(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の弓状表面の前記光学品質の形成部分が、自由形成様式で形成された眼用レンズのエッジの少なくとも一部のための、空間的な影響緩和形状特徴を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の形成光学機器。
前記アライメント特徴が更に、前記第1の平面状表面を、5μm(5ミクロン)以下の偏差で、前記化学放射線の投射経路に対して垂直に装着及び位置決めするのを可能にする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の形成光学機器。
前記形成光学機器が、形成光学機器マンドレルとアライメントプレートとを含み、前記形成光学機器マンドレル及び前記アライメントプレートが共に、他方に対して相補的なアライメント特徴を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の形成光学機器。
形成光学機器マンドレル特徴が、前記マンドレルの側方周囲に沿って溝を含み、アライメントプレートが、前記マンドレルの溝に嵌合する3つの接触点を含む、請求項8又は9に記載の形成光学機器。
前記形成光学機器マンドレルが、前記アライメントプレートと同じか、又はそれより小さい熱膨張係数を有し、前記マンドレルが接着剤を用いて位置付けられる、請求項8〜11のいずれか一項に記載の形成光学機器。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、眼用レンズを自由形成様式で製造するために用いられる装置及び方法を提供する。例えば、本発明の発明主体と同じ発明主体によって出願された、「Ophthalmic Lens Precursor and Lens」と題された米国特許出願第12/396019号に記載されているカスタマイズされた自由形成眼用レンズの製造で実施され得る。以下の各項では、実施形態及び方法が詳細に説明される。好ましい実施形態及び代替の実施形態の両方の説明は、例示的実施形態に過ぎず、変形、修正、及び代替が当業者にとって明白であり得ることが理解されよう。したがって、例示的な実施形態は、特許請求の範囲によって定義される、基礎となる発明の態様の幅を限定しないことが理解される。
【0011】
用語集
本明細書で使用される場合、「化学放射線」は、化学反応を起こすことができる放射線を指す。
【0012】
本明細書で使用される場合、「平行化する」は、入力として放射線を受信する装置からの出力として進行する、光等の放射線の円錐角を限定することを意味し、円錐角は、進行する光線が平行となるように制限され得る。したがって、「コリメータ」は、この機能を実施する装置を含み、「平行化された」は、放射線に対する効果を説明する。
【0013】
本明細書で使用される場合、「特注品」は、慣例又は規格品及び/又は設定以外で利用可能であり得る、1つ又は2つ以上のパラメータを含む製品を指す。特注品パラメータは、規格品より正確に対象を絞った球面屈折力、円柱屈折力、及び円柱軸(例えば、−3.125D/−0.47D×18°)を可能にし得る。また、カスタマイズされた設定は、特定の製品提供及び製品の用途に基づくベースカーブ、直径、安定化プロファイル、及び厚さプロファイルに関連し得る。
【0014】
本明細書で述べるように、「膨張係数」は、前記カスタマイズされた眼用レンズの水和及び安定化の後にレンズ前駆体のサイズが変化し得る割合である。
【0015】
本明細書で述べるように、「フィッティング方法」は、眼科医及び検眼医などのアイケアの専門家によって実施される慣例的な最良の眼用レンズフィッティング方法を指す。
【0016】
本明細書で使用される場合、「自由形成」及び「自由形成された」は、流動性媒体層の有無にかかわらず、化学放射線への暴露による反応混合物の架橋によって形成されており、鋳造成形、旋盤、又はレーザーアブレーションによって成形されていない表面を指す。例示的な自由形成製造方法及び装置の詳細な説明は、本発明の発明主体と同じ発明主体の米国特許出願S/N 12/194,981及び米国特許出願S/N 12/195,132に記載されている。
【0017】
本明細書で述べるように、「グレースケールフォトマスク」は、空間的に変動する減光フィルターである。例えば、部分的に遮蔽された銀被覆領域を有し得るフォトリソグラフィー膜であってもよい。
【0018】
本明細書で述べるように、「人間の目の生理機能」は、目の前部(「前眼房」)の患者固有の形状を含み、その患者に最良適合するように眼用レンズが作られる/カスタマイズされることができる。
【0019】
本明細書で使用される場合、「レンズ前駆体」は、レンズ前駆体形態、及びこのレンズ前駆体形態と接触する流動性レンズ反応混合物(「流動性レンズ反応媒体」とも称される)からなる複合体を意味する。例えば、流動性レンズ反応媒体は、反応性混合物の体積内でレンズ前駆体形態を生成する過程で形成されてもよい。レンズ前駆体形態及び接着する流動性レンズ反応媒体を、レンズ前駆体形態を生成するために使用される反応性混合物の体積から分離することによって、レンズ前駆体を作り出してもよい。更に、レンズ前駆体は、有意な量の流動性レンズ反応混合物の除去、又は有意な量の流動性レンズ反応媒体の非流動性配合物への変換のいずれかによって、異なる実体に変換されてもよく、後者は未水和眼用レンズとして知られている。寸法的には、流動性媒体を非流動性媒体に変換する化学放射線を照射する直前のレンズ前駆体は、未水和眼用レンズに等しい。
【0020】
