特許第6203705号(P6203705)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203705
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】細胞免疫療法のための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/26 20150101AFI20170914BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20170914BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20170914BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20170914BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20170914BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20170914BHJP
   A61P 31/22 20060101ALI20170914BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20170914BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20170914BHJP
   A61P 33/00 20060101ALI20170914BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20170914BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20170914BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20170914BHJP
【FI】
   A61K35/26
   A61P37/04
   A61P35/00
   A61P35/02
   A61P31/12
   A61P31/00
   A61P31/22
   A61P31/18
   A61P31/14
   A61P33/00
   A61P1/16
   C12N5/0783
   !C12N15/00 A
【請求項の数】27
【全頁数】50
(21)【出願番号】特願2014-501282(P2014-501282)
(86)(22)【出願日】2012年3月23日
(65)【公表番号】特表2014-510108(P2014-510108A)
(43)【公表日】2014年4月24日
(86)【国際出願番号】US2012030388
(87)【国際公開番号】WO2012129514
(87)【国際公開日】20120927
【審査請求日】2015年3月20日
(31)【優先権主張番号】61/466,552
(32)【優先日】2011年3月23日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506139369
【氏名又は名称】フレッド ハッチンソン キャンサー リサーチ センター
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(72)【発明者】
【氏名】リデル, スタンリー アール.
(72)【発明者】
【氏名】フデツェク, ミヒャエル
【審査官】 小森 潔
(56)【参考文献】
【文献】 Molecular Therapy,2008年,Vol.16,No.3,p580−589
【文献】 Cytotherapy,2007年,Vol.9,No.8,p771−784
【文献】 Blood,2005年,Vol.106,No.9,p2995−3003
【文献】 Blood,2010年,Vol.116,No.22,p4532−4541
【文献】 Journal of Experimental Medicine,2010年,Vol.207,No.3,p651−667
【文献】 Blood,2011年 1月,Vol.117,No.3,p808−814
【文献】 Isolation of CD4+CD62L+ T Cells from human PBMCs,Miltenyi Biotec,2007年,[online],[平成28年1月15日検索],インターネット,URL,http://www.miltenyibiotec.co.jp/~/media/Images/Products/Import/0001400/IM0001421.ashx
【文献】 Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2009年,Vol.106,No.41,p17469−17474
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/26
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キメラ抗原受容体改変型CD4+ Tリンパ球とキメラ抗原受容体改変型CD8+ Tリンパ球とを含む、養子細胞免疫療法組成物であって、
a)該組成物中の該キメラ抗原受容体改変型CD4+ Tリンパ球は、抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含むCD4+ Tヘルパーリンパ球からなり、ならびに
b)該組成物中の該キメラ抗原受容体改変型CD8+ Tリンパ球は、セントラルメモリー細胞が濃縮されたCD8+細胞集団に由来するCD8+細胞障害性Tリンパ球からなり、かつ、該抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む、
養子細胞免疫療法組成物。
【請求項2】
前記CD4+ Tヘルパーリンパ球が
(a)CD62L+ CD45RA+のナイーブT細胞が濃縮されたCD4+集団
(b)CD62L+ CD45RO+のセントラルメモリーT細胞が濃縮されたCD4+集団
(c)CD62L+ CD45RA+のナイーブT細胞が濃縮され、かつ、CD62L+ CD45RO+のセントラルメモリーT細胞が濃縮されたCD4+集団
または(d)バルクCD4+ T細胞集団、
に由来する、請求項1に記載の養子細胞免疫療法組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の養子細胞免疫療法組成物であって、前記CD4+ Tヘルパーリンパ球および前記CD8+細胞障害性Tリンパ球が被験体に由来し、そしてここで:
(a)前記CD4+ Tヘルパーリンパ球が、前記抗原の存在下で培養した際に、該被験体由来の、エフェクターメモリーT細胞が濃縮されたCD4+ T細胞集団またはバルクCD4+ T細胞集団からインビトロで増殖され、かつ、該CD4+ Tヘルパーリンパ球に含まれる前記キメラ抗原受容体を含むように改変されたCD4+ T細胞の参照集団と比較して、より多量のIL−2を分泌するか、および/または、より高度の増殖を示す;
(b)該被験体由来の、エフェクターメモリーT細胞が濃縮されたCD4+ T細胞集団またはバルクCD4+ T細胞集団からインビトロで増殖され、かつ、該CD4+ Tヘルパーリンパ球に含まれる前記キメラ抗原受容体を含むように改変されたCD4+ T細胞の参照集団と比較して、前記キメラ抗原受容体改変型CD4+ Tヘルパーリンパ球のより高い割合が、CD62Lおよび/またはCD45RAについて表面陽性である;
(c)該被験体由来の、エフェクターメモリーT細胞が濃縮されたCD8+ T細胞集団またはバルクCD8+ T細胞集団からインビトロで増殖され、かつ、該CD8+細胞障害性Tリンパ球に含まれる前記キメラ抗原受容体を含むように改変されたCD8+ T細胞の参照集団と比較して、前記キメラ抗原受容体改変型CD8+細胞障害性Tリンパ球のより高い割合が、CD62L、CD45ROおよび/またはCCR7について表面陽性である;ならびに/または
(d)前記キメラ抗原受容体改変型CD8+細胞障害性Tリンパ球が、前記抗原の存在下でインビトロにおいて該CD4+ Tヘルパーリンパ球と共培養した際に、同じ条件下で、該被験体由来の、エフェクターメモリーT細胞が濃縮されたCD4+ T細胞集団またはバルクCD4+ T細胞集団からインビトロで増殖され、かつ、該CD4+ Tヘルパーリンパ球に含まれる前記キメラ抗原受容体を含むように改変されたCD4+ Tリンパ球の参照集団と共培養した際の該CD8+細胞障害性Tリンパ球の増殖の程度と比較して、より高度に増殖する、
養子細胞免疫療法組成物。
【請求項4】
キメラ抗原受容体改変型CD4+ Tリンパ球とキメラ抗原受容体改変型CD8+ Tリンパ球とを含む、養子細胞免疫療法組成物であって、
(a)該キメラ抗原受容体改変型CD4+ Tリンパ球は、抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含み、該組成物中のキメラ抗原受容体改変型CD4+ Tヘルパーリンパ球の少なくとも50%が、CD62Lおよび/またはCD45RAについて表面陽性であり、ならびに
(b)該キメラ抗原受容体改変型CD8+ Tリンパ球は、該抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含み、該組成物中のCD8+細胞障害性Tリンパ球の少なくとも50%が、CD62Lおよび/またはCD45ROについて表面陽性である、
養子細胞免疫療法組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の養子細胞免疫療法組成物であって、ここで:
(a)前記キメラ抗原受容体改変型CD4+ Tリンパ球の少なくとも60%が、CD62Lおよび/またはCD45RAについて表面陽性である;
(b)前記キメラ抗原受容体改変型CD8+ Tリンパ球の少なくとも60%が、CD62Lおよび/またはCD45ROについて表面陽性である;
(c)前記キメラ抗原受容体改変型CD4+ Tリンパ球の少なくとも80%が、CD62Lおよび/またはCD45RAについて表面陽性である;ならびに/または
(d)前記キメラ抗原受容体改変型CD8+ Tリンパ球の少なくとも80%が、CD62Lおよび/またはCD45ROについて表面陽性である、
養子細胞免疫療法組成物。
【請求項6】
前記キメラ抗原受容体が、細胞外抗体可変ドメイン、または、疾患もしくは障害に関連した抗原に特異的な単鎖抗体フラグメントと、細胞内シグナル伝達モジュールとを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の養子細胞免疫療法組成物。
【請求項7】
前記CD4+ Tリンパ球に含まれる前記キメラ抗原受容体の前記細胞内シグナル伝達モジュールと、前記CD8+ Tリンパ球に含まれる前記キメラ抗原受容体の前記細胞内シグナル伝達モジュールが、個別に、(a)CD28共刺激ドメイン、およびCD3細胞内シグナル伝達ドメイン、または(b)4−1BB共刺激ドメイン、およびCD3細胞内ドメインを含む、請求項6に記載の養子細胞免疫療法組成物。
【請求項8】
(a)前記CD8+ Tリンパ球に含まれる前記キメラ抗原受容体の前記細胞内シグナル伝達ドメインが、前記CD4+ Tリンパ球に含まれる前記キメラ抗原受容体の前記細胞内シグナル伝達ドメインと同じである;
(b)前記CD8+ Tリンパ球に含まれる前記キメラ抗原受容体の前記細胞内シグナル伝達ドメインが、前記CD4+ Tリンパ球に含まれる前記キメラ抗原受容体の前記細胞内シグナル伝達ドメインと異なる
(c)前記CD8+ Tリンパ球に含まれる前記キメラ抗原受容体が、前記CD4+ Tリンパ球に含まれる前記キメラ抗原受容体と同じである;または
(d)前記CD8+ Tリンパ球に含まれる前記キメラ抗原受容体が、前記CD4+ Tリンパ球に含まれる前記キメラ抗原受容体と異なる、
請求項6または7に記載の養子細胞免疫療法組成物。
【請求項9】
前記抗原が、固形腫瘍、血液系悪性腫瘍、メラノーマ、および病原体による感染症から選択される疾患または障害と関連した抗原である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の養子細胞免疫療法組成物。
【請求項10】
前記抗原が、オーファンチロシンキナーゼ受容体ROR1、tEGFR、Her2、L1−CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、HIV抗原、HCV抗原、HBV抗原、CMV抗原、寄生虫抗原、およびB型肝炎表面抗原からなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の養子細胞免疫療法組成物。
【請求項11】
がんの処置のための医薬の製造における請求項1〜10のいずれか一項に記載の養子細胞免疫療法組成物の使用。
【請求項12】
前記がんが、固形腫瘍、血液系悪性腫瘍、およびメラノーマから選択される、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
感染疾患の処置のための医薬の製造における請求項1〜10のいずれか一項に記載の養子細胞免疫療法組成物の使用。
【請求項14】
前記感染疾患がウイルス感染症である、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記ウイルス感染症が、ヘルペスウイルス、レトロウイルス、およびフラビウイルスによる感染症から選択される、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記ウイルス感染症が肝炎ウイルスによる感染症である、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記キメラ抗原受容体改変型CD4+ Tリンパ球が、前記キメラ抗原受容体改変型CD8+細胞障害性Tリンパ球のエフェクター機能を強化し得る、請求項11〜16のいずれか一項に記載の使用。
【請求項18】
前記キメラ抗原受容体改変型CD8+ Tリンパ球の少なくとも80%が、CD8+セントラルメモリーT細胞である、請求項11〜17のいずれか一項に記載の使用。
【請求項19】
がんの処置のために使用されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の養子細胞免疫療法組成物。
【請求項20】
前記がんが、固形腫瘍、血液系悪性腫瘍、およびメラノーマから選択される、請求項19に記載の養子細胞免疫療法組成物。
【請求項21】
感染疾患の処置のために使用されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の養子細胞免疫療法組成物。
【請求項22】
前記感染疾患がウイルス感染症である、請求項21に記載の養子細胞免疫療法組成物。
【請求項23】
前記ウイルス感染症が、ヘルペスウイルス、レトロウイルス、およびフラビウイルスによる感染症から選択される、請求項22に記載の養子細胞免疫療法組成物。
【請求項24】
前記ウイルス感染症が肝炎ウイルスによる感染症である、請求項23に記載の養子細胞免疫療法組成物。
【請求項25】
前記キメラ抗原受容体改変型CD4+ Tリンパ球が、前記キメラ抗原受容体改変型CD8+細胞障害性Tリンパ球のエフェクター機能を強化し得る、請求項19〜24のいずれか一項に記載の養子細胞免疫療法組成物。
【請求項26】
前記キメラ抗原受容体改変型CD8+ Tリンパ球の少なくとも80%が、CD8+セントラルメモリーT細胞である、請求項19〜25のいずれか一項に記載の養子細胞免疫療法組成物。
【請求項27】
(a)(i)セントラルメモリーT細胞が濃縮されたCD8+ Tリンパ球の集団、および(ii)CD4+ Tリンパ球の集団を個別にインビトロで増殖させることにより、増殖されたCD8+ Tリンパ球集団と増殖されたCD4+ Tリンパ球集団を生成するステップ;
(b)前記抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体をコードする核酸分子を導入することによって該増殖されたCD8+ Tリンパ球の細胞を改変し、前記抗原に特異的に結合する前記キメラ抗原受容体をコードする核酸分子を導入することによって該増殖されたCD4+ Tリンパ球の細胞を改変する、ステップ;ならびに
(c)必要に応じて、該改変されたCD8+ Tリンパ球および該改変されたCD4+ Tリンパ球の細胞を混合または組み合わせるステップ
を含み、それによって、養子細胞免疫療法組成物を生成する、請求項1〜10および19〜26のいずれか一項に記載の養子細胞免疫療法組成物を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国を除く全ての国について出願人として米国内企業であるフレッド ハッチンソン キャンサー リサーチ センターを指定し、国籍カナダ国のスタンリー アール. リデルと国籍ドイツ国のミヒャエル フデツェクを米国のみ出願人として指定した名義で、PCT国際特許出願として2012年3月23日に出願され、2011年3月23日に出願された米国特許出願第61/466,552号に対する優先権を主張する。米国特許出願第61/466,552号の開示は、その全体が本明細書に参考として援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、生物医学の分野、具体的には、がん治療に有用な方法に関する。特に、本発明の実施形態は、細胞免疫療法を行うための方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
連邦政府支援の研究に関する言明
本発明は、米国保健福祉省国立衛生研究所からの助成金R01CA18029の形をとる政府支援、および白血病リンパ腫協会(Leukemia and Lymphoma Society)SCORE助成金でなされた。米国政府は本発明に一定の権利を有する。
【0004】
発明の背景
齧歯類における研究は、抗原特異的T細胞での養子免疫療法が、がんおよび感染症に有効であることを実証しており、この様式がヒトにおいて治療活性を有するという証拠がある1−8。臨床適用について、所望の抗原特異性のT細胞を単離し、または感染細胞もしくは形質転換細胞を標的とする受容体を発現するようにT細胞を操作し、その後、これらの細胞を培養で増殖することが必要である9−14。T細胞クローンの移入は、それが特異性および機能の制御を可能にし、かつインビボの持続、毒性、および効力の評価を容易にするため、魅力的である。加えて、同種幹細胞移植の場合において、病原体または悪性細胞を標的とするドナー由来のT細胞クローンのレシピエントへの投与により、非選択性ドナーT細胞の注入で生じる移植片対宿主疾患を回避することができる3、4、15。しかしながら、培養T細胞、特にクローン化CD8 T細胞の効力は、養子移入後に持続できないことにより制限される場合が多いことが、臨床研究から明らかである16、17
【0005】
養子免疫療法のためのT細胞を引き出すことができるリンパ球のプールは、ナイーブT細胞、および長命の、抗原を経験したメモリーT細胞(T)を含有する。Tは、表現型、ホーミング性質、および機能の点で異なる、セントラルメモリー細胞(TCM)およびエフェクターメモリー細胞(TEM)のサブセットへさらに分類することができる18。CD8CMは、細胞表面にCD62LおよびCCR7を発現し、それらは、リンパ節への遊走を促進し、抗原に再曝露された場合には、急速に増殖する。CD8EMは、細胞表面CD62Lを欠き、末梢組織へ優先的に遊走し、即時エフェクター機能を示す19。抗原刺激に応答して、CD8CMおよびTEMのどちらも、高レベルのグランザイムおよびパーフォリンを発現するが、短命である細胞溶解性エフェクターT細胞(T)へ分化する20。したがって、臨床免疫療法治験におけるT細胞の低い生存率は、単に、インビトロ培養中の、死ぬように運命づけられているTへのそれらの分化に起因するにすぎない可能性がある17、21、22。インビボでの養子移入されたT細胞の生存の増強をもたらす細胞集団および方法を同定する必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
