特許第6203773号(P6203773)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6203773位置コンテンツ管理システムにおいて線形構造部を表現する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203773
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】位置コンテンツ管理システムにおいて線形構造部を表現する方法
(51)【国際特許分類】
   G09B 29/00 20060101AFI20170914BHJP
   G06F 17/30 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   G09B29/00 Z
   G06F17/30 170C
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-62969(P2015-62969)
(22)【出願日】2015年3月25日
(62)【分割の表示】特願2010-34053(P2010-34053)の分割
【原出願日】2010年1月29日
(65)【公開番号】特開2015-156031(P2015-156031A)
(43)【公開日】2015年8月27日
【審査請求日】2015年3月30日
(31)【優先権主張番号】12/362,786
(32)【優先日】2009年1月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】313011836
【氏名又は名称】ヘレ グローバル ベスローテン フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】HERE Global B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー イー ペインター
(72)【発明者】
【氏名】ヴォジスラフ サムサロヴィック
【審査官】 柴田 和雄
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5965575(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0106455(US,A1)
【文献】 特開2002−333830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 29/00
G06F 17/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置コンテンツ管理システムにおいて線形構造部を表す方法であって、
線形構造部を一意に定めるために必要な経路指定地点の数及び位置を識別し、ここで前記線形構造部は、線及びポリラインの1つであるステップと、
前記線の中心点を識別することによって焦点を計算するステップと、
前記焦点を含む、一意の線形位置コードと共に前記識別された経路指定地点についてのデータを格納するステップと、
前記線形構造部と関連した位置コンテンツを取得するために、前記一意の線形位置コードを前記位置コンテンツ管理システムのユーザに提供するステップと、を含み、
前記線形位置コードは、線、ポリライン、及び多角形オブジェクトの1つと関連付けられることを特徴とする方法。
【請求項2】
位置コンテンツ管理システムにおいて線形構造部を表す方法であって、
線形構造部を一意に定めるために必要な経路指定地点の数及び位置を識別し、ここで前記線形構造部は、線及びポリラインの1つであるステップと、
前記線の中心点を識別することによって焦点を計算するステップと、
前記焦点を含む、一意の線形位置コードと共に前記識別された経路指定地点についてのデータを格納するステップと、
前記線形構造部と関連した位置コンテンツを取得するために、前記一意の線形位置コードを前記位置コンテンツ管理システムのユーザに提供するステップと、
前記線形構造部には、以前に前記線形位置コードが割り当てられているかどうかを判断するためのマッチング・ルーチンを実行するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
前記データは、前記識別された経路指定地点についての緯度及び経度を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
位置コンテンツ管理システムにおいて線形構造部を表すためのシステムであって、
コンテンツ供給源が地理的領域内の線形構造部と関連付けられた、特定された経路指定地点を含む位置コンテンツを提供することを可能にし、ここで前記線形構造部は、線及びポリラインの1つであるユーザ・インターフェースと、
