(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の一実施形態の小型飛行システムの全体構成を示している。
図1に示す小型飛行システムは、N台(Nは1以上の任意の整数値)の小型飛行体1−1乃至1−Nと、M台(MはNとは独立した1以上の任意の整数値)の着陸誘導ポート装置2−1乃至2−Mと、サーバ3と、ポートID登録者所持装置4乃至6とが、インターネット等の所定のネットワークNを介して相互に接続されることによって構成されている。
【0014】
なお、以下、小型飛行体1−1乃至1−Nの夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「小型飛行体1」と呼ぶ。また、着陸誘導ポート装置2−1乃至2−Mの夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「着陸誘導ポート装置2」と呼ぶ。
【0015】
小型飛行体1は、航空法上の航空機に該当しない航空機のうち、人が搭乗することができない小型の航空機(小型無人機)であって、例えば模型航空機等で構成される。
【0016】
着陸誘導ポート装置2は、小型飛行体1の着陸の可能性がある場所に配置され、当該小型飛行体1を誘導して着陸させるための装置である。
【0017】
具体的には、着陸誘導ポート装置2は、自己を一意に特定するものとして予め登録されている識別子(以下、「ポートID」と呼ぶ)を記憶しており、当該ポートIDを重畳した所定の電波を、小型飛行体1を誘導して着陸させるための誘導電波として送信する。
小型飛行体1は、飛行前におけるユーザ等の入力に基づいて、着陸ポート装置2−1乃至2−Mのうち行き先となる着陸誘導ポート装置2のポートIDを、行先ポートIDとして登録している。そこで、小型飛行体1は、飛行中に誘導電波を受信すると、当該誘導電波からポートIDを描出する。
小型飛行体1は、当該ポートIDが行先ポートIDと一致するか否かを確認し、一致すると確認した場合、当該誘導電波に従って、当該誘導電波の送信位置(即ち、当該誘導電波を送信している着陸ポート装置2)に着陸する。
【0018】
なお、着陸誘導ポート装置2と小型飛行体1との間で実行されるその他の各種処理については、
図6等を参照して後述する。
【0019】
サーバ3は、小型飛行体1と着陸誘導ポート装置2の各動作を監視したり管理すべく、各種処理を実行する。
【0020】
具体的には例えば、サーバ3は、次のようにして、小型飛行体1−1乃至1−Nの夫々の飛行状況を監視する。
即ち、本実施形態では、小型飛行体1−1乃至1−Nの夫々には、他の小型飛行体1と区別して自己を一意に特定する識別子(以下、飛行体IDと呼ぶ)が夫々予め付されている。
所定の小型飛行体1の飛行体IDは、当該所定の小型飛行体1自身に記憶されていると共に、所定のDBにも登録されている。なお、所定のDBの存在場所は、特に限定されず、サーバ3とは別の場所であってもよいが、本実施形態ではサーバ3内とされている(後述の
図5と
図6の小型飛行DB321参照)。
そこで、飛行中の小型飛行体1−K(Kは、1乃至Nのうち任意の整数値)は、自機の飛行体IDを送信するようにする。
サーバ3は、とある飛行物体の当該飛行体IDを受信すると(この時点では、小型飛行体1−Kのものであることをサーバ3は認識できていないので)、当該飛行体IDは登録されているものか否かを判定する。いまの場合、当該飛行体IDは、小型飛行体1−Kのものとして登録されていると判定されることになる。つまり、飛行物体は、小型飛行体1−Kであると認証される。そこで、サーバ3は、認証した小型飛行体1−Kの飛行状況、例えば予め定められた空路から外れていないか等の飛行状況を監視する。
【0021】
なお、サーバ3のその他の各種処理については、
図5等を参照して後述する。
【0022】
ポートID登録者所持装置4乃至6は、特定の着陸誘導ポート装置2の使用者として、当該特定の着陸誘導ポート装置2のポートIDを事前に登録している者(以下、「ポートID登録者」と呼ぶ)に所持される装置であり、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等で構成される。
