(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203712
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】筆記具
(51)【国際特許分類】
B43K 29/00 20060101AFI20170914BHJP
B43K 23/08 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
B43K29/00 N
B43K23/08
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-516855(P2014-516855)
(86)(22)【出願日】2013年5月23日
(86)【国際出願番号】JP2013064403
(87)【国際公開番号】WO2013176231
(87)【国際公開日】20131128
【審査請求日】2015年12月1日
(31)【優先権主張番号】特願2012-119176(P2012-119176)
(32)【優先日】2012年5月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】大 川 彰 一
【審査官】
吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】
意匠登録第1277578(JP,S)
【文献】
特開2007−320114(JP,A)
【文献】
特開2009−214515(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3011702(JP,U)
【文献】
特開平08−090984(JP,A)
【文献】
実公昭33−010117(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 29/00
B43K 23/08
B43K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップ本体または筆記具本体に設けられた取付凸部に取り付けられた透明な装飾部材を備え、
前記取付凸部は、前記キャップ本体の頂部または前記筆記具本体の後端部に設けられ且つ軸方向に延び、
前記取付凸部の頂部に加飾層が形成され、
前記装飾部材は、前記加飾層を覆うようにして前記取付凸部に取り付けられ、
前記キャップ本体の前記頂部または前記筆記具本体の前記後端部に、軸方向に延び出す環状筒部が、設けられ、
前記環状筒部は、前記装飾部材及び前記取付凸部から離間して且つ前記装飾部材及び前記取付凸部を周状に取り囲んでいる、筆記具。
【請求項2】
前記取付凸部の前記頂部は、前記環状筒部の端面よりも、軸方向に延び出た位置に配置されている、請求項1記載の筆記具。
【請求項3】
前記装飾部材は、前記取付凸部のリブと前記装飾部材の嵌合部との嵌合によって、前記取付凸部に取り付けられ、
前記環状筒部の前記端面が、前記取付凸部の前記リブよりも、軸方向に延び出た位置に配置されている、請求項2に記載の筆記具。
【請求項4】
前記装飾部材は、透明性を有する樹脂成形物からなっている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の筆記具。
【請求項5】
前記取付凸部の頂部が平面である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の筆記具。
【請求項6】
前記装飾部材は、前記取付凸部を側方から周状に取り囲む筒部と、前記筒部に接続し且つ前記取付凸部の頂部を上方から覆う頭部と、を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の筆記具。
【請求項7】
前記頭部は、半球状に形成されている、請求項6に記載の筆記具。
【請求項8】
前記装飾部材の筒部の内面に前記取付凸部と嵌合する嵌合部が形成され、
前記環状筒部の端面は、前記嵌合部よりも、軸方向に延び出た位置に配置されている、請求項6または7に記載の筆記具。
【請求項9】
前記装飾部材の外面および内面の少なくとも一方に多面カットが施されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の筆記具。
【請求項10】
前記加飾層が金属光沢層である請求項1〜9のいずれか一項に記載の筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は筆記具に関する。詳細には、本発明は、キャップ頂部や軸筒後端に装飾部材を備える筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャップの頂部や軸筒の後端部に、本体とは別部品からなる装飾部材を頭冠や尾栓として設けた筆記具が広く販売されている(例えば、JP2007−118341A及びJP2009−28941A)。前記筆記具では、頭冠や尾栓として用いられる装飾部材が、その形状や材質、更には取付構造に応じて、異なる意匠性を発現する。このため、装飾部材によって、デザイン性が高い筆記具を構成することができ、さらに、高級感を醸し出すこともできる。