本明細書で使用される場合、「レンズ」は、眼内又は眼上にある任意の眼用装置を指す。これらの装具は、光学補正をもたらすことができるか、又は美容用であってもよい。例えば、レンズという用語は、コンタクトレンズ、眼内レンズ、オーバーレイレンズ、眼用インサート、光学インサート又は他の同様の、視力が補正若しくは変更される装具か、又は視力を妨げることなく目の生理機能が美容的に拡張される(例えば、虹彩色)装具を指すことができる。いくつかの実施形態では、好ましいレンズは、シリコーンヒドロゲル、及びフルオロヒドロゲルが挙げられるがそれらに限定されない、シリコーンエラストマー又はヒドロゲルから作られるソフトコンタクトレンズである。
【0021】
本明細書で述べるように、「単層」は、光学機器表面への結合を介して集密した原子又は分子のコーティングを指し、このコーティングは、使用する基材の分子1層分の厚さを有する。
【0022】
本明細書で使用される場合、「ピラニア溶液」は、基材から残渣を拭きとるために用いられる混合物である。前記混合物は、強酸化剤として作用することができ、また、有機物を除去し、かつほとんどの表面をヒドロキシル化して、該表面を親水性にすることができ、それにより水との接触角を低下させることができる。例えば、混合物は、硫酸3部と過酸化水素1部とを含む。
【0023】
本明細書で述べるように、「前処理」は、形成光学機器表面をいくつかの作用剤及び作用にさらして、特定の方法又はスタイルで特定の結果をもたらす。
【0024】
本明細書で使用される場合、「反応混合物」は、「レンズ形成混合物」と同じ意味で使用され得、レンズ形成モノマーを含んでいてもよく、硬化及び/又は架橋して眼用レンズ又は眼用レンズの一部を形成し得るモノマー又はプレポリマー材料を指す。レンズ形成混合物は、UV遮断剤、染料、光開始剤、又は触媒、及びコンタクト若しくは眼内レンズなどの眼用レンズにおいて望まれ得る他の添加剤などの、1つ又は2つ以上の添加剤を含むことができる。
【0025】
最適な眼用レンズ光学機器設計から逆算して、形成光学機器の特定の形状/サイズを決定することができる。要因は、人間の目の生理機能、アイケア専門家の一般的なフィッティング方法、角膜トポグラフィー測定を含み、材料の膨張係数を用いて自由形成眼用レンズを設計することができる。眼用レンズのベースカーブの半径は、目の前眼房の中心光学半径として知られている中心後側の光学的切片の曲率半径であり得る。
【0026】
人の目の生理機能は、レンズの曲率半径、及びレンズの後湾曲が一段カーブ(monocurve)、二段カーブ(bicurve)、又は非球面であるべきかどうかを決定づける。一般に、正常眼の頂点部曲率半径は、約7.2〜8.7mmであり得る。しかしながら、円錐角膜患者では、個人の角膜は、「乳頭状突起」、「楕円」、及び「球」と分類されている様々な局所解剖学的形状を呈し得る。これらの分類は、円錐角膜患者の眼の形状及び頂点部曲率半径によるものであり、結果としてベースカーブは著しくより急勾配となり、形状は多様となる。例えば、乳頭状突起形状では、ベースカーブの半径は5.0mmと小さく、対応の形状変化及びより急勾配のベースカーブを有するレンズが必要となり得る。このため、眼に適合して眼が正常に機能し続けるのを可能にし、結果的に弱い視力を矯正できるようにレンズの形状及び曲率半径を設計するのが重要である。例えば、一部の患者において、角膜が非球面であり、中心から周辺まで平坦性がある場合には、レンズを周辺の角膜輪部又は周辺強膜と位置合わせすることを目的とした一段カーブレンズは、その周辺が過度に急勾配となる可能性があり、酸素交換及び異物除去で重要な涙液交換ができなくなる可能性がある。
【0027】
眼用レンズを設計する場合、眼を測定した後、アイケア専門家の一般的なフィッティング方法に従うのもまた重要であり得る。通常、ソフトコンタクトレンズでは、レンズのベースカーブの半径は、前側角膜表面よりも約0.8mm平坦である。これによりレンズの直径はより大きくなり、望ましい場合には、ベースカーブから最も外側のカーブまでのより平坦な領域をレンズが覆うのを可能にすることができる。
【0028】
一部の自由形成製造方法は、未水和眼用レンズに加工されることができ、かつ水和及び平衡化の後に膨張することができるレンズ前駆体を形成することを含む。自由形成レンズ前駆体のサイズを超える、水和及び平衡化された眼用レンズの膨張は、膨張係数に比例する。膨張係数は、レンズを重合するために用いられるプロセス及び環境、並びにモノマーの固有の性質により異なり得る。そのため、膨張係数が既知である場合には、形成光学機器のサイズは限定されない。
【0029】
本発明では、自由形成製造方法において、形成光学機器の形状は、一般に、製品の所望の形状に基づく第1の光学品質表面を含み得る。形成光学機器が化学放射線の投射経路の一部となっている場合には、代表的なボクセル毎のボクセル像が眼用レンズの形成面内に存在する必要があり得る。したがって、好ましくは、形成光学機器は、
図1Aに示すような平凸の形成光学機器マンドレルであり得る。あるいは、自由形成形成装置中の投影光学の設計によっては、1)レンズが後側湾曲部から前側湾曲部に形成される場合には、形成光学機器マンドレル表面が凸形状を有する、又は2)レンズが前側湾曲部から後側湾曲部に形成される場合には、形成光学機器マンドレル表面が凹形状を有する限りにおいて、凸凸、平凹、凹凸、又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0030】
ここで
