特許第6203727号(P6203727)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203727
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】空気輸送エンジン添加剤送達システム
(51)【国際特許分類】
   F02M 25/00 20060101AFI20170914BHJP
   F02M 25/14 20060101ALI20170914BHJP
   F02D 19/08 20060101ALI20170914BHJP
   F02D 19/12 20060101ALI20170914BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   F02M25/00 R
   F02M25/00 A
   F02M25/00 T
   F02M25/14 A
   F02M25/14 B
   F02D19/08 D
   F02D19/12 Z
   F02M37/00 341F
【請求項の数】18
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2014-529711(P2014-529711)
(86)(22)【出願日】2012年6月15日
(65)【公表番号】特表2014-526637(P2014-526637A)
(43)【公表日】2014年10月6日
(86)【国際出願番号】US2012042727
(87)【国際公開番号】WO2013036311
(87)【国際公開日】20130314
【審査請求日】2015年5月12日
(31)【優先権主張番号】61/531,717
(32)【優先日】2011年9月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391007091
【氏名又は名称】アフトン・ケミカル・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Afton Chemical Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】グインター,グレゴリー・エイチ
【審査官】 種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−275914(JP,A)
【文献】 特開平05−214351(JP,A)
【文献】 特開昭58−051256(JP,A)
【文献】 特開昭58−057061(JP,A)
【文献】 特開昭61−170426(JP,A)
【文献】 特開昭48−012207(JP,A)
【文献】 特開2001−271672(JP,A)
【文献】 特開2007−099207(JP,A)
【文献】 特開2001−019981(JP,A)
【文献】 特表2008−536043(JP,A)
【文献】 特開平08−117173(JP,A)
【文献】 特開2009−185618(JP,A)
【文献】 実開昭56−039850(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 25/00
F02D 19/08
F02D 19/12
F02M 25/14
F02M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気システムを有する燃料噴射ガソリンエンジンの燃焼室にエンジンの吸気システムを介して少なくとも1種の添加剤を導入するための方法であって、
燃料の型、今度の道路条件、オクタン価、空気−燃料比、標高、油圧、空気の酸素含有率、マニホールド真空圧、マニホールド絶対圧、運転者特性、バルブタイミング、微粒子トラップ着火、ハイブリッド伝動機構戦略、技術者入力及びそれらのいずれかの組み合わせから選ばれる情報に基づいて、摩擦調整剤から選ばれる少なくとも1種の添加剤の量、エーロゾル粒度及び/又はその添加のタイミングを決定する段階と、
空気−添加剤混合物を形成するために該少なくとも1種の添加剤を該エンジンの吸気システム中に導入する段階であって、該導入する段階の該少なくとも1種の添加剤の量、該エーロゾル粒度及び/又は該添加のタイミングが前記決定する段階で決定される、段階と、
該空気−添加剤混合物を燃焼室内で燃料と組み合わせる段階と、
該燃焼室内で燃料及び該空気−添加剤混合物を燃焼させる段階、
を含んでなり、かつ、
該エンジンの燃料経済性の向上をもたらす、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、該導入段階が、吸気システム中の空気流により運ばれるのに適した霧として少なくとも1種の添加剤を燃焼室に噴霧することを含む、方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法であって、該添加剤が、添加剤の実質的にすべてが燃焼室内の燃料/空気−添加剤混合物中に留まることを保証するのに十分に小さいエーロゾル粒度を含む、方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法であって、該添加剤が、添加剤の少なくとも一部が燃焼室の少なくとも1つの内面に接触することを保証するのに十分に大きいエーロゾル粒度を含む、方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法であって、該添加剤が液体である、方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法であって、該導入段階が、該エンジンのポジティブクランクベンチレーションライン中に添加剤を導入することを含む、方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法であって、該少なくとも1種の添加剤の量、エーロゾル粒度及び/又はその添加のタイミングの少なくとも1つを決定する段階が、マニホールド真空圧及びマニホールド絶対圧より成る群から選ばれる情報に基づく、方法。
【請求項8】
請求項7記載の方法であって、該決定する段階が、さらに勾配、路面の型、路面上における平均車両速度及び路面上における降水の存在から選ばれる今度の道路条件についての情報に基づく、方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法であって、該少なくとも1種の添加剤が複数の添加剤を含む、方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法であって、該複数の添加剤を該吸気システム中に導入する前に、該複数の添加剤を混合する段階をさらに含んでなる、方法。
【請求項11】
請求項9記載の方法であって、該導入段階が複数の添加剤を個別に該吸気システム中に導入することを含む、方法。
【請求項12】
請求項1記載の方法であって、添加剤が、該添加剤が燃料と接触すると燃料の1種もしくはそれより多い成分と化学反応を経ることができる反応性種である、方法。
【請求項13】
請求項1記載の方法であって、エンジンの使用者が吸気システム中への添加剤導入のタイミングを決定する、方法。
【請求項14】
請求項1記載の方法であって、添加剤が周期的に吸気システム中に導入される、方法。
【請求項15】
請求項1記載の方法であって、添加剤がアルキレンアミン、アルキルホスホネート、ジチオカルバメート、脂肪酸、モノ、ジ及びトリマー酸の混合物、ジエタノールアミンコカミド、ジエタノールアミド、エポキシル化もしくはプロポキシル化ジエタノールアミド、脂肪酸のヒドロキシ−及びジヒドロキシアルキルアミド、脂肪酸のアルキルアミド、脂肪酸のアルキルエステル、脂肪酸のヒドロキシ−及びジヒドロキシアルキルエステル、脂肪酸のアルキルアミン塩、ヒドロキシアセトアミド、並びにエーテルアミンから選ばれる摩擦調整剤である、方法。
【請求項16】
請求項1記載の方法であって、添加剤が希土類酸化物、メチルシクロペンタジエニルマンガントリカルボニル、酸素化物、ナイトレート、ならびに、チタン、モリブデン、マンガン、タングステン、白金、パラジウム、セリウム、ジルコニウム及び錫に基づく有機金属添加剤から選ばれる助燃をさらに含む、方法。
【請求項17】
請求項1記載の方法であって、添加剤が有機ナイトレートから選ばれる助燃をさらに含む、方法。
【請求項18】
請求項1記載の方法であって、エンジンが直接噴射エンジン又はポート噴射エンジンである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、吸気システムを介してエンジンの燃焼室に添加剤を導入するための方法及びシステムを目的とする。
【0002】
2.関連技術の記載
添加剤は、通常、燃料が車両又は他の装置の燃料タンク中にポンプ移送される前に燃料に加えられる。このやり方で調製される添加剤パッケージは、通常、長い保存期間に及んで全範囲の環境条件を経験する。燃料/添加剤混合物は、輸送、取り扱い及び保存期間の間ずっと本質的に均一なままでなければならず、かくして極度の熱及び寒気、様々なレベルの湿度などに耐えるように調製されねばならない。さらに、添加剤パッケージは多様な成分を送達しなければならず、それらは燃料中で調製されるために互いと適合しなければならない。さらに、いくつかの添加剤は燃料タンク又は燃料送達システムへの害、例えばシール及びガスケットへの損傷を引き起こすことがある。これらの問題は多くの場合、燃料中での使用が予定された添加剤に有意な束縛を与える。
【0003】
燃料添加剤の調製への別の制限も存在する。例えば、燃料調製者は、ある種の添加剤を、その添加剤を含む結果として燃料のコストが上昇するために、特定の燃料中に含むことを求めていないかも知れない。さらに、燃料調製者は燃料中に彼ら自身の成分を導入し得るか、あるいは特定の燃料は反応性である可能性のある種を含有し得、そのような成分とおそらく反応し得る他の添加剤の導入に関するさらなる適合性の問題を生ずる。例えば、燃料はエタノール、エーテル、脂肪酸エステル、酸性腐食防止剤、引きずり−減少ポリマー、フェノール酸化防止剤、蝋沈降防止剤、曇り点降下剤、芳香族アミン、有機ナイトレート、有機金属性オクタン価増強剤及び反応性ジエン、チオフェン、過酸化物及び多核芳香族化合物のような反応性種を含有し得る。また、燃料における所望の処理速度が燃料ターミナルに置かれる燃料添加剤添加系の能力を超える時、添加剤は燃料調製者により拒絶され得る。
