(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記A/D変換器は、積分期間の第1の部分の間に前記第1の電荷を変換し、前記積分期間の第2の異なる部分の間に前記第2の電荷を変換する、請求項1に記載の検出器。
前記処理電子機器は、前記第1の電荷を処理する第1のチャネルと、前記第2の電荷を処理する第2のチャネルとを含む、請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載の検出器。
前記A/D変換器は、少なくとも2つの積分コンデンサを備えた積分器を含み、前記積分コンデンサの1つは、前記第1の電荷の信号を積分し、前記積分コンデンサの少なくとも1つは、前記第2の電荷の信号を積分する、請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載の検出器。
前記論理ユニットは、前記第1の電荷を処理する第1のサブユニットと、前記第2の電荷を処理する第2のサブユニットとを少なくとも含む、請求項1ないし6のうちいずれか1項に記載の検出器。
光センサアレイと、前記光センサアレイに光学的に結合されたシンチレータアレイと、前記光センサアレイに電気的に結合された処理電子機器とを有する撮像システムにおける方法であって、
前記光センサアレイの漏れ電流を低減又は相殺する第1の積分器オフセット電圧信号と、前記光センサアレイの抵抗を測定することを可能にする第2の積分器オフセット電圧信号とを設定するステップと、
前記第1の積分器オフセット電圧信号により引き起こされた電流に基づいて、前記光センサアレイの漏れ電流を低減又は相殺するステップと、
前記第2の積分器オフセット電圧信号により引き起こされた電流に基づいて、前記光センサアレイの抵抗を計算するステップと、
撮像手順中に少なくとも1つの積分期間中に放射線の放出をオン及びオフにするステップと、
放射線の放出がオンである場合、前記少なくとも1つの積分期間中に第1の信号を検出するステップと、
放射線の放出がオフである場合にのみ、前記光センサアレイにおいて前記少なくとも1つの積分期間中に第2の信号を検出するステップと、
前記第2の信号に基づいて、前記処理電子機器において前記第1の信号を訂正するステップと、
を有し、
前記光センサアレイ、前記シンチレータアレイ及び前記処理電子機器は、熱結合しており、前記処理電子機器の熱係数の値は、前記光センサアレイの熱係数と前記シンチレータアレイの熱係数との和の正負を反転した値にほぼ等しい値に設定される方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
不都合なことに、シンチレータアレイ及び光センサアレイは、ゼロでない異なる熱係数を有する。従って、シンチレータアレイ及び光センサアレイの応答は、温度に伴って変化する可能性がある。その結果、リングアーチファクト(ring artifact)のようなアーチファクトが画像データに導入される可能性がある。1つの傾向は、検出器アレイにとって厳しい温度制御を使用することである。一例として、これは、ヒータ、ファン、熱シンク等を使用して、検出器アレイを所定の温度範囲内に維持することを含む。しかし、このような温度制御は高コストになる可能性があり、温度制御が適切ではない場合には、撮像性能が依然として損なわれる可能性がある。コストを追加する可能性がある他の要因は、検出器アレイを組み立てて検出器アレイをX線及び/又は光にさらす前に、光センサチャネルを検査することができないことにある。
【0004】
更に、衝突する光子によりシンチレータ結晶に付着した電荷は、比較的長い時定数(数秒のオーダ)で減衰する。これは残光(afterglow)と呼ばれる。その結果、第1の積分期間(integration period)にシンチレータ結晶に衝突する光子からの残留電荷は、次の積分期間にシンチレータ結晶に衝突する光子により付着した電荷に追加する可能性がある。この残留電荷は、しばしば暗電流と呼ばれ、次の次の期間の光子からの電荷と共に積分され、これは、撮像性能を損なう可能性がある。低い残光を備えたシンチレーション素材を使用する傾向がある。しかし、低い残光を備えたシンチレータは、高い残光を備えたシンチレータより高価であり、効率性が低い。
【0005】