一態様において、本発明は、腫瘍特異的、サブセット特異的な、遺伝子改変されたCD4+ T細胞を養子移入することによるなどの細胞免疫療法により媒介される免疫応答を与え、および/または強化する方法および組成物であって、前記CD4+ T細胞が、CD8+ T細胞の抗腫瘍反応性を維持し、かつ腫瘍特異的増殖を増加させ、および/もしくは最大にする能力を与え、ならびに/または強化する、方法および組成物に関する。
【0007】
一実施形態において、本発明は、疾患または障害を有する被験体において、細胞免疫応答をもたらす遺伝子改変された細胞傷害性Tリンパ球細胞調製物、ならびに優勢Th1表現型を示し、加えて、他のサイトカインを産生し、直接的腫瘍認識を誘発し、および遺伝子改変された細胞傷害性Tリンパ球細胞調製物の細胞免疫応答を媒介する能力を強化する遺伝子改変されたヘルパーTリンパ球細胞調製物を被験体に投与することにより、細胞免疫療法を実施する方法であって、前記細胞傷害性Tリンパ球細胞調製物が、疾患または障害に関連した抗原に特異的な細胞外抗体可変ドメイン、および共刺激ドメインなどのT細胞受容体または他の受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体を有するCD8+ T細胞を含み、前記ヘルパーTリンパ球細胞調製物が、疾患または障害に関連した抗原に特異的な細胞外抗体可変ドメイン、およびT細胞受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体を有するCD4+ T細胞を含む、方法を提供する。上記方法の様々な改変が可能である。例えば、CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞を改変するキメラ抗原受容体は、同じ、または異なり得る。代替の実施形態において、T細胞は、組換えT細胞受容体(TCR)で改変することができる。TCRは、任意の抗原、病原体、または腫瘍に特異的であり得る。メラノーマ(例えば、MART1、gp100)、白血病(例えば、WT1、マイナー組織適合抗原)、乳がん(例えば、her2、NY−BR1)における多くの腫瘍抗原についてのTCRがある。
【0008】
別の実施形態において、本発明は、細胞免疫応答を誘発する遺伝子改変されたCD8+細胞傷害性Tリンパ球細胞調製物、ならびに優勢Th1表現型を示し、加えて、他のサイトカインを産生し、直接的腫瘍認識を誘発し、および遺伝子改変された細胞傷害性Tリンパ球細胞調製物の細胞免疫応答を媒介する能力を強化する遺伝子改変されたヘルパーTリンパ球細胞調製物を有する養子細胞免疫療法組成物であって、前記細胞傷害性Tリンパ球細胞調製物が、疾患または障害に関連した抗原に特異的な細胞外可変ドメイン抗体、および共刺激ドメインなどのT細胞受容体または他の受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体を有するCD8+ T細胞を含み、前記ヘルパーTリンパ球細胞調製物が、疾患または障害に関連した抗原に特異的な細胞外抗体可変ドメイン、およびT細胞受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体を有するCD4+ T細胞を有する、養子細胞免疫療法組成物を提供する。
【0009】
さらに別の実施形態において、本発明は、細胞免疫応答を誘発するキメラ抗原受容体改変型腫瘍特異的CD8+細胞傷害性Tリンパ球細胞調製物、およびCD45RO陰性、CD62L陽性、CD4陽性T細胞に由来する抗原反応性キメラ抗原受容体改変型ナイーブCD4+ Tヘルパー細胞、および薬学的に許容され得る担体を有する養子細胞免疫療法組成物であって、前記細胞傷害性Tリンパ球細胞調製物が、疾患または障害に関連した抗原に特異的な細胞外単鎖抗体およびT細胞受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体を有するCD8+ T細胞を含む、養子細胞免疫療法組成物を提供する。
【0010】
別の実施形態において、本発明は、患者由来のCD8+ T細胞を含む、細胞免疫応答を誘発する抗原特異的CD8+細胞傷害性Tリンパ球細胞調製物を、Th1サイトカイン応答を誘発し、病原体に対するCD8+免疫応答を強化する抗原反応性キメラ抗原受容体改変型CD4+ Tヘルパー細胞と共に有する養子細胞免疫療法組成物であって、前記ヘルパーTリンパ球細胞調製物が、疾患または障害に関連した抗原に特異的な細胞外抗体可変ドメイン、およびT細胞受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体を有するCD4+ T細胞を有する、養子細胞免疫療法組成物を提供する。
【0011】
別の実施形態において、本発明は、直接的腫瘍認識を誘発し、かつ病原体に対するCD8+免疫応答を強化する抗原反応性キメラ抗原受容体改変型CD4+ Tヘルパー細胞を含む養子細胞免疫療法組成物であって、前記ヘルパーTリンパ球細胞調製物が、疾患または障害に関連した抗原に特異的な細胞外抗体可変ドメイン、およびT細胞受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体を有するCD4+ T細胞を含む、養子細胞免疫療法組成物を提供する。
【0012】
別の態様において、本発明は、細胞免疫応答を誘発するキメラ抗原受容体改変型腫瘍特異的CD8+細胞傷害性Tリンパ球細胞調製物、および抗原反応性キメラ抗原受容体を得るステップであって、前記改変型細胞傷害性Tリンパ球細胞調製物が、疾患または障害に関連した抗原に特異的な細胞外抗体可変ドメイン、およびT細胞受容体の細胞内シグナル伝達モジュールを含むキメラ抗原受容体を有するCD8+ T細胞を含む、ステップ、ならびにTh1サイトカイン応答を誘発する改変型ナイーブCD4+ Tヘルパー細胞を得るステップであって、前記改変型ヘルパーTリンパ球細胞調製物が、疾患または障害に関連した抗原に特異的な細胞外抗体可変ドメイン、およびT細胞受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体を有するCD4+細胞を含む、ステップにより、養子免疫療法組成物を製造する方法を提供する。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、Th1サイトカイン応答を誘発する改変型ナイーブCD4+ Tヘルパー細胞を得るステップであって、前記改変型ヘルパーTリンパ球細胞調製物が、疾患または障害に関連した抗原に特異的な細胞外抗体可変ドメイン、およびT細胞受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体を有するCD4+ T細胞を含む、ステップ、ならびに前記改変型ナイーブCD4+ Tヘルパー細胞を、疾患または障害に関連した抗原に特異的な細胞外抗体可変ドメイン、およびT細胞受容体または他の受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体を有する抗原特異的セントラルメモリーCD8+細胞傷害性Tリンパ球細胞調製物と組み合わせるステップにより、養子免疫療法組成物を製造する方法を提供する。
【0014】
一実施形態において、本発明は、疾患または障害を有する被験体において、遺伝子改変されたヘルパーTリンパ球細胞調製物を被験体に投与することにより、細胞免疫療法を実施する方法であって、前記改変型ヘルパーTリンパ球細胞調製物が、疾患または障害に関連した抗原に特異的な細胞外抗体可変ドメイン、およびT細胞受容体の細胞内シグナル伝達モジュールを含むキメラ抗原受容体を有するCD4+ T細胞を含む、方法を提供する。
【0015】
本願は特定の実施形態において例えば以下の項目を提供する:
(項目1)
a)直接的腫瘍認識を誘発し、かつ病原体に対するCD8+免疫応答を強化する抗原反応性キメラ抗原受容体改変型CD4+ Tヘルパー細胞であって、ヘルパーTリンパ球細胞調製物が、疾患または障害に関連した抗原に特異的な細胞外抗体可変ドメイン、およびT細胞受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体を有するCD4+ T細胞を含む、抗原反応性キメラ抗原受容体改変型CD4+ Tヘルパー細胞、ならびに
b)生理学的に許容され得る賦形剤
を含む、養子細胞免疫療法組成物。
(項目2)
c)疾患または障害に関連した抗原に特異的な細胞外抗体可変ドメイン、およびT細胞受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体を有するCD8+ T細胞を含む、遺伝子改変されたCD8+細胞傷害性Tリンパ球細胞調製物
をさらに含む、項目1に記載の養子細胞免疫療法組成物。
(項目3)
c)患者由来のCD8+ T細胞を含む、細胞免疫応答を誘発する抗原特異的CD8+細胞傷害性Tリンパ球細胞調製物
をさらに含む、項目1に記載の養子細胞免疫療法組成物。
(項目4)
前記抗原反応性キメラ抗原受容体改変型CD4+ Tヘルパー細胞が、CD45RO陰性、CD62L陽性、CD4陽性のT細胞由来である、項目1〜3のいずれか一項に記載の養子細胞免疫療法組成物。
(項目5)
前記CD4+ Tヘルパーリンパ球細胞が、ナイーブCD4+ T細胞、セントラルメモリーCD4+ T細胞、エフェクターメモリーCD4+ T細胞、またはバルクCD4+ T細胞からなる群から選択される、項目1〜4のいずれか一項に記載の養子細胞免疫療法組成物。
(項目6)
前記CD4+ヘルパーリンパ球細胞がナイーブCD4+ T細胞であり、該ナイーブCD4+ T細胞が、CD45RO−、CD45RA+、CD62L+、CD4+ T細胞を含む、項目5に記載の養子細胞免疫療法組成物。
(項目7)
前記CD8+ T細胞傷害性リンパ球細胞が、ナイーブCD8+ T細胞、セントラルメモリーCD8+ T細胞、エフェクターメモリーCD8+ T細胞、またはバルクCD8+ T細胞からなる群から選択される、項目1〜6のいずれか一項に記載の養子細胞免疫療法組成物。
(項目8)
前記CD8+細胞傷害性Tリンパ球細胞がセントラルメモリーT細胞であり、該セントラルメモリーT細胞が、CD45RO+、CD62L+、CD8+ T細胞を含む、項目7に記載の養子細胞免疫療法組成物。
(項目9)
前記CD8+細胞傷害性Tリンパ球細胞がセントラルメモリーT細胞であり、かつ該CD4+ヘルパーTリンパ球細胞がナイーブCD4+ T細胞である、項目1〜8のいずれか一項に記載の養子細胞免疫療法組成物。
(項目10)
前記疾患または障害が、固形腫瘍、血液系悪性腫瘍、メラノーマ、またはウイルスによる感染症である、項目1〜9のいずれか一項に記載の養子細胞免疫療法組成物。
(項目11)
前記疾患または障害に関連した抗原が、腫瘍関連細胞表面抗原である、項目1〜10のいずれか一項に記載の養子細胞免疫療法組成物。
(項目12)
前記疾患または障害に関連した抗原が、オーファンチロシンキナーゼ受容体ROR1、tEGFR、Her2、L1−CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、およびB型肝炎表面抗原からなる群から選択される、項目1〜10のいずれか一項に記載の養子細胞免疫療法組成物。
(項目13)
前記キメラ抗原受容体が、単鎖抗体由来キメラ抗原受容体を含む、項目1〜12のいずれか一項に記載の養子細胞免疫療法組成物。
(項目14)
前記キメラ抗原受容体のT細胞受容体の細胞内シグナル伝達モジュールが、膜貫通ドメイン、CD28シグナル伝達ドメイン、およびCD3細胞内シグナル伝達ドメイン、またはT細胞共刺激分子の他のドメインを含む、項目1〜13のいずれか一項に記載の養子細胞免疫療法組成物。
(項目15)
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3細胞内ドメインに連結したCD28膜貫通シグナル伝達ドメインを含む、項目14に記載の養子細胞免疫療法組成物。
(項目16)
前記CD8+細胞傷害性T細胞の細胞内シグナル伝達ドメインが、前記CD4+ヘルパーT細胞の細胞内シグナル伝達ドメインと同じである、項目1〜15のいずれか一項に記載の養子細胞免疫療法組成物。
(項目17)
前記CD8+細胞傷害性T細胞の細胞内シグナル伝達ドメインが、前記CD4+ヘルパーT細胞の細胞内シグナル伝達ドメインと異なる、項目1〜15のいずれか一項に記載の養子細胞免疫療法組成物。
(項目18)
前記CD8+ T細胞および前記CD4+ T細胞がどちらも、病原体特異的細胞表面抗原を特異的に結合する抗体重鎖ドメインで遺伝子改変されている、項目2〜17のいずれか一項に記載の養子細胞免疫療法組成物。
(項目19)
前記疾患または障害に関連した病原体特異的細胞表面抗原が、HIV抗原、HCV抗原、HBV抗原、CMV抗原、および寄生虫抗原からなる群から選択される、項目18に記載の養子細胞免疫療法組成物。
(項目20)
がんの処置における項目1〜19のいずれか一項に記載の養子免疫療法組成物の使用。
(項目21)
前記がんが、固形腫瘍、血液系悪性腫瘍、またはメラノーマから選択される、項目20に記載の使用。
(項目22)
感染疾患の処置における項目1〜19のいずれか一項に記載の養子免疫療法組成物の使用。
(項目23)
前記感染疾患がウイルス感染症である、項目22に記載の養子免疫療法組成物の使用。
(項目24)
前記ウイルス感染症が、ヘルペスウイルス、レトロウイルス、およびフラビウイルスによる感染症から選択される、項目23に記載の養子免疫療法組成物の使用。
(項目25)
前記ウイルス感染症が肝炎ウイルスによる感染症である、項目24に記載の養子免疫療法組成物の使用。
(項目26)
Th1サイトカイン応答を誘発する改変型ナイーブCD4+ Tヘルパー細胞を得るステップであって、改変型ヘルパーTリンパ球細胞調製物が、前記疾患または障害に関連した抗原に特異的な細胞外抗体可変ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体を有するCD4陽性細胞を含む、ステップを含む、項目1〜19のいずれか一項に記載の養子免疫療法組成物を製造する方法。
(項目27)
細胞免疫応答を誘発するキメラ抗原受容体改変型腫瘍特異的CD8+細胞傷害性Tリンパ球細胞調製物、および抗原反応性キメラ抗原受容体を得るステップであって、前記改変型細胞傷害性Tリンパ球細胞調製物が、前記疾患または障害に関連した抗原に特異的な細胞外抗体可変ドメイン、およびT細胞受容体の細胞内シグナル伝達モジュールを含むキメラ抗原受容体を有するCD8+細胞を含む、ステップをさらに含む、項目26に記載の方法。
(項目28)
項目1〜19のいずれか一項に記載の組成物を投与するステップを含む、疾患または障害を有する被験体において細胞免疫療法を実施する方法。
(項目29)
以下のステップを含む、疾患または障害を有する被験体において細胞免疫療法を実施する方法:
該疾患または障害に関連した抗原の存在について該被験体の生体試料を分析するステップ、および項目1〜19のいずれか一項に記載の組成物を投与するステップであって、前記キメラ抗原受容体が該抗原に特異的に結合する、ステップ。
(項目30)
以下のステップを含む、疾患または障害を有する被験体において細胞免疫療法を実施する方法:
遺伝子改変されたヘルパーTリンパ球細胞調製物を該被験体に投与するステップであって、改変型ヘルパーTリンパ球細胞調製物が、該疾患または障害に関連した抗原に特異的な細胞外抗体可変ドメイン、およびT細胞受容体の細胞内シグナル伝達モジュールを含むキメラ抗原受容体を有するCD4+ T細胞を含む、ステップ。
(項目31)
遺伝子改変された細胞傷害性Tリンパ球細胞調製物を前記被験体に投与するステップであって、改変型細胞傷害性Tリンパ球細胞調製物が、前記疾患または障害に関連した抗原に特異的な細胞外抗体可変ドメイン、およびT細胞受容体の細胞内シグナル伝達モジュールを含むキメラ抗原受容体を有するCD8+ T細胞を含む、ステップをさらに含む、項目30に記載の方法。
(項目32)
前記疾患または障害に関連した抗原が腫瘍関連細胞表面抗原である、項目26〜31のいずれか一項に記載の方法。
(項目33)
前記疾患または障害に関連した抗原が、オーファンチロシンキナーゼ受容体ROR1、tEGFR、Her2、L1−CAM、CD19、およびCD20からなる群から選択される、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記疾患または障害に関連した抗原が、HIV抗原、HCV抗原、HBV抗原、CMV抗原、および寄生虫抗原からなる群からの病原体特異的細胞表面抗原である、項目26〜31のいずれか一項に記載の方法。
(項目35)
前記CD8+ T細胞および前記CD4+ T細胞がどちらも、病原体特異的細胞表面抗原を特異的に結合する抗体重鎖ドメインで遺伝子改変されている、項目34に記載の方法。
(項目36)
Th1表現型を有する前記キメラ抗原受容体改変型CD4+ Tヘルパーリンパ球細胞調製物が、腫瘍細胞の存在下で、増殖応答の増加を誘発し、持続を伝達し、または抗腫瘍反応性応答を増加させる、項目26〜35のいずれか一項に記載の方法。
(項目37)
前記CD4+ Tヘルパーリンパ球細胞が、ナイーブCD4+ T細胞、セントラルメモリーCD4+ T細胞、エフェクターメモリーCD4+ T細胞、またはバルクCD4+ T細胞からなる群から選択される、項目26〜36のいずれか一項に記載の方法。
(項目38)
前記CD4+ Tヘルパーリンパ球細胞がナイーブCD4+ Tである、項目37に記載の方法。
本発明のこれらを始めとする実施形態は、添付の明細書、図面、および特許請求の範囲においてさらに記載される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、ROR1−CARコード化レンチウイルスでCAR形質導入されたCD8+ T細胞系、および対照としての形質導入されていないCD8+ T細胞系における、キメラ抗原受容体(CAR)発現の表現型および分析を示す。ROR1−CARカセットは、形質導入マーカーとしての役割を果たす切断型EGFRを含有し、抗EGFRモノクローナル抗体での染色によって検出することができる。切断型Fc−ROR1融合タンパク質は、ROR1−CARの抗原結合ドメインに直接、結合し、ROR1−CAR形質導入されたT細胞系を選択的に染色するが、形質導入されていない対照T細胞系を染色しない。CD8+ T細胞の細胞表面上のROR1−CARの発現は、ROR1−Fc融合タンパク質への結合によって直接的に測定され、ベクター内で2A配列の下流にコードされている切断型EGFRの発現によって間接的に測定される。
図2図2は、51Cr遊離アッセイにおける、ヒトROR1陽性腫瘍細胞系(K562)および初代腫瘍細胞(B−CLL)および自己正常B細胞のパネルに対するROR1特異的キメラ抗原受容体を発現するCD8+ T細胞の細胞溶解活性を示す。悪性B細胞上にROR1の均一な発現があるが、成熟した正常B細胞上には発現がないことに一致して、遺伝子改変されたCD8+ ROR1−CAR T細胞のみがROR1+腫瘍細胞を溶解したが、成熟した正常B細胞を溶解しなかった。CD8+ ROR1−CAR T細胞は、初代CLLを含むROR1陽性腫瘍細胞に対して特異的な溶解活性を発揮するが、正常B細胞に対して発揮しない。
