(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203732
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】2つの囲まれた空間を密閉して接続する装置を制御するためのシンプルなハンドリングを有する機構
(51)【国際特許分類】
B65G 65/30 20060101AFI20170914BHJP
G21F 7/005 20060101ALI20170914BHJP
B65G 69/18 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
B65G65/30 B
G21F7/005
B65G69/18
【請求項の数】19
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-532417(P2014-532417)
(86)(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公表番号】特表2014-532018(P2014-532018A)
(43)【公表日】2014年12月4日
(86)【国際出願番号】EP2012069271
(87)【国際公開番号】WO2013045667
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2015年9月10日
(31)【優先権主張番号】1158838
(32)【優先日】2011年9月30日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514076478
【氏名又は名称】ジェタンジュ ラ カレーヌ
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シモン,ジャン‐ピエール
(72)【発明者】
【氏名】シャヴロ,ベルナール
(72)【発明者】
【氏名】デュフォー,クリストフ
【審査官】
岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】
特表2005−525940(JP,A)
【文献】
特開昭62−024996(JP,A)
【文献】
特開平06−193323(JP,A)
【文献】
特開平07−284673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/30−65/48
B65G 69/00−69/34
G21F 1/00− 7/06
B25J 21/02
B01L 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の囲まれた空間(2)と第2の囲まれた空間(4)とを密閉して接続するための装置を制御するための機構(D)であって、
前記第1の空間(2)が、第1の開口部を画定する第1のフランジ(9)と、前記第1開口部を閉鎖する第1のドア(10)とを含み、
前記第2の空間(4)が、第2の開口部を画定する第2のフランジ(18)と、前記第2開口部を閉鎖し前記第2フランジ(18)にバヨネット接続により固定された第2のドア(14)とを含み、
前記第1ドア(10)が、前記第1フランジ(9)及び前記第2ドア(14)との密閉接触をもたらす環状部(23)と、ケーシングとを含み、
前記ケーシング及び前記環状部(23)が、前記第2ドア(14)と共に、前記第1の空間(2)とは異なる密閉された空間を画定し、
前記制御機構(D)が前記環状部(23)に取り付けられており、
前記制御機構(D)が雄型要素(34)を含み、前記雄型要素(34)が、前記第2ドア(14)により担持された雌型要素と、バヨネット接続を介して協働するように構成されており、
前記制御機構(D)が、前記雄型要素(34)を回転駆動させる手段(38)を備え、
前記雄型要素(34)が、前記環状部(23)に対して、長手方向軸(X)に沿って並進可能に移動可能で且つ長手方向軸(X)を中心として回転可能に移動可能であり、
少なくとも以下の段階に従って、前記2つの空間の間の接続を可能にする、
−前記雄型要素(34)の前記雌型要素上でのドッキング位置を探すために前記環状部(23)に対して前記雄型要素(34)を回転させる第1の段階と、
−前記雄型要素(34)が前記雌型要素にドッキングされる間に前記環状部(23)に対して前記雄型要素(34)を平行移動させる第2の段階と、
−前記2つのドア(10,14)を軸方向にロックさせるための回転である第3の段階と、
−前記第2ドア(14)を前記第2フランジ(18)に対してロック解除させるための回転である第4の段階と、制御機構(D)。
【請求項2】
前記雄型要素(34)が、軸方向ロック部(46)及び制御部(44)を備え、
前記軸方向ロック部(46)及び前記制御部(44)が、長手方向軸(X)を中心として互いに対して回転可能に移動可能であり、
前記軸方向ロック部(46)が、前記第1ドア(10)と前記第2ドア(14)とを軸方向ロックするように構成されており、且つ、
前記制御部(44)が、前記第2ドア(14)の前記ロック及びロック解除するように構成されている、請求項1に記載の制御機構。
【請求項3】
前記軸方向ロック部(46)が、前記長手方向軸(X)に対して垂直なブラケット(58)を含み、前記ブラケット(58)が、前記長手方向軸(X)を中心とした回転駆動のための手段(38)に連結されており、
前記ブラケット(58)が、前記第2ドア(14)の凹部(76)と協働して前記第1ドア(10)と前記第2ドア(14)とを軸方向ロックするように構成されており、
前記制御部(44)が、ラグ(54)が設けられた略円形の第1のプレート(52.1)及び第2のプレート(52.2)を含み、
前記プレートが互いに平行であり、且つ、前記長手方向軸(X)に沿って、前記ブラケット(58)がその内部で枢動できる空間をもたらすように固定距離だけ間隔を有して配置されており、
前記ラグ(54)が、前記凹部(76)のカットアウト(80)と、前記制御部(44)の回転が前記第2ドア(14)を回転駆動させるように協働するように構成されており、
前記第1のプレート(52.1)及び前記第2のプレート(52.2)が回転駆動のための手段(38)に連結されている、請求項2に記載の制御機構。
【請求項4】
回転駆動のための前記手段(38)が、前記ブラケット(58)に取り付けられた駆動シャフト(56)に係合されており、
前記第1プレート(52.1)及び前記第2プレート(52.2)が、前記軸方向ロック部(46)の前記駆動シャフト(56)がその内部を通っている中空のシャフトに固定されており、
前記制御機構が、回転に対して固定するための引き込み可能な手段(62)を備え、