この出願の態様は、前述の問題及び他の問題に対処することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様によれば、撮像システムは、感光側及び反対の読み出し側を有する光センサアレイを含む。シンチレータアレイは、光センサアレイの感光側に光学的に結合され、処理電子機器は、光センサアレイの読み出し側に電気的に結合される。光センサアレイ、シンチレータアレイ及び処理電子機器は、熱により通信しており、処理電子機器の熱係数の値は、光センサアレイの熱係数とシンチレータアレイの熱係数との和の負(マイナス)にほぼ等しい。
【0007】
他の実施例では、撮像検出器は、光センサアレイと、光センサアレイに光学的に結合されたシンチレータアレイと、光センサアレイに電気的に結合された処理電子機器とを含む。処理電気機器は、光センサアレイにより出力された電荷を、電荷を示す周波数を有するデジタル信号に変換するA/D変換器を含む。A/D変換器は、交互に、衝突する放射線に対応する第1の電荷を第1の信号に変換し、減衰する電荷に対応する第2の電荷を第2の信号に変換する。論理演算ユニットは、第2の信号に基づいて第1の信号を訂正する。
【0008】
他の実施例では、撮像検出器は、光センサアレイと、光センサアレイに光学的に結合されたシンチレータアレイと、光センサアレイに電気的に結合された処理電子機器とを含む。処理電気機器は、光センサアレイにより出力された電荷を、電荷を示す周波数を有するデジタル信号に変換するA/D変換器と、A/D変換器により測定可能な電流を引き起こすA/D変換器の積分器オフセット電圧信号を設定する積分器オフセット電圧信号設定器とを含む。
【0009】
他の実施例では、撮像システムは、検査領域を横断する放射線ビームを生成する放射線源と、検査領域を横断する放射線を検出する検出器アレイと、検出器アレイの出力を再現し、これを示す撮像データを生成する再現器とを含む。検出器アレイは、複数の検出器タイルを含み、検出器タイルは、光センサアレイと、光センサアレイに光学的に結合されたシンチレータアレイと、光センサアレイに電気的に結合された処理電子機器とを含む。光センサアレイ、シンチレータアレイ及び処理電子機器は、熱により通信しており、処理電子機器の熱係数の値は、光センサアレイの熱係数とシンチレータアレイの熱係数との和にほぼ等しい。
【0010】
他の実施例では、方法は、撮像システムの検出器タイルの処理電子機器の熱係数の値を、検出器タイルの光センサアレイ及びシンチレータアレイの熱係数の和にほぼ等しく設定することを含む。
【0011】
他の実施例では、方法は、撮像手順中に少なくとも1つの積分期間中に放射線の放出をオン及びオフにし、放射線の放出がオンである場合、少なくとも1つの積分期間中に第1の信号を検出し、放射線の放出がオフである場合にのみ、少なくとも1つの積分期間中に第2の信号を検出し、第2の信号に基づいて第1の信号を訂正することを含む。
【0012】
他の実施例では、方法は、A/D変換器により測定可能な信号を検出器タイルのA/D変換器の入力に注入し、A/D変換器で信号をデジタルデータに変換し、注入された信号とデジタルデータとに基づいて検出器タイルの光センサアレイの抵抗を計算することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、様々な構成要素及び構成要素の配列と、様々なステップ及びステップの配列との形式になってもよい。図面は、単に好ましい実施例を示す目的のものであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0015】
図1は、コンピュータ断層撮影(CT)スキャナのような撮像システム100を示している。撮像システム100は、一般的に静止しているガントリー(gantry)102と、回転するガントリー104とを含む。回転するガントリー104は、静止しているガントリーにより回転可能に支持されており、縦方向又はz軸の周りに検査領域106の周辺を回転する。
【0016】
X線管のような放射線源108は、回転するガントリー104により支持され、検査領域106を横断する放射線を放射する。放射線源コントローラ110は、放射線源108を制御する。このような制御は、放射線源108のオン及びオフにすること(従って、放射線の放出をオン及びオフにすること)を含むが、これに限定されない。これは、グリッド切り替え(grid switching)及び/又は別法を通じて実現可能である。一例では、放射線源108は、積分期間(integration period)中にパルス出力され、これにより、放射線が積分期間の第1の小部分の間にオンになり、積分期間の第2の小部分の間にオフになる。以下に詳細に説明するように、シンチレータ残光からの暗電流は、放射線がオフである場合に測定可能であり、次に、測定は、検出された放射線に対応する信号を訂正するために使用可能である。
