(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アキシコン素子はGRINファイバを含み、前記GRINファイバは前記高次モード信号を回折限界ビームに変換するのに適した屈折率プロファイルを示す、請求項1に記載の光学システム。
前記GRINファイバは多項式によって規定される屈折率プロファイルを示し、前記多項式の次数及び各項の係数値が前記高次モードビームの回折限界ビームへの変換を規定する、請求項6に記載の光学システム。
前記システムは前記アキシコン素子の出力に配置される出力レンズを更に備え、該出力レンズはモード変換後の出力ビームを合焦させるために利用される、請求項1に記載の光学システム。
前記システムは、前記出力レンズを越えて配置され、残留する変換されない高発散信号成分を遮断するために利用される空間フィルタリング素子を更に備える、請求項9に記載の光学システム。
【背景技術】
【0003】
超大面積高次モード(HOM)ファイバ増幅器の実証に成功している。例えば、特別に設計された多モードファイバをLP
0,Nモードにおいて動作させることによって、6000μm
2の実効面積(A
eff)を有する増幅器が試験され、高ピーク電力パルス発生(例えば、約数十kW〜数百kWのピーク電力)に適していることが示された。
【0004】
HOMファイバは当該技術分野において既知であり、一般的に、基本LP
01モードを導波する(そして、HOMファイバを従来の単一モードファイバに接合するのを容易にする)小さな内側コアと、所望の高次モードを導波する大きな外側コアとを有する光ファイバから構成される。長周期回折格子(LPG)は、HOMファイバとともに用いられ、従来のファイバのコア領域内を伝搬する到来信号をHOMファイバの外側コア領域にシフトしてきた。すなわち、到来信号のモードを基本LP
01モードから、より高次の選択されたLP
0,Nモードに変換してきた。この構成は、ドープファイバ増幅器を形成する際に有用であることがわかっており、その場合、HOMファイバの一部分が選択された希土類ドーパントを含むように作製され、そして、伝搬する光信号のより高次のモード形において光増幅を実行するために用いられる。
【0005】
低いM
2値を有する増幅された信号ビームが通常必要とされるので(ただし、M
2は、伝搬するビームの理論的なガウスビームからの偏差を示す既知のビーム品質指標であり、それゆえ、その目的が回折限界ビームを生成することである本発明の応用形態のような応用形態では、M
2の値はできる限り1に近いことが望ましい)、通常、増幅された高次モード信号からその基本モードへの変換を用いて、所望の回折限界出力ビームを生成する。第2のLPGは、通常、HOMファイバ増幅器の出力において、このモード再変換を与えるために用いられる。
【0006】
モード再変換のための出力LPGは好都合であるが、高いピーク電力(例えば、数十kW〜数百kW)では、従来のファイバベースのLPGデバイスは、高電力信号の存在下で自己位相変調の形で非線形性を示すことがわかっている。これらの非線形性は、LPGのモード変換特性を望ましくないように変更する。更に高ピーク電力(例えば、数百kW〜MW)では、LPGの物理的特性が永久に変化するのが観測されている。したがって、これらの非線形効果は、高ピーク電力HOM増幅器の出力において必要とされる回折限界ビームを生成する能力に著しい影響を与える。
【0007】
HOMファイバ及びLPGの設計及び特性を注意深く制御することによって、これらの望ましくない非線形効果は幾分緩和することはできるが、そのようにして緩和することは必ずしも実用的であるとは限らない。例えば、HOMファイバの基本モード面積(すなわち、内側コア)が大きくなる可能性があり、及び/又はLPGが強く、かつ短くなる(又は場合によってはチャープが生じる)可能性がある。しかしながら、出力ビームが小さな実効面積に空間的に圧縮されなければならないという条件を課すとき、LPGの基本モードは、この空間的圧縮を必要としない増幅器に比べて、最終的にHOM増幅器のピーク電力処理能力を低下させることになる。
【0008】
少なくともこれらの理由から、高ピーク電力増幅器の場合に、小さな実効面積の基本モードを再入射する必要がない代替のモード変換方法が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ファイバベースの光増幅器において用いるためのモード変換器に関し、より詳細には、回折限界(低M