【0004】
上記で議論した通り、いくつかの非常に望ましい添加剤は、燃料添加剤調製物中で用いられる場合、最善ではない。これらの燃料添加剤又は配合剤は、それでもそれらの全可能性を実現しなければならない。そのような制限のいくつかの例は、例えば特許文献1において議論されており、そこではいくつかの摩擦調整剤が燃料又は燃料中にありそうな他の添加剤と、低温において適合性でないか、又はそれら中で不溶性であり得ることが示されている。蝋状材料はすぐれた摩擦調整剤であるが、燃料中における溶解度が限られている。
【0005】
エンジンの吸気システム中へのある組成物の導入を含むいくつかの既知の方法がある。そのような方法の例を、例えば特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5及び特許文献6において見出すことができる。
【0006】
これらの先行技術の方法は、ほとんどの場合、燃料添加剤を燃料中で調製する場合に遭遇し得る適合性又は溶解性の問題を解決するか又は避けることを目的としていない。さらに、これらの先行技術の方法の多くにおいて用いられる制御機構は有意な欠点に苦しんでおり、かくして吸気システム中に導入されている添加剤の量、エーロゾル粒度及び/又はタイミングを制御して最高の利益を与えるために一般的に適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7,846,224号明細書
【特許文献2】米国特許第4,377,135号明細書
【特許文献3】米国特許第7,146,938号明細書
【特許文献4】米国特許第5,282,445号明細書
【特許文献5】米国特許第6,152,099号明細書
【特許文献6】米国特許第6,523,530号明細書
【発明の概要】
【0008】
発明の概略
第1の側面において本発明は、エンジンの吸気システムへの添加剤の導入を目的とする。その方法は、添加剤の量、エーロゾル粒度及び/又は導入のタイミングを決定する。導入された添加剤は、吸気システム中の空気流によりエンジンの燃焼室に運ばれ、そこで添加剤は燃料と混合され、燃焼する。これらの添加剤は、方法の結果としてエンジンの性能を向上させるか又は他の有益な効果を与えることができる。
【0009】
1つの側面において、該少なくとも1種の添加剤の量、エーロゾル粒度及び/又は添加のタイミングは、燃料の型、今度の道路条件、オクタン価、セタン価、空気−燃料比、気候条件、標高、エンジン負荷、油圧、車輪速度、空気流速度、エンジン清浄度、排気レベル、空気の酸素含有率、マニホールド真空圧、タイヤ圧、使用者入力、運転者特性、バルブタイミング、微粒子トラップ着火、ハイブリッド伝動機構戦略、技術者入力及びそれらの組み合わせから選ばれる情報に基づいて決定される。
【0010】
別の側面において、添加剤は、不要物除去、摩擦調整、摩擦低下、燃料経済性の向上、オクタン価の変更、セタン価の変更、点火抑制、点火加速、堆積物減少、洗浄力、清浄化、酸の中和、エンジンの低温始動改善、潤滑オイル排出間隔への影響、酸化防止、オイル添加剤補充、燃焼室内における燃料/空気−添加剤混合物中の過酸化物減少、腐食防止、沈降防止、曇り点降下、抗−摩耗、ノッキング減少及びそれらの組み合わせから選ばれる目的のために、エンジンの吸気システムを介してエンジンの燃焼室に導入される。
【0011】
本発明の別の側面は、1種もしくはそれより多い添加剤を入れるための少なくとも1つの容器、1種もしくはそれより多い添加剤の量、エーロゾル粒度及び/又は導入のタイミングを制御するための制御系ならびにエンジンの吸気システム中に1種もしくはそれより多い添加剤を導入するための装置を含む添加剤導入システムの提供である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図面の簡単な記述
図1】エンジンの吸気システムに1種もしくはそれより多い添加剤を導入するための本発明に従う代表的な添加剤導入システムを示す。
図2】2種もしくはそれより多い添加剤が吸気システムに供給される本発明の別の態様を示す。
図3】空気輸送される添加剤が非−燃焼エンジンに供給される発動エンジン摩擦試験(“スピンマスター試験”とも呼ばれる)に関する600〜1500rpmにおける結果を示す。
図4】実施例5で用いられるUS EPA FTP−75 市中運転サイクルを示す。
図5】実施例5で用いられるUS EPA HwFET 高速道路運転サイクルを示す。
【0013】
好ましい態様の詳細な説明
例示の目的で、種々の代表的な態様に言及することにより、本発明の原理を説明する。本発明のある態様を本明細書において特定的に記載するが、当該技術分野における通常の熟練者は、同じ原理が他のシステム及び方法に同等に適用可能であり、且つそこで用いられ得ることを容易に認識するであろう。開示される本発明の態様を詳細に説明する前に、本発明はその適用において、図示されている特定の態様の詳細に制限されないことが理解されるべきである。さらに、本明細書で用いられる用語は説明を目的とし、制限を目的としない。さらに、本明細書においてある順序で提示される段階に言及してある方法を説明するが、多くの場合、当該技術分野における熟練者により認識される通り、これらの段階をいずれの順序で実施することもできる。従って、新規な方法は、本明細書で開示される特定の段階の配置に制限されない。
【0014】
本明細書及び添付の請求項で用いられる場合、単数形“a”、“an”及び“the”は、文脈が明らかに他のように指示していなければ、複数への言及を含むことに注目しなければならない。さらに、「1つの」(又は“an”)、「1つもしくはそれより多い」及び「少なくとも1つの」の用語は、本明細書で互換的に用いられ得る。「含んでなる」、「含む」、「有する」及び「から構成される」の用語も互換的に用いられ得る。
【0015】
本発明は、ある添加剤をエンジンの吸気システム中に導入することを提案し、吸気システムは次いで燃焼室に添加剤を運び、そこで添加剤を燃料と混合することができるか、あるいはまた例えば摩擦を改善する、摩耗を低下させる、及び/又は酸を中和するために燃焼室の内面に移送することができる。燃料中で添加剤を調製する代わりに、空気を用いる燃焼室への送達のために添加剤を吸気システムに導入することは、下記でより詳細に議論するいくつかの利点を与える。
【0016】
燃料中で添加剤を調製する時に遭遇し得る適合性及び/又は溶解性の問題を軽減するか又は避けるために本発明の方法を用いることができる。そのような問題は、添加剤パッケージ中の1種もしくはそれより多い添加剤の間の不適合性ならびに燃料組成物中に添加剤パッケージを溶解又は分散させようとする場合の溶解性の問題を包含し得る。吸気システムへの添加剤の導入は、燃料中で添加剤を予備−調製する必要性及び続いて燃料/添加剤混合物を保存する必要性も避け、それによりそのような混合物に関する保存安定性の問題の可能性も避ける。使用まで制御された環境中に添加剤を保持することもでき、それは、それらが燃料中で予備−調製されておらず、かくして燃料の保存及び輸送において遭遇する種々の環境条件に燃料/添加剤混合物を暴露するために生じ得る問題の可能性を避けることができるからである。
【0017】
エンジンの性能を向上させるため、燃料の効率を向上させるため、添加剤をより有効に利用するため、燃焼を改善するか又は変更するため、エンジン部品を清浄化するため、及びエンジン部品を潤滑にするためにも、本発明を用いることができる。本発明に関する他の用途は、下記の説明から熟練者に明らかになるであろう。
【0018】
本発明の1つの側面は、吸気システムを介して添加剤をエンジンの燃焼室に導入するための方法である。本発明の別の側面は、吸気システムを介して添加剤をエンジンの燃焼室に導入するための送達システムである。本発明のさらに別の側面は、吸気システム中に導入される添加剤のエーロゾル粒度の制御を含む。エーロゾル粒度は、吸気システム中に導入される液体、霧又はエーロゾル形態における添加剤又は添加剤調製物の粒度を指す。
【0019】
本発明のシステム及び方法を、新しい車両において組み込まれた特徴として実施することができるか、あるいは現存する車両において、本発明のシステム及び方法の実施に必要な装置を現存する車両に追加導入することにより実施することができる。
【0020】
本発明に従って吸気システムを介して送達される添加剤を、不要物除去、摩擦調整、摩擦低下、燃料経済性の向上、オクタン価の変更、セタン価の変更、点火抑制、点火加速、堆積物減少、洗浄力、酸の中和、エンジンの低温始動改善、潤滑オイル排出間隔への影響、酸化防止、燃焼室内における燃料/空気−添加剤混合物中の過酸化物減少、腐食防止、沈降防止、曇り点降下、耐摩耗及びそれらの組み合わせを含むがこれらに限られない多様な目的のために用いることができる。
【0021】
本発明に適している添加剤には、エンジンの性能を向上させることができるか、あるいは何らかの他の有益な効果を与えることができるいずれの組成物も含まれる。適した添加剤には、排気後−処理効率を向上させる添加剤、例えばフリーラジカル又は他の有害な材料を除去する添加剤、摩擦を調整する添加剤、燃料経済性を変更するか又は向上させる添加剤、オクタン価を変更する添加剤、セタン価を変更する添加剤、例えば燃焼効率の変更により燃料燃焼に影響する添加剤、直接噴射ガソリン(DIG)吸い込みバルブ堆積物(IVD)のような堆積物を減少させる添加剤、DIG上のような吸気システムを清浄化する添加剤、DIG外部インジェクターを清浄化する添加剤、吸い込みバルブ堆積物(IVD)を減少させる添加剤、燃焼の間又はその後に生成する酸を中和する添加剤、エンジンの低温始動を改善する添加剤、潤滑オイル排出間隔に影響する添加剤、酸化防止効果を与える添加剤、燃焼室内における圧縮燃料混合物中の過酸化物を減少させる添加剤、燃料の点火を改善する添加剤、NOx排気物のような燃料燃焼により生成する排気物を改変するか又は抑制する添加剤、全体的なエンジン運転を改善する添加剤ならびにシリンダー、燃料インジェクター及び吸い込み/排気バルブにおけるようなエンジンシステムにおける燃料堆積物を減少させる添加剤が含まれるが、これらに限られない。
【0022】