【0017】
放射線感受検出器アレイ112は、検査領域106を通じて放射線源108の反対側の角度のある弧(angular arc)に内在し、検査領域106を横断する放射線を検出する。図示の実施例では、放射線感受検出器アレイ112は、z軸に対して横断する方向に沿って相互に配置された複数の検出器モジュール114を含む。検出器モジュール114は、z軸に沿って相互に配置された複数の検出器モザイク(mosaic)又はタイル(tile)116を含む。一例では、検出器アレイ112は、2001年7月18日に出願された“Solid State X-Radiation Detector Modules and Mosaics thereof, and an Imaging Method and Apparatus Employing the Same”という題の米国特許第6,510,195 B1号に記載の検出器アレイと実質的に同様のものでもよく、及び/又はこの検出器アレイに基づいてもよい。この米国特許の全ての内容を援用する。
【0018】
簡単に
図2を参照すると、
図1の線A-Aに沿ったタイル116の断面図が示されている。図示のタイル116は、基板206に結合された背面照射光ダイオード(back-illuminated photodiode)又は他の感光性画素の配列のような光センサアレイ204に物理的及び光学的に結合されたシンチレータアレイ202を含む。光センサアレイ204は、基板206にバンプ結合(bump-bonded)されてもよく(図示の通り)、別法で基板206に結合されてもよい。電子機器208は、光センサアレイ204に電気的に結合された基板206の読み出し領域210に物理的及び電気的に結合される。シンチレータアレイ202、光センサアレイ204及び電子機器208は、実質的に熱により通信している。コネクタピン又は他の電気経路のような電気経路212は、電源及びデジタルI/O信号を伝達する。このようなタイルの例は、“A New 2D-Tiled Detector For Multislice CT”, Luhta他, Medical Imaging 2006: Physics of Medical Imaging, Vol. 6142, pp. 275-286 (2006)に記載されている。他の適切なタイルは、2007年3月8日に出願された“Radiation Detector Array”という題の国際特許出願第PCT/US2007/063532号に記載されている。この国際特許出願の全ての内容を援用する。
【0019】
図3は、例示的な電子機器208を示している。アナログ・デジタル(A/D)変換器302は、積分器304と、比較器306とを含む。図示のA/D変換器302は、光センサアレイ204からの電荷を、電荷を示す周波数を有する一連のパルスに変換する電流・周波数(I/F)変換器として構成される。論理演算ユニット308は、積分期間中に比較器306からのパルス数(C)をカウントし、積分期間の最初のパルスから最後のパルス(T)までの時間を判定する。このデータから、論理演算ユニット308は、入力電荷を示す周波数(例えば、C/T)を判定してもよい。リセットスイッチ300は、積分期間毎に積分器304をリセットする。このような電子機器の例は、2001年11月7日に出願された“Data Acquisition for Computed Tomography”という題の米国特許第6,671,345 B2号に詳細に記載されている。この米国特許の全ての内容を援用する。他の適切な電子機器は、1975年11月28日に出願された“Data Acquisition for Computed Tomography”という題の米国特許第4,052,620号に記載されている。この米国特許の全ての内容も援用する。
【0020】
