【文献】
Journal of Visualized Experiments,2011.05.27, Vol.51, e2736, pp.1-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
抗原特異的T細胞を急速に増殖させるためのインビトロ増殖プロセスであって、標的抗原に関するペプチドおよびペプチドミックスからなる群から選択される抗原の存在下、ガス透過性容器においてPBMCの集団を培養するステップを含み;
サイトカインが外因性IL−2以外であるという特徴を有する少なくとも一種の外因性サイトカインの存在下、前記培養が実施され、サイトカイン、培地および栄養が前記増殖プロセスの開始の後に追加または交換されず、前記外因性サイトカインが、IL−7、IL−15またはそれらの組み合わせを含む群から選択される、インビトロ増殖プロセス。
薬学的に許容できる組成物を調製するステップをさらに含み、このステップがさらに希釈剤、安定剤、保存剤および/または他の薬剤的に許容できる添加剤を追加するステップを含む、請求項1から12のいずれか1項で定義されたプロセス。
同種抗原特異的T細胞を急速に増殖させるためのインビトロ増殖プロセスであって、標的抗原に関するペプチドおよびペプチドミックスからなる群から選択される抗原の存在下、ガス透過性容器において同種PBMCの集団を培養するステップを含み、サイトカインが外因性IL−2以外であるという特徴を有する外因性サイトカインの存在下、前記培養が実施され、前記プロセスが14、13、12、11、10、9、8、7日間以下の日数の前記抗原特異的T細胞の増殖から成り、前記外因性サイトカインが、IL−7、IL−15またはそれらの組み合わせを含む群から選択される、インビトロ増殖プロセス。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で採用される急速な増殖は、治療的産物を18日間未満で、例えば7から10日間で得るプロセスを指す。
【0014】
本プロセスから得られた抗原特異的T細胞集団は、従来技術方法で得られた産物と少なくとも同等であるが、数多くの点で特性が改良され、例えば、従来技術のプロセスにより調製した細胞と比較してアネルギーまたは消耗がまったく無いか少ない。
【0015】
T細胞の活性化は、多くの正負の調節プロセスによって厳密に制御されている。これにより、身体は自己免疫を最小限にしながら病原体に対する免疫を働かせることができる。T細胞の活性化は、樹状細胞のような成熟抗原提示細胞の表面の特定の分子がT細胞受容体と結合し、さらに共刺激因子を提供する際に起こる。
【0016】
例えば抗原提示細胞上の抗原が共刺激シグナルのない状態でT細胞受容体と結合した場合、アネルギーまたは低応答性が生じる場合があることが記述されている。この低応答性はサイトカイン分泌の減少、例えばインターフェロンガンマの分泌が低レベルになる、および/またはIL−13の分泌が低レベルになることにより明らかとなる。
【0017】
アネルギーの程度は次のようにして説明され得る。例えば、全集団の分泌を測定し、その後、適切な集団内の細胞の数で割って平均を出す。このとき、本プロセスにより調製した細胞が、従来技術のプロセスにより調製した細胞より多くのインターフェロンγを平均して分泌する場合、アネルギー−が軽度であることが説明され得る。
【0018】
インビトロにおいて、少なくともあるタイプのアネルギーは、例えばIL−2の追加により逆転させられる。インビトロで、患者に細胞の養子免疫細胞移入を行う場合、アネルギー細胞がどのように応答するかは知られておらず、アネルギー細胞が復活してもともと有していた機能を果たすかどうかは不明である。
【0019】
いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、治療用抗原特異的T細胞集団を調製する場合、投与する細胞の絶対数は、有効な産物を提供するという点で最も決定的な因子ではない場合がある。むしろ、投与する細胞の機能性がより重要である可能性がある。つまり、低応答性の細胞の数が最小限となる細胞の投与が重要となる場合がある。
【0020】
本プロセスは、細胞の培養が比較的短期間、一般に14日以下であるという点で機能細胞の量を最適化する。したがって、この細胞は、それらが生存可能でない、または低応答性となり始めるポイントまで人為的に活性化されない。
【0021】
一実施形態では、細胞は、外因性IL−2が存在せず、代わりに内因的なIL−2だけが存在する状態で増殖する。IL−2はT細胞刺激因子であることが知られているが、本方法中で使用した場合、それは、増殖を早めるが、ある不利益をもたらす場合があることが経験的観察によりわかっている。
【0022】
一実施形態では、外因性IL−2は少量で、例えば、1ml当たり10ユニット以下で使用する。
【0023】
外因性の因子は、それを追加しない限りはPBMCの培養に存在しないものであるか、または細胞培養中に元々存在する量は、外因性の因子を追加することで増大されるものである。
【0024】
細胞増殖期間の短縮、および/または外因性IL−2の追加が必要ない細胞の増殖は、従来技術のプロセスでの人工的な条件(例えば長時間の増殖および/または高レベルの刺激)を回避し、これらに起因するアネルギー/消耗が最小限となり得ることを意味する。
【0025】
本プロセスでは、細胞の非標的集団を排除する必要はないが、しかしこれを最小限にしながら、十分な抗原特異的T細胞の集団を生成するようバランスを取る。
【0026】
通常、本プロセスから得られた増殖させた細胞集団は、標的抗原特異的T細胞集団の80%以上を含まず、これは当該分野で確立された見識から著しく逸脱している。
【0027】
いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、生成させた抗原特異的T細胞の集団は、インビボで十分増殖し続けることができると考えられる。これは産生した細胞がアネルギーでない/消耗されていないことが要因の一部である可能性がある。
【0028】
注入によって患者に投与された細胞は、インビボで増殖し続けるように意図されている。本明細書に記載されたプロセスによって生成された抗原特異的T細胞は意図した治療目的に適していると考えられる。
【0029】
本開示による増殖産物中の他の細胞集団は、少なくとも有害でなく、実際有益であり得る。なぜなら、例えば患者へ注入される全細胞集団がインビボでの天然環境を呈しており、結果この環境への適合性に優れることとなり得るからである。
【0030】
本明細書の文脈においてアネルギーは、抗原の存在下、1つまたは複数の方法でT細胞の機能的な非応答性を指すことを意図している。例えば、抗原特異的増殖を受けないおよび/またはTNF−αまたはインターフェロン−γのようなサイトカインを分泌しないなどである。本明細書で使用される集団は、数多くの別個の細胞を含む。集団の少なくとも80%は何らかの点においてアネルギーではなく、例えば、適切な細胞の85、90、95または100%はアネルギーではない場合、適切な集団はアネルギーであるとは見なさない。もちろん、アネルギーは有る無しではなく、1つ以上の機能的なアッセイにより測定できるT細胞応答の一連の特質において観察されるべきである。
【0031】
上述のように、本明細書の文脈においてアネルギーは、1つまたは複数の関連する点で低下した細胞の機能を指す総称であることを意図する。本用語は、細胞の消耗、例えば細胞が分裂できなくなることを含む。つまりこの細胞は老化現象を示している。染色体の端部にありDNAを防御する部分であるテロメアは複製に必要であるが、細胞分裂毎に短くなり、最後には、生物学的機構上これ以上の細胞分裂を制限するポイントまで短くなるため、細胞は分裂しなくなる。
