【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、第1の選択されたポリマー材料(一般的には、ポリウレタンの少なくとも約90%重量からなる)の外層と、第2の選択されたポリマー材料(一般的には、ポリエチレンの少なくとも約90%重量からなる)の外層と、内層と外層との間に配置されると共に化学的接着などの接着機構によって一緒に内層と外層とを結合する第3のポリマー材料(一般的には、アクリレートを含有する共重合体の少なくとも約90%重量からなる)の中間層と、からなるポリマー材料の少なくとも3つの同心層を有する管、チューブ又はチューブデバイスが提供される。ポリマー材料の層は、外層及び内層が中間層又は真ん中層に接着され従って互いに接着されるように管を形成するために、互いに共押出しされる。管は、管の壁として作用するポリマー材料の層によって半径方向に囲まれて画定された中央の中空チャンネル、ボア又は通路が形成される。
【0005】
ポリマー材料は、好ましくは、ポリマー材料が潜在的に不要な物質のよりわずかな量(一般的には、約0.5%重量未満、好ましくは、約0.2%重量未満)を含有しない及び/又は人間に又は人間からインスリン、化学療法薬および他の潜在的に不安定な水性薬物懸濁液などの水溶液の供給で、管の使用の通常の過程中、三層の一つの層又は他の層が接触するかもしれない水溶液又は媒体の中に、人間に潜在的に不要である可塑剤、触媒、モノマー、金属、塩、イオン又は他の物質などの不要な物質が浸出する又は漏れるのを防止することを意味する“汚染物質フリー”である。外層と内層との間の接着剤として作用する及び外層と内層を接着することに加えて、中間層は、応力及び歪みを緩和するために、比較的低い条件下で中間層からの外層及び内層の剥離を防止する。さらに、中間層は、管の中空の中央穴又は通路の中に外層から内層への又は外層から内層を通じた汚染物質の浸出または漏れに対するバリヤーとして機能する。
【0006】
好ましくは、外層のポリマー材料は、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー材料(“TPU”)からなり、内層は、ポリエチレン(“PE”)、典型的には、低密度ポリエチレン(“LDPE”)、直鎖状低密度ポリエチレン(“LLDPE”)、高密度ポリエチレン(“HDPE”)又はそれらの混合物からなり、中間層又は真ん中層は、エチレンエチルアクリレート共重合体(“EEA”)、エチレンメチルアクリレート共重合体(“EMA”)、無水物グラフト結合されたエチレンアクリル酸メチル共重合体(“AEMA”)、二つ以上の前記アクリレートの共重合体、あるいは、二つ以上のこれらのアクリレート系共重合体の混合物からなる。
【0007】
図1、
図2に関し、好ましくは、ポリウレタン外層1は、厚さT3が約0.00254cm乃至約0.0635cm(約0.001インチ乃至約0.025インチ)であり、内層のポリエチレン層は、厚さT1が約0.00254cm乃至約0.0635cm(約0.001インチ乃至約0.025インチ)であり、中間のアクリレート共重合体の層は、厚さT2が約0.00254cm乃至約0.0635cm(約0.001インチ乃至約0.025インチ)である。層1、2、3は、中央の流体流路20を囲んで画定する管壁を一体的に形成する。
【0008】
エチレンエチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレンメチルアクリレート共重合体(“EMA”)、無水物グラフト結合されたエチレンアクリル酸メチル共重合体(“AEMA”)は、本質的にエラストマー性であり、優れた視覚的明瞭さを有する。典型的な3M3LL共押出プロセスでは、TPU、EEA又はEMA又はAEMA及びPEは、チューブ状押出物を形成するためのダイヘッドを通して溶融押出され、その後、一般的な水浴または水真空タンクを通じて冷却され、その後、使用のための特定の長さに巻き取られるか切断される。EEA、EMA、AEMA又はそれらの共重合体の弾性及び柔軟性のレベルは、共重合プロセスにおけるエチレンで利用されるエチルアクリレート、メチルアクリレートコモノマーの量によって制御される。そのような共押出プロセス行為によって製造された三層管は、三層管が、約36時間60℃の水に沈水されたあとに層の間の離層せずに、最大約55MPの応力及び最大約900−950%のひずみで管の長手方向軸線に沿った引っ張り方法でひずみまたは延伸された後に元の形状及び寸法に接近して戻るモノリシックのように作用する。