図3図3は、ROR1−CAR形質導入されたCD4+ T細胞系、および対照としての形質導入されていないCD4+ T細胞系の表現型およびCAR発現を示す。CD4+ T細胞の細胞表面上のROR1−CARの発現は、ROR1−Fc融合タンパク質への特異的結合によって測定される。切断型Fc ROR1融合タンパク質はROR1−CARに直接、結合するが、Fcタンパク質単独は、結合せず、ROR1−CAR形質導入されたCD4+ T細胞系を選択的に染色するが、形質導入されていない対照CD4+ T細胞系を染色せず、細胞表面上のROR1−CARの発現、およびROR1タンパク質への結合が確認される。CD4+ T細胞の細胞表面上のROR1−CARの発現は、ROR1−Fc融合タンパク質へ特異的に結合するが、対照Fc融合タンパク質に結合しないことによって測定される。
図4図4(すなわち、図4A〜4Bをまとめて)は、51Cr遊離アッセイにおいて、初代CLL、マントル細胞リンパ腫系Jeko−1、ROR1を安定的にトランスフェクションされたK562細胞(K562/ROR1)を含むROR1陽性腫瘍細胞のパネルに対して、CD4+ ROR1−CAR T細胞の弱いが、特異的な細胞溶解活性があり、しかし未変性のROR1陰性K562細胞に対してはないことを示している。CD4+ ROR1−CAR T細胞は、ROR1陽性腫瘍細胞に対して弱いが、特異的な溶解活性を発揮する。
図5図5(すなわち、図5A〜5Bをまとめて)は、IFNγ ELISA(図5A)およびマルチプレックスサイトカインアッセイ(図5B)の結果を示す。CD4+ ROR1−CAR T細胞系およびCD8+ ROR1−CAR T細胞系のサイトカイン分泌。CD4+ ROR1−CAR T細胞およびCD8+ ROR1−CAR T細胞を、ROR1+腫瘍細胞と共インキュベートし、インターフェロンガンマ(IFNg)のレベルをELISAにより測定し(5A)、IFNg、TNFa、IL−2、IL−4、IL−10、およびIL−17のレベルをLuminexアッセイによって測定した(5B)。CD4+ ROR1−CAR改変型T細胞は、ROR1陽性腫瘍細胞およびROR1陽性腫瘍細胞系を特異的に認識し、CD8+ ROR1−CAR改変型T細胞より高い量の、IFN−γ、TNF−α、特にIL−2を含むTh1サイトカインを産生する。これらのデータは、CD4+ ROR1−CAR T細胞が、ROR1−CARを通しての刺激後、ヘルパーエフェクター機能を発揮し、直接的抗腫瘍反応性を媒介することに加えて、CD8+ ROR1−CAR改変型T細胞の、細胞免疫応答を媒介する能力を強化するために利用することもできることを実証している。
図6図6は、CD4+ ROR1−CAR T細胞が、ROR1陽性腫瘍細胞系および初代腫瘍細胞での刺激後、増殖するように誘導されること(CFSEアッセイ)、ならびに増殖細胞のパーセンテージ、および増殖サブセットが起こした細胞分裂の回数の両方が、CD8+ ROR1−CAR改変型T細胞と比較して、有意に高かったことを示す増殖研究の結果を示している。CD4+ ROR1−CAR T細胞は、CD8+ ROR1−CAR CTLと比較して、ROR1陽性腫瘍細胞(K562/ROR1、初代CLL、およびJeko MCL)での刺激後、より活発に増殖する。
図7】ポリクローナルの選別されていないCD4+ ROR1 CAR T細胞は、CD8+ ROR1−CAR CTLを、それらが腫瘍に応答して増殖するのを促進することによって、援助する。(バルクCD4+ T細胞由来の)CD4+ ROR1−CAR T細胞は、ポリクローナルの選別されていないCD8+ ROR1−CAR CTLの増殖を有意に増加させた(個々の培養における18%→CD4+ CAR T細胞との共培養後の31.5%)。
図8A図8(すなわち、図8A〜8Dをまとめて)は、フロー選別精製されたCD4+ナイーブサブセット、CD4+セントラルメモリーサブセット、およびエフェクターメモリーサブセットからのCD4+ CAR T細胞系の作製、およびT細胞機能の分析を示す。サイトカインプロファイルおよび増殖能力は、ナイーブCD4+ T細胞由来のCD4+ ROR1−CAR T細胞が、CD8+ CTLを援助するのに最も良く適している可能性があることを示唆する。同様のデータが、CD19特異的CARを発現するCD4+ CAR T細胞系の機能を比較する実験において得られた。図8Aは、CD45RA、CD45RO、CD62Lの発現に基づいた、ナイーブCD4+ T細胞、セントラルメモリーCD4+ T細胞、およびエフェクターメモリーCD4+ T細胞のフロー選別精製を示す。図8Bは、選別精製されたナイーブCD4+ T細胞、セントラルメモリーCD4+ T細胞、およびエフェクターメモリーCD4+ T細胞のレンチウイルス形質導入により導かれたROR1−CAR T細胞系の増殖の分析を示す(CFSEアッセイ)。図8Cは、選別精製されたナイーブCD4+ T細胞、セントラルメモリーCD4+ T細胞、およびエフェクターメモリーCD4+ T細胞由来のROR1−CAR T細胞系のサイトカイン分泌の分析を示す(Luminexアッセイ)。図8Dは、選別精製されたナイーブCD4+ T細胞、セントラルメモリーCD4+ T細胞、およびエフェクターメモリーCD4+ T細胞由来のCD19−CAR T細胞系のサイトカイン分泌の分析を示す(Luminexアッセイ)。マルチプレックスサイトカイン分析により得られたサイトカインプロファイル(図8B)およびCFSE染色による増殖能力(図8C)は、ナイーブサブセット由来のCD4+ ROR1−CAR改変型T細胞が、ROR1陽性腫瘍細胞での刺激後、最も高いレベルのTh1サイトカインを産生し、かつ最も活発に増殖したことを示しており、それらが、CD8+ ROR1−CAR CTLを強化するのに最も良く適している可能性があることを示唆している。選別精製されたナイーブCD4+ T細胞、セントラルメモリーCD4+ T細胞、およびエフェクターメモリーCD4+ T細胞由来のCD19−CAR T細胞系のサイトカイン分泌の分析(Luminexアッセイ)は、CD4 T細胞サブセットの活性が多くのCARに対して一般化できることを実証している。
図8B図8(すなわち、図8A〜8Dをまとめて)は、フロー選別精製されたCD4+ナイーブサブセット、CD4+セントラルメモリーサブセット、およびエフェクターメモリーサブセットからのCD4+ CAR T細胞系の作製、およびT細胞機能の分析を示す。サイトカインプロファイルおよび増殖能力は、ナイーブCD4+ T細胞由来のCD4+ ROR1−CAR T細胞が、CD8+ CTLを援助するのに最も良く適している可能性があることを示唆する。同様のデータが、CD19特異的CARを発現するCD4+ CAR T細胞系の機能を比較する実験において得られた。図8Aは、CD45RA、CD45RO、CD62Lの発現に基づいた、ナイーブCD4+ T細胞、セントラルメモリーCD4+ T細胞、およびエフェクターメモリーCD4+ T細胞のフロー選別精製を示す。図8Bは、選別精製されたナイーブCD4+ T細胞、セントラルメモリーCD4+ T細胞、およびエフェクターメモリーCD4+ T細胞のレンチウイルス形質導入により導かれたROR1−CAR T細胞系の増殖の分析を示す(CFSEアッセイ)。図8Cは、選別精製されたナイーブCD4+ T細胞、セントラルメモリーCD4+ T細胞、およびエフェクターメモリーCD4+ T細胞由来のROR1−CAR T細胞系のサイトカイン分泌の分析を示す(Luminexアッセイ)。図8Dは、選別精製されたナイーブCD4+ T細胞、セントラルメモリーCD4+ T細胞、およびエフェクターメモリーCD4+ T細胞由来のCD19−CAR T細胞系のサイトカイン分泌の分析を示す(Luminexアッセイ)。マルチプレックスサイトカイン分析により得られたサイトカインプロファイル(図8B)およびCFSE染色による増殖能力(図8C)は、ナイーブサブセット由来のCD4+ ROR1−CAR改変型T細胞が、ROR1陽性腫瘍細胞での刺激後、最も高いレベルのTh1サイトカインを産生し、かつ最も活発に増殖したことを示しており、それらが、CD8+ ROR1−CAR CTLを強化するのに最も良く適している可能性があることを示唆している。選別精製されたナイーブCD4+ T細胞、セントラルメモリーCD4+ T細胞、およびエフェクターメモリーCD4+ T細胞由来のCD19−CAR T細胞系のサイトカイン分泌の分析(Luminexアッセイ)は、CD4 T細胞サブセットの活性が多くのCARに対して一般化できることを実証している。
図8C図8(すなわち、図8A〜8Dをまとめて)は、フロー選別精製されたCD4+ナイーブサブセット、CD4+セントラルメモリーサブセット、およびエフェクターメモリーサブセットからのCD4+ CAR T細胞系の作製、およびT細胞機能の分析を示す。サイトカインプロファイルおよび増殖能力は、ナイーブCD4+ T細胞由来のCD4+ ROR1−CAR T細胞が、CD8+ CTLを援助するのに最も良く適している可能性があることを示唆する。同様のデータが、CD19特異的CARを発現するCD4+ CAR T細胞系の機能を比較する実験において得られた。図8Aは、CD45RA、CD45RO、CD62Lの発現に基づいた、ナイーブCD4+ T細胞、セントラルメモリーCD4+ T細胞、およびエフェクターメモリーCD4+ T細胞のフロー選別精製を示す。図8Bは、選別精製されたナイーブCD4+ T細胞、セントラルメモリーCD4+ T細胞、およびエフェクターメモリーCD4+ T細胞のレンチウイルス形質導入により導かれたROR1−CAR T細胞系の増殖の分析を示す(CFSEアッセイ)。図8Cは、選別精製されたナイーブCD4+ T細胞、セントラルメモリーCD4+ T細胞、およびエフェクターメモリーCD4+ T細胞由来のROR1−CAR T細胞系のサイトカイン分泌の分析を示す(Luminexアッセイ)。図8Dは、選別精製されたナイーブCD4+ T細胞、セントラルメモリーCD4+ T細胞、およびエフェクターメモリーCD4+ T細胞由来のCD19−CAR T細胞系のサイトカイン分泌の分析を示す(Luminexアッセイ)。マルチプレックスサイトカイン分析により得られたサイトカインプロファイル(図8B)およびCFSE染色による増殖能力(図8C)は、ナイーブサブセット由来のCD4+ ROR1−CAR改変型T細胞が、ROR1陽性腫瘍細胞での刺激後、最も高いレベルのTh1サイトカインを産生し、かつ最も活発に増殖したことを示しており、それらが、CD8+ ROR1−CAR CTLを強化するのに最も良く適している可能性があることを示唆している。選別精製されたナイーブCD4+ T細胞、セントラルメモリーCD4+ T細胞、およびエフェクターメモリーCD4+ T細胞由来のCD19−CAR T細胞系のサイトカイン分泌の分析(Luminexアッセイ)は、CD4 T細胞サブセットの活性が多くのCARに対して一般化できることを実証している。
図8D図8(すなわち、図8A〜8Dをまとめて)は、フロー選別精製されたCD4+ナイーブサブセット、CD4+セントラルメモリーサブセット、およびエフェクターメモリーサブセットからのCD4+ CAR T細胞系の作製、およびT細胞機能の分析を示す。サイトカインプロファイルおよび増殖能力は、ナイーブCD4+ T細胞由来のCD4+ ROR1−CAR T細胞が、CD8+ CTLを援助するのに最も良く適している可能性があることを示唆する。同様のデータが、CD19特異的CARを発現するCD4+ CAR T細胞系の機能を比較する実験において得られた。図8Aは、CD45RA、CD45RO、CD62Lの発現に基づいた、ナイーブCD4+ T細胞、セントラルメモリーCD4+ T細胞、およびエフェクターメモリーCD4+ T細胞のフロー選別精製を示す。図8Bは、選別精製されたナイーブCD4+ T細胞、セントラルメモリーCD4+ T細胞、およびエフェクターメモリーCD4+ T細胞のレンチウイルス形質導入により導かれたROR1−CAR T細胞系の増殖の分析を示す(CFSEアッセイ)。図8Cは、選別精製されたナイーブCD4+ T細胞、セントラルメモリーCD4+ T細胞、およびエフェクターメモリーCD4+ T細胞由来のROR1−CAR T細胞系のサイトカイン分泌の分析を示す(Luminexアッセイ)。図8Dは、選別精製されたナイーブCD4+ T細胞、セントラルメモリーCD4+ T細胞、およびエフェクターメモリーCD4+ T細胞由来のCD19−CAR T細胞系のサイトカイン分泌の分析を示す(Luminexアッセイ)。マルチプレックスサイトカイン分析により得られたサイトカインプロファイル(図8B)およびCFSE染色による増殖能力(図8C)は、ナイーブサブセット由来のCD4+ ROR1−CAR改変型T細胞が、ROR1陽性腫瘍細胞での刺激後、最も高いレベルのTh1サイトカインを産生し、かつ最も活発に増殖したことを示しており、それらが、CD8+ ROR1−CAR CTLを強化するのに最も良く適している可能性があることを示唆している。選別精製されたナイーブCD4+ T細胞、セントラルメモリーCD4+ T細胞、およびエフェクターメモリーCD4+ T細胞由来のCD19−CAR T細胞系のサイトカイン分泌の分析(Luminexアッセイ)は、CD4 T細胞サブセットの活性が多くのCARに対して一般化できることを実証している。
図9図9は、CD8+ ROR1−CAR改変型T細胞とCD4+ ROR1−CAR改変型T細胞との共培養(形質導入されていない対照CD4+ T細胞とは共培養していない)を示す。CD8+ ROR1−CAR CTLの最大増殖を可能にするであろうCD8+ T細胞とCD4+ T細胞の最適な組み合わせを定義するための、ナイーブサブセット、セントラルメモリーサブセット、およびエフェクターメモリーサブセット由来のCD4+ ROR1−CAR T細胞系とCD8+ ROR1−CAR CTLとの共培養。CD4ナイーブROR1−CAR T細胞は、CD8セントラルメモリーROR1−CAR CTLを最もよく増殖させる。共培養は、CD8+サブセットの腫瘍特異的増殖の増加をもたらし、CD8+サブセットのその最大増殖は、ナイーブCD4+ T細胞由来のCD4+ ROR1−CAR T細胞との共培養後に観察される。
図10図10は、CD19+マントル細胞リンパ腫腫瘍系Jeko−1で刺激された、CD8+ CD19−CAR CTLおよびCD4+ CD19−CAR T細胞系に関する共培養実験におけるセントラルメモリー由来CD8+ CAR CTLの腫瘍特異的増殖を強化する、ナイーブサブセット由来のCD4+ CAR T細胞系の優れた能力を示す。セントラルメモリー由来CD8+ CAR CTLの腫瘍特異的増殖を強化する、ナイーブサブセット由来のCD4+ CAR T細胞系の優れた能力は、CD19+マントル細胞リンパ腫腫瘍系Jeko−1で刺激された、CD8+ CD19−CAR CTLおよびCD4+ CD19−CAR T細胞系に関する共培養実験において確認された。
図11A図11は、免疫不全マウスのリンパ腫モデル(NOD/SCID−Raji)において、CD8+ CAR T細胞およびCD4+ CAR T細胞が非依存的に、直接的抗腫瘍効力を与えることを示す。マウス群(n=3)に、ホタルルシフェラーゼ発現Raji腫瘍細胞を尾静脈注射によって接種し、単一用量の10×10個のT細胞で処置した。マウスは、CD19−CAR形質導入されたCD8+セントラルメモリー由来T細胞もしくは対照の偽形質導入されたCD8+セントラルメモリー由来T細胞(A)、またはCD19−CAR形質導入されたCD4+ナイーブ由来T細胞もしくは対照の偽形質導入されたCD4+ナイーブ由来T細胞(B)のいずれかを受けた。腫瘍量および腫瘍分布を、連続的な生物発光画像法を用いて分析した。
図11B図11は、免疫不全マウスのリンパ腫モデル(NOD/SCID−Raji)において、CD8+ CAR T細胞およびCD4+ CAR T細胞が非依存的に、直接的抗腫瘍効力を与えることを示す。マウス群(n=3)に、ホタルルシフェラーゼ発現Raji腫瘍細胞を尾静脈注射によって接種し、単一用量の10×10個のT細胞で処置した。マウスは、CD19−CAR形質導入されたCD8+セントラルメモリー由来T細胞もしくは対照の偽形質導入されたCD8+セントラルメモリー由来T細胞(A)、またはCD19−CAR形質導入されたCD4+ナイーブ由来T細胞もしくは対照の偽形質導入されたCD4+ナイーブ由来T細胞(B)のいずれかを受けた。腫瘍量および腫瘍分布を、連続的な生物発光画像法を用いて分析した。
図12図12は、全身性マントル細胞リンパ腫のマウス腫瘍モデル(NSG/Jeko−1−ffLuc)における、CD4+ ROR1−CAR改変型T細胞の、CD8+ ROR1−CAR CTLの抗腫瘍効力への強化および相乗効果を示す。全身性侵襲性マントル細胞リンパ腫のマウス腫瘍モデル(NSG/Jeko−1)におけるROR1−CAR改変型CD8+ T細胞およびROR1−CAR改変型CD4+ T細胞の抗腫瘍効力。CD8+ ROR1−CAR CTL、CD4+ ROR1−CAR T細胞、またはCD8+ ROR1−CAR T細胞とCD4+ ROR1−CAR T細胞の組み合わせの養子移入後の生物発光画像法を用いた腫瘍量の分析。全てのマウスは、同じ総用量のCAR T細胞を受けた。
図13A図13は、全身性リンパ腫のマウスモデル(NSG/Raji)におけるCD8+ CD19−CAR T細胞とCD4+ CD19−CAR T細胞の相乗作用を示す。NSGマウスに、ホタルルシフェラーゼ形質導入されたRaji腫瘍細胞を接種した。腫瘍接種後6日目に、生物発光画像法によりRaji腫瘍の生着が確認された(処置前)(処置スキームはAに示されており、生物発光による腫瘍生着はBに示されている)。その後、マウス群(n=5)を、CD8+ CD19−CAR改変型T細胞か、またはCD8+ CD19−CAR T細胞およびCD4+ CD19−CAR T細胞の両方を含有した組み合わせ型T細胞製造物のいずれかで処置した。全てのマウスは、同じ総用量のT細胞を受けた(10×10個)。生物発光画像法を用いた腫瘍量の分析により、CD8+ CD19−CAR T細胞で処置されたマウスのコホート、およびCD8+ CD19−CAR T細胞とCD4+ CD19−CAR T細胞の組み合わせ型T細胞製造物で処置されたマウスにおいてRaji腫瘍の完全な根絶が示された(B、処置後の中央の黒色バーおよび灰色バー)。その後、マウスを、Raji腫瘍細胞の2回目の接種で曝露させ、末梢血におけるCD4+ CAR T細胞およびCD8+ CAR T細胞の頻度、ならびに腫瘍生着を分析した。CD8+ CAR T細胞とCD4+ CAR T細胞の組み合わせ型T細胞製造物で処置されたマウスにおける、腫瘍曝露後の有意により高いレベルのCD8+ CAR T細胞(Cの下方のパネル)、およびRaji接種物の完全な拒絶(B、腫瘍曝露後の右の灰色バー)。対照的に、CD8+ CD19−CAR CTL単独を受けたマウスにおいて、本発明者らは、腫瘍曝露後にCAR T細胞の増加を検出せず(C)、Raji腫瘍細胞は生着することができた(パネルB、腫瘍曝露後の右の黒色バー)。
図13B図13は、全身性リンパ腫のマウスモデル(NSG/Raji)におけるCD8+ CD19−CAR T細胞とCD4+ CD19−CAR T細胞の相乗作用を示す。NSGマウスに、ホタルルシフェラーゼ形質導入されたRaji腫瘍細胞を接種した。腫瘍接種後6日目に、生物発光画像法によりRaji腫瘍の生着が確認された(処置前)(処置スキームはAに示されており、生物発光による腫瘍生着はBに示されている)。その後、マウス群(n=5)を、CD8+ CD19−CAR改変型T細胞か、またはCD8+ CD19−CAR T細胞およびCD4+ CD19−CAR T細胞の両方を含有した組み合わせ型T細胞製造物のいずれかで処置した。全てのマウスは、同じ総用量のT細胞を受けた(10×10個)。生物発光画像法を用いた腫瘍量の分析により、CD8+ CD19−CAR T細胞で処置されたマウスのコホート、およびCD8+ CD19−CAR T細胞とCD4+ CD19−CAR T細胞の組み合わせ型T細胞製造物で処置されたマウスにおいてRaji腫瘍の完全な根絶が示された(B、処置後の中央の黒色バーおよび灰色バー)。その後、マウスを、Raji腫瘍細胞の2回目の接種で曝露させ、末梢血におけるCD4+ CAR T細胞およびCD8+ CAR T細胞の頻度、ならびに腫瘍生着を分析した。CD8+ CAR T細胞とCD4+ CAR T細胞の組み合わせ型T細胞製造物で処置されたマウスにおける、腫瘍曝露後の有意により高いレベルのCD8+ CAR T細胞(Cの下方のパネル)、およびRaji接種物の完全な拒絶(B、腫瘍曝露後の右の灰色バー)。対照的に、CD8+ CD19−CAR CTL単独を受けたマウスにおいて、本発明者らは、腫瘍曝露後にCAR T細胞の増加を検出せず(C)、Raji腫瘍細胞は生着することができた(パネルB、腫瘍曝露後の右の黒色バー)。
