(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203736
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】少なくとも1つのルーメンを備えるマルチセクションのカニューレ
(51)【国際特許分類】
A61M 31/00 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
A61M31/00
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-539045(P2014-539045)
(86)(22)【出願日】2012年10月26日
(65)【公表番号】特表2014-532476(P2014-532476A)
(43)【公表日】2014年12月8日
(86)【国際出願番号】US2012062126
(87)【国際公開番号】WO2013063396
(87)【国際公開日】20130502
【審査請求日】2015年5月13日
(31)【優先権主張番号】13/284,387
(32)【優先日】2011年10月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504101304
【氏名又は名称】メドトロニック・ゾーメド・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100118083
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 孝美
(72)【発明者】
【氏名】シャーマン,イーサン・ジー
(72)【発明者】
【氏名】リトル,デーヴィッド・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】プリスコ,ジョン・アール
(72)【発明者】
【氏名】フレンド,マシュー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ミンティ,マシュー・エフ
(72)【発明者】
【氏名】ゼルマー,トム
(72)【発明者】
【氏名】ゴドフリー,サイアン
(72)【発明者】
【氏名】アトライド,ロイ
【審査官】
鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−530155(JP,A)
【文献】
特開2006−326064(JP,A)
【文献】
特開平8−19619(JP,A)
【文献】
国際公開第2005/094665(WO,A2)
【文献】
特開2003−47654(JP,A)
【文献】
国際公開第00/071016(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カニューレであって、
a)柔軟な遠位部分に接続された剛直な近位部分、
b)前記剛直な近位部分と前記柔軟な遠位部分の中にあり且つそれらの間に延在する第1の重合体のルーメンおよび少なくとも第2の重合体のルーメンと、
を備え、
c)前記第1の重合体のルーメンが、前記柔軟な遠位部分の中にあり且つ該柔軟な遠位部分に沿って延在する柔軟な補強部材を有し、
d)前記少なくとも第2の重合体のルーメンが流体供給源に流体連通されており、
接続されている前記柔軟な遠位部分と前記剛直な近位部分は、人の鼻の空洞内に挿入されて動かされることが可能であり、そのような空洞内を動く場合、前記剛直な近位部分は、前記カニューレが曲げられることを防止しまたは妨げ、前記柔軟な遠位部分は、45度より大きく曲げられたときに該柔軟な遠位部分が湾曲しないような、デュロメータによって計測される硬度を有し、前記柔軟な遠位部分が新たな形状となるように曲げられるまでその形状を維持するように前記柔軟な補強部材が十分な曲げ剛性を有する、
カニューレ。
【請求項2】
前記柔軟な遠位部分が90度曲げられるときに湾曲しない、請求項1に記載のカニューレ。
【請求項3】
前記柔軟な遠位部分が180度曲げられるときに湾曲しない、請求項1に記載のカニューレ。
【請求項4】
前記柔軟な遠位部分のデュロメータによって計測される硬度が60〜95ショアAである、請求項1に記載のカニューレ。
【請求項5】
前記剛直な近位部分が、円筒形の金属性またはプラスティックのチューブを含む剛直な支持部材を有する、請求項1に記載のカニューレ。
【請求項6】
前記柔軟な遠位部分がスプレーヘッドに接続される、請求項1に記載のカニューレ。
【請求項7】