【0023】
例えば
図1の例では、ポートID登録者所持装置4のポートID登録者は、着陸誘導ポート装置2−1のポートIDを事前に登録している者である。ポートID登録者所持装置5,6のポートID登録者は、着陸誘導ポート装置2−MのポートIDを事前に登録している者である。
【0024】
図2は、
図1の小型飛行システムのうち、小型飛行体1のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【0025】
小型飛行体1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、飛行制御部16と、GPS部17と、通常着陸制御部18と、記憶部19と、飛行体ID制御部20と、カメラ部21と、運搬物収容部22と、緊急着陸制御部23と、充電部24と、ドライブ25とを備えている。
【0026】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部19からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0027】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、飛行制御部16と、GPS部17と、通常着陸制御部18と、記憶部19と、飛行体ID制御部20と、カメラ部21と、運搬物収容部22と、緊急着陸制御部23と、充電部24と、ドライブ25とが接続されている。
【0028】
飛行制御部16は、CPU11やGPS部17から得られる情報に基づき、小型飛行体1の飛行動作、例えば離陸、上昇、下降、旋回、着陸等を制御する。
【0029】
GPS部17は、アンテナを含み複数のGPS(Global Positioning System)用衛星からのGPS信号を受信して、当該GPS信号から小型飛行体1の現在位置(緯度、経度)を示す位置情報を取得する。
【0030】
通常着陸制御部18は、入力部181と、通信部182とを備え、小型飛行体1の通常の着陸動作、本実施形態では着陸誘導ポート装置2への着陸動作を制御する。
入力部181は、ユーザ等の操作により、小型飛行体1の行先となる着陸誘導ポート装置2のポートIDを入力する。
通信部182は、着陸誘導ポート装置2と通信をし、各種情報を送受信する。
例えば通信部182は、着陸誘導ポート装置2から送信されてきた誘導電波を受信する。この場合、通信部182に受信された誘導電波には、上述した様に、当該誘導電波を送信した着陸誘導ポート装置2のポートIDが含まれている。通信部182に受信された誘導電波に含まれているポートIDと、入力部181により入力されたポートIDとが一致する場合、誘導電波を送信した着陸誘導ポート装置2が行先であることが特定される。この場合、小型飛行隊1は、当該誘導電波に従って、行先である着陸誘導ポート装置2に着陸する。ついては、
図5を参照して後述する。
【0031】
記憶部19は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
【0032】
飛行体ID制御部20は、小型飛行体1における飛行体IDの取り扱いを制御すべく、飛行体ID記憶部201と、通信部202とを備えている。
飛行体ID記憶部201は、自機の小型飛行体1に付された飛行体IDを記憶する。
通信部202は、飛行体ID記憶部201に記憶されている飛行体IDを、所定の無線通信規格に従って無線送信する。無線送信された飛行体IDは、上述したように、サーバ3に受信されると、自機の小型飛行体1の認証に用いられる。
【0033】
カメラ部21は、例えば小型飛行体1の下方の様子を撮影し、その結果得られる画像データをCPU11に提供する。CPU11は、当該画像データに対して各種画像処理を施し、当該画像処理の結果を、現在位置の認識等をするための支援となる情報として適宜用いる。
【0034】
運搬物収容部22は、運搬物を施錠して収容し、所定の要件を満たした場合に施錠を解除する。ここで、所定の条件は特に限定されず、本実施形態では、小型飛行体1の着陸の検出という要件を少なくとも含んでいる。その他例えば、暗証番号の入力を受付け、当該暗証番号が正しいことという要件を含めることができる。