図1Aを参照すると、曲率半径が7.4mm〜8.0mmである凸状の光学品質表面を備えた例示的な形成光学機器マンドレルを含む形成光学機器の側面図が示されている。光学品質表面設計の半径は、自由形成眼用レンズの形成において有用であり得る。101Aは光学品質の形成表面を示している。図の設計では、前記表面は、7.4mm〜8.0mmの間で異なる半径を有し得る。曲率半径を変化させることによって、形成されるレンズの後側湾曲部分の半径を変化させることができる。レンズの後側湾曲部分の変化は、光学品質の形成表面で用いられる曲率半径の測定値、及び、使用するレンズ材料配合物に依存する膨張係数Xによって決定される、一定な比例変化であり得る。膨張係数は、用いる方法において十分に一定している限りにおいて、限定されない。例えば、一般に知られているレンズ材料であるEtafilcon−Aを使用する場合、膨張係数Xは約1.11(1.09〜1.12)であり、最終眼用レンズの形成プロセスを通して恒常的である。
【0031】
102Aは、形成表面の上面から光学機器マンドレルの底面までの距離を示している。レンズ製造装置(同時に出願された出願に記載されている)との距離は12.7mm+/−0.01であり得るので、リザーバの表面が形成光学機器及び反応混合物の重合に干渉しないだけの十分な隙間を提供することができる。103Aは、光学機器表面の基部から、マンドレルの下側面の周囲に沿った溝の中央までの距離を示している。好ましい距離は1.88mmである。この距離は、本説明の他の箇所で更に記載される取付板への形成光学機器マンドレルの正確な位置決め及び調節を可能にすることができる。104Aは、側溝の曲率半径を示している。用いるのに好ましい半径は1.5mmである。前記好ましい半径は、本説明の他の箇所で更に記載されるように、金具が固定点に嵌合しかつ機能できるようにすることによって、光学機器表面の正確な位置決め及び調節も可能にし得る。更に、側溝水平部は、105Aに示すように、長さ14.00mm+0.10/−0.00を有するのが好ましい。
【0032】
106Aは中間部分を示している。前記中間部分は、光学品質の形成表面への線形光路接続部を含み得る。前記接続部により、光学品質の形成表面の曲率半径に対応する90°の急勾配角度106A.1がもたらされ得る。この特定範囲内の曲率半径では、光学機器マンドレルの側部の90°の急勾配角度は、化学放射線の適切な透過を可能にすることができる。最後に、107Aは、本発明を実施するのに有用であり得るマンドレルの直径を示している。前記直径は、光学機器アセンブリの他の部品内に位置決めできるように、例えば、14.6mmである。
【0033】
ここで
図1Bを参照すると、光学品質の形成表面の曲率半径が6.6mm〜7.2mmである形成光学機器マンドレルの設計の側面図が示されている。
図1Bに示される光学品質の形成表面設計の例示的な半径は、例えば、急勾配の角膜移行部を有する患者のために自由形成される眼用レンズの形成で用いられ得る。101Bは形成光学機器表面を示している。図の設計では、前記表面は、6.6mm〜7.2mmの間で異なる半径を有し得る。形成表面のより大きな曲率半径に平行して、曲率半径を変化させることにより、形成されるレンズの後側湾曲部分の半径を比例的に変化させることができる。
【0034】
102Bは、形成表面の上面から光学機器マンドレルの底面までの距離を示している。レンズ製造装置(本明細書で参照される出願に記載されている)との距離は12.7mm+/−0.01であり得るので、ここでも同様に、リザーバの表面が反応混合物の自由形成重合に干渉しないように隙間を提供することができる。103Bは、光学機器表面の基部から、マンドレルの下側面の周囲に沿った溝の中央までの距離を示している。距離は1.88mmであってもよく、この距離は、本発明の他の部品中への形成光学機器マンドレルの正確な位置決め及び調節を可能にすることができる。104Bは、側溝の曲率半径を示している。用いる半径は1.5mmであってもよい。前記半径は、本説明に記載されるように、金具が固定点に嵌合しかつ機能できるようにすることによって、光学機器表面の正確な位置決め及び調節も可能にし得る。更に、側溝水平部は、105Bに示すように、長さ14.00mm+0.10/−0.00を有するのが好ましい。
【0035】
106Bは中間部分を示している。前記中間部分は、急勾配角度106B.2つまり線形接続を有する半径Yの弓状表面を含み得るが、急勾配角度106B.1及び106B.2は互いに依存し得る。曲率半径を用いる形成表面101Bが、化学放射線を適宜通過させるための明瞭な光学的開放口を提供するのを可能にする限り、いずれの急勾配角度が用いられてもよい。用いる変数は、YとZとの間に接線点を提供して、レンズの形成及び製造の容易性にとって好ましい様式で化学放射線の所望の透過がマンドレルを通過できるのを確実にするために、光学品質の形成表面の湾曲角度に比例していてもよい。例えば、YとZとの間に接線点を提供するために、半径6.60mmの急勾配角度を有する形成表面は、12.7mmの半径から得られる角度を有する中間部分を有していてもよく、その場合、周縁の中心点は、マンドレルの基部の側部から11.71mmでかつ高さ9.45mmである。別の実施形態の例では、半径7.0mmの急勾配角度を有する形成表面は、12.7mmの半径から得られる角度を有する中間部分を有していてもよく、その場合、周縁の中心点は、マンドレルの基部の側部から12.12mmでかつ高さ9.02mmである。最後に、107Bは、本発明において有用であり得るマンドレルの直径を示している。前記直径もまた、本発明の別の箇所に記載されているように位置決め及び調節できるように、14.6mmである。
【0036】
更なる眼用レンズ特徴は、形成光学機器の他の形状又は特徴を用いて達成することができる。例えば、光学品質表面は、レンズエッジが患者の眼と相互作用する様式で含まれることができるレンズエッジ成形幾何学的特徴を有し得る。例えば、一部の人間の目の生理機能にとっては、より快適なレンズを提供するために又は機能面から、後側湾曲半径又はプロファイルをレンズのエッジのごく近くに変更するのが望ましい場合がある。これを達成するため、影響緩和形状が、形成光学機器の光学品質表面で使用され得る。更に、レンズが円形でなく、特徴がレンズの異なる半径/部分によって異なるような場合には、この形状特徴は、特注の外形へと又は特定の外辺部に作製され得る。その結果、レンズのエッジ近くの半径は、所望の最終レンズ効果に応じて平坦になるか、又は急勾配になり得る。