【0003】
また、前記装飾効果に加え、頭冠や尾栓を用いて本体側の成形用ゲート箇所を被覆することで、ゲート跡を隠蔽してデザイン性をより向上する技術が用いられている(例えば、JP8−90984A)。JP8−90984Aでは、キャップ本体に取付凸部が設けられている。そして、取付凸部の頂部にゲート跡が形成され、前記頂部を被覆するように不透明の頭冠が取付凸部に嵌合している。すなわち、装飾部材は、ゲート跡の隠蔽と装飾とを同時に達成することができる。この筆記具では、取付凸部の頂部にゲート形成用の凹部(ゲート部3)が形成されており、外方からは頭冠を介して取付凸部やその頂部を視認することができない。
【発明の開示】
【0004】
本発明は、キャップの頂部や軸筒の後端部に、別部品からなる装飾部材を頭冠や尾栓として備えた筆記具に対して、筆記具の各本体側に加飾層を設けるとともに、これを被覆する透明性を有する装飾部材を用いることで、両者の相乗効果による今までにない装飾効果を発現できる、意匠性の高い筆記具を提供するものである。
【0005】
本発明の第1の態様による筆記具は、キャップ頂部又は軸筒後端部に頭冠や尾栓となる装飾部材を備える筆記具であって、キャップ本体又は筆記具本体の端部には、環状筒部が延設されるとともに、環状筒部の略中心に取付凸部が形成されており、前記取付凸部の頂部が環状筒部端面よりも突出するとともに、加飾層が設けられており、前記取付凸部には、透明性を有する樹脂成形物からなる装飾部材が外嵌される。
【0006】
本発明の第1の態様による筆記具において、前記取付凸部の頂部が平面であってもよい。また本発明の第1の態様による筆記具において、前記取付凸部と装飾部材との嵌合位置が、環状筒部端面から突出しない位置であってもよい。さらに本発明の第1の態様による筆記具において、前記装飾部材が略円蓋形状であり、外面及び/又は内面に多面カットを施してなるようにしてもよい。さらに本発明の第1の態様による筆記具において、前記加飾層が金属光沢層であってもよい。
【0007】
本発明の第2の態様による筆記具は、
キャップ本体または筆記具本体に設けられた取付凸部に取り付けられた透明な装飾部材を備え、
前記取付凸部は、前記キャップ本体の頂部または前記筆記具本体の後端部に設けられ且つ軸方向に延び、
前記取付凸部の頂部に加飾層が形成され、
前記装飾部材は、前記加飾層を覆うようにして前記取付凸部に取り付けられている。
【0008】
本発明の第2の態様による筆記具において、前記キャップ本体の前記頂部または前記筆記具本体の前記後端部に、軸方向に延び出す環状筒部が、設けられ、前記環状筒部は、前記取付凸部から離間して且つ前記取付凸部を周状に取り囲んでいてもよい。
【0009】
さらに、本発明の第2の態様による筆記具において、前記取付凸部の前記頂部は、前記環状筒部の端面よりも、軸方向に延び出た位置に配置されていてもよい。
【0010】
さらに、本発明の第2の態様による筆記具において、前記環状筒部の前記端面が、前記取付凸部と装飾部材との嵌合位置よりも、軸方向に延び出た位置に配置されていてもよい。
【0011】
さらに、本発明の第2の態様による筆記具において、前記装飾部材は、透明性を有する樹脂成形物からなっていてもよい。
【0012】
さらに、本発明の第2の態様による筆記具において、前記取付凸部の頂部が平面であってもよい。
【0013】
さらに、本発明の第2の態様による筆記具において、前記装飾部材は、前記取付凸部を側方から周状に取り囲む筒部と、前記筒部に接続し且つ前記取付凸部の頂部を上方から覆う頭部と、を有するようにしてもよい。
【0014】
さらに、本発明の第2の態様による筆記具において、前記頭部は、半球状に形成されていてもよい。
【0015】
さらに、本発明の第2の態様による筆記具において、前記キャップ本体の前記頂部または前記筆記具本体の前記後端部に、軸方向に延び出す環状筒部が、設けられ、前記環状筒部は、前記取付凸部から離間して且つ前記取付凸部を周状に取り囲んでおり、前記装飾部材の筒部の内面に前記取付凸部と係合する嵌合部が形成され、前記環状筒部の前記端面は、前記嵌合部よりも、軸方向に延び出た位置に配置されていてもよい。
【0016】
さらに、本発明の第2の態様による筆記具において、前記装飾部材の外面および内面の少なくとも一方に多面カットが施されていてもよい。
【0017】
さらに、本発明の第2の態様による筆記具において、前記加飾層が金属光沢層であってもよい。
【0018】