【0035】
緊急着陸制御部23は、小型飛行体1が何らかの要因により継続飛行できない場合に、小型飛行体1が安全な場所に緊急着陸するための動作を制御する。
充電部24は、小型飛行体1の駆動に必要な電力を放電するバッテリ(図示せず)に対して、後述する着陸誘導ポート装置2の充放電部61から供給されてくる電力を用いて充電する。
【0036】
ドライブ25には、必要に応じて、リムーバブルメディア31が適宜装着される。ドライブ25によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部19にインストールされる。また、リムーバブルメディア31は、記憶部19に記憶されている各種データも、記憶部19と同様に記憶することができる。
【0037】
図3は、
図1の小型飛行システムのうち、サーバ3のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【0038】
サーバ3は、CPU81と、ROM82と、RAM83と、バス84と、入出力インターフェース85と、出力部86と、入力部87と、記憶部88と、通信部89と、ドライブ90とを備えている。
【0039】
CPU81は、ROM82に記録されているプログラム、又は、記憶部88からRAM83にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM83には、CPU81が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0040】
CPU81、ROM82及びRAM83は、バス84を介して相互に接続されている。このバス84にはまた、入出力インターフェース85も接続されている。入出力インターフェース85には、出力部86と、入力部87と、記憶部88と、通信部89と、ドライブ90が接続されている。
【0041】
出力部86は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、画像や音声等の各種情報を出力する。
入力部87は、マウスやキーボード等で構成され、各種情報を入力する。
記憶部88は、ハードディスクやDRAM等で構成され、飛行体ID、各種データを記憶する。
通信部89は、ネットワークNを介して別装置(本実施形態では主に
図1に記載の各小型飛行体1−1乃至1−N)との間で行う通信を制御する。例えば、飛行状況に関する情報の送受信の制御を実行する。
【0042】
ドライブ90には、必要に応じて、リムーバブルメディア101が適宜装着される。ドライブ90によってリムーバブルメディア101から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部88にインストールされる。また、リムーバブルメディア101は、記憶部88に記憶されている各種データも、記憶部88と同様に記憶することができる。
【0043】
図4は、
図1の小型飛行システムのうち、着陸誘導ポート装置2のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【0044】
着陸誘導ポート装置2は、CPU51と、ROM52と、RAM53と、バス54と、入出力インターフェース55と、入力部56と、出力部57と、記憶部58と、ネットワーク通信部59と、近距離無線通信部60と、充放電部61と、発光部62と、着陸検出部63と、GPS部64と、ドライブ65とを備えている。
【0045】
CPU51は、ROM52に記録されているプログラム、又は、記憶部58からRAM53にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM53には、CPU51が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0046】
CPU51、ROM52及びRAM53は、バス54を介して相互に接続されている。このバス54にはまた、入出力インターフェース55も接続されている。入出力インターフェース55には、入力部56と、出力部57と、記憶部58と、ネットワーク通信部59と、近距離無線通信部60と、充放電部61と、発光部62と、着陸検出部63と、GPS部64と、ドライブ65が接続されている。