【0037】
図1Cを参照すると、更なる自由形成された眼用レンズを形成することができる形成表面特徴を備えた例示的な形成光学機器の設計の側面図が示されている。101Cにおいて、形成光学機器のベースカーブは、レンズのエッジのカールした形状を誘発するための形状特徴を、外辺部の周囲に提供してもよい。(図の特徴は、明瞭に図示するために誇張されている。)形成光学機器表面とレンズ前駆体の流動性媒体との間の接触角が101C.1及び102C.1で示されている。接触角は、形成光学機器の光学品質の形成表面特性、及び使用する反応混合物の材料によって異なる。この場合、反応混合物は、未反応レンズ形成混合物と部分的に反応したレンズ形成混合物との混合物であり得る。接触角は、表面上に存在するレンズ前駆体の流動性媒体の最小エネルギー状態の境界条件としての役割を果たし得るので、生成された眼用レンズの形状及びレンズエッジプロファイルは、接触角による影響を受ける場合がある。マンドレル光学品質の形成表面の前処理は、流動性媒体がドループする又はゆっくり動くのを防止して、望ましくないレンズエッジプロファイル形状となり得るのを防止するために、望ましくあり得る。
【0038】
これに加えて、得られる自由形成された眼用レンズに付加的利点をもたらすために、表面特徴の幾何学的形状は、所望により、空間的に変化してもよい。例えば、102C.1では、レンズの形成エッジにおける平坦な形状は、この変化からもたらされ得る。これにより、レンズのエッジが眼の上に位置しないレンズを得ることができ、レンズのエッジが眼の上に位置するレンズは、過度に神経質であり得る一部の患者において望ましくない場合があるので、そうした患者に改善された快適性がもたらされる。103Cは、化学放射線源を示している。例えば、使用する供給源はDMD装置であってもよく、前記DMD装置は、化学放射線のベクトルを製造中のレンズのための計画波長で生成できてもよい。更に、更なる形状の違いはまた、円錐角膜の患者のために多分割であり、眼の角膜及び強膜領域の特殊な形状に適合する、カスタマイズされた眼用レンズを提供することができる。
【0039】
カスタマイズされた眼用レンズは、レンズの前側湾曲側から形成され得る。
図1Dを参照すると、本発明において有用であり得る凹状の形成光学機器マンドレル表面が示されている。この形状は、カスタマイズされた眼用レンズを前側湾曲側から形成するのを可能にし得る。加えて、いくつかの方法では、余剰液体ポリマーの除去が望ましくあり得る。しかしながら、この形成光学機器設計形状を使用することにより、形成光学機器がリザーバとしての役割を果たすことができる。凹状の形成光学品質の形成表面が101Dで示されている。102Dで示されるように、前記光学品質の形成表面はまた、所望により、固有の眼の形状及び条件に適合する形状特徴を含んでいてもよい。
【0040】
参照出願に記載されている好ましいボクセル毎のDMDボクセル方法とは対照的に、化学放射線源として定常光源が使用されてもよい。定常的な化学放射線源を使用する他の方法では、グレースケールフォトマスクが形成光学機器に更に組み込まれてもよい。例えば、マンドレル内のグレースケールフォトマスクの部分的銀被覆領域は、レンズのより大きな厚みをもつ領域を生成することができ、これに対して、より暗い領域は、シェーディングによりゆっくり硬化する高密度部分に起因して、レンズのより薄い厚みをもつ領域をもたらすことができる。
【0041】
眼用レンズの形成のための光学機器表面マンドレル組成物は、特にカスタマイズされたレンズでは、ガラス、石英、ルビー、及びサファイアから、又は種々の熱可塑性ポリマーから作製され得る。一般に、ガラス及び石英表面は、費用効率が高く、耐薬品性であり、より耐久性があり、かつ、より高い透明度及びより高い寸法安定性をもたらすことができる。加えて、用いる組成物は、化学放射線を透過でき、かつ用いられるレンズ形成混合物との化学的相互作用に耐性を有していることが重要である。
【0042】
ホウケイ酸ガラスを形成光学機器で使用することができる。ホウケイ酸ガラスは実験用ガラス製品に広く使用されており、量産品又はカスタムメイドのいずれかであり得る。更に、光学等級(例えば、ホウケイ酸ガラス(「N−BK7」))で入手可能である。N−BK7ホウケイ酸ガラスは、低い膨張係数及び高い軟化点を伴った熱的特性を有し得る。N−BK7ホウケイ酸ガラスはまた、水、酸、塩類溶液、有機溶媒、ハロゲン、及び眼用レンズの製造で使用することが望まれる場合がある他の添加剤からの、破壊作用に対する高度の耐性を提供する。更に、アルカリ性溶液に対する耐性は中程度であり、その組成物特性は、前記カスタマイズされたレンズの製造で望ましい場合に化学放射線を通過させることができる透過特性を含み得る。
【0043】
次に、ホウケイ酸ガラス(「N−BK7」)の特性を示す表である
図2を参照する。201には、N−BK7ガラスの光学的性質が示されている。前記カスタマイズされたレンズの形成を通じて使用される波長は、典型的にはλ365及びλ420であり得る。
図3に示すように、N−BK7は、これら波長の化学放射線の90%超過を透過することができる。化学放射線の量が比例的に増加される得る場合、これら波長の化学放射線の少なくとも30%を透過することができる材料を使用してもよい。しかしながら、N−BK7によって与えられるように、透過率は経時的な製造反復性を変化させないことが重要である。
【0044】
図2に戻ると、重要であり得る別の光学的性質は、屈折率である。1.458(石英のn