前記線形構造部と関連付けられた前記位置コンテンツを格納するデータ記憶装置と、
線形位置コードを前記格納された位置コンテンツに割り当て、前記線形位置コードを前記データ記憶装置内に格納し、前記特定された経路指定地点の中心点を識別することによって前記線形位置コードについての焦点を計算する位置参照システムと、
を含み、コンテンツ受信者は、前記線形位置コードを前記ユーザ・インターフェースに入力することによって、前記位置コンテンツ管理システムから前記位置コンテンツを取得することができ
前記位置参照システムは、以前に格納された線形位置コードに基づいて、前記線形位置コードを割り当てるかどうかを判断するように動作可能であることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、位置ベースのサービスに関し、より具体的には、地理データベース内に格納されている線形構造部に依存しない、線形構造部の表現方法に関する。
【0002】
〔関連出願の参照〕
本特許出願は、同じ日に出願された同時係属特許出願、すなわち「METHOD AND SYSTEM FOR ASSESSING QUALITY OF LOCATION CONTENT」という名称の特許出願番号第12/362,734号、「METHOD AND SYSTEM FOR MANAGING RELATIONSHIPS BETWEEN LOCATION IDENTIFIERS」という名称の特許出願番号第12/362,751号、「METHOD AND SYSTEM FOR REFRESHING LOCATION CODE DATA」という名称の特許出願番号第12/362、767号、及び「METHOD AND SYSTEM FOR EXCHANGING LOCATION CONTENT DATA IN DIFFERENT DATA FORMATS」という名称の特許出願番号第12/362,807号に関連する。
【背景技術】
【0003】
ナビゲーション関連サービス及び地図関連サービスを提供する各種の技術が開発されている。例えば、車両ナビゲーションシステムは、車両が位置する場所を判定し、所望の目的地に移動するための方向を与えることができる。また、地図、指定されたスタート地点から所望の目的地に移動するための方向、及び他の地図関連サービスを提供するインターネットサイトも入手可能である。さらに、自分の位置を確認し、その周囲の地図を提供する手持ち式装置も利用可能である。
【0004】
これらの及びその他の地図関連機能及び特徴を提供するために、ナビゲーションシステムは、地理データを使用する。地理データは、地理的地域における物理的特徴を表すデータを含む、1つ又はそれ以上の地理データベースの形態とすることができる。地理データベースは、一方通行路のような表された地理的特徴、道路の位置、道路区間に沿った速度規制、道路区間に沿った住所範囲、道路の交差点における転回規制、一方通行路のような通行方向規制についての情報を含む。さらに、地理データは、レストラン、ホテル、空港、ガソリンスタンド、スタジアム、警察署などの、関心ある地点(point of interest)を含むことができる。
【0005】
この地理データは、イリノイ州シカゴ所在のNAVTEQ North America,LLC社が発行した地理データベースのような地理データベース内に格納することができる。地図提供業者(map vendor)が取得したデータに加えて、コンテンツ供給源は、地理的区域における位置に関するデータを保有する。コンテンツ供給源は、地理データベース内に含ませるために、それらのデータを地図提供業者に与えることができる。例えば、レストランチェーンの所有者は、それらの全ての位置の最新リストを地図提供者に与えることができ、その位置ごとに、このリストは、住所、電話番号、営業時間、メニュー、ウェブページアドレス、位置に関する他の情報を含むことができる。
【0006】
地理データベース内に格納された情報量が増加すると、地図提供業者は地理データベースに第三者データを加えることがより困難になる。結果として、位置コンテンツ管理システムが開発され、複数の関係者(party)が、時として「位置コンテンツ」又は単に「コンテンツ」と呼ばれる位置に関連したデータを提供できるようになった。位置コンテンツ管理システムは、位置コンテンツ及びコンテンツと関連付けられた地理的位置との間のリンクを提供する。該リンクは、位置コンテンツ管理システムがある位置に割り当てた位置コードである。
【0007】