【0047】
入力部56は、キーボード等により構成され、各種情報を入力する。
出力部57は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、画像や音声等の各種情報を出力する。
記憶部58は、ハードディスクやDRAM等で構成され、各種データを記憶する。
ネットワーク通信部59は、ネットワークNを介して別装置(本実施形態では主に
図1に記載のポートID登録者所持装置4乃至6)との間で行う通信を制御する。
【0048】
近距離無線通信部60は、近距離を飛行している小型飛行体1と無線通信をする。
【0049】
充放電部61は、着陸誘導ポート装置2及び小型飛行体1の駆動に必要な電力を放電するバッテリ(図示せず)に対して、所定の電源から供給されてくる電力を用いて充電をすると共に、小型飛行体1が着陸誘導ポート装置2に着陸した時に、小型飛行体1の充電部24(
図2)に対し放電をする。
【0050】
発光部62は、LEDランプ等で構成され、通常着陸を試みる小型飛行体1に対して、着陸誘導ポート装置2の場所を示す様に発光する。
め
【0051】
着陸検出部63は、小型飛行体1が着陸誘導ポート装置2に着陸したことを検出する。
GPS部64は、アンテナを含み複数のGPS用衛星からのGPS信号を受信して、当該GPS信号から着陸誘導ポート装置2の現在位置(緯度、経度)を示す位置情報を取得する。
【0052】
ドライブ65には、必要に応じて、リムーバブルメディア71が適宜装着される。ドライブ65によってリムーバブルメディア71から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部58にインストールされる。また、リムーバブルメディア71は、記憶部58に記憶されている各種データも、記憶部58と同様に記憶することができる。
【0053】
図5は、
図1の小型飛行システムのうち、サーバ2が小型飛行体1を管理する管理装置として機能する場合における、小型飛行体1とサーバ3との機能的構成を示す機能ブロック図である。
【0054】
小型飛行体1のCPU11(
図2)においては、
図5に示すように、送信制御部211と、位置情報取得部212と、飛行駆動監視部213とが機能する。
【0055】
サーバ3のCPU81(
図3)においては、
図5に示すように、取得部311と、認証部312と、監視部313と、警告部314とが機能する。
記憶部88の一領域には、飛行体DB321と、空路DB322とが設けられている。
【0056】
小型飛行体1において、飛行体ID記憶部201には、上述した様に、小型飛行体1に付された飛行体IDが記憶されている。
送信制御部211は、小型飛行体1の飛行中等に、飛行体ID記憶部201に記憶された飛行体IDを抽出して、当該飛行体IDを通信部202から無線送信することを制御する。
【0057】
サーバ3において、取得部311は、飛行物体から送信された情報を、通信部89を介して取得する。
ここで、飛行体DB321には、小型飛行体1−1乃至1−Nの夫々の飛行体IDが記憶されている。
そこで、認証部312は、取得部311に取得された情報に飛行体IDが含まれている場合、飛行体DB321にアクセスして、当該飛行体IDと一致しているものを検索し、取得部311に取得された情報を送信した飛行物体を、当該飛行体IDから特定される小型飛行体1であるとして認証する。
監視部313は、このような認証部312の認証結果に基づいて、小型飛行体1−1乃至1−Nの夫々の飛行状況を監視する。
【0058】
さらに本実施形態の小型飛行体1においては、位置情報取得部212は、当該小型飛行体1の現在位置を示す位置情報をGPS部17から取得する。
そこで、本実施形態の送信制御部211は、小型飛行体1の飛行体IDと共に、さらに当該小型飛行体1の位置情報を送信する制御を実行する。
【0059】
この場合、サーバ3の監視部は、認証部312により認証された当該小型飛行体1の現在位置を、当該小型飛行体1から送信される位置情報に基づいて特定することで、当該小型飛行体1の飛行状況を監視することができる。