前記引き込み可能な手段(62)が、前記ブラケット(58)並びに前記第1プレート及び前記第2プレート(52.1,52.2)を、以下のように連結する、
前記第1段階中に、前記第1プレート及び前記第2プレート(52.1,52.2)並びに前記ブラケット(58)が回転に対して固定され、
前記第3段階中に、前記ブラケット(58)が枢動し、且つ前記第1プレート及び前記第2プレート(52.1,52.2)が動かず、
前記第4段階中に、前記第1プレート及び前記第2プレート(52.1,52.2)並びに前記ブラケット(58)が回転に対して固定される、請求項3に記載の制御機構。
【請求項5】
前記ブラケット(58)に取り付けられた前記駆動シャフト(56)が長手方向軸(X)に沿って並進可能に移動可能であり、且つ、
第2の弾性手段(72)が、前記第1プレート(52.1)及び前記ブラケット(58)を前記第2ドア(14)の方向に押すように、前記第1プレート(52.1)と前記制御機構の固定部との間に圧縮状態で取り付けられている、請求項4に記載の制御機構。
【請求項6】
回転に対して固定するための前記引き込み可能な手段が、小径部(64.1)及び大径部(64.2)を有する少なくとも1つのピン(64)を含み、
前記ピン(64)が、前記第1プレート(52.1)、前記第2プレート(52.2)および前記ブラケット(58)をスライドして通るように取り付けられており、
前記第1プレート(52.1)が、前記大径部(64.2)を受け入れることができる直径を有するオリフィス(66)を有し、
前記第2プレート(52.2)が、前記小径部(64.1)を受け入れることができ、かつ、前記大径部(64.2)の直径よりも小さい直径を有するオリフィス(67)を有し、
前記ブラケット(58)が、長手方向軸(X)を中心として配置された円弧形状のスロット(68)を含み、
前記スロット(68)の幅が、前記ピン(64)の小径部(64.1)を受け入れることができ、且つ、前記大径部(64.2)の直径よりも小さく、
前記スロット(68)が、前記大径部(64.2)を受け入れることができる、より大きい幅を有する端部(68.1)を含み、
弾性手段(70)が、前記ピン(66)に前記第2のドアの方向の力を加え、取り付けられた状態において、前記ピン(64)が前記第1プレート(52.1)及び前記第2プレート(52.2)の前記2つのオリフィス(66,67)と、前記ブラケット(58)の前記スロット(68)のより大きい幅の前記端部(68.1)とを通過する、請求項4又は5に記載の制御機構。
【請求項7】
前記雄型要素の、前記第2ドアの凹部の外側における位置、及び、前記第2ドアの凹部内における位置を検出するための手段(82,84)を含む、請求項2〜6のいずれか一項に記載の制御機構。
【請求項8】
前記第1の段階中での回転の方向が、前記第3の段階中の回転に対して反対方向である請求項1〜7のいずれか一項に記載の制御機構。
【請求項9】
前記駆動手段(38)が電気モータにより形成されている請求項1〜8のいずれか一項に記載の制御機構。
【請求項10】
前記駆動手段が手動レバー(38’)により形成されている請求項1〜8のいずれか一項に記載の制御機構。
【請求項11】
2つの囲まれた領域を密閉して接続するための装置であって、
第1の空間(2)において、第1の開口部を画定する第1のフランジ(9)、及び、前記第1開口部を閉鎖する第1のドア(10)と、
第2の空間(4)において、第2の開口部を画定する第2のフランジ(18)、及び、前記第2開口部を閉鎖し前記第2フランジ(18)にバヨネット接続により固定された第2のドア(14)と、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の前記制御機構(D)とを備え、
前記第1ドア(10)が、前記第1フランジ(9)及び前記第2ドア(14)との密閉接触をもたらす環状部(23)と、ケーシングとを含み、
前記ケーシング及び前記環状部(23)が、前記第2ドア(14)と共に、密閉された空間を画定し、
前記制御機構(D)が前記環状部(23)内に取り付けられている、装置。
【請求項12】
軸方向の力を前記第1ドアに対して前記第1フランジの方向に加えるための手段を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1ドア(10)が前記第1空間の壁部上でヒンジを用いて関節運動される請求項11又は12に記載の装置。
【請求項14】
粉材を移送するシステムであって、
請求項11,12又は13に記載の接続装置を備え、
前記第1空間(2)が、粉体物質を供給するためのホッパ(6)が密閉して通過している上壁と、前記第1フランジ(9)、及び、閉鎖位置における前記第1ドア(10)が設けられた下壁(12)とを含むエンクロージャであり、
前記第2空間(4)が、前記2フランジ(18)、及び、閉鎖位置における前記第2ドア(14)が設けられた、充填されるべきコンテナにより形成されており、
前記システムが、
前記第1フランジ(9)と前記第2フランジ(18)とを前記長手方向軸に沿った変位によって接触させるための手段と、
前記第2フランジ(18)を前記第1フランジ(9)に対して軸方向に固定化するための手段と、
前記セル(2)に臨む前記ホッパ(6)の縁と前記コンテナ(4)の開口とを接続可能な、前記セル(2)に設けられた前記ホッパの可動部(86)とを備えた、粉材移送システム。
【請求項15】
前記ホッパの可動部(86)の変位が電気モータの作動により得られる、請求項14に記載の粉材移送システム。
【請求項16】
互いに固定される前記2つのドア(10,14)の変位が電気モータの作動により得られる、請求項14又は15に記載の粉材移送システム。
【請求項17】
第1の囲まれた空間と第2の囲まれた空間とを請求項1〜10のいずれか一項に記載の制御機構を用いて密閉して接続するための方法であって、
a)前記第1のフランジと前記第2のフランジとを接触させるステップと、
b)前記雄型要素を、前記雄型要素が並進により前記第2ドアの前記凹部に入り込むまで回転させるステップと、
c)前記雄型要素を、前記第1ドアと前記第2ドアとを軸方向にロックさせるように回転させるステップと、
d)前記雄型要素を、前記第2フランジの前記第2ドアをロック解除させるように回転させるステップと、
e)前記第1ドア及び前記第2ドアにより形成された前記ユニットを引き揚げるステップとを含む接続方法。
【請求項18】
前記ステップb)が、前記ステップa)が確認されたときに行われ、
前記ステップc)が、前記ステップb)が確認されたときに行われ、
前記ステップd)が、前記ステップc)が確認されたときに行われる請求項17に記載の接続方法。
【請求項19】