位置コードは、人が移動できる任意の位置に割り当てられる。例えば、ある人が、ある地理的区域内の特定のビルの特定の階にある事務所に行きたい場合がある。この例を使うと、位置コンテンツ管理システムはまた、事務所、階、及びビルのそれぞれにも位置コードを割り当てる。位置コンテンツ管理システムはまた、その階がビルの1階にない場合、階段及び/又はエレベータに位置コードを割り当てることもできる。このように位置コードを割り当てることにより、ナビゲーションシステムは、ビル内の事務所に行くための経路案内をユーザに提供することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
位置コンテンツ管理システムは、位置に関するコンテンツを提供する方法を複数の関係者に提供するが、位置コンテンツ管理システムにおける新たな特徴及び改善の余地が引き続き存在する。1つの改善領域は、位置コンテンツ管理システム内の線形構造部を表す方法である。位置コードは、最低限、緯度及び経度で特定される地点位置を参照する。しかしながら、場合によっては、位置コードが線形構造部を参照することが有利である。
【0009】
地点位置コードのような線形位置コードは、必ず地理データベースの外部にとどまるので、線形オブジェクト、リンク、ストランドの地理データベースの2つの表現は、位置コンテンツ管理システムにおける線形構造部の表現には適していない。リンクは、2つのノード(1つの基準ノード及び1つの非基準ノード)並びにゼロ又はそれより多い中間形状地点を有する地理オブジェクトである。ストランドは、地理データベース内に定められた条件によって使用されるリンクの有向シーケンスである。リンクには属性要件によって分割され併合されるという問題があり、ストランドには、ストランドを条件によって参照できるだけであるという条件に密に結合されるという問題がある。このように、線形位置コードは、リンク及びストランドと関連した問題を克服する方法で、線形構造部を表現する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
位置コンテンツ管理システムにおいて線形構造部を表現する方法が開示される。この方法は、線形構造部についての線形位置コードを定める。線形位置コードは、一連の経路指定地点からなり、この経路指定地点は、緯度、経度、及びこれら地点を通って地図上で経路指定されたときに一意の経路を定める随意的なスタック位置(例えば、Lは下部、Uは上部)又は高度からなる。スタック位置は、二層通路橋(例えば、サンフランシスコ・オークランド・ベイブリッジ)又は上部区画及び下部区画を有する街路(例えば、シカゴのMichigan Avenue及びWacker Drive)のような、垂直方向に積み重なった道路を明確にするために使用される。有利なことに、この方法は、地理データベースに格納されているリンク及びストランド・オブジェクトとは無関係に線形構造部を表す。
【0011】
当業者には、必要に応じて添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むことにより、これらの及び他の態様並びに利点が明らかになるであろう。さらに、この概要は、一例にすぎず、本発明の範囲を特許請求されたように限定することを意図するものではない。
【0012】
現在のところ好ましい実施形態が、種々の図において同様の参照番号が同様の要素を指す、添付図面と併せて以下に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一例による、位置ベースシステムのブロック図である。
図2】一例による、線形位置コードについてのデータ構造のブロック図である。
図3】一例による、経路指定地点についてのデータ構造のブロック図である。
図4A】例示的な線形構造部の図形表現である。
図4B】例示的な線形構造部の図形表現である。
図5】一例による、図4Bに示した線形構造部のデータ構造のブロック図である。
図6】一例による、2つの鉄道駅及び駅間の経路を表す2つの地点位置コードの図形表現である。
図7】一例による、図6に示す同じ2つの駅及び駅間の経路を表す線形位置コードの図形表現である。
図8】一例による、既存のポリライン位置オブジェクト及び潜在的な新しいポリライン位置オブジェクトの図形表現である。
図9】一例による、線形位置コードを、図8に示す潜在的な新しいポリライン位置オブジェクトに割り当てるかどうかを判断するためのマッチング・ルーチンの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、位置ベースシステム100を示すブロック図である。位置ベースシステム100は、コンテンツ供給源102、位置コンテンツ管理システム104、コンテンツ受信者106を含む。位置コンテンツ管理システム104は、コンテンツ供給源102からコンテンツを取得する。位置コンテンツ管理システム104は、コンテンツをコンテンツ受信者106に提供する。場合によっては、コンテンツ供給源102及びコンテンツ受信者106は、同一のエンティティとすることができる。
