(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
患者からの前立腺細胞のサンプルをハイブリダイゼーション条件下でMYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ホスファターゼ・テンシンホモログ(PTEN)に対する遺伝子座特異的プローブ、8番染色体に対するセントロメアプローブ及び7番染色体に対するセントロメアプローブからなる検出可能に標識されたプローブのセットと接触させ、染色体異常の存在を調べることを含む患者の前立腺癌の検出方法であって、
患者の前立腺の腫瘍関心領域(ROI)または良性ROIからの前立腺細胞のサンプル中の、(2〜50の範囲で)35を超えるMYCの増加%(増加%はMYC >2シグナルの細胞の%である)、(29〜33の範囲で)33を超えるPTENの損失%(損失%は<2シグナルの細胞の%である)、(32〜34の範囲で)34を超える8番染色体の増加%(増加%は>2シグナルの細胞の%である)、及び(24〜29の範囲で)28を超える7番染色体の異常%(異常%は>2または<2シグナルの細胞の%である)は、該患者が前立腺癌を有していることを示し、それにより該患者の前立腺癌が検出される、前記方法。
染色体異常の存在を調べる前に、方法は前記切片を形態学的に評価し、少なくとも1つの腫瘍ROI、少なくとも1つの良性ROI、または少なくとも1つの腫瘍ROIと少なくとも1つの良性ROIを同定することを更に含む、請求項3に記載の方法。
前記切片の免疫蛍光法による評価は該切片を検出可能に標識された抗−α−メチルアシル−CoAラセマーゼ(AMACR)抗体と接触させ、AMACRの過剰発現を検出することを含み、該切片の領域中のAMACRの過剰発現は腫瘍ROIの存在を示す、請求項5に記載の方法。
MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ホスファターゼ・テンシンホモログ(PTEN)に対する遺伝子座特異的プローブ、8番染色体に対するセントロメアプローブ及び7番染色体に対するセントロメアプローブからなる、前立腺癌診断用プローブセット。
(a)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ホスファターゼ・テンシンホモログ(PTEN)に対する遺伝子座特異的プローブ、8番染色体に対するセントロメアプローブ及び7番染色体に対するセントロメアプローブからなる、患者の前立腺癌を診断できるプローブのセット、並びに
(b)患者から得た前立腺細胞のサンプル中の染色体異常の存在を調べることを含む患者の前立腺癌を診断するための説明書
を含む前立腺癌診断用キットであって、
患者の前立腺の腫瘍関心領域(ROI)または良性ROIからの前立腺細胞のサンプル中の、(2〜50の範囲で)35を超えるMYCの増加%(増加%はMYC >2シグナルの細胞の%である)、(29〜33の範囲で)33を超えるPTENの損失%(損失%は<2シグナルの細胞の%である)、(32〜34の範囲で)34を超える8番染色体の増加%(増加%は>2シグナルの細胞の%である)、及び(24〜29の範囲で)28を超える7番染色体の異常%(異常%は>2または<2シグナルの細胞の%である)は該患者が前立腺癌を有していることを示す、前記キット。
染色体異常の存在を調べる前に、患者からの前立腺の切片を形態学的に評価し、少なくとも1つの腫瘍ROI、少なくとも1つの良性ROI、または少なくとも1つの腫瘍ROIと少なくとも1つの良性ROIを同定するための説明書を更に含む、請求項11に記載のキット。
検出可能に標識された抗−α−メチルアシル−CoAラセマーゼ(AMACR)抗体を更に含み、前記の患者からの前立腺の切片を免疫蛍光法により評価するための説明書は、該切片を検出可能に標識された抗−AMACR抗体と接触させ、AMACRの過剰発現を検出することを更に含み、該切片の領域中のAMACRの過剰発現は腫瘍ROIの存在を示す、請求項13に記載のキット。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、癌、特に前立腺癌の治療または予防処置を診断、予測及び評価するためのマーカーのセット、並びに前記マーカーのセットの使用方法及び前記マーカーのセットを含むキットを提供する。以下の用語は本発明に関連している。
【0016】
「約」は表示されている値からおおよそ±10%の変動を指す。前記変動は、特に言及がなされていてもいなくても常に本明細書中に記載されている所与の値中に含まれていると理解すべきである。
【0017】
国立衛生研究所が定義している「バイオマーカー」は、「治療介入に対する正常な生物学的プロセス、発病プロセスまたは薬理応答の指標として客観的に測定され、評価される特性」である。
【0018】
「染色体エニュメレーションプローブ(CEP)」または「セントロメアプローブ」は、細胞中の特定染色体の数を計数できるプローブである。染色体エニュメレーションプローブは、典型的には特定の染色体のセントロメアまたはその近く(「セントロメア周囲」と称する)の領域、典型的には反復DNA配列(例えば、α−サテライトDNA)を認識し、結合する。細胞分裂中の正確な隔離のためにセントロメアが必要であるので、染色体のセントロメアは典型的にはその染色体を表すと見なされる。特定の染色体領域の欠失または増幅は、特定遺伝子座に対応するシグナルの数(コピー数)をセントロメアに対応するシグナルの数と比較することによりその中に通常存在している全染色体(異数染色体)の損失または増加と区別され得る。この比較を行うための1つの方法は遺伝子座に相当するシグナルの数をセントロメアに相当するシグナルの数で割ることである。1未満の比は遺伝子座の相対的損失または欠失を示し、1を超える比は遺伝子座の相対的増加または増幅を示す。同様に、染色体内のアンバランスな増加または損失を示すべく同一染色体、例えば染色体の2つの異なる腕上の2つの異なる染色体間で比較を行い得る。染色体に対するセントロメアプローブの代わりに、染色体腕プローブを交互に使用して全染色体損失または増加を概算することができることを当業者は認識している。しかしながら、前記プローブに対するシグナルの損失は必ずしも全染色体の損失を示さないことがあるので、そのプローブは染色体を計数するほど正確でない。染色体エニュメレーションプローブの例には、Abbott Molecular,Inc.,イリノイ州デスプレーンズ(旧Vysis,Inc.,イリノイ州ダウナーズ・グローブ)から市販されているCEP(登録商標)プローブが含まれる。
【0019】
「コピー数」は、単一遺伝子座、1つ以上の遺伝子座、または全ゲノムにせよそのDNAの測定値である。2の「コピー数」は(6つの染色体を除いて二倍性であるので)ヒトにおいて「野生型」である。(性染色体を除いて)ヒトにおける2以外の「コピー数」は野生型から逸脱している。この逸脱には、増幅、すなわちコピー数の増加、及び欠失、すなわちコピー数の減少及び0というコピー数も含まれる。
【0020】
「標識されている」、「検出可能な標識で標識されている」及び「検出可能に標識されている」は、実在物(例えば、プローブ)が検出され得ることを指すべく本明細書中で互換可能に使用されている。「標識」及び「検出可能な標識」は、実在物が検出され得るように該実在物に結合している部分、例えば標的配列に結合するとプローブが検出され得るように該プローブに結合している部分を意味する。その部分そのものは検出可能でなくてもよいが、更に別の部分と反応すると検出可能になり得る。用語「検出可能に標識されている」の使用は標識することを包含すると意図される。検出可能な標識は、標識が測定され得、その強度が結合している実在物の量に比例しているシグナルを発生するように選択され得る。分子、例えばプローブのような核酸を標識する及び/または検出するための広範囲のシステムが公知である。標識されている核酸は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的、化学的または他の手段により直接または間接的に検出され得る標識を取り込むかまたはコンジュゲートすることにより作成され得る。適当な検出可能な標識には、放射性同位元素、蛍光体、発色団、化学発光剤、ミクロ粒子、酵素、高磁気粒子、電子密度粒子、質量標識、スピン標識、ハプテン等が含まれる。蛍光体及び化学発光剤が本発明において好ましい。
【0021】
「遺伝子座特異的プローブ」及び「遺伝子座特異的同定子(LSI)」は、染色体上の領域中の特定遺伝子座、例えば転移において増加/損失を受けたことが分かっている遺伝子座に選択的に結合するプローブを指すべく互換可能に使用され得る。プローブは標的コーディングまたは非コーディング領域またはその両方、例えばエクソン、イントロン、及び/またはプロモーター配列等のような調節配列であり得る。
【0022】
「核酸サンプル」は、プローブとのハイブリダイゼーションのために適した形態の核酸を含むサンプル、例えば核、または前記核から単離または精製された核酸を含むサンプルを指す。核酸サンプルは全部または部分的(例えば、特定の染色体)ゲノムDNA、全部または部分的mRNA(例えば、特定の染色体または遺伝子)、または選択した配列を含み得る。(間期または中期中に存在するような)凝縮した染色体がin situハイブリダイゼーション(例えば、FISH)において標的として使用するために適している。
【0023】
「所定カットオフ」及び「所定レベル」は、通常アッセイ結果を所定のカットオフ/レベルと比較することにより診断/予測/治療有効性結果を評価するために使用されるカットオフ値を指し、前記した所定のカットオフ/レベルはすでに各種臨床パラメーター(例えば、疾患の重症度、進行/非進行/改善等)にリンクまたは関連している。
【0024】
本発明との関係で、「プローブ」は、選択的ハイブリダイゼーションを可能にするかまたは促進させる条件下で標的配列の少なくとも一部に対して選択的にハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドである。通常、プローブはDNAのコーディング、すなわちセンス(+)鎖に対して相補的であり、またはDNAの非コーディング、すなわちアンチセンス(−)鎖に対して相補的(時に、「逆相補的」と称す)であり得る。プローブの長さは大きく変わり得る。幾つかの用途では、約10〜約100ヌクレオチド、例えば約15〜約75ヌクレオチド(例:約15〜約50ヌクレオチド)の長さが好ましいが、染色体プローブのためには約50〜1×10
5ヌクレオチドの長さが好ましく、遺伝子座特異的プローブのためには約25,000〜約800,000ヌクレオチドの長さが好ましい。
【0025】
「前立腺癌」には、すべてのタイプの前立腺癌、例えば腺癌、小細胞癌、扁平上皮細胞癌、肉腫及び移行上皮細胞癌が含まれる。前立腺癌の大部分(約95%)が腺癌である。前立腺癌は前立腺癌の前駆体である前立腺上皮内腫瘍(PIN,更に低悪性度または高悪性度として区別される)と区別される。小細胞癌及び扁平上皮細胞癌は非常に攻撃性である傾向にあるが、前立腺特異抗原(PSA)の増加をもたらさない。移行上皮細胞癌は稀に前立腺に進行するが、膀胱及び/または尿道中の原発性腫瘍に由来しない。
【0026】
本発明との関係で、「選択的にハイブリダイズする」(及び「選択的ハイブリダイゼーション」、「特異的にハイブリダイズする」及び「特異的ハイブリダイゼーション」)は、核酸分子をストリンジェントな条件下で特定のヌクレオチド配列に対して優先的に結合する、二重鎖を形成するまたはハイブリダイズすることを指す。用語「ストリンジェントな条件」は、プローブがその標的配列に対して優先的にハイブリダイズし、他の非標的配列に対して殆どまたは全くハイブリダイズしない条件を指す。核酸ハイブリダイゼーション(例えば、アレー、サザンハイブリダイゼーション、ノーザンハイブリダイゼーションまたはFISH)との関係で、「ストリンジェントなハイブリダイゼーション」及び「ストリンジェントなハイブリダイゼーション洗浄条件」は配列依存性であり、各種条件下で異なる。核酸のハイブリダイゼーションに対する詳細な手引きは、例えばTijssen,Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic Acid Probes,Part I,Ch.2,“Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays”,Elsevier,NY(1993)(“Tijssen”)中に記載されている。一般的に、高ストリンジェントなハイブリダイゼーション及び洗浄条件は、規定のイオン強度及びpHで特定配列についての融点(T
m)よりも約5℃低いように選択される。T
mは(規定のイオン強度及びpHで)標的配列の50%が完全にマッチしたプローブにハイブリダイズする温度である。非常にストリンジェントな条件は特定のプローブのT
mに等しいように選択される。アレー上、またはサザンまたはノーザンブロットではフィルター上に100以上の相補的残基を有している相補的核酸のハイブリダイゼーションのためのストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例は標準のハイブリダイゼーション溶液を用いて42℃である(例えば、Sambrook and Russell,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd ed.,Vol.1−3,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Press,NY(2001)を参照されたい)。
【0027】
「標的配列」、「標的領域」及び「核酸標的」は、例えばその損失及び/または増加を調べる特定の染色体位置にあるヌクレオチド配列を指す。
【0028】
本明細書中で使用されている専門用語は特定の実施形態を説明する目的のみであり、そうでないにせよ限定的であると意図されない。
【0029】
前立腺癌の治療/予防処置の有効性を検出、診断、予測及びモニターする方法
患者の前立腺癌の検出方法を提供する。1つの実施形態では、方法は、患者からの前立腺細胞のサンプルをハイブリダイゼーション条件下でMYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ホスファターゼ・テンシンホモログ(PTEN)に対する遺伝子座特異的プローブ、8番染色体に対するセントロメアプローブ及び7番染色体に対するセントロメアプローブを含む検出可能に標識されているプローブのセットと接触させ、染色体異常の存在を調べることを含み、前記患者の前立腺の腫瘍関心領域(ROI)または良性ROIからの前立腺細胞のサンプル中の(2〜50の範囲で)35を超えるMYCの増加%(増加%はMYC >2シグナルの細胞の%である)、(29〜33の範囲で)33を超えるPTENの損失%(損失%は<2シグナルの細胞の%である)、(32〜34の範囲で)34を超える8番染色体の増加%(増加%は>2シグナルの細胞の%である)、及び(24〜29の範囲で)28を超える7番染色体の異常%(異常%は>2または<2シグナルの細胞の%である)は該患者が前立腺癌を有していることを示す。別の実施形態では、方法は、患者からの前立腺細胞のサンプル(例えば、患者から得た組織切片または細胞)をハイブリダイゼーション条件下でMYCに対する遺伝子座特異的プローブ、リポタンパク質リパーゼ(LPL)に対する遺伝子座特異的プローブ、PTENに対する遺伝子座特異的プローブ及び8番染色体に対するセントロメアプローブを含む検出可能に標識されているプローブのセットと接触させ、染色体異常の存在を調べることを含む。患者の前立腺の腫瘍ROIからの前立腺細胞のサンプル中の(12〜22の範囲で)14を超えるMYC/LPLの増加%(増加%はMYC/LPL >1の細胞の%である)、(26〜40の範囲で)34を超える8番染色体の異常%(異常%は>2または<2シグナルの細胞の%である)、(22〜54の範囲で)44を超えるPTENの損失%(損失%は<2シグナルの細胞の%である)、または(10〜18の範囲で)16を超えるMYC/8番染色体の増加%(増加%は>1のMYC/8番染色体細胞の%である)は該患者が前立腺癌を有していることを示す。患者の前立腺の良性ROIからの前立腺細胞のサンプル中の(12〜19の範囲で)18を超えるMYC/LPLの増加%、(25〜34の範囲で)32を超える8番染色体の異常%、(22〜28の範囲で)26を超えるPTENの損失%、または(9〜18の範囲で)16を超えるMYC/8番染色体の増加%は該患者が前立腺癌を有していることを示す。腫瘍ROI FISHパラメーターについての組み合わせた「MYC/LPLの増加%、CEP8の異常%、PTENの損失%、またはMYC/CEP8の増加%」のカットオフを標的パフォーマンスの領域:97.1%の感受性と96.2%の特異性の間の四分円において選択した。良性ROI FISHパラメーターについての組み合わせた「MYC/LPLの増加%、CEP8の異常%、PTENの損失%、またはMYC/CEP8の増加%」のカットオフを標的パフォーマンスの領域:80.8%の感受性と82.4%の特異性の間の四分円において選択した。