以下に詳細に説明するように、一実施例では、A/D変換器302は、衝突する光子に対応する電荷と、残光(暗電流)からの残留電荷との双方を処理するように構成される。この実施例では、源コントローラ110は、前述のように積分期間中に放射線の放出をパルス出力し、放射線が放射されている場合に放射線信号が測定され、放射線がオフである場合に暗電流が測定される。このような実施例では、論理演算ユニット308は、放射線信号と暗電流信号との双方について比較器306からの出力パルスを処理するように構成され、暗電流信号に基づいて放射線信号を訂正又は補償する。一例では、このことにより、より長い残光を備えたシンチレータの使用が可能になり、これは、一般的には短い残光を備えたシンチレータより高価ではない。従って、前述の訂正は、検出器アレイ112及び/又は全体システム100のコストを低減することを助けてもよい。
【0021】
利得コントローラ310は、積分器304の利得を設定し、利得制御電圧基準(V
REF)トリマー312は、利得コントローラ310の基準電圧を生成する。熱係数判定器314は、電子機器208の基準電圧熱係数を判定する。以下に詳細に説明するように、これは、シンチレータアレイ202、光センサアレイ204及び/又は他の構成要素の熱係数に基づいて基準電圧熱係数を判定することを含んでもよい。一例では、このことにより、熱係数判定器314が省略された構成に比べて、検出器アレイ112のあまり厳しくない(又は全く厳しくない)熱制御が可能になる。このような熱制御は、スキャン中に検出器アレイ112の温度を所定の温度範囲内に維持することを助ける熱制御ユニット316により提供されてもよい。熱制御ユニット316は、ヒータ、ファン、熱シンク等を含んでもよい。
【0022】
図示の電子機器208は、積分器電圧オフセット(V
OFF)判定器318を更に含む。オフセット電圧は、積分器の入力(従って、光センサアレイ204)に現れる電圧である。このオフセット電圧は、光センサの抵抗と共に、光センサに漏れ電流を引き起こす。一例では、積分器V
OFF判定器318は、積分器304の入力で光センサアレイの漏れ電流を低減又は実質的に相殺する第1のオフセット電圧を提供する。他の例では、以下に詳細に説明するように、積分器V
OFF判定器318は、光センサアレイの漏れ電流を測定し、及び/又は光センサアレイの抵抗を判定することを可能にする第2のオフセット電圧を提供する。これは、異常動作している光センサチャネル又は動作していない光センサチャネルを識別することを可能にし、光センサタイル及び/又は検出器アレイ112の組み立て中、サービス提供中、較正中に実行されてもよい。
【0023】
図1に戻ると、再現器118は、検出器アレイ112からの信号を再現し、これを示す容積測定画像データ(volumetric image data)を生成する。画像プロセッサ等は、画像データに基づいて1つ以上の画像を生成してもよい。汎用コンピュータシステムが、オペレータコンソール120としての役目をする。コンソール120に存在するソフトウェアにより、オペレータは、パルス出力されるX線の技術の選択、スキャナをスキャンモード又は光センサアレイテストモードにすること、電子機器の熱係数の設定、及び/又は他の制御のような、システム100の動作を制御することが可能になる。診察台のような患者支持部122は、検査領域106において人間の患者のような物体又は対象物を支持する。
【0024】
図4は、熱係数判定器314の非限定的な実施例を示している。この例では、熱係数生成器400は、基準熱係数402と熱係数オフセット404とに基づいて電子機器208の熱係数を生成する。一例では、基準熱係数402は、電子機器208について所定の値に設定され、熱係数オフセット404は、シンチレータアレイ202及び光センサアレイ204の熱係数の和の負(マイナス)にほぼ等しく設定される。シンチレータアレイ202及び光センサアレイ204の熱係数は、測定、近似又は別法で判定されてもよい。熱係数402及び404の一方又は双方は、レジスタのような記憶要素に格納されてもよい。図示の例では、熱係数生成器400は、基準熱係数402と熱係数オフセット404とを加算又は合計し、電子機器の熱係数を生成する。
【0025】
一例として、シンチレータアレイ202の熱係数が約-0.15%/Cであり、光センサアレイ204の熱係数が約+0.05%/Cであり、シンチレータアレイ204と光センサアレイ204との総計の熱係数が約-0.10%/Cであることを仮定する。この場合には、熱係数判定器314は、約-0.10%/C±0.005%/Cのような0.0〜0.20%/Cの間の範囲の設定点でV
REF熱係数を提供するように構成されてもよく、これは、処理電子機器の熱係数を約+0.10%/Cに設定する(電流・周波数変換器では、全体のA/D変換器の温度係数は、V