添加剤は固体、気体及び液体の形態にあることができる。添加剤が固体である場合、典型的には添加剤はエンジンの吸気システムの空気流中における連行に適した形態にあるであろう。例えば微粒子、ナノ粒子、フェムト粒子又はそれらの混合物の形態における固体添加剤を用いることができる。あるいはまた、固体添加剤を、エンジンの吸気システムにより燃焼室に固体添加剤が輸送され得るように、液体又は気体状ビヒクル中に懸濁させることができる。さらに、懸濁系は半−可溶性材料、例えばコロイド、ゲル及び分散系を含むこともできる。
【0023】
エンジンの吸気システム中に液体添加剤を導入することもできる。1つの態様において、添加剤自身が液体材料である。他の態様において、ナノ粒子、微粒子及び/又はフェムト粒子の液体懸濁系又は分散系を液体添加剤として用いることができる。液体添加剤は、2つの異なる相中の材料のエマルション、共沸混合物又は混合物の形態にあることもできる。
【0024】
揮発性材料から得られるもののような気体状添加剤を吸気システムの空気流と混合し、燃焼室に送達することもできる。これは気体状添加剤の投与に関する柔軟性ならびに燃焼室におけるそのような添加剤と燃料との優れた混合を与える。
【0025】
点火抑制剤は、本発明における使用に適している1つの代表的な種類の添加剤である。点火抑制剤のいくつかの例にはオクタン価向上剤、フェロセン、アリールアミン、高オクタン価製油所ブレンド流、メチルシクロペンタジエニルマンガントリカルボニル(MMT)、プロパノール、メタノール、ブタノール、エタノール、MTBE及びETBEのような酸素化物ならびにテトラエチル鉛が含まれる。例えば、ガソリン燃料が向上させ得るオクタン価を有するか、あるいはディーゼル燃料が向上させ得るセタン価を有する場合に、点火抑制剤を用いることができる。
【0026】
本発明における使用に適した別の代表的な種類の添加剤は、点火加速剤である。例えばガソリン又はディーゼル燃料を燃焼させるエンジンが点火加速を是認する場合に、点火加速剤を用いることができる。点火加速剤の例にはアセトン、アルコール、有機ナイトレート、過酸化物及びペルオキシエステルが含まれる。さらに別の例において、加速剤及び/又は抑制剤の組み合わせは、本発明において有用である。
【0027】
例えば吸気システム、バルブ、燃焼室ならびに空気流及び/又は燃料/空気混合物が接触するエンジンの他の部分を清浄化するために、本発明において洗剤を用いることもできる。1つの側面において、本発明において用いるための洗剤は金属洗剤であることができる。適した金属洗剤には、アルカリもしくはアルカリ土類金属と以下の酸性物質の1つもしくはそれより多く(又はそれらの混合物)、(1)スルホン酸、(2)カルボン酸、(3)サリチル酸、(4)アルキルフェノール、(5)硫化アルキルフェノール及び(6)少なくとも1個の直接炭素−リン結合を特徴とする有機リン酸との油−溶性中性もしくは塩基過剰塩が含まれ得る。そのような有機リン酸には、三塩化リン、七硫化リン、五硫化リン、三塩化リンと硫黄、白リンとハロゲン化硫黄あるいはホスホロチオ酸塩化物のようなリン化剤を用いるオレフィンポリマー(例えば約1,000の分子量を有するポリイソブチレン)の処理により製造されるものが含まれ得る。
【0028】
本発明において有用な別の代表的な種類の添加剤は、摩擦調整剤である。エンジンの種々の部品の摩擦特性を変えるために、摩擦調整剤を用いることができる。潤滑剤組成物においてこの機能を付与するのに有用な多くの適した化合物及び材料の中から摩擦調整剤を選ぶことができる。摩擦調整剤の制限ではない例には長鎖アルキレンアミン、長鎖アルキルホスホネート、蝋及びジチオカルバメートが含まれる。多くのそのような調整剤は米国特許第5,344,579;5,372,735;5,441,656;及び7,759,294号明細書ならびに米国特許第2010/0006049号明細書において議論されており、それらの記載事項は引用することにより本明細書の内容となる。代表的な摩擦調整剤には遊離の脂肪酸、モノ、ジ及びトリマー酸の混合物、ジエタノールアミンコカミド、エトキシル化もしくはプロポキシル化ジエタノールアミド、脂肪酸のヒドロキシ−及びジヒドロキシアルキルアミド、脂肪酸のアルキルアミド、脂肪酸のアルキルエステル、脂肪酸のヒドロキシ−及びジヒドロキシアルキルエステル(例えばグリセロールエステル)、脂肪酸のアルキルアミン塩、ヒドロキシアセトアミド、エーテルアミン、合成酸及び種々のジエタノールアミドが含まれる。
【0029】
本発明において有用な別の種類の添加剤は、助燃剤である。適した助燃剤の例には希土類酸化物、例えば酸化セリウム、MMT、酸素化物などのような材料、有機ナイトレートならびにチタン、モリブデン、マンガン、タングステン、白金、パラジウム、セリウム、ジルコニウム及び錫に基づく有機金属添加剤が含まれる。
【0030】
本発明において用いることができるさらに別の種類の添加剤は、ディーゼル燃料添加剤である。例には、殺生物剤、解乳化剤、酸化防止剤、消泡剤、過酸化物及び低温運転性能添加剤が含まれる。本発明において有用なさらに別の種類の添加剤は、触媒コンバーターのような排気ガス後−処理装置の汚染を低下させるために用いられる種類の添加剤である。そのような添加剤の例には不要物除去剤が含まれる。排気中のリン、硫黄及び鉛は、触媒コンバーターを保全するために除去される必要があり得る。有効な不要物除去剤の1つの種類はタングステン化合物であり、それは排気中のリン、硫黄及び鉛をホスフェート、スルフィド及びタングステン酸鉛に転換することができる。さらに硫黄除去剤には、硫化水素、メルカプタン、アルキル,ジ−及びポリスルフィドと反応してそれらをもっと良性の硫黄−含有化合物に転換できるいずれの化合物も含まれ得る。代表的な硫黄除去剤にはアミン、アルデヒドもしくはアルデヒドドナーとアミンもしくはアミンドナー、例えばイミンとの反応生成物、トリアジン、アミン−アルデヒドポリマーなど又は硫化水素、チオ
ールなどの有害硫黄−含有種と反応することができる他のいずれかの化合物あるいはそれらの混合物又は組み合わせが含まれる。
【0031】
本発明における堆積物を減少させるための添加剤には、マンニッヒ−、PIB−アミン−、ポリエーテルアミン−及びスクシンイミド−型ならびにそれらの混合物が含まれる。スクシンイミドには、アルケニル無水コハク酸、コハク酸、コハク酸−エステル又は低級アルキルエステルを少なくとも1個の第1級アミン基を含有するアミンと反応させることにより得られる反応生成物を含んでなるアルケニルスクシンイミドが含まれる。これらの洗剤を流動化剤と一緒に調製することができ、それらは組み合わされて共−洗剤として働き、低温吸い込みバルブ粘着を防ぐように機能する。
【0032】
米国特許第4,857,214;5,242,613;及び6,096,691号明細書に開示されている耐摩耗及び/又は極圧剤を本発明において用いることもできる。特に適した耐摩耗剤は、米国特許第2008/0223330 A1号明細書に記載されているチタンに基づく耐摩耗剤であり、かくしてこれらを本発明に従って用いることもできる。適した耐摩耗剤にはリン−含有耐摩耗剤、例えば金属ジアルキルジチオホスフェート及びチタンに基づく耐摩耗剤が含まれる。
【0033】
本発明において用いることができるさらに別の種類の添加剤は、酸性燃焼副生成物のような酸性材料の中和剤である。例えば燃焼過程の間に、水と硫黄は結合して硫酸を生成し得るか、あるいはエタノールと水は結合して酢酸及び/又はギ酸を生成し得、それらはピストンリングを過ぎるブローバイを介してクランクケース中に移送され得る。代表的な酸中和剤を全塩基価(TBN)の灰−含有源及び無灰源から選ぶことができる。そのような材料は、熟練者に周知である。
【0034】
本発明のために適している他の種類の添加剤には以下の添加剤が含まれる。例えば米国特許第3,974,081及び4,029,587号明細書に記載されているシール膨潤剤。適した酸化防止剤は米国特許第5,559,265;6,001,786;6,096,695;及び6,599,865号明細書に記載されている。本明細書に記載されている組成物及び添加剤に適した抑泡剤は、米国特許第3,235,498;3,235,499;及び3,235,502号明細書に示されている。適した錆又は腐食防止剤は、米国特許第2,765,289;2,749,311;2,760,933;2,850,453;2,910,439;3,663,561;3,862,798;及び3,840,549号明細書に記載されている。適した粘度指数向上剤ならびにそれらの製造方法は、例えば米国特許第4,732,942;4,863,623;5,075,383;5,112,508;5,238,588;及び6,107,257号明細書に記載されている。適した多機能性(multifunctional)粘度指数向上剤は、米国特許第4,092,255;4,170,561;4,146,489;4,715,975;4,769,043;4,810,754;5,294,354;5,523,008;5,663,126;及び5,814,586;及び6,187,721号明細書に記載されている。適した解乳化剤は、米国特許第4,444,654及び4,614,593号明細書に記載されている。
【0035】
枯渇したエンジンオイルを補充し、オイルの寿命を延長し、エンジンの効率を向上させる添加剤も用いることができる。これは、本発明の方法のある側面、例えばエーロゾル粒度制御を用いて、オイルもしくはクランクケースへの添加剤移送を可能にするか、又は増強することができるからである。例にはグリセロールモノオレート(GMO)のような摩擦調整剤、少なくとも亜鉛ジアルキルジチオホスフェート(ZDDP)を含む金属ジアルキルジチオホスフェートのような耐摩耗剤、中性もしくは塩基過剰スルホン酸カルシウムのような洗剤、全塩基価(TBN)の源を与える無灰添加剤及び分散剤スクシンイミドが
含まれ、それらのすべては排出間隔の最後のずっと以前にオイルだめから枯渇し得る。
【0036】
吸気システムに導入することができる他の添加剤には、例えば引きずり−減少ポリマー、蝋沈降防止剤、曇り点降下剤、芳香族アミン、有機ナイトレート、有機金属性オクタン価増強剤、反応性ジエン及びチオフェンのようなおそらく反応性である添加剤が含まれ得る。これらのおそらく反応性である化合物の、吸気システムを介する導入は、これらのおそらく反応性である種を燃料から取り除くことにより、燃料自身中で調製され得る他の燃料添加剤に関する適合性の問題を減少させることができる。