【0032】
一実施形態では、アネルギーは低応答性である。
【0033】
一実施形態において、アネルギーはIL−2の追加により、インビトロで可逆的であり得る。この特徴はあるタイプのアネルギーの分析として使用され得る。
【0034】
アネルギー細胞が提示する細胞表面マーカーには、例えばPD−1(プログラム細胞死タンパク質1 Uniprot Q15116)またはPD−1リガンドがある。一実施形態において、増殖した抗原特異的T細胞集団の10%以下、例えば9、8、7、6、5、4、3、2または1%は表面にPD−1を発現する。Blimp−1はアネルギーの別の細胞表面マーカーであり得る。
【0035】
別の実施形態において、PD−1は、T細胞の上で恒久的に発現されず、発現は可逆的である。
【0036】
アポトーシス性の可能性がある細胞のマーカーには、CD4、CD8、HSA、CD45RBの1つもしくは複数、またはこれらの組み合わせのダウンレギュレーション、および/またはCD3/TCR、CD69およびCD25の1つまたは複数のアップレギュレーションを含み得る。
【0037】
「T細胞」は一般に当技術分野において使用される用語で、CD3+細胞をすべて含み、これは胸腺細胞、未熟Tリンパ球、成熟Tリンパ球、休止Tリンパ球または活性Tリンパ球を含む。T細胞は、Tヘルパー(Th)細胞、例えばTヘルパー1(Th1)、Tヘルパー2(Th2)細胞であり得るが、T細胞をグループ化する他の集団が綿密な研究に基づき発見されている。T細胞はCD4+T細胞、CD8+T細胞、CD4+CD8+T細胞、CD4−CD8−T細胞または他のT細胞の部分集合であり得る。
【0038】
本プロセスの産物であるT細胞の際立った特徴は、このT細胞が細胞の有効性および安全性の重要な側面である抗原特異性を提供する、CD3+関連のT細胞受容体(TCR)を有するということである。この抗原特異性は、患者において病原体特異的な方式で免疫を再構成するという意図した目的に必要なものである。細胞の標的集団はこのマーカーを使用して選択できる。
【0039】
一実施形態において、標的抗原特異的T細胞集団はCD4+を産生しやすい集団となる。それはつまり、抗原特異的応答がCD4+細胞に集中すると言うことである。一実施形態において、集団は、例えばCD8+細胞よりCD4+細胞を多く含む。
【0040】
本明細書で使用される抗原特異的T細胞集団は、標的となる抗原に特異的なT細胞を指す。特異的とは、適切なT細胞が、標的となる抗原と標的でない他の存在とを判別する能力を指す。
【0041】
ガス透過性の培養表面を含む容器は本プロセスの重要な部分となる。というのも、必要な全栄養素(T細胞増殖培地)があり、培地を交換、または因子を追加する必要がない状態で増殖を効率的に行えるからである。したがって、この容器には、必要とされる容積の培地を支持しつつ、周囲環境とのガス交換を行い、細胞増殖に十分な酸素レベルを確保できる。
【0042】
本開示のプロセスは、ガス透過性の培養表面を含む容器において適切に実行される。本明細書で使用される容器は、細胞、培地などを保持するのに適切な何らかのタイプのコンテナを指すことを意図し、例えば注入タイプのバッグ(ガス透過性部分を有する)等のバッグ、またはGRex(登録商標)システムのような硬質容器である。
図1を参照すること。ガス透過性培養表面は、細胞の急速な増殖を促進し、必要な培地交換の回数を最小限にする。これにより、いわゆるワンタッチプロセスでの増殖細胞の製造が可能となり、プロセスに必要な構成要素はすべて1回で挿入され、増殖が完了するまで、干渉することなく放置できる。残るステップは、増殖した細胞の回収だけである。
【0043】
参照により本明細書に組み込んだ国際公開第2005/035728は、ガス透過性容器(すなわちガス透過性の培養表面を含む容器)を準備する方法について記述している。一実施形態においてシリコンのガス透過性物質が使用される。
【0044】
一実施形態において、使用したシステムはWilson WolfのGRex(登録商標)システムである。システムでは、細胞は20日間以下、例えば14、13、12、11、10日間以下、例えば14日間または10日間で増殖できる。
【0045】
本明細書で使用される急速な増殖は約18日間以下、例えば17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、また例えば14、13、12、11、10、9、8または7日間の増殖である。ほとんどの場合には9日か10日が最適であると考えられる。
【0046】
この急速な増殖では、例えばプロセスの初めに培養に必要な全栄養物質および培地を加えることが可能であり、細胞は干渉を受けることなく増殖、分裂できる。これは、混入および誤操作の可能性を最小限にし、また細胞の増殖に必要な人的資源を最小限にするという利点を有する。
【0047】
産物が無菌的に製造できるよう、システムを閉鎖系にできる。これは例えば、米国仮出願番号第61/550,246号に記載されている。本文献を参照により本明細書に組み込む。一実施形態において、システムは、PCT/GB2012/052587に記載されているような改造されたシステムである。本文献を参照により本明細書に組み込む。
【0048】
したがって、一実施形態において、システムは治療的細胞を無菌培養するのに適切な閉鎖系であり本システムは、
(i)細胞増殖を支援するのに適切であり、培養中の細胞にガスを送出できるガス透過性部分、および
基部に接した少なくとも1つの壁を有する容器であって、
前記容器は内部の容積を画定し、前記容器は細胞培養を支援するために必要な容積の培地を含むよう適応される容器、
(ii)液体が通過する内部開口部とこれに対して遠位にある外部開口部を画定する導管を含む通気管であって、この導管はシステムの構造上の特徴として閉鎖系の外部から伸長し、容器の内部へ伸長し、容器内部の内部開口部で終結し、内部開口部は、液体培地の充填および排出の際、液体によって遮断されにくいよう配置され、
外部開口部は無菌フィルタに連結するよう適応され、これによって容器中へ、または容器外へフィルタを通して、液体および細胞を容器へ出し入れするために必要なガスの出入りを可能とする、通気管、
(iii)容器へ液体および細胞を無菌的に導入できるよう適合され、システムを外的環境に曝さずに、システムから液体を排出できるように適合され、出口ポートから流体の流れに細胞を載せるようシステムが傾き、出口ポートが開いた時に、容器内で培養した細胞が重力によってシステムから排出できるよう適応されたポート(複数可)、を含む。
【0049】
この装置のシステムの例を、
図3に示す。
【0050】
一実施形態において、全増殖プロセスは、閉鎖系で無菌的に実施した。
【0051】
一実施形態において、本システムに、表面積cm
2当たり約50万個〜200万個の細胞を播種した。10cm
2の表面積を有するGRex−10では、最小500万個から最大2000万個の細胞が播種される。
【0052】
一実施形態において、本システムには、約10cm
2の細胞と等しい約2000万個のエフェクター細胞を播種する。
【0053】
本発明は細胞のエクスビボ処理およびそこから得られたT細胞産物に関する。通常、本発明は、患者から試料を得るステップを含まない。
【0054】