前記ステップb)の回転方向が前記ステップd)の回転方向とは反対の方向である請求項17又は18に記載の接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの囲まれた空間を密閉して接続するための装置を制御するためのシンプルなハンドリングを有する機構に関し、また、少なくとも1つのこのような機構を含む、2つの囲まれた空間を密閉して接続するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
幾つかの産業分野、特には、原子力、医療、薬剤及び農業食品などの分野において、幾つかのタスクを、例えば、放射能、毒性などから人員を保護するために密閉雰囲気中で実行すること、或いは反対に、これらのタスクを無菌又は無塵雰囲気中で実行できることが必要であり又は望ましく、或いは、最終的にこれらの両方をできることが望ましい。
【0003】
装置又は製品を、1つの囲まれた空間から別の囲まれた空間に、これらの空間の各々の外部に対するシールを常に破ることなく移送することは、難しい解決すべき問題を呈する。この問題は、ダブルドア(double-door)接続装置により解決されることができる
【0004】
このようなダブルドア装置は、例えば、特許文献1により公知である。各空間が、フランジに取り付けられたドアにより囲まれている(enclosed)。各ドアはそのフランジにバヨネット接続により固定されており、2つのフランジは、互いに対してバヨネット接続により固定されることを意図されている。
【0005】
囲まれた空間の一方がコンテナにより形成され、他方の空間がグローブボックスにより形成されている場合、移送は以下の方法で実行される。コンテナのフランジが、その外周上に、グローブボックスのフランジの凹部と協働するためのラグを含む。コンテナのフランジがグローブボックスのフランジ内に導入され、コンテナは、ラグを凹部に対応させるように方位付け(orient)される。コンテナが、コンテナのドアの軸に沿った第1の回転をすることにより、コンテナのフランジをグローブボックスのフランジに、バヨネット接続により取り付けることが可能になる。コンテナが、第1の回転と同一の軸に沿って且つ第1の回転に連続した第2の回転をすることにより、コンテナのドアがコンテナに対して枢動され、別のバヨネット接続を介した、コンテナのドアへの取付けと、2つの隣接するドアにより形成された新しいユニットの、ドア及びグローブボックスのフランジに対する取り外しとの両方が行われる。グローブボックス内に配置された制御ハンドルが、安全機構をロック解除すること、及び、2つの空間の間の通路を解放することを可能にする。無菌雰囲気の場合、2つのドアの外面が密閉的に互いに接触しているため、空間内部を汚染する可能性がない。
【0006】
この装置は、固体製品の移送の場合には、重量制限の問題はあるが十分である。しかし、この装置は、2つのフランジを対応させ、次いでこれらを取り付けるためにコンテナの回転を必要とする。コンテナの寸法が大きい場合、装置の回転の扱いには労力を要する。接続のための装置が鉛直方向の場合、コンテナを枢動させることは常には容易ではない。さらに、移送されるべき製品が粉体の場合、接続のためのラグの存在が、クリーニングを困難にさせる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】仏国特許第2695343号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、2つの囲まれた空間(例えば、コンテナとエンクロージャと)を密閉して接続するための装置を制御するための機構であって、前記2つの空間を、前記2つの空間を回転させずにより容易に接続することを可能にする機構を提供することである。
【0009】
また、前記2つの空間の間の単純化された形状の通路を提供することによりクリーニングを容易にすることを可能にすることも、本発明のさらなる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的は、前記空間の一方に配置された、他方の空間のドアのドッキングを行うことを意図された、接続のための装置を制御する機構により達成される。前記制御機構は、その作動中に、2つのドアを密閉的に連結させ、前記2つの空間の間の密閉された通路を形成するために、前記2つのドアをフランジに対してロック解除させる。
【0011】
すなわち、前記制御機構は、前記2つのフランジを接触させることを必要とするだけであり、前記フランジは、前記空間の一方に配置されたドッキングヘッドを含み、前記他方の空間のドアに、その向きに関係なく自動的にドッキングし、前記ドッキングヘッドを前記ドアに取り付け、そして前記ドアをロック解除する。
【0012】
本発明による機構は、前記2つの空間の、互いに対する角度配向(方位付け)を全く気にする必要がないという利点があり、操作が単純化される。また、これは、回転運動がドアの一方に集中されるため、操作の自動化を可能にする。
【0013】
選択されるラグの個数により、複数の実施形態が可能である。ラグの個数は少なくとも2つである。この場合、前記2つの空間の接触時の前記ドッキングヘッドの角度位置に従い、回転(180度までの範囲であり得る)が、ラグの位置合わせを行うために必要である。ラグの個数がより多数であるように選択すると、最大回転角度はそれに比例して低減される。こうして、4つのラグの場合、ラグの位置合わせを見つけるために必要とされる回転角度は最大でも90度である。こうして、摩擦が低減される。より多数のラグの実装は、2つのドアが係合されるときのより良好な機械的抵抗、及び、より良好な力の分布もたらすという利点を有する。
【0014】
好ましくは、ドッキング機構は電気モータにより駆動され、密閉接続の自動化を可能にする。
【0015】
本発明のこの主題は、第1の囲まれた空間と第2の囲まれた空間とを密閉して接続する装置を制御するための機構であり、この機構において、前記第1の空間が、第1の開口部を画定している第1のフランジと、前記第1開口部を閉鎖する第1のドアとを含み、前記第2の空間が、第2の開口部を画定している第2のフランジと、前記第2開口部を閉鎖する、前記第2フランジにバヨネット接続により固定された第2のドアとを含み、前記第1ドアが、前記第1フランジとの、及び前記第2ドアとの密閉接触をもたらす環状部と、ケーシングとを含み、前記ケーシング及び前記環状部が、前記第2ドアと共に、密閉された空間を画定し、前記制御機構が前記環状部内に取り付けられており、前記制御機構が雄型要素を含み、前記雄型要素が、前記第2ドアにより担持された雌型要素とバヨネット接続を介して協働するように構成されており、前記制御機構が、前記雄型要素回転駆動させるための手段を備え、前記雄型要素が、長手方向軸に沿って並進可能に移動可能で且つ長手方向軸を中心として回転可能に移動可能であり、このようにして、前記2つの空間の間の接続を、少なくとも以下の段階、すなわち、