【0060】
詳細については
図9及び
図10を参照して後述するが、小型飛行体1−1乃至1−Nの夫々が飛行可能な空路が予め決まっており、当該空路の情報が空路DB322に記憶されている。
【0061】
そこで、監視部313は、さらに、認証部312により認証された当該小型飛行体1の現在位置が、予め決められた空路に入っているか否かを判断することで、当該飛行物体1の飛行状況を監視する。
【0062】
ここで、小型飛行体1−1乃至1−Nのうち、監視部313により空路から外れた小型飛行体1が存在すると監視された場合、警告部314は、当該小型飛行体1に対する警告を発する。
【0063】
警告を発する手法は、特に限定されず、例えば、警告音等をサーバ3の出力部86から出力する手法を採用してもよいし、警告メッセージ等を通信部89を介して、空路から外れた小型飛行体1に対して直接無線送信する手法を採用してもよいし、これらの手法を組合せてもよい。
【0064】
小型飛行体1において、飛行駆動監視部213は、例えばモータの回転駆動の状態を監視することで、小型飛行体1の飛行用の駆動を開始したか否かを監視する。
送信制御部211は、飛行駆動監視部213により飛行用の駆動の開始が監視されたことをトリガとして、飛行体IDや位置情報の送信を開始する制御を実行する。
【0065】
図6は、
図1の小型飛行システムの機能のうち、着陸誘導ポート装置2の誘導に従って小型飛行体1を着陸させる機能を発揮する場合における、着陸誘導ポート装置2と小型飛行体1との機能的構成を示す機能ブロック図である。
【0066】
着陸誘導ポート装置2のCPU51(
図4)においては、
図6に示すように、飛行体認証部411と、誘導電波送信制御部412と、報知制御部413と、発光制御部414とが機能する。
記憶部58の一領域には、飛行体DB321と、ポートDB422とが設けられている。
【0067】
小型飛行体1のCPU11(
図2)においては、
図6に示すように、飛行体ID送信制御部211と、ポートID登録部214と、行先ポート認証部215と、ポートID描出部216と、ポートID確認部217と、行先設定部218とが機能する。
通信部182(
図2)においては、着陸信号受信部191と、誘導電波受信部192とが機能する。
【0068】
着陸誘導ポート装置2において、ポートIDDB422は、自己を一意に特定するものとして予め登録されている識別子を、ポートIDとして記憶する。
なお、図示はしないが、サーバ3においても、着陸誘導ポート装置2毎に、ポートIDと、設置位置を示す位置情報とが対応付けられて管理されている。
【0069】
誘導電波送信制御部412は、所定の電波(搬送波)に対して、ポートIDDB422に記憶されているポートIDを重畳する。そして、誘導電波送信制御部412は、ポートIDを重畳した所定の電波を、小型飛行体1を誘導して着陸させるための誘導電波として、誘導電波送信部162から送信させる制御を実行する。
【0070】
一方で、小型飛行体1において、着陸誘導ポート装置2−1乃至2−Mのうち行先の着陸誘導ポート装置2のポートIDは、上述した様に、ユーザ等の操作により入力部181に入力される。ポートID登録部214は、行先の着陸誘導ポート装置2のポートIDを、行先ポートIDとして登録する。
【0071】
ここで、小型飛行体1の飛行中に着陸誘導ポート装置2からとの通信圏内に入った場合、誘導電波受信部192は、当該着陸誘導ポート装置2からの誘導電波を受信する。
ポートID抽出部216は、このようにして誘導電波受信部192において誘導電波が受信された場合、当該誘導電波からポートIDを描出する。
【0072】
ポートID確認部217は、ポートID抽出部216により抽出されたポートIDが、ポートID登録部214により登録された行先ポートIDと一致するか否かを確認する。
【0073】
行先設定部218は、ポートID確認部217によりポートIDが行先ポートIDと一致することが確認された場合、当該ポートIDが重畳されていた誘導電波の送信位置、即ち当該誘導電波を送信している着陸誘導ポート装置2を行先に設定する。