【0037】
1つの態様において、燃焼室中で添加剤と混合される燃料には、例えば炭化水素類燃料、例えばこれらに限られないがディーゼル燃料、ジェット燃料、アルコール、エーテル、ケロセン、低硫黄燃料、合成燃料、例えばFischer−Tropsch燃料、液化石油ガス、バンカー油、ガス液化(GTL)燃料、石炭液化(CTL)燃料、バイオマス液化(BTL)燃料、高アスファルテン燃料、石炭に由来する燃料(天然、清浄化及び石油コークス)、遺伝子操作された生物燃料及び作物ならびにそれらからの抽出物、天然ガス、プロパン、ブタン、無鉛自動車及び航空機ガソリン、ならびに典型的にはガソリン沸点範囲の炭化水素及び燃料−可溶性酸素化配合剤、例えばアルコール、エーテル及び他の適した酸素−含有有機化合物の両方を含有するいわゆる再調製ガソリンが含まれ得る。本明細書でディーゼル燃料は、ディーゼル燃料、バイオディーゼル、バイオディーゼル−由来燃料、合成ディーゼル及びそれらの混合物から選ばれる少なくとも1種もしくはそれより多くの燃料を包含するものとする。
【0038】
別の態様において、添加剤は燃焼室に導入されるが、それらの意図された機能を果たすために必ずしも燃料と混合される必要はない。例えば、燃焼室の1つもしくはそれより多い部品を潤滑するために添加剤を導入する場合、この目的を果たすためにそれを燃料と混合する必要はない。例えば、燃料が存在しない時、例えば、DIG又はディーゼルエンジンにおけるような燃料の導入の前に、添加剤を燃焼室に導入することができるはずである。
【0039】
1つの態様において、燃料は1種もしくはそれより多い通常の燃料添加剤及び/又は添加剤パッケージをその中に含有することができる。かくしていくらかの添加剤を燃料と予備−混合することによりこれら添加剤をエンジンの燃焼室に送達しながら、同時に吸気システムを介して1種もしくはそれより多い他の添加剤をエンジンの燃焼室に送達することは、本発明の範囲内である。
【0040】
本発明において、添加剤はエンジンの吸気システム中に導入され、そこでこれら添加剤は吸気システムにより取り込まれている空気と混合され、空気−添加剤混合物を形成する。吸気システム中のいずれの位置も添加剤の導入に適していることができる。代表的な有用な位置には、ポジティブクランクケースベンチレーション(PCV)ライン又はエンジンのマニホールドが含まれる。本発明の目的は、エンジンの吸気システム中の空気流がエンジンの燃焼室に添加剤を運ぶことを可能にすることである。この方法では、空気流が燃焼室において燃料と混合されるまで、添加剤は燃料又は燃料中に存在し得る他の添加剤と遭遇する必要がない。この方法で、燃料中に可溶性でない添加剤を吸気系を介して導入し、溶解性の問題を取り除くことができる。燃料及び/又は燃料中に存在し得る他の添加剤と適合性でない添加剤を、そのような適合性の問題を避けるために、吸気システム中に導入することができる。これは、この方法でないと燃料中に含むのに不適切な添加剤の使用あるいはより安価な添加剤の利用を可能にすることができる。
【0041】
本発明の別の利点は、空気流中に導入される添加剤が、空気流が接触するエンジン部品を処理することである。同じ添加剤が燃料を介して導入される場合、添加剤は空気流が接
触する部品、例えば吸気システムを処理しないであろう。これは吸気系の清浄化の可能性ならびに種々の添加剤を燃料中に含むのではなくて、そのような添加剤を空気流に直接導入することにより、燃焼室への空気流の組成を変える可能性を提供する。
【0042】
ある添加剤の吸気システムを介する導入が特に有利である別の理由は、潤滑を必要とするピストン及び関連する表面の潤滑を向上させることである。下記の実施例1−6は、この利点の証拠を与える。空気輸送される摩擦調整剤を用い、有意な燃料使用における減少/燃料経済性における向上ならびにエンジントルクにおける有意な低下を含む特に優れた結果が得られた。例えば、直接噴射ガソリンエンジン及びディーゼルエンジンにおいて空気流を介して導入される潤滑剤は、ピストンの下方への行程時に導入されるが、燃料混合物を介して導入される潤滑成分はピストンの上方への行程(圧縮行程)時に導入される。ピストンの下方への行程時における潤滑成分の導入を用い、潤滑の必要な表面との接触時間を増すことができ、ならびに潤滑成分が潤滑の必要な表面のより広い部分と接触することを可能にすることができる。
【0043】
本発明は、種々の添加剤のある機能を助長するために用いることができるエーロゾル粒度の制御のための手段及び方法を提供する。例えば添加剤を、空気/添加剤混合物が燃焼室に導入されると、その添加剤がそれ自身の運動量により推進され、流入する燃焼空気から去り、燃焼室の内面上に衝突するように強制される程十分に大きい粒度を有する液体、霧又はエーロゾルとして吸気システムに送達することができる。これは、吸気システムを介する送達がピストンの吸気行程の間に添加剤が誘導されるようにし、これらの比較的大きな粒度の添加剤が、誘導される時のそれらの運動量の結果として燃焼室を介して移動し、内面上に衝突することを許すことにより、可能になる。これは、添加剤のオイル層への移送を増し、かくして同様にオイル添加剤補充を可能にするであろう。この方法で、ある添加剤を燃焼室内の燃料/空気混合物へのみでなく、燃焼室の内面に選択的に送達することができる。これは摩擦調整、酸の中和、耐摩耗、清浄化及び/又はオイル添加剤補充のために有用であり得る。
【0044】
本発明のさらに別の利点は、それが燃料流と無関係な添加剤投与を許すことである。これは、それが添加剤の投与の時点の正確な制御を可能にし、量、エーロゾル粒度及び/又は添加剤投与のタイミングの制御を許すので、より大きな柔軟性を与える。例えば、より柔軟なやり方で、例えば、周期的な投与、非−線形投与ならびに断続的な投与あるいは必要に基づくジャストインタイム投与により、添加剤を投与することが可能になり、それらはすべて、燃焼室への燃料の流れと無関係である。また、噴射タイミング、クランクタイミング、バルブ開放、ノッキング及び点火のような種々のエンジン事象に無関係に添加剤投与を行うことができる。結果として、与えられる時点におけるエンジンの特定の必要性に、添加剤投与を適合させることが可能になる。また、いくつかの状況において、必要に基づいて添加剤を投与し、それにより添加剤を燃料供給中に含むあまり正確でない方法から生じ得る添加剤の不必要な投与を避けることのみによって、添加剤使用量を有意に減少させることができる。
【0045】
本発明のさらに別の利点は、燃料における安定性の問題あるいは燃料の再調製の必要なく、添加剤調製物における変更をそれが可能にすることである。例えば、与えられる時間内に燃焼室に供給される添加剤の濃度又は量を、燃料を再調製する必要なく変えることができる。また、2種もしくはそれより多い添加剤を吸気システムに供給する場合、燃料を再調製する必要なく、時間をかけて添加剤を再調製し、異なる混合物にすることができる。さらに、燃料組成を変える必要なく、本発明の添加剤供給システム中の容器内で特定の添加剤を別の添加剤で置き換えることができ、それによりエンジンの寿命の間の種々の時点に新しい又は異なる添加剤を用いることを可能にする。最後に、添加剤のエーロゾル粒度を、特定の時点における特定の必要性に依存して変えることができる。これは添加剤調
製物及び使用における有意により大きな柔軟性を許す。
【0046】
本発明のさらに別の利点は、粒子状添加剤の使用をそれが許すことであり、それは粒子状添加剤を空気流中で連行することができるか又は吸気システムへの導入の直前にビヒクル中に懸濁又は分散させることができるからである。これは、そのような添加剤が長期間に及んで燃料混合物中に存在することから生じ得る不十分な混合、分離、沈殿の故に起こり得る不均一性の問題を避けることにより、そのような添加剤の投与のより大きな制御を与える。同じ理由で、本発明は、添加剤が燃料を介して導入されるべき場合に問題となるであろう多−相添加剤の使用を許す。
【0047】
いくつかの場合に、吸気システムを介する添加剤の投与を用い、直接噴射又は燃料もしくはオイル中に添加剤を含めることを介する添加剤の添加と比較して、システムの潤滑剤への添加剤の移送を向上させることができる。下記の実施例1は、空気輸送される摩擦低下剤を用いてこの概念を示している。この方法で、空気流を介する添加剤導入により、例えば燃焼室への添加剤の直接噴射によるより、潤滑剤の全塩基価又は酸化防止力を有効に変更することができる。
【0048】
添加剤は吸気システム中の空気流によりエンジンの燃焼室内に運ばれ、そこで空気−添加剤混合物と燃料は混合されて燃料/空気−添加剤混合物を形成する。混合物は、シリンダーの壁上に見出されるオイル層中に直接移送される添加剤を含むことができる。残る混合物は次いで燃焼する。
【0049】
液体添加剤又は液体添加剤調製物を空気流中に、例えば噴霧器、インジェクター及び/又は噴霧器を用いて霧として、又は噴霧形態で吸気系中に噴霧することができる。液体添加剤は、好ましくは小滴又はエーロゾル粒子の形態にあり、それらは吸気システム中の空気流により容易に燃焼室に運ばれることができる。エーロゾル粒度を制御して添加剤成分の送達及び効果に影響することができる。そのような液体添加剤調製物において、有機担体、水性に基づく担体及びそれらの混合物を含むいずれの適した担体を用いることもできる。例えば浸透、運動量、飛行時間及び揮発の程度を含む添加剤成分及び/又は添加剤の添加の他のパラメーターを制御して、添加剤の添加、輸送、混合及び/又は性能を向上させることができる。
【0050】
添加剤を場合により噴霧することができる。噴霧滴は非常に小さく、かくして空気流と及び結局は燃焼室内で燃料と混合され、より均一な混合物を形成することができる。添加剤のより有効な利用を達成するために、これを利用することができる。電子/電荷噴霧、音波処理及び空気衝撃噴霧を含む種々の型の噴霧を用いることができる。
【0051】
液体添加剤の噴霧のための装置は、いずれの適した装置であることもできる。いくつかの代表的な噴霧装置には噴霧スプレーノズル、噴霧インジェクター、音波発生装置、電子/電荷噴霧装置及び空気衝撃噴霧噴霧器(例えば単流体噴霧器、二流体ノズル又は回転もしくは車輪噴霧器)が含まれる。圧力ノズル、空気ノズル又はソニックノズルも、適したエーロゾル粒度及び噴霧パターンが得られる限り、用いることができる。適した噴霧装置の選択は添加剤の粘度及び他の特性に依存しており、熟練者の能力の範囲内である。