【0015】
コンテンツは、位置と関連したいずれかの情報である。情報は、所在地住所、電話番号、ファックス番号、及び営業時間などの静的コンテンツ(すなわち、頻繁には変化しない)であってもよい。情報は、ガソリン価格、天気予報、航空機旅行状況、及び交通情報のような動的コンテンツ(すなわち、頻繁に変化する)であってもよい。情報は、テキスト、二次元画像、三次元画像、映像、マルチメディアなどの任意のフォーマットのものにすることができる。
【0016】
コンテンツ供給源102は、位置コンテンツ管理システム104にコンテンツを提供する任意のエンティティである。例えば、コンテンツ供給源102は、地図提供業者、位置所有者/運営者、政府機関、商工会議所、個人、及び他のいずれかの関係者とすることができる。図1には1つのコンテンツ供給源102を示したが、位置コンテンツ管理システム104は、多くのコンテンツ供給源からコンテンツを取得することが理解される。
【0017】
コンテンツ受信者106は、位置コンテンツ管理システム104からのコンテンツにアクセスする任意のエンティティである。コンテンツ受信者106は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、及び携帯型手持ち式装置などのエンドユーザ装置とすることができる。さらに、コンテンツ受信者106は、位置コンテンツをエンドユーザ装置に分配する中間装置とすることができる。図1には1つのコンテンツ受信者106を示したが、コンテンツ管理システム104は、コンテンツを多くのコンテンツ受信者に提供することが理解される。
【0018】
位置コンテンツ管理システム104は、位置コンテンツを収集し、処理し、配信する、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアの組み合わせである。位置コンテンツ管理システム104は、コンテンツ・アップロード・サーバ108と、コンテンツ記憶装置110と、位置参照システム112と、コンテンツ品質システム114と、コンテンツ配信サーバ116とを含む。位置コンテンツ管理システム104は他のエンティティを含むこともできる。
【0019】
コンテンツ・アップロード・サーバ108は、位置コンテンツを位置コンテンツ管理システム104に提供するためのユーザ・インターフェースを表示することができる。ユーザ・インターフェースは、コンテンツ供給源102が、セルフサービス式環境においてそのコンテンツを入力し、管理し、位置決めすることを可能にする。ユーザ・インターフェースは、プロファイルに格納されたデータに対応するフィールドを含む位置情報を入力するためのツールを含むことができる。ユーザ・インターフェースは、コンテンツ供給源102が。テキストを入力し、文書、画像ファイル、映像ファイル、音源ファイルなどのファイルを添付することを可能にする。
【0020】
付加的に又は代替的に、コンテンツ・アップロード・サーバ108は、ネットワーク上でのマシンとマシンの対話をサポートするために、ウェブサービスを提供することができる。ウェブサービスは、任意のプロトコルをサポートすることができる。コンテンツ供給源102は、ウェブサービスを使用し、バルクロード(bulk load)を介して位置コンテンツを付加又は修正することができる。
【0021】
コンテンツ・アップロード・サーバ108はまた、コンテンツ供給源102も検証する。コンテンツ・アップロード・サーバ108は、これらに限られるものではないが、ダブルオプトイン(double−opt−in)ルーチン、コミュニティ検証、手動検証、及びパートナー検証を含む、適切な方法又は方法の組み合わせにより、個人、企業、及び/又は組織を検証することができる。
【0022】
コンテンツ・アップロード・サーバ108は、コンテンツをコンテンツ記憶装置110内に格納する。コンテンツ記憶装置110は、読み取り/書き込みアクセスを可能にするいずれのタイプのメモリであってもよい。コンテンツ・アップロード・サーバ108はまた、コンテンツ供給源102を検証するために、どの検証方法が用いられたかの指標を、コンテンツ記憶装置110又は別個の記憶装置内に格納することもできる。例えば、指標は、バイナリ・フラグ、倍数、又は検証方法を特定する単語とすることができる。
【0023】