REFの温度係数の負である点に留意すべきである)。これは、シンチレータアレイ202及び光センサアレイの熱係数を低減又は実質的に相殺し、タイルの熱係数を約0.00%/Cにしてもよい。前述の例が表1に示されている。
【0026】
【表1】
シンチレータアレイ202及び光センサアレイ204の熱係数を低減又は実質的に相殺することにより、熱制御ユニット316(
図3)が省略されてもよく、或いは撮像性能を損なうことなく、あまり厳しくない低コストの熱制御が使用可能になる点に留意すべきである。更に、+0.10%/Cは、セ氏1度毎に+1000百万分率(ppm/C)に対応する点に留意すべきである。
【0027】
他の実施例では、レジスタ又は他のメモリは、複数の熱係数オフセット404でプログラムされる(例えば、0.01%/Cのインクリメント又は他のインクリメントで0.00%/C〜+0.20%/C)。熱係数オフセット404として使用する熱係数オフセットを選択するためにフラグ等が使用されてもよい。他の例では、レジスタは、熱係数オフセット404をスケール変更する複数の倍率でプログラムされる。同様に、熱係数オフセット404に適用する倍率を選択するためにフラグが使用されてもよい。更に他の実施例では、熱係数オフセット404が省略され、基準熱係数402は、シンチレータアレイ202及び光センサアレイ204の熱係数に基づいて設定される。
【0028】
更に他の例では、基準熱係数402及び/又は熱係数オフセット404(与えられる場合)は、別法で判定及び/又は設定されてもよい。前述の例では、シンチレータアレイ202及び光センサアレイ204の熱係数は、バンドギャップ基準電圧熱係数を介して低減又は実質的に相殺される。他の例では、係数は、検出器バイアス調整器を通じて外部から、複数のタイル116に共通する回路を介して、及び/又は別法で、電子機器208の熱係数を設定することにより低減又は実質的に相殺される。
【0029】
他の非限定的な実施例では、熱係数判定器314及び/又は他の構成要素は、所定の熱係数不一致閾値を超える、光センサアレイ204とシンチレータアレイ202と処理電子機器208との間の熱係数の不一致を識別してもよく、処理電子機器208の熱係数が光センサアレイ204の熱係数とシンチレータアレイ202の熱係数との和の負にほぼ等しくなるように処理電子機器208の熱係数を変化させる。このような不一致は時間と共に生じてもよい。例えば、シンチレータアレイ202及び/又は光センサアレイ204の温度係数は、放射線による破損、放射線への長期の露出及び/又は別の原因のため、時間と共に変化する可能性がある。従って、処理電子機器の温度係数は、シンチレータアレイ202及び/又は光センサアレイ204の温度係数を補うように実質的に調整されてもよい。これは、較正又は他の手順の一部として行われてもよいことが分かる。
【0030】
図5は、積分器V
OFF判定器318の非限定的な実施例を示している。この例では、光センサアレイ204は、ダイオード506及び抵抗508として表されており、漏れ電流(I
Leakage)が積分器304の入力に加算される。図示の積分器V
OFF判定器318は、2つ以上のオフセット電圧(オフセット電圧1(V
OFF1)502,...,オフセット電圧N(V
OFFN)504)を含み、Nは整数である。一例では、V
OFF1 502は、対象物又は物体をスキャンするために選択され、V
OFFN 504は、検出器タイル116の光センサアレイ204をテストするために選択される。
【0031】
一例として、一実施例では、基準電圧の1つの値(例えば、V
OFF1 502)は、I
Leakageを実質的に相殺又は低減する値に対応する。他の基準電圧の値(例えば、V
OFFN 504)は、積分器304の入力で測定可能な電流を引き起こす電圧に対応する。例えば、V
OFFN 504は、次の式:V
OFF_N=R
expected_resistance*I
measurableの関数として、抵抗器508の予想抵抗と、比較器306を移動する電流とに基づいて判定されてもよい。一例では、V
OFFN 504は、-10mVのように、-1〜-50mV(milliVolt)であり、これにより、V
OFF1 502が積分器の入力に適用された場合より、積分器の入力電圧が1〜50mV高くなる。
【0032】
前述により、V