図13C図13は、全身性リンパ腫のマウスモデル(NSG/Raji)におけるCD8+ CD19−CAR T細胞とCD4+ CD19−CAR T細胞の相乗作用を示す。NSGマウスに、ホタルルシフェラーゼ形質導入されたRaji腫瘍細胞を接種した。腫瘍接種後6日目に、生物発光画像法によりRaji腫瘍の生着が確認された(処置前)(処置スキームはAに示されており、生物発光による腫瘍生着はBに示されている)。その後、マウス群(n=5)を、CD8+ CD19−CAR改変型T細胞か、またはCD8+ CD19−CAR T細胞およびCD4+ CD19−CAR T細胞の両方を含有した組み合わせ型T細胞製造物のいずれかで処置した。全てのマウスは、同じ総用量のT細胞を受けた(10×10個)。生物発光画像法を用いた腫瘍量の分析により、CD8+ CD19−CAR T細胞で処置されたマウスのコホート、およびCD8+ CD19−CAR T細胞とCD4+ CD19−CAR T細胞の組み合わせ型T細胞製造物で処置されたマウスにおいてRaji腫瘍の完全な根絶が示された(B、処置後の中央の黒色バーおよび灰色バー)。その後、マウスを、Raji腫瘍細胞の2回目の接種で曝露させ、末梢血におけるCD4+ CAR T細胞およびCD8+ CAR T細胞の頻度、ならびに腫瘍生着を分析した。CD8+ CAR T細胞とCD4+ CAR T細胞の組み合わせ型T細胞製造物で処置されたマウスにおける、腫瘍曝露後の有意により高いレベルのCD8+ CAR T細胞(Cの下方のパネル)、およびRaji接種物の完全な拒絶(B、腫瘍曝露後の右の灰色バー)。対照的に、CD8+ CD19−CAR CTL単独を受けたマウスにおいて、本発明者らは、腫瘍曝露後にCAR T細胞の増加を検出せず(C)、Raji腫瘍細胞は生着することができた(パネルB、腫瘍曝露後の右の黒色バー)。
図13D図13は、全身性リンパ腫のマウスモデル(NSG/Raji)におけるCD8+ CD19−CAR T細胞とCD4+ CD19−CAR T細胞の相乗作用を示す。NSGマウスに、ホタルルシフェラーゼ形質導入されたRaji腫瘍細胞を接種した。腫瘍接種後6日目に、生物発光画像法によりRaji腫瘍の生着が確認された(処置前)(処置スキームはAに示されており、生物発光による腫瘍生着はBに示されている)。その後、マウス群(n=5)を、CD8+ CD19−CAR改変型T細胞か、またはCD8+ CD19−CAR T細胞およびCD4+ CD19−CAR T細胞の両方を含有した組み合わせ型T細胞製造物のいずれかで処置した。全てのマウスは、同じ総用量のT細胞を受けた(10×10個)。生物発光画像法を用いた腫瘍量の分析により、CD8+ CD19−CAR T細胞で処置されたマウスのコホート、およびCD8+ CD19−CAR T細胞とCD4+ CD19−CAR T細胞の組み合わせ型T細胞製造物で処置されたマウスにおいてRaji腫瘍の完全な根絶が示された(B、処置後の中央の黒色バーおよび灰色バー)。その後、マウスを、Raji腫瘍細胞の2回目の接種で曝露させ、末梢血におけるCD4+ CAR T細胞およびCD8+ CAR T細胞の頻度、ならびに腫瘍生着を分析した。CD8+ CAR T細胞とCD4+ CAR T細胞の組み合わせ型T細胞製造物で処置されたマウスにおける、腫瘍曝露後の有意により高いレベルのCD8+ CAR T細胞(Cの下方のパネル)、およびRaji接種物の完全な拒絶(B、腫瘍曝露後の右の灰色バー)。対照的に、CD8+ CD19−CAR CTL単独を受けたマウスにおいて、本発明者らは、腫瘍曝露後にCAR T細胞の増加を検出せず(C)、Raji腫瘍細胞は生着することができた(パネルB、腫瘍曝露後の右の黒色バー)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書で用いられる場合、「T細胞」または「Tリンパ球」は、サル、イヌ、およびヒトを含む、任意の哺乳類、好ましくは霊長類の種由来であってもよい。いくつかの実施形態において、T細胞は、レシピエント被験体と同種異系(同じ種であるが、異なるドナー由来)であり、いくつかの実施形態において、T細胞は、自己性(ドナーとレシピエントが同じである)であり、いくつかの実施形態において、T細胞は同系(ドナーとレシピエントは異なるが、一卵性双生児である)である。
【0018】
本明細書で用いられる場合、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)は、その表面上にCD8を発現するTリンパ球(すなわち、CD8 T細胞)を指す。いくつかの実施形態において、そのような細胞は、好ましくは、抗原を経験している「メモリー」T細胞(T細胞)である。
【0019】
本明細書で用いられる場合、「セントラルメモリー」T細胞(または「TCM」)は、その表面上にCD62LおよびCD45ROを発現し、かつナイーブ細胞と比較して、CD45RAを発現せず、またはCD45RAの発現が少ない、抗原を経験したCTLを指す。実施形態において、セントラルメモリー細胞は、CD62L、CCR7、CD28、CD127、CD45RO、およびCD95の発現について陽性であり、CD54RAの発現がナイーブ細胞と比較して少ない。
【0020】
本明細書で用いられる場合、「エフェクターメモリー」T細胞(または「TEM」)は、その表面上に、セントラルメモリー細胞と比較して、CD62Lを発現せず、またはCD62Lの発現が少なく、かつナイーブ細胞と比較して、CD45RAを発現せず、またはCD45RAの発現が少ない、抗原を経験したCTLを指す。実施形態において、エフェクターメモリー細胞は、ナイーブ細胞またはセントラルメモリー細胞と比較して、CD62L、CCR7、CD28、CD45RAの発現について陰性であり、CD127について陽性である。
【0021】
本明細書で用いられる場合、「ナイーブ」T細胞は、CD62LおよびCD45RAを発現し、かつセントラルメモリー細胞と比較して、CD45RO−を発現せず、またはCD45ROの発現が少ない、抗原を経験していないTリンパ球を指す。いくつかの実施形態において、ナイーブCD8+ Tリンパ球は、CD62L、CCR7、CD28、CD3、CD127、およびCD45RAを含む、ナイーブT細胞の表現型マーカーの発現により特徴づけられる。
【0022】
本明細書で用いられる場合、「エフェクター」「T」T細胞は、セントラルメモリー細胞と比較して、CD62L、CCR7、CD28を発現せず、またはそれらの発現が少なく、かつグランザイムBおよびパーフォリンについて陽性である、抗原を経験した細胞傷害性Tリンパ球細胞を指す。
【0023】
混合物において細胞型の量を記載するために本明細書で用いられる場合、「濃縮された」および「枯渇した」は、結果として、「濃縮された」型の数の増加、および「枯渇した」細胞の数の減少を生じる工程または段階に細胞の混合物を供することを指す。したがって、濃縮工程に供される最初の細胞集団の供給源に依存して、混合物または組成物は、(数またはカウントにおいて)60、70、80、90、95、または99パーセント、またはそれ以上の「濃縮された」細胞、および(数またはカウントにおいて)40、30、20、10、5、または1パーセント、またはそれ未満の「枯渇した」細胞を含み得る。
【0024】
インターロイキン−15は、既知のものであり、例えば、米国特許第6,344,192号に記載されている。
【0025】
本明細書で用いられる場合、「CAR」は、疾患または障害に関連した抗原に特異的な抗体の細胞外可変ドメイン、および共刺激ドメインなどのT細胞受容体または他の受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体を指す。
【0026】
本開示の形態
インビトロ培養中のCD4+ Tリンパ球は、インビトロおよびインビボで、腫瘍特異的CD8+ T細胞の増殖、持続、および抗腫瘍反応性を有意に増加させる。いくつかの実施形態において、ナイーブCD4+ T細胞は、セントラルメモリーCD4+ T細胞およびエフェクターメモリーCD4+ T細胞、またはバルクCD4+ T細胞由来のCD4+ T細胞と比較して、より優れたヘルパー活性をもたらす固有プログラミングを有する。
【0027】
実施形態において、腫瘍反応性CD4+ T細胞は、オーファンチロシンキナーゼ受容体ROR1またはCD19分子に特異的な単鎖抗体由来キメラ抗原受容体(CAR)で改変される。ROR1は、慢性リンパ性白血病(CLL)およびマントル細胞リンパ腫(MCL)において一律に発現しており、抗ROR1モノクローナル抗体(mAb)由来のROR1特異的CARは、CD8+細胞傷害性T細胞(CTL)内に発現する場合、悪性B細胞の特異的認識を与えるが、成熟した正常B細胞の認識を与えない。バルクCD4+ T細胞ならびにフロー選別精製されたナイーブCD4+ T細胞、セントラルメモリーCD4+ T細胞、およびエフェクターメモリーCD4+ T細胞由来のROR1−CAR T細胞は、健康なドナーおよびCLL患者のどちらの末梢血からも得られる。CD4+ CAR T細胞は、初代CLL、MCL系Jeko−1、およびROR1をトランスフェクションされたK562細胞を含むROR1+腫瘍に対して特異的であるが、弱い細胞溶解活性を有していた。マルチプレックスサイトカイン分析は、Th1サイトカインの高レベル産生を検出し、CD8+ CAR CTLと比較して、IFNγ、TNFa、および特にIL−2のレベルが有意に高い。CFSE染色は、ROR1陽性腫瘍細胞での刺激後、劇的により高い増殖を示し、増殖するように誘導された細胞のパーセンテージ、および増殖サブセットが起こした細胞分裂の回数の両方が、CD8+ CAR CTLと比較して、有意に高い。健康なドナーおよびCLL患者のどちらから得られたCD4+ T細胞も、ROR1特異的CARでの遺伝子改変後、抗腫瘍反応性を獲得する。さらに、外因性サイトカインの非存在下で増殖する能力、および高レベルのTh1サイトカインを産生する能力により、CD4+ CAR T細胞は、CARを通しての刺激後に典型的なヘルパー機能を発揮するということが実証され、直接的抗腫瘍効果を与えることに加えて、腫瘍特異的CD8+ CTLを強化するために利用し得ることが示唆される。
【0028】
フロー選別精製されたCD4+ナイーブサブセット、セントラルメモリーサブセット、およびエフェクターメモリーサブセット由来のROR1−CAR T細胞のサイトカインプロファイルおよび増殖能力が得られる。ナイーブCD45RA+ CD45RO− CD62L+サブセット由来のCD4+ CAR T細胞は、ROR1+腫瘍細胞に応答して、最も高いレベルのTh1サイトカイン、特にIL−2を産生し、増殖する。実際、共培養実験において、CAR形質導入されたCD4+ T細胞の添加は、CD8+ CAR CTLの腫瘍特異的増殖の有意な増加をもたらすが、形質導入されていないCD4+ T細胞はもたらさない。いくつかの実施形態において、セントラルメモリーサブセットおよびエフェクターメモリーサブセットまたはバルクCD4+ T細胞よりむしろナイーブサブセット由来のCAR改変型CD4+ T細胞が、CD8+ CAR CTLの増殖の増強をもたらす。
【0029】
CD8+セントラルメモリーT細胞は、それらが投与後の長期間持続することを可能にする固有のプログラミングを有し、それゆえに免疫療法のためのCD8+ T細胞の好ましいサブセットである。実施形態において、選別精製されたCD8+セントラルメモリーT細胞由来のROR1−CARまたはCD19 CAR改変型CTLおよびCD4+ナイーブCAR改変型T細胞は、CD8+ T細胞サブセットの増殖の増強をもたらす。実施形態において、腫瘍特異的CD4+ T細胞は、インビトロおよびインビボで、抗腫瘍反応性を発揮し、かつ腫瘍特異的CD8+ T細胞を援助する。特定の実施形態において、ナイーブサブセット由来の腫瘍特異的CD4+ T細胞が利用される。
【0030】
別の実施形態において、CD8+ T細胞およびCD4+ T細胞は、T細胞受容体(TCR)で改変することができる。TCRは、任意の抗原、病原体、または腫瘍(メラノーマ(例えば、MART1、gp100)、白血病(例えば、WT1、マイナー組織適合抗原)、乳がん(例えば、her2、NY−BR1)における多くの腫瘍抗原についてのTCRがある)に特異的であり得る。
【0031】
詳細な説明
組成物
本開示は、遺伝子改変された細胞傷害性Tリンパ球細胞調製物の細胞免疫応答を媒介する能力を強化する、遺伝子改変されたヘルパーTリンパ球細胞調製物を含む養子細胞免疫療法組成物であって、前記ヘルパーTリンパ球細胞調製物が、疾患または障害に関連した抗原に特異的な細胞外抗体可変ドメイン、およびT細胞受容体または他の受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体を有するCD4+ T細胞を含む、養子細胞免疫療法組成物を提供する。
【0032】
いくつかの実施形態において、養子細胞免疫療法組成物は、細胞免疫応答を誘発するキメラ抗原受容体改変型腫瘍特異的CD8+細胞傷害性Tリンパ球細胞調製物をさらに含み、前記細胞傷害性Tリンパ球細胞調製物が、疾患または障害に関連した抗原に特異的な細胞外単鎖抗体およびT細胞受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体を有するCD8+ T細胞を含む。
【0033】
いくつかの実施形態において、養子細胞免疫療法組成物は、CD45RO陰性、CD62L陽性、CD4陽性のT細胞由来の抗原反応性キメラ抗原受容体改変型ナイーブCD4+ Tヘルパー細胞、および薬学的に許容され得る担体と組み合わせて、細胞免疫応答を誘発するキメラ抗原受容体改変型腫瘍特異的CD8+細胞傷害性Tリンパ球細胞調製物を含み、前記細胞傷害性Tリンパ球細胞調製物が、疾患または障害に関連した抗原に特異的な細胞外単鎖抗体およびT細胞受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体を有するCD8+ T細胞を含む。
【0034】
他の実施形態において、養子細胞免疫療法組成物は、患者由来の細胞免疫応答を誘発する抗原特異的CD8+細胞傷害性Tリンパ球細胞調製物を、CD8+免疫応答を強化する抗原反応性キメラ抗原受容体改変型ナイーブCD4+ Tヘルパー細胞と組み合わせて含み、前記ヘルパーTリンパ球細胞調製物が、疾患または障害に関連した抗原に特異的な細胞外抗体可変ドメイン、およびT細胞受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体を有するCD4+ T細胞を含む。
【0035】
さらなる実施形態において、養子細胞免疫療法組成物は、CD8+免疫応答を強化する抗原反応性キメラ抗原受容体改変型ナイーブCD4+ Tヘルパー細胞を含み、前記ヘルパーTリンパ球細胞調製物が、疾患または障害に関連した抗原に特異的な細胞外抗体可変ドメイン、およびT細胞受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体を有するCD4+ T細胞を含む。
【0036】
実施形態において、CD4+ Tヘルパーリンパ球細胞は、ナイーブCD4+ T細胞、セントラルメモリーCD4+ T細胞、エフェクターメモリーCD4+ T細胞、またはバルクCD4+ T細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、CD4+ヘルパーリンパ球細胞は、ナイーブCD4+ T細胞であり、前記ナイーブCD4+ T細胞は、CD45RO−、CD45RA+、CD62L+、CD4+ T細胞を含む。実施形態において、CD8+ T細胞傷害性リンパ球細胞は、ナイーブCD8+ T細胞、セントラルメモリーCD8+ T細胞、エフェクターメモリーCD8+ T細胞、またはバルクCD8+ T細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、CD8+細胞傷害性Tリンパ球細胞は、セントラルメモリーT細胞であり、前記セントラルメモリーT細胞は、CD45RO+、CD62L+、CD8+ T細胞を含む。さらに他の実施形態において、CD8+細胞傷害性Tリンパ球細胞は、セントラルメモリーT細胞であり、CD4+ヘルパーTリンパ球細胞は、ナイーブCD4+ T細胞である。
【0037】
代替の実施形態において、T細胞は、組換えT細胞受容体で改変することができる。TCRは、任意の抗原、病原体、または腫瘍に特異的であり得る。メラノーマ(例えば、MART1、gp100)、白血病(例えば、WT1、マイナー組織適合抗原)、乳がん(例えば、her2、NY−BR1)における多くの腫瘍抗原についてのTCRがある。
【0038】
Tリンパ球集団の選択および選別
本明細書に記載された組成物は、抗原反応性CD4+ Tリンパ球およびCD8+ Tリンパ球を提供する。
【0039】
Tリンパ球は、公知の技術に従って収集して、フローサイトメトリーおよび/または免疫磁気選択などの抗体への親和結合などの公知の技術により濃縮し、または枯渇させることができる。濃縮および/または枯渇ステップ後、所望のTリンパ球のインビトロ増殖は、公知の技術(Riddellらの米国特許第6,040,177号に記載されたものが挙げられるが、それらに限定されない)または当業者に明らかであろうそれらのバリエーションに従って実行することができる。
【0040】
例えば、所望のT細胞集団または亜集団を、インビトロで最初のTリンパ球集団を培地へ加え、その後、その培地へ非分裂末梢血単核球(PBMC)などのフィーダー細胞を加え(例えば、生じる細胞集団が、増殖されるべき最初の集団における1個のTリンパ球に対して少なくとも約5個、10個、20個、または40個、またはそれ以上のPBMCフィーダー細胞を含有するように)、その培養物を(例えば、T細胞の数を増加させるのに十分な時間)インキュベートすることにより増殖させてもよい。非分裂フィーダー細胞は、γ線照射されたPBMCフィーダー細胞を含むことができる。いくつかの実施形態において、PBMCは、約3000〜3600ラドの範囲でのγ線で照射される。T細胞およびフィーダー細胞の培地への添加の順番は、必要に応じて逆にすることができる。培養物は、典型的には、Tリンパ球の成長に適している温度などの条件下でインキュベートすることができる。ヒトTリンパ球の成長について、例えば、温度は、一般的には、少なくとも摂氏約25度、好ましくは少なくとも約30度、より好ましくは約37度であろう。
【0041】
増殖されるTリンパ球としては、ヒト腫瘍または病原体上に存在する抗原に特異的である細胞傷害性Tリンパ球(CTL)およびヘルパーTリンパ球が挙げられる。
【0042】
任意で、増殖方法は、フィーダー細胞として非分裂性のEBV形質転換されたリンパ芽球様細胞(LCL)を加えるステップをさらに含んでもよい。LCLは、約6000〜10000ラドの範囲でのγ線で照射することができる。LCLフィーダー細胞は、少なくとも約10:1のLCLフィーダー細胞対最初のTリンパ球の比など任意の適切な量で供給されてもよい。
【0043】
任意で、増殖方法は、抗CD3モノクローナル抗体を(例えば、少なくとも約0.5ng/mlの濃度で)培地へ加えるステップをさらに含んでもよい。任意で、増殖方法は、IL−2および/またはIL−15を培地へ加えるステップをさらに含んでもよい(例えば、IL−2の濃度は少なくとも約10ユニット/mlである)。
【0044】