尚、本明細書において「上」とは、キャップにおける頭冠の側であり、キャップを外した筆記具におけるチップの側を示している。また、「下」とは、キャップにおける開口端の側であり、キャップを外した筆記具における尾栓の側を示している。また、「軸方向」とは、筆記具またはキャップを全体的に観察した際に、筆記具またはキャップの長手方向となる方向を示している。
【0019】
本発明により、キャップや軸筒等の筆記具本体側への加飾層の形成を容易且つ確実に行うことができ、前記加飾層が透明性を有する装飾部材で被覆されることで、両者の相乗効果による今までにない装飾効果を発現することができ、意匠性の高い筆記具を得ることができる。特に、装飾部材に多面カットを施すことで、乱反射を用いた散乱光によるクリスタル効果を発現でき、高級感のある優れた意匠物とすることができる。その際、加飾層を金属光沢層とすることで、装飾部材を介して内部に到達した光が高反射率で反射するため、より明るい輝きを発現する存在感のある筆記具となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の一実施の形態を説明するための図であって筆記具の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の筆記具の一実施形態について図面を用いて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1乃至2に示す筆記具1は、軸筒21内にボールペンレフィル3を収容する筆記具本体2にキャップ4を装着したキャップ式筆記具であり、前記キャップ4の頂部に、装飾部材7が頭冠として取り付けられている。
【0022】
図1の筆記具本体2は、インキ34を内蔵するボールペンレフィル3を軸筒21内に収容しており、前記軸筒21の下端に尾栓23が嵌合されるとともに、上端に金属製の口金22を螺合することで形成される。前記軸筒21は、透明なAS樹脂からなる円筒状成形物であり、把持部となる前方箇所の外面には、複数の凹部が形成されている。尚、前記凹部は軸筒21を射出成形する時に一体に形成されるものであるが、エラストマー等からなる別体のグリップ部材を把持部に取り付ける構成(二色成形を含む)であってもよい。また、軸筒21は樹脂製のものに限らず、金属や木材、セラミック等、汎用の筆記具外装として適用される硬質材料を用いることもでき、円筒状に限らず多角形筒状とすることもできる。更に、軸筒表面に転写や印刷等による装飾を施すこともできる。また、尾栓23は着色透明樹脂成形物であり、キャップ頂部の頭冠7と透明感や色相を合わせることで、筆記具1として一体感のある意匠性を形成している。
【0023】
前記ボールペンレフィル3は、前端にボールを回転可能に抱持させたボールペンチップ(ペン先32)と、該ボールペンチップ32を前端に備え且つ後端が開口された樹脂製パイプからなる円筒状収容部31とから構成され、円筒状収容部31とペン先32とは、樹脂製接続部材であるホルダー33によって接続されている。
【0024】
前記円筒状収容部31は、ステンレスや真鍮等からなる金属製パイプや、合成樹脂の成形パイプ(本形態では乳白色のポリプロピレン樹脂パイプ)から構成されている。尚、本実施形態においては、水性ゲルインキ34を内蔵し、更にインキ34の後端にインキ追従体35を接触状態で配設している。
【0025】
前記ペン先32はボールペンチップであり、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部に超硬合金ボールを抱持してなるものである。尚、前記ボールをバネ体により前方に付勢させることもできる。
【0026】
更にボールペンチップ32としては、金属材料をドリル等による切削加工を施して形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチップや、金属又はプラスチック製チップ内部に樹脂製のボール受け座を設けたチップ、或いは、前記各チップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたもの等を適用することもできる。また、マーキングペンチップを用いることも可能であり、例えば、繊維の樹脂加工体、熱溶融性繊維の融着加工体、フェルト体等の従来汎用の多孔質部材が用いられ、前端を砲弾形状、長方形状、チゼル形状等の目的に応じた形状に加工して実用に供される。
【0027】
前記ペン先32は、ポリプロピレン樹脂からなる乳白色のホルダー33を介して円筒状収容部31の上端開口に接続され、更に金属製のカバー部材で被覆されているが、チップ32の形状によっては、円筒状収容部31の上端開口部に圧入等により直接取り付けて固着することもできる。尚、前記ホルダー33は、透明性を有する樹脂で形成して、内蔵するインキ34の残量を目視により確認できる構成とすることや、内蔵するインキ34の色相と同色に着色して、内蔵するインキ34の色相がホルダー33を目視することで確認できる構成とすることもできる。
【0028】