−前記雄型要素の、前記雌型要素上でのドッキング位置を探すための回転である第1の段階と、
−前記雄型要素が前記雌型要素にドッキングする間の並進である第2の段階と、
−前記2つのドアを軸方向にロックさせるための回転である第3の段階と、
−前記第2ドアを前記第2フランジに対してロック解除させるための回転である第4の段階と、に従って可能にする。
【0016】
さらなる特徴によれば、前記雄型要素は、軸方向ロック部及び制御部を備え、前記部分が前記長手方向軸を中心として互いに対して回転可能に移動可能であり、前記軸方向ロック部が、前記第1ドアと前記第2ドアとの前記軸方向ロックのために構成されており、且つ、前記制御部が、前記第2カバーの前記ロック及びロック解除のために構成されている。
【0017】
例えば、前記軸方向ロック部が、前記長手方向軸に対して垂直なブラケットを含むことができ、前記ブラケットが、前記長手方向軸を中心とした回転駆動のための手段に連結されており、前記ブラケットは、前記第2ドアの凹部と協働して前記第1ドアと前記第2ドアとの前記軸方向ロックをもたらすように構成されている。また、前記制御部は、ラグが設けられたほぼ円形の第1のプレート及び第2のプレートを含み、前記プレートが互いに平行であり、且つ、前記長手方向軸に沿って、前記ブラケットがその内部で枢動できる空間をもたらすように固定距離だけ間隔を有して配置されている。前記ラグは、前記凹部のカットアウトと、前記制御部の回転が前記第2ドアを回転駆動させるように協働するように構成されている。前記第1のプレート及び前記第2のプレートは、回転駆動のための手段に連結されている。
【0018】
好ましい実施形態において、回転駆動のための前記手段が、前記ブラケットに取り付けられた駆動シャフトに係合されており、前記第1プレート及び前記第2プレートが、前記軸方向ロック部の前記駆動シャフトがその内部を通っている中空のシャフトに固定されており、前記制御機構が、引き込み可能に回転して取り付けるための手段を備え、前記取り付け手段が、前記ブラケット並びに前記第1プレート及び前記第2プレートを、前記第1段階中に、前記第1プレート及び前記第2プレート並びに前記ブラケットが回転に対して固定され、前記第3段階中に、前記ブラケットが枢動し、且つ前記第1プレート(及び前記第2プレートが不動であり、前記第4段階中に、前記第1プレート及び前記第2プレート並びに前記ブラケットが回転に対して固定するように連結する。
【0019】
前記ブラケットに取り付けられた前記駆動シャフトは、前記長手方向軸に沿って並進可能に移動可能であり、第2の弾性手段が、圧縮状態で、前記第1プレートと前記制御機構の固定部との間に、前記第1プレート及び前記ブラケットを前記第2ドアの方向に押し戻すように取り付けられている。
【0020】
回転に対して固定するための前記手段が、例えば、小径部及び大径部を有する少なくとも1つのピンを含み、前記ピンは、前記第1プレート及び前記第2プレート並びに前記ブラケットをスライドして通るように取り付けられており、前記第1プレートが、前記大径部を受け入れることができる直径を有するオリフィスを有し、前記第2プレートが、前記小径部を受け入れることができる、前記大径部の直径よりも小さい直径を有するオリフィスを有し、前記ブラケットが、前記長手方向軸を中心として配置された円弧形状のスロットを含み、前記スロットの幅が、前記ピンの、より小さい部分を受け入れることができ、且つ、前記大径部の直径よりも小さく、前記スロットが、前記大径部を受け入れることができる、より大きい直径を有する端部を含む。また、弾性手段が前記ピンに前記第2ドアの方向の力を加え、取り付けられた状態において、前記ピンが前記第1プレート及び前記第2プレートの前記2つのオリフィスと、前記ブラケットの前記スロットの、より大きい幅の前記端部とを通過する。
【0021】
前記制御機構は、好ましくは、前記雄型要素の、前記第2ドアの凹部の外側における位置、及び、前記第2ドアの凹部内における位置を検出するための手段を含むことができる。
【0022】
より好ましくは、前記第1の段階中の回転の方向は、前記第3の段階中の回転に対して反対方向である。
【0023】
一実施形態において、前記駆動手段は電気モータにより形成される。別の実施形態において、前記駆動手段は手動レバーにより形成される。
【0024】
本発明の別の主題は、2つの囲まれた空間を密閉して接続するための装置であり、この装置は、第1の空間における、第1の開口部を画定している第1のフランジ、及び、前記第1開口部を閉鎖する第1のドアと、第2の空間における、第2の開口部を画定している第2のフランジ、及び、前記第2開口部を閉鎖する、前記第2フランジにバヨネット接続により固定された第2のドアと、本発明による制御機構とを備えている。前記第1ドアは、前記第1フランジとの、及び、前記第2ドアとの密閉接触をもたらす環状部と、ケーシングとを含み、前記ケーシング及び前記環状部は、前記第2ドアと共に、密閉された空間を画定する。前記制御機構は前記環状部内に取り付けられている。
【0025】
前記装置は、さらに、軸方向の力を前記第1ドアに前記第1フランジの方向に加えるための手段を含むことができる。前記装置は、さらに、軸方向の力を前記第2フランジに前記第1フランジの方向に加えるための手段を含むことができる。
【0026】
一実施形態において、前記第1ドアは前記第1空間の壁部上でヒンジを用いて関節運動される。
【0027】
本発明の別の主題は、本発明による接続装置を備えた、粉材を移送させるためのシステムであり、このシステムにおいて、前記第1空間は、粉体物質を供給するホッパが密閉的に通過する上壁と、前記第1フランジ、及び、閉鎖位置における前記第1ドアが設けられた下壁とを含むエンクロージャであり、前記第2空間は、前記第2フランジ、及び、閉鎖位置における前記第2ドアが設けられた、充填されるべきコンテナにより形成されている。前記システムは、さらに、前記第1フランジと前記2フランジとを前記長手方向軸に沿った変位により接触させるための手段と、前記2フランジを前記第1フランジに対して軸方向に固定化するための手段と、セル内に配置され且つ前記ホッパの端部に連結することができる、前記セル及び前記コンテナの前記開口部に対して開口しているホッパの可動部とを備えている。
【0028】
前記ホッパの可動部の変位は、好ましくは、電気モータの作動により得られる。互いに固定される前記2つのドアの変位もまた、好ましくは、電気モータの作動により得ることができる。