飛行制御部16は、行先として設定された着陸ポート装置2(誘導電波の送信位置)に着陸させるように、小型飛行体1の飛行を制御する。
【0074】
小型飛行体1は、上述のように、行先の着陸誘導ポート装置2との通信圏内に入ると、当該着陸誘導ポート装置2からの誘導電波に従って着陸するように飛行する。
【0075】
一方、小型飛行体1は、行先の着陸誘導ポート装置2との通信圏外で飛行中の場合、誘導電波を受信することができないため、GPS部17からの位置情報と、行先の着陸誘導ポート装置2の位置情報とに基づいて、飛行する。
【0076】
具体的には、行先設定部218は、ポートID確認部217によりポートIDが行先ポートIDと一致することが確認されるまでの間、GPS部17からの位置情報が示す現在位置と、行先ポートIDから特定される着陸誘導ポート装置2の位置との差分に基づいて、行先を設定する。飛行制御部16は、行先設定部218により設定された行先に向けて小型飛行体1を飛行させるように制御する。
【0077】
なお、本実施形態では、上述した様に各着陸ポート装置2毎に行先ポートIDと設置の位置とがサーバ3において管理されている。そこで、行先ポートIDから特定される着陸誘導ポート装置2の位置については、サーバ3から取得するものとする。
【0078】
ここで、着陸誘導ポート装置2は、誘導電波を常に送信していてもよいが、この場合、誘導電波を送信するための電力が常に必要になると共に、予期せぬ小型飛行体1も誘導電波に従って着陸してしまうおそれがある。
【0079】
そこで、本実施形態では、着陸誘導ポート装置2−1乃至2−M毎に、小型飛行体1−1乃至1−Nのうち着陸を許可するものを事前登録している。即ち、小型飛行体1−1乃至1−Nのうち着陸を許可するものの飛行体IDは、飛行体DB321に事前登録されている。
【0080】
一方、小体飛行体1は、飛行中には、上述した様に、自身の飛行体IDを送信している。即ち、送信制御部211は、飛行体ID記憶部201に記憶された飛行体IDを、通信部202を介して送信する制御を実行する。
【0081】
従って、飛行中に飛行体IDを送信している小型飛行体1が所定の着陸誘導ポート装置2の通信圏内に入ると、当該着陸誘導ポート装置2の飛行体ID受信部163は、当該小型飛行体1の飛行体IDを受信して、飛行体認証部411に供給する。
【0082】
飛行体認証部411は、このようにして飛行体ID受信部163に飛行体IDが受信された場合、当該飛行体IDが飛行体DB321により事前登録(管理)されているものか否かを確認する。そして、飛行体認証部411は、管理されていると確認したとき、当該飛行体IDを送信する小型飛行体1を着陸対象として認証する。
【0083】
導電波送信制御部412は、飛行体認証部411により着陸対象として小型飛行体1が認証されたことをトリガとして、誘導電波の送信の制御を開始する。
【0084】
つまり、着陸対象として着陸誘導ポート装置2に許可された小型飛行体1が通信圏内に飛行してきた場合にのみ、誘導電波は送信され、それ以外の場合には誘導電波の送信は停止される。これにより、着陸誘導ポート装置2の小電力が図れると共に、許可されていない飛行物体の予期せぬ着陸を防止することができる。
【0085】
着陸誘導ポート装置2の報知制御部413は、飛行体認証部411により着陸対象として小型飛行体1が認証された場合、当該小型飛行体が着陸圏内に入った旨を報知する制御を実行する。
【0086】
ここで、報知の制御は、特に限定されず、例えば、小型飛行体1が間もなく到着する旨を音声等で出力部57から出力するような制御を採用してもよいし、その旨をネットワーク通信部59を介して、ポートID登録者所持装置4乃至6等に送信する制御、換言すると別装置と通信の制御をして当該別装置から報知内容を出力するような制御を採用してもよいし、これらの手法を組合せてもよい。
【0087】
ここで、着陸誘導ポート装置2の着陸検出部63は、上述した様に、着陸対象の小型飛行体1が着陸誘導ポート装置2に着陸したことを検出する。
そこで、報知制御部43は、さらに、着陸検出部63により小型飛行体1の着陸が検出された場合、当該小型飛行体の着陸を報知する制御を実行する。
【0088】
