特許第6203788号(P6203788)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6203788回転テーブル装置、および該回転テーブル装置を備えた放電加工機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203788
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】回転テーブル装置、および該回転テーブル装置を備えた放電加工機
(51)【国際特許分類】
   B23Q 1/00 20060101AFI20170914BHJP
   B23H 11/00 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   B23Q1/00 E
   B23H11/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-145574(P2015-145574)
(22)【出願日】2015年7月23日
(65)【公開番号】特開2017-24123(P2017-24123A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2016年7月15日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 瑞穂
【審査官】 青山 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−006405(JP,A)
【文献】 特開2008−119793(JP,A)
【文献】 特開平11−226828(JP,A)
【文献】 実開平02−130731(JP,U)
【文献】 特開平09−290336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 1/00
B23H 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転テーブル本体と、該回転テーブル本体に軸承され任意に回転可能とする面板と、該面板を回転させるための動力を供給する動力用ケーブルを挿入するための継手及び自在チューブから構成された回転テーブル装置において、
前記回転テーブル本体と前記継手の間に、着脱自在なアダプタが配置されており、前記アダプタは前記回転テーブル本体に対する取り付け方向を任意で変更して固定可能である、
ことを特徴とする回転テーブル装置。
【請求項2】
前記アダプタと前記継手が一体構造であることを特徴とする、請求項1の回転テーブル装置。
【請求項3】
加工対象物を取り付ける回転テーブル装置として、請求項1または請求項2に記載された前記回転テーブル装置を用い、該回転テーブル装置を制御し放電加工を行なう制御装置を備えた放電加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転テーブル装置、および該回転テーブル装置を備えた放電加工機である。
【背景技術】
【0002】
図1に示されるように、回転テーブル装置1は、回転テーブル本体2を基準にして、内部に軸受(図示せず)が取り付けらており、軸受(図示せず)の内輪に取り付けられた面板3は回転テーブル本体2に対して、任意に回転できる構造となっている。また、回転テーブル本体2の上面(もしくは側面)には、モータ駆動用等のケーブル挿入穴4が空いており、継手5はケーブル挿入穴4を塞ぐように真上に取り付けられている。継手5には自在チューブ6が挿入されており、モータ駆動用等のケーブル(図示せず)が、継手5と自在チューブ6内を通ることで、回転テーブル装置1の防水性を保ったままモータ駆動用の電力等を供給することができる(特許文献1参照)。
図2では回転テーブル装置1を加工槽20の左側ワークテーブル7に設置しており、自在チューブ6は加工槽20の縁に沿わせるように配置している。この場合、上ガイド10に接続されている放電ケーブル11と、自在チューブ6が接触することはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5116135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図3では、回転テーブル装置1を加工槽20の右側ワークテーブル8に設置しており、この場合継手5の向きが加工槽20の奥側を向いてしまうため、自在チューブ6の取り回しは図2と比較して複雑になっている。また、放電ケーブル11とも接触してしまう可能性があるため、放電ケーブル11の損傷や切断に繋がるだけでなく、加工放電中のノイズの影響を受けやすくなる可能性が高くなる。継手5の向きを回転させて加工槽20の手前に自在チューブ6を配置するように変更すれば、放電ケーブルとの接触は回避できる。しかし、継手5の取外しには専用工具が必要な場合が多く、誤った固定方法では継手5の防水性の悪化にも繋がってしまうため、一般の作業者で行うことは好ましくない。
【0005】
その他にも、図1のような回転テーブル本体2に継手5を直接取り付ける方式では、継手5の構造上、継手5のサイズよりもケーブル挿入穴4を大きくできない問題がある。即ち、モータ駆動用等のケーブル(図示せず)の末端に取り付けられているコネクタが、ケーブル挿入穴4よりも大きい場合、ケーブルをケーブル挿入穴4通すことができないため、ケーブルのみをケーブル挿入穴4に通した後に、ケーブル末端にコネクタを取り付けなければならず、回転テーブル装置1の組立効率が良くない。
【0006】
継手5を大きくすることでこの問題は解決できるが、自在チューブ6も継手5に比例して太くなるため、部品のコストアップに繋がる。また、自在チューブ6内に通すケーブルの径に対して自在チューブ6を極端に大きくしてしまうと、自在チューブ6内部でケーブルが擦れて破損に繋がるだけでなく、回転テーブル装置1を加工槽20内のテーブルに固定する場合にも、自在チューブ6が太いために取り回し性が悪化し加工槽20に沿って固定することが難しくなる。