【0052】
添加剤を場合により揮発させることもできる。本発明において種々の揮発装置を用いることができる。熱、圧力膨張又は他の適した通常の手段により、揮発させることができる。例えば、高温炎又はガスプラズマトーチ中で添加剤を揮発させることができる。別の代表的な態様において、直列に運転される一対の揮発装置を用い、第1のものを圧力下で運転し、第2のものを真空下で運転することができる。本発明のシステムは、場合により1個もしくはそれより多い揮発室を含むことができる。
【0053】
懸濁系又はエマルションの形態で用いられる添加剤をそのような形態で保存することができるか、あるいは2種もしくはそれより多い成分の混合により懸濁系又はエマルションを本発明のシステムによって必要に基づいて調製することができる。結果として、本発明のシステムは、混合物、懸濁系又はエマルションの形態における添加剤の調製の目的のための2個もしくはそれより多い保存容器、混合室及びミキサーを含むことができる。
【0054】
粒子状添加剤を懸濁系又はエマルション中で空気流に投与することができるか、あるいは粉末形態で直接投与することができる。1つの態様において、本発明のシステムは、空気流への導入のために粒子状添加剤を計量するのに適した計量装置を含む。別の態様において、粒子状添加剤が必要な場合、空気流の一部を粒子状添加剤の容器を介して方向づけ、粒子状添加剤の少なくともいくらかを空気流中で連行することができる。連行される添加剤を含有する空気流の部分を、次いで再び吸気システムに向け戻すことができる。この態様において、添加剤の量は、特定の量の空気流により連行され得る添加剤の量に基づいて、粒子状添加剤の容器を介して再び方向づけられる空気の量を制御することにより、制御される。
【0055】
複数の添加剤が用いられる場合、添加剤をそれぞれ別々の導入装置により吸気システム中に個別に導入することができる。あるいはまた、添加剤を混合し、次いで吸気システム中に混合物として導入することができる。本発明のシステムは、複数の添加剤をそれらが吸気システム中に導入される前に混合するための混合装置ならびに用いられるべき添加剤のそれぞれの特定の量を計量するための1個もしくはそれより多い計量装置を含むことができる。混合装置は、添加剤の混合に適した種類のもの、例えば混合室、静的ミキサー、動的ミキサーあるいは撹拌された予備−混合室であることができる。
【0056】
複数の添加剤を別々の容器中又は同じ容器内の別々の区画中に入れることができる。エーロゾル粒度の制御及び/又は容器から空気流又は添加剤混合物の調製のための混合装置への添加剤の送達のために、1個もしくはそれより多い添加剤導入装置、例えば噴霧器、計量装置、インジェクター又は他の適した手段を、容器と操作可能的に連携させることができる。
【0057】
いくつかの添加剤は、例えば寒い天候において、添加剤の粘度を下げるために加熱を必要とし得る。かくして本発明のシステムは、必要な時に添加剤の1つもしくはそれより多くあるいは添加剤が入れられている1つもしくはそれより多い容器を加熱するために、場合により加熱機構を含むことができる。
【0058】
本発明の重要な利点の1つは、添加剤は空気流を介して導入され、燃料と予備−混合される必要がないために、吸気システム及び/又は燃焼室への添加剤の導入を制御システムにより正確に制御できることである。制御システムは、吸気システムへの添加剤の量、導入のタイミング及びエーロゾル粒度の少なくとも1つを調節することができる。さらに、本発明において複数の添加剤が用いられる時、場合により各添加剤を制御システムによって独立に制御することができる。
【0059】
エンジン14の吸気システム12への1種もしくはそれより多い添加剤の導入のための本発明に従う代表的な添加剤導入システムを図1に示す。このシステムにおいて、添加剤成分は容器16内に保存され、添加剤成分は単一の添加剤、2種もしくはそれより多くの添加剤の混合物又は1種もしくはそれより多い添加剤を含有する調製物であることができる。計量装置18を用いてある量の添加剤を容器16から吸気システム12に計量し、それは計量された量の添加剤を例えばエンジン14の燃焼室に運ぶ。図1における矢印は、添加剤輸送の方向を示す。
【0060】
計量装置18は、吸気システム12のいずれの適した位置にも添加剤を供給することができる。いずれの適した通常の計量装置18を用いても、望まれる量の添加剤を容器から計量し、それを空気流システムに供給することができる。いくつかの場合、添加剤が吸気システム12の表面との接触が望ましい型のもの、例えば吸気システム12の清浄化のための洗剤であったら、吸気システム12の吸気口近くの位置に添加剤を供給するのが望ましいかも知れない。他の場合、添加剤がその主な機能を燃焼室で果たす型のもの、例えば燃焼に影響する添加剤、潤滑剤などであったら、添加剤を燃焼室に近い位置で吸気システム12に供給するのが望ましいかも知れない。2種もしくはそれより多い添加剤が吸気システム12に供給されるべき場合、これらの因子を考慮するため、ならびにそのような添加剤が空気流により輸送される必要がある距離を制御するために、異なる添加剤を異なる位置で吸気システムに供給することができる。
【0061】
図1の添加剤導入システムは、制御システム20も含むことができる。制御系20は、容器16から吸気系12への量、添加剤導入のタイミング及びエーロゾル粒度の少なくとも1つに制御を及ぼすことができるように、回線22を介して計量装置18に操作可能的に連結している。図1に示される制御系20は、制御系20により成される制御決定が基づくエンジン14の運転条件についてのデータを得る目的のために、データ回線24によってセンサー26にも連結している。これは、エンジン14の種々の運転パラメーターを感知することができる通常のセンサーを用いて行われ得る。
【0062】
制御システム20は、添加剤バルブを作動させて添加剤容器中に含まれる添加剤を分配することができる。従って制御システム20は、添加剤バルブを作動させて種々の添加剤を選択的に加えることができる。添加剤が液体である場合、制御システムは添加剤バルブを作動させて添加剤容器から液体を分配することができる。添加剤容器は圧力下で液体を分配することができる。例えば、制御システム20は、ポンプのような圧力源を作動させて、吸気中に液体添加剤を噴射させることができる。液体添加剤はある範囲の粘度を有することができる。
【0063】
本発明の別の態様を図2に示す。この態様において、2種もしくはそれより多い添加剤が種々の位置で吸気システム12に供給され、吸気システム12中の空気流によりエンジン14の燃焼室に運ばれる。この場合も、図2中の矢印は添加剤輸送の方向を示す。図2に系において、第1の添加剤成分は容器16上に保存され、添加剤成分を揮発させるために計量装置18によりヒーター28に計量される。揮発した添加剤成分は、次いでエンジン14の燃焼室への輸送のために吸気システム12に供給される。計量装置18は回線22を介して制御システム20に連結している。制御システム20はやはり回線22を介して計量装置18を制御する。
【0064】
図2の態様において、制御システム20は、センサー26からデータ回線24を介してエンジン14の運転条件についてのデータを得るように形成される。1個もしくはそれより多いセンサー26を望み通りに用いることができる。さらに制御システム20は、エンジン14が搭載されている装置の電子制御モジュール(ECM)44からのデータを、データ回線43を介して得るように形成される。制御システム20は、全地球測位システム(GPS)45からのデータを、データ回線46を介して得るようにも形成される。これらの源から得られるデータを、図2の添加剤導入システムの種々の計量装置18、38及び48を制御する目的のために、個別に又は組み合わせて用いることができる。
【0065】
図2の態様は、第2の計量装置38を用い、第2の添加剤成分を第2の容器36から吸気システム12に供給することもできる。第2の計量装置38も制御システム20により制御されるように、第2の計量装置38も回線42を介して制御システム20に連結され
る。制御システム20は、計量装置38の制御のために、他の計量装置18、48の制御の場合と同じ又は異なるデータもしくは制御アルゴリズムを用いることができる。典型的には、添加剤導入システムの運転における最も高い柔軟性を与えるために、異なる添加剤成分の計量の制御のために異なるデータ及び制御アルゴリズムが用いられる。
【0066】
図2の態様において、第2の添加剤成分は第2の計量装置38により混合装置30に計量され、そこで第2の添加剤成分は吸気システム12に供給される前に第3の添加剤成分及び/又は懸濁剤のようなビヒクルと予備−混合される。第3の添加剤成分は、混合装置30に供給される前に、第3の計量装置48により第3の容器46から噴霧器49に計量される。第3の計量装置48が同様に制御システム20により制御され得るように、第3の計量装置48も回線47により制御システム20に連結される。種々の他の態様及び系の成分の組み合わせが可能であり、本発明の範囲内である。
【0067】
別の態様において本発明は、燃料又はエンジンオイルに無関係に化学品をエンジンの燃焼室に送達するように設計された電気−機械システムである。該システムは、滴寸法又はエーロゾル粒度の制御により燃焼空気を介して化学品を燃焼室中に送達するように作られた、吸気システム中に搭載された1個もしくはそれより多い噴霧装置を含む。滴寸法又はエーロゾル粒度は、特定の意図される用途に依存する噴射装置の設計により与えられる。例えば、摩擦調整用化学品の運動量の効果の故のシリンダー壁へのより良い直接の送達を保証するために、より大きいか、もしくはより重い滴が作られるであろうが、燃焼空気及び噴射される燃料との十分な混合を必要とする助燃用化学品のためには、超−微細エーロゾルが作られるであろう。
【0068】
