位置にまで移動して、移動後のゲージ82の位置に対応した造形高さの部分造形物モデル48pが表示される。図13(b)には、必要な保守作業が「ヒュームコレクタ清掃」であると表示されている。このように、必要な保守作業を示す矢印83を選択することによって、その保守作業に関連付けられた単位工程に対応した造形高さの部分造形物モデル48pが表示されるようになっている。このような構成によれば、保守作業を行う時点での部分造形物(造形物の一部)の形状を直感的に把握することができるので、その時点で積層造形を一時停止しても大丈夫かどうかの判断を効率的に行うことができる。また、図13(b)の状態で、「保守位置変更」の項目を「する」に変更すると、図13(c)に示すように、矢印83を任意の位置に移動することができるようになる。そして、任意の位置に移動させた後に、矢印83を選択すると、図13(d)に示すように、ゲージ82が矢印83の位置にまで移動して、移動後のゲージ82の位置に対応した造形高さの部分造形物モデル48pが表示される。このような構成によれば、積層造形を一時停止させても問題がない造形高さを選択した上で、積層造形を一時停止させて保守作業を行うことができるので、積層造形の不良の発生を抑制することができる。
【0064】
図14(a)〜(c)は、積層造形の終了後の表示状態であり、保守作業を行った時点を表す矢印83と、アラームの発生を表す矢印84がスライダー81に沿って表示されている。図14(a)の表示状態のときに矢印84を選択すると、図14(b)に示すように、ゲージ82が矢印84の位置にまで移動して、移動後のゲージ82の位置に対応した造形高さの部分造形物モデル48pが表示される。図14(b)には、発生したアラームが「窒素濃度低下」であると表示されている。このように、アラームの発生を示す矢印84を選択することによって、そのアラームに関連付けられた単位工程に対応した造形高さの部分造形物モデルが表示されるようになっている。このような構成によれば、造形物47のどの位置でアラームが発生したのかを直感的に把握することができるので、造形物47の検査を効率的に行うことができる。また、図14(a)又は(b)の表示状態のときに矢印83を選択すると、図14(c)に示すように、ゲージ82が矢印83の位置にまで移動して、移動後のゲージ82の位置に対応した造形高さの部分造形物モデル48pが表示される。図13(c)には、実行した保守作業が「ヒュームコレクタ清掃」であると表示されている。このような構成によれば、造形物47のどの位置で保守作業が発生したのかを容易に把握することができるので、造形物47の検査を効率的に行うことができる。
【0065】
本発明は、以下の態様でも実施可能である。
・上記実施形態では、制御装置61において、図12図14に示すように、部分造形物モデル48pの表示を行ったが、部分造形物モデル48pの表示を行う装置として、制御装置61以外の装置(以下、「表示管理装置」と称する。)を用いてもよい。表示管理装置としては、CAM装置66又はCAD装置68を利用してもよく、これ以外の装置を利用してもよい。そして、この表示管理装置において上述した造形物モデル表示部、事象管理部などの機能を実現させることができる。また、保守管理データベース65及びアラーム履歴データベース67を外部アクセス可能な状態に構成しておくことによって、表示管理装置は、これらのデータベース67から必要なデータを適宜抽出し、保守作業及びアラーム履歴に関連付けて、保守作業及びアラーム履歴に関連付けられた単位工程に対応した造形高さの部分造形物モデルを表示させることが可能になる。
【符号の説明】
【0066】
1:チャンバ、3:粉体層形成装置、5:造形テーブル、8:材料粉体層、11:リコータヘッド、13:レーザ光照射部、17:ヒューム付着防止部、26:粉体保持壁、27:粉体排出部、28:シューターガイド、31:駆動機構、42:レーザ光源、43a,43b:ガルバノスキャナ、44:集光レンズ、45:照射領域、47:造形物、48:造形物モデル、49:分割層、50:焼結層、L:レーザ光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14