d)から1.77(サファイアのn
d)までの屈折率n
dが、形成光学機器で許容可能であり得る。N−BK7の屈折率はn
d 1.5168であるので、許容可能であり得る。加えて、形成プロセスは波長感受性であるので、低色分散を有するのが望ましくあり得る。したがって、形成プロセス中の像の歪曲を防止するため、使用する反応混合物の屈折率は、マンドレルの組成物の1つに近いのが更に望ましくあり得る。
【0045】
アッベ数も201に示されている。アッベ数は、光を通す材料のV値又は収斂性として知られており、屈折率と関連した材料の分散(波長による屈折率の変動)の測定値である。低分散(低色収差)材料は、高いV値を有する。低色収差の材料を使用することが重要であり得る。好ましくは、形成光学機器マンドレルの組成物のアッベ数は、63.96(N−BK7)〜106.18(MgF
2)であり得る。N−BK7では、アッベ数又はν
dは64.17に等しい。
【0046】
N−BK7の機械的特性が202に示されている。使用する組成物の密度及び硬度は重要であり得る。密度は、マンドレルがいかに透過性であるかを提供し、かつレンズで使用するポリマーを限定し得る。例えば、N−BK7は、2.51g/g/cm
3の密度を有する。許容範囲は、2.20g/g/cm
3(UV溶融シリカ)〜5.27g/g/cm
3(ZnSe)であり得る。硬度は、適用される力に対してマンドレルがいかに耐性であり得るかを提供することができ、位置決め中にマンドレルが破壊するのを防止するために重要であり得る。N−BK7は、HK
0.1/
20:610のヌープ硬さを有する。許容範囲は、前記自由成形レンズの形成プロセスに耐えるために、105kg/mm
2(ZnSe)から最高で740kg/mm
2(結晶石英)までである。
【0047】
形成光学機器のマンドレルを保持しかつ位置合わせするために、取付フレームを使用することができる。使用する光学機器マンドレルを保持する取付フレームの材料の熱係数は、形成光学機器マンドレルで用いることができる熱係数を制限し得る。しかしながら、フレーム及び形成光学機器マンドレルで同じ材料が用いられる場合、そのことによる制限は存在し得ない。N−BK7の熱的特性が203に示されている。好ましくは、光学機器形成マンドレルを保持するフレームは、ステンレス鋼で作製される。N−BK7の熱膨張係数はステンレス鋼の熱膨張係数より低いので、本発明ではN−BK7を使用することができる。その逆は光学機器を圧迫することになり、場合によってはマンドレルを破壊する。
【0048】
最後に、N−BK7の耐薬品性が204に示されている。一般に、レンズ形成混合物及び前処理は、形成光学機器マンドレルが、該混合物及び化学放射線で用いられる化学薬品に耐性があることを必要とし得る。N−BK7は、本発明での使用に適するように、これを定常的に可能とする。
【0049】
図4A、
図4B、及び
図5に示すように、形成光学機器は、取付フレームの上に位置する形成マンドレルを含み得る。前記フレームは、ステンレス鋼、アルミニウム、光学材料等といった金属で作製され得る。形成光学機器アセンブリは、形成光学機器アセンブリを適所に保持するための運動学的装着装置を含み得る。当業者には、運動学的装着は、別の物体に対して物体を定位置に装着する機構として画定される。運動学的装着及び運動学的装着技術を用いることにより、形成光学機器アセンブリは、位置付けられるたびに、X、Y、及びZ位置において1サブミクロン未満の偏差を有することが可能となり得る。これは次の3つの理由から重要であり得る:1)レンズを形成するときに、毎回、形成光学機器上の全く同じ位置で形成される;2)レンズなしで形成光学機器を測定するときに、形成光学機器が全く同じ位置にある;3)形成光学機器上のレンズを測定するときに、形成光学機器が、測定の基準点となる偏差センサに対して全く同じ位置にある;及び4)繰り返し可能なレンズの位置決めは、測定した厚さを、生成された眼用レンズの測定値とマンドレルの測定値との間の2点間の差とすることができる。
【0050】
次に、本発明で使用することができる例示的な運動学的装着装置アセンブリの側面図である
図4Aを参照する。スチール又はタングステンカーバイド製の3つの位置調整小球(positioning bullet)(そのうちの2つだけが図示されている)が、運動学的装着プレートの上面の穴の中に存在しており、各小球の位置は、小球が形成光学機器アセンブリと一点で接触するまでねじで調節されることができ、それによって形成光学機器アセンブリの基部の上に形成光学機器マンドレルを位置決めする。あるいは、小球はボールで置き換えられてもよく、その場合も同様に、ボール−小球−プッシャー−ねじの組み合わせ、又は上述と同じ機能性を有することができるそれらの任意の組み合わせを含み得る。3つの小球のうちの1つが401Aで示されている。前記ボールは、ねじ及びバネ、即ちボールプランジャによって作動され得る。残りの2つの小球のシステムが402Bで示されている。前記小球は、2箇所にある2つの止めねじを用いて、システム内で作動され得る。このシステムは、形成光学機器マンドレルをもう一つに対して固定位置に装着及び調節するための機構を提供することができ、これは本発明のいくつかの実施形態において望ましくあり得る。
【0051】
次に
図4Bを参照すると、形成光学機器を形成するために、形成光学機器マンドレルはプレートに固定され得る。形成光学機器マンドレルを保持プレートに固定する1つの方法は、大きな熱膨張差を補償する能力を有するUV硬化性エポキシを使用することであり得る。UV硬化性エポキシは、形成光学機器マンドレルのシーラント及び封止剤として使用され得る。
【0052】