【0029】
本発明の別の主題は、第1の囲まれた空間と第2の囲まれた空間とを、本発明による制御機構を用いて密閉して接続するための方法であり、この方法は、
a)前記第1フランジと前記第2フランジとを接触させるステップと、
b)前記雄型要素を、前記雄型要素が並進により前記第2ドアの前記凹部に入り込むまで回転させるステップと、
c)前記雄型要素を、前記第1ドアと前記第2ドアとを軸方向にロックさせるように回転させるステップと、
d)前記雄型要素を、前記第2フランジの前記第2ドアをロック解除させるように回転させるステップと、
e)前記第1ドア及び前記第2ドアにより形成された前記ユニットを引き揚げるステップとを含む。
【0030】
より好ましくは、前記ステップb)は、前記ステップa)が確認されたときに行われ、前記ステップc)は、前記ステップb)が確認されたときに行われ、前記ステップd)は、前記ステップc)が確認されたときに行われる。
【0031】
前記ステップb)の回転方向は、好ましくは、前記ステップd)の回転方向とは反対の方向である。
【0032】
以下の説明及び添付図面を用いることにより、本発明が、より良好に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明による制御機構の実施形態の、2つの割面に沿った長手方向断面図である。
【
図2】
図1Aの制御機構の別の面による長手方向断面図である。
【
図3A】2つの囲まれた空間を連通させるステップの1つによる、2つのラグを有する実施形態におけるコンテナ及び制御機構の一部の上面図である。 [
図3A’]
図3Aのステップによる接続のための装置の長手方向断面の半分の図である。
【
図3B】2つの囲まれた空間を連通させるステップの1つによる、2つのラグを有する実施形態におけるコンテナ及び制御機構の一部の上面図である。 [
図3B’]
図3Bのステップによる接続のための装置の長手方向断面の半分の図である。
【
図3C】2つの囲まれた空間を連通させるステップの1つによる、2つのラグを有する実施形態におけるコンテナ及び制御機構の一部の上面図である。 [
図3C’]
図3Cのステップによる接続のための装置の長手方向断面の半分の図である。
【
図3D】2つの囲まれた空間を連通させるステップの1つによる、2つのラグを有する実施形態におけるコンテナ及び制御機構の一部の上面図である。 [
図3D’]
図3Dのステップによる接続のための装置の長手方向断面の半分の図である。
【
図3E】2つの囲まれた空間を連通させるステップの1つによる、2つのラグを有する実施形態におけるコンテナ及び制御機構の一部の上面図である。 [
図3E’]
図3Eのステップによる接続のための装置の長手方向断面の半分の図である。
【
図3F】2つの囲まれた空間を連通させるステップの1つによる、2つのラグを有する実施形態におけるコンテナ及び制御機構の一部の上面図である。 [
図3F’]
図3Fのステップによる接続のための装置の長手方向断面の半分の図である。
【
図4A】
図1の制御機構、及び、前記機構を含むドアの、4つのラグを有する実施形態における底面図である。
【
図4B】
図1の制御機構、及び、前記機構を含むドアの、4つのラグを有する実施形態における底面図である。
【
図6】本発明による接続のための装置を実装した、粉体を移送させるための設備の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下の説明において、エンクロージャ2により形成された第1の囲まれた空間、及び、
コンテナ4により形成された第2の囲まれた空間が考えられよう。エンクロージャは、グローブボックス又はセルにより形成されることができる。
【0035】
前記2つの囲まれた空間を示すために用いられる用語「グローブボックス」(“glove box”)、「セル」(“cell”)、「エンクロージャ」(“enclosure”)、及び「コンテナ」(“container”)は、限定的なものではない。なぜなら、本発明は、これらの2つの空間だけではなく一般的な2つの空間を連通させることに適応するからである。例えば、本発明は、2つのグローブボックス間、又は、2つのセル間の接続を可能にすることができる。
【0036】
図6は、本発明による制御機構が適用された、粉体を移送させるための設備(installation)を示す。
【0037】
この設備は、ホッパ6の下に配置されたエンクロージャ2を含み、ホッパ6は、エンクロージャ2の上壁、及び、下壁12内の開口部8を密閉的に通過している。
【0038】
開口部8はフランジ9により縁取られており、且つ、ドア10により閉鎖されている。本発明による制御機構Dがエンクロージャ2内に設けられている。
【0039】
コンテナ4がエンクロージャ2の下に配置されており、コンテナ4はドア14を備えている。
【0040】
図3Aは、コンテナ4の、特には、ドア14の上面図を示す。コンテナは開口部16を含み、開口部16は、ドア14を受け入れるフランジ18により画定されている。ドア14は開口部16を密閉して閉鎖している。
【0041】
接続するための装置が、エンクロージャのドア10及びフランジ9と、コンテナのドア14及びフランジ18とにより形成されている(
図3A’)。
【0042】
ドア14は、バヨネット接続によりフランジ18に取り付けられている。図示した実施形態において、フランジ18は4つのフィンガ20を含み、フィンガ20は、フランジ18の内側に向かって半径方向に延在し、且つ、一定の角度間隔で分布されている。そして、ドア14は、その周縁上に溝22を含み、溝22は各ピンに関連付けられ、且つ、ピンをロック状態で受け入れる。
或いは、フィンガ20がドア14により担持され、溝22がコンテナ18のフランジ18内につくられていてもよい。これは、通路を完全にクリーンにできるという効果を有し、これは、突出したフィンガにより残留する可能性のある粉体又はその他の要素を移送させる場合に特に有利である。
【0043】
ドア14は、コンテナの内側に配置されるための内面14.1と、コンテナの外側に配置されるための外面14.2とを含む(
図3A’)。
【0044】
フィンガ20によって、ホッパからの粉体を保持するための非常に低い面が提供されるという利点を有する。
【0045】
溝内に入り込むラグが設けられたコンテナのフランジも本発明に含まれる。
【0046】
シール24が、フランジ18の縁とコンテナのドア14の周縁との間に設けられている。
【0047】
図1及び
図2において、制御機構Dのみを詳細に示す。制御機構Dはエンクロージャのドア10内に収容されている。ドア10は、示されている例において、ほぼ帽子の形状を有する本体により形成されており、この本体内に制御機構Dが収容されている。ケーシングが環状部23を含み、環状部23に、コンテナのフランジ18及びドア14と接触する環状面26が設けられている。環状部23は、