【0030】
プローブのセットは更に、p16(9p21)に対する遺伝子座特異的プローブ、TMPRSS2−ERGまたはETV1融合(21q22;7p21遺伝子座)、3番染色体に対するセントロメアプローブ、7番染色体に対するセントロメアプローブ、10番染色体に対するセントロメアプローブ及び17番染色体に対するセントロメアプローブの1つ以上を含み得る。検出可能に標識されているプローブのセットは更に、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤p27Kip1(4q43)に対する遺伝子座特異的プローブ、サイクリン依存性キナーゼ2(CDK2;12q13)に対する遺伝子座特異的プローブ、サイクリンE(CCNE1;19q12及びCCNE2;8q22)に対する遺伝子座特異的プローブ、網膜芽細胞腫1(Rb1;13q14)に対する遺伝子座特異的プローブ、NK3ホメオボックス1(NKX3.1;8p21.2)に対する遺伝子座特異的プローブ、上皮成長因子受容体(EGFR;7p11)に対する遺伝子座特異的プローブ、ホスホイノシチド−3−キナーゼ(PI3K;3q26)に対する遺伝子座特異的プローブ、AKT1キナーゼ(Akt1;14q32)に対する遺伝子座特異的プローブ、FKHR(FOXO1;13q14.11)に対する遺伝子座特異的プローブ、p53結合タンパク質ホモログ(MDM2;12q14.3−12q15)に対する遺伝子座特異的プローブ、p53(17p13.1)に対する遺伝子座特異的プローブ、v−Ki−ras2カーステンラット肉腫ウイルス癌ホモログ(KRAS;12p12.1)に対する遺伝子座特異的プローブ、v−rafマウス肉腫ウイルス癌ホモログB1(BRAF;7q34)に対する遺伝子座特異的プローブ、サイクリンD1(CCND1;11q13)に対する遺伝子座特異的プローブ、B細胞CLL/リンパ腫2(BCL2;18q21.3/18q21.33)に対する遺伝子座特異的プローブ及びアンドロゲン受容体(AR;Xq12)に対する遺伝子座特異的プローブの1つ以上を含み得る。
【0031】
前立腺癌に対する組織学的サンプル前処理及びハイブリダイゼーション方法を提供する。FFPE(ホルマリン固定・パラフィン包埋)組織学的標本スライド(切片)を56℃で2〜24時間焼いた後、Hemo−De(Scientific Safety Solvents)またはXylineを用いて室温で5〜10分間ずつ2〜3回前処理した後、100% エタノールを用いて室温で1分間濯ぎを2回実施し、45% ギ酸/0.3% 過酸化水素中、室温で15分間インキュベートし、次いで脱イオン水を用いて3〜10分間濯いだ。次いで、スライドを前処理溶液(1×SSC,pH6.3)中、80±5℃で35〜50分間インキュベートし、脱イオン水を用いて3分間濯ぎ、0.1N HCl溶液中0.15% ペプシン中、37℃で22±5分間インキュベートし、再び脱イオン水を用いて3分間濯いだ。スライドを70%、85%及び100% エタノールを用いて1分間ずつ脱水した後、風乾させた。標本に10μLのそれぞれのプローブハイブリダイゼーションミックス(LSI(登録商標)緩衝液,ブロッキングDNA,標識したプローブ)を添加し、カバーガラスを被せ、ラバーセメントでシールした。スライドを73±2℃で5分間共変性し、ThermoBrite(Vysis/Abbott Molecular,Inc.)を用いて37℃で10〜24時間ハイブリダイズした。ハイブリダイゼーション後、カバーガラスを外した。サンプルを0.3×〜2×SSC及び0.3%〜0.5% NP−40から構成されている洗浄溶液中に入れ、サンプルの温度を約73℃に約2〜5分間上昇させ得る。次いで、サンプルを有している支持体を溶解状態の核DNA結合ステイン(例えば、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI))を用いて対比染色し得、またはサンプルを得る。後者の場合、サンプルを約10μLのDAPIで対比染色し、新しいカバーガラスをサンプル上に載せる。その後、サンプルを調査し、または例えば約−20℃で保存し得る。
【0032】
前立腺FFPEスライドIF−FISH手順の方法を提供する。同一FFPE前立腺固形腫瘍組織スライドに対する同時FISH及び免疫蛍光法(IF)のアッセイのために、標本前処理/抗原賦活化プロトコルを開発し、IF−FISH用のFFPE組織に対する最良結果のために最適化した。
【0033】
この手順の第1ステップは抗原賦活化である。前立腺癌FFPEスライドを56℃で2時間〜一晩焼く。Hemo−De中に10分間ずつ2回浸漬することにより脱パラフィン化する。100% エタノール中で2分間ずつ2回インキュートする。85%、70%、50%及び30% エタノール中に2分間ずつ置くことにより水和する。分子グレードのミリQ水中に5分間浸す。温度が96±4℃に達するまでクエン酸ナトリウム緩衝液(クエン酸ナトリウム緩衝液:10mM クエン酸ナトリウム,0.05% トゥイーン20,pH6.0)を収容しているコプリンジャーを用いて水浴を予加熱する。20〜60分間インキュベートする。ベンチを用いて室温で20〜40分間冷却する。スライドをミリQ水で5分間洗浄する。リン酸緩衝食塩液(PBS)を用いて5分間1回濯ぐ。
【0034】
第2ステップはAMACR抗体及びチラミドシグナル増幅アッセイ(34)を用いる免疫蛍光法(IF)である。チラミド溶液アッセイ(TSA)キット、次いでAlexa Fluor 488 TSA(チラミドシグナル増幅)キット番号2(Invitrogen,Molecular Probes)を製造業者の指示に従って使用する。3% H
2O
2中、室温で30分間インキュベートすることにより内因性ペルオキシダーゼ活性をブロックする。ブロッキング試薬(100μL/スライド)を添加し、加湿ボックスにおいて室温で30分間インキュベートする。100μLの希AMACR家兔抗体(1% ブロッキング試薬を用いて1:100希釈)を添加し、室温で1時間インキュベートする。スライドをPBS/0.1% トゥイーン20を用いて5分間ずつ3回洗浄する。ストックHRPコンジュゲート溶液を1% ブロッキング溶液を用いて1:100希釈する。100μL容量のこの作業溶液が標準22×22mmカバーガラスを覆うのに十分である。室温で30分間インキュベートする。PBS/0.1% トゥイーン20を用いて5分間ずつ3回洗浄する。PBSを用いて1回洗浄する。100μL/スライドのチラミド溶液を添加した後、暗所において室温で10分間インキュベートする。スライドをPBSを用いて5分間洗浄する。スライドをミリQ水を用いて5分間洗浄する。FISHまで進める。
【0035】
第3ステップはFISHアッセイである。スライドをアルコール(70%、85%及び100%,1分間ずつ)を用いて脱水し、完全に風乾させる。各スライドに10μLのプローブ溶液を添加し、スライド上のカバーガラスをラバーセメントでシールする。プローブ及び標的DNAを73℃で5分間共変性した後、37℃で一晩ハイブリダイする。サンプルを0.3×〜2×SSC及び0.3%〜0.5% NP−40から構成されている洗浄溶液中に入れ得、サンプルの温度を約73℃に約2〜5分間上昇させ得る。次いで、サンプルを有している支持体を溶解状態の核DNA結合ステイン(例えば、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI))を用いて対比染色し得、またはサンプルを暗所で乾燥し得る。後者の場合、サンプルを約10μLのDAPIで対比染色し、新しいカバーガラスをサンプル上に載せる。その後、サンプルを調査し、または例えば約−20℃で保存し得る。
【0036】
上記した方法のすべてに関して、プローブの種類/サイズは少なくとも部分的に特定パラメーター、例えばコピー数、コピー数比、または関心遺伝子の増加%を測定するために使用される方法に依存する。上記診断/予測方法をsituハイブリダイゼーション、例えばFISHにより実施する場合、プローブは比較的大きくてもよい。上記診断/予測方法を別の方法により実施する場合、プローブはin situハイブリダイゼーション(例えば、FISH)のために使用されるプローブより小さくても、実質的に小さくてもよく、この場合プローブを関心の遺伝子内の配列に対してハイブリダイズすることが好ましい。
【0037】
上にてらして、MYCを含むパラメーター、例えばMYCのコピー数、MYCを含むコピー数比またはMYCの増加%をin situハイブリダイゼーション(例えば、FISH)により検出するためのプローブをMYC遺伝子を含む8番染色体の8q24領域に対してハイブリダイズさせることが好ましい。プローブは8q24のセントロメア側に位置する隣接領域、8q24のテロメア側に位置する隣接領域、または両方に対してもハイブリダイズし得る。好ましいプローブは8q24のおおよそ820kb、例えば821kbをカバーし、MYC遺伝子の中心にある。MYCを含むパラメーターを別の方法により検出するためのプローブは、in situハイブリダイゼーション(例えば、FISH)のために使用されるプローブよりも小さくても、実質的に小さくてもよく、この場合プローブがMYC遺伝子内の配列(配列情報はソース、例えばGenBank(www.ncbi.nlm.nih,gov/genbank)及びGeneCards(登録商標)(www.genecards.org))からオンラインで入手可能である)に対してハイブリダイズすることが好ましい。「MYC」は、パラメーターを測定するために使用する具体的方法に関係なくコピー数、コピー数比、増加%等のいずれにせよMYCを含むパラメーターを測定するために使用され得る任意及びすべてのプローブを指すべく本明細書中で使用されている。
【0038】
「MYC」のように、「LPL」は、パラメーターを測定するために使用する具体的方法に関係なくコピー数、コピー数比、増加%等のいずれにせよLPLを含むパラメーターを測定するために使用され得る任意及びすべてのプローブを指すべく本明細書中で使用されている。「LPL」には、LPL遺伝子を含む8番染色体のp22領域に対してハイブリダイズするプローブが含まれる。LPLプローブは8p22のセントロメア側に位置する隣接領域、8p22のテロメア側に位置する隣接領域、または両方に対してもハイブリダイズし得る。好ましいLPLプローブは8p22のおおよそ170kbをカバーし、LPL遺伝子の中心にある。「PTEN」は、パラメーターを測定するために使用する具体的方法に関係なくコピー数、コピー数比、増加%等のいずれにせよPTENを含むパラメーターを測定するために使用され得る任意及びすべてのプローブを指すべく本明細書中で使用されている。「PTEN」には、好ましくはPTEN遺伝子を含む10番染色体のq23領域に対してハイブリダイズするプローブが含まれる。PTENプローブは10q23のセントロメア側に位置する隣接領域、10q23テロメア側に位置する隣接領域、または両方に対してもハイブリダイズし得る。好ましいPTENプローブは10q23のおおよそ365〜370kb、例えば368kbをカバーし、PTEN遺伝子の中心にある。PTENE遺伝子の隣接領域はセントロメア側上のSTSマーカーD10S215及びテロメア側上のRH93626を含む。上で説明したプローブ呼称の使用法が本明細書で検討されている方法、プローブ及びキットに当てはまる。同じ使用法が本明細書中に記載されている他のプローブの呼称にも当てはまる。MYC遺伝子について上で示したように、本明細書中で列挙されている遺伝子についての配列情報はソース、例えばGenBank(www.ncbi.lm.nih.gob/genbank)及びGeneCards(登録商標)(www.genecards.org)からオンラインで入手可能である。
【0039】
前立腺細胞のサンプルは患者の前立腺の切片である。組織切片のようなサンプルは、外科的切除、針生検、経尿道的前立腺摘除術(TURP)または類似のテクニックにより得られ得る。切片をホルマリン固定・パラフィン包埋し、顕微鏡スライド上に載せる。或いは、凍結のような他の手段により保存した切片を使用してもよい。
【0040】
染色体異常の存在を調べる前に、方法は更に切片を形態学的に評価し、少なくとも1つの腫瘍ROI、少なくとも1つの良性ROI、または少なくとも1つの腫瘍ROIと少なくとも1つの良性ROIを同定することを含み得る。或いは、染色体異常の存在を調べる前に、方法は更に切片を免疫蛍光法により評価し、少なくとも1つの腫瘍ROIを同定することを含み得る。切片の免疫蛍光法による評価は、該切片を検出可能に標識されている抗−α−メチルアシル−CoAラセマーゼ(AMACR)抗体と接触させ、AMACRの過剰発現を検出することを含み得、切片の領域中でのAMACRの過剰発現は腫瘍ROIが存在していることを示す。切片を免疫蛍光法により評価する前に、方法は更に該切片を熱誘導エピトープ賦活化で処理することを含み得る。
【0041】
上記方法は当業界で公知の方法の適当な検出方法を用いて実施され得る。好ましくは、上記方法はin situハイブリダイゼーション、例えば蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)を用いて実施される。好ましくは、各プローブを別個の標識、例えば別個の蛍光体で検出可能に標識する。或いは、本明細書中に記載されている放射標識したヌクレオチド検出(in situハイブリダイゼーション(ISH))、染色小粒ハイブリダイゼーション検出等を使用してもよい。
【0042】
上記方法を各プローブが別個の標識で検出可能に標識されているin situハイブリダイゼーション、例えば各プローブが別個の蛍光体で標識されているFISHにより実施する場合、方法は前立腺の生検により得た新鮮細胞(新鮮細胞は1〜3日間培養し、染色体が高度に凝縮される中期中に細胞をブロックするように培養物にコルセミドのようなブロッカーを添加し得、可視化し得る)のような新鮮な、凍結されている、または固定されている(例えば、ホルマリン固定・パラフィン包埋されてる)、標的核酸(例えば、DNA)の接近可能性を高め、非特異的結合を減らすように(例えば、RNアーゼ及びペプシン)で処理されている前立腺細胞のサンプルに対して実施した後、1つ以上のプローブとハイブリダイズし、非結合プローブを除去するために洗浄し、ハイブリダイズしたプローブを検出し得る。例えば、細胞懸濁液をスライド上に単層として適用し得、細胞密度は光学または位相差顕微鏡により測定され得る。細胞は他のソース、例えば尿や精液のような体液から入手し、固定液、例えばメタノール−酢酸(カルノア試薬)中に保存し、微鏡検査及び分析のためにスライドまたは類似の支持体に適用してもよい。