前記インキ34としては、水性ゲルインキ(剪断減粘性水性インキ)の他、高粘度の油性インキ、低粘度の油性インキ、低粘度の水性インキ、エマルションインキ等から選ばれるインキを適用することができ、更に必要に応じて、各インキを保持するインキ吸蔵体や流量調整部材を円筒状収容部31に形成することもできる。また、前記インキ34を直接収容する場合には、必要に応じてインキ34の後端に、インキ34の消費に伴って前進する高粘度流体からなるインキ追従体35が接触充填され、更には高粘度流体と共に固体の追従体を併用することもできる。前記インキ34に適用される着色剤としては、汎用の染料、顔料、金属光沢調顔料、蛍光顔料、酸化チタン、熱変色材料、フォトクロミック材料等、いずれを用いることもできる。尚、本形態においては染料を着色剤とする剪断減粘性水性インキと、その後端に高粘度の液状インキ追従体が配設されている。
【0029】
前記筆記具本体2には、ペン先32を被覆保護するキャップ4が装着されている。前記キャップ4は、透明樹脂製のキャップ本体5と、その頂部に装飾部材として設けられる頭冠7と、ペン先(ボールペンチップ)32の先端を被覆するゴムシール8により構成される。
【0030】
前記キャップ本体5は、下端を開口した本体部50と、軸方向に延び出すようにして本体部50の上端に設けられた取付凸部51及び環状筒部52と、を有している。キャップ本体5は、透明なポリカーボネート樹脂からなる略筒状成形物であり、本体部50と取付凸部51と環状筒部52とが一体に形成されている。
【0031】
詳細には、キャップ本体5の本体部50上端の外縁から環状筒部52が上方に延び出るように設けられるとともに、該環状筒部52の内部となる位置に、略円錐台形状の取付凸部51が本体部50上端から延び出るように設けられている。取付凸部51の頂部が環状筒部52の上端面よりも上方に位置するように、言い換えると、取付凸部51の頂部が環状筒部52の上端面よりも本体部50から軸方向に離間するように、取付凸部51が本体部50から突出している。また、取付凸部51の外面の下方に、頭冠7の乗越え嵌合用の環状リブ53が形成されている。環状リブ53は、環状筒部52の上端から軸方向上方側に突出しない位置に設けられている。つまり、環状筒部52の上端は、環状リブ53よりも、軸方向における上方に位置し、本体部50から軸方向に離間している。
【0032】
更に、前記取付凸部51の頂部(即ち、円錐台の上面)は、表面が平滑な平面、とりわけ図示された例では軸方向に対して垂直な面となっている。そして、取付凸部51の頂部をなす平面には、加飾層6が設けられている。尚、前記頂部は、平面を斜面状に形成することや、凸状、凹状、立体状等の非平滑面とすることもでき、形状に応じた加飾層6を形成することで様々な意匠性を付与できる。
【0033】
また、筆記具本体2をペン先32がキャップ4の開口部に挿入されて、筆記具本体2とキャップ4とが嵌合する。このため、キャップ4の内部には、開口部近傍に嵌合用突起が形成されるとともに、筆記具本体2との嵌合時にチップ先端を被覆することができる位置にカップ状のゴムシール8(ゴム製チップ被覆部材)が複数の取付リブ54により支持された状態で配設されている。更に、開口部側の空間からキャップ本体5の上端(取付凸部51と環状筒部52の間)を貫通するように、複数の空気通路が形成されている。
【0034】
前記加飾層6は、文字や図柄模様、着色、光輝性材料(金属光沢やプリズム効果を発現する材料)等の装飾が施された部分であり、印刷、転写、蒸着等の方法で形成される。尚、加飾層形成時には、取付凸部51の頂部(加飾層6を設ける面)が、外周の環状筒部52の上端面よりも突出しているため、環状筒部52の端面等に付着することなく頂部全面に渡って容易且つ確実に形成することができる。本実施形態では、前記加飾層6として金属光沢層が形成されている。具体的には、金属蒸着フィルムを熱加圧することで頂部端面に金属光沢層が転写されており、外部からの入射光が高反射率にて反射し得るように構成されている。転写によって加飾層6を形成する際、頂部端面が環状筒部52の上端面よりも突出しているため、環状筒部52やキャップ本体5に金属光沢層が付着することなく、取付凸部51の頂部全面に渡って均一な金属光沢層を形成することができる。尚、金属光沢層以外の光沢層としてホログラムや干渉フィルム等のプリズム層を用いることもできる。この場合、視覚される輝きが虹色となるため、別種の高貴な装飾効果が得られ、特に有用なものとなる。
【0035】
前記加飾層6は、装飾部材となる頭冠7によって被覆されており、該頭冠7は、前記取付凸部51に外嵌される透明性を有する樹脂成形物である。そのため、加飾層6が外部に接触して剥がれることを防止することができる構造になっている。また、前記装飾部材7を透明樹脂材料(即ち、無色透明、着色透明、乳白色透明等の光透過性を有する材料)により成形することで、装飾部材7を介して内部の加飾層6が外側から視認できるため、加飾層6と装飾部材(頭冠7)との相乗効果によって高い意匠性が得られる。特に、頭冠7の内側や外側にカット面を施した場合には、乱反射による明るい装飾物となり、頭冠7の頂部を半球形にした場合には、レンズ効果が得られるため、加飾層6に拡大や湾曲等の視覚的な効果を付与することができる。