Tリンパ球の単離後、細胞傷害性Tリンパ球およびヘルパーTリンパ球の両方は、増殖(exoansion)の前または後のいずれかで、ナイーブT細胞亜集団、メモリーT細胞亜集団、およびエフェクターT細胞亜集団へ選別することができる。
【0045】
CD8+細胞は、標準方法を用いることにより得ることができる。いくつかの実施形態において、CD8+細胞は、ナイーブ細胞、セントラルメモリー細胞、およびエフェクター細胞へ、CD8+細胞のそれらの型のそれぞれに関連している細胞表面抗原を同定することにより、さらに選別される。実施形態において、メモリーT細胞は、CD8+末梢血リンパ球のCD62L+サブセットとCD62L−サブセットの両方に存在する。PBMCは、抗CD8抗体および抗CD62L抗体での染色後、CD62L− CD8+画分およびCD62L+ CD8+画分へ選別される。いくつかの実施形態において、セントラルメモリーTCMの表現型マーカーの発現は、CD45RO、CD62L、CCR7、CD28、CD3、およびCD127を含み、グランザイムBについて陰性である。いくつかの実施形態において、セントラルメモリーT細胞は、CD45RO+、CD62L+、CD8+ T細胞である。いくつかの実施形態において、エフェクターTは、CD62L、CCR7、CD28、およびCD127について陰性であり、グランザイムBおよびパーフォリンについて陽性である。いくつかの実施形態において、ナイーブCD8+ Tリンパ球は、CD62L、CCR7、CD28、CD3、CD127、およびCD45RAを含むナイーブT細胞の表現型マーカーの発現により特徴づけられる。
【0046】
細胞または細胞集団が特定の細胞表面マーカーについて陽性であるかどうかは、その表面マーカーに対する特異的な抗体およびアイソタイプ適合対照抗体での染色を用いるフローサイトメトリーにより決定することができる。マーカーについて陰性の細胞集団は、アイソタイプ対照を上回る特異的抗体での細胞集団の有意な染色の欠如を指し、陽性は、アイソタイプ対照を上回る細胞集団の均一な染色を指す。いくつかの実施形態において、マーカーのうちの1つの発現の減少は、参照細胞集団と比較して、細胞の平均蛍光強度における1 log10の消失、および/または少なくとも細胞の20%、細胞の25%、細胞の30%、細胞の35%、細胞の40%、細胞の45%、細胞の50%、細胞の55%、細胞の60%、細胞の65%、細胞の70%、細胞の75%、細胞の80%、細胞の85%、細胞の90%、細胞の95%、および細胞の100%、および20%〜100%の間の任意の%の、そのマーカーを示す細胞のパーセンテージの減少を指す。いくつかの実施形態において、マーカーのうちの1つについて陽性の細胞集団は、参照細胞集団と比較して、少なくとも細胞の50%、細胞の55%、細胞の60%、細胞の65%、細胞の70%、細胞の75%、細胞の80%、細胞の85%、細胞の90%、細胞の95%、および細胞の100%、および50%〜100%の間の任意の%の、そのマーカーを示す細胞のパーセンテージを指す。
【0047】
CD4+ Tヘルパー細胞は、細胞表面抗原を有する細胞集団を同定することにより、ナイーブ細胞、セントラルメモリー細胞、およびエフェクター細胞へ選別される。CD4+リンパ球は、標準方法によって得ることができる。いくつかの実施形態において、ナイーブCD4+ Tリンパ球は、CD45RO−、CD45RA+、CD62L+、CD4+ T細胞である。いくつかの実施形態において、セントラルメモリーCD4+細胞は、CD62L陽性であり、かつCD45RO陽性である。いくつかの実施形態において、エフェクターCD4+細胞は、CD62LおよびCD45ROが陰性である。
【0048】
抗原特異的であるCD4+集団およびCD8+集団は、ナイーブまたは抗原特異的Tリンパ球を抗原で刺激することにより得ることができる。例えば、抗原特異的T細胞クローンは、サイトメガロウイルス抗原に対して、感染した被験体からT細胞を単離し、インビトロでその細胞を同じ抗原で刺激することによって、産生することができる。ナイーブT細胞もまた用いられてもよい。腫瘍細胞、がん細胞、または感染病原体由来の抗原のいくつでも利用できる。そのような抗原の例としては、HIV抗原、HCV抗原、HBV抗原、CMV抗原、寄生虫抗原、ならびにオーファンチロシンキナーゼ受容体ROR1、tEGFR、Her2、L1−CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、およびCEAなどの腫瘍抗原が挙げられる。いくつかの実施形態において、養子細胞免疫療法組成物は、固形腫瘍、血液系悪性腫瘍、メラノーマ、またはウイルスによる感染症を含む疾患または障害の処置において有用である。
【0049】
Tリンパ球集団の改変
いくつかの実施形態において、本開示に従って免疫療法に用いられるT細胞へ機能性遺伝子を導入することが望ましい場合がある。例えば、導入される遺伝子(複数可)は、移入されたT細胞の生存能および/もしくは機能を促進することにより治療の効力を向上させ得る;またはそれらは、インビボ生存または遊走の選択および/もしくは評価を可能にする遺伝子マーカーを提供し得る;またはそれらは、例えば、Lupton S.D.ら、Mol. and Cell Biol.、11:6(1991)およびRiddellら、Human Gene Therapy 3:319−338(1992)に記載されているように、インビボでのネガティブ選択に対する、その細胞の感受性を高くすることにより、免疫療法の安全性を向上させる機能を組込み得る;優性ポジティブ選択マーカーをネガティブ選択マーカーと融合することに由来する二機能性選択可能融合遺伝子の使用について記載する、Luptonらによる国際出願番号PCT/US91/08442号および国際出願番号PCT/US94/05601号の公報もまた参照されたい。これは、公知の技術(例えば、Riddellらの米国特許第6,040,177号、14〜17欄参照)、または本開示に基づいて当業者に明らかであろうそれらのバリエーション従って行うことができる。
【0050】
実施形態において、T細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)で改変される。いくつかの実施形態において、CARは、T細胞活性化および細胞傷害性を媒介するTCR CD3+鎖に連結した、モノクローナル抗体(mAb)の可変重(VH)鎖および可変軽(VL)鎖に由来する単鎖抗体フラグメント(scFv)を含む。共刺激シグナルもまた、CD28または4−1BBの共刺激ドメインをCD3+鎖に融合することにより、CARを通して提供することができる。CARは、HLAとは無関係に細胞表面分子に特異的であり、したがって、腫瘍細胞上でのHLA拘束性および低レベルのHLA発現を含む、TCR認識の制限を克服するものである。
【0051】
例えば抗体分子の、抗原結合フラグメントまたは抗体可変ドメインを利用することにより、任意の細胞表面マーカーに対する特異性をもつCARを構築することができる。抗原結合分子を、1つまたは複数の細胞シグナル伝達モジュールに連結させることができる。実施形態において、細胞シグナル伝達モジュールとしては、CD3膜貫通ドメイン、CD3細胞内シグナル伝達ドメイン、およびCD28膜貫通ドメインが挙げられる。実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3細胞内ドメインに連結した、CD28膜貫通シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態において、CARはまた、tEGFRなどの形質導入マーカーも含むことができる。
【0052】
実施形態において、CD8+細胞傷害性T細胞の細胞内シグナル伝達ドメインは、CD4+ヘルパーT細胞の細胞内シグナル伝達ドメインと同じである。他の実施形態において、CD8+細胞傷害性T細胞の細胞内シグナル伝達ドメインは、CD4+ヘルパーT細胞の細胞内シグナル伝達ドメインと異なる。
【0053】
いくつかの実施形態において、CD8+ T細胞およびCD4+ T細胞はどちらも、病原体特異的細胞表面抗原を特異的に結合する抗体重鎖ドメインで遺伝子改変されている。実施形態において、CARは、病原体、腫瘍、またはがん細胞に関連した細胞表面発現抗原に特異的である。いくつかの実施形態において、CARは、HIV抗原、HCV抗原、HBV抗原、CMV抗原、寄生虫抗原、ならびにオーファンチロシンキナーゼ受容体ROR1、tEGFR、Her2、L1−CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、およびCEAなどの腫瘍抗原に特異的である。CARを作製するための方法は、本明細書に記載されており、またFormanによる第6,410,319号、ならびにJensenらによる国際公開公報WO2002/077029号、7,446,191号、2010/065818号、2010/025177号、2007/059298号、および第7,514,537号にも見出すことができ、またBerger C.ら、J.Clinical Investigation、118:1 294−308(2008)により記載されており、それらは参照により本明細書に組み入れられている。
【0054】
実施形態において、同じ、または異なるCARを、CD4+ Tリンパ球およびCD8+ Tリンパ球のそれぞれへ導入することができる。実施形態において、これらの集団のそれぞれにおけるCARは、同じ抗原に特異的に結合する抗原結合分子を有する。細胞シグナル伝達モジュールは異なり得る。実施形態において、CD4 Tリンパ球またはCD8 Tリンパ球のそれぞれは、形質導入前に、ナイーブ細胞、セントラルメモリー細胞、エフェクターメモリー細胞、またはエフェクター細胞へ選別することができる。代替の実施形態において、CD4 Tリンパ球またはCD8 Tリンパ球のそれぞれは、形質導入前に、ナイーブ細胞、セントラルメモリー細胞、エフェクターメモリー細胞、またはエフェクター細胞へ選別することができる。
【0055】
代替の実施形態において、T細胞は、組換えT細胞受容体で改変することができる。TCRは、任意の抗原、病原体、または腫瘍に特異的であり得る。メラノーマ(例えば、MART1、gp100)、白血病(例えば、WT1、マイナー組織適合抗原)、乳がん(例えば、her2、NY−BR1)における多くの腫瘍抗原についてのTCRがある。
【0056】
遺伝子送達のために組換え感染性ウイルス粒子を利用する様々な感染技術が開発されている。これは、現在のところ、本発明のTリンパ球の形質導入への好ましいアプローチを示す。このように用いられているウイルスベクターとしては、シミアンウイルス40、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レンチウイルスベクター、およびレトロウイルス由来のウイルスベクターが挙げられる。したがって、遺伝子移入および発現方法は、多数あるが、本質的に、哺乳類細胞において遺伝子材料を導入し、かつ発現するように機能する。上記技術のいくつかは、造血細胞またはリンパ球系細胞を形質導入するために用いられており、そのような技術としては、リン酸カルシウム法、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、および組換えアデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、およびレトロウイルスベクターでの感染が挙げられる。初代Tリンパ球は、エレクトロポレーションおよびレトロウイルス感染により形質導入することに成功している。
【0057】
レトロウイルスベクターは、真核細胞への遺伝子移入のための非常に効率的な方法を提供する。さらに、レトロウイルス組込みは、管理された様式で起こり、細胞あたり1個、または数個の、新しい遺伝情報のコピーの安定的な組込みをもたらす。
【0058】
刺激因子(例えば、リンホカインまたはサイトカイン)の過剰発現は、処置される個体にとって毒性であり得ると考えられる。それゆえに、インビボでのネガティブ選択に対する、本発明のT細胞の感受性を高くする、遺伝子断片を含むことは、本発明の範囲内である。「ネガティブ選択」とは、注入された細胞が、個体のインビボ状態における変化の結果として除去され得ることを意味する。ネガティブ選択表現型は、投与される作用物質、例えば、化合物に対する感受性を与える遺伝子の挿入に起因してもよい。ネガティブ選択遺伝子は、当技術分野において知られており、とりわけ、以下が挙げられる:ガンシクロビル感受性を与える、単純ヘルペスウイルスI型チミジンキナーゼ(HSV−I TK)遺伝子(Wiglerら、Cell 11:223、1977);細胞ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(phosphribosyltransferase)(HPRT)遺伝子、細胞アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(APRT)遺伝子、細菌シトシンデアミナーゼ(Mullenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.89:33(1992))。
【0059】
いくつかの実施形態において、インビトロでネガティブ選択表現型の細胞の選択を可能にするポジティブマーカーをT細胞内に含めることは有用であり得る。ポジティブ選択マーカーは、宿主細胞へ導入されたとき、その遺伝子を有する細胞のポジティブ選択を可能にする優性表現型を発現する遺伝子であってもよい。この型の遺伝子は当技術分野において知られており、とりわけ、ハイグロマイシンBに対する耐性を与える、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ遺伝子(hph)、抗生物質G418に対する耐性をコードするTn5由来のアミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ遺伝子(neoまたはaph)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子、アデノシンデアミナーゼ遺伝子(ADA)、および多剤耐性(MDR)遺伝子が挙げられる。
【0060】
好ましくは、ポジティブ選択マーカーおよびネガティブ選択エレメントは、ネガティブ選択エレメントの消失がまた必ず、ポジティブ選択マーカーの消失を伴うように連結される。さらにより好ましくは、ポジティブ選択マーカーおよびネガティブ選択マーカーは、一方の消失が、義務的に、他方の消失をもたらすように、融合される。発現産物として、上記の望ましいポジティブ選択特性とネガティブ選択特性の両方を与えるポリペプチドを生じる融合ポリヌクレオチドの例は、ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ・チミジンキナーゼ融合遺伝子(HyTK)である。この遺伝子の発現は、インビトロでのポジティブ選択のためのハイグロマイシンB耐性、およびインビボでのネガティブ選択のためのガンシクロビル感受性を与えるポリペプチドを生じる。Lupton S.D.ら、Mol. and Cell.Biology 11:3374−3378、1991参照。加えて、好ましい実施形態において、キメラ受容体をコードする本発明のポリヌクレオチドは、その融合遺伝子、具体的には、インビトロでのポジティブ選択のためのハイグロマイシンB耐性、およびインビボでのネガティブ選択のためのガンシクロビル感受性を与える融合遺伝子を含有するレトロウイルスベクター、例えば、前記Lupton S.D.ら(1991)に記載されたHyTKレトロウイルスベクター内にある。優性ポジティブ選択マーカーをネガティブ選択マーカーと融合することに由来する二機能性選択可能融合遺伝子の使用について記載する、S.D.Luptonによる国際出願番号PCT/US91/08442号および国際出願番号PCT/US94/05601号の公報もまた参照されたい。
【0061】
好ましいポジティブ選択マーカーは、hph、nco、およびgptからなる群から選択される遺伝子由来であり、好ましいネガティブ選択マーカーは、シトシンデアミナーゼ、HSV−I TK、VZV TK、HPRT、APRT、およびgptからなる群から選択される遺伝子由来である。特に好ましいマーカーは、ポジティブ選択マーカーがhphまたはneo由来であり、かつネガティブ選択マーカーがシトシンデアミナーゼまたはTK遺伝子由来である、二機能性選択可能融合遺伝子である。
【0062】
当技術分野においてよく知られているように、Tリンパ球を形質導入するために様々な方法を用いることができる。例えば、レトロウイルス形質導入は、以下のように実行することができる:本明細書に記載されているようにREMを用いる刺激後1日目に、細胞に、20〜30ユニット/mlのIL−2を供給する;3日目、培地の半分を、標準方法に従って調製されたレトロウイルス上清と交換し、その後、培養液に、5ug/mlのポリブレンおよび20〜30ユニット/mlのIL−2を追加する;4日目、細胞を洗浄し、20〜30ユニット/mlのIL−2を追加した新鮮な培地中にそれらを入れる;5日目、レトロウイルスへの曝露を繰り返す;6日目、30ユニット/mlのIL−2を追加した、(例えば、レトロウイルスベクター内に与えられた抗生物質耐性遺伝子に対応する抗生物質を含有する)選択培地中に細胞を入れる;13日目、Ficoll Hypaque密度勾配分離を用いて死細胞から生細胞を分離し、その後、生細胞をサブクローニングする。
【0063】
CD4+細胞およびCD8+細胞は、CARをコードする発現ベクターで改変することができる。実施形態において、その後、これらの細胞は、上記のようなナイーブ細胞、セントラルメモリー細胞、およびエフェクター細胞の亜集団へ、それらの細胞集団のそれぞれに固有の細胞表面抗原について選別することにより、さらに選別される。加えて、CD4+細胞集団またはCD8+細胞集団は、それらのサイトカインプロファイルまたは増殖活性によって選択されてもよい。例えば、抗原で刺激された場合、疑似形質導入された細胞または形質導入されたCD8+細胞と比較して、IL−2、IL−4、IL−10、TNFα、およびIFNγなどのサイトカインの産生の増強を生じるCD4+ Tリンパ球を選択することができる。他の実施形態において、IL−2および/またはTNFαの産生の増強を生じるナイーブCD4+ T細胞が選択される。同様に、疑似形質導入されたCD8+細胞と比較して、IFNγ産生の増強を生じるCD8+細胞が選択される。
【0064】
実施形態において、抗原に応答して増殖するCD4+細胞およびCD8+細胞が選択される。例えば、抗原で刺激された場合、疑似形質導入された細胞またはCD8+の形質導入された細胞と比較して、活発に増殖するCD4+細胞が選択される。
【0065】
いくつかの実施形態において、抗原を有する細胞に対して細胞傷害性である、CD4+細胞およびCD8+細胞が選択される。実施形態において、CD4+細胞は、CD8+細胞と比較して、細胞傷害性が弱いことが予想される。
【0066】
本開示は、CD4+ T細胞とCD8+ T細胞の組み合わせが、組成物に利用されることを企図する。一実施形態において、CAR形質導入されたCD4+細胞の組み合わせは、そのCARと同じ抗原特異性のCD8+抗原反応性細胞と組み合わせることができる。他の実施形態において、CAR形質導入されたCD8+細胞は、抗原反応性CD4+細胞と組み合わされる。さらに別の実施形態において、CAR改変型CD4+細胞およびCAR改変型CD8+細胞が組み合わされる。
【0067】
本明細書に記載されているように、本開示は、CD4+細胞およびCD8+細胞を、ナイーブ細胞集団、セントラルメモリー細胞集団、およびエフェクター細胞集団などの亜集団へさらに分離することができることを企図する。本明細書に記載されているように、いくつかの実施形態において、ナイーブCD4+細胞は、CD45RO−、CD45RA+、CD62L+、CD4+ T細胞である。いくつかの実施形態において、セントラルメモリーCD4+細胞は、CD62L陽性かつCD45RO陽性である。いくつかの実施形態において、エフェクターCD4+細胞は、CD62L陰性かつCD45RO陽性である。これらの集団のそれぞれは、独立して、CARで改変されてもよい。