【0043】
或いは、組織の切片(おおよそ厚さ4〜6μm)、例えば前立腺組織のホルマリン固定・パラフィン包埋(FFPE)サンプルの切片をスライド、例えばSuperFrost Plus正電荷を持っているスライド(ThermoShandon,ペンシルベニア州ピッツバーグから入手可能)上に載せ、56℃で2〜24時間(一晩)焼き得る。FISHアッセイのために、その後Hemo−De(Scientific Safety Solvents,テキサス州ケラー)またはXylineを用いて室温で5〜10分間ずつ2〜3回前処理することにより切片を脱パラフィン化し、次いで100% エタノールを用いて室温で1分間の濯ぎを2回実施し、45% ギ酸/0.3% 過酸化水素中、室温で15分間インキュベートし、脱イオン水を用いて3〜10分間濯ぐ。次いで、スライドを前処理溶液(1×SSC,pH6.3)中、80±5℃で35〜50分間インキュベートし、脱イオン水を用いて3分間濯ぎ、0.1N HCl溶液中0.15% ペプシン中、37℃で22±5分間インキュベートし、再び脱イオン水を用いて3分間濯ぐ。スライドを70%、85%及び100% エタノールを用いて1分間ずつ脱水した後、風乾させる。
【0044】
標本に10μLのそれぞれのプローブハイブリダイゼーションミックス(LSI(登録商標)緩衝液,ブロッキングDNA,標識したプローブ)を添加し、カバーガラスを被せ、ラバーセメントでシールする。スライドを73±2℃で5分間共変性し、ThermoBrite(Vysis/Abbott Molecular,Inc.)を用いて37℃で10〜24時間ハイブリダイズする。ハイブリダイゼーション後、カバーガラスを外す。サンプルを0.3×〜2×SSC及び0.3%〜0.5% NP−40から構成されている洗浄溶液中に入れ、サンプルの温度を約73℃に約2〜5分間上昇させる。次いで、サンプルを有している支持体を溶解状態のDNA結合ステイン(例えば、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI))を用いて対比染色し得、またはサンプルを暗所で乾燥し得る。後者の場合、サンプルを約10μLのDAPIで対比染色し、新しいカバーガラスをサンプル上に載せる。その後、サンプルを調査し、または例えば約−20℃で保存し得る。
【0045】
この点で、熱誘導エピトープ賦活化(HIER)を実施して、免疫蛍光法及びFISHを同時に実施し得る。同一FFPE前立腺固形腫瘍組織スライドに対する同時FISH及び免疫蛍光法(IF)のアッセイのために、標本前処理/抗原賦活化プロトコルを開発し、IF−FISH用のFFPE組織に対する最良結果のために最適化した。
【0046】
この手順の第1ステップは抗原賦活化である。前立腺癌FFPEスライドを56℃で2時間〜一晩焼く。次いで、スライドをHemo−De中に10分間ずつ2回浸漬することにより脱パラフィン化する。次いで、スライドを100% エタノール中で2分間ずつ2回インキュベートする。スライドを85%、70%、50%及び30% エタノール中に2分間ずつ置くことにより水和し、最後に分子グレードのミリQ水中に5分間浸す。温度が96±4℃に達するまでクエン酸ナトリウム緩衝液(クエン酸ナトリウム緩衝液:10mM クエン酸ナトリウム,0.05% トゥイーン20,pH6.0)を収容しているコプリンジャーを用いて水浴を前加熱する。スライドを20〜60分間インキュベートし、ベンチを用いて室温で20〜40分間冷却する。次いで、スライドをミリQ水で5分間洗浄し、PBSを用いて5分間1回濯ぐ。
【0047】
第2ステップはAMACR抗体及びチラミドシグナル増幅アッセイを用いる免疫蛍光抗体法(IF)である。チラミド溶液アッセイ(TSA)キット及びAlexa Fluor 488 TSA(チラミドシグナル増幅)キット番号2(Invitrogen,Molecular Probes)を製造業者の指示に従って使用する。3% H
2O
2中、室温で30分間インキュベートすることにより内因性ペルオキシダーゼ活性をブロックする。ブロッキング試薬(100μL/スライド)を添加し、スライドを加湿ボックスにおいて室温で30分間インキュベートする。100μLの希AMACR家兔抗体(1% ブロッキング試薬を用いて1:100希釈)を添加し、スライドを室温で1時間インキュベートする。スライドをPBS/0.1% トゥイーン20を用いて5分間ずつ3回洗浄する。ストックHRPコンジュゲート溶液を1% ブロッキング溶液を用いて1:100希釈する。100μL容量のこの作業溶液が標準22×22mmカバーガラスを覆うのに十分である。スライドを室温で30分間インキュベートし、次いでPBS/0.1% トゥイーン20を用いて5分間ずつ3回洗浄した後、PBSを用いて1回洗浄する。各スライドにチラミド溶液(100μL)を添加し、スライドを暗所において室温で10分間インキュベートする。スライドをPBSを用いて5分間洗浄した後、スライドをミリQ水を用いて5分間洗浄する。
【0048】
第3ステップはFISHアッセイである。スライドをアルコール(70%、85%及び100%,1分間ずつ)を用いて脱水し、完全に風乾させる。各スライドにプローブ溶液(10μL)を添加し、カバーガラスをスライド上にラバーセメントでシールする。プローブ及び標的DNAを73℃で5分間共変性した後、37℃で一晩ハイブリダイズする。サンプルを0.3×〜2×SSC及び0.3%〜0.5% NP−40から構成されている洗浄溶液中に入れ得、サンプルの温度を約73℃に約2〜5分間上昇させ得る。次いで、サンプルを有している支持体を溶解状態の核DNA結合ステイン(例えば、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI))を用いて対比染色し得、またはサンプルを暗所で乾燥し得る。後者の場合、サンプルを約10μLのDAPIで対比染色し、新しいカバーガラスをサンプル上に載せる。その後、サンプルを調査し、または例えば約−20℃で保存し得る。
【0049】
検出前に、細胞サンプルを場合により見かけ上の細胞学的異常に基づいて前選択してもよい。前選択は疑わしい細胞を同定し、これによりスクリーニングをこれらの細胞に集中させることができる。前選択により、より早いスクリーニングが可能となり、陽性結果が見落とされない可能性が高まる。好ましくは、前立腺標本スライド上の関心領域をα−メチルアシル−CoAラセマーゼ(AMACR)の過剰発現をIF及び抗−AMACR抗体を用いて検出することにより同定する。或いは、生物学的サンプルからの細胞を顕微鏡スライド上に載せ、通常異形成及び新生細胞に関係する細胞学的異常を視覚的にスキャンすることができる。前記異常には、通常プローブをその標的DNAにハイブリダイゼーションした後、核を核酸ステインまたは染料(例えば、ヨウ化プロピジウムまたは4,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール二塩酸塩(DAPI))で対比染色することにより評価される核サイズ、核の形及び核染色の異常が含まれる。典型的には、新生細胞は広がった不規則な形を有し、及び/またはまだらな核染色パターンを示す。典型的には約0.4μg/ml〜約5μg/mlの濃度で使用されるヨウ化プロピジウムは614nmの発光ピーク波長で観察され得る赤色蛍光DNA特異的染料である。典型的には約125ng/ml〜約1,000ng/mlの濃度で使用されるDAPIは低倍率のDAPIフィルターを用いて452nmの発光ピークで観察され得る青色蛍光DNA特異的ステインである。この場合、検出のために前選択した細胞のみを染色体損失及び/または増加についてカウントする。好ましくは、少なくとも20個、より好ましくは少なくとも30〜40個のオーダーの前選択した細胞を染色体損失及び/または増加について評価するために選択する。
【0050】
或いは、あるレベルの形成異常または疑わしい病変を示すエリアを低倍率のDAPIフィルターを用いて局在化させ、異常コピー数のプローブを有している核の存在について十分に調査し得る。正常細胞では、所与プローブの2コピーが検出される。異常細胞では、所与プローブよりもより多いまたはより少ないコピーが検出される。最も有意なコピー数変化を有するエリアをエニュメレーションのために選択することが好ましい。可能ならば、3つの異常エリアを選択し、各異常エリア内で10個のランダムな核を高倍率(64×または100×対物レンズ)で分析する。好ましくは、核は非重複性であり、十分に明るいシグナルを有する。
【0051】
或いは、検出のための細胞は細胞学的または組織学的特徴と無関係に選択され得る。例えば、顕微鏡スライド上の所与の1つ以上のエリア中の非重複細胞のすべてが染色体損失及び/または増加について評価し得る。更なる例として、スライド上の細胞、例えば顕微鏡スライド上に順序通りに現れる少なくとも約50個、より好ましくは少なくとも約100個のオーターの変化した形態を示している細胞が染色体損失及び/または増加を評価するために選択され得る。
【0052】
MYC(8p24)、LPL(8p22)、PTEN(10q23)及び8番染色体のコピーを単独で、またはp16(9p21)、3番染色体、7番染色体、10番染色体及び17番染色体の1つ以上のコピーと更に組み合わせて、並びにTMPRSS2−ERGまたはETV1融合(21q22;7p21)及びその欠失及び/または転座をカウントする。加えて、p27Kip1(4q43)、CDK2(12q13)、サイクリンE(CCNE1;19q12及びCCNE2;8q22)、網膜芽細胞腫1(Rb1;13q14)に対する遺伝子座特異的プローブ、NK3ホメオボックス1(NKX3.1;8p21.2)に対する遺伝子座特異的プローブ、上皮成長因子受容体(EGFR;7p11)に対する遺伝子座特異的プローブ、ホスホイノシチド−3−キナーゼ(PI3K;3q26)に対する遺伝子座特異的プローブ、AKT1キナーゼ(Akt1;14q32)に対する遺伝子座特異的プローブ、FKHR(FOXO1;13q14.11)に対する遺伝子座特異的プローブ、p53結合タンパク質ホモログ(MDM2;12q14.3−12q15)に対する遺伝子座特異的プローブ、p53(17p13.1)に対する遺伝子座特異的プローブ、v−Ki−ras2カーステンラット肉腫ウイルス癌ホモログ(KRAS;12p12.1)に対する遺伝子座特異的プローブ、v−rafマウス肉腫ウイルス癌ホモログB1(BRAF;7q34)に対する遺伝子座特異的プローブ、サイクリンD1(CCND1;11q13)に対する遺伝子座特異的プローブ、B細胞CLL/リンパ腫2(BCL2;18q21.3/18q21.33)及びアンドロゲン受容体(AR;Xq12)に対する遺伝子座特異的プローブの1つ以上のコピーをカウントする。
【0053】
よって、前記方法は患者から得た前立腺細胞のサンプル、例えば核酸サンプルをプローブがその標的核酸配列との選択的な結合及び安定なハイブリダイゼーション複合物の形成を可能にする(または、促進させる)条件下でMYCに対する遺伝子座特異的プローブ(8p24)、LPL(8p22)に対する遺伝子座特異的プローブ、PTEN(10q23)に対する遺伝子座特異的プローブ及び8番染色体に対するセントロメアプローブを単独で、またはp16(9p21)、TMPRSS2−ERGまたはETV1融合(21q22;7p21遺伝子座)、3番染色体に対するセントロメアプローブ、7番染色体に対するセントロメアプローブ、10番染色体に対するセントロメアプローブ及び17番染色体に対するセントロメアプローブの1つ以上と更に組み合わせて含む検出可能に標識されているプローブのセットと接触させることを含み、前記検出可能に標識されているプローブのセットはp27Kip1(4q43)に対する遺伝子座特異的プローブ、CDK2(12q13)、サイクリンE(CCNE1;19q12及びCCNE2;8q22)、網膜芽細胞腫1(Rb1;13q14)に対する遺伝子座特異的プローブ、NK3ホメオボックス1(NKX3.1;8p21.2)に対する遺伝子座特異的プローブ、上皮成長因子受容体(EGFR;7p11)に対する遺伝子座特異的プローブ、ホスホイノシチド−3−キナーゼ(PI3K;3q26)に対する遺伝子座特異的プローブ、AKT1キナーゼ(Akt1;14q32)に対する遺伝子座特異的プローブ、FKHR(FOXO1;13q14.11)に対する遺伝子座特異的プローブ、p53結合タンパク質ホモログ(MDM2;12q14.3−12q15)に対する遺伝子座特異的プローブ、p53(17p13.1)に対する遺伝子座特異的プローブ、v−Ki−ras2カーステンラット肉腫ウイルス癌ホモログ(KRAS;12p12.1)に対する遺伝子座特異的プローブ、v−rafマウス肉腫ウイルス癌ホモログB1(BRAF;7q34)に対する遺伝子座特異的プローブ、サイクリンD1(CCND1;11q13)に対する遺伝子座特異的プローブ、B細胞CLL/リンパ腫2(BCL2;18q21.3/18q21.33)に対する遺伝子座特異的プローブ及びアンドロゲン受容体(AR;Xq12)に対する遺伝子座特異的プローブの1つ以上を含み得る。前記方法は、更にハイブリダイゼーション複合物の形成を検出し、ハイブリダイゼーション複合物の数をカウントすることを含む。MYC(8p24)、LPL(8p22)、PTEN(10q23)及び8番染色体を含むハイブリダイゼーション複合物の数を単独でまたはp16(9p21)、TMPRSS2−ERGまたはETV1融合(21q22;7p21)、3番染色体、7番染色体、8番染色体、10番染色体及び17番染色体の1つ以上のハイブリダイゼーション複合物の数と更に組合せて、或いは単独でまたはp27Kip1(4q43)、CDK2(12q13)、サイクリンE(CCNE1;19q12及びCCNE2;8q22)、網膜芽細胞腫1(Rb1;13q14)に対する遺伝子座特異的プローブ、NK3ホメオボックス1(NKX3.1;8p21.2)に対する遺伝子座特異的プローブ、上皮成長因子受容体(EGFR;7p11)に対する遺伝子座特異的プローブ、ホスホイノシチド−3−キナーゼ(PI3K;3q26)に対する遺伝子座特異的プローブ、AKT1キナーゼ(Akt1;14q32)に対する遺伝子座特異的プローブ、FKHR(FOXO1;13q14.11)に対する遺伝子座特異的プローブ、p53結合タンパク質ホモログ(MDM2;12q14.3−12q15)に対する遺伝子座特異的プローブ、p53(17p13.1)に対する遺伝子座特異的プローブ、v−Ki−ras2カーステンラット肉腫ウイルス癌ホモログ(KRAS;12p12.1)に対する遺伝子座特異的プローブ、v−rafマウス肉腫ウイルス癌ホモログB1(BRAF;7q34)に対する遺伝子座特異的プローブ、サイクリンD1(CCND1;11q13)に対する遺伝子座特異的プローブ、B細胞CLL/リンパ腫2(BCL2;18q21.3/18q21.33)及びアンドロゲン受容体(AR;Xq12)に対する遺伝子座特異的プローブの1つ以上を含むハイブリダイゼーション複合物の数を更に考慮して、前記方法は更にMYC(8p24)、LPL(8p22)、PTEN(10q23;例えば、米国特許Nos.6,262,242;6,482,795;及び7,217,795を参照されたい)、及び8番染色体のコピー数を単独でまたはp16(9p21)、3番染色体、7番染色体、10番染色体及び17番染色体、並びにTMPRSS2−ERGまたはETV1融合(21q22;7p21)及びその欠失及び/または転座の1つ以上のコピー数と更に組み合わせて、或いは単独でまたはp27Kip1(4q43)、CDK2(12q13)、サイクリンE(CCNE1;19q12及びCCNE2;8q22)、網膜芽細胞腫1(Rb1;13q14)に対する遺伝子座特異的プローブ、NK3ホメオボックス1(NKX3.1;8p21.2)に対する遺伝子座特異的プローブ、上皮成長因子受容体(EGFR;7p11)に対する遺伝子座特異的プローブ、ホスホイノシチド−3−キナーゼ(PI3K;3q26)に対する遺伝子座特異的プローブ、AKT1キナーゼ(Akt1;14q32)に対する遺伝子座特異的プローブ、FKHR(FOXO1;13q14.11)に対する遺伝子座特異的プローブ、p53結合タンパク質ホモログ(MDM2;12q14.3−12q15)に対する遺伝子座特異的プローブ、p53(17p13.1)に対する遺伝子座特異的プローブ、v−Ki−ras2カーステンラット肉腫ウイルス癌ホモログ(KRAS;12p12.1)に対する遺伝子座特異的プローブ、v−rafマウス肉腫ウイルス癌ホモログB1(BRAF;7q34)に対する遺伝子座特異的プローブ、サイクリンD1(CCND1;11q13)に対する遺伝子座特異的プローブ、B細胞CLL/リンパ腫2(BCL2;18q21.3/18q21.33)に対する遺伝子座特異的プローブ及びアンドロゲン受容体(AR;Xq12)に対する遺伝子座特異的プローブの1つ以上のコピー数と更に組合せて測定することを含む。所望ならば、コピー数を所定のカットオフと比較し得、所定のカットオフよりも高いコピー数(すなわち、増加に対して)及び所定のカットオフ未満のコピー数(すなわち、損失に対して)は患者が前立腺癌を有していることを示す。患者からの検査した前立腺細胞の約20%以上がTMPRSS2−ERGまたはETV1融合(21q22;7p21)を含む転座及び/または欠失を有しているときには、患者は前立腺癌を有していると見なされる。