許容可能な安定性、強度、及び薬品耐性を有し得るUV硬化性エポキシの例は、Master Bond,Inc.のUV15−7SP4、UV15X−2、UV15X−2GT、又はSupreme 3HTのようなものである。加えて、マンドレルの材料の熱係数が、使用するプレートの1つより小さい場合には、接着剤の使用が、結果的に位置決め及び調節にとって十分であり得る。
【0053】
UV硬化性エポキシをアライメント箇所に注入している間に、形成光学機器マンドレルを位置決めするために一時的に使用され得るゴムワッシャが、401Bで示されている。挿入されるUV硬化性エポキシのためのアクセス充填部が402Bで示されている。これにより、形成光学機器マンドレルの周囲への注入及び分配が可能となり得る。形成光学機器マンドレルの凹状インターロック特徴が403Bで示されており、形成光学機器マンドレルは、エポキシが完全に硬化されていない状態で、外部手段によって調節されることができ、適所に設置された後、位置をロックするために紫外線が適用され得る。あるいは、調節するための十分な作業時間があるように、1液型又は2液型エポキシを使用してもよい。
【0054】
次に
図5を参照すると、形成光学機器のための運動学的装着装置アセンブリを実装している例示的な実施形態の上面図が示されている。例示的な運動学的装着は、2つの調節ボールピン501及び502、並びにプランジャ503によって適所に保持され得る。プランジャ503は、その後ろにバネを有する溝に入っており、これはバネピンアセンブリねじによって拘束されて、バネピンアセンブリを表示することができる。プランジャ503は自由に出たり入ったりすることができ、形成光学機器と係合する。マンドレルの回転を防止するために、ノッチが組み込まれてもよい。バネピンアセンブリは、プランジャを介して形成光学機器アセンブリを左に向けて押し(
図5)、次にプランジャの端部は調節ボールピン501及び502と衝突する。
【0055】
調節ボールピン501及び502のいずれかの調節は、取付板505内の形成光学機器マンドレル504のX、Y、及びZ位置全てを十分に調節することができる。
【0056】
本明細書において前述し、かつ
図2で説明した通り、一般に、BK7ガラス及び石英表面はより耐久性があり、より高い透明度及びより高い寸法安定性を提供し、かつ、前記カスタマイズされた眼用レンズの形成及び硬化を目的として形状特徴を強化するためのコーティングを可能にすることができる。BK7ガラス又は石英のような組成物を使用する場合、眼用レンズの形状特徴は、光学品質の形成表面に前処理を施し、より低い表面エネルギー特性をもたらすことができるコーティング又は単層を塗布することによって強化され得る。例えば、形成表面によってもたらされる接触角を大きくするコーティング又は単層を塗布することによって、眼用レンズの所望のエッジ形状を提供してもよい。
【0057】
表面の表面エネルギーを低下/増大させるためのコーティング、又はより良好な光学品質表面を作るためのコーティングの使用を用いることができる。コーティングは、恒久的か、又は一時的であってもよく、様々な方法で塗布されることができる。例えば、コーティングは、ワイプ又はスプレーを使用して水をビーズ状にし、それによって接触角を大きくする合成疎水性表面塗布製品の塗布であってもよい。前記コーティングの厚さは大きく異なリ得る。しかしながら、コーティングが反応混合物と意外な方法で反応せず、かつ用いる方法において定常的に作用することが重要であり得る。
【0058】
コーティングは、形成光学機器の光学品質の形成表面にとって有利であり得る特異性を提供する、特定の単層を含み得る。ある単層としては、
【化1】
(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)−トリエトキシシラン(「フルオロシラン」)単層を挙げることができる。更に、フルオロシラン単層は、洗浄プロセス、及び単層を光学機器表面に塗布するプロセスを用いて、光学機器の清浄な形成表面に塗布され得る。前記単層は耐久性が高くてもよく、より疎水性の表面を提供して接触角を大きくすることができ、結果として前記自由成形レンズの眼科用として許容可能なエッジが得られる。
【化2】
あるいは、又はこれに加えて、オクタデシルトリメトキシシラン(「オクタデシルシラン」)単層を使用することも可能である。オクタデシルシラン単層は、同じ好適な洗浄及び単層結合プロセスを用いて塗布されてもよい。
【0059】
オクタデシルシラン単層は、より低い表面エネルギー特性をもたらすことも可能であり、該単層の片側が選択されたガラス、石英と結合し得る。固有の低表面エネルギー特性を有する特定の熱可塑性ポリマーを用いる場合には、単層を必要としない場合がある。
【0060】
BK7ガラス又は石英では、これらの化学的性質により、ガラスの基本的性質であるSiO
2と共有結合を形成することによってフルオロシランを表面と重合させることが可能である。重合が生じれば、かなり低い表面エネルギーを提供する単層を得ることができる。粉々に砕ける可能性のある、表面を滑らかにするために用いられる一部のコーティングとは全く異なり、前記単層は、本来非常に丈夫であリ得る。これに加えて、こうした単層はほとんど検出不能であり、表面を滑らかにするため又は形成されたレンズを剥離する目的で用いられない。
【化3】
【0061】
形成光学機器表面に結合することにより、接触角θが増大し得る。接触角は、液体による固体の湿潤の定量的尺度である。液体、気体、及び固体が交わる三相界面において液体が形成する角度として幾何学的に画定されている。低い値の接触角(θ)は、使用したゲルが広がるか、又は良好に湿潤することを示し、高い接触角はあまり湿潤しないことを示す。接触角は、濡れの最も直接的な尺度としてよく使用される。他の実験パラメータは、接触角及び表面張力の結果に直接由来し得る。例えば、延展仕事量は、液体が固体表面上に広がることと関連した負の自由エネルギーである。データを与える表面張力の測定は、試験される反応性モノマーの熱力学的特性を直接反映し得るので、特定の液体/固体対の濡れ挙動を特徴付けたい場合には、接触角を報告すれば十分である。