2)被増幅出力信号を生成するために高電力(例えば、数十kWより大きい)信号で有用なアキシコンベースのモード変換器に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、アキシコンベースの構成体が、ドープHOMファイバの一部分の出力に配置され、伝搬している高次モード信号(例えば、LP
0,Nモード)を回折限界信号に変換するために用いられる。アキシコンは円錐形の端部分を含む光学レンズと定義され、アキシコンは、ガウスビームをベッセルビームに近いビームに変換するために用いられる。円錐形端部分の頂角αは、伝搬しているLP
0,N信号の既知のモード次数Nとともに、高電力LP
0,Nモード光信号を回折限界信号に変換することになる配列構造を作り出すために用いられる。アキシコンベースの構成体は、可能な最も高い効率で、M
2値(理想的な構成の場合、約1)に関して最良の変換品質の出力信号を与えるレンズ素子及び空間フィルタリングを含む。
【0011】
本発明の一実施形態では、レンズ及びアキシコン素子のためにバルク光学構成要素が用いられ、HOMファイバからの高次モード被増幅出力に対するその相対的な配置(及び間隔)が、変換効率に関して最適な結果を与えるように調整される。上述のように、アキシコンの頂角αは、変換効率を改善するために調整することができる別の要因である。
【0012】
代替の実施形態では、バルク光学構成要素の代わりに、ファイバベースのアキシコン素子が用いられる。ファイバベースのアキシコンはHOMファイバの出力端面に直接融着させる(それにより、配列構造内の拡大用レンズを不要にする)ことが好ましく、ファイバベースのアキシコン素子の出力端面は円錐形の外形を作り出すように処理される。周知の作製技法を用いて、最大の変換効率を達成するために必要とされる頂角を示すように、円錐形の外形及びその規定された頂角を形成することができる。
【0013】
本発明の更に別の実施形態では、アキシコン素子として、グレーデッドインデックス(GRIN)ファイバの一部分を用いることができる。この場合、GRINファイバのその部分は、相対的に線形の屈折率プロファイルを示すように形成され、この特定のプロファイルはLP
0,Nモード信号を所望の回折限界形に変換する。この場合、屈折率プロファイルが所望の変換機能を実行するので、円錐形を示すようにGRINアキシコンの出力端面を処理する必要はない。
【0014】
GRINベースの実施形態では、アキシコンの従来の線形屈折率プロファイルを変更して、HOMファイバからのLP
0,N出力への改善された整合を与えることができ、例示的な実施形態では、多項式に基づく最良整合が使用された。
【0015】
アキシコンベースのモード変換器の性能を最適化する例示的な方法では、テストビーム(ガウス形)が、(伝搬している被増幅信号に対して)逆方向にアキシコンに通され、その後、HOMファイバ増幅器を出る高次モード信号と比較される。テストビームとHOMビームとの間の重複度が求められ、最大の重複量が達成されるまで、アキシコンの特定の特性(例えば、頂角、回折長、屈折率プロファイル)が反復プロセスにおいて変更される。
【0016】
本発明の1つの特定の実施形態は、高次モード光信号の回折限界ビームへの変換を提供するための光学システムを開示し、その光学システムはアキシコンレンズ作用素子を含むアキシコンベースのモード変換器の形をとり、アキシコンレンズ作用素子は、アキシコンレンズ作用素子への入力として高次モード光出力信号が加えられるときに、アキシコンレンズ作用素子が、回折限界出力信号を生成するようにモード変換を実行するような光学特性を示すように形成される。
【0017】
本発明の別の態様はアキシコンベースのモード変換器の変換効率を最適化する方法を含み、その方法は、a)変換されることになる高次モード光信号のモード次数Nを規定するステップと、b)名目的な1組のアキシコン光学特性を選択するステップと、c)選択された1組の光学特性を有するアキシコンを通してガウステストビームを逆方向に透過させるステップと、d)アキシコンを出るテストビームのプロファイルを、規定されたモードNの既知のプロファイルと比較するステップと、e)テストビームプロファイルと高次モードビームとの間に十分な重複が存在するか否かを判断し、存在する場合には、その光学特性を最適なアキシコン特性と規定するステップと、そうでない場合には、f)アキシコン光学特性の値を調整し、許容される重複が達成されるまで、ステップc)〜e)を繰り返すステップとを含む。