【0036】
本実施の形態では、装飾部材である頭冠7は透明なポリカーボネート樹脂からなる略円蓋状成形物であり、外面には複数のカット面71による多面カット(すなわち、略三角形や略四角形等の略多角形面を複数形成してなる所謂クリスタルカット)が施されている。より具体的には、装飾部材7は、取付凸部51を側方から周状に取り囲む筒部73と、筒部73に接続し且つ取付凸部51の頂部を上方から覆う頭部74と、を有している。そして、頭部74は、半球状に形成されている。
【0037】
また、装飾部材である頭冠7の内面には、取付凸部51外面の環状リブ53と嵌合するための嵌合部72が形成されている。前記嵌合部72は、取付凸部51と装飾部材(頭冠7)との嵌合位置が環状筒部上端面から突出しないように位置している。すなわち、キャップ4の環状筒部52の上端面が、取付凸部51と装飾部材(頭冠7)との嵌合位置あるいは嵌合部72よりも軸方向における上方に位置している。言い換えると、キャップ4の環状筒部52の上端面が、取付凸部51と装飾部材(頭冠7)との嵌合位置あるいは嵌合部72よりも、本体部50の上端から軸方向に離間して位置している。このような配置によれば、取付凸部51と装飾部材(頭冠7)との嵌合箇所が視認されないようになっているため、意匠性が向上するとともに、頭冠7が上方に引き抜かれることがない構造となっている。頭冠7を外側から視認した際、外側から頭冠7を介して金属光沢層6に到達した光が高反射率で反射し、頭冠7のカット面71で乱反射するため、より輝度の高い光沢が視覚される。よって、意匠性に優れた筆記具を形成できる。
【0038】
これとは別に、前記構成のキャップに対して加飾層6として、金属光沢層以外の光沢を呈するプリズム層を、ホログラムを用いることで形成した場合、頭冠7を外側から視認した際には、外側から頭冠7を介してプリズム層に到達した光が高反射率で反射するときに虹色に輝き、頭冠7のカット面71で乱反射するため、複雑な色相の光沢が視覚される。よって、別種の輝きを放つ意匠性に優れた筆記具を形成できる。
【0039】
尚、前記実施形態では、装飾部材7としてキャップ上端に頭冠7を設けた筆記具を説明したが、筆記具本体2の軸筒下端に同様の構造の尾栓23を設けることもできる。すなわち、筆記具1は、筆記具本体2に設けられた取付凸部に取り付けられる、尾栓としての、透明な装飾部材を備えるようにしてもよい。またその他の点においても、尾栓23としての装飾部材は、頭冠7としての装飾部材と同様に構成され得る。例えば、筆記具本体2に設けられた取付凸部は、筆記具本体の後端部に設けられ且つ軸方向に延び、取付凸部の頂部に加飾層が形成され、装飾部材が加飾層を覆うようにして取付凸部に取り付けられるようにしてもよい。また、筆記具本体2の後端部に、軸方向に延び出す環状筒部が設けられ、環状筒部が取付凸部から側方に離間して且つ取付凸部を側方から周状に取り囲むようにしてもよい。さらに、筆記具本体2に設けられた取付凸部の頂部が、環状筒部の端面よりも軸方向に延び出た位置に配置される、言い換えると、環状筒部の端面よりも軸筒21から下方に離間していてもよい。さらに、筆記具本体2に設けられた環状筒部の端面が、取付凸部と装飾部材との嵌合位置よりも軸方向に延び出た位置に配置されている、言い換えると、取付凸部と装飾部材との嵌合位置よりも軸筒21から下方に離間していてもよい。
【0040】
また、本実施形態では、ペン先32(チップ)を覆うキャップ4を備えたキャップ式形態の筆記具1としたが、ノック式、回転式、スライド式等の出没機構を有し、軸筒内にペン先を収容可能な出没式形態であってもよい。特に、後端ノック式形態においては、ノック部(押圧部材)の後端に前述の構成を用いて加飾層6と装飾部材7を設けることができ、他の出没機構では、軸筒後端の尾栓構造で加飾層6と装飾部材7が形成される。尚、出没式形態とする場合、レフィルを一本収容するタイプだけでなく、二本以上収容して所望のレフィルを選択的に出没できる複式タイプとすることもできる。また、相異なる形態のペン先を装着させたり、相異なる色相のインキを導出させるペン先を装着させた両頭式形態であってもよい。
【0041】
更にペン先の形態としてもボールペンチップに限らず、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップ、金属加工チップ等のマーキングペン用ペン先を用いたマーキングペン、更には万年筆やシャープペンシル等、汎用形態の筆記具とすることもできる。その際、本実施形態で説明したレフィル式筆記具だけでなく、インキ保溜部材を用いた直液式筆記具や、インキ吸蔵体を用いた中詰式筆記具であってもよい。