図3A’に示されているように、閉鎖位置においてフランジ9内に収容されている。フランジ9の周側部(lateral periphery)及び環状部23の側面は、ドア10がフランジ9に支持されるようにつくられている。シール28が、環状面26の半径方向外端と、環状部23の周側部の下縁とを形成している。このようなシール28が、コンテナのドア14の外面14.2と、フランジ9の周側部とに接触する。従って、このシール28は、セルの下壁とドア10との間のシールと、2つのドア10とドア14との間のシールとの両方を形成する。
【0048】
シールするための手段(後述する)が、環状部23と共に、エンクロージャの内部に対するシールされた空間を画定する。
【0049】
ドア10をフランジ9に対して面一に維持する手段(図示せず)が設けられており、これは、軸方向の力をドアに対してフランジ9の方向に加えることにより行われる。これらの力は、ドア10を取り外すためにキャンセルされる。例えば、これらの手段はシリンダにより形成されることができる。
【0050】
ドア10は、水平軸を中心としてヒンジにより関節運動されることが好ましい。
【0051】
好ましくは、ドア10及びドア14の引き揚げを自動化するために電気モータが設けられる。
【0052】
自動化された開放は、この例示的な実施形態において、特に注目すべき事項である。なぜなら、2つのドアを持ち上げなければならず、これには所定の物理的力が必要だろうからである。接続のための鉛直方向の装置の場合、2つのドアの重量をヒンジが担うことになり、手動開放が容易である。
【0053】
連結のための装置は長手方向軸Xを含み、この軸Xを中心として、ドア10及びドア14が枢動することができる。長手方向軸Xは制御機構の回転軸を形成している(
図2)。
【0054】
制御機構Dは、ドア14のハンドリングを提供する。装置Dは、ドア14の外面に形成された凹部と協働するように構成された雄型要素34を含む。これに関して以下に説明する。
【0055】
雄型要素34は、長手方向軸Xを中心として回転可能に移動可能に、且つ、長手方向軸Xに沿って並進移動可能に取り付けられている。雄型要素は、環状部23に対して回転可能に移動可能であり、且つ並進移動可能である。回転駆動させるための手段38が設けられている。
図1に図示した実施形態において、この手段は電気モータである。図示した実施形態において、電気モータの軸Yは雄型要素の回転軸に対して垂直であり、これにより、干渉が抑制される。角度伝達部42が、モータの軸と、雄型要素に係合されたシャフト43との間に設けられている。特に好ましくは、モータは、機構が接続のどの段階にあるかを常に知ることができるように、基準角度が設けられたステッピングモータである。
【0056】
雄型要素34は、コンテナのドア14を回転駆動するように構成された外側部分44(以下、「制御部」(“control portion”)と称する)と、ドア10をドア14に軸方向に取り付けるように構成された内側部分46(以下、「軸方向ロック部」(“axial locking portion”)と称する)とを含む。
【0057】
制御部44は、中空のシャフト48と、シャフト48に対して垂直で且つシャフト48に堅固に取り付けられた2つのプレート52.1,52.2とを含む。プレート52.1,52.2に、半径方向外側に延在するラグが設けられている。ラグ54の個数は、図示した実施形態において4つであり、互いに対して直角に配置されている。これらのラグは、ドア14の外面に形成された凹部に入り込むように構成されている。
【0058】
軸方向ロック部46が中空のシャフト56を含み、中空シャフト56は、制御部44の中空シャフト48の内側に収容され、且つ、モータのシャフト43と係合している。軸方向ロック部46は、さらに、シャフト56に対して垂直で且つ制御部44の2つのプレート間に取り付けられたブラケット58を含む。軸方向ロック部46は、シャフト43の周囲を長手方向軸に沿ってスライドすることができるように取り付けられている。シャフト43とシャフト48との間の回転連結は、例えば、スプラインタイプの連結であり、シャフト43に軸方向スプラインが設けられ、そして、シャフト48がその内周上に、溝と協働する軸方向リブを含む。
【0059】
中空シャフト56は、中空シャフト43内にボールベアリング60を用いて取り付けられている。
【0060】
軸方向ロック部46は制御部44に対して枢動することができる。パッドを形成しているスリーブ45が、制御部44の中空シャフト48とケーシングとの間に、摩擦を低減するために設けられている。
【0061】
図4A及び
図4Bは、
図1及び
図2の、4つのラグ54を含む制御機構を下から見た別の図であり、この場合、ブラケットは、ほぼ十字形状を有し得る。
【0062】
図4Aにおいて、ブラケットはプレート52.1とプレート52.2との間から出ておらず、
図4Bにおいては、ブラケットが、プレート52.1及びプレート52.2に対して枢動されてこれらのプレートの間から出ているのが見える。
【0063】
雄型部34の周囲にシールがつくられている。図示した実施形態において、シールは、シャフト56が通過しているフランジ47と、フランジの半径方向端部に取り付けられ且つケーシング上に固定されたベローズ49と、フランジ47のオリフィスとシャフト56との間のシール51とにより形成されている。雄型部34のスライド運動にベロー49が対応する。
【0064】
引き込み可能に取り付ける手段62が、制御部44と軸方向ロック部46との間に設けられている。取付け手段62は、直径が小さい小径部64.1と、直径が大きい大径部64.2と、第1の穿孔部66(上側プレート52.1内の、大径部64.2よりも直径が僅かにより大きい部分)と、第2の穿孔部67(下側プレート52.2内の、小径部64.1よりも直径が僅かにより大きく、かつ、大径部64.2よりは直径が小さい部分)とを含み、第1穿孔部66と第2穿孔部67とは同軸状であり、円弧状のスロット68が長手方向軸Xを中心としてブラケット内に形成されている。スロット68の幅は、小径部64.1の直径よりも僅かに大きく、且つ、大径部64.2の直径よりも小さい。
図3C及び
図3Eに見られるように、スロット68の端部の一方68.1は、大径部64.2の直径よりもわずかに大きい直径を有する。
【0065】
弾性戻し手段70が、上側プレート52.1上に、ピン64をドア10の外部に向かって戻すために設けられている。図示した実施形態において、弾性戻し手段70は、ケージ71とピン64との間に圧縮状態で取り付けられたコイルばねにより形成されている。