前記カニューレと前記スプレーヘッドとの間に滑らかな移行インターフェースを提供するシースを更に有する、請求項6に記載のカニューレ。
【請求項8】
前記カニューレが4つのルーメンを有する、請求項1に記載のカニューレ。
【請求項9】
前記カニューレが、別個の流体供給源に流体連通されるように構成される少なくとも2つのルーメンを有する、請求項1に記載のカニューレ。
【請求項10】
前記カニューレが、副鼻腔内で使用するための寸法になっており、前記剛直な近位部分および前記柔軟な遠位部分がそれぞれある長さを有し、前記剛直な近位部分の長さおよび前記柔軟な遠位部分の長さの比は1:2から2:1である、請求項1に記載のカニューレ。
【請求項11】
前記剛直な近位部分は3cmから10cmの長さであり、前記柔軟な遠位部分は4cmから8cmの長さであり、前記カニューレは0.1cmから1.0cmの外径を有する、請求項1に記載のカニューレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は2011年10月28日に出願された米国特許出願第13/284,387号の優先権を主張するものであり、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本発明は、流体を供給するのに使用される医療カニューレに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]副鼻腔炎は
副鼻腔壁の粘膜組織の内側(mucosal tissue lining)の炎症であり、鼻通路の妨害、粘液性鬱血、および、細菌性または真菌性の
副鼻腔の伝染を引き起こす可能性がある。通常の治療は抗生物質治療から開始される。しかし、抗生物質治療が副鼻腔炎を緩和することができない場合、
副鼻腔手術(
副鼻腔を切開して粘膜組織を取り除くことを伴う)が代替手段となる可能性がある。このような手術のための術後ケアは、組織の治癒中に再切開された
副鼻腔の通路(sinus passage)をサポートして余分な流体を吸収するための不快な一時的の洞パッキングまたはガーゼを必要とする。数日後または医師の裁量で、ガーゼパッキングが取り外される。これには痛みが伴う。
【0004】
[0004]洞密封剤および別の生物学的材料が、従来のパッキング技術と比較して介入を少なくして痛みを軽減しながら術後の通路を一時的に密封するかまたは別の形で保護する将来性のある技術となってきている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]外科的修復および薬物供給のための、耳鼻咽喉科(ENT)の手技ではバイオマテリアルが使用されている。一部のバイオマテリアルの化学的性質によっては、使用前に分離される成分を含む、多成分系の形態で提供される必要がある。これらの成分は供給の直前または供給中に一体に混合され、混合物が迅速にゲルまたは固体を形成する。
【0006】
[0006]しかし、高反応性の多成分系バイオマテリアルシステムを使用する場合、困難が生じる可能性がある。成分が過度に迅速に反応すると、得られる混合物の性能が低下するかまたは不安定になる可能性がある。しかし、バイオマテリアルシステムをスプレーで適用することが必要となるなどの別の理由で迅速な反応が所望される場合もあり、迅速な反応は、所望される適用部位でゲルまたは固体を迅速に形成することができる。また、望ましくは、手術者は片方のグローブした手を使用してバイオマテリアルを投与することが可能であるべきである。
【0007】
[0007]
副鼻腔密封剤などの組織密封剤を使用することにより直面する別の問題には、密封剤供給システムを患者の解剖構造の中で誘導することが含まれる。例えば、密封剤は1つまたは複数のルーメンを有するカニューレを通して供給され得、ルーメンの中を流体が流れることができる。カニューレは、種々の経路を通して挿入されることから、鋭い角度のところで場合によっては急激に捻じれたり回転したりすることができるような可撓性を必要とする。同時に、カニューレはルーメンが湾曲または閉鎖するのに抵抗することができなければならず、流体を中断させずに流すのを可能にしなければならない。
【0008】
[0008]本発明は、一態様で、
a)近位部分および遠位部分を有する柔軟性部材と、
b)近位部分と遠位部分の中にありそれらの間を延在する少なくとも1つのルーメンであって、この少なくとも1つのルーメンが流体供給源に流体連通される、少なくとも1つのルーメンと、
c)少なくとも1つのルーメンの長手方向に沿って延在する補強部材であって、カニューレが45度を超えて曲げられるときに湾曲しないようにするデュロメータをカニューレが有する補強部材と