【0054】
脱パラフィン、前処理、染色及びルーチンのスライド洗浄も当業界で公知の方法に従って実施され得るが、VP 2000 Process(Abbott Molecular,Inc.,イリノイ州デスプレーンズ)のような自動化システムを使用すると評価のためのスライドを作成するために必要な時間が短縮される。標準のコプリンジャーをハイブリダイゼーション後洗浄のために使用するときには、スライドは小バッチ(例えば、4スライド)とは対照的に大バッチ(例えば、50スライド)で作成され得る。加えて、スライドの採点は自動化イメージングを用いて完全自動化され得、これにより標本分析のために必要に実地時間を短くすることができる。完全自動化により、より多くの異常細胞をより高頻度で着実に捕捉することができるイメージングアルゴリズムを使用することもできる。また、当業界で公知のスライド作成の適当な方法を使用できるが、細胞のより均一で安定した単層を生成するThinPrep 2000(Hologic,Inc.,マサチューセッツ州ベッドフォード)を用いてスライドを作成することが好ましい。
【0055】
当業界で既に公知であるかまたは現在開発中の他の方法は、ホルマリン固定・パラフィン包埋されている細胞以外の前立腺細胞、例えば前立腺細胞からの新鮮または凍結細胞、ホモジナイズした細胞、溶解した細胞、または単離または精製した核酸(例えば、DNAのような「核酸サンプル」)を使用することが必要であったり、好ましいことがある(本明細書中で使用されている「前立腺細胞のサンプル」はコピー数及び増加/損失を調べることができるすべての形態の前立腺細胞のサンプルを包含すると意図される)。核は、打ち切りアーティファクトを減らし、埋め込まれている異物をなくすためにパラフィン包埋標本の厚い切片から抽出することもできる。典型的には、一度得た生物学的サンプルを収集し、プロセッシングした後、当業界で公知の標準方法を用いてハイブリダイズする。前記プロセッシングは典型的にはプロテアーゼ処理及びアルデヒド溶液(例えば、ホルムアルデヒド)中での追加の固定を含む。
【0056】
本発明において使用され得る方法の例には、場合によりコピー数を測定しようとする遺伝子及び/または染色体領域の前増幅との定量ポリメラーゼ連鎖反応(Q−PCR)、リアルタイムQ−PCR(Applied Biosystems,カリフォルニア州フォスターシティー)、PCR産物のデンシトメトリースキャニング、デジタルPCR(例えば、Vogelsteinら,PNAS USA,96:9236−9241(1999);米国特許出願公開No.2005/0252773;及び米国特許出願公開No.2009/0069194を参照されたい)、比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH;例えば、Kallioniemiら,Science,258:818−821(1992);及び国際特許出願公開No.WO 93/18186を参照されたい)、マイクロサテライトまたはサザンアレロタイプ解析、ドットプロット、アレー、マイクロアレー(Carter,Nature Genetics Supplement,39:S16−S21(July 2007))、多重増幅可能プローブハイブリダイゼーション(MAPH)、多重ライゲーション依存性プローブ増幅(MLPA;例えば、Schoutenら,Nucleic Acids Res.,30:e57(2002)を参照されたい)、変性高速液体クロマトグラフィー(dHPLC;Kumarら,J.Biochem.Biophys.Methods,64(3):226−234(2005))、動的対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション(DASH)、櫛分けしたゲノムDNA上の蛍光プローブ長さの測定(Herrickら,PNAS,97(1):222−227(2000))、リファレンスクエリパイロシーケンシング(RQPS;Liuら,Cold Spring Harb.Protoc.doi:10.1101/pdb.prot5491(2010))、フォスミド末端の参照配列へのマッピング(キャピラリーに基づく技術)、微量電気泳動及びナノポアシーケンシング(例えば、Service,Science,311:1544−1546(2006);及びShendureら,Nat.Rev.Genet.,5:335−344(2004)を参照されたい)等が含まれるが、これらに限定されない。
【0057】
in situハイブリダイゼーション及び類似方法による分析のための核酸標的の変性は典型的には細胞形態を維持するように実施する。例えば、染色体DNAは高pH、加高温(例えば、約70〜95℃の温度)、有機溶媒(例えば、ホルムアミド)及びその組合せにより変性され得る。一方、プローブは数分程度の加熱により変性され得る。
【0058】
変性後、ハイブリダイゼーションを実施する。プローブをその核酸標的に対して特異的にハイブリダイズさせるための条件には通常特定ハイブリッドを産生するための所与のハイブリダイゼーション手順において使用可能な条件の組合せが含まれ、これらの条件は当業者により容易に決定され得る。前記条件には、典型的には制御された温度、液相、及びプローブと標的間の接触が含まれる。ハイブリダイゼーション条件は、プローブ濃度、標的長さ、標的及びプローブG−C含量、溶媒組成、温度及びインキュベーション時間を含めた多くの要因に応じて異なる。少なくとも1つの変性ステップはプローブの標的との接触に先行し得る。或いは、プローブと標的を相互に接触させながら、またはその後プローブを生物学的サンプルと接触させて一緒に変性条件にかけられ得る。ハイブリダイゼーションは、その後プローブ/サンプルを例えば約50:50容量比の2〜4×SSCとホルムアミドの混合物の液相中、約25〜約55℃の範囲の温度で、例えば約0.5〜約96時間の範囲の時間、またはより好ましくは約32〜約40℃の温度で約2〜約16時間の範囲の時間インキュベートして達成し得る。特異性を高めるために、米国特許No.5,756,696(全文を参照することにより、特にブロッキング核酸の使用の説明のためにその内容を本明細書に組み入れる)に記載されている非標識ブロッキング核酸を使用してもよい。当業者に容易に自明であるように、プローブをサンプル中に存在するその核酸標的に対して特異的にハイブリダイズするために他の条件が容易に使用され得る。ハイブリダイゼーションプロトコルは、例えばPinketら,PNAS USA,85:9138−9142(1988);In situ Hybridization Protocols,Methods in Molecular Biology,Vol.33,Choo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ(1994);及びKallioniemiら,PNAS USA,89:5321−5325(1992)に記載されている。
【0059】
適当なインキュベーション時間が終了したら、染色体プローブのサンプルDNAに対する非特異的結合は一連の洗浄により除去され得る。所望のストリンジェンシーのために温度及び塩濃度が適当に選択される。必要なストリンジェンシーのレベルはゲノム配列に対する特定プローブ配列の複雑さに依存し、公知の遺伝組成のサンプルに対してプローブを系統的にハイブリダイズすることにより決定され得る。一般的に、高ストリンジェンシー洗浄は約0.2×〜約2×SSC及び約0.1%〜約1%の非イオン性洗浄剤(例えば、Nonidet P−40(NP40))を用いて約65〜約80℃の範囲の温度で実施され得る。低ストリンジェンシー洗浄が必要ならば、洗浄は塩濃度を高めてより低い温度で実施され得る。
【0060】
蛍光体標識したプローブまたはプローブ組成物を使用する場合、検出方法は蛍光顕微鏡法、フローサイトメトリー、またはプローブハイブリダイゼーションを調べるための他の手段を含み得る。適当な顕微鏡イメージング方法が複数の蛍光体を観察するために本明細書中に記載されている方法と一緒に使用され得る。蛍光顕微鏡法を使用する場合には、ハイブリダイズしたサンプルを各蛍光体の励起に適した光の下で1つ以上の適当なフィルターを用いて調査することができる。或いは、シグナル計数及びデータ獲得アルゴリズムと一緒にMetaSystems、BioViewまたはApplied Imagingシステムのような自動化デジタルイメージングシステムを使用し得る。
【0061】
使用する方法に応じて、結果の表示を容易にし、蛍光強度の小さな違いを検出する感度を改善するためにデジタル画像解析システムを使用することができる。例示のシステムは、自動化ステージ、焦点コントロール及びフィルターホイールを備えた標準蛍光顕微鏡(Ludl Electronic Products,Ltd.,ニューヨーク州ホーソーン)に基づく自動画像解析システムであるQUIPS(定量画像プロセッシングシステムの頭文字)である。フィルターホイールは、励起波長を選択するために顕微鏡の蛍光励起路中に置かれている。二色性ブロック中の特殊フィルター(Chroma Technology,ハーモント州ブラトルボロ)により、画像表示シフトなしに複数の染料を励起させることができる。顕微鏡は2つのカメラポートを有しており、その1つは高感度の高速ビデオ画像表示のための強化CCDカメラ(Quantex Corp.,カリフォルニア州サニーベール)を有しており、これはスライド上の関心エリアを見つけ、焦点を合わせるために使用される。他のカメラポートは冷却CCDカメラ(モデル200,Photometrics Ltd.,アリゾナ州ツーソン)を有しており、これは実際の画像を高い解像度及び感度で獲得するために使用される。冷却CCDカメラはVMEバスを介してSUN 4/330ワークステーション(SUN Microsystems,Inc.,カリフォルニア州マウンテンビュー)とインターフェース接続されている。多色画像の全獲得は画像加工ソフトウェアパッケージSCIL−Image(Delft Centre for Image Processing,オランダ国デルフト)を用いてコントロールされる。
【0062】
アレイCGH(aCGH)では、プローブを基質上の離れた位置で固定化し、標識されていない(例えば、国際特許出願公開No.WO 96/17958を参照されたい)。代わりに、標的核酸を含むサンプル核酸が標識されている。ハイブリダイゼーション前にサンプル核酸を標識し、またはハイブリダイゼーション複合物を検出可能に標識する。二色または多色aCGHでは、プローブアレイを別々に標識されている標的核酸の2つ以上のコレクションに対して同時にまたは順次ハイブリダイズする。
【0063】
好ましくは、FISHによる分析のためのエリアを位置決めするためにバイオマーカー発現を免疫蛍光法(IF)により評価する。IF結果は本明細書中に記載されているプローブを用いて同定されるFISH異常及び腫瘍の形態学的評価と密接に相関している。
【0064】
上記方法は、患者を反復生検または集中的なフォローアップを必要とする患者及びその必要がない患者に層別化するために使用され得る。上記方法は前立腺癌を良性状態、例えば前立腺肥大症(BPH)から区別するためにも使用され得る。前記方法は組織学的組織組織、前立腺特異抗原(PSA)検出、ノモグラム(例えば、カタンノモグラム)、メチル化及び突然変異のような他の方法と一緒に使用され得る。これに関して、方法は根治的前立腺摘除術後に診断を確認するために、前立腺癌を前立腺中の前癌病変(例えば、前立腺の非定型小腺房増殖(ASAP)、低悪性度前立腺上皮内腫瘍(PIN)及び高悪性度PIN)から区別し、前立腺の前癌病変を良性状態、例えばBPHから区別するためにも使用され得る。方法は生検、経尿道的切除(TURP)または手術(例えば、根治的前立腺摘除術)により得た標本中の腺癌の診断を助けることができる。上記方法の特に検出及び診断の関係での利点は、前立腺癌を示す染色体異常を腫瘍の周囲の細胞中で検出できることである(すなわち、「フィールド効果」細胞)。よって、たとえ生検中に腫瘍を見落としても、その存在は上記方法に従って検出され得、これにより偽陰性の結果が減り、反復生検の必要性が減る。方法は前立腺癌の予測、前立腺癌の予防または治療的処置(例えば、ホルモンまたは放射線療法)の有効性のモニタリング、及び前立腺癌の再発のモニタリングにおいても使用され得る。方法は尿または血液を用いる検出方法で得られた結果を確認するために使用され得る。前癌病変を有する患者における癌のリスク及び癌の病原力(例えば、フィールド効果細胞中のより多い染色体異常及び/またはより広がった染色体異常)を前記方法を用いて評価し得る。前記方法は、積極的サーベイランス、手術、ホルモンまたは放射線を用いる治療のような治療決定、及び例えば根治的前立腺摘除術に関連して補助治療決定を助けるためにも使用され得る。
【0065】
よって、方法は検査サンプルを採取した患者の治療/予防処置の有効性を診断、予測または評価することを含み得る。方法が更に検査サンプルを採取した患者の治療/予防処置の有効性を評価することを含むならば、その方法は場合により更に有効性を改善するために必要に応じて患者の治療/予防処置を修飾することを含む。方法は自動化システムまたは半自動化システムで使用するために改変され得る。
【0066】
通常、所定レベルをベンチマークとして使用し、このベンチマークに対して前立腺細胞のサンプルを染色体異常についてアッセイして得た結果を評価し得る。通常、前記比較を行う際、所定レベルは特別のアッセイを十分な回数、特別の染色体異常(存在またはレベル)を疾患、障害または状態(例えば、子癇前症または心血管疾患)の特別ステージまたはエンドポイント、或いは特別の兆候と連結または関係づけ得るような適切な条件下で実施することにより得られる。典型的には、所定レベルは参照被験者(または、被験者の集団)のアッセイで得られる。
【0067】