位置参照システム112は、位置コンテンツとコンテンツに関連付けられた地理的位置との間のリンクを提供する。リンクは、位置コンテンツが地理データベースから分離された(すなわち、地理データベースに含まれていない)時に必要である。コンテンツを地理データから分離するために、位置参照システム112は、1つ又はそれ以上の位置に位置識別子を割り当て、位置識別子をコンテンツ記憶装置110に格納する。位置識別子は、地点位置コード(point location code)又は線形位置コード(linear location code)とすることができる。
【0024】
地点位置コードは、地点構造部(例えば、ある道路上の地点、ビルの位置、ビル内の地点)を基準にする。地点位置コードは、最低限、緯度及び経度属性により表される。また、地点位置コードはまた、アドレスと関連させることができ、それにより、地点位置コードを地理データベース・リンクにジオコーディングすることが可能になる。ジオコーディングは、地理データベースの外のエンティティ(例えば、位置コード)を地理データベース内の地図オブジェクトに関連付けるプロセスである。
【0025】
線形位置コードは、道路網の一部又は歩行者用通路の一部といった、線形構造部を基準にする。線形位置コードは、これらの地点を通って地図上で経路指定されたときに一意の経路を定める一連の経路指定地点からなる。経路指定地点は、緯度、経度、及び、随意的に、2層(すなわち、上部レベル及び下部レベル)を有する道路及び橋のために使用されるスタック位置を有する。付加的に又は代替的に、経路指定地点は高度を有する。例えば、経路指定地点は、海面に対する高度、地表面に対する高度、又は他の基準レベルに対する高度を有することができる。
【0026】
一連の経路指定地点は、経路指定地点の標準的表現(canonical representation)(すなわち、正規化表現)を定めることによって取得することができる。例えば、標準的表現は、重要決定地点(key decision point)を用いることができる。別の例として、標準的表現は、2つの重要な決定地点間の中間のセグメント地点を用い得る。重要決定地点とは、運転者が転回しなければならない、さもなければ2つ又はそれ以上の代案(例えば、道路の分岐点)の間で選択しなければならない場所である。他の標準形(canonical form)を用いてもよい。標準的表現は、線形位置コードを最初に定めるためにどの中間点が使用された場合であっても所定の線形構造部に対して一意のものである。経路指定地点の標準的表現は、図4を参照してさらに説明される。
【0027】
線形位置コードは、直線、ポリライン、又は多角形オブジェクトを基準にする。線形位置コードは、1本の直線セグメントで構成された連続線を表わし、かつ、2つの経路指定地点により定められる。ポリライン位置コードは、2本又はそれ以上の直線セグメントで構成された連続線を表わし、かつ、3つ又はそれ以上の経路指定地点により定められる。多角形位置コードは、3本又はそれ以上の直線セグメントで構成される閉経路を表わし、かつ、3つ又はそれ以上の経路指定地点により定められる。線形位置コード属性は、図2を参照してさらに説明される。
【0028】
位置参照システム112は、ある位置に位置識別子をランダムに割り当てる。代替的に、位置参照システム112は、番号順又は他のいずれかの系統的な方法で位置識別子を割り当てることもできる。位置識別子は数値とすることができる。例えば、位置識別子は、16ビット数、32ビット数、64ビット数などにすることができる。代替的に、位置識別子は、数字、文字、及び/又は記号の組み合わせを含み得る。
【0029】
位置識別子を線形構造部に割り当てる前に、位置参照システム112は、初めに、その線形構造部が既に線形位置コードと関連付けられているかどうかを判断することができる。線形位置コードについては、位置参照システム112は、線形構造部と関連付けられた2つの経路指定地点が、以前に生成された線位置コードと関連付けられた2つの経路指定地点の所定の半径(例えば、1メートル)内にあるかどうかを判断する。合致がある場合、新しい線形位置コードは作成されない。他の場合には、線形構造部に新しい線形位置コードが割り当てられる。
【0030】
ポリライン位置コード又は多角形位置コードについては、マッチング・アルゴリズムが、既存の線形位置コードと新しい線形位置コードの間で、経路指定地点の数が同じであるかどうかを考慮する。新しい線形位置コードが既存のポリライン位置コード又は多角形位置コードと同数の経路指定地点を有する場合、マッチング・アルゴリズムは、既存の経路指定地点の各々の周りの所定の半径を用いて合致を識別する。この手順は、より多くの経路指定地点を用いる線形位置コードマッチング・アルゴリズムと類似している。
【0031】