今日組み立てられる多くのエンジンは、燃料及び空気の正しい化学量論的混合物を生ずるため、ならびにエンジン及び/又は車両及びその運転についての多様な異なる型の情報を集めるために、質量流量計及び/又はエンジン制御コンピューターを用いている。本発明をこれらの現存するシステムと組み合わせ、空気及び燃料と無関係に添加剤を計り込む噴射システムを与えることができる。例えばエンジン速度が低く、負荷が高い場合に摩擦がその最高にあることは広く知られている。これらの条件において正しい量の摩擦−調整用化学品を噴射することを用い、燃料−送達される摩擦調整剤を用いて現在可能であるより大きな摩擦における低下を与えることができる。
【0069】
直接噴射ガソリンエンジン(DIGエンジン)の場合、本添加剤噴射のシステムを用いて吸い込みバルブを清浄化するか又は清浄に保つことができるはずである。これらのエンジンは現在、PCVガス再循環から発するオイル−関連堆積物の堆積を経験し、それは、ポートインジェクションエンジンの場合のようなバルブ表面上にガソリンが噴霧される利点をそれらが有していないからである。かくして本発明は、エーロゾル粒度操作の故にシリンダー壁上に直接衝突する添加剤を送達することにより、ならびに添加剤が燃料と一緒でなくて吸気行程時に導入され、それにより燃料導入の前に添加剤がバルブ表面を湿らせることを可能にすることにより、DIGエンジンにおける吸い込みバルブの清浄度の向上ならびに燃料経済性の向上を与え得ることが期待される。これらの添加剤は即時の燃料経済性の向上に影響を与えながら、エンジンオイル中に蓄積されて燃料経済性の保持にも導く。
【0070】
ある型のエンジンの問題に向き合うために、添加剤送達のために用いられるエーロゾル粒度の制御を用いることができる。例えば、DIGエンジンにおいて、燃焼室の内面を潤滑するために燃焼室内の空気から摩擦低下剤が離れることを強制する形態で、例えば空気が燃焼室内に到達した時に吸気システムからの空気流から離れるのに十分に大きな寸法の大きな液滴の形態で、摩擦低下剤が吸気を介して燃焼室に供給されることを保証するのが望ましいかも知れない。この方法で、燃焼室の内面上の所望の位置への添加剤の送達を増
強することができる。この送達の選択肢は、清浄化、酸の中和、摩擦調整、耐摩耗、添加剤が接触する表面上の堆積物の制御及びオイル添加剤補充に特に十分に適しているかも知れない。
【0071】
別の変形において、空気/添加剤混合物が燃焼室内に到達した時でさえ、添加剤が吸気中に連行されたままであることを保証するように、添加剤の送達のための小さいエーロゾル粒度を選ぶことができる。この方法で、より多量の添加剤が燃焼室内で燃料/空気混合物と混合され、室の壁に接着しない。この送達の選択肢は、燃焼特性を強化するか又は変更するように設計される添加剤に特に十分に適しているかも知れない。
【0072】
別の側面において、例えばピストンリングを過ぎて洗浄する酸化防止剤の吸気システムへの送達を介して、オイルの寿命の間ずっとエンジンオイルの酸化を安定化するために本発明を用いることができる。燃料/空気混合物のノッキングに対する有効な即時的抵抗性を変えることにより、燃焼の向上を与えるために本発明を用いることもできる。ノッキングの減少を達成するために本発明を用いることもでき、それは、ノッキングの重度又は頻度における低下の1つ又は両方を特徴とすることができる。
【0073】
さらに別の側面において本発明は、添加剤の送達を特別な目的に適合するように行う可能性を与える。これを現存するエンジン制御コンピューターと一体化させ、燃料送達速度と無関係で且つあらかじめ決められた効率マップに従う添加剤送達を与えることができる。
【0074】
本発明の制御システムは、それが搭載されている装置から入手可能ないずれの情報も用いることができ、及び/又は制御システム用のデータを集めるために特別に設けられた1個もしくはそれより多いデータ収集装置にそれを連結することができる。車両もしくはエンジンの内臓コンピューター制御システム又は電子制御モジュールと接続することなく、本発明を実施することもできる。代わりに、本発明の方法及びシステムを使用者又はサービス要員が手動で制御できるか、あるいは使用者又はサービス要員の入力あるいは時間の経過のような他のパラメーターに基づいて制御することができる。
【0075】
制御に必要なデータを集めるために、1個もしくはそれより多いそれ自身のデータ収集装置を本発明のシステムに備えることも可能である。例えば全地球測位システム、時間経過、運転されてきたマイル数、エンジン始動又はエンジン運転の種々のパラメーターを監視するためのセンサーとのインターフェースを、内臓コンピューターシステム又は上記に挙げた他の源からデータを得る代わりとして、又はそれに加えて本発明のシステム中に含めることができる。そうすると制御は、単独で得られた、又は他のいずれかの源からのデータと組み合わされたそのような装置により集められるデータに感応性であることができる。これらの種々のデータ収集及び制御法の組み合わせを用いることもできる。
【0076】
1つの態様において、制御システムは車両のECMからデータを得るであろうが、種々のセンサー、GPS装置又は添加剤導入を制御するために用いられ得るいずれかの他の適したデータ源からもデータを得ることができる。制御システムが用いることができる代表的な情報には燃料の型、装置が遭遇する予想される条件、例えば今度の道路条件、例えば勾配、路面の型、道路上における平均車両速度、路面上における降水の存在など、オクタン価、セタン価、空気−燃料比、気候条件、例えば気温及び湿度、標高、エンジン負荷、エンジン速度、油圧、車輪速度、マスエアフロー速度、エンジン清浄度、排気レベル、空気の酸素含有率、マニホールド真空圧、タイヤ圧、運転者特性、バルブタイミング、微粒子トラップ着火、ハイブリッド伝動機構戦略、添加剤の手動添加、シリンダーオンデマンド又はシリンダー不活性化及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限られない。そのような情報は、好ましくは車両のECM、GPS又は他の衛星回線により集められ、
1個もしくはそれより多い適したデータ回線を介して制御システムに与えられる。これは、添加剤添加の実−時間制御を可能にする。場合により、1つの態様において、制御システムはECMの部品であることができる。
【0077】
制御システムは、添加剤の導入の調節のために、今度の運転条件についての情報を用いることができる。例えば、車両が急な傾斜を登ろうとしている場合、制御システムは添加剤を調整して登坂用に燃焼を微調整することができる。他の例は、車両が高速道路に入ろうとしている場合、制御システムは添加剤を調整して、高速道路運転用にエンジン運転パラメーターを微調整することができることである。
【0078】
制御システムに、場合により添加剤の量、エーロゾル粒度及び/又は導入のタイミングを決定するために用いられ得る情報を集めるための1個もしくはそれより多いセンサーを備えることができる。さらに、制御システムに影響を与えるために使用者入力を用いることができる。例えば、使用者は種々の運転様式、例えば、燃料効率を最大にするように設計された様式、加速又はエンジン出力を最大にするための様式あるいは種々の因子の1つもしくはそれより多くを均衡させる様式から選ぶことが許され得る。他の使用者入力を用いることもできる。添加剤投与のタイミング、エーロゾル粒度及び/又は量の決定におけるそのような使用者の好みを考慮するように、制御システムをプログラミングすることができる。
【0079】
制御システムに、本明細書で議論されるエンジン運転に関連し得るパラメーターの1つもしくはそれより多くのマップを備えるか、又は作ることもできる。次いでこのマップを、マップ中に示されるある条件が存在する場合に投与されるべき添加剤の量及び型と相互参照することができる。この方法で、マッピングされたパラメーターに基づいて添加剤投与を自動的に調節することができる。
【0080】
制御システムは他の型の使用者入力を、サービス技術者及び/又は車両運転者から、好ましくは制御システムへのコンピューター結合を介して受け取ることができる。他の型の使用者入力には燃料を介して与えられる燃料添加剤の型及び量、空気流を介して与えられる燃料添加剤の型及び量、用いられる燃料のオクタン価及びセタン価、燃料がエタノール又は他の型の燃料成分を含有するかどうか、ならびに燃料中に含有される種々の型の燃料成分の量が含まれ得る。
【0081】
ある場合、制御システムは、集められた情報に基づくのではなく、代わりにある型、エーゾル粒度及び/又は量の添加剤を、例えば吸気システムの清浄化のため、及びオイル−寿命アルゴリズム又は他の予定された保持に基づく排出間隔の調整のために、あらかじめ決められた時間間隔で導入しなければならないという知識に基づく添加剤添加のあらかじめ決められたプログラムに従うことができる。例えば、時間の経過に基づく周期的な添加剤投与を用いることができる。
【0082】
いくつかの場合、添加剤は手動制御により吸気システムに加えられるであろう。例えば、使用者はボタンを押すか、又は他の方法で添加剤投与装置を作動させることにより、添加剤を投与することができる。同様に、技術者は、例えば、規則的なオイル交換と結び付けられるような周期的なサービス間隔で添加剤を手動により投与することができる。
【0083】
種々の様式の制御のそれぞれを互いに組み合わせて、特製された制御を与えることができる。例えば、添加剤添加のあらかじめ決められたプログラムの使用を、あらかじめプログラミングされていたものに加えて添加剤の添加を必要とし得るか、あるいはプログラムに従う添加剤の添加が不必要であると決定された場合、そのような添加剤の添加を妨げることができるある閾値を超える状態を感知するように設計された情報に基づく制御と組み
合わせることができる。
【0084】
制御システムは、サービス技術者又は車両運転者による観察のために出力を発することもできる。そのような出力は、より多くの1種もしくはそれより多い添加剤を容器に加える時点を指示するインジケーターを含むことができる。出力は、制御システムが集めたデータの歴史、車両運転の種々のパラメーターを示す制御システムが集めた処理データならびに添加剤使用の歴史も含むことができる。添加剤使用を燃料効率、特定の運転条件、運転習慣、運転の型、気候条件、標高、排気レベルなどのような種々のデータと関連付けるために出力を用いることもできる。
【0085】