を備えるマルチセクションのカニューレを提供する。
【0009】
[0009]本発明は、一態様で、標的部位まで流体を投与する方法を提供し、本方法が
A)(i)少なくとも1つの流体供給源と、
(ii)カニューレであって、このカニューレが
a)近位部分および遠位部分を有する柔軟性部材と、
b)近位部分および遠位部分の中にありそれらの間を延在する少なくとも1つのルーメンであって、この少なくとも1つのルーメンが流体供給源に流体連通される、少なくとも1つのルーメンと、
c)少なくとも1つのルーメンの長手方向に沿って延在する補強部材であって、カニューレが45度を超えて曲げられるときに湾曲しないようにするデュロメータをカニューレが有する補強部材と
を備えるカニューレと、
(iii)少なくとも1つの流体供給源が出るところのスプレーヘッドと
を備えるスプレーデリバリシステムを提供するステップと、
B)流体を流体供給源からスプレーヘッドを通して少なくとも1つのこのようなルーメン内に投与するステップと
を含む。
【0010】
[0010]開示される装置および方法は、
副鼻腔などの種々の解剖学的部位にアクセスするための、および、これらの解剖学的部位に組織密封剤を適用するための、特定の用途を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】[0011]例示のカニューレを含む一部組み立てられたスプレーデリバリシステムを示す斜視図である。
【
図2】[0012]
図1のカニューレを示す分解斜視図である。
【
図3A】[0013]シュラウドおよび支持部材を示す斜視図である。
【
図3B】[0014]
図3Aのシュラウドを示す一部断面の斜視図である。
【
図4A】[0015]カニューレの遠位部分を示す斜視図である。
【
図4B】[0016]
図4Aのカニューレの構成要素を示す分解斜視図である。
【
図6】[0018]カニューレの遠位部分の一実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0019]図面の種々の図の同様の参照符号は同様の要素を示す。図面内の要素は正確な縮尺ではない。
[0020]端点を使用する数値範囲の記載は、その範囲内に包含されるすべての数値を含む(例えば、1から5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0013】
[0021]本発明は、一態様で、柔軟性の湾曲防止カニューレを提供し、別の態様で、このようなカニューレを使用する組織密封剤を供給する方法を提供する。このカニューレは、カニューレまたはそのルーメン(複数可)を湾曲させたり閉鎖させたりすることなく使用時に維持される所望される形状となるように曲げられ得、それにより、ルーメン(複数可)を通して中断させることなく流体を供給することを可能とする。この湾曲防止フィーチャにより、カニューレを通して流体を流しながら密封剤供給プロセス時にカニューレを成形および再成形することが可能となる。
【0014】
[0022]このカニューレは、多成分系の流体組成を適用するのに使用され得る供給システムおよびスプレーヘッドに組み付けられ得る。このような供給システムおよびスプレーヘッドには、例えば、それぞれ本出願と同日に出願された、米国特許出願第13/284,600号、代理人整理番号151−P−41646.WO04、および、米国特許出願第13/284,421、代理人整理番号151−P−41646.WO02に記載される供給システムおよびスプレーヘッドが含まれ、これらの各々はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0015】
[0023]この装置および方法は、複数の成分の組織密封剤(例えば、2つの成分)などの
複数の薬剤を含有する組成を、
鼻腔および
副鼻腔を含む種々の身体的通路または空洞(例えば、上顎骨、前頭骨または蝶形洞)に適用するのに使用され得る。例示の多成分系の組織密封剤は、例えばキトサンおよびデンプンなどの反応性多糖類を含むことができる。別の例示の多成分系の組織密封剤が、米国特許出願公開第2009/0270346A1として現在公開されている米国特許出願第12/429,141号、および、米国特許出願公開第2009/0291912A1号として現在公開されている米国特許出願第12/429,150号に提示されている。
【0016】
[0024]部分的に組み立てられたスプレーデリバリシステム1を示す