特に、疾患の進行及び/または治療をモニターするために使用される所定レベルに関して、染色体異常(存在またはレベル)は「未変化」、「有利」(または、「有利に変化している」)、または「不利」(または、「不利に変化している」)であり得る。「上昇した」または「増加した」は、前立腺細胞のサンプル中の染色体異常のレベルが典型的または正常レベルまたは範囲(例えば、所定レベル)よりも高い、または別の参照レベルまたは範囲(例えば、以前のまたは基準サンプル)よりも高いことを指す。用語「損失した」または「減少した」は、前立腺細胞のサンプル中の染色体異常のレベルが典型的または正常レベルまたは範囲(例えば、所定レベル)よりも低い、または別の参照レベルまたは範囲(例えば、以前のまたは基準サンプル)よりも低いことを指す。用語「変化した」は、前立腺細胞のサンプル中の染色体異常のレベルが典型的または正常レベルまたは範囲(例えば、所定レベル)に比して変化している(増加しているまたは減少している)、または別の参照レベルまたは範囲(例えば、以前のまたは基準サンプル)に比して変化していることを指す。
【0068】
所与の染色体異常についての典型的または正常のレベルまたは範囲は標準プラクティスに従って規定される。幾つかの例での染色体異常のレベルは非常に低いので、典型的または正常のレベルまたは範囲、或いは参照レベルまたは範囲と比較したときに実験誤差またはサンプル分散により説明できない正味の変化があるときには所謂変化したレベルまたは変化が生じたと見なされ得る。よって、特定のサンプルで測定されたレベルを所謂正常な被験者からの類似サンプルで測定されたレベルまたはレベルの範囲と比較する。これに関連して、「正常な被験者」は検出可能な疾患を持たない個人であり、「正常」または「対照」患者または集団は例えばそれぞれ検出可能な疾患を示さないものである。更に、染色体異常が日常的にヒト集団の大多数で高レベルで見られないならば、「正常な被験者」は実質的な検出可能な増加レベルの所与の染色体異常を持たない個人であると見なされ得、「正常」(時に、「対照」と称される)患者または集団は実質的な検出可能な増加レベルの所与の染色体異常を示さないものである。「見かけ上正常な被験者」は染色体異常が評価されていなかったかまたは評価されていないものである。所与の染色体異常のレベルは、染色体異常が通常検出不能であるが検査サンプル中で検出されたときに、またはアナライトが検査サンプル中に正常レベルより高いレベルで存在しているときに「高い」と言われる。よって、特に、本発明は、前立腺癌を有しているかまたは前立腺癌を有するリスクがある被験者のスクリーニング方法を提供する。
【0069】
方法は他のマーカー等の検出をも含み得る。例えば、方法は例えば前立腺特異抗原(PSA)の検出をも含み得る。
【0070】
本明細書中に記載されている方法は、被験者が前立腺癌を有しているかまたは前立腺癌を発症するリスクがあるか否かを調べるためにも使用され得る。具体的には、この方法は、
(a)被験者からの前立腺細胞のサンプル中の染色体異常を(例えば、本明細書中に記載されているかまたは当業界で公知の方法を用いて)測定するステップ;及び
(b)ステップ(a)で測定された染色体異常のレベルを所定レベルと比較するステップ;
を含み、ステップ(a)で測定された染色体異常のレベルが所定レベルに比して有利であるならば、被験者は前立腺癌を有していないかまたは前立腺癌のリスクがないと断定される。しかしながら、ステップ(a)で測定された染色体異常のレベルが所定レベルに比して不利であるならば、被験者は前立腺癌を有しているかまたは前立腺癌のリスクがあると断定される。
【0071】
加えて、本発明は、被験者の前立腺癌の進行のモニタリング方法を提供する。最適には、この方法は、
(a)被験者からの前立腺細胞のサンプル中の染色体異常を測定するステップ;
(b)被験者からの前立腺細胞のより最近のサンプル中の染色体異常を測定するステップ;及び
(c)ステップ(b)で測定された染色体異常のレベルをステップ(a)で測定された染色体異常のレベルと比較するステップ;
を含み、ステップ(b)におけるレベルがステップ(a)で測定されたレベルと比較して未変化または不利であるならば、被験者の前立腺癌は継続、進行または悪化していると断定される。反対に、ステップ(b)におけるレベルがステップ(a)で測定されたレベルと比較して有利であるならば、被験者の前立腺癌は停止、寛解または改善されていると断定される。
【0072】
場合により、方法は更にステップ(b)で測定された染色体異常のレベルを例えば所定レベルと比較することを含む。更に、場合により、比較によりステップ(b)で測定されたレベルが例えば所定レベルに比して不利に変化していることが示されたならば、方法は被験者を例えば1つ以上の医薬組成物、放射線及び/またはホルモン療法で一定時間治療することを含む。
【0073】
なお更に、方法は例えば1つ以上の医薬組成物、放射線及び/またはホルモン療法で治療を受けている被験者の治療をモニターするために使用され得る。具体的には、この方法は、被験者が治療を受ける前に該被験者から得た前立腺細胞の第1サンプルを用意することを含む。次に、前立腺細胞の第1サンプル中の染色体異常のレベルを(例えば、本明細書中に記載されているかまたは当業界で公知の方法を用いて)測定する。染色体異常のレベルを測定したら、場合によりそのレベルを所定レベルと比較する。前立腺細胞の第1サンプル中の測定されたレベルが所定レベルよりも低いならば、被験者は治療を受けない。しかしながら、前立腺細胞の第1サンプル中の測定されたレベルが所定レベルより高いならば、被験者は一定期間治療を受ける。被験者が治療を受ける期間は当業者により決定され得る(例えば、期間は約7日間〜約2年間、好ましくは約14日間〜約1年間であり得る)。
【0074】
治療中、前立腺細胞の第2及びその後のサンプルを被験者から得る。サンプルの数及びサンプルを被験者から得る時期は重要でない。例えば、第2サンプルは被験者がまず治療を受けてから7日後に得られ得、第3サンプルは被験者がまず治療を受けてから2週間後に得られ得、第4サンプルは被験者がまず治療を受けてから3週間後に得られ得、第5サンプルは被験者がまず治療を受けてから4週間後に得られ得る等々。
【0075】
第2またはその後のサンプルの各々を被験者から得た後、第2またはその後のサンプル中の染色体異常のレベルを(例えば、本明細書中に記載されているかまたは当業界で公知の方法を用いて)測定する。次いで、第2及びその後のサンプルの各々で測定されたレベルを第1サンプル(例えば、元々場合により所定レベルと比較したサンプル)で測定されたレベルと比較する。ステップ(a)で測定されたレベルと比較したときにステップ(c)で測定されたレベルが有利であるならば、前立腺癌は停止、寛解または改善していると断定され、被験者は治療を継続しなければならない。しかしながら、ステップ(a)で測定されたレベルと比較したときにステップ(c)で測定されたレベルが未変化または不利であるならば、前立腺癌は継続、進行または悪化していると断定され、被験者は例えば高用量の医薬組成物、放射線またはホルモンで治療されなければならず、または被験者は別の方法で治療されなければならない。
【0076】
通常、反復検査(例えば、疾患の進行及び/または治療に対する応答をモニターする)を行い得るアッセイのために、第2またはその後の試験サンプルを第1試験サンプルを被験者から得た後ある期間で得る。具体的には、被験者からの第2試験サンプルを第1試験サンプルを被験者から得た後数分間、数時間、数週間または数年間後に得られ得る。例えば、第2試験サンプルは被験者から第1試験サンプルを得てから約1分間、約5分間、約10分間、約15分間、約30分間、約45分間、約60分間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約13週間、約14週間、約15週間、約16週間、約17週間、約18週間、約19週間、約20週間、約21週間、約22週間、約23週間、約24週間、約25週間、約26週間、約27週間、約28週間、約29週間、約30週間、約31週間、約32週間、約33週間、約34週間、約35週間、約36週間、約37週間、約38週間、約39週間、約40週間、約41週間、約42週間、約43週間、約44週間、約45週間、約46週間、約47週間、約48週間、約49週間、約50週間、約51週間、約52週間、約1.5年間、約2年間、約2.5年間、約3.0年間、約3.5年間、約4.0年間、約4.5年間、約5.0年間、約5.5年間、約6.0年間、約6.5年間、約7.0年間、約7.5年間、約8.0年間、約8.5年間、約9.0年間、約9.5年間または約10.0年間後に被験者から得られ得る。
【0077】
更に、本発明は、前立腺癌に罹りやすいかまたは罹っている被験者が治療の恩恵を受けるかどうかを調べる方法にも関する。特に、本発明はコンパニオン診断方法及び製品に関する。よって、本明細書中に記載されている「被験者の疾患の治療をモニターする」方法は更に場合により治療候補者を選択または同定することを含み得る。
【0078】
よって、特定の実施形態では、本発明は、前立腺癌を有しているかまたは前立腺癌のリスクがある被験者が治療候補者であるかどうかを調べる方法をも提供する。通常、被験者は疾患の幾つかの症状を経験しているもの、または前記疾患を有しているかまたはそのリスクがあると実際診断されたもの、及び/または本明細書中に記載されている不利なレベルの染色体異常を示すものである。
【0079】
方法は場合により、染色体異常のレベルを被験者が治療を受ける前及びその後に評価する本明細書中に記載されているアッセイを含む。治療後に不利なレベルの染色体異常が観察されると、被験者は更なるまたは継続治療を受ける恩恵を受けないことが確認され、治療後に有利なレベルの染色体異常が観察されると被験者は更なるまたは継続治療を受ける恩恵を受けることが確認される。この確認は臨床研究の管理及び改善された患者ケアの提供を助ける。
【0080】
プローブ
プローブのセットをも提供する。1つの実施形態では、プローブのセットはMYC(8q24)に対する遺伝子座特異的プローブ、ホスファターゼ・テンシンホモログ(PTEN;10q23)に対する遺伝子座特異的プローブ、8番染色体に対するセントロメアプローブ及び7番染色体に対するセントロメアプローブを含み、このプローブのセットは場合により更に検出可能に標識され得る抗−α−メチルアシル−CoAラセマーゼ(AMACR)抗体を含む。別の実施形態では、プローブのセットはMYC(8q24)に対する遺伝子座特異的プローブ、リポタンパク質リパーゼ(LPL;8p22)に対する遺伝子座特異的プローブ、PTENに対する遺伝子座特異的プローブ及び8番染色体に対するセントロメアプローブを含む。このプローブのセットは場合により更に検出可能に標識され得る抗−AMACR抗体を含む。MYC(8q24)に対する遺伝子座特異的プローブは、好ましくはMYC遺伝子の中心にあるおおよそ820kb(例えば、821kb)をカバーし、全MYC遺伝子及び隣接領域を含む(上記の方法欄中の「MYC」の検討を参照されたい)。LPL(8p22)に対する遺伝子座特異的プローブは、好ましくはLPL遺伝子の中心にあるおおよそ170kbをカバーし、全LPL遺伝子及び隣接領域を含む(上記の方法欄中の「LPL」の検討を参照されたい)。PTEN(10q23)に対する遺伝子座特異的プローブは、好ましくはPTEN遺伝子の中心にあるおおよそ365〜370kb(例えば、368kb)をカバーし、全PTEN遺伝子及び隣接領域、例えばセントロメア側のSTSマーカーD10S215及びテロメア側のRH93626を含む(上記の方法欄中の「PTEN」の検討を参照されたい)。このプローブのセットは場合により更に、p16(9p21)に対する遺伝子座特異的プローブ、TMPRSS2−ERGまたはETV1融合(21q22;7p21遺伝子座)、3番染色体に対するセントロメアプローブ、7番染色体に対するセントロメアプローブ、10番染色体に対するセントロメアプローブ及び17番染色体に対するセントロメアプローブの1つ以上を含む。このプローブのセットは更に、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤p27Kip1(4q43)に対する遺伝子座特異的プローブ、CDK2(12q13)に対する遺伝子座特異的プローブ、サイクリンE(CCNE1;19q12及びCCNE2;8q22)に対する遺伝子座特異的プローブ、網膜芽細胞腫1(Rb1;13q14)に対する遺伝子座特異的プローブ、NK3ホメオボックス1(NKX3.1;8p21.2)に対する遺伝子座特異的プローブ、上皮成長因子受容体(EGFR;7p11)に対する遺伝子座特異的プローブ、ホスホイノシチド−3−キナーゼ(PI3K;3q26)に対する遺伝子座特異的プローブ、AKT1キナーゼ(Akt1;14q32)に対する遺伝子座特異的プローブ、FKHR(FOXO1;13q14.11)に対する遺伝子座特異的プローブ、p53結合タンパク質ホモログ(MDM2;12q14.3−12q15)に対する遺伝子座特異的プローブ、p53(17p13.1)に対する遺伝子座特異的プローブ、v−Ki−ras2カーステンラット肉腫ウイルス癌ホモログ(KRAS;12p12.1)に対する遺伝子座特異的プローブ、v−rafマウス肉腫ウイルス癌ホモログB1(BRAF;7q34)に対する遺伝子座特異的プローブ、サイクリンD1(CCND1;11q13)に対する遺伝子座特異的プローブ、B細胞CLL/リンパ腫2(BCL2;18q21.3/18q21.33)に対する遺伝子座特異的プローブ及びアンドロゲン受容体(AR;Xq12)に対する遺伝子座特異的プローブの1つ以上を含み得る。
【0081】
遺伝子座特異的プローブとして使用するに適したプローブは、遺伝子を含有している染色体上の特定領域に対してハイブリダイズする。遺伝子MYC(8p24)に対する遺伝子座特異的プローブは8番染色体上のp24(すなわち、8p24)のMYC遺伝子のすべてまたは一部に対してハイブリダイズし得る。遺伝子LPL(8p22)に対する遺伝子座特異的プローブは8番染色体上のp22(すなわち、8p22)のLPL遺伝子のすべてまたは一部に対してハイブリダイズし得る。遺伝子PTEN(10q23)に対する遺伝子座特異的プローブは10番染色体上のq23(すなわち、10q23)のPTEN遺伝子のすべてまたは一部に対してハイブリダイズし得る。同様に、p27Kip1(4q43)に対する遺伝子座特異的プローブは染色体4上のq43(すなわち、4q43)のp27Kip1遺伝子のすべてまたは一部に対してハイブリダイズし得、CDK2(12q13)に対する遺伝子座特異的プローブは染色体12上のq13(すなわち、12q13)のCDK2遺伝子のすべてまたは一部に対してハイブリダイズし得、サイクリンE(CCNE1;19q12及びCCNE2;8q22)に対する遺伝子座特異的プローブは染色体19上のq12のCCNE1遺伝子のすべてまたは一部、または8番染色体上のq22のCCNE2遺伝子のすべてまたは一部に対してハイブリダイズし得、網膜芽細胞腫1(Rb1;13q14)に対する遺伝子座特異的プローブは染色体13上のq14のRb1遺伝子のすべてまたは一部に対してハイブリダイズし得、NK3ホメオボックス1(NKX3.1;8p21.2)に対する遺伝子座特異的プローブは8番染色体上のp21.2のNKX3.1遺伝子のすべてまたは一部に対してハイブリダイズし得、上皮成長因子受容体(EGFR;7p11)に対する遺伝子座特異的プローブは7番染色体上のp11のEGFR遺伝子のすべてまたは一部に対してハイブリダイズし得、ホスホイノシチド−3−キナーゼ(PI3K;3q26)に対する遺伝子座特異的プローブは3番染色体上のq26のPI3K遺伝子のすべてまたは一部に対してハイブリダイズし得、AKT1キナーゼ(Akt1;14q32)に対する遺伝子座特異的プローブは染色体14上のq32のAkt1遺伝子のすべてまたは一部に対してハイブリダイズし得、FKHR(FOXO1;13q14.11)に対する遺伝子座特異的プローブは染色体13上のq14.11のFOXO1遺伝子すべてまたは一部に対してハイブリダイズし得、p53結合タンパク質ホモログ(MDM2;12q14.3−12q15)に対する遺伝子座特異的プローブは染色体12上のq14.3−q1のMDM2遺伝子のすべてまたは一部に対してハイブリダイズし得、p53(17p13.1)に対する遺伝子座特異的プローブは17番染色体上のp13.1のp53遺伝子のすべてまたは一部に対してハイブリダイズし得、v−Ki−ras2カーステンラット肉腫ウイルス癌ホモログ(KRAS;12p12.1)に対する遺伝子座特異的プローブは染色体12上のp12.1のKRAS遺伝子のすべてまたは一部に対してハイブリダイズし得、v−rafマウス肉腫ウイルス癌ホモログB1(BRAF;7q34)に対する遺伝子座特異的プローブは7番染色体上のq34のBRAF遺伝子のすべてまたは一部に対してハイブリダイズし得、サイクリンD1(CCND1;11q13)に対する遺伝子座特異的プローブは染色体11上のq13のCCND1遺伝子のすべてまたは一部に対してハイブリダイズし得、B細胞CLL/リンパ腫2(BCL2;18q21.3/18q21.33)に対する遺伝子座特異的プローブは染色体18上のq21.3−q21.33のBCL2遺伝子のすべてまたは一部に対してハイブリダイズし得、アンドロゲン受容体(AR;Xq12)に対する遺伝子座特異的プローブは染色体X上のq12のAR遺伝子のすべてまたは一部に対してハイブリダイズし得る。