【0068】
本明細書に記載されているように、実施形態において、メモリーT細胞は、CD8+末梢血リンパ球のCD62L+サブセットとCD62L−サブセットの両方に存在する。PBMCは、抗CD8抗体および抗CD62L抗体での染色後、CD62L− CD8+画分およびCD62L+ CD8+画分へ選別される。いくつかの実施形態において、セントラルメモリーTCMの表現型マーカーの発現は、CD62L、CCR7、CD28、CD3、およびCD127を含み、グランザイムBについて陰性である。いくつかの実施形態において、セントラルメモリーT細胞は、CD45RO+、CD62L+、CD8+ T細胞である。いくつかの実施形態において、エフェクターTは、CD62L、CCR7、CD28、およびCD127について陰性であり、グランザイムBおよびパーフォリンについて陽性である。いくつかの実施形態において、ナイーブCD8+ Tリンパ球は、CD8+、CD62L+、CD45RO+、CCR7+、CD28+、CD127+、およびCD45RO+により特徴づけられる。これらの集団のそれぞれは、独立して、CARで改変されてもよい。
【0069】
CD4+細胞およびCD8+細胞の亜集団のそれぞれは、お互いに組み合わせることができる。特定の実施形態において、改変型ナイーブCD4+細胞は、改変型セントラルメモリーCD8+ T細胞と組み合わされて、腫瘍細胞などの抗原を有する細胞への相乗的細胞傷害性効果をもたらす。
【0070】
方法
本開示は、養子免疫療法組成物を作製する方法、および疾患もしくは障害を有する被験体において細胞免疫療法を実施するためのこれらの組成物の使用またはそれらを用いる方法を提供する。
【0071】
実施形態において、該組成物を製造する方法は、改変型ナイーブCD4+ Tヘルパー細胞を得るステップであって、前記改変型ヘルパーTリンパ球細胞調製物が、疾患または障害に関連した抗原に特異的な細胞外抗体可変ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体を有するCD4+ T細胞を含む、ステップを含む。
【0072】
別の実施形態において、方法は、改変型CD8+細胞傷害性T細胞を得るステップであって、前記改変型細胞傷害性Tリンパ球細胞調製物が、疾患または障害に関連した抗原に特異的な細胞外抗体可変ドメイン、およびT細胞受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体を有するCD8+細胞を含む、ステップをさらに含む。
【0073】
別の実施形態において、方法は、改変型CD8+細胞傷害性T細胞を得るステップであって、前記改変型細胞傷害性Tリンパ球細胞調製物が、疾患または障害に関連した抗原に特異的な細胞外抗体可変ドメイン、およびT細胞受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体を有するCD8+ T細胞を含む、ステップを含み、かつ前記改変型CD8+細胞傷害性T細胞を抗原特異的CD4+ヘルパー細胞リンパ球細胞調製物と組み合わせるステップをさらに含む。
【0074】
CARで改変されているCD4+細胞およびCD8+細胞の調製については、上記および実施例に記載されている。抗原特異的Tリンパ球は、その疾患もしくは障害を有する患者から得ることができ、または抗原の存在下でのTリンパ球のインビトロ刺激によって調製することができる。CD4+ Tリンパ球およびCD8+ Tリンパ球の亜集団はまた、本明細書に記載されているように、単離し、製造方法において組み合わせることができる。
【0075】
本開示はまた、請求項1〜19のいずれか一項に記載の組成物を投与するステップを含む、疾患または障害を有する被験体において細胞免疫療法を実施する方法を提供する。他の実施形態において、方法は、細胞免疫応答をもたらす遺伝子改変された細胞傷害性Tリンパ球細胞調製物、ならびに直接的腫瘍認識を誘発し、かつ前記の遺伝子改変された細胞傷害性Tリンパ球細胞調製物の細胞免疫応答を媒介する能力を強化する遺伝子改変されたヘルパーTリンパ球細胞調製物を被験体に投与するステップであって、前記細胞傷害性Tリンパ球細胞調製物が、疾患または障害に関連した抗原に特異的な細胞外抗体可変ドメイン、およびT細胞受容体または他の受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体を有するCD8+ T細胞を含み、前記ヘルパーTリンパ球細胞調製物が、疾患または障害に関連した抗原に特異的な細胞外抗体可変ドメイン、およびT細胞受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体を有するCD4+ T細胞を含む、ステップを含む。
【0076】
別の実施形態において、疾患または障害を有する被験体において細胞免疫療法を実施する方法は、遺伝子改変されたヘルパーTリンパ球細胞調製物を被験体に投与するステップであって、前記改変型ヘルパーTリンパ球細胞調製物が、疾患または障害に関連した抗原に特異的な細胞外抗体可変ドメイン、およびT細胞受容体の細胞内シグナル伝達モジュールを含むキメラ抗原受容体を有するCD4+ T細胞を含む、ステップを含む。実施形態において、方法は、遺伝子改変された細胞傷害性Tリンパ球細胞調製物を被験体に投与するステップであって、前記改変型細胞傷害性Tリンパ球細胞調製物が、疾患または障害に関連した抗原に特異的な細胞外抗体可変ドメイン、およびT細胞受容体の細胞内シグナル伝達モジュールを含むキメラ抗原受容体を有するCD8陽性細胞を含む、ステップをさらに含む。
【0077】
別の実施形態は、疾患または障害を有する被験体において細胞免疫療法を実施する方法であって、その疾患または障害に関連した抗原の存在について被験体の生体試料を分析するステップ、および本明細書に記載された養子免疫療法組成物を投与するステップを含み、前記キメラ抗原受容体が前記抗原に特異的に結合する、方法を記載する。
【0078】
固形腫瘍、がん、ウイルス感染、および寄生虫の感染などの疾患または状態に関連した抗原への特異的結合を提供する構成要素を有するCARが作製される。実施形態において、キメラ抗原受容体のT細胞受容体の細胞内シグナル伝達モジュールは、膜貫通ドメイン、CD28シグナル伝達ドメイン、およびCD3細胞内シグナル伝達ドメイン、またはT細胞共刺激分子の他のドメインを含む。いくつかの実施形態において、細胞内シグナル伝達分子は、CD3細胞内ドメイン、CD28ドメイン、CD3細胞内ドメインに連結したCD28膜貫通シグナル伝達ドメイン、またはT細胞共刺激分子の他のドメインを含む。
【0079】
代替の実施形態において、T細胞は、組換えT細胞受容体で改変することができる。TCRは、任意の抗原、病原体、または腫瘍に特異的であり得る。メラノーマ(例えば、MART1、gp100)、白血病(例えば、WT1、マイナー組織適合抗原)、乳がん(例えば、her2、NY−BR1)における多くの腫瘍抗原についてのTCRがある。
【0080】
いくつかの実施形態において、CD4+ Tヘルパーリンパ球細胞は、ナイーブCD4+ T細胞、セントラルメモリーCD4+ T細胞、エフェクターメモリーCD4+ T細胞、またはバルクCD4+ T細胞からなる群から選択される。特定の実施形態において、CD4+ヘルパーリンパ球細胞は、ナイーブCD4+ T細胞であり、前記ナイーブCD4+ T細胞は、CD45RO−、CD45RA+、CD62L+、CD4+ T細胞を含む。さらに他の実施形態において、CD8+ T細胞傷害性リンパ球細胞は、ナイーブCD8+ T細胞、セントラルメモリーCD8+ T細胞、エフェクターメモリーCD8+ T細胞、またはバルクCD8+ T細胞からなる群から選択される。特定の実施形態において、CD8+細胞傷害性Tリンパ球細胞は、セントラルメモリーT細胞であり、前記セントラルメモリーT細胞は、CD45RO+、CD62L+、CD8+ T細胞を含む。特定の実施形態において、CD8+細胞傷害性Tリンパ球細胞は、セントラルメモリーT細胞であり、CD4+ヘルパーTリンパ球細胞は、ナイーブCD4+ T細胞である。
【0081】
実施形態において、CD8+ T細胞およびCD4+ T細胞はどちらも、病原体または腫瘍特異的細胞表面抗原を特異的に結合する抗体重鎖ドメインを含むCARで遺伝子改変される。他の実施形態において、CD8細胞傷害性T細胞の細胞内シグナル伝達ドメインは、CD4ヘルパーT細胞の細胞内シグナル伝達ドメインと同じである。さらに他の実施形態において、CD8細胞傷害性T細胞の細胞内シグナル伝達ドメインは、CD4ヘルパーT細胞の細胞内シグナル伝達ドメインと異なる。
【0082】
本発明によって処置することができる被験体は、一般的に、ヒト、ならびに獣医学を目的として、サルおよび類人猿などの他の霊長類の被験体である。被験体は男性(雄)または女性(雌)であり得、乳幼児、若年、青年、成人、および老人の被験体を含む、任意の適切な年齢であり得る。
【0083】
前記方法は、例えば、固形腫瘍、血液系悪性腫瘍、メラノーマ、またはウイルスもしくは他の病原体による感染症の処置において有用である。病原体による感染症としては、HIV疾患、HCV疾患、HBV疾患、CMV疾患、および寄生虫症が挙げられる。いくつかの実施形態において、疾患または障害に関連した抗原は、オーファンチロシンキナーゼ受容体ROR1、tEGFR、Her2、L1−CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、およびB型肝炎表面抗原からなる群から選択される。
【0084】
処置することができる被験体としては、限定されないが、結腸がん、肺がん、肝がん、乳がん、前立腺がん、卵巣がん、皮膚がん(メラノーマを含む)、骨がん、および脳がんなどを含むがんに苦しめられている被験体が挙げられる。いくつかの実施形態において、メラノーマ、乳がん、扁平上皮癌腫、結腸がん、白血病、骨髄腫、前立腺がんなどの腫瘍関連抗原は知られている(これらの実施形態において、メモリーT細胞を、単離することができ、またはT細胞受容体遺伝子を導入することにより操作することができる)。他の実施形態において、腫瘍関連タンパク質は、操作された免疫受容体を発現する遺伝子改変されたT細胞で標的化することができる。例としては、B細胞リンパ腫、乳がん、前立腺がん、および白血病が挙げられるが、それらに限定されない。
【0085】
処置することができる被験体としてはまた、限定されないが、ウイルス感染症、レトロウイルス感染症、細菌感染症、および原虫感染症などを含む、感染疾患に苦しめられている被験体、またはそれを発症するリスクがある被験体が挙げられる。処置することができる被験体としては、限定されないが、移植患者等における、サイトメガロウイルス(CMV)感染症、エプスタイン・バーウイルス(EBV)感染症、アデノウイルス感染症、BKポリオーマウイルス感染症を含む、ウイルス感染症に苦しめられている免疫不全患者が挙げられる。
【0086】
上記のように調製された細胞は、公知の技術、または本開示に基づいて当業者に明らかであろうそれらのバリエーションに従って、養子免疫療法のための方法および組成物において利用することができる。例えば、Gruenbergらの米国特許出願公開第2003/0170238号を参照;Rosenbergの米国特許第4,690,915号も参照。
【0087】
いくつかの実施形態において、細胞は、まず、細胞を培地から収集し、その後、細胞を洗浄および濃縮することにより、投与に適した媒体およびコンテナシステム(「薬学的に許容され得る」担体)において処置有効量で、製剤化される。適切な注入媒体は、任意の等張性媒体製剤、典型的には、生理食塩水、Normosol R(Abbott)、またはPlasma−Lyte A(Baxter)であり得るが、5%ブドウ糖水溶液または乳酸リンゲル液もまた、利用することができる。注入媒体には、ヒト血清アルブミンを追加することができる。
【0088】
組成物中の処置有効量の細胞は、少なくとも2個の細胞(例えば、1個のCD8+セントラルメモリーT細胞サブセットおよび1個のCD4+ヘルパーT細胞サブセット)であり、またはより典型的には、10個より多い細胞で、かつ10個まで、10個または10個を含む個数までの細胞であり、1010個より多い細胞であり得る。細胞の数は、組成物の最終的な用途に依存するであろうし、それに含まれる細胞の型も同様であろう。例えば、特定の抗原に特異的である細胞が望まれる場合には、その集団は、70%より多い、一般的には、80%、85%、および90〜95%より多いそのような細胞を含有するであろう。本明細書に提供される使用については、細胞は、一般的に、1リットル以下の体積であり、500ml以下、さらに250ml以下または100ml以下であり得る。したがって、所望の細胞の密度は、典型的には、10個の細胞/mlより高く、一般的には、10個の細胞/mlより高く、一般的には10個の細胞/mlまたはそれ以上である。累積的に、10個、1010個、または1011個の細胞に等しく、またはそれを超える、臨床的に意義のある数の免疫細胞を、複数回に分わけて注入することができる。
【0089】
いくつかの実施形態において、本発明のリンパ球は、個体に免疫を与えるために用いられてもよい。「免疫」とは、病原体または腫瘍へリンパ球応答が向けられて、その病原体の感染または腫瘍に対する応答に関連した1つまたは複数の身体症状が軽減することを意味する。投与される細胞の量は、通常、病原体に対する免疫を有する正常な個体に存在する範囲内である。したがって、細胞は、通常、注入によって投与され、各注入が2個の細胞から、少なくとも10個〜1010個の細胞/mまでの範囲内、好ましくは少なくとも10〜10個の細胞/mの範囲内である。クローンは、単回注入により、またはある時間の範囲にわたっての複数回注入により、投与されてもよい。しかしながら、個体によって、応答性が異なることが予想されるため、注入される細胞の型および量、加えて、注入の回数、および複数回注入が与えられる時間範囲は、担当医によって決定され、定期検査によって決定することができる。十分なレベルの(細胞傷害性Tリンパ球および/またはヘルパーTリンパ球を含む)Tリンパ球の産生は、本明細書で例示されているように、本発明の迅速な増殖方法を用いて容易に達成できる。例えば、Riddellらの米国特許第6,040,177号、17欄を参照。
【0090】
本発明につき、下に示された実施例においてさらに例証する。
【実施例】
【0091】
実験
実施例1 − T細胞形質導入およびCAR発現の分析
ROR1特異的CARは、ヒトCD8+ T細胞内に発現することができ、ROR1+ B細胞腫瘍の特異的認識を与えるが、成熟した正常B細胞の認識を与えない。本発明者らは、健康なドナーまたはCLL患者由来のT細胞内に発現した場合、初代B−CLLおよびマントル細胞リンパ腫の特異的認識を与える、ROR1特異的キメラ抗原受容体を構築した。
【0092】
材料および方法
細胞系
エプスタイン・バーウイルスで形質転換されたB細胞(EBV−LCL)を記載されているように作製した(25)。腫瘍細胞系Jeko−1およびBALL−1は、Oliver Press博士およびJerald Radich博士(Fred Hutchinson Cancer Research Center)によって提供された。全ての細胞系を、RPMI、10%ウシ胎仔血清、0.8mM L−グルタミン、および1%ペニシリン−ストレプトマイシン(LCL培地)中に維持した。K562細胞を、American Type Culture Collectionから入手した。
【0093】
K562細胞のROR1でのトランスフェクション
ROR1遺伝子のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅のために、全RNAをB−CLL細胞から取得し(RNeasyPlusKit;QIAGEN)、M−MLV逆転写酵素(Invitrogen)でcDNAへ逆転写した。PCRを、特異的プライマー(ROR1−F:5−XhoIAGAGGAGGAATGCACCGGCC−3およびROR1−R:5−XhoI−CACAGAAGGTACTTGTTGCGATGT−3)で、Herculase−II DNAポリメラーゼ(Stratagene)を用いて実行した。PCR産物をMIGR−1レトロウイルスベクターへクローニングし(23)、配列を検証した。Effecteneトランスフェクション試薬(QIAGEN)を用いて、Platinum−A細胞(Cell Biolabs)にMIGR−1/ROR1をトランスフェクションし、ROR1コード化レトロウイルスを作製した。K562細胞を、32℃において、2500rpmで60分間の遠心分離によりレトロウイルスによって形質導入し、増殖し、ROR1陽性サブセットを選別精製した。
【0094】
リアルタイム定量的PCR
B−CLL、正常な休止および活性化B細胞、ならびにEBV−LCLの第1鎖cDNAを、前の段落で記載されているように、調製した。正常組織(ヒト組織パネルI/II、血液画分)由来の第1鎖cDNAをClontechから入手した。ROR1 mRNAの発現を、二連で分析し、GAPDHに対して標準化した。増幅を、ABI Prism 7900(Applied Biosystems)において、25μL Power SYBR Green PCR Master Mix(Applied Biosystems)、2.5ngのcDNA、ならびに以下の300nMの遺伝子特異的フォワードプライマーおよびリバースプライマーからなる50μLの反応物中で実施した:
ROR1−F 5−AGCGTGCGATTCAAAGGATT−3、
ROR1−R 5−GACTGGTGCCGACGATGACT−3、
GAPDH−F 5−GAAGGTGAAGGTCGGAGTC−3、
およびGAPDH−R 5−GAAGATGGTGATGGGATTTC−3。
【0095】
サイクル閾値(Ct)を、SDSソフトウェアv2.2.2(Applied Biosystems)を用いて決定し、遺伝子発現のレベルを、比較Ct法を用いて計算した(2−(ΔΔCt))。
【0096】
ベクター構築およびレンチウイルスの生成
CD20−CARコード化レンチウイルスベクター(CD20R−epHIV7)および緑色蛍光タンパク質(GFP)コード化レンチウイルスベクター(GFP−epHIV7)は以前に記載された(24)。ROR1−CARを同じベクターにコードさせた。以前の研究において、初代B−CLLおよびMCL腫瘍系上に発現するヒトROR1への特異的結合を示すマウスmAb(クローン2A2)を作製し、クローニングし、特徴づけた。mAb 2A2のVL鎖およびVH鎖を含有するscFvをコードするコドン最適化ヌクレオチド配列を合成し(GENEART)、NheIおよびRsrII制限部位を用いてCD20R−epHIV7へクローニングし、CD20特異的scFvを置換した。Effectene(Qiagen)を用いて、レンチウイルスベクターならびにパッケージングベクターpCHGP−2、pCMVRev2、およびpCMV−Gを同時トランスフェクションされた293T細胞において、レンチウイルスを産生した。トランスフェクションから16時間後、培地を交換し、48時間後、レンチウイルスを収集した。
【0097】
レンチウイルス形質導入およびCAR形質導入T細胞クローンの単離