【0007】
そこで本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、回転テーブル本体と継手の間に部品を追加し、前記回転テーブルに対する自在チューブの取り付け方向が可変であることを特徴する回転テーブル装置、および該回転テーブル装置を備えた回転軸を有する放電加工機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る、放電加工機に使用する回転テーブル装置は、加工液で満たされた加工槽内にあるワークテーブルに設置して、回転テーブル装置の面板に加工物を固定して使用する。回転テーブル装置をワークテーブルに設置する場合、加工物のサイズだけでなく回転テーブル装置から出ているケーブルの取り回しや、放電ケーブルとの位置関係等を考慮する必要がある。本特許では、回転テーブル装置に一つの部品を追加するのみで、回転テーブル装置から出ているケーブルの取り回しを容易に変更できるだけでなく、製造工程の手間を簡素化できることを特徴としている。
【0009】
本願の請求項1に係る発明は、回転テーブル本体と、該回転テーブル本体に軸承され任意に回転可能とする面板と、該面板を回転させるための動力を供給する動力用ケーブルを挿入するための継手及び自在チューブから構成された回転テーブル装置において、前記回転テーブル本体と前記継手の間に、着脱自在なアダプタが配置されており、前記アダプタは前記回転テーブル本体に対する取り付け方向を任意で変更して固定可能である、ことを特徴とする回転テーブル装置である。
請求項2に係る発明は、前記アダプタと前記継手が一体構造であることを特徴とする、請求項1の回転テーブル装置である。
請求項3に係る発明は、加工対象物を取り付ける回転テーブル装置として、請求項1または請求項2に記載された前記回転テーブル装置を用い、該回転テーブル装置を制御し放電加工を行なう制御装置を備えた放電加工機である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、回転テーブル本体と継手の間に部品を追加することにより、前記回転テーブルに対する自在チューブの取り付け方向が可変であることを特徴する回転テーブル装置および、該回転テーブル装置を備えた回転軸を有する放電加工機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】回転テーブル装置の構成図である。
図2】回転テーブル装置を加工槽内の左側テーブルに設置した模式図である。
図3】回転テーブル装置を加工槽内の右側テーブルに設置した模式図である。
図4】アダプタを使用した回転テーブル装置の構成図である。
図5】回転テーブル装置(継手の向き変更)を加工槽内の右側テーブルに設置した模式図である。
図6】回転テーブル装置を搭載したワイヤカット放電加工機の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図4はアダプタを使用した回転テーブル装置の構成図である。図4のように、回転テーブル本体2のケーブル挿入穴4の真上にアダプタ13が配置されており、アダプタ13にも、ケーブル挿入穴14が空けられている。アダプタ13は蓋状の部材であって、周辺部に複数本のボルト取り付け孔が設けられている。回転テーブル本体2にはボルト穴が設けられている。
【0013】
継手5は、アダプタ13のケーブル挿入穴4の真上に取り付けられており、継手5には自在チューブ6が挿入されている。モータ駆動用等のケーブルは、アダプタ13、継手5、自在チューブ6内を通す事で、回転テーブル装置1の防水性を保ったまま、モータ駆動用の電力等を供給することができる。
【0014】
アダプタ13は取り付け取外しを容易に行える構造であるため、作業者が任意で継手5の向きを変更することができる。図5では、継手5の向きを変更した回転テーブル装置1を、右側ワークテーブル8に設置しており、問題になっていた放電ケーブル11との接触を回避することができている。
【0015】
また、回転テーブル本体2のケーブル挿入穴4の真上にアダプタ13が配置されることで、図1のように継手5が回転テーブル本体2に直接配置される場合と比較して、ケーブル挿入穴4を大きくすることができる。これにより、モータ駆動用等のケーブルの末端にコネクタを取り付けたままの状態で回転テーブル装置1を組み立てることができるため、効率の良く組立作業を行うことができる。図中では、アダプタ13の1個に対して継手5の2個の組み合わせであるが、これは一例である。また、アダプタ13と継手5は分割ではなく、一体構造としても良い。
【0016】
図6は回転テーブル装置1を搭載したワイヤカット放電加工機の構成図である。加工槽20には、タンク19からの加工液が供給される。加工槽20内の加工液中には加工屑などが含まれている。加工槽内の加工液を排出する手段16、加工槽20内に加工液を供給する手段17を備えている。制御装置15は、加工槽内の加工液を排出する手段16、加工槽20内に加工液を供給する手段17を駆動制御することが可能である。また、表示部18は加工機の稼働状況などを表示することができる。
【符号の説明】
【0017】
1 回転テーブル装置
2 回転テーブル本体
3 面板
4 ケーブル挿入穴(回転テーブル本体)
5 継手
6 自在チューブ
7 左側テーブル
8 右側テーブル
9 手前側テーブル
10 上ガイド
11 放電ケーブル
13 アダプタ
14 ケーブル挿入穴(アダプタ)
15 制御装置
16 加工槽内の加工液を排出する手段
17 加工槽内に加工液を供給する手段
18 表示部
19 タンク
20 加工槽
図1
図2
図3
図4
図5
図6