特許第6203757号(P6203757)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6203757フレーバーおよびオーラルケア組成物における使用のための1−ビニルシクロヘキサ−3−エンカルバルデヒドおよび4−ビニルシクロヘキサ−1−エンカルバルデヒド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203757
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】フレーバーおよびオーラルケア組成物における使用のための1−ビニルシクロヘキサ−3−エンカルバルデヒドおよび4−ビニルシクロヘキサ−1−エンカルバルデヒド
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/33 20060101AFI20170914BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20170914BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20170914BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20170914BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20170914BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20170914BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   A61K8/33
   A61K8/9789
   A61K8/34
   A61K8/35
   A61K8/31
   A61Q13/00 101
   A61Q11/00
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-553727(P2014-553727)
(86)(22)【出願日】2013年1月25日
(65)【公表番号】特表2015-504910(P2015-504910A)
(43)【公表日】2015年2月16日
(86)【国際出願番号】EP2013051396
(87)【国際公開番号】WO2013110739
(87)【国際公開日】20130801
【審査請求日】2016年1月22日
(31)【優先権主張番号】1201287.8
(32)【優先日】2012年1月26日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】佐治 徳一
【審査官】 松本 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−535718(JP,A)
【文献】 特表2009−542694(JP,A)
【文献】 特開2007−246682(JP,A)
【文献】 特開平04−152858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00− 90/00
C11B 9/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.4−ビニルシクロヘキサ−1−エンカルバルデヒドおよび1−ビニルシクロヘキサ−3−エンカルバルデヒドから選択される少なくとも1つの化合物またはこれらの混合物;および
b.少なくとも1つのミントフレーバー
を含む、オーラルケア組成物。
【請求項2】
ミントフレーバーが、ペパーミントオイル、スペアミントオイル、Mentha arvensis オイル、メントール、l−カルボン、l−リモネンおよびメントン、およびこれらの混合物から選択される、請求項に記載のオーラルケア組成物。
【請求項3】
口で受け入れるように適用されたミントフレーバーが付与された組成物に増強されたミントフレーバーを提供する方法であって、かかる組成物に1−ビニルシクロヘキサ−3−エンカルバルデヒドおよび4−ビニルシクロヘキサ−1−エンカルバルデヒドから選択された化合物またはこれらの組み合わせを添加することを含む、前記方法。
【請求項4】
1−ビニルシクロヘキサ−3−エンカルバルデヒドおよび4−ビニルシクロヘキサ−1−エンカルバルデヒドから選択される化合物またはこれらの混合物を含む、ミントフレーバーの増強剤。
【請求項5】
ミントフレーバーを増強する方法であって、口で受け入れるように適用されたミントフレーバーが付与された組成物に、1−ビニルシクロヘキサ−3−エンカルバルデヒドおよび4−ビニルシクロヘキサ−1−エンカルバルデヒドから選択される化合物またはこれらの混合物を添加することを含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
増強されたミントフレーバー特性を有するオーラルケア組成物を提供する。さらにオーラルケア組成物のミントフレーバー特性を増強するための方法、およびオーラルケア組成物におけるミントフレーバー特性を増強するための特定の化合物の使用を提供する。
【背景技術】
【0002】