ドナーから適切な試料を得るステップはルーチンの技術であり、血液試料の採取を含む。このプロセスは、ドナーを危険にさらすことはほとんど無く、また医者によって行なわれる必要はなく、適切に訓練された補助スタッフによって行なえる。一実施形態では、患者からの試料は血液約200mlであり、またはこれよりも少なく50〜100mlである。
【0055】
十分な数の抗原特異的T細胞がこの少量の血液を使用して生成できることは驚くに値する。
【0056】
驚いたことに、発明者らは動員した血液試料のPBMCが増殖プロセスで使用され得ることを発見した。動員した試料とは、骨髄を刺激して幹細胞を産生させ、幹細胞を血液中へ放出させるG−CSF(顆粒球コロニー刺激因子)および他の因子を投与されたドナーの試料である。それが適切でないと考えられたというだけの理由で、今回得られた血液試料は患者の免疫の再構成療法において使用されてこなかった。NawaらはBone Marrow Transplantation(2000)25,1035−1040で、例えば、G−CSFは、インターフェロンγ、IL−4の分泌能力を減少させ、さらに、増殖応答も低下させると示唆している。ShantaramらはBlood,15September2001,Vol98,number6においてさらに血液細胞の免疫機能がG−CSFでの動員後に減少することを示唆している。他の研究では、G−CSFによってT細胞集団が、細胞内でのウイルス感染の制御にあまり効果が見られないTh2群へ変化する可能性があることが示唆されている。
【0057】
しかしながら、造血幹細胞提供後に、生体試料をさらに得る目的で再びドナーに来院を求めるのは不都合である。対照的に、移植用幹細胞試料をドナーから採取する際に免疫再構成産物の生成を目的とした増殖に必要な血液試料を採取するのは非常に好都合である。
【0058】
したがって、動員された血液を増殖に使用することは、医療従事者とドナーに実用上利点がある。
【0059】
本明細書で使用される動員された血液は、G−CSF等の薬剤での処置によって動員されたドナーからの血液試料を指す。動員プロセスにより、末梢血の幹細胞の数が増加する。
【0060】
本明細書で使用される動員されたアフェレーシスは、G−CSF等の薬剤での処置によって動員されたドナーの試料を指す。動員プロセスにより、末梢血の幹細胞の数が増加する。
【0061】
T細胞増殖のためのPBMCは、一般に当業者に既知のフィコール密度勾配分離によって血液またはアフェレーシス産物から得られる。
【0062】
当業者には既知であるが、T細胞の増殖は一般に適切なT細胞増殖培地で実施される。T細胞増殖培地は、例えば、コンシストリクローズまたは特許請求の範囲において指定したような、通常増殖ステップで使用する血清、培地および何らかのサイトカインを含む。
【0063】
一実施形態において、培地は、Life Technologiesから入手可能なAdvanced RPMI培地またはRPMI培地1640である。Advance RPMI培地は動物由来産物を含み、約2%のヒト血清で通常使用される。対照的に、RPMI培地1640は動物由来産物を含まず、10%のヒト血清で通常使用される。RPMI培地1640は、一般的に本方法での使用に適している。
【0064】
また、リンパ球培養のための無血清培地はAQIXRS−Iから入手可能である。
【0065】
一実施形態において、培地は45%のadvanced RPMI、45%のEHAA、10%のFCsおよび200mMのL−グルタミンを含む。
【0066】
一実施形態では、細胞増殖培地は10%のヒトAB血清、L−グルタミン200mM、45%Earle’sHam’sアミノ酸(EHAAまたはClick’s培地)、および45%advanced RPMIまたは、RPMI−1640を含む。
【0067】
一実施形態では、使用するサイトカインは以下で議論される。
【0068】
一実施形態では、使用するT細胞増殖培地は、増殖プロセスの間に交換、補充されない。
【0069】
本明細書で使用される細胞増殖は細胞分裂の結果細胞の集団において標的細胞の数を増加させることを指す。
【0070】
T細胞増殖は、生存CD3+細胞(つまり、細胞の標的集団はCD3+である)を計数することにより評価され得る。
【0071】
生存細胞はトリパンブルーでの細胞染色(および光学顕微鏡検査)により、または生体染色色素、670nm放出の7−アミノ−アクチノマイシンD(またはViaProbe、7AADの即時使用可能な市販溶液)とフローサイトメトリーにより、当業者に既知の技術を使用することで試験することができる。染料が細胞に浸透した場合、細胞は生存していないと考えられる。染料を取り入れない細胞は、生存していると考えられる。典型的な方法では、細胞懸濁液約100μLにつき7AAD約5μL、およびAnnexin−V(アポトーシス中に表面に露出されるリン脂質であるホスファチジルセリンに結合するリン脂質結合タンパク質)約5μLを使用し得る。この混合物を約15分間、暗室、室温でインキュベートし得る。その後、そのフローサイトメトリーにより分析し得る。例えばMGWing,AMP Montgomery,S.Songsivilai and JVWatson.An Improved Method for the Detection of Cell Surface Antigensin Samples of Low Viability using Flow Cytometry.J Immunol Methods126:21−271990を参照のこと。
【0072】
別の染色は、TO−PRO−3である。これは、AlexaFluor647またはCy5色素に類似した近赤外蛍光のカルボシアニンモノマーの核酸染色法である。これは核対比染色および死細胞指標として有益であり、核酸検出において最も高感度のプローブの1つである。
【0073】
抗原特異的T細胞集団が増殖できるウイルスには、サイトメガロウイルス、アデノウイルス、帯状疱疹ウイルス、BKウイルス、ヒトパピローマウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、エプスタイン−バーウイルス、カポジ肉腫関連ヘルペスウィルス、およびサイトメガロウイルスまたはアデノウイルスのようなヒトTリンパ好性ウイルスがある。
【0074】
本プロセスで使用する抗原は完全長ポリペプチド、ポリペプチドまたはペプチドのフラグメントを含む。
【0075】
本明細書で使用されるペプチドは、ペプチド結合により結合した短いアミノ酸のポリマーを指すように意図され、ペプチドは、少なくとも2つの、通常は最高50のアミノ酸を含む。
【0076】
使用するペプチドは、1つまたは複数の線形のエピトープを提示するのに十分長く、平均7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または、20のアミノ酸長である。
【0077】
一実施形態において、ペプチドの混合物のいくつかはオーバーラップしており(単一抗原の配列に関して)、つまりそれらは単一抗原に基づき、フラグメントの一部分、および親配列からのアミノ酸のある配列が、混合物内の1つ以上のペプチドフラグメントに生じるよう配列されることを言う。
【0078】
一実施形態において、各ペプチドには1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15のアミノ酸のオーバーラップがある。
【0079】
一実施形態において、各タンパク質のペプチドライブラリは15アミノ酸長で11個のアミノ酸によるオーバーラップがあり、タンパク質が潜在的なエピトープをすべて表現できる。例えば、ペプチドを長くしてもよく、25個のアミノ酸には15個のオーバーラップが、または30個のアミノ酸により20個のオーバーラップがある。