着陸検出部63の検出信号、即ち、着陸対象の小型飛行体1が着陸誘導ポート装置2に着陸したことを示す信号(以下、「着陸信号」と呼ぶ)は、着陸誘導ポート装置2の着陸検出部63から着陸信号送信部161から送信されて、当該小型飛行体1の着陸信号受信部191に受信される。
【0089】
小型飛行体1の運搬物収容部22は、上述した様に、運搬物を施錠して収容し、着陸誘導ポート装置2の着陸の検出という要件を少なくとも含む1以上の要件を満たした場合、施錠を解除する。即ち、着陸信号が着陸信号受信部191に受信されて運搬物収容部22に供給された場合、「着陸誘導ポート装置2の着陸の検出という要件」は満たされたことになるので、その他の要件を満たすこと(例えば正確な暗号キーが入力される等)を条件として、運搬物の施錠が解除される。
【0090】
ここで、着陸誘導ポート装置2の充放電制御部は、所定の電源(図示せぬ)から充放電部61に充電をする制御を実行すると共に、着陸した小型飛行体1に対して電力を供給するために充放電部61を放電させる制御を実行する。
【0091】
図7は、
図1の小型飛行システムのうち、小型飛行体1の飛行体ID制御部20の外観の例を示す模式図である。
【0092】
図7に示すとおり、飛行体ID制御部20は、小型飛行体1に着脱可能であり、装着方法は、特に限定されることはなく、例えば、紐等による巻き付け、接着剤を用いた貼付、ネジを用いた取り付け等の方法がある。
【0093】
上述したように、飛行体ID制御部20は、付与された飛行体IDを記憶し、また送信する機能を有するため、あらゆる飛行物体に装着させることにより、当該飛行物体を小型飛行体1としてサーバ3の管理下に置くことができる。
【0094】
この技術の適用例として、公道を走る自動車にナンバー登録が義務付けられていることで陸路の交通安全が担保されているのと同様に、空路を飛行する小型飛行体1に飛行体IDの付与を義務付け、空路の交通安全を担保することも実現可能となる。
【0095】
また、自動車の登録ナンバーと同様に、目視による飛行体IDの識別を可能とするため、飛行体ID制御部20には、飛行体IDが印字されたプレート203を取り付けることもできる。
【0096】
さらに、自動車のナンバー登録と同様に、小型飛行体1の使用目的、大きさ、搭載機能、飛行能力等により飛行体IDに種別を設け、必要に応じて免許制を設けて、サーバ3で個別管理することもできる。
【0097】
図8は、
図1の小型飛行システムのうち、小型飛行体1と、サーバ3との間における接続関係を示す模式図である。
【0098】
図8に示すとおり、飛行体ID制御部20を備える小型飛行体1は、飛行体IDをサーバ3に送信する。
このとき、小型飛行体1は、モータの駆動の開始に合わせて飛行体IDを送信することとするため、常に飛行体IDを送信し続けるとした場合に比して電力の消費を抑えることができる。
【0099】
サーバ3は、小型飛行体1から受信した情報に基づき小型飛行体1を監視して管理する。
小型飛行体1とサーバ3との間で使用される電波の周波数は、携帯電話の周波数と同じにすることができる。これにより、全国に網羅された携帯電話の基地局を利用することができることになり、サーバ3は、全国規模での小型飛行体1の管理を行うことができる。
【0100】
図9は、
図1の小型飛行システムのうち、小型飛行体1が予め決められた空路9を飛行していることを示す模式図である。
【0101】
図9に示すとおり、小型飛行体1は、GPS用衛星8からのGPS信号を受信して、当該GPS信号から小型飛行体1の現在位置(緯度、経度)を示す位置情報を取得し、予め決められた空路9を逸脱しないように飛行する。
【0102】
このとき、サーバ3は、小型飛行体1が予め決められた空路9に入っているか否かを監視し、小型飛行体1が予め決められた空路9を外れた場合、小型飛行体1に対し警告を発する。
【0103】
サーバ3からの警告を受けた小型飛行体1は、当該警告の内容に従って飛行制御を行い、必要に応じて緊急着陸に向けた動作を行う。
【0104】
サーバ3は、空路9に関する情報と、小型飛行体1に関する情報を有機的に管理しているため、小型飛行体1に事故や故障が生じた場合に、当該小型飛行体1の特定と、事故等の発生場所の特定とを、素早く行うことができる。