【0082】
離脱プローブとして使用するのに適したプローブはTMPRSS2(21q22)に対してハイブリダイズし、これにより転座及び/または欠失を検出することができる。
【0083】
染色体プローブとして使用するのに適したプローブは染色体のセントロメアに関係する反復DNAとハイブリダイズする。霊長類染色体のセントロメアは、α−サテライトDNAと称される約171塩基対(bp)のモノマー反復長から構成されているDNAの長タンデムリピートの複合ファミリーを含有している。染色体プローブは典型的には約50〜1×10
5ヌクレオチド長である。より長いプローブは典型的には約100〜600ヌクレオチド長に断片化される。3番染色体に対するプローブは3番染色体のセントロメアに位置しているα−サテライトDNAに対してハイブリダイズし得、7番染色体に対するプローブは7番染色体のセントロメアに位置しているα−サテライトDNAに対してハイブリダイズし得、8番染色体に対するプローブは8番染色体のセントロメアに位置しているα−サテライトDNAに対してハイブリダイズし得、10番染色体に対するプローブは10番染色体のセントロメアに位置しているα−サテライトDNAに対してハイブリダイズし得、17番染色体に対するプローブは17番染色体のセントロメアに位置するα−サテライトDNAに対してハイブリダイズし得る。前記プローブの例には、CEP3、CEP7、CEP8、CEP10及びCEP17が含まれる。
【0084】
染色体領域または小領域を標的とする染色体エニュメレータープローブ(CEP)及び遺伝子座特異的プローブは市販されているかまたは当業者により容易に作成され得る。前記プローブはAbbott Molecular,Inc.(イリノイ州デスプレーンズ)、Molecular Probes,Inc.(オレゴン州ユージーン)またはCytocell(英国オックスフォードシャー)から入手可能である。染色体プローブは、例えばタンパク質核酸(PNA)、クローン化ヒトDNA(例えば、プラスミド)、細菌人工染色体(BAC)、及びヒトDNA配列のインサートを含有しているPl人工染色体(PAC)から作成できる。関心領域はPCR増幅またはクローニングにより得られ得る。別の実施形態では、染色体プローブはオリゴプローブであり得る。或いは、染色体プローブは当業界で公知の方法に従って合成的に作成され得る。
【0085】
特定の遺伝子座のターゲッティングが所望される場合には、必須ではないが、標的される遺伝子の全長に沿ってハイブリダイズするプローブが好ましい。遺伝子座特異的プローブは、その遺伝子異常が転移と相関している癌または腫瘍抑制遺伝子、例えばMYCにハイブリダイズするように設計され得る。
【0086】
プローブは当業界で公知の方法により作成され得る。プローブは合成しても、組換え産生させてもよい。プローブの長さは約25,000塩基対〜約800,000塩基対の範囲であり得る。
【0087】
好ましくは、プローブは検出可能に標識されており、各プローブは別個に標識されている。好ましくは、プローブは蛍光体で検出可能に標識されており、各プローブは別個に標識されている。好ましい蛍光体の例には、7−アミノ−4−メチルクマリン−3−酢酸(AMCA)、5−カルボキシ−X−ローダミン、6−カルボキシ−X−ローダミン、リサミンローダミンB、5−カルボキシフルオレセイン、6−カルボキシフルオレセイン、フルオレセイン−5−イソチオシアネート(FITC)、7−ジエチルアミノクマリン−3−カルボン酸、テトラメチルローダミン−5−イソチオシアネート、テトラメチルローダミン−6−イソチオシアネート、5−カルボキシルテトラメチルローダミン、6−カルボキシテトラメチルローダミン、7−ヒドロキシクマリン−3−カルボン酸、N−4,4−ジフルオロ−5,7−ジメチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−3−インダセンプロピオン酸、エオシン−5−イソチオシアネート、エリスロシン−5−イソチオシアネート、SpectrumRed(Abbott Molecular,Inc.)、SpectrumGold(Abbott Molecular,Inc.)、SpectrumGreen(Abbott Molecular,Inc.)、SpectrumAqua(Abbott Molecular,Inc.)、TEXAS RED(Molecular Probes,Inc.)、ルシファーイエロー及びCASCADEブルーアセチルアジド(Molecular Probes,Inc.)が含まれるが、これらに限定されない。使用する特定標識は重要でない。しかしながら、特定標識がプローブのin situハイブリダイゼーション及び他のプローブ上の標識の検出を妨害しないことが望ましい。標識がアッセイの感受性を最大限とし、バックグラウンドシグナルを超えて検出され得るようにできるだけ少ないコピー数で検出され得ることが望ましい。また、標識が高局在シグナルを与え、これにより高度の空間分解能を与えることが望ましい。
【0088】
核酸プローブへの蛍光体の結合は当業界で公知であり、利用可能な手段により実行され得る。蛍光体は例えば特定ヌクレオチドに共有結合され得、標識されているヌクレオチドは標準技術、例えばニックトランスレーション、ランダムプライミング(Rigbyら,J.Mol.Biol.,113:237(1997))、PCRラベリング、エンドラベリング、シトシン残基のような特定残基の化学修飾による直接ラベリング(米国特許No.5,491,224)等を用いてプローブに取り込まれ得る。或いは、蛍光体は、例えばアミノ交換されているプローブのデオキシシチジンヌクレオチドに対してリンカーを介してプローブに取り込まれている活性化リンカー腕を用いてヌクレオチドに共有結合され得る。プローブのラベリング方法は米国特許No.5,491,224及びMorrisonら,Molecular Cytogenetics:Protocols and Applications,Chapter 2,“Labelling Fluorescence In Situ Hybridization Probes for Genomic Targets”,pp.21−40,Fan,Ed.,Humana Press(2002)に記載されており、これらはいずれもプローブのラベリングの説明のために参照により本明細書に組み入れられる。
【0089】
当業者は他の物質または染料が標識含有部分として蛍光体の代わりに使用され得ることを認識している。発光物質は、例えば放射線発光性、化学発光性、生物発光性及び燐光性標識含有部分を含んでいる。可視光で検出可能な物質にはシアニン染料が含まれる。或いは、間接手段により可視化される検出部分を使用してもよい。例えば、プローブは当業界で公知のルーチンな方法を用いてビオチンまたはジゴキシゲニンで標識され、その後検出のために更に加工され得る。ビオチン含有プローブの可視化はその後検出可能なマーカーにコンジュゲートしたアビジンを結合することにより実行され得る。検出可能なマーカーは蛍光体であり得、この場合プローブの可視化及び識別は下記するように実行され得る。
【0090】
標的領域にハイブリダイズした染色体プローブは、標識部分を不溶の着色生成物を生じさせるために適当な基質と酵素反応させることにより可視化され得る。各プローブは別個の標識部分を選択することによりセット内の他のプローブから区別され得る。セット内のビオチン含有プローブは、その後アルカリホスファターゼ(AP)またはホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)にコンジュゲートしたアビジン及び適当な基質とインキュベートすることにより検出され得る。5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート及びニトロブルーテトラゾリウム(NBT)がアルカリホスファターゼに対する基質として役立ち、ジアミノベンゾエートがHRPに対する基質として役立つ。
【0091】
キット
キットも提供される。1つの実施形態では、キットは、(a)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ホスファターゼ・テンシンホモログ(PTEN)に対する遺伝子座特異的プローブ、8番染色体に対するセントロメアプローブ及び7番染色体に対するセントロメアプローブを含む患者の前立腺癌を診断できるプローブのセット、及び(b)患者から得た前立腺細胞のサンプル中の染色体異常の存在を調べることを含む患者の前立腺癌を診断するための説明書を含む。患者の前立腺の腫瘍関心領域(ROI)または良性ROIからの前立腺細胞のサンプル中の(2〜50の範囲で)35を超えるMYCの増加%(増加%はMYC >2シグナルの細胞の%である)、(29〜33の範囲で)33を超えるPTENの損失%(損失%は<2シグナルの細胞の%である)、(32〜34の範囲で)34を超える8番染色体の増加%(増加%は>2シグナルの細胞の%である)、及び(24〜29の範囲で)28を超える7番染色体の異常%(異常%は>2または<2シグナルの細胞の%である)は該患者が前立腺癌を有していることを示す。別の実施形態では、キットは、(a)患者の前立腺癌を診断できるプローブのセット、及び(b)患者の前立腺癌の治療/予防処置を診断、予測または評価するための説明書を含む。よって、キットは(a)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、リポタンパク質リパーゼ(LPL)に対する遺伝子座特異的プローブ、PTENに対する遺伝子座特異的プローブ及び8番染色体に対するセントロメアプローブを含む患者の前立腺癌を診断できるプローブのセット、及び(b)患者から得た前立腺細胞のサンプル中の染色体異常の存在を調べることを含む患者の前立腺癌を診断するための説明書を含む。患者の前立腺の腫瘍ROIからの前立腺細胞のサンプル中の(12〜22の範囲で)14を超えるMYC/LPLの増加%(増加%はMYC/LPL >1の細胞の%である)、(26〜40の範囲で)34を超える8番染色体の異常%(異常%は>2または<2シグナルの細胞の%である)、(22〜54の範囲で)44を超えるPTENの損失%(損失%は<2シグナルの細胞の%である)、または(10〜18の範囲で)16を超えるMYC/8番染色体の増加%(増加%はMYC/8番染色体 >1の細胞の%である)は該患者が前立腺癌を有していることを示す。患者の前立腺の良性ROIからの前立腺細胞のサンプル中の(12〜19の範囲で)18を超えるMYC/LPLの増加%、(25〜34の範囲で)32を超える8番染色体の異常%、(22〜28の範囲で)26を超えるPTENの損失%、または(9〜18の範囲で)16を超えるMYC/8番染色体の増加%は該患者が前立腺癌を有していることを示す。プローブのセットは更に、p16(9p21)に対する遺伝子座特異的プローブ、TMPRSS2−ERGまたはETV1融合(21q22;7p21遺伝子座)、3番染色体に対するセントロメアプローブ、7番染色体に対するセントロメアプローブ、10番染色体に対するセントロメアプローブ及び17番染色体に対するセントロメアプローブの1つ以上を含み得る。プローブのセットは更に、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤p27Kip1(4q43)に対する遺伝子座特異的プローブ、CDK2(12q13)に対する遺伝子座特異的プローブ、サイクリンE(CCNE1;19q12及びCCNE2;8q22)に対する遺伝子座特異的プローブ、網膜芽細胞腫1(Rb1;13q14)に対する遺伝子座特異的プローブ、NK3ホメオボックス1(NKX3.1;8p21.2)に対する遺伝子座特異的プローブ、上皮成長因子受容体(EGFR;7p11)に対する遺伝子座特異的プローブ、ホスホイノシチド−3−キナーゼ(PI3K;3q26)に対する遺伝子座特異的プローブ、AKT1キナーゼ(Akt1;14q32)に対する遺伝子座特異的プローブ、FKHR(FOXO1;13q14.11)に対する遺伝子座特異的プローブ、p53結合タンパク質ホモログ(MDM2;12q14.3−12q15)に対する遺伝子座特異的プローブ、p53(17p13.1)に対する遺伝子座特異的プローブ、v−Ki−ras2カーステンラット肉腫ウイルス癌ホモログ(KRAS;12p12.1)に対する遺伝子座特異的プローブ、v−rafマウス肉腫ウイルス癌ホモログB1(BRAF;7q34)に対する遺伝子座特異的プローブ、サイクリンD1(CCND1;11q13)に対する遺伝子座特異的プローブ、B細胞CLL/リンパ腫2(BCL2;18q21.3/18q21.33)に対する遺伝子座特異的プローブ及びアンドロゲン受容体(AR;Xq12)に対する遺伝子座特異的プローブの1つ以上を含み得る。キットは更に、染色体異常の存在を調べる前に、患者からの前立腺の切片を形態学的に評価し、少なくとも1つの腫瘍ROI、少なくとも1つの良性ROI、または少なくとも1つの腫瘍ROIと少なくとも1つの良性ROIを同定するための説明書を含む。
【0092】
或いは、キットは更に、染色体異常の存在を調べる前に、患者からの前立腺の切片を免疫蛍光法により評価し、腫瘍ROIの存在を同定することを含む説明書を含み、この場合キットは更に検出可能に標識され得る抗−α−メチルアシル−CoAラセマーゼ(AMACR)抗体を含み、患者からの前立腺の切片を免疫蛍光法により評価するための説明書は更に該切片を検出可能に標識されている抗−AMACR抗体と接触させ、AMACRの過剰発現を検出することを含み、該切片の領域中のAMACRの過剰発現は腫瘍ROIの存在を示す。説明書は更に患者からの前立腺の切片を免疫蛍光法により評価する前に、切片を熱誘導エピトープ賦活化で処理することを含む。前記キットは更にブロッキング剤または他のプローブ、プローブの検出を容易とするための各種標識またはラベリング剤、ハイブリダイゼーションのための試薬(例えば、緩衝液)、中期スプレッド等を含んでいてもよい。
【実施例】
【0093】
下記実施例は本発明を説明するのに役立つ。実施例は特許請求されている発明の範囲を限定すると決して意図されない。
【0094】
[実施例1]
本実施例は、プローブの各種組合せ及び蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)を用いる前立腺標本の分析を記載する。
【0095】
前立腺の腺癌を患っている16人の患者からの根治的前立腺摘除標本をイリノイ州シカゴのRush Medical Centerで集めた。2組のホルマリン固定・パラフィン包埋(FFPE)スライドが9人の患者から使用可能であった。1組は病理医がスクライブした腫瘍エリア(腫瘍関心領域(ROI))を含んでおり、他の組は腫瘍から離れているエリア(遠隔ROI)を含んでいた。前立腺肥大症(BPH)を患っている11人の患者からのスライドを前立腺の経尿道的切除(TURP)により集め、対照として使用した。