【0018】
本発明の他の態様及び特徴、並びに更なる態様及び特徴は、以下の説明の過程において、かつ添付の図面を参照することによって明らかになるであろう。
【0019】
ここで図面を参照するが、幾つかの図面を通して、同じ番号は同じ部品を表す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の種々の態様を詳細に説明する前に、高次モード(HOM)光ファイバの一部分を用いるファイバ増幅器の動作の概説が提示される。
図1は、例示的な従来技術のHOMベースのファイバ増幅器1を示しており、その光増幅器は、入力モード変換器3と出力モード変換器4との間に配置されるドープHOMファイバ2の一部分を含む。この例では、両方の変換器は、長周期回折格子(LPG)の形をとり、長周期回折格子はHOMファイバ2の両端部の屈折率特性を変更することによって形成される。
【0022】
動作において、HOMファイバ2は、所定の活性化波長の光が存在する場合に、伝搬している光信号Sが増幅を受けることになるような希土類ドーパント(例えば、エルビウム)を含むように形成されている。希土類ドーパントとしてエルビウムを利用する配列構造では、約1480nm(場合によっては、980nm)の波長のポンプ光が所望の増幅を与える。ポンプ光の唯一の目的が希土類媒体内に「存在し」、光信号内の増幅の発生を活性化することであるので、ポンプ光は、光入力信号と同じ方向に伝搬する場合があるか、又は反対方向に増幅媒体を通り抜ける場合がある。
図1に示される配列構造では、HOMファイバ2を通って同じ方向に伝搬するようにポンプ源5及び光信号源6が位置決めされ、いずれも波長分割マルチプレクサ7を通り抜け、その後、入力LPGモード変換器3に結合される。ポンプ光及び光信号Sが入力LPG3を通って伝搬するにつれて、基本LP
01モードから選択された高次LP
0,Nモードに変換される。ポンプ光は、光信号Sの増幅を活性化し、その後、S
Aで示される光信号の被増幅バージョンが、そのLP
0,NモードにおいてHOMファイバ2を出る。その後、出力LPGモード変換器4を用いて、高次モード被増幅信号S
Aを基本LP
01モード形に変換して戻す。
【0023】
上記で説明されたように、
図1に示されるようなLPGベースのモード変換器を用いるこの従来技術の構成は数多くの状況において許容可能であるが、高電力信号が増幅されることになるときに問題になる。詳細には、高電力信号の存在下において、LPGデバイスが自己位相変調の形の非線形性を示すことがわかっている。これらの非線形性は、LPGのモード変換特性を望ましくないように変更する。高ピーク電力(例えば、数百kW〜MW)では、LPGの物理的特性が永久に変化するのが観測されている。したがって、これらの非線形効果は、高ピーク電力HOM増幅器の出力において、必要とされる回折限界ビーム(低いM
2値)を生成する能力に著しい影響を与える。
【0024】
図2は、出力HOM被増幅信号を小さな空間構成を有するビームに変換するためにLPGベースのデバイスを使用するのを不要にすることによって従来技術の制約を克服する、本発明に従って形成された高電力HOMベースのファイバ増幅器10を示す。代わりに、
図2に詳細に示されるように、アキシコンベースの変換器20を用いて、HOMファイバ2の出力における高次モード被増幅信号を回折限界ビーム(できる限り1.0に近いM
2値)に変換する。当該技術分野において既知であるように、アキシコンは、円錐形端面を有し、その円錐体頂角αによって規定される特殊なタイプの光学レンズである。上述され、後に詳述されるように、アキシコンベースの変換器は、システムの倍率及びレンズ間隔を適切に調整することによって、任意のモード次数LP
0,Nのビームを回折限界ビームに変換することができる。
【0025】
図2を参照すると、アキシコンベースのモード変換器20は、HOMファイバ2からの高電力高次モード出力を拡大するための第1のレンズ22を含むように示される。この拡大された信号は、拡大中にその高次モード形を保持し、その後、アキシコン素子24を通り抜ける。