経路指定地点の数が同じでない場合、マッチング・アルゴリズムは、既存の地点と合致しない経路指定地点が、線セグメントから所定の垂直距離内にあるかどうかを判断する。余分な地点が所定の垂直距離内にある場合、これらの地点は線形位置コードを定めるのに必要ではない中間地点とみなされる。この場合、合致が見出され、新しい線形位置コードは作成されない。本プロセスは、図8及び図9を参照してさらに説明される。
【0032】
コンテンツ品質システム114は、コンテンツ記憶装置110内に格納された位置コンテンツの品質を評価する。評価は、コンテンツ所有者が信頼できるかどうか、位置データは正確かどうか、コンテンツは十分に完全かどうか、及び/又はコンテンツが相対的に新しいものであるかどうかに基づくことができる。コンテンツ品質システム114は、コンテンツについての品質スコアをコンテンツ記憶装置110又は他のメモリ装置に格納する。コンテンツ品質システム114は、コンテンツが変更されるたびに、一定の間隔で、コンテンツ供給源102及び/又はコンテンツ受信者106の要求時に、又は他の任意の時点で、プロファイルの品質を再評価することができる。コンテンツ品質システム114は、コンテンツについての品質スコアの履歴を格納し、コンテンツ供給源102及び/又はコンテンツ受信者106がスコア傾向報告を取り出せるようにすることもできる。
【0033】
コンテンツ供給サーバ116は、位置コンテンツ管理システム104から位置コンテンツを取り出すためのユーザ・インターフェースを表示する。ユーザ・インターフェースは、コンテンツ供給源102が使用するのと同じユーザ・インターフェースであっても、又は別個のユーザ・インターフェースであってもよい。付加的に又は代替的に、コンテンツ配信サーバ106は、コンテンツ・アップロード・サーバ108と同様の方法でウェブサービスを提供することができる。ユーザ・インターフェース/ウェブサービスは、コンテンツ受信者106が、セルフサービス式環境において位置コンテンツを取得するのを可能にする。また、ユーザ・インターフェース/ウェブサービスは、コンテンツ受信者106が、位置コンテンツ管理システム104から取得したコンテンツと関連付けられた1又はそれ以上の品質スコアを受け取ることも可能にする。
【0034】
図2は、線形位置コード記録200のデータ構造である。図2に示すデータ属性は、コード識別202と、2つ又はそれ以上の経路指定地点204、206と、焦点208とを含む。線形位置コード記録200は、他の属性も有することができる。
【0035】
線形位置コード記録200は、位置参照システム112により割り当てられた一意のコード識別202を含む。経路指定地点204、206は、これらの地点を通って地図上で経路指定されたときに一意の経路を定める。線形位置コード記録200が2つの経路指定地点を含むとき、線形位置コードは、1本の直線セグメントで構成された連続線を表す。線形位置コード記録200が3又はそれ以上の経路指定地点を含む場合、線形位置コードは、ポリライン又は多角形を表わす。ポリラインは、2又はそれ以上の直線セグメントで構成された連続線である。多角形は、3又はそれ以上の直線セグメントで構成された閉経路である。線、ポリライン、及び多角形位置コードの各々は、単一のオブジェクトとして取り扱われる。
【0036】
焦点208は、領域内の位置コードに対する要求に応答するために用いられる地点である。線形位置コードについては、焦点208は、線セグメントの中心点である。ポリライン又は多角形位置コードについては、焦点208は、結合されたセグメントの重心である。重心は、オブジェクト内の全ての点の平均位置である。焦点は、位置参照システム112により自動的に計算することができる。例えば、位置参照システム112は、Oracle 11gにおけるSDO_CENTROID関数を使用することができる。焦点208はまた、エンドユーザにより手動で定める及び/又は調整することもできる。
【0037】
図3は、経路指定地点記録300のデータ構造である。図3に示すデータ属性は、緯度302と、経度304と、スタック306とを含む。スタック属性306は、二層通路橋(例えば、サンフランシスコ/オークランド・ベイブリッジ)又は上部レベル及び下部レベルを有する街路(例えば、シカゴの上部及び下部Wacker Drive)のような、垂直方向に積み重なった道路を明確にするために使用される。これは経路指定地点記録300の全てのデータ属性を網羅するリストではないため、図3は、他の属性308も示している。例えば、経路指定地点記録300はまた、高度(例えば、絶対又は相対)、所在地住所などを含むこともできる。付加的に、スタック属性306は、高度属性で置き換えることもできる。
【0038】