【0096】
スライドを1×SSC(15mM クエン酸及び0.15M NaCl)中でインキュベーションした後、ペプシン消化することにより前処理した。スライドを以下のプローブセット:MYC、LPL及び染色体エニュメレータープローブ(CEP)8;PTEN、CEP10(登録商標)及びCEP7(登録商標);TMPRSS2−ERGまたはETV1融合;及びCEP3(登録商標)、CEP7(登録商標)、CEP17(登録商標)及びp16を用いて多色FISHによりハイブリダイズした。幾つかのフィールドを評価した。セット中の各プローブについて25〜50細胞/標本の蛍光シグナルの数を計数した。TMPRSS2離脱プローブについて再配列のすべてのパターン及びコピー数変化を観察し、記録した。遠隔ROIからのスライドを最も異常なFISHシグナルパターンについてスキャンし、これらのパターン及び隣接領域を含んでいる視野数を計数した。
【0097】
根治的前立腺摘除術からの標本中の腫瘍ROIはMYC増幅/増加、LPL損失、PTEN損失、TMPRSS2再配列及び異数染色体を含めた染色体異常を呈していた。遠隔ROIを含んでいる良性のスライドでも重要な染色体異常が観察された。エニュメレーション結果を分析して、個々のプローブまたは誘導分類子(例えば、2つのプローブの比)についてのカットオフを決定し、癌に関係する異常のパターンがBPH標本中の見かけ上良性の組織のパターンと最もうまく識別される。カットオフはゲノム異常を含んでいる細胞のパーセンテージに基づいていた。良性平均シグナルカウント−3標準偏差未満のシグナルカウントの固定カットオフを損失を確定するために使用し、良性平均シグナルカウント+3標準偏差よりも大きい固定カットオフを増加を確定するために使用した。TMPRSS2再配列についてのカットオフは再配列を含んでいる評価した領域内の細胞の約20%以上であった。固定カットオフに基づいて、MYCの増加及び異数染色体が15/16 腫瘍ROIで見られ、TMPRSS2再配列が11/16 腫瘍ROIで見られたのに対して、MYCの増加及び異数染色体が2/9 遠隔ROIで見られ、TMPRSS2再配列が5/9 遠隔ROIで見られた。分析の結果から、選択したカットオフでの幾つかの染色体異常の検出が腺癌患者からの標本に対して非常に特異的であったことが更に立証された。
【0098】
[実施例2]
本実施例は、プローブの各種組合せを用いるFISHによる前立腺標本の分析を記載する。
【0099】
評価のために全部で6個のプローブを使用した。これら6個のプローブは、3個の7番、8番及び10番染色体に対するセントロメアプローブ(CEP(登録商標))及び3個の遺伝子座特異的同定子(LSI(登録商標))プローブ(MYC(8q24)、LPL(8p21−22)及びPTEN(10q23))から構成した。プローブは前立腺癌における頻繁な異常を明らかにした文献レビュー(Bovaら,Cancer Res.,53:3869−3873(1993);Kaganら,Oncogene,11:2121−2126(1995);Emmert−Buckら,Cancer Res.,55:2959−2962(1995);上掲のYoshimotoら(2007);及びKazunariら,J.Nat’l Cancer Inst.,9(18):1574−1580(1999))に基づいて選択した。LSI(登録商標)及びCEP(登録商標)プローブはVysis/Abbott Molecular,Inc.(イリノイ州デスプレーンズ)から入手した。その後の評価のために含めたプローブを組み合わせて2つのプローブセットとした。第1プローブセットは、MYC 8q24(SpectrumGreen(商標))、LPL 8p21−22(SpectrumOrange(商標))及びCEP8(登録商標)(SpectrumAqua(商標))から構成されているProVysion(登録商標)であった。第2プローブセット(PTENセット)はPTEN(SpectrumOrange(商標))、CEP7(登録商標)(SpectrumAqua)及びCEP10(登録商標)(SpectrumGreen)を含んでいた。
【0100】
前立腺の腺癌を患っている患者からの33個の根治的前立腺摘除(RP)標本はイリノイ州シカゴのRush University Medical Centerから入手した。標本毎に、4〜6μmの組織切片を病理医がスクライブして、腫瘍領域をマークした。33RP症例のうち17症例について、組織学的に良性の組織しか有していない第2切片を得た。26個の前立腺肥大症(BPH)標本は対照として使用した(Nakayamaら,J.Cell Biochem.,91(3):540−552(2004))。6プローブの各々についてのFISHシグナルを50〜100細胞/切片で計数した。
【0101】
標本毎に、5μmの組織切片を病理医がスクライブして、存在するならば腫瘍領域をマークした。FFPE組織切片スライドを56℃で2〜24時間焼き、Hemo−De(Scientific Safety Solvents)を用いて室温で5分間ずつ3回前処理し、100% エタノールを用いて室温で1分間ずつ2回濯ぎ、45% ギ酸/0.3% 過酸化水素中、室温で15分間インキュベートした後、脱イオン水を用いて3分間濯いだ。次いで、スライドを前処理溶液(1×SSC,pH6.3)中、80℃で35分間インキュベートし、脱イオン水を用いて3分間濯ぎ、0.1N HCl溶液中0.15% ペプシン中で37℃で22分間インキュベートし、脱イオン水を用いて再び3分間濯いだ。スライドを70%、85%及び100% エタノールを用いて1分間ずつ脱水した後、風乾させた。10μLのそれぞれのプローブハイブリダイゼーションミックス(LSI(登録商標)緩衝液、ブロッキングDNA及び標識したプローブ)を標本に添加し、カバーガラスを被せ、ラバーセメントでシールした、スライドを73℃で5分間共変性し、ThermoBrite(Vysis/Abbott Molecular,Inc.)を用いて37℃で16〜24時間ハイブリダイズした。ハイブリダイゼーション後、カバーガラスを外し、スライドを2×SSC/0.3% NP−40を用いて73℃で2分間、続いて2×SSC/0.1% NP−40を用いて室温で1分間洗浄した。10μLのDAPI I対比染色液をスライド上に置き、カバーガラスを被せた。
【0102】
ハイブリダイゼーション後、FISHシグナルエニュメレーションを実施した。各標本をDAPI(4,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール)、Spectrum Orange(商標)、Spectrum Green(商標)及びSpectrum Aqua(商標)に対して特異的なシングルバンドパスフィルター(Abbott Molecular,イリノイ州デスプレーンズ)を用いて蛍光顕微鏡下で分析した。プローブ毎のFISHシグナルの数を対応するH&E−染色した組織に対して核のDAPI染色により同定した関心エリア中の最低50個の連続の非重複無傷の中間期核(例えば、約50〜100細胞の核)において記録した。プローブ毎に考慮した異常パラメーターは次の通りである:増加:[シグナルカウント]>2、損失:[シグナルカウント]<2、及び異常:[シグナルカウント]>2または<2。固定カットオフは、「26個のBPH標本中の異常細胞カウント%の平均+3S.D.」として計算した。標本異常は「細胞の異常%≧カットオフ」として定義した。
【0103】
異常FISHシグナルがMYC、LPL、CEP8(登録商標)、PTEN、CEP10(登録商標)及びCEP7(登録商標)についてスライド上で観察された。MYCの増幅/増加、LPL及びPTEN損失、及び異数染色体についての染色体異常が根治的前立腺摘除術からの標本の腫瘍関心領域(ROI)において観察されただけでなく、幾つかの良性ROIでも観察された。表1はエニュメレーションデータの要約を示す。33個の標本中の22個がProVysion(登録商標)プローブセットで検出された異常(66.7%)を有しており、33個の標本中の20個がPTENプローブセットで検出された異常(60.6%)を有していた。腫瘍ROIに対してProVysion(登録商標)+PTENプローブセットで検出された全異常は23/33、すなわち69.7%であった。より重要なことは、腫瘍から遠隔のROI(「遠隔ROI」)を含んでいる17個のスライドのうちの8個で有意な数の染色体異常が観察された(8/17=47.1%;ProVysion(登録商標)の場合4/17=23.5%;PTENプローブセットの場合6/17=35.3%)(表1)。分析した多くの前立腺癌症例の中で1個の標本で8番染色体の増加及び損失が同時に観察された。
【0104】
【表1】
【0105】
エニュメレーション結果を更にSASバージョン8.2(SCA#S05020002)を用いて受信者操作特性(ROC)曲線により分析した。プローブを選択し、最高の感受性及び特異性を与える最適FISH分析アルゴリズムを決めるために、プローブ毎に次のパラメーターを考慮した。
・増加%、>2シグナルの細胞のパーセント、
・損失%、<2シグナルの細胞のパーセント
・異常%、>2または<2シグナルの細胞のパーセント、
・2プローブ比(プローブA/プローブB)の場合、増加%はA/B比>1の細胞のパーセントであり、損失%はA/B比<1の細胞のパーセントであった。
【0106】
スクライブされた腫瘍領域内のMYC/LPLの増加%、PTENの損失%、MYC/CEP8(登録商標)の増加%及びCEP8(登録商標)異常%パラメーターの組合せにより、RP標本の97.1%(33/34)でBPH(χ2 p<0.001)に対して96.2%(25/26)の特異性で腺癌が同定された。正常な組織を有する領域で検出されると、これらの異常は82.4%(14/17 RP標本,BPHに対してχ2 p<0.001)で腺癌と相関していた。表2は、各プローブ及びプローブ組合せについてのAUC(曲線下面積)、最良の特異性及び感受性のROC分析要約である。
【0107】
【表2】
【0108】
我々は、まず異なる標本群(腫瘍ROI対BPH、及び良性ROI対BPH)を2サンプルt検定を用いて比較することにより潜在的に重要なFISHプローブをスクリーニングしようとするデータ組を分析するために別の方法も使用した。t検定から有意なp値(p値<0.05)を有するFISHパラメーターを更なる試験のために選択した。
【0109】
FISHにより検出されたゲノムコピー数から誘導される16個のパラメーターを評価した。これらのパラメーターはCEP10の異常%、CEP10の増加%、CEP7の異常%、CEP7の増加%、CEP8の異常%、CEP8の増加%、CEP8の損失%、MYCの増加%、LPLの異常%、LPLの損失%、PTENの損失%、PTEN/CEP10の損失%、CEP7/CEP10の増加%、LPL/CEP8の損失%、MYC/CEP8の増加%及びMYC/LPLの増加%であった。t検定分析の結果から、16個のFISHパラメーターのすべてについてその平均値は腫瘍群とBPH群の間で統計上異なっていた(表3)。
【0110】
【表3】
【0111】
良性ROI及びBPHデータのt検定の結果は、表4に示す10/16パラメータはフィールド効果について統計上異なっていることを示している。これら10個のFISHパラメーターはCEP10の異常%、CEP10の増加%、CEP7の異常%、CEP7の増加%、CEP8の異常%、CEP8の増加%、MYCの増加%、LPLの異常%、PTENの損失%及びPTEN/CEP10の損失%であった。
【0112】
【表4】
【0113】
2サンプルt検定に基づいてBPH群と腫瘍または良性ROI群間で有意な差を示した10個のFISHパラメーターを更なる評価のために選択した。ROC方法を適用して、これらFISHパラメーターについての最適カットオフ値を同定した。表5は、腫瘍ROIとBPHを区別するとき及び良性ROIとBPHを区別するときのこれら10個のFISHパラメーターの各々についての感受性、特異性及びAUCを要約する。上5個のFISH単一パラメーターをフィールド効果について良性ROI標本対BPHを区別するときのAUC値に基づいて選択した。これらは表5に示すようにPTEN/CEP10の損失%、PTENの損失%、CEP7の異常%、MYCの増加%及びCEP8の増加%であった。
【0114】
【表5】
【0115】
上5個の単一プローブパラメーターを4プローブセットのすべての考えられる組合せに分類した後、カットオフ値、AUC及び最低DFIについて良性の標本に対して1%毎に5%〜35%の範囲のカットオフでSASを用いて受信者操作特性(ROC)曲線により分析した。複数プローブ組合せについて、パラメーター毎に独立してカットオフを変化させてグラフ上に点のフィールドを生じさせ、各特異性値で最高の感受性値を有する点を用いてROC曲線を規定した。統計方法を用いて考えられる組合せ及びカットオフ値が得られるが、科学的判断を用いて各種トレードオフを荷重して、カットオフ値及びプローブ組合せを最終決定した。
【0116】
表6における分析は、プローブセット3が0.938の最大AUCを有し、プローブセット1のAUCは最低のDFI、及び最良の感受性及び特異性で0.917の2番目に最大であった。プローブセット3は1個のLSIプローブ、すなわちPTENのみを有しており、プローブセット1は2個のLSIプローブ、すなわちPTEN及びMYCを有している。CEPプローブは異数染色体を検出するために使用され、LSIプローブは通常特定遺伝子の欠失、複製または増幅を検出するために使用されている。この分析に基づいて、PTENの損失%、CEP7の異常%、MYCの増加%及びCEP8の増加%を含むプローブセット1を選択した。プローブセット1の対応する感受性及び特異性はそれぞれ0.882、0.846である。
【0117】
【表6】
【0118】
最良の4プローブ組合せ、及びPTENの損失%、CEP7の異常%、MYCの増加%、CEP8の増加%を含めた4個の単一FISHパラメーターについてのROC曲線プロットを
図4に示す。データは、17個の良性ROI及び26個のBPH標本のFISH評価から得た。33個の腫瘍ROI及び26個のBPH標本の4プローブ組合せの計算もROCプロット上に示す。ROC曲線のAUCをROCプロットの下の表に示す。
【0119】
表7は4プローブ組合せ性能の要約であった。4個の個々のプローブパラメーターについて選択したカットオフ値はPTENの損失%>33、CEP7の異常%>28、MYCの増加%>35及びCEP8の増加%>34であった。4プローブ組合せの感受性は100%であり、腫瘍ROI対BPHに対する特異性は84.6%であった。良性ROIをBPHと比較すると、プローブ組合せにより88.2%の感受性及び84.6%の特異性が生じた。
【0120】
【表7】
【0121】
図5に示すROC分析から、選択したプローブセットの各単一FISHパラメータについてのカットオフ範囲が規定された。
【0122】
PSA検査と比較すると、4.0ng/mLを超える血清PSAレベルを有する患者に対する感受性はコンテンポラリーシリーズで約20%であり、PSA検査の特異性はおおよそ60%〜70%(Prostate−Specific Best Practice Statement,2009 Update,American Urological Association)である。この研究で選択した4プローブセットを用いるFISH検査では、腫瘍標本について100%の感受性及び84.6%の特異性が達成された、よって、FISHアッセイがPSA検査よりも性能が優れている可能性を有している。高い感受性で、陰性結果は癌の可能性を排除することができ、追加の生検を避けることができる。更に、PSAはBPHの兆候を有している男性を区別する能力が低い(Meigsら,J.Gen.Intern.Med.,11:505(1996))が、本明細書中に記載されているFISHアッセイはフィールド効果に基づいて良性ROIを88.2%の感受性及び84.6%の特異性で検出する可能性を有している。