健康なドナーおよびB−CLL患者由来のPBMC、および選別精製されたCD8+CD45RO+CD62L+セントラルメモリーT細胞(TCM)を、抗CD3 mAb(30ng/mL)で活性化し(25)、活性化後2日目および3日目に、32℃、2500rpmでの60分間の遠心分離により、1μg/mLポリブレン(Sigma−Aldrich)および50IU/mL組換えヒトインターロイキン−2(IL−2)を追加したレンチウイルス上清において形質導入した。10%ヒト血清、2mM L−グルタミン、および1%ペニシリン−ストレプトマイシンを含有するRPMI(CTL培地)中、T細胞を増殖させた(25)。増殖後、それぞれの形質導入されたT細胞系のアリコートを、ビオチンコンジュゲート化抗EGFR(上皮成長因子受容体)mAb、ストレプトアビジン−PE、および抗CD8 mAbで染色した。EGFR+CD8+ T細胞を選別精製し、限界希釈(0.5細胞/ウェル)によってクローニングした(25)。ROR1−CAR形質導入されたT細胞を、ビオチン化組換えFc−ROR1細胞外ドメイン融合タンパク質およびストレプトアビジン−PEでの染色により同定した。記載されているように(26)、組換えROR1タンパク質を、一過性にトランスフェクションされた293F細胞(Invitrogen)において産生し、精製し、BiotinTagキット(Sigma)を用いて、ビオチン化した。類似した様式で、GFP形質導入されたCD8+ T細胞を、フローサイトメトリーによって同定し、選別精製し、クローニングした。
【0098】
クロム遊離アッセイおよびサイトカイン分泌アッセイ
標的細胞を、51Cr(PerkinElmer)で一晩、標識し、洗浄し、1〜2×10個の細胞/ウェルで、エフェクターT細胞と、様々なエフェクター対標的(E:T)比において、三連でインキュベートした。4時間のインキュベーション後、γカウントのために上清を回収し、比溶解を、標準式を用いて計算した(25)。
【0099】
結果
形質導入されたCD8+ T細胞を、ビオチン化抗EGFR mAbおよびストレプトアビジンコンジュゲート化色素を用いて選別精製した。選別精製されたT細胞の表面上のROR1−CAR発現を、ROR1−CARのscFvに直接結合するビオチン化組換えFc−ROR1細胞外ドメイン誘導タンパク質で細胞を染色し、かつストレプトアビジンコンジュゲート体で共染色することにより、評価した。Fc−ROR1タンパク質は、ROR1−CARレンチウイルスベクターを形質導入されたCD8+ T細胞を特異的に染色したが、GFPをコードする対照レンチウイルスベクターを形質導入されたCD8+ T細胞を染色しなかった(図1)。
【0100】
本発明者らは、ROR1−CAR形質導入されたCD8+ T細胞クローン(n=10)および対照GFP形質導入されたCD8+ T細胞クローン(n=4)を、限界希釈により樹立し、複数のラウンドのインビトロ増殖後、CARの安定的な表面発現を確認した。形質導入されていないT細胞クローンまたはGFP形質導入T細胞クローンと比較して、ROR1−CAR形質導入されたT細胞クローンの成長に明らかな差はなかった(データ未呈示)。
【0101】
ROR1−CAR形質導入されたT細胞クローンは、ROR1遺伝子を安定的にトランスフェクションされた初代B−CLL細胞およびK562細胞を効率的に溶解したが、未変性のROR1陰性K562細胞は溶解せず、ROR1の特異的認識を実証した(図2)。
【0102】
考察
CAR改変型T細胞を用いる養子免疫療法は、B細胞悪性腫瘍についての臨床治験において検討中である。標的化されることになっている表面分子は、B細胞系譜特異的であり、CD19(プロB細胞段階からプラズマ細胞までの正常B系譜細胞上に発現している)、およびCD20(プレB細胞段階からメモリーB細胞までの正常B細胞上に発現している)が挙げられる。したがって、これらの分子を標的化する効果的な治療の予測される結果は、正常なB細胞およびB細胞前駆体の枯渇である。遺伝子発現プロファイリング研究により、悪性B細胞により優先的にまたは独占的に発現するが、正常B細胞によっては発現しない遺伝子が同定されており、ROR1は、2つの独立した分析においてCLLシグネチャー遺伝子として出現した(27、28)。ROR1に対する特異的抗体は、CD154を発現するように改変された自己腫瘍細胞でのワクチン接種およびレナリドマイドでの処置後のCLL患者において、正常組織への明らかな毒性なしに、発生し、この腫瘍抗原が、免疫療法の適切な標的であり得ることを示唆した(29、30)。
【0103】
本発明者らの研究は、ROR1−CARを発現する操作されたT細胞で、ROR1陽性悪性細胞を標的化する可能性を例証している。CD8+ ROR1−CAR T細胞は、バルクPBMCか、または動物モデルにおいて、養子移入後長期間、持続する(31)選別精製されたTCMのいずれかのレンチウイルス形質導入後の正常ドナーおよびCLL患者のどちらの由来でもあり得る。ROR1−CAR形質導入されたT細胞は、初代B−CLLを効率的に溶解したが、正常な休止または活性化B細胞を溶解しなかった。これらのT細胞は、ROR1発現腫瘍細胞に応答して、TNF−α、IFNγ、およびIL−2を含むエフェクターサイトカインを産生し、増殖する能力があった。
【0104】
実施例2 − CD4+ CAR T細胞系の作製およびエフェクター機能の分析
CD4+ ROR1−CAR T細胞は、健康なドナー/CLL患者のPBMCから作製することができる。ROR1特異的CARは、ヒトCD4+ T細胞内に発現することができ、ROR1+ B細胞腫瘍の特異的認識を与えるが、成熟した正常B細胞の認識を与えない。
【0105】
材料および方法
細胞系
エプスタイン・バーウイルスで形質転換されたB細胞(EBV−LCL)を記載されているように作製した(25)。腫瘍細胞系Jeko−1およびBALL−1は、Oliver Press博士およびJerald Radich博士(Fred Hutchinson Cancer Research Center)によって提供された。全ての細胞系を、RPMI、10%ウシ胎仔血清、0.8mM L−グルタミン、および1%ペニシリン−ストレプトマイシン(LCL培地)中に維持した。K562細胞および293T細胞を、American Type Culture Collectionから入手し、指示されているように培養した。
【0106】
K562細胞のROR1でのトランスフェクション
ROR1遺伝子のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅のために、全RNAをB−CLL細胞から取得し(RNeasyPlusKit;QIAGEN)、M−MLV逆転写酵素(Invitrogen)でcDNAへ逆転写した。PCRを特異的プライマー(ROR1−F:5−XhoIAGAGGAGGAATGCACCGGCC−3およびROR1−R:5−XhoI−CACAGAAGGTACTTGTTGCGATGT−3)で、Herculase−II DNAポリメラーゼ(Stratagene)を用いて実行した。PCR産物をMIGR−1レトロウイルスベクターへクローニングし(23)、配列を検証した。Effecteneトランスフェクション試薬(QIAGEN)を用いて、Platinum−A細胞(Cell Biolabs)にMIGR−1/ROR1をトランスフェクションし、ROR1コード化レトロウイルスを作製した。K562細胞を、32℃において、2500rpmで60分間の遠心分離によりレトロウイルスによって形質導入し、増殖し、ROR1陽性サブセットを選別精製した。
【0107】
ベクター構築およびレンチウイルスの生成
CD20−CARコード化レンチウイルスベクター(CD20R−epHIV7)および緑色蛍光タンパク質(GFP)コード化レンチウイルスベクター(GFP−epHIV7)は以前に記載された(24)。ROR1−CARを同じベクターにコードさせた。以前の研究において、初代B−CLLおよびMCL腫瘍系上に発現するヒトROR1への特異的結合を示すマウスmAb(クローン2A2)を作製し、クローニングし、特徴づけた。mAb 2A2のVL鎖およびVH鎖を含有するscFvをコードするコドン最適化ヌクレオチド配列を合成し(GENEART)、NheIおよびRsrII制限部位を用いてCD20R−epHIV7へクローニングし、CD20特異的scFvを置換した。Effectene(Qiagen)を用いて、そのレンチウイルスベクターならびにパッケージングベクターpCHGP−2、pCMVRev2、およびpCMV−Gを同時トランスフェクションされた293T細胞において、レンチウイルスを産生した。トランスフェクションから16時間後、培地を交換し、48時間後、レンチウイルスを収集した。
【0108】
レンチウイルス形質導入およびCD4+ ROR1−CAR T細胞系の単離
CD4+ T細胞を健康なドナーのPBMCから単離し、抗CD3 mAb(30ng/mL)で活性化し(25)、活性化後2日目および3日目に、32℃、2500rpmでの60分間の遠心分離により、1μg/mLポリブレン(Sigma−Aldrich)および50IU/mL組換えヒトインターロイキン−2(IL−2)を追加したレンチウイルス上清において形質導入した。10%ヒト血清、2mM L−グルタミン、および1%ペニシリン−ストレプトマイシンを含有するRPMI(CTL培地)中、T細胞を増殖させた(25)。増殖後、それぞれの形質導入されたT細胞系のアリコートを、ビオチンコンジュゲート化抗EGFR(上皮成長因子受容体)mAb、ストレプトアビジン−PE、および抗CD4 mAbで染色した。EGFR+CD4+ T細胞を選別精製し、増殖させた。ROR1−CAR形質導入されたT細胞を、ビオチン化組換えFc−ROR1細胞外ドメイン融合タンパク質およびストレプトアビジン−PEでの染色により同定した。記載されているように(26)、組換えROR1タンパク質を、一過性にトランスフェクションされた293細胞(Invitrogen)において産生し、精製し、BiotinTagキット(Sigma)を用いて、ビオチン化した。類似した様式で、GFP形質導入されたCD4+ T細胞を、フローサイトメトリーによって同定し、選別精製し、クローニングした。
【0109】
クロム遊離アッセイおよびサイトカイン分泌アッセイ
標的細胞を、51Cr(PerkinElmer)で一晩、標識し、洗浄し、1〜2×10個の細胞/ウェルで、エフェクターT細胞と、様々なエフェクター対標的(E:T)比において、三連でインキュベートした。4時間のインキュベーション後、γカウントのために上清を回収し、比溶解を、標準式を用いて計算した(25)。サイトカイン分泌の分析のために、標的細胞およびエフェクター細胞を、2:1のE/T比で、三連のウェル中に蒔き、インターフェロン(INFγ)、腫瘍壊死因子(TNF−α)、およびIL−2を、24時間のインキュベーション後取り出された上清において、マルチプレックスサイトカインイムノアッセイ(Luminex)により測定した。
【0110】
CFSE増殖アッセイ
T細胞を、0.2μMカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE;Invitrogen)で標識し、洗浄し、10U/mL組換えヒトIL−2を含有するCTL培地において2:1の比で刺激細胞と共に蒔いた。72時間のインキュベーション後、細胞を、抗CD4 mAbおよびヨウ化プロピジウム(PI)で標識して、分析から死細胞を排除した。試料を、フローサイトメトリーによって分析し、生きているCD4+ T細胞の細胞分裂をCFSE希釈によって評価した。
【0111】
共培養アッセイ
ROR1−CAR形質導入されたCD4+ T細胞およびROR1−CAR形質導入されたCD8+細胞傷害性Tリンパ球を、CFSEで標識し、2:1、1:1、および1:2の比で共培養した。その後、共培養物を、K562/ROR1細胞および対照K562細胞で刺激し、細胞増殖を、5日間のインキュベーション後、CFSE色素希釈アッセイによって測定した。フロー分析のために、試料を、コンジュゲート化抗CD8 mAbおよびコンジュゲート化抗CD4 mAbで染色し、CD8+サブセットとCD4+サブセットを区別した。
【0112】
結果
健康なドナーおよびCLL患者のPBMCからのCD4 ROR1−CAR T細胞の作製
本発明者らは、ROR1、癌胎児性チロシンキナーゼ受容体が、CLLおよびMCL上に一律に発現することを示し、CD8 T細胞内に発現する場合、悪性B細胞の特異的認識を与えるが、成熟した正常B細胞の認識を与えない抗ROR1 mAb由来のROR1−CARを開発した(32)。ここで、本発明者らは、CD4 ROR1−CAR T細胞を作製して、直接的な腫瘍認識、およびCD8 ROR1−CAR CTLを強化するそれらの能力を分析した。CAR改変型CD4 T細胞は、健康なドナー(n=4)およびCLL患者(n=4)のバルク末梢CD4 T細胞から、ROR1−CARコード化レンチウイルスベクターを用いて容易に作製することができた。このベクターにおいて、本発明者らは、形質導入マーカーとして、および抗EGFR mAbを用いた導入遺伝子発現T細胞の濃縮のための両方の役割を果たすように、ROR1−CARおよび自己切断可能な2Aエレメントの下流に切断型EGFR(上皮成長因子受容体、tEGFR)ドメインをコードさせた(図3)。本発明者らは、tEGFRマーカーを用いて、ROR1−CARコード化レンチウイルスでの単回形質導入(MOI=3)後12日目においてCAR改変型T細胞の頻度を決定し、同じ個体から得られたCD8 CAR T細胞系と比較して、CD4 CAR T細胞系において、一貫してより高い形質導入効率を見出した。CD4 T細胞の表面上のROR1−CARの発現を確認するために、本発明者らが、ROR1−CARのscFvに直接結合するビオチン化組換えFc−ROR1細胞外ドメイン融合タンパク質を利用したところ、ROR1−CARレンチウイルスを形質導入されたCD4 T細胞を特異的に染色したが、形質導入されていない対照CD4 T細胞は染色しなかった(図3)。本発明者らは、tEGFRマーカーを用いて、導入遺伝子を発現するCD4 T細胞を濃縮し、抗CD3 mAbでの刺激によりCAR陽性T細胞サブセットを増殖した。CD4 CAR T細胞の3−logより多い増殖を、14日間の刺激サイクルの終わりに達成することができ、それは、CD8 CAR CTLにおいて観察された増幅と等しい。増殖後、本発明者らは、CD4 CAR T細胞の細胞表面上のROR1−CARの安定的発現を確認し(データ未呈示)、ROR1陽性腫瘍細胞の認識について分析した。
【0113】
CD4 ROR1−CAR T細胞はROR1陽性腫瘍を特異的に認識する
本発明者らは、ROR1陽性初代腫瘍細胞およびROR1陽性腫瘍細胞系に対するCD4 ROR1−CAR T細胞のエフェクター機能を分析した。本発明者らは、CD4 CAR T細胞の直接的細胞傷害性を与える能力を、クロム遊離アッセイ(CRA)により分析し、標準の4時間のインキュベーションの終わりに、ROR1陽性標的細胞の弱いが、特異的な溶解を検出した(図4)。本発明者らは、CRAを10時間まで延長し、比溶解のさらなる増加を観察したが、CD4+ CAR T細胞の全体の細胞溶解活性は、まだCD8 ROR1−CAR CTLより低かった(図2、4)。健康なドナーとCLL患者のどちらの由来のCD4 ROR1−CAR T細胞も、IFN−γ ELISAにより、初代CLL細胞、ROR1陽性腫瘍細胞系Jeko−1(MCL)およびBALL−1(B−ALL)、ならびにROR1遺伝子を安定的にトランスフェクションされたK562細胞(K562/ROR1)を特異的に認識したが、未変性のROR1陰性K562細胞を認識せず、標的細胞の細胞表面上のROR1の特異的認識を実証した(図5A)。マルチプレックスサイトカイン分析により、CD8 CAR CTLと比較して有意に高いレベルでのTNF−αおよびIL−2などの他のTh1サイトカインの産生、ならびにIL−4、IL−10、およびIL−17の産生が明らかにされた(図5B)。
【0114】
次に、本発明者らは、ROR1陽性腫瘍細胞での刺激後のCD4 CAR T細胞の増殖を、CFSE染色によって評価し、いかなる潜在的非特異的刺激も除去するために外因性サイトカインの添加なしのストリンジェントな培養条件を用いた。CD4 CAR T細胞は、ROR1陽性腫瘍細胞に応答して、劇的かつ特異的な増殖を示した。増殖するように誘導されたT細胞のパーセンテージ、および増殖サブセットが行う細胞分裂の回数のどちらも、CD8 CAR T細胞と比較して、CD4 CAR T細胞においての方が有意に高かった(図6)。まとめると、本発明者らのデータは、健康なドナーおよびCLL患者のどちらから得られたCD4 T細胞も、ROR1特異的CARでの遺伝子改変後、抗腫瘍反応性を獲得することを実証している。さらに、外因性サイトカインの非存在下で増殖する能力、および高レベルのTh1サイトカインを産生する能力により、CD4 CAR T細胞は、CARを通しての刺激後に典型的なヘルパー機能を発揮し、直接的抗腫瘍効果を与えることに加えて、CD8 CAR CTLを強化するためにも利用され得ることが示唆される。
【0115】
CAR改変型CD4 T細胞はCD8 CAR CTLを援助するが、形質導入されていないCD4 T細胞は援助しない
CD4 CAR T細胞が、CD8 CAR CTLを援助することができるかどうかを分析するために、本発明者らは、健康なドナーおよびCLL患者から樹立した、CAR形質導入されたポリクローナルのCD4 T細胞系およびCD8 T細胞系、ならびに対照の形質導入されていないポリクローナルのCD4 T細胞系およびCD8 T細胞系での共培養実験を行った。援助の提供についての読み出しとして、本発明者らは、単独で培養されたCD8 T細胞と比較して、CD4 T細胞の存在下での腫瘍特異的CD8エフェクター機能の向上を定義した。本発明者らは、CAR形質導入されたCD4 T細胞かまたは形質導入されていない対照CD4 T細胞のいずれかを、CD8 CAR CTLと、異なるCD4:CD8比(2:1、1:1、1:2)で組み合わせ、それらをROR1陽性腫瘍細胞で刺激し、CFSE色素希釈により増殖を測定した。本発明者らは、CAR形質導入されたCD4 T細胞のCD8 CAR CTLへの添加が、CD8 CAR CTL単独と比較して、CD8サブセットの特異的増殖を有意に増加させるが、形質導入されていないCD4 T細胞は有意には増加させないことを見出した(図7)。増殖の増加は、少なくとも等量のCD4 CAR T細胞(2:1または1:1のCD4:CD8比)が共培養に加えられた場合、最も顕著であった。形質導入されていないCD4 T細胞と形質導入されていないCD8 T細胞との組み合わせは、追加的な対照としての役割を果たし、CD8サブセットにおいて非特異的増殖を誘導しなかった(データ未呈示)。
【0116】
考察
遺伝子発現プロファイリング研究により、悪性B細胞により優先的にまたは独占的に発現するが、正常B細胞によっては発現しない遺伝子が同定されており、ROR1は、2つの独立した分析においてCLLシグネチャー遺伝子として出現した(27、28)。本発明者らの研究は、ROR1陽性悪性細胞を、ROR1−CARを発現する操作されたT細胞で標的化する可能性を例証している。CD8 ROR1−CAR T細胞およびCD4 ROR1−CAR T細胞は、バルクPBMCかまたは選別精製されたT細胞のいずれかのレンチウイルス形質導入後の正常ドナー由来であり得る。CD8+ ROR1−CAR形質導入されたT細胞は、初代B−CLLを効率的に溶解したが、正常な休止または活性化B細胞を溶解しなかった。CD4+ ROR1−CAR形質導入されたT細胞は、初代B−CLLを弱く溶解したが、正常な休止または活性化B細胞を溶解しなかった。これらのT細胞は、TNF−α、IFNγ、IL−2、IL−4、およびIL−10を含むエフェクターサイトカインを産生した。CAR形質導入されたCD4+ T細胞は、形質導入されたCD8+細胞より有意に高い量のサイトカインを産生した。どちらの細胞型も、ROR1発現腫瘍細胞に応答して増殖する能力があった。この場合もやはり、CD4+ ROR1−CAR T細胞は、CD8+ ROR1−CAR CTLより2〜3倍多く増殖した。これらの結果は、形質導入されたCD4+ヘルパーT細胞が、典型的なヘルパー機能を発揮することを示しており、それらが、CD8+ CAR CTLを強化するために利用され得ることを示唆している。