【0080】
一実施形態において、標的ウイルスはCMVであり、例えば、標的ウイルスで使用される抗原はpp65である。ヒト−サイトメガロウイルス(AD169株)に対する配列はUniProtデータベースのNo.P06725下にある。組換え型タンパク質はMiltenyiBiotechから購入できる。後者の企業は、PepTivator(登録商標)CMVpp65を提供するが、これは11個のアミノ酸(aa)がオーバーラップした、主として15個のアミノ酸から成るペプチドのプールであり、ヒト−サイトメガロウイルスのpp65タンパク質の全配列をカバーしている。CMVの標的抗原はさらに、pp50およびIE−1(UL123として知られる)を含む。
【0081】
標的EBV抗原にはEBNA1、LMP1、LMP2およびBARF1がある。これらの抗原に適切なペプチド配列の例には、関連の配列リストで開示した配列IDNO:1〜335の配列を含む。340個の抗原の配列を含む配列リストが、本出願に含まれている。
【0082】
アデノウイルスに対しては、標的抗原はヘキソンとペントンを含む。
【0083】
BKウイルスについては、標的抗原には大型T抗原および小型t−抗原を含む。
【0084】
一実施形態において、ペプチドミックスは2〜1000のペプチドに含むか、これらから成り、より限定的には2〜500、例えば2〜400、2〜300、2〜200、または2〜100、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199または200のペプチドを含むか、これらから成る。
【0085】
一実施形態において、5〜500ngのペプチド、または各ペプチドライブラリが培養1ml当たりに使用され、例えば5、50、100、150、200、250、300、350、400または450nm/ml、特に5ng/mlが使用される。あるいは1、2、3または4ng/mlのペプチドが使用され得る。
【0086】
約5ng/ml(4、5、6、7、8、9または10ng/ml等)の濃度で使用したペプチドにより増殖した抗原特異的T細胞集団は、より高濃度のペプチドを使用して増殖した細胞と同等の、またはより高いインターフェロンγを9日目または10日目に分泌する結果となる可能性があり有利である。
【0087】
一実施形態において、使用したペプチドはGMPグレードである。つまり、ペプチドは製造管理および品質管理に関する基準を使用して製造されており、治療産物の調製に使用されるのに適切であることを意味する。
【0088】
本開示のプロセスで使用し得るサイトカインはIL−1、IL−2、IL−4、IL−6IL−7、IL−12およびIL−15を含む。
【0089】
まだ決定的ではないが、IL−2、IL−7およびIL−15が、記憶細胞の表現を形成する際に必須の役割をどのように果たすかを記載した大量の文献がある。IL−2はT細胞クローン性増殖および収縮を制御し、リンパ球分化を促進する。IL−2とIL−15はさらに記憶細胞の分裂を支持でき、抗原誘発刺激と共にCTLの増殖に使用できる。
【0090】
IL−7は末梢T細胞のホメオスタシスを調節し、インビボでのCD4およびCD8記憶Tリンパ球の両方の生成および長期生存に寄与する。
【0091】
一実施形態において、本開示によるプロセスで使用したサイトカインは、IL−4、IL−7およびIL15、特にIL−4およびIL−7から独立して選ばれる。
【0092】
一実施形態において、使用するサイトカインはIL−4および/またはIL−7である。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、発明者らはこれらのサイトカインが、ウイルス抗原特異的T細胞の頻度、レパートリーおよび増殖を形成する際にある役割を有していると考えている。
【0093】
T細胞のレパートリーはプールに分注したペプチドライブラリでの刺激の後にELISPOT分析により決定され得る。(Kern,F.,N.Faulhaber,C.Frommel,E.Khatamzas,S.Prosch,C.Schonemann,I.Kretzschmar,R.Volkmer−Engert,H.D.Volk,およびP.Reinke.2000.Analysis of CD8 Tcell reactivity to cytomegalovirus using protein−spanning pools of overlapping pentadecapeptides.EurJImmunol.30:1676−1682およびStraathof,K.C.,A.M.Leen,E.L.Buza,G.Taylor,M.H.Huls,H.E.Heslop,C.M.Rooney,およびC.M.Bollard.2005.Characterization of latent membrane protein 2 specificity in CTL lines from patients with EBV−positive nasopharyngeal carcinoma and lymphoma.J.Immunol.175:4137−4147)。
【0094】
IL−4は一般に、250ng/培養ml以下の最終濃度、例えば200ng/ml以下の最終濃度で使用される。
【0095】
IL−7は一般に、50ng/培養ml以下の最終濃度、例えば20ng/ml以下、特に10ng/mlの最終濃度で使用される。
【0096】
もしIL−15が使用される場合、適切な最終濃度は50ng/培養ml以下、例えば20ng/ml以下、特に10ng/mlである。
【0097】
一実施形態において、GRex−10当たり約20mls(例えば20×10
6PBMC)では、IL−4(1mL当たり1666ユニット)およびIL−7(1ml当たり10ng)を含む10mls培地が追加される。
【0098】
IL−12は、Th1の集中に関与しており、Th1/Th2が均衡することが望まれる場合、外因性IL−12は省略され得る。一実施形態において、本開示のプロセスは外因性IL−12を使用しない。しかしながら、本T細胞産物の文脈において、CD4+集団のTh1応答が望ましいと考えられる。
【0099】
一実施形態において、本開示の増殖プロセスで10日目または11日目にIL−4を使用する場合、増殖細胞の数は、IL−4をIL−2に替えて類似のプロトコルを使用して増殖させた細胞より10、20、30、4050、60、70、80、90、100または200%上昇する可能性がある。
【0100】
しかしながら、約9、10または11日後に、IL−2およびIL−4/7のプロトコルから提供される抗原特異的T細胞の数が、特定のγ分泌細胞の数の点から同じである場合でも、IL−2生存細胞はかなり少ない。細胞の生存率は本明細書に記載したように試験できる。
【0101】
外因性IL−2を急速な増殖システムで使用する場合、T細胞の過剰増殖が起こる。この過剰な急速増殖が生じると、増殖が速すぎ、残存細胞の多くが死滅せず、全細胞集団の中に存在し続け、所望のT細胞と残存細胞とのバランスが最適とならない。したがって本発明者らは急速な増殖で本質的に不適合な因子とある期間の細胞培養における選択性とを調整し、IL−2を省略すると、所望の細胞対残存細胞の比率が改善することを発見した。その上、7〜14日間、例えば10日間で、所望の細胞対残存細胞の比が、培養産物が治療での使用に適切となるポイントと交差する。この交差ポイントは治療用T細胞が十分有効性を発揮できる最小量が、患者体重1kg当たり最大5×105CD3+T細胞の安全閾値以内となる用量処方内で達成される時点であると定義される。