OFFN 504と測定された電流とに基づいて光センサの抵抗を計算することが可能になり、次に所定の範囲外の抵抗での光センサチャネルを識別することが可能になる。このことは、光センサの較正中、検出器アレイの組み立て中、スキャナの較正中、スキャナのサービス提供中等に異常動作している光センサチャネル又は動作していない光センサチャネルを識別することを助けてもよい。レジスタ又は他のメモリのような記憶要素510のフラグ等は、どの基準電圧502,...,504を使用するかを示す。記憶要素510は、専門家、技術者、ユーザ及び/又は他の許可された作業員のような許可された作業員を介した基準電圧502,...,504でプログラムされてもよい。
【0033】
図6は、適切な電源パルス出力及びデータ取得タイミング図を示しており、
図7、8、9及び10は、適切なA/D変換器302及び論理演算ユニット308の構成の対応する非限定的な実施例を示している。前述のように、一実施例では、放射線源コントローラ110は、放射線をオン及びオフにする放射線源108をパルス出力し、電子機器208は、放射線がオンである場合に付着した電荷を測定し、放射線がオフである場合に暗電流を測定し、論理演算ユニット308は、測定された暗電流に基づいて検出された放射線信号を訂正する。
【0034】
まず
図6を参照すると、例示的な電源パルス出力タイミング
図602は、積分期間604、606、608毎に約55%のデューティサイクルで放射線源108をパルス出力する。従って、放射線は、積分期間604-608の第1の小部分610の間にオンになり、積分期間604-608の第2の小部分612の間にオフになる。この図示のデューティサイクルは、説明目的で提供されており、限定するものではない。例えば、他の実施例では、デューティサイクルは、90%、95%及び99%のように55%より大きくてもよい。デューティサイクルはまた、55%未満でもよい。更に、放射線源108は、各積分期間にパルス出力されなくてもよく、及び/又はデューティサイクルは、積分期間の間で変化してもよい。
【0035】
光センサアレイ出力曲線614は、例示的な対応する光センサ出力電流を示している。前述のように、シンチレータアレイ202に付着する電荷は、長い時定数(残光)で減衰する。その結果、光センサアレイ204の出力は、放射線がオフである場合、616に示すように、急に減少し、618に示すように、シンチレータアレイ202の長期電荷減衰定数で低下する或る小さい値のレベルになる。データ取得タイミング
図620は、放射線がオンである場合に、622に示すように急な信号の低下の後まで、電子機器208が付着した電荷(X)に対応する信号を処理するために使用されてもよく、624に示すように減衰する電荷がゆっくりと安定して低下するときに、暗電流信号(D)を処理するために使用されてもよいことを示している。
【0036】
図7は、A/D変換器302及び論理演算ユニット308の非限定的な実施例を示している。この実施例では、積分器304は、電荷信号を処理する第1の積分器702と、暗電流を処理する第2の積分器704とを含む、2つのチャネル又はサブ積分器を含む。第1及び第2のスイッチ706及び708は、交互に開閉し、信号を光センサアレイ204からそれぞれ第1及び第2のサブ積分器702及び704に経路設定する。一例では、論理演算ユニット308は、
図6のタイミング図又は別のものに基づいてスイッチ706及び708を制御する。比較器306は、積分器702及び704からの信号を処理し、論理演算ユニット308は、比較器306からの信号を処理する。論理演算ユニット308は、暗電流信号又は2つ以上の積分期間での暗電流信号の平均に基づいて電荷信号を訂正する訂正器710を含む。この例では、訂正器710は、電荷信号から暗電流を減算する。
【0037】
図8は、A/D変換器302及び論理演算ユニット308の他の非限定的な実施例を示している。この実施例では、A/D変換器302は、電荷信号を処理する第1のチャネル802と、暗電流を処理する第2のチャネル804とを含む、2つの処理チャネルを含む。第1のチャネル802は、第1の積分器806と、第1の比較器808とを含み、第2のチャネル804は、第2の積分器810と、第2の比較器812とを含む。論理演算ユニット308は、第1のチャネル802の出力を処理する第1のサブユニット814と、第2のチャネル804の出力を処理する第2のサブユニット816とを含む、2つのサブユニットと、訂正器710とを含む。第1及び第2のスイッチ818及び820は、それぞれチャネル802及び804を開閉する。
図8と同様に、論理演算ユニット308は、