図4は、例示的な線形構造部400(点線で強調されている)の図形表現である。線形構造部400は、シカゴのOhio Streetのランプを通って南行きのKennedy Expresswayに向かう経路である。線形構造部400は、始点402及び終点406を有する。線形構造部400はまた、2つの重要決定地点403、405を有する。
【0039】
線形構造部400は、図4Aに示すように始点402、終点406、及び2つの重要決定地点403、405に位置する4つの経路指定地点を用いて一意に定めることができる(すなわち、重要決定地点の標準形)。代替的に、線形構造部400は、図4Bに示すように始点402、終点406、及び2つの重要決定地点403、405の中程にあるセグメント地点404に位置する3つの経路指定地点を用いて一意に定めることができる(すなわち、2つの重要決定地点間の中間のセグメント地点の標準形)。線形構造部400はまた、図4A及び4Bに示す焦点408によって定めることもできる。
【0040】
図5は、線形構造部400を表わすことができる線形位置コード500を示す。この例において、線形位置コード500は、図4Bに示すような2つの重要決定地点の中間のセグメント地点による標準形を用いるデータを含む。重要決定地点型標準形を用いるデータを含む線形構造部400を表わす線形位置コードは、付加的な経路指定地点を含む。線形位置コード500は地理データベース内に格納されたオブジェクト(例えば、リンク、ストランド)によって決まるものではないが、コード500と関連したデータはジオコーディング可能である。
【0041】
線形位置コードの経路指定地点は、逆ジオコーディングを用いて地理データベース内のデータと照合される(スナップされる)。逆ジオコーディングは、緯度/経度位置を地理データベース内のリンク上の位置に解決するプロセスである。逆ジオコーディング・プロセスは、1組の規則を用いる。例えば、ある経路指定地点がノードの所定距離(例えば、5メートル)以内にあるとき、経路指定地点は、そのノードにスナップされ、かつ、該ノードに最も近いリンク基準が特定される。他の例として、逆ジオコーディングにより所定距離(例えば、50メートル)以内にリンク位置を発見できないとき、線形位置コードはリンクにスナップされない。
【0042】
逆ジオコーディング・プロセスは、経路指定アルゴリズムが、スナップされた−道路−リンク経路指定地点を通る一連のリンクを決定することを可能にする。いずれの適切な経路指定アルゴリズムを用いることもできるが、線形位置コード・オブジェクトのサイズが限定されているため、二重星(double−star)経路指定アルゴリズムなどの高度な経路指定アルゴリズムは必要としない。
【0043】
図6は、2つの鉄道駅を表す2つの地点位置コード601、602、及び、2つの駅間の経路605の図形表現である。地点ベースの位置基準機構の制限のために、図6において、経路情報は、暗黙的にのみ定められている。地点位置コード601、602は、位置コンテンツ記憶装置110内に格納された位置コンテンツ604と関連付けられている。位置コンテンツ604は、営業時間、電話番号、切符の料金、列車スケジュール、並びに駅のビル、線路、及び列車の車両の画像を含むことができる。位置コンテンツ604は、駅からの半径距離603に制限することが可能である。図6に示した地点位置コードの例においては、鉄道駅と関連した地点位置コード601、602からの2つの半径距離603の間は、位置コンテンツが入手できない。
【0044】
図7は、図6に示したものと同じ2つの鉄道駅を表す線形位置コード701の図形表現である。この例において、位置コンテンツは、線形位置コード701と関連付けられている。手持ち式装置703を携えている人702が、位置を判別するために、2つの鉄道駅間の地点704に向かって移動している。手持ち式装置703は、GPS方式の技術、推測航法方式のシステム、又はこれらの若しくは他のシステムの組み合わせを用いることができ測位システムを含む。測位システムは、移動距離速度、方向、配向などを計測する適切な感知装置を含むことができる。
【0045】
手持ち式装置が、該装置の位置(緯度、経度、高度)、速度(v)、及び線形構造部に向かう方向(コンパス読取値、α)を判断すると、装置703は、他の場合には図6に示した例において入手できなかった、その人の移動に特有の位置コンテンツを取得することができる。例えば、装置703は、その人が歩くときの視界を反映する画像を取得することができる。さらに、装置703が日時を認識する場合、装置703はまた、次の列車がいつ地点704を通過するかに関するコンテンツを提供することもできる。
【0046】