図2に示されるような特定の実施形態では、アキシコン素子24は、「バルク光学」アキシコン(すなわち、個別の構成要素)の形をとる。後に詳細に説明されるように、変換器20を形成する種々の構成要素間の間隔と組み合わせて、アキシコン素子24の頂角αを選択して、変換器20の出口において回折限界出力信号を生成する。アキシコンベースのモード変換器20は、アキシコン素子を出る高電力被増幅出力信号S
Aから任意の残存する高発散光を除去するために、合焦レンズ26及びアパーチャ(すなわち、空間フィルタ)28を更に備えるように示されている。空間フィルタ28の利用は任意であり、出力ビームが長距離にわたって伝搬することになり、空間フィルタリングが不要な場合もあることは理解されたい。
【0026】
図3は、
図2に示されるようなアキシコン素子24に関連付けられる光線追跡図である。ガウスビームがアキシコン素子24上に入射するとき、アキシコンの特定の特性(その頂角αを含む)が、ガウスビームを0次J
0ベッセル関数の近似値であるビームに変換する役割を果たす。
【0027】
HOMファイバ2からの高次モード被増幅出力信号が、アキシコンベースのモード変換器20のような配列構造を通り抜けることによって、許容可能な回折限界光出力信号を生成することを直接推測することはできない。HOMファイバのLP
0,Nモードは一般的にはJ
0ベッセルビームではなく、そのモードはファイバ自体の屈折率とともにモードソルバーを用いてのみ数値的に解くことができる。実際には、
図2に示される構成を参照すると、システムを通る光信号Sの伝搬を数値計算して、高次ファイバモードを回折限界ビームに変換することができる効率を求めなければならない。変換効率を最大化するために、光学システムは注意深く最適化されなければならない。本発明者は、アキシコンがこのように動作するという、この思いも寄らぬ能力を発見した。
【0028】
HOMファイバ2の端面2Eとモード変換器20の拡大用レンズ22との間の間隔によって、アキシコンベースのモード変換器20の出力における回折限界ビームプロファイルの品質が影響を及ぼされることもわかった。
図4はこの依存性を示しており、
図2に示されるのと同じ構成要素による構成を示し、HOMファイバ2と変換器20の拡大用レンズ22との間の2つの異なる間隔に関連付けられるビームプロファイル(近距離場及び遠距離場の両方)も含む。第1の間隔がd
1と規定され、第2の間隔がd
2と規定される。ただし、d
1<d
2である。
図4に示されるビームプロファイルを参照すると、これら2つの間隔に関連付けられる近距離場パターンにほとんど違いがないことが明らかである(近距離場パターンは空間フィルタ28の出力において測定される)。しかしながら、ビームが空間フィルタ28の場所を越えて伝搬し続けるにつれて、遠距離場ビームプロファイルが大きく異なってくることが明らかである。
【0029】
上記で説明されたように、特定のLP
0,N高次モード及びアキシコン頂角αを与えられると、最適モード変換は或る特定の倍率を必要とする。適切な倍率の達成は、少なくとも、HOMファイバ2の端面2Eと拡大用レンズ22との間に正確な間隔dを有することによって決まる。M
2に関して、d=d
2に対応するモード変換は、d=d
1の場合の構成より、概ね回折限界のビームの場合に高い変換効率を有する。
【0030】
図2及び
図4に示されるような本発明の実施形態は、アキシコンベースのモード変換器20を形成する際に個別の構成要素を利用する。上述のように、ファイバベースのアキシコンモード変換器を作り出すこともできる。
図5は、
図2の増幅器内の個別の構成要素の配列構造20の代わりに用いることができる例示的なファイバベースのアキシコンモード変換器30を示す。変換器30は、HOMファイバ2の端面2E上に融着させることができるエンドキャップ構成要素32を備えるように示される。エンドキャップ構成要素32の長さLに沿って回折が生じる。ただし、Lの値は、HOMファイバ2の出力における被増幅信号S
Aのモード次数Nによって決まる。エンドキャップ構成要素32の終端における円錐形部分34は、高次モード入力から回折限界出力ビームを形成するために必要とされる所望の頂角αを示すように形成される。シリコンベースの構成要素を処理するための当該技術分野においてよく知られている種々の作製プロセス(例えば、研磨、又は適切なエッチング溶液による選択性エッチング)を用いて、円錐形部分34のための所望の頂角αを含む、エンドキャップ構成要素32の所望の幾何学的形状を形成することができる。