添加剤容器は、添加剤容器内に残る添加剤の量を示す添加剤レベルシグナルを発するレベルセンサーを含むことができる。制御システムは、センサーからの添加剤レベルシグナルに基づいて容器内に残る添加剤の量を決定することができる。あるいはまた、制御システムは開ループ制御に基づいて容器内に残る添加剤の量を決定することができる。例えば、制御システムは容器内の添加剤の初期量を決定するか、又は与えられ、次いで時間を経て使用された添加剤の量に基づいて容器内の添加剤の現在の量を決定することができる。制御システムは、かくして得られる添加剤レベルに基づいて使用者出力を発することができる。
【0086】
制御システムはデータ収集モジュール、決定モジュール及び添加剤作動モジュールを含むことができる。受信モジュールは、添加剤の量、エーロゾル粒度及び/又はその添加のタイミングを決定するために用いられる必要な情報を受信するためである。受信モジュールは種々の源から情報を受信することができ、上記で議論したような多様な異なる型の情報を集めることができる。
【0087】
決定モジュールは、吸気システムに導入されている各添加剤の量、エーロゾル粒度及び/又はタイミングを決定する。この決定は、種々のアルゴリズムを用いる受信した情報のいくつか又はすべての処理に基づいて成される。適したアルゴリズムは、種々の添加剤、それらの効果及びどのような条件下でそれらを加えるのが望ましいかに関する現在の知識のレベルに基づいて、熟練者の能力の範囲内である。決定モジュールは、用いられる添加剤の型及び特性も考慮する。
【0088】
添加剤作動モジュールは、1個もしくはそれより多い計量装置、例えば、バルブを介して添加剤導入を作動させ、吸気システム中に添加剤を分配させる。添加剤作動モジュールは、電圧及び/又は電流をバルブに適用し、添加剤を分配するようにバルブを作動させることができる。
【0089】
添加剤作動モジュールは、添加剤バルブを作動させて添加剤を分配することができる。添加剤作動モジュールは、電圧及び/又は電流を添加バルブに適用し、添加剤を分配するように添加剤バルブを作動させることができる。添加剤作動モジュールは、あらかじめ決められた期間、添加剤バルブを作動させ、あらかじめ決められた量の添加剤を分配することができる。
【0090】
添加剤作動モジュールは、添加剤が添加剤容器内であらかじめ決められたレベルより低い場合に、使用者出力を与えることができる。使用者出力は、添加剤が添加剤容器中で得られないことをサービス技術者に通知するためのコードを設定することを含むことができる。使用者出力は、添加剤が添加剤容器中で得られないことを車両運転者に通知するための指示光の設定を含むこともできる。あるいはまた、使用者出力は、添加剤容器中に残る添加剤の量が添加剤閾値より低いか又はそれに等しいことを示すことができる。
【0091】
本発明は、ガソリン及びディーゼル燃焼エンジン、内燃エンジン、スパーク点火エンジン、圧縮点火エンジン、オイルバーナー定置エンジン、風車のようなタービン、排気オドライズに適している。
【0092】
本発明は、燃料添加剤に関する適合性及び溶解性の問題を軽減し、それは添加剤調製物に革命を起こすことができる。例えば、本発明は、適合性又は溶解性の問題なく、より安価な添加剤を用いることを可能にする、燃料にあらかじめ加えるのに適していない添加剤をそれでも用いることができる、あるいは互いと適合性でない添加剤を、1種もしくはそれより多くを燃料に加え、吸気系を介して他を導入して、別々に用いることができる。
【0093】
1つの側面において、本発明は、
燃料の型、今度の道路条件、オクタン価、セタン価、空気−燃料比、気候条件、標高、エンジン負荷、エンジン速度、油圧、車輪速度、マスエアフロー速度、エンジン清浄度、排気レベル、空気の酸素含有率、マニホールド真空圧、タイヤ圧、使用者入力、運転者特性、バルブタイミング、微粒子トラップ着火、ハイブリッド伝動機構戦略、技術者入力及びそれらの組み合わせから選ばれる情報に基づいて、該少なくとも1種の添加剤の量、エーロゾル粒度及び/又はその添加のタイミングを決定する段階、
該決定段階に従って該エンジンの吸気システムに該少なくとも1種の添加剤を導入して空気−添加剤混合物を形成する段階、
燃焼室内で該空気−添加剤混合物を燃料と合わせて燃料/空気−添加剤混合物を与える段階、そして
該燃料/空気−添加剤混合物を燃焼させる段階、を含んでなるエンジンの吸気システムを介してエンジンの燃焼室に少なくとも1種の添加剤を導入する方法に関する。
【0094】
この態様において、少なくとも1種の添加剤は液体あるいはナノ粒子、微粒子及びフェムト粒子から選ばれる粒子の懸濁系の形態にあることができる。導入段階は、吸気システム中の空気流により燃焼室に運ばれるのに適した霧として該少なくとも1種の添加剤を噴霧することを含むことができる。添加剤は、添加剤の実質的にすべてが燃焼室内の燃料/空気−添加剤混合物中に留まることを保証するのに十分に小さいエーゾル粒度を有することができる。方法は、少なくとも1種の添加剤を噴霧するか又は揮発させる段階を含むことができる。添加剤が液体である場合、添加剤は該添加剤の少なくとも一部が燃焼室の少なくとも1つの内面に接触することを保証するのに十分に大きなエーロゾル粒度を有することができる。
【0095】
導入段階は、該エンジンのポジティブクランクベンチレーションライン中に添加剤を導入することができる。
【0096】
少なくとも1種の添加剤は複数の添加剤を含むことができ、方法は該吸気系中への添加剤の導入の前に複数の添加剤を混合する追加の段階を含むことができる。あるいはまた、複数の添加剤を用いる場合、添加剤を個別に吸気システム中に導入することができる。
【0097】
今度の道路条件は、勾配、路面の型、道路上における平均車両速度及び路面上における降水の存在から選ばれることができる。
【0098】
別の態様において、本発明は、
添加剤を入れる少なくとも1個の容器、
燃料の型、今度の道路条件、オクタン価、セタン価、空気−燃料比、気候条件、標高、エンジン負荷、エンジン速度、油圧、車輪速度、マスエアフロー速度、エンジン清浄度、排気レベル、空気の酸素含有率、マニホールド真空圧、タイヤ圧、使用者入力、運転者特性、バルブタイミング、微粒子トラップ着火、ハイブリッド伝動機構戦略、技術者入力及
びそれらの組み合わせから選ばれる情報に基づいて該添加剤の添加を調節する制御システム、ならびに
該少なくとも1種の添加剤をエンジンの吸気システム中に導入するための該制御システムに感応性の装置、
を含んでなる、エンジンの吸気システムを介してエンジンの燃焼室に添加剤を導入するためのシステムに関する。
【0099】
システムは、複数の添加剤の導入に順応するように適応させることができる。この目的のために、容器は、該複数の添加剤を入れるための複数の区画を設けることができる。あるいはまた、複数の添加剤を複数の容器に入れることができる。システムは、該吸気システム中への添加剤の導入の前に、該複数の添加剤を混合する装置も含むことができる。
【0100】
該少なくとも1種の添加剤を導入する装置は、該少なくとも1種の添加剤を霧として噴霧するためのインジェクターであることができる。システムは、該吸気システムへの該添加剤の導入の前に該少なくとも1種の添加剤を噴霧する装置を含むこともできる。
【0101】
別の態様において、システムは、燃料の型、今度の道路条件、オクタン価、セタン価、空気−燃料比、気候条件、標高、エンジン負荷、エンジン速度、油圧、車輪速度、マスエアフロー速度、エンジン清浄度、排気レベル、空気の酸素含有率、マニホールド真空圧、タイヤ圧、使用者入力、運転者特性、バルブタイミング、微粒子トラップ着火、ハイブリッド伝動機構戦略、技術者入力及びそれらの組み合わせについての情報から選ばれる情報を該制御システムに与えるための装置を含む。該エンジンが搭載される車両についての情報を集めるための複数のセンサーを、制御システムに設けることができる。システムは、使用者が該制御システムに指示を与えることを可能にする装置を含むこともできる。
【0102】
以下の制限ではない実施例により、本発明をさらに例示する。
【実施例】
【0103】
実施例
【実施例1】
【0104】
寄生摩擦を潤滑剤の性質の関数として測定するために、非−燃焼(電気発動)エンジンについて発動エンジン摩擦試験(スピンマスター試験)を行った。これは、燃焼効率又はエンジン清浄度への効果のような他のすべてのシグナル源を除去する摩擦試験である。
【0105】
試験装置として2008 キャディラック SRX 3.6L ハイフィーチュア(HF) V6,4−サイクルエンジンを用いた。エンジンにデュアルオーバーヘッドカムシャフト、シリンダー当たり4個のバルブ、二段階プレナムインダクションマニホールド、10.2:1の圧縮比を用いる94x85.6mmの口径と行程を導入する。エンジンを可変速度電気モーターにより回転させた。これは非−燃焼エンジンなので、この試験台に外部のオイル及び冷却液温度制御を備えた。実験の間のオイル温は115℃に保たれた。試験の間、エンジンを600から2900RPMに回転を上げた。空気輸送摩擦低下剤の霧をエンジンの吸気マニホールド中に直接導入しながら、トルクを継続的に測定した。
【0106】
速度の掃引の間ずっと、空気輸送摩擦低下剤の投与を一定に保った。0、90、180及び270μL/分のHiTEC(R) 6457(Afton Chemicalから入手可能な摩擦低下剤)を、シリンジポンプを介し、Perkin Elmer Model N3110109ステンレススチールエアアシスト原子−吸光ネブライザーを通ってエンジンに供給した。ネブライザー中への空気流は、40psigにおいて3SLPMに設定した。摩擦低下剤はオイルを介してエンジンに導入されなかった。600から150
0rpmの範囲内のトルクにおける改善を図3に示す。
【0107】
0の添加剤供給速度に対する各添加剤供給速度に関する600から1500rpmの範囲内の平均トルク改善を下記の表1に示す。
【0108】
【表1】
【0109】
この試験において、ある条件下で最高で2.5%のトルクにおける改善を達成できることも観察された。5000グラムの新しいオイルの装填を用いたこの試験の間に、2.7グラムの摩擦低下剤が消費されたのみであった。かくして、この試験で用いられた添加剤の量は、燃焼エンジンにおいてクランクケースオイルに移送される燃料−輸送摩擦添加剤の典型的な25重量%よりずっと少なかった。この実施例において、クランクケースオイルへの摩擦低下剤の移送は極少であり、摩擦低下剤がおそらくシリンダー内に蓄積されて観察された効果を生ずることを示した。ある時間の後に空気輸送摩擦低下剤の供給を停止してもいくらかのレベルのトルク低下が保持されることも観察され、摩擦低下剤がシリンダー内に蓄積されて観察された効果を生ずることをさらに示した。