【0102】
本発明者らはこの安全性閾値は、骨髄移植後の免疫再構成の実現を目的とする抗原特異的T細胞産物の投薬を最適化する文脈においてゴールドスタンダードとなるであろうことを期待している。
【0103】
最終的な増殖T細胞産物はそれぞれ、最初のドナー試料の本質的な違いにより厳密な組成は一様ではない可能性がある。しかし本産物の安全性プロフィールは、抗原特異的T細胞と残存細胞との比率を監視することにより制御できる。臨床上の文脈で本発明のプロセスから得られた産物の安全性を保証するよう制御できることは有利な点である。
【0104】
一実施形態において、増殖させた抗原特異的T細胞集団はCD4+細胞集団を産生する傾向がある。
【0105】
一実施形態において、本開示のプロセスはCD4+T細胞集団、例えばTh1集団を含む細胞集団を提供するために使用される。本明細書で使用されるTh1集団は、CD4+集団を指すことを意図し、細胞の5%以上、10、20、30、40、50、60、70、80、90%以上がTh1として分類される。
【0106】
記憶T細胞はTh1細胞の構成要素である。
【0107】
一実施形態では、本プロセスから得られた細胞の集団は、記憶T細胞の下位集団を含み、例えば、記憶T細胞は、増殖細胞の10、20、30、40、50または60%に相当し、CD27,CD28,CD62LおよびCD45ROを含むエフェクター記憶細胞のマーカーを一般に発現するであろう。これは増殖前の記憶細胞の集団より著しく高い数値となるであろう。
【0108】
本明細書で使用される標的抗原は、特定のウイルス(例えばCMV、アデノウイルス、EBV、またはBKウイルス)等の治療標的に対して、T細胞の特異性を発生させるために使用する抗原を指すことを意図する。したがって、標的ウイルス感染した細胞または癌細胞は通常標的抗原を発現し、従ってそれら自身が免疫系によるクリアランスの標的となる。免疫系は、身体から感染細胞を除去する(殺傷する)特別な能力を有しているが、問題となる細胞に感染する病原体に最低限の逃避機会を与えている。
【0109】
最終的な細胞集団の残りのCD3、CD56+およびNK細胞は有益となる可能性があるため、許容できる。
【0110】
本開示のプロセスを使用して増殖させた細胞集団は、所望のT細胞集団を含むが、一般的に所望の集団からのみ構成されることはないであろう。患者に投与される最終産物は、本プロセスにより増殖させる意図がなかった他の多くの細胞を含んでいるだろう。一実施形態では、CD4+およびCD8+細胞の所望の集団は全細胞集団の約60%以下、70%以下または80%以下を構成する。細胞集団の頻度は、当業者に既知のγ−IFNElispot分析を使用して測定され得る。
【0111】
一実施形態において、スペクトラタイピングで分析すると、本プロセスから得られたT細胞集団は多様であり、優性クローンの発現が無い。つまり開始試料でのT細胞の多様性は、増殖T細胞においてはっきり表れ、つまり、増殖は通常単一のクローンの増殖とはならない。
【0112】
一実施形態では、調製されたT細胞の適切な集団は表面にT細胞受容体を有する。1つまたは複数の実施形態において、本開示による細胞集団は、先行技術の方法で調製された細胞と比較すると、1つまたは複数の有利な特性を有する。
【0113】
一実施形態において、本開示の抗原特異的T細胞は、最大細胞径の95%以下、90%以下、例えば85%以下、より明確には80%以下の平均細胞径を有する。
【0114】
一実施形態では、適切なT細胞集団の細胞の平均細胞径は、10〜14ミクロンの範囲にあり、平均細胞径は、約10、11、12、13または14ミクロンである。
【0115】
我々は、本開示の方法を使用して、最高用量に対してでも十分な細胞を調製できると考える。
【0116】
産物のリリース基準には以下のものがある。
同一性:CD45+細胞中でCD3+が50%を超える
生存度:CD45+細胞の70%以上
安全性:CD3+用量が指定したT細胞の数を超過しない。
ウイルス特異性:特定のIFNg産生により定義されるkg当たり最低100個のウイルス特異的細胞
【0117】
本発明の細胞培養は一般的に毒性が低く、例えば、炎症反応、細胞傷害、インフルエンザ様症状、悪心、脱毛等わずかの毒性不耐性応答を伴うだけであり、有利である。
【0118】
いくつかの実施形態では、本開示による細胞集団はさらに、以下の1つまたは複数の有利な特性を供給し得る。例えば、インターフェロンガンマ分泌のレベル、インビボでの増殖、T細胞活性化マーカー(例えばT細胞受容体)のアップレギュレーションが、集団内の抗原特異的T細胞の総数と比して高くなる可能性がある。
【0119】
一実施形態では、γキャプチャーを標的細胞集団の選択に使用してもよい。
【0120】
本明細書で使用されるような高レベルのインターフェロンガンマの分泌は、平均(average)して(例えば、平均(mean)とも表現される)、本方法により調製された集団内の細胞が先行技術の方法によって調製した細胞よりインターフェロンγを高いレベルで分泌する可能性があるという事実を指すことを意図している。この特性を分析するには、インターフェロンガンマ分泌のレベルを測定する前に、増殖後のある期間、細胞を休止させる必要がある場合があるこれは集団レベルで測定できるが、単一細胞レベルで測定する場合、従来技術を使用して作られた細胞と比較して、抗原特異的、つまり、インターフェロンγを産生する細胞の割合が高いことが明らかになるであろう。
【0121】
一実施形態において、本開示の細胞は、従来技術の方法により調製した細胞と比較して抗原特異性が増強されていることを、例えば本明細書で開示したアッセイにおいて示し得る。
【0122】
一実施形態において、本開示の細胞集団は従来技術の方法により調製された細胞集団に比較可能な(大きくは異ならない)親和性を示す。
【0123】
提供される治療用抗原特異的T細胞集団は、本発明の組成物においては技術的に治療用量以下で含まれ得る。しかしながら、患者への注入後、細胞はさらに増殖して、患者の免疫レパートリーの再構成を支援し得る。したがって、注入された細胞が消耗されていたりアネルギー性であったりする場合、インビボでの細胞の有効性は、1つまたは複数の点において損なわれ、または低下する可能性がある。
【0124】
したがって、細胞の「潜在能力」または「生物学的効果」は、標的治療用T細胞の再構成能力においては大変重要な問題である。
【0125】
本発明者らはこの洞察が当分野でのT細胞療法に対する現行の思考とアプローチにパラダイムシフトをもたらすと考える。
【0126】
一実施形態では、本開示によって提供されるT細胞集団はインビボでの増殖に効果を発揮し、標的ウイルスに感染した細胞および/または標的ウイルスに関連した癌細胞に対して適切な免疫応答をもたらす。
【0127】
本発明はさらに、本発明による同種抗原特異的T細胞集団を含む組成物にまで及ぶ。これらの組成物は、プロセス主要な手順の後に細胞集団に添加される希釈剤、担体、安定剤、界面活性剤、pH調整剤または他の薬剤的に許容できる添加剤を含み得る。添加剤は調合物を安定させる、半減期を延ばす、組成物を患者等のインビボシステムにより適合させる機能を一般に有する。
【0128】
一実施形態において、タンパク質安定化剤は、例えばアルブミン、特にヒト血清アルブミンの製造後、細胞培養に追加され、安定化剤として作用し得る。製剤に使用されるアルブミンの量は、1〜50%w/w、例えば10〜50%w/w、例えば2.25、4.5または12.5%w/w等である。