【0066】
ドア14がないとき、ピン64は駆動された位置にあり、ピン64の、大径部64.2がスロット66の端部に収容され、小径部64.1が下側プレート52.2の穿孔部67を貫通している。ブラケット及び2つのプレート52.1及び52.2は、回転に対して固定されており、より一般的には、軸方向ロック部46が制御部44を回転駆動させる。
【0067】
コンテナがドア10の下に配置されると、ピン64が第1の弾性手段70に抗して上方に押し上げられる。次いで、ピン64の、小径部64.1がスロット68を通過し、次いで、ピン64は、スロットの、小径部64.1の直径よりもわずかに大きい幅を有する部分にスライドインすることができる。そして、ブラケット58が、2つのプレート52.1,52.2に対して枢動することができる。
【0068】
第2の弾性戻し手段72が、上側プレート52.1と、ドア10の固定された部分74との間に対応して取り付けられている。
【0069】
雌型要素がドア10の外面により担持されている。この外面は、ほぼ円形の凹部76を含み、凹部76の周側部に4つのカットアウト78が設けられている。カットアウト78は、プレート52.1,52.2の4つのラグに対応する形状を有し、それにより、これらのラグを収容する。周溝80が、凹部76の側縁に、ブラケット58を受け入れるために設けられている。凹部76の深さは、2つのプレート52.1,52.2及びブラケットの厚さにほぼ等しい。
【0070】
好ましくは、コンテナとエンクロージャとを軸方向に固定するための手段が設けられる(図示せず)。これらの手段は、より好ましくは、エンクロージャのフランジ9とコンテナのフランジ18とを堅固に連結する手段により形成される。これらの軸方向固定手段は、エンクロージャのフランジ上に取り付けられた、2つの螺旋溝を含むリングと、コンテナ4の周囲を回転可能に移動可能な部分とにより形成されることができ、この移動可能な部分は、螺旋溝に入り込み且つスライドインするように構成された、直径方向に対向する2つのラグを含む。この移動可能な部分の回転が、コンテナのフランジの、エンクロージャのフランジに対するスラスト(推進)を生じさせる。或いは、コンテナを、持ち上げ(リフティング)プレート上に配置することもでき、プレートが持ち上がると、プレートは、コンテナのフランジの、エンクロージャのフランジに対するスラストを生じさせる。水平方向の接続の場合、コンテナは、セルに対して水平方向に変位されるキャリッジ上に配置され、キャリッジがスラストをもたらす。
【0071】
好ましくは、コンテナの存在を検知するための検出手段が設けられる。例えば、センサ82が、雄型要素34の上側位置を検出し、これが、コンテナがドックされていることを示す。好ましくは、雄型要素34の下側位置を検出するためにセンサ84が設けられる。この検出は、雄型要素34がドア14の凹部76内の適切な位置にあること、及び、軸方向ロックを開始できる段階にあることを示す。センサ82及びセンサ84は、電気接触部を開閉する移動可能な部分により簡単に形成されることができる。
【0073】
最初は、ドア14がコンテナのフランジ18にロックされ、ドア10がエンクロージャのフランジ9にロックされている。
【0074】
第1のステップにおいて、コンテナのフランジ18を、エンクロージャのフランジ9より下に、且つ、フランジ9に面するように配置する(
図3A’)。コンテナを適切な位置にセットすることは、コンテナをドア10に対して、及び、エンクロージャのフランジ9に対して角度を気にして配置する必要がない。
【0075】
次いで、2つのフランジ10,18を、これらが接触するまで互いに近づける。これは、例えば、コンテナを引き上げることにより、又は、セルを降下させることにより行われる(
図3B及び
図3B’)。この位置において、プレート52.1,52.2のラグがドア14のカットアウト80に位置合わせされているならば、プレート52.1,52.2は、直接、凹部76に収容される。ラグが凹部のカットアウト80に対して角度的にずれているならば、ラグがドア14の上縁に押しつけられて、2つの弾性手段を圧縮する。雄型要素34は、シャフト43の周囲で上方にスライドする。この位置において、ピン66が駆動された位置にあり、制御部44及び軸方向ロック部46は回転に対して固定されている。
【0076】
センサ82が雄型要素34の高位置を検出する。次いで、モータを作動させると、モータが角度伝達部を介してシャフト43に時計回り方向の回転を生じさせて軸方向ロック部46のシャフト56を駆動させ、シャフト56がピン66を介して制御部44を駆動させる。プレート52.1,52.2と、従って、ラグとが、長手方向軸Xを中心に回転する。この回転中、ラグはカットアウト80に位置合わせされ、第2の弾性手段の作用によってラグは凹部76の底部に向かって押されて底部に押しつけられる(
図3C及び
図3C’)。
【0077】
同時に、ピン66が上方に押されて制御部44と軸方向ロック部46とを分離させる。
【0078】
センサ84は、雄型要素34の下方位置を検出する。以下のステップを開始することができる。モータを再び作動させ、シャフト56及びブラケットのみに時計回り方向の回転を生じさせる。なぜなら、上方位置のピン66は、もはや回転に対するロックをもたらさず、ピン64が円弧の形状のスロット内にスライドインするからである。次いで、半径方向外側端部が、凹部を画成している溝内に収容されて、ドア10をドア14上に軸方向にロックさせる。図示した実施形態において、ブラケットは時計回り方向に(例えば、25度の角度)枢動する。スロットの長さは、回転路の終端にてピン64がスロットの他端に当接するように選択される(
図3D及び3D’)。このステップ中においては、制御部44は動かないままである。
【0079】
次のステップにおいてモータが再び作動され、これが、シャフト56及びブラケットを時計回り方向に回転させる。ピン64がスロットの端部に当接されると、ブラケット58はピン64を回転させ、これが、プレート52.1、52.2を回転させる。しかし、プレート52.1、52.2(より詳細には、ラグ)がドア10の凹部に、ほぼ間隙なく収容されているため、プレート52.1、52.2の回転は、ドア14の、コンテナのフランジ9に対する時計回り方向の回転と、ドア14のロック解除とを生じさせる。ロック解除の検出は、好ましくは、例えば、モータの電流を測定することにより行われることができる。
【0080】
回転角度の大きさは、例として、12.5度である(
図3E及び
図3E’)。
【0081】
次いで、ドア14を、コンテナの開口部を解放するために取り外すことができる。このために、エンクロージャのドア10は、ドア10を担持しているフランジ9から分離される。