図6のタイミング図又は別のものに基づいてスイッチ818及び820を交互に切り替える。論理演算ユニット308は、リセットスイッチ300を作動させ、積分期間の境界にA/D変換器302をリセットし、或る例では、スイッチ818及び820を切り替えるときにA/D変換器302をリセットする。この場合も同様に、訂正器710は、電荷信号から暗電流を減算する。
【0038】
図9は、A/D変換器302及び論理演算ユニット308の他の非限定的な実施例を示している。この実施例では、積分器304は、並列配置に構成された第1及び第2の積分コンデンサ902及び904を含む。第1のスイッチ906は第1の積分コンデンサ902に直列接続しており、第2のスイッチ908は第2の積分コンデンサ904に直列接続している。論理演算ユニット308は、第1及び第2の論理演算サブユニット814及び816を含む。第3のスイッチ914は、論理ユニット308の第1のサブユニット814に直列接続しており、第4のスイッチ916は、論理ユニット308の第2のサブユニット816に直列接続している。この例では、第1の積分コンデンサ902及び第1のサブユニット814は、電荷信号を処理し、第2の積分コンデンサ904及び第2のサブユニット816は、暗電流を処理する。論理演算ユニット308は、
図6のタイミング図又は別のものに基づいてスイッチ906及び914並びに908及び916を制御してもよい。訂正器710は、電荷信号から暗電流を減算する。
【0039】
図10は、A/D変換器302の他の非限定的な実施例を示している。図示の積分器304は、第1及び第2の積分コンデンサ1002及び1004を含む。第1の積分コンデンサ1002の値は、既知の係数(倍数)Xだけ、第2の積分コンデンサ1004の値より大きい。例えば、第1の積分コンデンサ1002の値は、第2の積分コンデンサ1004の値より2、4、8、16、32倍等の大きさでもよい。論理演算ユニット308は、
図6の取得タイミング図に基づいて第1及び第2のスイッチ1006及び1008を交互に開閉する。電荷信号が積分される場合、第1の積分コンデンサ1002は、通常通り放電する。暗電流信号が積分される場合、第1の積分コンデンサ1002は、既知の係数(倍数)Xだけ第2の積分コンデンサ1004より速く帯電(充電)する。このことにより、アナログ領域での暗電流信号の減算が可能になる。
【0040】
ここに記載の実施例及びこれらの変形はまた、2007年1月4日に出願された“Smart Radiation Detector Module”という題の米国特許出願第12/159,861号に関して記載されているスマート検出器のようなスマート検出器に関して使用されてもよいことが分かる。この米国特許出願の全ての内容を援用する。一例では、このことにより、所定の熱係数不一致閾値を超える、光センサアレイ204とシンチレータアレイ202と処理電子機器208との間の熱係数の不一致を識別して不一致を軽減すること及び/又は他の機能のような、様々な機能の自動的及び/又は動的な制御が可能になる。
【0041】
図11は、検出器の熱係数を調整する方法を示している。1102において、撮像システムの検出器タイルの処理電子機器の熱係数の値は、検出器タイルの光センサアレイ及びシンチレータアレイの熱係数の和にほぼ等しく設定される。
【0042】
図12は、暗電流について検出された放射線を訂正する方法を示している。1202において、放射線の放出は、撮像手順の間に、少なくとも積分期間中にオン及びオフされる。1204において、放射線の放出がオンである場合に、第1の信号は、少なくとも1つの積分期間の間に検出される。1206において、放射線の放出がオフである場合にのみ、第2の信号は、少なくとも1つの積分期間の間に検出される。1208において、第1の信号は、第2の信号に基づいて訂正される。
【0043】
図13は、暗電流について検出された放射線を訂正する方法を示している。1302において、所定の信号は、検出器タイルのA/D変換器の入力に注入される。信号は、A/D変換器により測定可能である。1304において、信号は、A/D変換器でデジタルデータに変換される。1306において、検出器タイルの光センサアレイの抵抗は、注入された信号とデジタルデータとに基づいて計算される。
【0044】
本発明について、様々な実施例を参照して説明した。この説明を読むことにより、変更及び変形が他人に思い浮かぶことがある。本発明は、特許請求の範囲又はその均等の範囲内に入る限り、全てのこのような変更及び変形を含むものとして解釈されることを意図する。