【0129】
一実施形態において、製剤はさらに、凍結保存剤、例えばグリセロール、DMSOを含む。
DMSOの量は、一般に12%以下であり、例えば約10%w/wである。
【0130】
一実施形態において、本発明のプロセスは、薬剤的に許容できる添加剤、特に希釈剤、安定剤および/または保存剤等の本明細書に記載したような添加剤の追加により医薬製剤を調製するさらなるステップを含む。
【0131】
本明細書で使用される添加剤は、T細胞集団に添加される成分をすべて包含する総称であり、生物学的または生理学的機能を有しない。
【0132】
一態様では、患者に増殖した同種抗原特異的T細胞集団の医薬組成物が提供されるが、本組成物は、
CD3+T細胞集団を含み、全集団においてCD3+は、患者1kg当たり5×105細胞を超えず、前記CD3+T細胞集団は、Th1集団としての特性を有するCD4+細胞の治療的T細胞集団を、例えばCD8+CTLと一緒に含み;
任意で、非CD3+細胞の集団を組成物の全細胞集団の20パーセント以下であり、
適切な増殖させた抗原特異的T細胞集団はインビボで増殖可能であるという特徴を有する。
【0133】
一実施形態において、患者に増殖させた抗原特異的T細胞集団の医薬組成物を供給するが、本組成物は、
少なくとも70%のCD3+T細胞集団および30パーセント未満の非CD3+細胞を含み、CD3+細胞の全集団は、患者1kg当たり5×10
4細胞(または5×105)を超えず、前記CD3+T細胞集団は、主にTh1として特性を有するCD4+細胞の治療的T細胞集団を含み、
適切な増殖させた抗原特異的T細胞集団はインビボで増殖可能であるという特徴を有する。
【0134】
抗原特異的T細胞がインビボでの増殖に適切かどうかの分析は、細胞増殖分析、例えば本明細書に記述したCFSE分析を例えば使用して、インビロトのシステムを利用して実施し得る。
【0135】
一実施形態において、増殖させた抗原特異的T細胞は、インビロトおよびインビボでさらなる増殖が可能であり、例えば2、3、4、5倍、またはそれ以上の高水準での増殖が可能である。
【0136】
一実施形態において、色素排除試験またはフローサイトメトリーによって測定可能であるが、適切な細胞の少なくとも70%は生存可能であり、例えば、細胞の75%、80%または85%以上が生存可能である。
【0137】
一実施形態において、増殖させた抗原特異的T細胞集団は、Th1サイトカインを、例えば生物学上適切なレベルで産生できる。
【0138】
細胞増殖は、所与の刺激に対する分裂を監視する蛍光性化合物CFSEで細胞を標識することで分析され得る。手短に言えば、細胞をCFSEで標識し、細胞分裂を刺激する抗原を添加する。これらの細胞を監視して、染料が各娘細胞に分割される際に、細胞の明るさが半分になるのをフローサイトメトリーによって検出する。そのため細胞集団の分裂回数を測定できる。
【0139】
最終製剤を調製したら、これを適切なコンテナ、例えば注入バッグまたはcryovialに充填するであろう。
【0140】
一実施形態において、本開示によるプロセスは、T細胞集団またはその医薬製剤を注入バッグのような適切なコンテナに充填し、それを密閉するさらなるステップを含む。
【0141】
一実施形態において、本開示のT細胞集団、またはこれを含む医薬組成物を充填したコンテナは、保管と輸送のため凍結され、例えば約−135℃で保管される。
【0142】
一実施形態において、本開示のプロセスは、本開示のT細胞集団またはこれを含む医薬組成物を凍結させるさらなるステップを含む。一実施形態において、「産物」は毎分1℃ずつ温度を低下させることにより凍結させ、形成された結晶が細胞組織を破壊しないようにする。試料が約−100℃に達するまで、このプロセスを継続し得る。
【0143】
本開示による産物は、本開示の培養細胞集団またはこれを含む医薬組成物を指すことを意図する。
【0144】
一実施形態において、本産物は患者のいる場所へ凍結した状態で移動、出荷、輸送される。
【0145】
一実施形態において、本開示による産物は、非経口投与、例えば注射、遅延注射、大量注射に適切な形態で提供される。一実施形態において、製剤は静脈注射に適切な形態で提供される。
【0146】
一態様では、本開示は本開示よる産物を、製造場所、または都合のよい集荷場所から目的の患者の近辺まで輸送する方法を提供し、本方法では、T細胞産物は輸送中に0℃以下、例えば−100℃未満で保管される。
【0147】
一実施形態において、T細胞産物の温度変動を保管および/または輸送中に監視する。
【0148】
ある一実施形態において、治療、例えばウイルス病原体の治療に使用するための本開示の産物が提供され、ウイルスはアデノウイルス、CMV、EBV、ヒトポリオーマウイルス、単純性疱疹ウイルス、帯状疱疹ウイルス、肝炎、ロタウイルス、または類似したウイルスである。
【0149】
一実施形態において、本治療は免疫不全患者の治療である。
【0150】
一実施形態において、本開示による産物で患者を治療する方法が提供されるが、この方法は本明細書で定義した産物の治療上有効な量を投与するステップを含む。
【0151】
治療上有効な用量は、直ちに治療上の効果をもたらす量を必ずしも意味せず、インビボで増殖(投与後)して治療効果を提供するのに適切な用量を含む。
【0152】
技術的に適切な場合、本明細書に記載された実施形態が1つ以上組み合わせ得ることが想定される。
【0153】
本明細書の文脈では、「含む(comprising)」は「含む(including)」と解釈されることとなる。
【0154】
ある要素を含む本開示の態様は、適切な要素から「成る」または「本質的に成る」他の実施形態まで拡大されることを意図する。
【0155】
本明細書で引用された参考文献はすべて、参照により明確に組み込まれる。
Sili UらLarge−scale expansion of dendritic cell−primed polycolonal human cytotoxic T−lymphocyte lines using lymphoblastoid cells for adoptive immunotherapy. J.Immuother.2003 May−Jun:26(3):241−56
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【0156】
実施例
抗原特異的T細胞産成物の増殖
試薬
本手順では、Wilson Wolfe GRexシステムを使用して産生された養子細胞免疫療法の産生および凍結保存を記載する。
【0157】
【表1】
CMVpp65またはPepTivator(商標)等の標的ウイルスからのペプチドまたはペプチドミックス
【0159】
受入血液産物の受取:
全ドナーは、血液を採取して30日以内に感染症(B型肝炎表面抗原、C型肝炎、梅毒、HTLVIおよびIIおよびHIVのマーカー)マーカーの検査を受けなくてはならない。万一ドナーに何らかの感染症に陽性の結果が出た場合、産物の採取は行われず、プロセスはキャンセルされる。
【0160】
IL−4
IL−4の50μgバイアルを注射用水250μlで希釈して保存溶液200μg/ml産生した。必要に応じて、希釈試料20μLを培養毎に添加する。残った試料を1.8mlのNuncCryovialsに50μLで小分けする。凍結バッチのIL−4を使用する場合、物質が使用前に完全に溶解されていることを確認する。
【0161】
IL−7