図1は、操作部材2と、シリンジ4、6を受けることおよび捕捉することができるボディ5とを含む。操作部材2は、シリング4、6内に収容される流体を同時に供給するのを可能にするようにシリンジ4、6上で動作する。スプレーデリバリシステム1は、
図1に示されるように、カニューレ14およびスプレーヘッド20をさらに有する。
【0017】
[0025]カニューレ14は、剛性の近位端部分16および柔軟性の遠位端部分18を有するように組み立てられ得る可撓性部材または柔軟性部材であってよい。剛性の近位端部分16は近位端部分のところで支持シャフト12およびシュラウド11によって動きが制限され得、それによりカニューレが曲げられることが防止されるか妨げられる。剛性の近位端部分16はまた、支持シャフト12によって囲まれるカニューレ14の部分を有する。カニューレ14は柔軟性の遠位端部分18のところで曲げられ得、柔軟性の遠位端部分18は支持シャフト12の端部からスプレーヘッド20の近位部分まで延在する。
【0018】
[0026]カニューレ14およびスプレーヘッド20はマニホルド10を介してボディ5に接続される。マニホルド10はシュラウド11によって囲まれ得、ここでは、支持シャフト12がカニューレ14の近位端の動きを制限する。マニホルド10は、液密接続を形成するためにシリンジをマニホルド10にねじ込み式または回転式に係合させる必要なくシリンジ4、6の一部分を受けるように構成され得る。スプレーヘッド20が柔軟性の遠位端部分18に接続される。柔軟性の遠位端部分18とスプレーヘッド20との間のインターフェースを覆うのが、カニューレ14とスプレーヘッド20との間の接合部のところに滑らかな移行インターフェースを形成するシース19である。
【0019】
[0027]
副鼻腔に組織密封剤を供給するのに使用される場合、カニューレ14は好適に
は約10cmから15cmの全長を有し、より好適には約12cmから13cmの全長を
有する。剛性の近位端部分16は、約4cmから8cmの範囲、好適には約5cmから7
cmの範囲の長さを有することができ、柔軟性の遠位端部分18は、例えば、約4cmか
ら8cmの範囲、好適には約5cmから7cmの範囲の長さを有することができる。カニ
ューレ14の外径は約0.1cmから1.0cm、好適には約0.3cmから0.4cm
であってよい。剛性の近位端部分16と柔軟性の遠位端部分18の比は約2:1または1
:2であってよく、好適には1:1である。
【0020】
[0028]特定のカニューレ用途によっては、別の寸法も許容される。例えば、カニューレ14は、腹腔鏡検査の解剖学的または婦人科的手術、神経系の手術、あるいは、肺の手術などに使用され得る。
【0021】
[0029]カニューレ14は、人体内部で使用されることを許容されかつデュロメータ(硬さ)を選択することができる材料で形成され得る。デュロメータが選択されることにより、曲げられていない直線形状を基準として45度、90度または180度を超えて曲げられるときにカニューレが湾曲するのを防止することが補助される。選択される材料には、例えば、ポリオレフィン、シリコーン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンおよびポリエステルなどの、熱可塑性または熱硬化性重合体が含まれてよい。所望されるデュロメータを得るために、充填剤または可塑剤が使用されてもよい。充填剤または可塑剤の量および種類は、使用される選択された熱可塑性重合体または熱硬化性重合体によって決定される。カニューレ14は、例えば、60から95の範囲、好適には約85から95の範囲のデュロメータ(ショアA)を有することができる。
【0022】
[0030]
図2を参照すると、支持部材12は、カニューレ14を囲む円筒形の金属またはプレスチックチューブの形態であってよく、例えば接着または溶接により、シュラウド11の遠位端部分の中に入るように成型されるかまたは別の形で接続される。支持部材12は好適にはステンレス鋼で作られる。別の例示の材料には、例えば、アルミニウムなどの金属、および、熱可塑性重合体または熱硬化性重合体などのプラスチックが含まれる。支持部材12は、望ましくは、解剖学的な挿入(anatomic insertion)を行うときの物理的障害を最小にしかつ近位端部分16が側方に撓むのに抵抗するような厚さおよび長さを有し、それにより、身体的通路を通るようにカニューレ14を動かして誘導するときの制御性が向上する。支持部材12は、例えば、約0.01cmから約0.1cm、好適には約0.02cmから0.03cmの厚さ、および、例えば、約3cmから10cm、好適には約4.5cmから5.5cmの長さを有する。
【0023】