【0031】
この構成では、アキシコン素子はHOMファイバの端面に直接融着するので、その構造内に(
図2の実施形態のレンズ22のような)拡大用レンズは含まれない。それゆえ、動作モード次数Nを指定することによって、エンドキャップ構成要素32の回折長Lと、円錐形部分34のための必要とされる頂角αとが完全に決定される。モード変換器30を形成する残りの構成要素、すなわち、合焦レンズ36及び空間フィルタ38(ここでも、空間フィルタリングはオプションである)は、
図2との関連において上記で説明されたのと同様である。本実施形態では、M
2値ができる限り1に近い出力ビームが達成されるまで、エンドキャップ構成要素32の長さL及び頂角αを変更することによって、高次モード信号(例えば、LP
0,Nモード)から回折限界ビームへの最適なモード変換効率が得られる。或る程度の倍率を与えることが望ましい場合には、グレーデッドインデックス(GRIN)ファイバの一部分を、HOMファイバ2の出力とキャップ構成要素32との間に配置することができる。GRINファイバの一部分の屈折率プロファイルは一般的に二次の形を有し、それゆえ、HOMファイバ2からの被増幅高次出力に或る量の倍率を導入する。
【0032】
グレーデッドインデックス(GRIN)ファイバの一部分を用いることによって、本発明によるHOMベースのファイバ増幅器のための一体型出力モード変換器として有用な別のアキシコン構成を作り出すことができる。例示的なGRINベースのアキシコン変換器40が
図6に示される。この構成では、GRINベースのアキシコン素子42が、ファイバ中央からコアの外縁まで線形に減少する屈折率を有する光ファイバの一部分から形成されている。
図7は、GRINベースのアキシコン素子42のための例示的な屈折率プロファイルを示す。
図5に示される構成と同様に、GRINベースのアキシコン素子42がHOMファイバ2の端面2Eに固定され、その後、素子42を出る回折限界信号は合焦レンズ44及び(任意の)空間フィルタ46を通り抜ける。線形屈折率プロファイルは、高次モード信号から回折限界ビームへの変換を与えるパラメーターであるので、円錐形端部分の利用は必要でないことに留意されたい。
【0033】
他の実施形態と同様に、GRINベースのアキシコンの特定の特性を、高次モード入力と回折限界出力との間の変換効率を最大化するように調整することができる。この場合、GRINファイバの一部分の厳密に線形な屈折率プロファイルが、わずかに非線形な形として規定される(例えば、多項式の次数m及び係数の両方を定義するm次多項式として特徴付けられる)ように調整される。
【0034】
さらに、アキシコン素子42の第1の部分42′の屈折率プロファイルを変更して、HOM2からの出力信号の倍率を与えることができる。代替的には、HOMファイバ2の端面2Eに融着するGRINファイバの2つの別々の部分を利用することもでき、第1の部分が拡大を実行し、第2の(特別に規定された屈折率プロファイルを有する)部分が回折限界出力を生成する。
【0035】
実際には、本発明の別の態様は、高次モード被増幅ビームから回折限界ビームへの最大変換効率を与えるようにアキシコンベースのモード変換器の特性を最適化するために用いることができる方法に関する。その方法は、後に説明されるように、生成された高次モード信号の特定の「次数」Nの関数である。例示的な1組の実験のために、LP
0,14ビームが調査される。その方法自体は、最適な1組のアキシコン特性を決定するための第1のプロセスと、最適な1組のアキシコン特性に基づいて、関連する空間フィルタのための最適な透過率を求めるための第2のプロセスとを含む。
【0036】
図8は、第1のプロセス、すなわち、アキシコン自体の光学特性を最適化するためのプロセス100に関連付けられる1組の例示的なステップの流れ図である。
図9は、プロセス100に関連する特定の構成要素の図である。