IL−7の50μgバイアルを注射用水(WFI)200μlで希釈した。溶液を、WFI240μlを加えてさらに1:25に希釈し、10μg/mlの作業溶液を産生する。その後、この20μlを培養毎に使用する。残った試料を1.8mlのNuncCryovialsに50μLで小分けする。凍結バッチのIL−7を使用する場合、物質が使用前に完全に溶解されていることを確認する。
【0162】
ペプチド
ペプチドを、100μg/ペプチドバイアルにWFIを2ml加えて再構成する。再構成したペプチド100μlを取り出して、WFI900μlでさらに希釈する。その後、希釈したペプチド20μLを各培養に添加する。再構成したペプチドの50μlアリコートをNunccryovialsに分注する。濃縮したペプチドの残りの1500μl(50μg/ml)は、QC分析で使用するためにリリースする。
【0163】
洗浄用RPMI
RPMIの5Lバッグを600mlの輸送パックの連結器に取り付ける。風袋はかりの上に輸送パックを置き、RPMI約500ml(500g)を移した。一旦、バッファーをすべて移したら、線状に3回熱圧してヒートシールする。「患者識別子、洗浄用500ml、使用まで2〜8℃で保存」と記載したラベルを貼る。
【0164】
注入用RPMI
RPMIの5Lバッグに結合されているチューブに新規の600mlの輸送パックを接続する。風袋はかりを使用して100mlのRPMIをバッグへ移した。
【0165】
Lymphoprep
1000mlバッグの連結器にLymphoprepのボトルを取り付ける。2つの給気口をLymphoprepに取り付け、100mlをバッグへ入れる。「患者識別子、Lymphoprep100ml」と記載したラベルを貼る。
【0166】
単核細胞の調整−0日目
PBMCをsepaxの装置で密度勾配遠心法により調製する。プロトコルは当業者に既知である。
【0167】
実施例1 226CMV用のプロセス
−0日目
緩衝液調製
IL−4
IL−4(USPグレード、CellGenixcat1003−050)の50μgバイアルをWFI(USPグレードInvitrogenCatA12873)250μlで希釈して保存溶液200μg/mlを産生した。保存溶液はポット接種に使用するため保存されているアリコートと一緒に−80℃で保管した。
【0168】
IL−7
IL−4(GMP、Cellgenix cat 1010−050)の50μgバイアルを、WFI(USPグレード Invitrogen Cat A12873)200μLで希釈し、保存溶液を生成した。溶液を、WFIで1:25に希釈し、作業溶液を産生し、その後、ポット接種に使用するため保存されているアリコートと一緒に−80℃で保管した。
【0169】
CMV PepTivatorのペプチド
60nmol/ペプチドのペプチド(GMP PepTivator pp65)を2mlのWFI(USPグレード Invitrogen Cat A12873)で再構成した。再構成したペプチド100μlを採取し、WFI900μlでさらに希釈した。希釈ペプチドの20μLを小分けした残りの容積と一緒にポット接種のために保持し、−80℃で保存した。
【0170】
RPMI
RPMI+Glutamaxの5Lバッグ(Invitrogen Cat 61870)を600mlの輸送パックに接続し、RPMI500ml(産物洗浄)を移した。RPMIを2番目の600ml輸送パックに接続して、さらに100ml移した(ポット接種)。
【0171】
Lymphoprep
Lymphoprep(Axis Shield Cat 1114740)100mlを1000ml輸送パックへ移し、DGBS(密度勾配に基づく分離)サイクルで使用するため保管した。
【0172】
細胞の操作
非動員アフェレーシス100mlは、一致したドナーから2〜8℃の温度監視の下出荷された後、サイトに到着した。細胞生成物から3ml試料(STA)を取り、1mlは1セットのBactecsへ接種した。以下のQCおよび工程内試験を残りの出発物質で実施した。下記のテーブルに結果を示す。
細胞計数、自動細胞カウンタで実施
TrucountによるT細胞の絶対的計数(CD3−FITC、CD8−PE、CD45−PerCP)
生存度染色(CD3−FITC、CD45−PE、CD8−PerCP)
【0174】
RPMIの500mlバッグおよびLymphoprep100mlを、受入全血物質の残り(97ml)と一緒にCS900.02に接続した。V128DGBSサイクルをSepaxで選択し、キットをインストールした。サイクルの完了時に、42mlのPBMCを溶出し、以下の試験を行なった。
【0175】
1mlの試料を溶出液バッグから取り出し、以下のテストを実施した。
細胞計数、自動細胞カウンタで実施
TrucountによるT細胞の絶対的計数(CD3−FITC、CD8−PE、CD45−PerCP)
生存度染色(CD3−FITC、Cd45−PE、CD8−PerCP)
【0177】
20×10
6WBC(細胞懸濁液410μl)を、2mlのヒトAB血清(GMP German Blood Service)、20μlのIL−4/IL−7およびペプチドと一緒にWilson Wolfe Biopot(GP−40 Bioreactor)に接種した。全容積をRPMI(19.6ml)を使用して、20mlまで増加させた。
【0178】
その後、ポットを、37±2℃、5±1%CO2、95%の湿度インキュベータで10日間インキュベートした。
【0179】
−10日目
細胞洗浄
10日目に、ポットをインキュベータから出し、静かに揺動してWilson Wolfe biopotの基部の細胞を再懸濁する。2mlの試料を採取し、2×250μLはマイコプラズマ試験に使用する。残りの試料は以下の工程内試験において使用する。
トリパンブルーでのマニュアルの細胞計数
T細胞同定 CD3−FITC、CD56−PE、CD45−PerCP
【表5】
【0180】
4.5%のHAS(BPL)の230mlバッグを調製し、残りの細胞懸濁液を希釈し、300x「g」で10分間遠心分離した。遠心分離が終わったら、細胞は固まり、上澄みはPlasmaPressを使用して除去し、細胞を再懸濁し4.5%HSA230mlでさらに希釈した。細胞を300x「g」で10分間遠心分離する。これが最後の遠心分離である。その後上澄みを再び除去する。ペレットは新規の4.5%HSAで再懸濁する。
【0181】
試料1mlを取り、以下のQCおよび工程内試験を実施する。
細胞内γ染色
【0183】
凍結と出荷
4.5%HSA(BPL)中20%のDMSO(Cryosure−DMSO,Wak−Chemie)溶液100mlを、氷嚢上で調製し冷却した。
必要な細胞用量=3×10
4T細胞/kg
患者の体重=16kg
したがって必要とされる細胞=480,000T細胞
以下の容積をCryocytemanifoldセットにより適切な大きさのCryocyteバッグへ移した。
【0185】
3mlの試料をCryocyteバッグから取り出し、2mlを各々1セットのBactecsに入れる。残りの1mlの試料は−80℃で保存し、内毒素試験に回す。
【0186】
細胞産物を含むCryocyteバッグは、冷凍速度を制御できる冷凍装置内に置き、細胞を−1℃/分の割合で−30℃まで凍結させ、次に、−2℃/分で−100℃まで凍結させた。凍結サイクルの完了時に、温度監視されたLN2デュワーの気相に細胞を置いた。
【0187】
以下の安全性試験の結果は産物をリリースする前に得られた。
【0189】
一旦、患者の医師により要求があれば、産物はQPによりリリースし、温度監視された認証済断熱容器内に入れ、適切な幹細胞実験室に輸送する。到着後、細胞を注入するまで幹細胞実験室のデュワー瓶の気相内で保管した。