天然の、ネイチャーアイデンティカルな合成起源のミントフレーバー、特にペパーミントおよびスペアミント、またはこれらの混合物は、練り歯磨き、マウスウォッシュおよびチューインガムなどのオーラルケア製品において、例えば、ベース成分の味をカバーするため、および消費者に当該製品が使用時にフレッシュさおよび清潔さを届けるというシグナルを伝えるために、人気のあるフレーバーである。ミントフレーバーは伝統的にミントオイルをオーラルケア組成物に加えることにより与えられている。これらのオイルは天然起源であるため、入手可能な量、そして価格は、年ごとに変動することがある。さらに、最終製品において、顕著なミントフレーバー特徴を達成するために、より多くの量のこれらの天然オイルが必要であり、これは価格を上昇させる。
【発明の概要】
【0003】
本出願人は、ミントフレーバーが付与されたオーラルケア組成物に、4−ビニルシクロヘキサ−1−エンカルバルデヒドおよび1−ビニルシクロヘキサ−3−エンカルバルデヒドから選択された化合物、またはこれらの混合物を添加することにより、ミントフレーバー知覚が増強され得ること、そして実質的に同様のフレーバー特性を達成するためにより少ないミントフレーバーが必要とされることを今見出した。
【0004】
したがって、一態様において、
a)少なくとも1つの式(I)の化合物
【化1】
式中、RはC−1またはC−4に結合するカルボニルである;および
b)少なくとも1つのミントフレーバー、例えば、ミントオイル、メントール、l−カルボン、l−リモネンまたはメントン
を含むオーラルケア組成物を提供する。
【0005】
本明細書において用いられる用語「ミントフレーバー」、「ミントフレーバーが付与された」は、特定の植物、とりわけMenthaの仲間の植物の抽出物の性質である特徴的なフレーバーを有する物質を意味する。例は、ペパーミント(Mentha piperita)、スペアミント(Mentha spicata)、Mentha arvensis、およびMentha cardiaca、ならびにこれらの交配種および部分を含む。
【0006】
しかしながら、いくつかの他の植物種も同様のフレーバーを提供することができ、これらも包含される。特徴的なフレーバーは、多数の化合物の少なくとも1種を添加することにより得られるかまたは与えられることもでき、非限定例は、l−カルボン、l−リモネン、メントールおよびメントンを含み、最後の2つは、ミントオイルの主要な構成成分を構成する。
【0007】
一態様において、ミントフレーバーは、天然のミントオイル、メントール、メントン、l−カルボンおよびl−リモネンの2種または3種以上の混合物である。メントールは、天然起源または合成のいずれであってもよい。
さらなる態様において、ミントフレーバーは、天然には生じない化合物であるが、特徴的なフレーバーを与える化合物に由来する。これらは、FrescomentheTM、エチルバニリンおよびエチルマルトールを含む。
【0008】
好適な天然ペパーミントオイルは、例えば、ペパーミントアメリカンファーウエスト、ぺパーミントアメリカンミッドウエスト、ペパーミントアメリカンウィラメット、ペパーミントアメリカンヤキマ、ペパーミントインディアンピペリタなどを含む。好適なスペアミントオイルは、例えば、スペアミントアメリカンファーウエストネイティブ、スペアミントアメリカンミッドウエストネイティブ、スペアミントチャイニーズネイティブ、スペアミントインディアンネイティブなどを含む。好適なMentha arvensisオイルは、例えば、ペパーミントチャイニーズアルベンシス、ペパーミントインディアンアルベンシス、ペパーミントチャイニーズテルペンレス、ペパーミントインディアン精留などを含む。好適なMentha cardiacaオイルは、例えば、スペアミントアメリカンファーウエストスコッチ、スペアミントアメリカンミッドウエストスコッチなどを含む。さらに、スペアミントsupraおよびペパーミントsupraなどの合成ミントオイルもまた使用してもよい。
【0009】
式(I)の化合物、またはこれらの混合物を、ミントフレーバーが付与された組成物に添加することにより、ミント特性の著しい変化を起こすことなく、式(I)の化合物を実質的に含まない組成物と比較して、ミントオイルの合計量の10重量%まで、または15〜20重量%さえもミントオイルの量を減少することができることが見出された。さらに、式(I)の化合物、またはこれらの混合物の混合により、いくらかの甘味特性と組み合された、フレッシュな冷却感を与えることが見出された。
【0010】
一態様において、ミントフレーバーおよび4−ビニルシクロヘキサ−1−エンカルバルデヒドを含むオーラルケア組成物を提供する。
さらなる態様において、ミントフレーバー、および4−ビニルシクロヘキサ−1−エンカルバルデヒドと1−ビニルシクロヘキサ−3−エンカルバルデヒドとの1:99〜100:0の比率(例えば、1:9、1:4,1:2、3:7、2:3、5:5、3:2、7:3、4:1および9:1を含む)での混合物を含む、オーラルケア組成物を提供する。
【0011】
さらなる態様において、ミントフレーバーおよび4−ビニルシクロヘキサ−1−エンカルバルデヒドと1−ビニルシクロヘキサ−3−エンカルバルデヒドとの混合物を含むオーラルケア組成物であって、当該混合物が、0.1〜99.9重量%(例えば1%、10%、20%または50%)の4−ビニルシクロヘキサ−1−エンカルバルデヒドを含む、前記オーラルケア組成物を提供する。