【0009】
本発明によれば、内層、外層及び中間層を備える管が提供され、内層は、ポリエチレンからなり、外層は、熱可塑性ポリウレタンからなり、中間層は、エチレンエチルアクリレート共重合体又はエチレンアクリル酸メチル共重合体、または、無水物グラフト結合されたエチレンアクリル酸メチル共重合体、二つ以上の前記アクリレート系共重合体、あるいは、二つ以上のこれらのアクリレート系共重合体の混合物からなる。
【0010】
内層は、典型的には、ポリエチレンの約90重量%以上からなり、外層は、芳香族または脂肪族ポリエーテル系ポリウレタンの約90重量%以上からなり、中間層は、エチレンエチルアクリレート共重合体の約90重量%以上からなる。
【0011】
ポリエチレンは、典型的には、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンの一つ以上からなり、芳香族ポリエーテル系ポリウレタンは、典型的には、ポリテトラメチレングリコール系ポリウレタンからなり、エチレンエチルアクリレート共重合体は、典型的には、重量で少なくとも19.5%のエチルアクリレート含量を含む。
【0012】
内層は、典型的には、ポリエチレンの約90重量%以上からなり、外層は、典型的には、芳香族ポリエーテル系ポリウレタンの約90重量%以上からなり、中間層は、典型的には、エチレンエチルアクリレート共重合体の約90重量%以上からなる。
【0013】
内層は、低密度ポリエチレン(LDPE)の約90重量%以上からなり、外層は、ポリテトラメチレングリコール系ポリウレタンの約90重量%以上からなり、中間層は、無水物グラフト結合されたエチレンアクリル酸メチル共重合体の約90重量%以上からなる。
【0014】
典型的には、ポリウレタンの外層の厚さは、約0.00254cm乃至約0.0635cm(約0.001インチ乃至約0.025インチ)であり、ポリエチレンの内層の厚さは、約0.00254cm乃至約0.0635cm(約0.001インチ乃至約0.025インチ)であり、エチレンエチルアクリレート共重合体の中間層の厚さは、約0.00254cm乃至約0.0635cm(約0.001インチ乃至約0.025インチ)である。
【0015】
最も好ましくは、内層及び外層は、華氏約72度及び相対湿度約50%の周囲環境条件で約30.48cm(12インチ)/分の引っ張り速度でLioyd LR5Kプラス機械的試験機を使用して軸線Aに沿った軸方向長さが約5.08cm(2インチ)の管10の長さを引っ張ることによって測定された最大約55MPの応力及び最大約900−950%のひずみで互いに視覚的に離層せず、管10のブレークポイントが約57−62MPa及び約1000−1050%である。
【0016】
最も好ましくは、管は、36時間60℃の水に沈水され、続いて、通常の円形の断面状態から平らな又は楕円形の断面形状又は状態まで管の手動の圧搾により平坦された後に視覚的に離層しない。
【0017】
好ましくは、管は、水溶液が流れる中央の軸方向流体通路を有し、内層は、水溶液と接触する半径方向の内壁面を有し、外層及び内層は、最大約55MPの応力及び最大約900−950%のひずみで互いに離層されるのに抵抗する。
【0018】
本発明の別の態様によれば、水溶液の輸送のための医療管が提供され、
医療管は、
ポリエチレンの約90重量%以上からなる内層と、
芳香族ポリエーテル系ポリウレタンの約90重量%以上からなる外層と、
内層と外層との間に配置された中間層であって、エチレンエチルアクリレート共重合体又はエチレンアクリル酸メチル共重合体、または、無水物グラフト結合されたエチレンアクリル酸メチル共重合体、二つ以上の前記アクリレートの共重合体、あるいは、二つ以上のこれらのアクリレート系共重合体の混合物の約90重量%以上からなる中間層と、を備える。
【0019】
このような実施形態では、内層及び外層は、最大約55MPの応力及び最大約900−950%のひずみで互いに視覚的に離層しない。そのような管は、好ましくは、36時間60℃の水に沈水された後に、視覚的に離層しない。
【0020】
本発明の別の態様によれば、水溶液の輸送のための医療管が提供され、
医療管は、
ポリエチレンの少なくとも約90重量%からなる内層と、