【0117】
実施例3 − ナイーブサブセット、セントラルメモリーサブセット、およびエフェクターメモリーサブセットに由来したCD4+ ROR1−CAR T細胞のエフェクター機能
ナイーブサブセット、セントラルメモリーサブセット、およびエフェクターメモリーサブセットから引き出され、その後、ROR1 CARで改変されたCD4 T細胞のエフェクター機能を比較した。
【0118】
材料および方法
ナイーブCD4細胞、セントラルメモリーCD4細胞、およびエフェクターメモリーCD4細胞の選別精製
健康なドナーのPBMCから、触れられていないCD4+ T細胞を生じるネガティブ磁気ビーズ選択(Miltenyi CD4単離キット)を用いて、CD4+ T細胞を単離した。CD4+画分を、コンジュゲート化抗CD45RA mAb、抗CD45RO mAb、および抗CD62L mAbで標識し、FACS Ariaフロー選別機(BD Biosciences)を用いてフロー選別精製し、ナイーブCD4+ T細胞(CD45RA+ CD45RO− CD62L+)、セントラルメモリーCD4+ T細胞(CD45RA− CD45RO+ CD62L+)、およびエフェクターメモリーCD4+ T細胞(CD45RA− CD45RO+ CD62L−)を、これらの定義されたマーカーの発現に基づいて精製した。
【0119】
CFSE増殖アッセイ
T細胞を、0.2μMカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE;Invitrogen)で標識し、洗浄し、10U/mL組換えヒトIL−2を含有するCTL培地において2:1の比で刺激細胞と共に蒔いた。72時間のインキュベーション後、細胞を、抗CD8 mAbまたは抗CD4 mAb、およびヨウ化プロピジウム(PI)で標識して、分析から死細胞を排除した。試料を、フローサイトメトリーによって分析し、生きているCD8+ T細胞およびCD4+ T細胞の細胞分裂をCFSE希釈によって評価した。
【0120】
サイトカインアッセイ
サイトカイン分泌の分析のために、標的細胞およびエフェクター細胞を、2:1のE/T比で、三連のウェル中に蒔き、インターフェロン(INFγ)、腫瘍壊死因子(TNF−α)、およびIL−2を、24時間のインキュベーション後取り出された上清において、マルチプレックスサイトカインイムノアッセイ(Luminex)により測定した。
【0121】
結果
本発明者らは、CD45RA、CD45RO、およびCD62Lの発現に基づいた3人の健康なドナーの末梢血からCD4 N T細胞、セントラルメモリーCD4 T細胞(CM)、およびエフェクターメモリーCD4 T細胞(EM)をフロー選別精製し(図8A)、ROR1−CARでの改変後のそれらのエフェクター機能を比較した。本発明者らは、その3つのサブセットのそれぞれに由来するCAR T細胞系において同様に高い形質導入効率を達成した。導入遺伝子を発現するT細胞の濃縮後の多パラメータフローサイトメトリーは、レンチウイルス形質導入後の活性化表現型と一致した、CD4 N CAR T細胞系におけるCD45ROの発現およびCD45RAの消失を示した。CD4 N CAR T細胞系、CD4 CM CAR T細胞系、およびCD4 EM CAR T細胞系は、CD62Lの発現差異を保持しており、最初のフロー選別精製が高純度で実行されたことが確認された。
【0122】
その後、本発明者らは、Nサブセット、CMサブセット、およびEMサブセット由来のCD4 CAR T細胞の腫瘍認識、サイトカイン分泌、および増殖を分析し、バルクCD4 T細胞から生じたCAR T細胞系とそれらを比較した。本発明者らは、その細胞系のそれぞれにおいて、IFN−γ ELISAによりROR1陽性腫瘍細胞の特異的認識を観察した。マルチプレックスサイトカイン分析により、Nサブセット由来のCD4 CAR T細胞は、群を抜いて最も高いレベルのTh1サイトカイン、特にIL−2を産生することが明らかにされ(図8C)、CFSE色素希釈により、それらが、ROR1陽性腫瘍細胞での刺激に応答して最も活発に増殖することが示された(図8B)。
【0123】
考察
本発明者らの研究は、ROR1−CARを発現する操作されたT細胞でROR1陽性悪性細胞を標的化する可能性を例証している。CD8+ ROR1−CAR T細胞およびCD4+ ROR1−CAR T細胞は、どちらも、バルクPBMCかまたは、定義されたナイーブT細胞サブセットもしくはメモリーT細胞サブセットから選別精製されたT細胞のいずれかのレンチウイルス形質導入後の正常ドナー由来であり得る。CD4+ナイーブT細胞、CD4+セントラルメモリーT細胞、およびCD4+エフェクターT細胞は、TNFα、IFNγ、IL−2、IL−4、およびIL−10を含むエフェクターサイトカインを産生した。ナイーブサブセット由来のCAR形質導入されたCD4+細胞は、CARを通してのシグナル伝達後、セントラルメモリー由来のCD4+ CAR T細胞およびエフェクターメモリー由来CD4+ CAR T細胞より有意に高い量のTNFαおよびIL−2を産生した。全てのCD4細胞型は、ROR1/K562に応答して増殖する能力があったが、ナイーブサブセット由来のCAR形質導入されたCD4+細胞において、増殖するように誘導されたT細胞のパーセンテージ、および増殖サブセットが起こした細胞分裂の回数は、有意に高かった。サイトカインプロファイルおよび増殖能力の両方は、ナイーブCD4+ ROR1−CAR T細胞が、CD8+ ROR1−CAR CTLを強化するのに最も良く適している可能性があることを示している。
【0124】
実施例4 − ナイーブCD4+ T細胞がメモリーCD4+ T細胞より良いヘルパーである
ナイーブの形質導入型CD4+ T細胞、セントラルメモリーの形質導入型CD4+ T細胞、およびエフェクターの形質導入型CD4+ T細胞を、形質導入型CD8+細胞傷害性Tリンパ球と共培養し、K562/ROR1細胞での刺激に応答した、それらの細胞の増殖応答を測定した。
【0125】
材料および方法
共培養
ナイーブ由来ROR1−CAR形質導入されたCD4+ T細胞、セントラルメモリー由来ROR1−CAR形質導入されたCD4+ T細胞、およびエフェクターメモリー由来ROR1−CAR形質導入されたCD4+ T細胞、ならびにナイーブCD8+ T細胞由来ROR1−CAR形質導入されたCD8+細胞傷害性Tリンパ球およびセントラルメモリーCD8+ T細胞由来ROR1−CAR形質導入されたCD8+細胞傷害性Tリンパ球を、CFSEで標識し、CD4+ CAR T細胞系およびCD8+ CAR T細胞系を、1:1比で共培養した。その後、共培養物を、K562/ROR1細胞および対照K562細胞で刺激し、細胞増殖を、5日間のインキュベーション後、CFSE色素希釈アッセイによって測定した。フロー分析のために、試料を、コンジュゲート化抗CD8 mAbおよびコンジュゲート化抗CD4 mAbで染色して、CD8+サブセットとCD4+サブセットを区別した。
【0126】
結果
CD4ナイーブCAR T細胞は、CD8 CAR CTLのエフェクター機能を強化する優れた能力を有する
本発明者らは、CD4 N CAR T細胞の有利なサイトカインプロファイルおよび増殖ポテンシャルがまた、CD8 CAR CTLへの最も強いヘルパー効果へと変換されるかどうかを決定するために、CD4 N CAR T細胞系、CD4 CM CAR T細胞系、およびCD4 EM CAR T細胞系のヘルパー機能を比較した。以前の研究により、N CD8 T細胞とCM CD8 T細胞とEM CD8 T細胞の間に、養子免疫療法のためのそれらの潜在的有用性に影響する本質的相違があることが実証されている。本発明者らのグループは、最近、CM由来CD8 T細胞が、養子移入後、長期間持続することができるが、EM由来CD8 T細胞はできないことを示しており、それゆえに、CM由来CD8 T細胞は免疫療法のためのCD8 T細胞の好ましいサブセットである(33、34)。他のグループは、CD8 N T細胞もまたT細胞治療に用いられる有利な形質を有する可能性があると示唆した(35、36)。したがって、本発明者らは、CD8 CAR T細胞サブセットおよびCD4 CAR T細胞サブセットの最適な組み合わせを決定するために、選別精製されたN T細胞およびCM T細胞からCD8 CAR CTLを作製した。レンチウイルス形質導入、およびtEGFRマーカーを用いたCAR形質導入されたCD8 T細胞の濃縮後、本発明者らは、CD8 N CAR CTLおよびCD8 CM CAR CTLの腫瘍反応性を確認し(データ未呈示)、前のように、CD4 CAR T細胞との共培養実験を行った。予測されたように、CD8 N CAR CTLおよびCD8 CM CAR CTLのCD4 N CAR T細胞との共培養は、CD4 CM CAR T細胞もしくはCD4 EM CAR T細胞との共培養、またはCD8 CAR CTL単独と比較して、有意に高いCD8サブセットの腫瘍特異的増殖をもたらした(図9)。全ての組み合わせのうち、ROR1陽性腫瘍細胞での刺激に応答した、CD8 CAR CTLの最大増殖は、CD4 N CAR T細胞のCD8 CM CAR CTLとの共培養後に観察された(図9)。まとめると、本発明者らのデータは、N CD4 T細胞、CM CD4 T細胞、およびEM CD4 T細胞の間に、それらのサイトカインプロファイルおよび増殖ポテンシャルにおける本質的相違があり、CD4 N T細胞においてIL−2の産生がより高く、増殖がより優勢であることを実証している。本発明者らのデータは、選別精製されたCM CD4 T細胞、EM CD4 T細胞、またはバルクCD4 T細胞よりむしろ、選別精製されたN CD4 T細胞が、CD8 CTLのエフェクター機能を強化するのに最も良く適している可能性があることを示唆し、CM由来CD8 T細胞が養子免疫療法に用いられる有利な特徴を有するという、CD8 T細胞における以前の研究を補完している。
【0127】
考察
まとめると、これらのデータは、ROR1−CAR改変型CD4 T細胞およびROR1−CAR改変型CD8 T細胞の養子移入が、侵襲性全身性リンパ腫のインビボモデルにおいて強力な抗腫瘍応答を与えることを実証し、CD8 CAR CTLの抗腫瘍効力へのCD4 CAR T細胞の有益かつ相乗的な効果についての証拠を提供している。本発明者らのデータは、どのようにして、細胞固有の質の分析が、腫瘍特異的CD8 T細胞および腫瘍特異的CD4 T細胞の両方を含有する細胞製造物の理論的な設計に情報を与えて、がん免疫療法の結果を向上させることができるかを例証している。
【0128】
実施例5 − 全身性マントル細胞リンパ腫のマウス腫瘍モデル(NSG/Jeko−1−ffLuc)
本発明者らは、侵襲性全身性マントル細胞リンパ腫のインビボモデルにおいて、ROR1−CAR改変型CD8 CTLの抗腫瘍効力への、CD4のヘルパー効果を調べた。
【0129】
材料および方法
致死量以下で照射されたNOD/SCID/ガンマ−/−(NSG)マウスに、生物発光画像法を用いて腫瘍量および腫瘍分布の評価を可能にするためにホタルルシフェラーゼで安定的にトランスフェクションされている5×10個のJeko−1細胞(Jeko−1/ffLuc)を尾静脈注射によって生着させた。本発明者らは、これらの条件下で、NSGマウスにおいて、急速進行性播種性リンパ腫の一貫した生着(生着率=100%)および発症を確認した。腫瘍生着後、3匹のマウスの群は、CD8 CAR CTL(群1)、CD4 CAR T細胞(群2)、CD8 ROR1−CAR形質導入型T細胞とCD4 ROR1−CAR形質導入型T細胞の組み合わせ(群3)、形質導入されていない対照T細胞(群4、5、6)のいずれかを尾静脈注射によって受け、または処置を受けなかった(群7)。移入されたT細胞の総数は、全ての場合において10×10個であった。本発明者らは、養子移入から2日後、マウスから眼の血液を採取し、末梢血におけるROR1−CAR形質導入型T細胞または形質導入されていないT細胞の存在を確認した。
【0130】
結果
T細胞移入後6日目、本発明者らは、腫瘍量を評価するために生物発光画像法を実施した。CD8 ROR1−CAR T細胞およびCD4 ROR1−CAR T細胞の組み合わせを受けたマウスにおいて、最も強い抗腫瘍効果が観察され、対照群と比較して生物発光シグナルの>2 logの低下があった(図10)。本発明者らはまた、CD8 ROR1−CAR改変型T細胞かまたはCD4 ROR1−CAR改変型T細胞のいずれかを受けたマウスにおいて強い抗腫瘍効果を観察し、対照と比較して生物発光シグナルの>1 logの低下があった(図10)。重要なことには、CD8/CD4 CAR T細胞組み合わせの投与後の腫瘍量の低下は、CD8 CAR CTL群の腫瘍量の低下とCD4 CAR T細胞群の腫瘍量の低下を合わせたものより大きく、CD4 CAR T細胞およびCD8 CAR CTLが相乗的に働いていたことを示唆した。
【0131】
考察
まとめると、これらのデータは、ROR1−CAR改変型CD4 T細胞およびROR1−CAR改変型CD8 T細胞の養子移入が、侵襲性全身性リンパ腫のインビボモデルにおいて強力な抗腫瘍応答を与えることを実証し、CD8 CAR CTLの抗腫瘍効力へのCD4 CAR T細胞の有益かつ相乗的な効果についての証拠を提供している。本発明者らのデータは、どのようにして、細胞固有の質の分析が、腫瘍特異的CD8 T細胞および腫瘍特異的CD4 T細胞の両方を含有する細胞製造物の理論的な設計に情報を与えて、がん免疫療法の結果を向上させることができるかを例証している。
【0132】
実施例6 − CD19 CAR T細胞は同じ相乗作用を示す
本発明者らは、インビトロでの共培養において、および侵襲性全身性マントル細胞リンパ腫のインビボモデルにおいて、CD19改変型CD8 CTLの抗腫瘍効力への、CD4のヘルパー効果を調べた。
【0133】
材料および方法
CD19 CAR T細胞を、米国特許出願公開第2008/0131415号(参照により本明細書に組み入れられている)に記載されているように調製することができる。
【0134】
共培養アッセイ
CD19−CAR形質導入されたCD4+ T細胞およびCD19−CAR形質導入されたCD8+細胞傷害性Tリンパ球を、CFSEで標識し、2:1、1:1、および1:2の比で共培養した。その後、共培養物を、K562/ROR1細胞および対照K562細胞で刺激し、細胞増殖を、5日間のインキュベーション後、CFSE色素希釈アッセイによって測定した。フロー分析のために、試料を、コンジュゲート化抗CD8 mAbおよびコンジュゲート化抗CD4 mAbで染色し、CD8+サブセットとCD4+サブセットを区別した。
【0135】
インビボモデル
致死量以下で照射されたNOD/SCID/ガンマ−/−(NSG)マウスに、生物発光画像法を用いて腫瘍量および腫瘍分布の評価を可能にするためにホタルルシフェラーゼで安定的にトランスフェクションされている5×10個のJeko−1細胞(Jeko−1/ffLuc)を尾静脈注射によって生着させた。本発明者らは、これらの条件下で、NSGマウスにおいて、急速進行性播種性リンパ腫の一貫した生着(生着率=100%)および発症を確認した。腫瘍生着後、3匹のマウスの群は、CD8 CD19 CAR CTL(群1)、CD4 CD19 CAR T細胞(群2)、CD8 CD19 CAR形質導入型T細胞とCD4 CD19 CAR形質導入型T細胞の組み合わせ(群3)、形質導入されていない対照T細胞(群4、5、6)のいずれかを尾静脈注射によって受け、または処置を受けなかった(群7)。移入されたT細胞の総数は、全ての場合において10×10個であった。本発明者らは、養子移入から2日後、マウスから眼の血液を採取した。
【0136】
結果
図10は、CD19+マントル細胞リンパ腫腫瘍系Jeko−1で刺激された、CD8+ CD19−CAR CTLおよびCD4+ CD19−CAR T細胞系に関する共培養実験におけるセントラルメモリー由来CD8+ CAR CTLの腫瘍特異的増殖を強化する、ナイーブサブセット由来のCD4+ CAR T細胞系の優れた能力を示す。しかし、セントラルメモリーサブセットまたはエフェクターメモリーサブセット由来のCD4+ CAR T細胞系は、セントラルメモリー由来のCD8+ CAR CTLの腫瘍特異的増殖を、はるかに低い程度で強化する。
【0137】
図11は、免疫不全マウスのリンパ腫モデル(NOD/SCID−Raji)において、CD8+ CAR T細胞およびCD4+ CAR T細胞が非依存的に、直接的抗腫瘍効力を与えることを示す。マウスは、CD19−CAR形質導入されたCD8+セントラルメモリー由来T細胞もしくは対照の偽形質導入されたCD8+セントラルメモリー由来T細胞(A)、またはCD19−CAR形質導入されたCD4+ナイーブ由来T細胞もしくは対照の偽形質導入されたCD4+ナイーブ由来T細胞(B)のいずれかを受けた。
【0138】
図12は、全身性マントル細胞リンパ腫のマウス腫瘍モデル(NSG/Jeko−1−ffLuc)における、CD4+ ROR1−CAR改変型T細胞の、CD8+ ROR1−CAR CTLの抗腫瘍効力への強化および相乗効果を示す。全身性侵襲性マントル細胞リンパ腫のマウス腫瘍モデル(NSG/Jeko−1)におけるROR1−CAR改変型CD8+ T細胞およびROR1−CAR改変型CD4+ T細胞の抗腫瘍効力は、いずれかの細胞集団単独と比較した場合、または形質導入されていない細胞と比較した場合、増強されていた。
【0139】
図13は、全身性リンパ腫のマウスモデル(NSG/Raji)におけるCD8+ CD19−CAR T細胞とCD4+ CD19−CAR T細胞の相乗作用を示す。腫瘍接種後6日目に、生物発光画像法によりRaji腫瘍の生着が確認された(処置前)(処置スキームはAに示されており、生物発光による腫瘍生着はBに示されている)。生物発光画像法を用いた腫瘍量の分析により、CD8+ CD19−CAR T細胞で処置されたマウスのコホート、およびCD8+ CD19−CAR T細胞とCD4+ CD19−CAR T細胞の組み合わせ型製造物で処置されたマウスにおいてRaji腫瘍の完全な根絶が示された(B、処置後の中央の黒色バーおよび灰色バー)。その後、マウスを、Raji腫瘍細胞の2回目の接種で曝露させ、末梢血におけるCD4+ CAR T細胞およびCD8+ CAR T細胞の頻度、ならびに腫瘍生着を分析した。CD8+ CAR T細胞とCD4+ CAR T細胞の組み合わせ型製造物で処置されたマウスにおける、腫瘍曝露後の有意により高いレベルのCD8+ CAR T細胞(Cの下方のパネル)、およびRaji接種物の完全な拒絶(B、腫瘍曝露後の右の灰色バー)。対照的に、CD8+ CD19−CAR CTL単独を受けたマウスにおいて、本発明者らは、腫瘍曝露後にCAR T細胞の増加を検出せず(C)、Raji腫瘍細胞は生着することができた(パネルB、腫瘍曝露後の右の黒色バー)。
【0140】
考察
まとめると、これらのデータは、別(CD19)のCAR構築物を細胞に形質導入すること、すなわち、CD19−CAR改変型CD4 T細胞およびCD19−CAR改変型CD8 T細胞が、侵襲性全身性リンパ腫のインビボモデルにおいて強力な抗腫瘍応答を与えることを実証し、CD8 CAR CTLの抗腫瘍効力へのCD4 CAR T細胞の有益かつ相乗的な効果についての証拠を提供している。
【0141】
前述は、本発明の例証となるものであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。本発明は、以下の特許請求の範囲、加えて、それに含まれ得る特許請求の範囲の等価物により定義される。本明細書で言及された全ての引例および文献は、参照により本明細書に組み入れられている。
【0142】
参考文献
【0143】
【表1-1】

【0144】
【表1-2】

【0145】
【表1-3】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図13C
図13D