【0012】
さらなる態様において、
a)約0.01重量%〜5重量%、例えば0.1〜5重量%、0.3〜0.5重量%を含む、のミントフレーバーを含むフレーバー組成物、および
b)約0.05〜10ppm、例えば約0.1〜5ppm、1.5ppm、2ppm、3ppmを含む、の式(I)の化合物、またはこれらの混合物、
を含むオーラルケア組成物を提供する。
【0013】
本明細書において用いられる用語「オーラルケア組成物」は、様々な利益をもたらすために、口に含まれるように設計された非食品組成物を意味する。かかる組成物は、歯磨き剤(dentifrice)、マウスウォッシュ、マウススプレーおよびうがい組成物、ブレスストリップ(風味剤または口臭清涼剤などの活性剤をこれに投与するために口腔内に配置される可食性フィルム)、およびチューインガムを含む。本明細書において用語「歯磨き剤」は、特に規定がなければ、練り歯磨き、オーラルケアジェルまたは液体を意味する。歯磨き剤組成物は、単一相組成物でもよく、または2または3以上の個別の歯磨き剤組成物の組み合わせであってもよい。歯磨き剤組成物は、太いストライプ、表面ストライプ、多層、ペーストを囲むゲルを有するもの、またはこれらの任意の組み合わせなどのあらゆる所望の形状であってよい。
【0014】
さらなる態様において、口で受け入れるように適用されたミントフレーバーが付与された組成物に増強されたミントフレーバーを提供する方法であって、かかる組成物に1−ビニルシクロヘキサ−3−エンカルバルデヒドおよび4−ビニルシクロヘキサ−1−エンカルバルデヒドから選択された化合物またはこれらの組み合わせを添加することを含む、前記方法を提供する。
本開示は、以下の実施例に言及してさらに説明し、これは特定の態様を説明するが、いかなる限定も意図するものではない。
【0015】
例1: 1−ビニルシクロヘキサ−3−エンカルバルデヒドおよび4−ビニルシクロヘキサ−1−エンカルバルデヒド
500mlフラスコをクロトンアルデヒド(210.3g、3mol)、ホルムアルデヒド(270.0g、3.24mol、36%水溶液)およびDMF(50g、0.68mol)で満たした。ピロリジン(5.33g、0.075mol)およびプロピオン酸(5.56g、0.075mol)の冷却した混合物を撹拌しながら5分の間添加した。この組み合わせた混合物を撹拌しながら、DMF(250g、3.42mol)中の1,3−ブタジエン(570.4g、5mol)の溶液で満たされた、加熱した(100℃)オートクレーブにゆっくりと送り出した。(注意:冷たいオートクレーブは、DMF中のブタジエンの冷却された溶液で満たさなければならない。ブタジエンの沸点:−4.5℃)。この温度で、内部圧力は12.0barであった。この添加の最初の3時間は、内部圧力をゆっくりと14.5barまで上げ、温度を100℃に維持した。そして、4.5時間後に添加が終了するまでに、圧力をゆっくりと11.0barまで下げた。反応混合物を100℃でさらに2時間撹拌した。この時間(圧力は8.1barよりも低い)の後、反応混合物を(内部の冷却デバイスを用いて)室温まで冷却し、内部圧力を2barより低くなるまで下げた。混合物を2.0Lの分離じょうごに移し、ヘキサン(620g)および水(300g)で希釈した(注意:過剰のブタジエンは、この作業中に蒸発する:しっかりと換気されたフードを用いること)。上層を分離し、引き続き、含水酢酸(50ml)および水(50ml)で、そして飽和ナトリウムビカルボナート水溶液で洗浄した。有機相をMgSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮し、黄色い油として粗生成物(254g)を与え、そしてこれを真空下で10cmのビグリューカラム上で蒸留し(沸点47〜72℃、0.1mbar)、1−ビニルシクロヘキサ−3−エンカルバルデヒドおよび4−ビニルシクロヘキサ−1−エンカルバルデヒド(189.9g、46.5%)を約2:1の比率で得た。化合物を、当業者に既知の条件下で、蒸留またはシリカゲルでのクロマトグラフィによって分離してもよい。
【0016】
味の記述(練り歯磨きベースにおける、5ppmの当該混合物):グリーン、ハーバル、フレッシュ、シトラス様、軽くミント、脂っぽい、オイリーな特性、いくらか甘さを伴う。
【0017】
1−ビニルシクロヘキサ−3−エンカルバルデヒド: 1H-NMR (300 MHz, CDCl3): 9.38 (s, 1H), 5.77-5.63 (m, 3H), 5.29 (d, J = 10.6 Hz, 1H), 5.16 (d, J = 17.7 Hz, 1H), 2.53-1.67 (m, 6H) ppm. 13C-NMR (75 MHz, CDCl3): 201.8 (d), 137.9 (d), 127.1 (d), 123.9 (d), 117.0 (t), 51.7 (s), 29.4 (t), 26.9 (t), 22.0 (t) ppm. GC/MS (EI): 136 (M+, 5), 118 (17), 107 (28), 91 (46), 79 (100), 67 (9), 53 (14), 39 (23).