芳香族ポリエーテル系ポリウレタンの少なくとも約90重量%からなる外層と、
内層と外層との間に配置された中間層であって、エチレンエチルアクリレート共重合体又はエチレンアクリル酸メチル共重合体、または、無水物グラフト結合されたエチレンアクリル酸メチル共重合体、二つ以上の前記アクリレートの共重合体、あるいは、二つ以上のこれらのアクリレート系共重合体の混合物の少なくとも約90重量%からなる中間層と、を備え、
管は、36時間60℃の水に沈水された後に、視覚的に離層しない。
【0021】
本発明の別の態様によれば、水溶液の輸送のための医療管が提供され、
医療管は、
低密度ポリエチレンの少なくとも約90重量%からなる内層と、
ポリテトラメチレングリコール系ポリウレタンの少なくとも約90重量%からなる外層と、
エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレンアクリル酸メチル共重合体、無水物グラフト結合されたエチレンアクリル酸メチル共重合体、前記アクリレートの共重合体、あるいは、二つ以上のこれらのアクリレート系共重合体の混合物の少なくとも約90重量%からなる中間層と、を備え、
管は、最大約55MPの応力及び最大約900−950%のひずみで互いに視覚的に離層せず、
管は、36時間60℃の水に沈水された後に、視覚的に離層しない。
【0022】
最も好ましくは、中間層は、外層と内層との間へのあるいは外層から内層又は中央流路へのあるいは中央流路又は内層から外層への、モノマー、短鎖ポリマー、イオン、水、有機小分子、金属、可塑剤、触媒などの可動性のある成分の移行に対するバリヤーとして機能し、その移行を防止し、又は、実質的にその移行を低減する。
【0023】
さらに、本発明によれば、外層と、最内層と、外層と最内層との間に配置された中間層と、を備える医療管を形成する方法が提供され、
その方法は、
選択された構造的安定性を有する第1ポリマー材料を選択するステップと、
水溶液に対して不活性である第2ポリマー材料を選択するステップと、
第1ポリマー材料及び第2ポリマー材料の共押出及び冷却で、第1ポリマー材料及び第2ポリマー材料に容易に結合して付着する第3ポリマー材料を選択するステップと、
外層が第1ポリマー材料の少なくとも約90%重量からなり、最内層が第2ポリマー材料の少なくとも約90%重量からなり、中間層が第3ポリマー材料の少なくとも約90%重量からなるような構成で医療管を形成するために、第1ポリマー材料、第2ポリマー材料及び第3ポリマー材料を共押出しするステップと、を備える。
【0024】
そのような方法において、好ましくは、
第1ポリマー材料は、ポリウレタンであるように選択され、
第2ポリマー材料は、
ポリエチレンであるように選択され、
第3ポリマー材料は、エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレンアクリル酸メチル共重合体、無水物グラフト結合されたエチレンアクリル酸メチル共重合体、前記アクリレートの共重合体、二つ以上のこれらのアクリレート系共重合体の混合物、からなる群から選択される。
【0025】
さらに、本発明によれば、患者に水溶液を供給する方法が提供され、
その方法は、
内層、外層及び中間層を有する管を選択するステップを備え、
内層は、ポリウレタンからなり、
外層は、熱可塑性ポリウレタンからなり、
中間層は、エチレンエチルアクリレート共重合体又はエチレンアクリル酸メチル共重合体、または、無水物グラフト結合されたエチレンアクリル酸メチル共重合体、二つ以上の前記アクリレートの共重合体、あるいは、二つ以上のこれらのアクリレート系共重合体の混合物からなり、
管は、内層、外層及び中間層によって囲まれた中央の流体通路を有し、
その方法は、
管の中央の流体通路で水容器を流すステップと、
患者の血管の中に、中央の流体通路を流れる水溶液を供給するステップと、を備える。
【0026】
そのような方法において、内層、外層及び中間層を有する管を選択するステップは、
外層がポリウレタンの少なくとも約90重量%からなり、内層がポリエチレンの少なくとも約90重量%からなり、中間層が一つ以上のアクリレート系共重合体の少なくとも約90重量%からなるように形成するために、外層、内層及び中間層を共押出するステップを備える。
【0027】
図面は、本発明の実施例によって示された本発明の一つ以上の実施形態を示す。