[0031]
図2および
図3A〜
図3Bに示されるように、シュラウドまたはケーシング11がマニホルド10の外側部分を囲む。また、シュラウド11は、カニューレ14に組み付けられるときに支持部材12に係合され、それにより、カニューレ14の近位側に追加の剛性を提供する。シュラウド11は、例えば、接着、溶接または射出成型によりマニホルド10に永久的に取り付けられてよく、または、任意選択で着脱自在であってもよい。
【0024】
[0032]
図4A〜
図4Bに示されるように、シース19は、例えば、スプレーヘッド20の近位部分、および、遠位端部分18を囲むことができ、それによりスプレーヘッド20とカニューレ14との間に滑らかなインターフェースを形成することができる。また、シース19は、スプレーヘッド20を閉じ込め位置から引っ張るときにスプレーヘッド20をカニューレ14に堅固に取り付けた状態を維持するのを補助する。
【0025】
[0033]シース19の望ましい長さは、例えば、約10mmから50mmの範囲、好適には約20mmから25mmの範囲であってよい。シース19の厚さは、望ましくは、カニューレを挿入するときに解剖学的フィーチャに干渉するのを最小にするように選択され得る。シースの厚さは、例えば、0.001cmから0.010cmの範囲、好適には0.001cmから0.003cmの範囲であってよい。シース19は、熱収縮チューブ、機械的に拡大するチューブ、または、押出プラスチックチューブであってよく、例えば、ポリエステル、ポリオレフィンおよびフッ素重合体などの、種々の材料から作られてよい。
【0026】
[0034]
図5A〜
図5Bに示されるように、例示のカニューレ14は、剛性の近端部分16から柔軟性の遠位端部分18までカニューレの全長に沿って延在する複数のルーメンを封入することができ、各ルーメンを分離した状態で維持することができる。個別のルーメンの直径は、スプレーヘッド開口部の直径、所望される圧力、および、所望される流量を含めた、多数のファクタによって決定される。ルーメンは例えばすべてが同じ直径および断面形状を有してもよい。ルーメンの形状は、断面が、例えば、円形、楕円形、正方形またはD形であってよく、D形の場合、隣り合うD形の平坦部分が互いに隣接する。
【0027】
[0035]
図5Aに示されるように、ルーメンのうちの少なくとも1つのルーメンが、多方向に適合するようにカニューレ14を選択的に曲げるのを可能にする補強部材22を有することができる。補強部材22は、例えば、ルーメン内に位置してルーメンの長手方向に沿って延在するワイヤの形態であってよい。補強部材22は、必要というわけではないが、マルチルーメンカニューレ14内の中央に位置してよい。このような実施形態では、カニューレ14は少なくとも2つのルーメンを備えるように形成され得、これらのうちの1つは補強部材22によって占有される。また、カニューレ14は、補強部材22上でカニューレ14を押し出すかまたは成型し、流体を流すことができる少なくとも1つのルーメンを提供することにより、形成されてもよい。
【0028】
[0036]補強部材22は、例えば、ステンレス鋼、銅またはアルミニウムなどの、金属または金属合金で作られてよい。別の実施例では、補強部材22は、Nitinolなどの形状記憶金属で作られてもよい。補強部材22の直径は、例えば、0.001cmから0.10cmの範囲、好適には0.03cmから0.05cmの範囲であってよい。補強部材22の形状は、断面が、例えば、円形、楕円形、正方形またはD形であってよい。補強部材22のスティフネスは、所望される用途に応じて、フルハード(full hard)、ハーフハード(half hard)、クォーターハード(quarter hard)、アニールド(annealed)、ソフト(soft)、または、任意の別の所望されるスティフネスであってよい。
【0029】
[0037]カニューレ14は、
図5A〜
図5Bに示されるように、4つのルーメンを有し、それらのうちの1つが補強部材22によって占有される。残りのルーメン24、26、28が、シリンジ4、6などの1つまたは複数の流体供給源、および、
図2に示されるポート30を介してルーメン28内に導入され得る加圧空気の供給源(図示せず)に流体連通される。
【0030】
[0038]一部の態様では、
図6に示されるカニューレ14は、ベベル型またはテーパ型の遠位端32としてカニューレ14の遠位先端部の少なくとも一部分を示している。ベベル型の端部32は、4つのルーメン、3つのルーメン、2つのルーメンまたは1つのルーメンを基準として中央となるように位置決めされる。ベベル端部32は、例えば、すべてのルーメン、4つのルーメン、3つのルーメン、2つのルーメンまたは1つのルーメンに跨るように延在してよい。