【0018】
4−ビニルシクロヘキサ−1−エンカルバルデヒド: 1H-NMR (300 MHz, CDCl3): 9.41 (s, 1H), 6.79 (bs, 1H), 5.81 (ddd, J = 17.0, 10.2, 6.6 Hz, 1H), 5.04 (d, J = 17.0 Hz, 1H), 4.99 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 2.55-2.05 (m, 5H), 1.91-1.83 (m, 1H), 1.44-1.30 (m, 1H) ppm. 13C-NMR (75 MHz, CDCl3): 194.0 (d), 150.1 (d), 142.0 (d), 141.3 (s), 113.5 (t), 37.1 (d), 32.0 (t), 27.2 (t), 20.8 (t) ppm. GC/MS (EI): 136 (M+, 21), 121 (14), 107 (60), 91 (41), 79 (88), 67 (27), 54 (100), 39 (49). IR (neat, n/cm-1): 2928s, 1686s, 1643m, 1420w, 1178w, 916w.
【0019】
例2: フレーバー組成物
2.1 ペパーミントフレーバー組成物
【表1】
【0020】
2.2 ペパーミントフレーバー組成物
【表2】
【0021】
例3: ミントフレーバー
3.1 スペアミントフレーバー
【表3】
【0022】
3.2 ペパーミントウィンターグリーンフレーバー
【表4】
【0023】
3.3 フレッシュペパーミントフレーバー
【表5】
【0024】
ペパーミントフレーバー
【表6】
【0025】
スペアミントフレーバー
【表7】
【0026】
例4: 練り歯磨きにおける利用
0.2重量%のサッカリン、1.0%のフレーバー組成物を含む練り歯磨きベースに、下記表1のフレーバー組成物を添加した。サンプルの半分に、例1の化合物(1−ビニルシクロヘキサ−3−エンカルバルデヒドおよび4−ビニルシクロヘキサ−1−エンカルバルデヒド(約2:1の比率;PG中1%)を添加した。
【0027】
【表8】
【0028】
こうして調製された練り歯磨きの一部を、歯ブラシにのせ、パネリストの歯を磨いた。組成物BはAと比較してより優れたフレッシュさを有すると評価され、組成物CはAと比較して、より葉様な天然アメリカンピペリタの特性を与えると評価された。同一の結果が、組成物EおよびFのDとの比較に関しても見出された。
【0029】
例5: ミントオイルを減少させたフレーバー組成物
【表9】
【0030】
例6: 練り歯磨きにおける利用
0.2重量%のサッカリンおよび1.0重量%のフレーバー組成物(例4:それぞれ組成物4−1、4−2および4−3)を含む練り歯磨きベースを調製し、パネリストによって評価した。組成物4−1および4−2の間には、目立った違いはなく、組成物4−1および4−3の間にはわずかな違いがあった。組成物4−3は、ややインパクトが弱く、ピペリタの葉の特性の豊かさに欠けていると表現された。