【0190】
実施例2 226ADVのプロセス
−0日目
緩衝液調製
IL−4
IL−4(USPグレード、CellGenix cat 1003−050)の50μgバイアルを、WFI(USPグレード Invitrogen Cat A12873)250μLで希釈し、保存溶液200μg/mlを生成した。保存溶液を、ポット接種で使用するために残したアリコートと一緒に−80℃で保管した。
【0191】
IL−7
IL−4(GMP、Cellgenix cat 1010−050)の50μgバイアルを、WFI(USPグレード Invitrogen Cat A12873)200μLで希釈し、保存溶液を生成した。溶液を、WFIで1:25に希釈し、作業溶液を産生し、その後、ポット接種に使用するため保存されているアリコートと一緒に−80℃で保管した。
【0192】
ADV PepTivatorペプチド
60nmol/ペプチドのペプチド(GMP PepTivator hexon V)を2mlのWFI(USPグレード Invitrogen Cat A12873)で再構成した。再構成したペプチド100μlを採取し、WFI900μlでさらに希釈した。希釈ペプチドの20μLを小分けした残りの容積と一緒にポット接種のために保持し、−80℃で保存した。
【0193】
RPMI
RPMI+Glutamaxの5Lバッグ(Invitrogen Cat 61870)を600mlの輸送パックに接続し、RPMI500ml(産物洗浄)を移した。RPMIを2番目の600ml輸送パックに接続して、さらに100ml移した(ポット接種)。
【0194】
Lymphoprep
Lymphoprep(Axis Shield Cat 1114740)100mlを1000ml輸送パックへ移し、DGBS(密度勾配に基づく分離)サイクルで使用するため保管した。
【0195】
細胞の操作
非動員アフェレーシス100mlは、一致したドナーから2〜8℃の温度監視の下出荷された後、サイトに到着した。細胞生成物から3ml試料(STA)を取り、1mlは1セットのBactecsへ入れた。以下のQCおよび工程内試験を残りの出発物質で実施した。下記のテーブルに結果を示す。
細胞計数、自動細胞カウンタで実施
TrucountによるT細胞の絶対的計数(CD3−FITC、CD8−PE、CD45−PerCP)
生存度染色(CD3−FITC、CD45−PE、CD8−PerCP)
【0197】
RPMIの500mlバッグおよびLymphoprep100mlを、受入全血物質の残り(97ml)と一緒にCS900.02に接続した。V128DGBSサイクルをSepaxで選択し、キットをインストールした。サイクルの完了時に、42mlのPBMCを溶出し、以下の試験を行なった。
【0198】
1mlの試料を溶出液バッグから取り出し、以下のテストを実施した。
細胞計数、自動細胞カウンタで実施
TrucountによるT細胞の絶対的計数(CD3−FITC、CD8−PE、CD45−PerCP)
生存度染色(CD3−FITC、CD45−PE、CD8−PerCP)
【0200】
20×10
6WBC(細胞懸濁液410μl)を、2mlのヒトAB血清(GMP German Blood Service)、20μlのIL−4/IL−7およびペプチドと一緒にWilson Wolfe Biopot(GP−40 Bioreactor)に接種した。全容積をRPMI(19.6ml)を使用して、20mlまで増加させた。
【0201】
その後、ポットを、37±2℃、CO25±1%、湿度95%のインキュベータで10日間インキュベートした。
【0202】
10日目
細胞洗浄
10日目に、ポットをインキュベータから出し、静かに揺動してWilson Wolfe biopotの基部の細胞を再懸濁する。2mlの試料を採取し、2×250μLはマイコプラズマ試験に使用する。残りの試料は以下の工程内試験において使用される。
トリパンブルーでのマニュアルの細胞計数
T細胞同定CD3−FITC、CD56−PE、CD45−PerCP
【0204】
4.5%HAS(BPL)の230mlバッグを調製し、残りの細胞懸濁液を希釈し、10分間300x「g」で遠心分離した。遠心分離が終わったら、細胞は固まり、上澄みはPlasma Pressを使用して除去し、細胞を再懸濁し4.5%HSA230mlでさらに希釈した。細胞を10分間300x「g」で最後に遠心分離し、上澄みを再び除去した。ペレットは新規の4.5%HSAで再懸濁させた。
【0205】
試料1mlを取り、以下のQCおよび工程内試験を実施した。
細胞内γ染色
【0207】
凍結および出荷
4.5%HSA(BPL)中20%DMSO(Cryosure−DMSO、Wak−Chemie)溶液の100mlを調製し氷嚢上で冷却した。
必要な細胞用量は=3×10
4T細胞/kg
患者の体重=16kg
したがって必要とされる細胞=480,000T細胞
【0208】
以下の容積はCryocytemanifoldセットにより適切に分類されたCryocyteバッグへ移した。
【0210】
3mlの試料をCryocyteバッグから取り出し、2mlを1セットのBactecsの各々の1つに入れた。残りの1mlの試料は−80℃で保存し、内毒素試験に回す。
【0211】
細胞産物を含むCryocyteバッグは、冷凍速度が制御された冷凍装置内に置き、細胞を−1℃/分の割合で−30℃まで凍結させ、次に、−2℃/分で−100℃まで凍結させた。凍結サイクルの完了時に、温度監視されたLN2デュワーの気相に細胞を置いた。
【0212】
以下の安全性試験結果は産物のリリース前に得られた。
【0214】
一旦、患者の医師により要求があれば、産物はQPによりリリースし、温度監視された認証済断熱容器内に入れ、適切な幹細胞実験室に輸送する。到着後、細胞を注入するまで幹細胞実験室のデュワー瓶の気相内で保管した。
【0215】
実施例3
細胞の開始集団は、図で示したような適合させたG−Rexシステムで培養した。培養には、10%ヒト血清、IL4、IL7および所望の抗原に特異的なオーバーラップペプチドプールの存在下、RPMI1640培地を使用した。その後のCMV特異的増殖に使用したペプチドはpp65だった。アデノウイルス(ADV)に対してはad5ヘキソンのオーバーラップペプチドを使用した。0.5,1または2×10
6/cmの播種密度を使用した。2×10
6/cm
2で最大の細胞増殖が得られた。
【0217】
混合物を揺動、攪拌せず、37℃で12約12日間培養した。
【0218】
試料を毎日採取し、必要に応じて分析した。
【0219】
増殖した集団の全細胞数を測定した。2ドナーの結果は
図4Aおよび4Bに示す。
【0220】
サイトカインを分泌するCMV特異的細胞の量を試験した。2ドナーの結果を
図5Aおよび5Bに示す。
【0221】
細胞増殖速度を測定しCMV特異的増殖の結果を
図6Aに、アデノウイルス特異的増殖については
図6Bに示す。
【0222】
アデノウイルスとCMV特異的サイトカインの産生はelispotを使用して測定した。結果を
図7に示す。
【0223】
図8は、2つの増殖プロトコルの比較を示す。使用したサイトカインはIL2またはIL4のみである。
【0224】
図9は、ペプチドの種々の濃度を使用した実施例7の増殖プロトコルを示す。9日目または10日目頃に、5ng/ml(CMV)を使用するシステムが、細胞増殖の点で改善されたように見える。
【0225】
図10は、ペプチドの種々の濃度で培養した細胞のIFNγ生産を示す。9日目または10日目頃に、5ng/ml(CMV)を使用するシステムが、最良であるように思われる。