【0123】
前立腺癌診断のために使用されている別のアッセイはPCA3検査である(Vlaeminck−Guillemら,Urology,75:447(2010))。不確定のPSA(2.5〜10.0ng/mL)を有している患者を評価する4つの研究では、感受性は53〜84%の範囲であり、特異性は71〜80%の範囲であった。以前の陰性生検後にPCA3の性能データを与えた少なくとも200人の患者を用いた3つの研究では、感受性は47〜58%の範囲であり、特異性は71〜72%の範囲であった。陽性の生検を独立して予測するときにPCA3はPSAよりもうまく機能しているが、本明細書中に記載されている4プローブFISHアッセイの性能はPSA及びPCA3検査のいずれよりも良好であり、腫瘍標本の場合100%の感受性及び84.6%の特異性、良性ROIの場合88.2%の感受性及び84.6%の特異性であった。
【0124】
上記に加えて、FISHアッセイは凍結標本または細胞標本からの細胞に対しても使用され得る。評価は顕微鏡または画像獲得を介するシグナル検出、シグナルエニュメレーション及びその後のデータ解析アルゴリズムを含む。FISHアッセイは大きな染色体変化(欠失、増幅、異数染色体及び転座)を検出するために安定なDNAを使用しており、分子評価を組織形態と組み合わせることができ、多病巣性及び異質な癌中のまれな異常を検出することができ、組織学的評価により見つけられる実際の腫瘍を含んでいない生検標本中の癌の存在を検出することができ、独立型検査または他の検査(例えば、組織学、PSA、ノモグラム、メチル化及び突然変異)に対する補助として使用され得、プローブを組み合わせることにより単一アナライトアッセイよりも感受性及び特異性の向上を実現することができる。
【0125】
方法は、癌を難しい良性の状態(BPH)と区別するために、良性組織を前癌病変と区別するために組織学的組織評価を助けることができ、生検、経尿道的切除(TURP)または外科的(根治的前立腺摘除術)標本中の腺癌の診断を助けることができる。
【0126】
RP標本組を用いるこの研究では、染色体異常が腫瘍領域内でも、組織学的に明白な腫瘍を超えて広がっている正常な組織の領域内でも観察され、前立腺癌の広域癌化作用が確認された。広域癌化のFISH検出は、生検で見落とされた存在している癌から離れている広域細胞中の染色体異常を発見することにより診断生検サンプリングを減らすことができる。従って、MYC、CEP8、PTEN及びCEP7を測定するためのFISHに基づく分子検査により、そうでなければ病理組織学的検査により見落とされる癌を検出することができ、よって前立腺針生検のサンプリングエラーを減らすことにより前立腺癌の診断を向上させることができる。
【0127】
[実施例3]
本実施例は、プローブの各種組合せを用いる免疫蛍光法(IF)及びFISHによる前立腺標本の分析を記載する。
【0128】
同一FFPE前立腺固形腫瘍組織スライド(Koracら,J.Clin.Pathol.,58:1336−1338(2005))を免疫蛍光法及びFISHにより分析した。標本前処理/抗原賦活化プロトコルを開発し、FFPE組織に対する最良の結果のために最適化した。
【0129】
この手順の第1ステップは熱誘導エピトープ賦活化(HIER)であった。FFPEスライドをHemo−De(Scientific Safety Solvents,テキサス州ケラー)で10分間、D−リモネンで10分間、100% エタノールで2分間を2回、85% エタノールで2分間、70% エタノールで2分間、50% エタノールで2分間、30% エタノールで2分間、及び水で5分間処理した。その後、スライドをクエン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)中で100℃で30分間加熱し、クエン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)を用いて20分間冷却し、水中に5分間浸漬した後、リン酸緩衝食塩液(PBS)中に5分間浸漬した。
【0130】
第2ステップは抗−α−メチルアシル−CoAラセマーゼ(AMACR)抗体(Zhongら,Am.J.Clin.Pathol.,123:231−236(2005))及びチラミドシグナル増幅アッセイ(Sokolovaら,J.Molec.Diag.,9(5):604−611(2007))を用いるIFであった。チラミド溶液アッセイキット及びホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)を含むAlexa Fluor 488 TSA(商標)(チラミドシグナル増幅)キット番号2(カタログNo.T20912;Invitrogen,カリフォルニア州カールスバッド;Molecular Probes,オレゴン州ユージーン)を製造業者の指示に従って使用した。3% H
2O
2中、室温で30分間インキュベートすることにより内因性ペルオキシダーゼ活性をブロックした。ブロッキング試薬(100μL/スライド)を添加し、スライドを加湿ボックスにおいて室温で30分間インキュベートした。希抗−AMACR抗体(100μL;家兔;P504S;クローン13H4;Sigma,ミズーリ州セントルイス)(1% ブロッキング試薬を用いて1:100希釈した)を添加し、スライドを室温で1時間インキュベートした。スライドをPBS/0.1% トゥイーン20を用いて5分間ずつ3回洗浄した。ストックHRPコンジュゲート溶液を1% ブロッキング溶液で1:100希釈した。100μL容量のこの作業溶液で標準22×2mmカバーガラスは十分覆われた。スライドを室温で30分間インキュベートし、PBS/0.1% トゥイーン20を用いて5分間ずつ3回洗浄し、PBSを用いて1回洗浄した。チラミド溶液(100μL/スライド)を各スライドに添加した後、スライドを暗所において室温で10分間インキュベートした。スライドをPBSを用いて5分間、次いでミリQ水を用いて5分間洗浄した。
【0131】
第3ステップはFISHであった。スライドをアルコール(70%、85%及び100%,1分間ずつ)を用いて脱水し、完全に風乾させた。各スライドにプローブ溶液(10μL)を添加し、カバーガラスをスライド上にラバーセメントでシールした。プローブ及び標的DNAを73℃で5分間共変性し、スライドに対して37℃で一晩ハイブリダイズした。2×SSC/0.1% NP−40中に室温で浸漬させることによりカバーガラスを外した。スライドを2×SSC/0.3% NP−40を用いて73℃で2分間、2×SSC/0.1% NP−40を用いて室温で1分間、次いで水で洗浄した後、暗所において完全に風乾させた。スライドをDAPIで対比染色した。
【0132】
抗−AMACR抗体をPTEN(SpectrumOrange(商標))及びCEP7(登録商標)(SpectrumAqua(商標))FISHプローブと一緒に用いるチラミド媒介IFにより7個の標本を処理し、評価した。AMACRは癌細胞に対する特異的マーカーである。これは常に前立腺癌上皮において過剰発現する。その発現は前癌状態病変(前立腺上皮内腫瘍)でも増加する(上掲のZhongら,2005)。AMACR染色は腫瘍ROIにおいて強陽性であり、これはAMACRタンパク質が過剰発現されていることを示す。この領域のみの多くの細胞がFISHアッセイによりPTEN欠失を示すPTENの1個の対立遺伝子を有しており、7番染色体が無傷であることを示すCEP7の2個の対立遺伝子を有している。7個の標本の分析の結果を表8に示す。この表は、IF染色(AMACR陽性+または陰性−)の7個の標本からの14エリア中の12(12/14=85.7%)は検査したプローブのFISHシグナル異常及び訓練された病理医による腫瘍の形態学的評価と相関していたことを示す。異種及び多病巣性前立腺癌では、AMACR抗体染色によりFISH評価のための関心エリアが同定された。
【0133】
【表8】
【0134】
[実施例4]
本実施例は、前立腺癌に対する組織学的サンプル前処理及びハイブリダイゼーションの方法を記載する。
【0135】
FFPE(ホルマリン固定・パラフィン包埋)組織学的標本スライド(切片)を56℃で2〜24時間焼き、次いでHemo−De(Scientific Safety Solvents)またはXylineを用いて室温で5〜10分間ずつ2〜3回前処理した後、100% エタノールを用いて室温で1分間の濯ぎを2回実施し、45% ギ酸/0.3% 過酸化水素中、室温で15分間インキュベートし、脱イオン水を用いて3〜10分間濯いだ。次いで、スライドを前処理溶液(1×SSC,pH6.3)中80±5℃で35〜50分間インキュベートし、脱イオン水を用いて3分間濯ぎ、0.1N HCl溶液中0.15% ペプシン中37℃で22±5分間インキュベートし、再び脱イオン水を用いて3分間濯いだ。スライドを70%、85%及び100% エタノールを用いて1分間ずつ脱水した後、風乾させた。10μLのそれぞれのプローブハイブリダイゼーションミックス(LSI(登録商標)緩衝液、ブロッキングDNA、標識したプローブ)を標本に添加し、カバーガラスを被せ、ラバーセメントでシールした。スライドを73±2℃で5分間共変性し、ThermoBrite(Vysis/Abbott Molecular,Inc.)を用いて37℃で10〜24時間ハイブリダイズした。ハイブリダイゼーション後、カバーガラスを外した。サンプルを0.3×〜2×SSC及び0.3%〜0.5% NP−40から構成した洗浄溶液中に入れ、サンプルの温度を約73℃に約2〜5分間上昇させた。次いで、サンプルを有している基質を溶解状態の核DNA結合ステイン(例えば、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI))を用いて対比染色し、またはサンプルを暗所で乾燥させた。後者の場合、サンプルを約10μLのDAPIを用いて対比染色し、新しいカバーガラスをサンプル上に載せた。その後、サンプルを調査し、または例えば約−20℃で保存した。
【0136】
[実施例5]
本実施例は、前立腺FFPEスライドIF−FISH手順の方法を記載する。
【0137】
同一FFPE前立腺固形腫瘍組織スライドに対する同時FISH及び免疫蛍光法(IF)のアッセイのために、標本前処理/抗原賦活化プロトコルを開発し、IF−FISH用FFPE組織に対する最良の結果のために最適化した。
【0138】
この手順の第1ステップは抗原賦活化である。前立腺癌FFPEスライドを56℃で2時間〜一晩焼いた。次いで、スライドをHemo−De中に10分間ずつ2回浸漬することにより脱パラフィン化した。次いで、スライドを100% エタノール中で2分間ずつ2回インキュベートした。85%、70%、50%及び30% エタノール中に2分間ずつ入れることによりスライドを水和した。最後に分子グレードのミリQ水中に5分間浸漬した。温度が96±4℃に達するまで水浴をクエン酸ナトリウム緩衝液(10mM クエン酸ナトリウム,0.05% トゥイーン20,pH6.0)を含んでいるコプリンジャーを用いて前加熱した。スライドを20〜60分間インキュベートした。スライドをベンチ上で室温で20〜40分間冷却した。スライドをミリQ水を用いて5分間洗浄し、PBSを用いて5分間1回濯いだ。
【0139】
第2ステップはAMACR抗体及びチラミドシグナル増幅アッセイを用いる免疫蛍光法(IF)である。チラミド溶液アッセイ(TSA)キット及びAlexa Fluor 488 TSA(チラミドシグナル増幅)キット番号2(Invitrogen,Molecular Probes)を製造業者の指示に従って使用した。3% H
2O
2中、室温で30分間インキュベートすることにより内因性ペルオキシダーゼ活性をブロックした。ブロッキング試薬(100μL/スライド)を添加し、加湿ボックスにおいて室温で30分間インキュベートした。100μLの希AMACR家兔抗体(1% ブロッキング試薬で1:100希釈した)を添加し、室温で1時間インキュベートした。スライドをPBS/0.1% トゥイーン20を用いて5分間ずつ3回洗浄した。ストックHRPコンジュゲート溶液を1% ブロッキング溶液で1:100希釈した。100μL容量のこの作業溶液で標準22×2mmカバーガラスは十分覆われる。スライドを室温で30分間インキュベートした。スライドをPBS/0.1% トゥイーン20を用いて5分間ずつ3回洗浄した後、PBSを用いて1回洗浄した。100μL/スライドのチラミド溶液を添加した後、暗所において室温で10分間インキュベートした。次いで、スライドをPBSを用いて5分間、ミリQ水を用いて5分間洗浄した。
【0140】
第3ステップはFISHアッセイである。スライドをアルコール(70%、85%及び100%,1分間ずつ)を用いて脱水し、完全に風乾させた。各スライドに10μLのプローブの溶液を添加し、カバーガラスをスライド上にラバーセメントでシールした。プローブ及び標的DNAを73℃で5分間変性した後、37℃で一晩ハイブリダイズした。サンプルを0.3×〜2×SSC及び0.3%〜0.5% NP−40から構成した洗浄溶液中に入れ、サンプルの温度を約73℃に約2〜5分間上昇させた。次いで、サンプルを有している基質を溶解状態の核DNA結合ステイン(例えば、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI))を用いて対比染色し、またはサンプルを暗所で乾燥させた。後者の場合、サンプルを約10μLのDAPIを用いて対比染色し、新しいカバーガラスをサンプル上に載せた。その後、サンプルを調査し、または例えば約−20℃で保存した。
【0141】
明細書中に挙げられているすべての特許明細書、出願公開明細書、論文、教科書及び他の刊行物は本発明が関係する当業者の技術レベルを示している。前記刊行物はすべて、各刊行物が具体的に、個々に参照により組み入れられると示されているのと同程度に参照により本明細書に組み入れられる。
【0142】
好適には、本明細書中に例示的に記載されている発明は本明細書中に具体的に開示されていない要素または限定なしで実施され得る。よって、例えば、用語「含む」、「本質的に構成される」及び「構成される」の各々は他の2つの用語のいずれかで置換され得る。同様に、単数形「a」、「an」及び「the」は文脈が明白に反対の指示がない限り複数も含む。よって、例えば、「方法」に対する言及は本明細書中に記載されている及び/または開示内容を読んだときに当業者に明らかとなるであろうタイプの1つ以上の方法及び/またはステップを含む。
【0143】
使用されている用語及び表現は説明の点で使用されており、限定的でない。これに関して、ある用語が「定義」の欄で定義されており、「詳細説明」中の他のところで他の方法で規定、記載または検討されている場合、これらの規定、記載及び検討のすべてが前記用語に属していると意図される。示され、記載されている要件の均等物またはその一部を除外する前記用語及び表現の使用も意図していない。更に、副題、例えば「定義」が「詳細説明」中に使用されているが、その使用は単に参照を容易とするためであり、1つの欄でなされている開示をその欄のみに限定すると意図していない。むしろ1つの副題の下でなされている開示内容は他の副題のそれぞれの下でなされている開示内容を構成すると意図される。
【0144】
各種修飾が特許請求されている発明の範囲内で可能であることが認識されている。よって、本発明は好ましい実施態様及び任意の要件との関連で具体的に開示されているが、当業者は本明細書中に開示されている概念の修飾及び変更を用いることができる。前記修飾及び変更は本明細書中で特許請求されている発明の範囲内であると見なされる。