線形位置コードを用いて、地理データベース内に既に格納されているフィーチャをより簡単に表すこともできる。例えば、画像ファイルを高速道路出口の決定地点を通る経路に関連させるジャンクション視界条件は、地理データベースの外部に定められたジャンクション視界オブジェクトと置き換えることができる。ジャンクション視界オブジェクトは、線形位置コードを1組の画像ファイルと関連付ける。別の例として、あるリンクの中程から始まり別のリンクのどこかの場所で終わる追い越し禁止区間は、リンクを壊して条件ストランドを形成するのではなく、線形位置コードを用いてモデル化することができる。避難経路又はスノールートなどの、地理データベース内に格納された他のフィーチャも、線形位置コードを用いて、地理データベースの外部でモデル化することによる恩恵を受け得る。
【0047】
図8は、既存のポリライン位置オブジェクト802及び潜在的な新しいポリライン位置オブジェクト804の図形表現である。既存のポリライン位置オブジェクト802は、3つの経路指定地点806を有し、潜在的な新しいポリライン位置オブジェクト804は、8つの経路指定地点808を有する。図9は、新しい線形位置コードを潜在的な新しいポリライン位置オブジェクト804に割り当てるかどうかを決定するために用いられるマッチング・ルーチン900の流れ図である。
【0048】
ブロック902において、ルーチン900は、新しいオブジェクト804についてのデータを受信する。データは、緯度、経度、及び新しいオブジェクト804を定める経路指定地点808の各々についての随意的なスタック・レベル又は高度を含む。ブロック904において、ルーチン900は、新しいオブジェクト804を定める経路指定地点808の数をカウントする。図8に示す例では、ルーチン900は、8つの経路指定地点808をカウントする。
【0049】
ブロック906において、ルーチン900は、新しいオブジェクト804を定める第1の経路指定地点からの所定の半径距離(r)内にある経路指定地点を有する既存の線形位置コードを検索する。例えば、所定の距離は、3メートルとすることができる。ブロック908において既存の線形位置コードが識別されない場合、次にブロック920において、ルーチン900は、新しい線形位置コードを作成する。
【0050】
ブロック908において既存の線形位置コードが識別されない場合、次にブロック910において、ルーチン900は、ブロック908において評価された経路指定地点間の距離(dn)を求める。ブロック912において、ルーチン900は、距離が、所定の半径距離より短いか又は等しいか(dn≦r)を判断する。距離が半径距離より長い場合(dn>r)、ルーチン900は、ブロック920において新しい線形位置コードを作成する。
【0051】
半径距離が所定の半径距離より短いか又は等しい場合(dn≦r)、ルーチン900は、ブロック914において、次の経路指定地点と既存の線形位置コードで表される線形構造部との間の垂直距離(di)を求める。ブロック916において、ルーチン900は、垂直距離が所定の半径距離より短いか又は等しいか(di≦r)を判断する。距離が垂直距離より長い場合(di>r)、ルーチン900は、ブロック920において新しい線形位置コードを作成する。
【0052】
垂直距離が所定の半径距離より短いか又は等しい(di≦r)場合、ルーチン900は、ブロック918において評価すべきいずれかの付加的な経路指定地点808があるかどうかを判断する。付加的な経路指定地点808がある場合、次にルーチン900は、経路指定地点を評価するためにブロック914に戻る。ルーチン900は、ブロック920において新しい線形位置コードが作成されるまで又は既存の線形位置コードとの合致が見つかるまで継続する。合致が見つからない場合、ルーチン900は、新しい線形位置コードを作成しない。
【0053】
上記の詳細な説明は、限定ではなく例証とみなされることが意図され、全ての同等物を含む以下の特許請求の範囲は、本発明の範囲を定義するよう意図されることが理解される。特許請求の範囲は、その旨の記述がない限り、説明された順序又は要素に限定されるものとして読むべきではない。従って、以下の特許請求の範囲及び精神内に含まれる全ての実施形態、並びにその同等物を、本発明として特許請求する。
【符号の説明】
【0054】
100:位置ベースシステム
110:コンテンツ記憶装置
112:位置参照システム
200、500、701:線形位置コード
204、206:経路指定地点
208、408:焦点
300、806、808:経路指定地点
400:線形構造部
403、405:決定地点
404:セグメント地点
500:
601、602:地点位置コード
604:位置コンテンツ
702:人
703:手持ち式装置
704:地点
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9