【0082】
図示した実施形態において、ドア10の取り外しは、上方並進、及びその後の回転により達成される。(
図3F及び
図3F’)。
【0083】
エンクロージャ内部とコンテナ内部との間での密閉された移送を行うことができ、ドアの外面は、コンテナの内部とエンクロージャの内部とに対して密閉的に隔離されている。例えば、
図6に示されているように、コンテナに、エンクロージャ2の上壁に開口している固定されたホッパ6により、及び、ドア10,ドア14の開放後に適切な位置に設置されたホッパの可動部86により運ばれた粉体物質を充填することができる。ホッパの可動部は、軸Z1を中心として関節運動(articulate)される。制御機構Dは、軸Z1に対して平行で且つ軸Xに対して直角の軸Z2を中心として関節運動される。好ましくは、ホッパのこの可動部86は、粉体物質をエンクロージャ内部への拡散を抑制しながら、コンテナ内部に運ぶ。図示した実施形態において、ホッパ6はスライド部6.1を含み、スライド部6.1は、コンテナ4より上の適切な位置に配置されたときにホッパの可動部に接近(accost)する。
【0084】
ドアを所定位置に戻すことは、上記と逆の手順により行われる。ドアを所定位置に戻すことについて、以下に簡潔に説明する。
【0085】
ドア10及びドア14を、それぞれのフランジ内の所定位置に戻す。
【0086】
モータを、シャフト43に反時計回り方向の回転を生じさせるように作動させる。ブラケット58のみを枢動させてブラケット58を解放し、ブラケット58を凹部のカットアウトに位置合わせする。ドア14はまだフランジ18上にロックされていない。
【0087】
次いで、モータを再び作動させて、ブラケット58に反時計回り方向の回転を生じさせ、プレート52.1,52.2を当接しているピン64を介して駆動させる。次いで、ドア14を再びコンテナのフランジ18上に再びロックさせる。
【0088】
次いで、コンテナを係合解除することができる。コンテナの係合解除の前に、ドア10の閉鎖を検知してもよい。
【0089】
図示した実施形態において、プレートのラグをコンテナのドアの凹部内の所定位置にセットするステップと、ドア14をロック解除するステップとが同一回転方向において行われる。好ましくは、これらの2つのステップを反対方向にて行うことが提案され、これは、ラグを所定位置にセットしているときにコンテナのカバーを時期尚早にロック解除するいかなる危険性も排除することを可能にする。
【0090】
図示した実施形態において、エンクロージャのドア10はエンクロージャの下壁内に配置されている。しかし、ドア10を上壁又は側壁に配置してもよい。
【0091】
回転角度の値は、例として示されているに過ぎない。回転角度の値は、コンテナのドアの寸法及びラグの個数に従って決定される。より好ましくは、回転角度の値は、摩擦を低減し、且つ粒子の発生の危険性を制限するように、可能な限り低く選択される。
【0092】
さらに、様々な操作を検知するための手段を、安全性を高めるために、特に、ドアを目視できない場合に、設けることができる。
【0093】
示された実施形態において、モータはエンクロージャ内に配置されている。しかし、モータを、例えば、適合した角度伝達部を用いて、エンクロージャの外側に移動することも提案できる。
【0094】
本発明による制御機構は、コンテナの配向を必要としないことを可能にする。これは、コンテナの寸法が相当が大きい場合に特に有益である。また、これは、自動化された密閉接続の所定位置へのセッティングを、コンテナの配向無しで容易にし、設置を簡単にする。
【0095】
モータの作動は、1又は複数のボタン(例えば、各ステップにつき1つのボタン)を用いた制御により行われることができる。しかし、この場合、モータを、この目的のためにプログラミングされた自動化プログラムを用いて連続的に作動することができる。
【0096】
示された実施形態において、制御部及び軸方向ロック部を回転させるために単一のモータが用いられ、これにより、干渉を低減できる。しかし、これらの部品の各々に専用のモータ又は回転駆動手段を設けることも考えられる。この実施形態においては、2つの部品間のピンにより形成された固定化のための手段は、もはや必要ないであろう。
【0097】
図5に、装置の作動が手動で行われる実施形態が示されている。例えば、長手方向軸Xに対して垂直な軸Yを中心に回転可能に移動可能であるレバー38’が電気モータの代わりに取り付けられている。その他の点では、制御機構の構造は、本文にて
図1〜
図3F’に関して以上に記載した構造と類似である。直接に軸Xを中心として回転可能に移動可能な、角度伝達部を省くレバーも考えられる。この装置は、例えば、グローブボックス内の適切な位置にセットすることができ、操作者は容易にアクセスできる。例えば、手動制御は、電気装置が、例えば着火の危険性があるために望ましくない場合に特に有益である。より好ましくは、ドア10は、エンクロージャ上に、関節運動により回転するように取り付けられている。フランジのドアに対する面一の位置を維持するための手段が設けられる。手動制御は、特に、鉛直方向の取り付け中に適している。
【0098】
手動制御を用いたこの実施形態において、コンテナのドアの存在、及び、ドアのロック又はロック解除状態、並びに、機械的安全性を検知するための手段が、コンテナがない場合にレバーが枢動するいかなる可能性も回避するために設けられる。これらの手段は、ドア14がない場合には突き出してレバーをロックし、ドアがある場合には引き込まれてレバーをロック解除するピンにより形成されることができる。これらの手段は当業者に公知であるので詳細は説明しない。
【符号の説明】
【0099】
2 第1の囲まれた空間(エンクロージャ)
4 第2の囲まれた空間(コンテナ)
9 第1のフランジ(エンクロージャのフランジ)
10 第1のドア(エンクロージャのドア)
14 第2のドア(コンテナのドア)
18 第2のフランジ(コンテナのフランジ)
23 環状部
28 シール
34 雄型要素
38 回転駆動手段
43 モータのシャフト
44 制御部
45 スリーブ
46 軸方向ロック部
48 制御部の中空シャフト
52.1 第1のプレート
52.2 第2のプレート
54 ラグ
56 中空シャフト
58 ブラケット
60 ボールベアリング
62 引き込み可能に取り付ける手段
64 ピン
64.1 小径部
64.2 大径部
66 第1の穿孔部(オリフィス)
67 第2の穿孔部(オリフィス)
68 円弧形状のスロット
68.1 スロット端部
70 第1の弾性戻し手段
72 第2の弾性戻し手段
76 凹部
80 カットアウト
82 センサ
84 センサ
D 制御機構
X 長手方向軸