図6に示されるように、ベベル32は3つのルーメンに跨って延在する。
図6に示されるように、ベベル32を含まないカニューレ14の遠位端部は最も長いルーメンを有する。一部の実施形態では、最も長いルーメンが補強部材22によって占有される。
図6から分かるように、ルーメン34、36および38はテーパの一部分である。一部の実施形態では、最も短いルーメン38が空気を通過させ、ルーメン34および36が流体を通過させる。このような構成(
図6に描かれる)では、流体の前に空気が排出され、それによりルーメンの中身がスプレーヘッド20に入るときにより良好に混合されるようになる。認識されるであろうが、ルーメン構成および補強部材には変形形態が想定され得る。ベベル角度は例えば約35度から約75度の範囲であってよい。別の実施形態では、ベベル角度は約40度から45度の範囲であってよい。ベベル32は、スプレーヘッド内に挿入されることを可能にしてそれによりルーメンの中身がスプレーヘッド20内へと移動するときにより均質に混合されるようにする任意の所望される角度で形成されてよい。
【0031】
[0039]開示されるデバイスのための1つの例示の組み立てプロセスでは、最初に、手術者が、操作部材2をボディ5内に挿入する。別法として、操作部材2は予めボディ5に組み付けられていてもよい。シリンジ4、6がボディ5および操作部材2に接触するように配置され、ここでは、ボディ5および操作部材2がシリンジ4、6を受けて捕捉することができる。このようにして、シリンジ4、6がボディ5に実質的に平行に保持される。
【0032】
[0040]シリンジがボディ5によって受けられて捕捉されると、カニューレ14およびスプレーヘッド20がマニホルド10を介してボディ5に組み付けられる。所望される場合、カニューレ14およびスプレーヘッド20は製造時にマニホルド10に予め組み付けられていてもよい。
【0033】
[0041]次いで、手術者が非ねじ込み式の液密接続を形成するようにマニホルド10をシリンジ出口に接続し、シリンジバレル内のシリンジの中身がマニホルド10を介してカニューレ14に流体連通される。
【0034】
[0042]供給デバイス1が完全に組み立てられると、手術者がカニューレ14を所望される形状となるように成形する。カニューレ14は、望ましくは、新たな形状となるように曲げられるまでその形状を維持するのに十分なスティフネスを有する。次いで、成形されたカニューレ14およびスプレーヘッド20が、例えば、
鼻腔または
副鼻腔、あるいは、別の開口部、凹部または通路などの、患者の身体内の所望される治療部位まで動かされるかまたは誘導される。所望される通りに配置されると、手術者が、例えば、シリンジ4、6のプランジャをシリンジ出口に向かうように移動させるために操作部材2を押し下げることができ、それにより、シリンジの流体の中身が実質的に同時に別個のシリンジバレルを通るように前進させられて排出され、流体を分離して保持するマニホルド10内のそれぞれの流体チャンネル内に入る。継続して押し込むことにより、流体がマルチルーメンカニューレ14を通るように前進させられ、混合されるところのスプレーヘッド20内の領域に入り、その後、混合された流体がスプレーヘッド20から出る。圧縮ガスが使用される場合、圧縮ガスはガス入口(図示せず)を通して提供され得る。ガス流れがマルチルーメンカニューレ14のルーメンを通過してスプレーヘッド20の混合領域に入る。ガス流れは、混合されたシリンジの中身を霧化して大幅に小さい液滴にするのを補助する。一部の実施形態では、ベベル型のカニューレが使用され得る。全体として、通路を通過するデバイスをより円滑に操作してより容易に制御することが可能となる。
【0035】
[0043]以下の非限定的な実施例で本発明をさらに説明する。
【実施例1】
【0036】
[0044]適切な固定具を用いて供給デバイス1をクランプして、複数の異なる使用者構成でのカニューレ14を通る空気流量を決定するために空気流量計を使用して供給デバイス1を評価した。各使用者構成に対して空気流量を少なくとも14回測定した。
【0037】
【表1】
【実施例2】
【0038】
[0045]適切な固定具を用いて供給デバイス1をクランプして、カニューレを90度曲げるときの力をLbf単位で決定するために較正されたフォースゲージを使用して供給デバイス1を評価した。90度に曲げたカニューレを用いて必要となる力を少なくとも14回測定した。
【0039】
【表2】