【0062】
ここで
図6及び
図7を参照すると、例示的な形成光学機器の側面図が図示されている。
図6は、形成表面の前処理によって生じたエッジ特性を有する眼用レンズの例示的な形成光学機器マンドレル表面を示す。602では、マンドレルの形成表面に単層が塗布されている。単層の高い接触角によって生じたレンズエッジが601で示されており、形成表面702の前処理の欠如により生じたエッジ特性を有する眼用レンズを備えた別の例示的な形成光学機器マンドレル表面を示している
図7と対照的である。701では、形成表面は、該表面にわたってレンズエッジをドループさせ、通常の着用で許容不可能なエッジ特性を有するレンズをもたらすことになる。
【0063】
次に
図8を参照すると、複数の機械的アライメント手段と、本発明において有用であり得る識別特徴とを含む更に別の例示的な形成光学機器の等角図が示されている。様々な機械的アライメント特徴が801で示されている。本発明の例示的な形成光学機器の実施形態は、1回の重心調節(center adjustment)のみが必要であり得る付加的な運動学的装着によって位置合わせされ得る。この形成光学機器は、例えば、既知のガラス成形技術によって製造され得る。成形器である形成光学機器は、サブミクロンレベルまで正確に製造され得る。更に、形成光学機器は、用いる自由形成プロセスの収束値を変えずに、洗浄、コーティングの再塗布のために簡単に取り外すことが可能であり得る。機械的特徴801は、温度変化に左右されることがない、1自由度のみを提供し得る。
【0064】
802において、放射線が通過する光路に影響を与えないように、光学機器形成表面803以外の形成光学機器の表面に、形成光学機器識別名が成形されてもよい。
【0065】
次に
図9を参照すると、本発明で用いることができる光学機器表面の洗浄及び前処理の例示的な方法を示すフローチャートが示されている。901において、形成光学機器は、変形又は可視欠陥に関して観察される。902において、光学機器が変形又は可視欠陥を有している判断すれば、適合する光学機器が見つかってステップ903に進むまで光学機器を交換すべきである。903において、形成光学機器はピラニア溶液に暴露される。本明細書で使用される場合、ピラニア溶液は、硫酸(H
2SO
4)と過酸化水素(H
2O
2)との混合物を含む。ピラニア溶液は、形成光学機器を洗浄するため、特に有機残渣を洗浄するために使用され得る。洗浄工程は、形成光学機器の表面へのヒドロキシル化物の塗布も含み得る。したがって、ピラニア溶液は、光学機器の表面にOH基を付加して、光学機器の親水性特性を高めることができる。
【0066】
本明細書で述べるように、ピラニア溶液は、濃硫酸と30%過酸化水素溶液とを3:1で含む混合物であり得、他のプロトコルは、4:1混合物、又は更には7:1混合物を使用してもよい。あるいは、該方法は、「塩基ピラニア」として知られる溶液を使用してもよく、該溶液は、水酸化アンモニウム(NH
4OH)と過酸化水素との3:1混合物を含む。
【0067】
洗浄は、光学機器をピラニア溶液に約1〜40分にわたって暴露することを含み得る。ピラニア溶液は適用前に混合されてもよく、又は光学機器に直接適用されてもよく、その場合には、最初に硫酸を適用した後に過酸化物を適用する。過酸化水素は自己分解するので、ピラニア溶液は、光学機器への適用時に、又は光学機器に適用する直前に調製されるのが好ましくあり得る。洗浄は、光学機器にピラニア溶液を適用すること、又は光学機器をピラニア溶液に浸漬することを含み得る。
【0068】
904において、メタノールが濾過され得る。例えば、メタノールは、Pail Lifesciences 1ミクロンシリンジフィルタで濾過されてもよい。905において、光学機器を濾過メタノールに3〜5分にわたって浸漬することによって、光学機器をすすぐ。906において、清浄な乾燥空気で光学機器を乾燥させる。907において、光学機器をフルオロシラン溶液と共に清浄なテフロンチューブに入れる。908において、909の前にテフロン容器を洗浄してもよい。909において、0.3gの(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル(tetrahydroctyl))トリエトキシシランを計量して、洗浄したテフロン容器の中のバイアル瓶に入れることができる。910において、光学機器の特定を維持するために、チューブの外側の個々の光学機器の位置に印をつけてもよい。
【0069】
911において、テフロン容器を、濾過した乾燥空気又は窒素で、34kPa(5psi)にて3分間パージしてもよい。912において、オーブン(over)を120℃(120セルシウス度)に予熱してもよい。913において、テフロン容器を密封し、約120℃(120セルシウス度)の温度のオーブン(over)に入れることができる。オーブンに入れたら、914において、約4時間にわたって蒸着が生じ得る。915において、テフロン容器を取り出し、開封する(シランガス(silane fumes)への暴露を避けるためにドラフトの中で)。916において、イソプロピルアルコールの中で5分にわたって超音波処理した後、乾燥させ、917において、印の付いた容器に再度入れる。
【0070】
定数測定を確実にし、前記単層に及ぶ耐久性の結果を試験するために、単層の塗布後及びシミュレーション試験方法を通じて接触角を測定することができる。接触角は、各サンプルの上に水を9滴滴下して測定した。接触角は9滴の平均としてとられた。サンプルの位置による接触角の差は観察されなかった。
【0071】