図8を参照すると、そのプロセスの第1のステップ(ステップ110)は、回折限界形に変換される必要があるHOM信号の特定の次数を規定することである。説明のために、N=14の値が仮定される。次数がわかると、そのプロセスは、ステップ120において継続し、最適化プロセスを開始すべき「名目的な」1組のアキシコン特性を選択する。バルク光学アキシコンを用いる配列構造の場合、その特性は頂角α及び所望の拡大量を含む(拡大量はHOMファイバと拡大用レンズとの間の間隔dによって規定される)。ファイバベースのアキシコンの場合、その特性は、その長さL及び頂角αを含む。GRINベースのアキシコンの場合、その特性は、その屈折率プロファイルを規定するために用いられる多項式の次数及び係数を含む。
【0037】
初期の1組の名目的な特性が選択され、初期アキシコンが規定されると、そのプロセスは、この規定されたアキシコンを通して従来のガウスビームを逆方向に透過させることによって、ステップ130において継続する。
図9はステップ130を示しており、アキシコンの「出力」(HOMファイバの一部分とアキシコンとの相対的な位置に関する出力)へのガウスビームの導入を示す(
図9のプロットAにおいて示される)。
図9に示されるように、かつ上記で説明されたように、アキシコンにガウスビームを通す結果として、近似的な0次ベッセルビームが形成される。
図9のプロットBは、初期に構成されたアキシコンにガウスビームを通すことによって生成されるような、例示的なビームプロファイルを示す。
【0038】
本発明の方法によれば、その後、プロットBにおいて示されるようなこのビームプロファイルが、HOMファイバの一部分を出る被増幅ビームの実際のLP
0,14モードプロファイル(
図9のプロットCに示されるLP
0,14ビームプロファイル)と比較される。比較は
図8の流れ図内のステップ140において規定され、或る場合には、その比較は2つのプロット間の重複を求める形をとることができる。その後、ステップ150に示される問い合わせが実行され、2つのプロット間の最大重複が達成されたか否かを判断する(すなわち、重複が100%である場合には、アキシコンの選択された特性が、LP
0,14プロファイルへの厳密な「一致」を作り出す)。
【0039】
初期重複特性が100%未満であると仮定すると、そのプロセスはステップ160において継続し、アキシコンの特性を変更する。変更されると、そのプロセスはステップ130に戻り、
図9に示されるような構成の別の通り抜けが実行される。何度も繰り返すことが必要な場合があり、最適な(又は所望の)重複値が確認されるまでそのプロセスは継続される。実際には、実際の重複量は一般的に70%〜90%の範囲内にあり、幾つかの異なるパラメーター(HOMファイバの屈折率プロファイル及び結果として生成されるモードプロファイル等)と、利用されるアキシコンのタイプ(すなわち、バルク、ファイバ又はGRIN)との関数になることは理解されたい。
【0040】
GRINベースのアキシコンの屈折率プロファイルを得て最適化するためにプロセス100が用いられる特定の場合、最適化されることになる「特性」は、上述のように、GRINベースのアキシコンの長さと、屈折率プロファイルを規定するために用いられる多項式の次数及び係数とを含むことができる。詳細には、屈折率プロファイルは、ステップ120において、規定された1組の係数を有する、選択されたm次の多項式を有するように規定される。このプロセスは、この屈折率プロファイルを有するGRINベースのアキシコンにガウスビームを通すことによってステップ130において継続し、そのプロセスは
図8において説明されるように継続し、多項式の次数及びその個々の係数を調整して、アキシコンから生成されたベッセルビーム出力の形状を変更する。
【0041】
この方法によって作り出された修正されたGRINベースのアキシコン素子のための例示的な最適化された屈折率プロファイルが
図10に示される。この場合、屈折率プロファイルは、3次多項式の形をとることがわかっている。
図11は、この屈折率プロファイルに関連付けられるアキシコン生成ベッセル関数とHOMファイバ2からのLP
0,14出力との間の比較を示すグラフである。このGRINベースのアキシコン生成ビームと高次モード出力信号との間の重複は約80%であることがわかっている。これは、従来の「直線ランプ」アキシコン(すなわち、
図7に示される屈折率プロファイルを有するデバイス)を用いるときに見られる75%の重複と比較される。重複の改善は、導波されるLP