【実施例2】
【0110】
燃焼室に供給される空気輸送添加剤を用いるディーゼルエンジンについて、排気燃料経済性試験を行った。ディーゼルエンジンは、ターボチャージャーを有する2002 フォルクスワーゲン ジェッタ 1.9−L,4−シリンダーディーゼルエンジンであった。試験は、ニュー ヨーロッピアン ドライビング サイクル(NEDC)の運転サイクルから成り;相1は市中の運転に相当し、相2は高速道路の運転に相当する。試験の前に2回のNEDCスロー−アウェイ走行を用いて車両をウォーミングアップした。試験の間に排気管排気を測定し、炭素−バランスを用いて燃料消費を決定した。試験の間ずっと、標準化エンジニアリング方式を用いた。燃料はColonial Pipeline ULSD燃料であった。空気輸送添加剤を供給して、及び供給せずに、二重の試験を行った。
【0111】
添加剤供給を用いる試験の間、商業的に入手可能な摩擦低下剤であるHiTEC(R) 6457(50%溶液、Afton Chemicalから入手可能)を、Perkin
Elmer Model N3110109ステンレススチールエアアシスト原子−吸光ネブライザーに供給するシリンジポンプを介し、車両の吸気システム中に噴射した。ネブライザー中への空気流は、60psigにおいて4SLPMに設定した。各サイクルの間ずっと、添加剤投与は一定に保たれた。摩擦低下剤の供給なしの試験の間、参照標準として空気流を4SLPMに保持した。
【0112】
試験の結果を表2に示す。2回の試験の間の、空気輸送添加剤供給を用いない場合と比較した空気輸送添加剤の供給を用いた平均燃料経済性向上は、高速道路運転サイクルにおいて0.89%及び市中の運転サイクルにおいて1.60%であった。ディーゼル燃料消費における減少(すなわち添加剤パックの燃料価を除くことにより計算される)は、それぞれ1.46%及び2.97%であった。
【0113】
【表2】
【0114】
燃料輸送添加剤の使用への比較のために、同等量の摩擦低下剤HiTEC(R) 6457を空気流ではなくてディーゼル燃料に直接加える以外は同じ試験案を用いた。空気輸送添加剤は燃料輸送添加剤より、相1市中運転において0.44%の燃料経済性向上及び相2高速道路運転において0.20%の燃料経済性向上を示した。これは、空気流を介して添加剤を供給する本発明の方法が、燃料を介して同じ量の同じ添加剤を加えるより一貫して優れた燃料経済性を生ずることを示している。
【実施例3】
【0115】
摩擦低下空気輸送添加剤の供給を用い、台上の燃焼エンジンについて別の試験を行った。エンジンは、シングルオーバーヘッドカムシャフト及びポートフューエルインジェクションを有する1997 乗用車、4.6−L フォード V−8であった。工場エンジン制御モジュール(ECM)をピギーバックアフターマーケットECMと一緒に用い、フューエルトリムと一緒にスパークタイミングカーブ、温度入力及びマニホールド絶対圧(MAP)の制御を可能にした。試験エンジンを470 HP電気動力計に、Himmelsteinトルクメーターを介して連結した。Micromotion Model DS0063100SUマスフローメーターを用いて燃料消費を測定した。
【0116】
試験の前に、エンジンを40分間ウォーミングアップした。試験は4回の10−分間の段階から成り、その間、燃料消費を記録した。エンジン速度を1500RPMに固定し、一方、MAPを30、40、60及び80kPaに制御した。
【0117】
燃料は業界標準試験燃料であるHaltermann EEEであった。それは添加剤を含有しなかった。用いられたオイルは、ILSAC GF−5品質水準を満たし、且つSAE 5W30粘度グレードのものである市販のPennzoilであった。エンジンの空気流中に噴射される添加剤を用いて、あるいは用いずに、背合わせ試験を行った。空気輸送添加剤噴射を用いる試験の間、HiTEC(R) 6457(50%溶液、Afton Chemicalから入手可能)摩擦低下剤を、Perkin Elmer Model N3110109ステンレススチールエアアシスト原子−吸光ネブライザーに供給するシリンジポンプを介し、車両の吸気システム中に噴射した。ネブライザー中への空気流は、40psigにおいて3SLPMに設定した。すべてのサイクルの間ずっと、添加剤投与は一定に保たれた。摩擦低下剤を加えない実験のベースライン過程の間、参照標準として空気流を3SLPMに保持した。
【0118】
燃料輸送添加剤供給を用いて達成できると同じ結果を達成するために本発明の空気輸送噴射法が必要とする添加剤は、もっとずっと少量であることが観察された。添加剤使用量における減少は、空気輸送添加剤供給が燃料の滴毎に添加剤を必要としないこと、ならび
に空気輸送添加剤供給法を用いてエンジンの燃焼室に供給される添加剤の量をより正確に制御できることの故であり得る。
【0119】
試験の結果を表3に示す。この試験において、燃料経済性向上は、エンジン負荷条件に依存して0.68〜1.38%の範囲内であることが観察された。添加剤燃料価に関する修正の後、燃料消費の改善は0.35%〜1.24%の範囲内であることが観察され、それは非常に有意な改善である。
【0120】
【表3】
【0121】
かくして摩擦調整剤の空気輸送導入は2つの有意な利益、燃料使用量における減少及びエンジンにおけるトルクの低下を生じた。
【実施例4】
【0122】
台上の燃焼エンジンにおいてメチルシクロペンタジエニルマンガントリカルボニル(MMT)の空気輸送供給を用い、ノッキングの重度の試験を行った。エンジンは、シングルオーバーヘッドカムシャフト及びポートフューエルインジェクションを有する1997 乗用車、4.6−L フォード V−8であった。工場ECMをピギーバックアフターマーケットECMと一緒に用い、フューエルトリムと一緒にスパークタイミングカーブ、温度入力及びマニホールド絶対圧(MAP)の制御を可能にした。試験エンジンを470 HP電気動力計に、Himmelsteinトルクメーターを介して連結した。Gizzmo Electronicsから入手可能なK−MONノッキングモニターを用いてエンジンのノッキングを測定した。メーターは0から5ボルトの出力を有し、それはノッキング事象の重度に比例した。6.37kHzの中心周波数を選び、4.6−L フォード
V8エンジンの既知の周波数と適合させた。検出のバンド幅を+/−2kHzに設定した。このセンサーを用いて1.5ボルトより高い出力はおそらくエンジンに損傷を与えるであろう。かくして基本燃料上で0.75ボルト近辺で運転するように、スパークタイミングを調整した。
【0123】
試験の前に、エンジンを40分間ウォーミングアップした。試験は、エンジン速度を3500RPMに固定し、MAPを60kPaに設定した10分の段階から成る。燃料は、85のオクタン価に等しい(R+M)/2を有する標準以下のオクタン燃料であった。燃料は添加剤を含有しなかった。
【0124】
エンジンの空気流中に噴射される添加剤を用いて、又は用いずに、背合わせ試験を行った。HiTEC(R) 3000(MMT、Afton Chemicalから入手可能な50%溶液)を用いる試験の間、Perkin Elmer Model N3110109ステンレススチールエアアシスト原子−吸光ネブライザーに供給するシリンジポンプ
を介し、オクタン価向上剤を車両の吸気系中に噴射した。ネブライザー中への空気流は、40psigにおいて3SLPMに設定した。試験の間ずっと、添加剤投与(500μL/分)は一定に保たれた。空気輸送添加剤噴射を用いない実験の間、参照標準として空気流を3SLPMに保持した。
【0125】
試験の間に記録されたノッキングの事象を表4に示す。エンジンの空気流中にMMTを導入すると、臨界的0.75ボルトレベルより上でノッキング事象における有意な減少が見られた。ノッキング事象の減少は、トルクの損失又は出力の損失なしで化学的に達成された。実際には、試験の間にトルクの改善が観察された。観察されたトルクの改善は1.17%であった。
【0126】
【表4】
【実施例5】
【0127】
2011 ヒュンダイ アセントに、自然に絞られる吸気を用いる1.6−L、4−シリンダー、ポート−フューエル−インジェクションガソリンエンジンを備えた。試験は、図4及び5に描かれるUS EPA FTP−75及びHwFET運転サイクルから成った。試験の間に排気管排気を測定し、炭素−バランスを用いて燃料消費を決定した。試験の前に車両を十分に暖め(コースト−ダウン及び1回のスロー−アウェイ走行)、かくして暖められた車両においてUSA EPA FTP−75サイクルのバッグ1及び2を集めた。USA EPA FTP−75サイクルのバッグ1及び2を集めた後にUS EPA HwFETサイクルを行った。燃料はColonial Pipeline E10であった。オイルは、ILSAC GF−5品質水準を満たし、且つSAE 5W−20粘度グレードのものである市販のPennzoilであった。それを試験の前に2回流し入れた。マイル数蓄積はなかった。実験の間ずっと、標準化エンジニアリング方式を用いた。添加剤を用いずに二重の試験を行い、これらに続いて2つのレベルにおける添加剤の個々の実験を行った。添加剤は、Aromatic 100溶媒中の摩擦低下剤の50%溶液であった。それを、前記のシリンジポンプ及びネブライザーを介して車両に供給した。ネブライザー中への空気流を、60psigにおいて4SLPMに設定した。摩擦低下剤を用いない実験の間、参照標準として空気流を4SLPMに保持した。表IVは、ガロン当たりのマイル数決定のそれぞれに関する結果を示す。
【0128】
【表5】
【0129】
この試験において、添加剤の投与と共に向上する穏やかな燃料−経済性の改善がみられた。
【0130】
しかしながら、前記の説明において本発明の構造及び機能の詳細と共に本発明の多数の特性及び利点を示してきたが、開示は単に例であり、詳細において、特に部品の形、寸法及び配置に関して、本発明の原理内で、添付の請求項が表わされている用語の広い一般的な意味により示される最大限の程度まで、変更を成し得ることが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5