耐久性試験1
1.サンプルを、Tween及び脱イオン水の500ppm溶液中に、90℃にて5分にわたって浸した。
2.サンプルにソプロピルアルコール(Isopropryl alcohol)を注いだ後、レンズペーパーできれいに拭き取った(激しくこする)。手順を10回繰り返した。
【0072】
耐久性試験2
1.サンプルを、Tween及び脱イオン水の500ppm溶液中に、90℃にて15分にわたって浸した。
2.サンプルにソプロピルアルコール(Isopropryl alcohol)を注いだ後、レンズペーパーできれいに拭き取った(激しくこする)。手順を5回繰り返した。
3.手順1及び2を10回繰り返した。
【0074】
水接触角は1/4波長BK7窓上の単層に関して得る(カッコ内は標準偏差)。洗浄済み基材とは、硫酸/過酸化水素混合物で洗浄したことを言う。1/4波長BK7窓上のEtafilcon A、及びVistakon社のBK7光学系レンズの接触角が表1に示されている。
【0076】
Etafilcon Aモノマー、1/4波長BK7窓、及びVistakon BK7光学系レンズの接触角(カッコ内は標準偏差)。コーティングされた基材は溶媒で洗浄したことをいう。
【0077】
〔実施の態様〕
(1) 少なくとも1つの自由形成眼用レンズの製造に用いられる形成光学機器であって、前記形成光学機器アセンブリが、
前記形成光学機器に入射する化学放射線に対して透過性である第1の平面状表面と第2の弓状表面であって、前記第2の弓状表面の少なくとも一部が、光学品質の形成表面を含む、第1の平面状表面と第2の弓状表面と、
前記第1の平面状表面と前記第2の弓状表面との間の化学放射線のための光学投射経路であって、化学放射線を前記光学投射経路を通って前記第1の平面状表面から前記第2の弓状表面まで投射するためのものであり、前記光学品質の形成表面が、レンズ形成材料を収容しているリザーバの空洞内に位置づけられることができ、一般に、自由形成眼用レンズの直径及びベースカーブを画定することができる、光学投射経路と、
前記光学品質の形成表面の1つ又は2つ以上の点を、1つ又は2つ以上の化学放射線源と位置合わせするのに用いられるアライメント特徴と、
を含む、形成光学機器。
(2) 前記第2の弓状表面の前記光学品質の形成表面部分の形状が、概ね凸状である、実施態様1に記載の形成光学機器。
(3) 前記第2の弓状表面の前記光学品質の形成表面部分の形状が、概ね凹状である、実施態様1に記載の形成光学機器。
(4) 前記リザーバが、化学放射線への暴露の後に余剰レンズ形成材料を除去するように機能する装置を提供する、実施態様1〜3のいずれかに記載の形成光学機器。
(5) 前記装置が、前記眼用レンズを前記余剰レンズ形成材料から退避させることによって余剰レンズ形成材料を除去する、実施態様4に記載の形成光学機器。
【0078】
(6) 前記第2の弓状表面の前記光学品質の形成部分が、自由形成様式で形成された眼用レンズのエッジの少なくとも一部のための、空間的な影響緩和形状特徴(spatial counteractive shape features)を含む、実施態様1〜5のいずれかに記載の形成光学機器。
(7) 前記アライメント特徴が更に、前記第1の平面状表面を、5μm(5ミクロン)以下の偏差で、前記化学放射線の投射経路に対して垂直に装着及び位置決めするのを可能にする、実施態様1〜6のいずれかに記載の形成光学機器。
(8) 前記形成光学機器が、形成光学機器マンドレルとアライメントプレートとを含み、前記形成光学機器マンドレル及び前記アライメントプレートが共に、他方に対して相補的なアライメント特徴を含む、実施態様1〜7のいずれかに記載の形成光学機器。
(9) 前記形成光学機器マンドレル及び前記アライメントプレートが、同じ材料で構成される、実施態様8に記載の形成光学機器。
(10) 前記形成光学機器が、機械的運動学的な位置決めアーチファクトを含む、実施態様1〜9のいずれかに記載の形成光学機器。
【0079】
(11) 形成光学機器マンドレル特徴が、前記マンドレルの側方周囲に沿って溝を含み、アライメントプレートが、前記マンドレルの溝に嵌合する3つの接触点を含む、実施態様8又は9に記載の形成光学機器。
(12) 前記形成光学機器マンドレルが、前記アライメントプレートと同じか、又はそれより小さい熱膨張係数を有し、前記マンドレルが接着剤を用いて位置付けられる、実施態様8〜11のいずれかに記載の形成光学機器。
(13) 前記接着剤がUV硬化性エポキシを含む、実施態様12に記載の形成光学機器。
(14) 少なくとも前記光学品質の形成表面が、化学放射線に対して少なくとも7%透過性であり、かつ1.4〜1.8n
dの屈折率を有する組成物を含む、実施態様1〜13のいずれかに記載の形成光学機器。
(15) 少なくとも前記光学品質の形成表面が、63.8〜106.2v
eのアッベ数を有する組成物を含む、実施態様1〜14のいずれかに記載の形成光学機器。
【0080】
(16) 少なくとも前記光学品質の形成表面が、2.1〜5.3g/g/cm
3の密度/透過率を有する組成物を含む、実施態様1〜15のいずれかに記載の形成光学機器。
(17) 少なくとも前記光学品質の形成表面が、104〜717kg/mm
2の硬度を有する組成物を含む、実施態様1〜16のいずれかに記載の形成光学機器。
(18) 前記自由形成眼用レンズの形状特徴を強化するために、少なくとも前記光学品質の形成表面に前処理が施される、実施態様1〜17のいずれかに記載の形成光学機器。
(19) 前記前処理が、表面エネルギー特性を変化させるためにコーティングを塗布することを含む、実施態様18に記載の形成光学機器。
(20) 前記コーティングが、前記光学品質部分の接触角を増大させるために用いられるシラン単層コーティングである、実施態様19に記載の形成光学機器。