0,14と真のベッセル関数との間の違いのようにHOM2が理想的でないことに対処するために、及び内側コア領域の存在のような、HOMファイバ2の特有の特性に対処するために、GRINベースのアキシコンを用いることができることを示す。
【0042】
異なるタイプのGRINファイバの組み合わせを用いることもできることは理解されたい。二次GRINレンズ(又は多項式展開におけるより高次の偶数次項)が、拡大を与えることができ(すなわち、上述の素子42′と同様)、それに後続して、実際のアキシコンベースのモード変換のために主に奇数次のGRINファイバ(1次、3次、5次等)が用いられることになる。このことから、GRINファイバベースのアキシコンの場合の潜在的な設計空間が非常に大きくなることが明らかになる。
【0043】
特定の高次モード信号(例えば、LP
0,14)のための最適なアキシコン特性が特定されると、アキシコンベースの変換器のM
2値を空間フィルタの透過率の関数として最適化するプロセスを実行することができる。当該技術分野において既知であるように、M
2値は、レーザビームを或る特定の条件下(例えば、ビーム発散が制限された状態)でいかに厳密に合焦させることができるかの指標として通常理解されるように、生成されたビームのための品質係数として考えることができる。取り得る最良のビーム品質は、M
2=1を有する回折限界ガウスビームの場合に達成される。
図12を参照すると、
図12はアパーチャサイズの関数としてのM
2のプロットである。この場合、アパーチャサイズは、モード変換器の出力において空間フィルタ(例えば、変換器20内の空間フィルタ28、モード変換器30内の空間フィルタ38及びモード変換器40内の空間フィルタ46を参照)を通って透過する光信号電力のパーセンテージと定義される。したがって、0%透過値は、信号全体が遮断される(すなわち、空間フィルタ内にアパーチャが存在しない)ことを意味し、50%透過の透過値は、アパーチャが、信号の中央半分だけが通り抜けられるようにするサイズであることを意味する。
【0044】
図13は、この第2のプロセス200のための例示的な流れ図を含み、
図14は、この第2のプロセスを実行する際に用いることができる1組の構成要素を含む。
図13に示されるように、そのプロセスは、アキシコンのための最適な特性(プロセス100からわかっている)と、HOMファイバと拡大用レンズ(適切な場合)との間の間隔、及びアキシコンと空間フィルタとの間に配置される合焦レンズ(この構成は
図14に示される)の焦点距離とを含む、既知のパラメーターを規定することによって、ステップ210において開始する。
【0045】
そのプロセスの次のステップ(ステップ220)は、空間フィルタのためのアパーチャサイズの初期値を、特定の応用形態がそのようなフィルタリングの使用を必要とすると仮定して選択することである(上記のように、アパーチャサイズは透過する電力のパーセンテージを規定する)。次に、このアパーチャサイズに関連付けられるM
2の値が計算される(ステップ230)。その後、M
2の現在の値に基づいて判断が行われ(ステップ240)、その値が1未満である場合には、アパーチャサイズが拡大され(ステップ250)、この新たな値に対してM
2の値が再び計算される。ステップ230に戻ると、M
2の計算値が1より大きいことがわかった場合には、これは、最適な値を超えたことを示しており(
図13を参照)、前回使用されたアパーチャサイズが「最適な」値と規定されることを示す。
図14は、アパーチャサイズの3つの異なる値の場合の遠距離場パターンを示しており、ここで、90%の値が最良の結果を与えることがわかる。
【0046】
図13に示されるプロットの特定の値に目を向けると、M
2のための最適な単位値が81%の透過値に関連付けられることがわかる。その際、空間フィルタ28は、高電力被増幅信号(ここでは、基本モードにある)の81%をフィルタに通し、その後、出力単一モードファイバ(又は他の適切な回折限界出力デバイス)に結合されるように構成される。
【0047】
限定はしないが、LP
1,Nモード信号を含む、種々の他の形の高次モード信号を取り扱うように特に構成される円錐レンズを利用する本発明の他の実施形態も考えられる。実際には、2M面を有する尖ったレンズが、複合LP
M,Nモード信号を基本LP
01形に変換する際に用いるのに適していると考えられる。