【0105】
図10は、
図9に示す空路9の具体例を示す模式図である。
【0106】
図10(A)乃至(C)に示すとおり、空路9は、任意の位置に設定することができる。また、空路9は、小型飛行体1同士が衝突や接触せずに飛行できるようにするため、自動車が走る公道と同様に、第1方向に飛行するための空路9Rと、第1方向とは逆方向の第2方向に飛行するための空路9Lとが、水平方向に並行するように配置することもできる。
【0107】
また、空路9は、
図10(D)に示すとおり、空路9Rと空路9Lとが垂直方向に並行するように配置することもできる。
これにより、スペース的な制限で左右に空路9を確保できない場合においても、小型飛行体1が衝突や接触しないような空路9を設定することができる。
【0108】
図11は、
図1の小型飛行システムのうち、小型飛行体1が緊急着陸制御部23の制御に基づいて緊急着陸する際、その衝撃を緩和するために動作する保護部材の一例としてのパラシュート112aを示す模式図である。
即ち、緊急着陸制御部23は、小型飛行体1が緊急着陸に際し、パラシュート112aを開く制御を実行することができる。
なお、落下や緊急着陸時における危害を防ぐために、小型飛行体1の緩衝材113を巻き付けることもできる。
【0109】
図12は、
図1の小型飛行システムのうち、小型飛行体1が緊急着陸制御部23の制御に基づいて緊急着陸する際、その衝撃を緩和するために動作する保護部材の一例であって
図11とは異なる例のエアバッグ112bを示す模式図である。
即ち、緊急着陸制御部23は、小型飛行体1が緊急着陸に際し、
図11のパラシュート112aの代わりに、エアバッグ112bを開く制御を実行することができる。
【0110】
このように、緊急着陸制御部23が、
図11のパラシュート112a
図12のエアバッグ112b等を動作させる制御を実行することで、小型飛行体1の落下時等における自機の損傷を緩和するだけでなく、当該落下等に伴い生じ得る二次被害(歩行者や建物への衝突等)を防止することもできる。
【0111】
図13は、
図1の小型飛行システムにおいて、小型飛行体1が、離れて存在する地点Aと地点Bとの間を行き来することができることを示す模式図である。
地点Aには、所定のポートIDが付された着陸誘導ポート装置2(特に「着陸誘導ポート装置2−A」と呼ぶ)が配置されている。地点Bには、誘導ポート装置2−Aのものとは別のポートIDが付された着陸誘導ポート装置2(特に「着陸誘導ポート装置2−B」と呼ぶ)が配置されている。
そこで、小型飛行体1が地点Aに存在するときに着陸誘導ポート装置2−BのポートIDを行先ポートIDとして登録し、小型飛行体1が地点Aに存在するときに着陸誘導ポート装置2−BのポートIDを行先ポートIDとして登録することで、地点Aと地点Bとの間の小型飛行体1の行き来が可能になる。
ここで、GPSに基づく位置情報のみでは、着陸制御にメートル単位での誤差を伴うことから、誘導電波を用いる着陸誘導ポート装置2−Aと着陸誘導ポート装置2−Bとを採用することで、地点Aと地点Bとのの間に存在する障害物の影響を受けることなく、精度良く地点Aと地点Bとの間を行き来することができる。
【0112】
図14は、
図13に示した模式図の具体例を示した図である。
なお、
図14の例では、小型飛行体1の着陸予定点として、地点Aと地点Bに加え、地点Cも設けられている。
地点Cには、誘導ポート装置2−A,2−Bの何れのものとは別の所定のポートIDが付された着陸誘導ポート装置2(特に「着陸誘導ポート装置2−C」と呼ぶ)が配置されている。
具体的には
図14の例では、着陸誘導ポート装置2−AのポートID114としては、「0123」が付されている。着陸誘導ポート装置2−BのポートID114としては、「0124」が付されている。着陸誘導ポート装置2−CのポートID114としては、「0125」が付されている。
一方、小型飛行体1は、行先の着陸誘導ポート装置2のポートID114を、行先ポートID115として登録して、飛行している。
図4の例では、行先ポートID115として「0123」が登録されている。即ち、
図4の例では、小型飛行体1の行先は着陸ポート装置2−Aである。
従って、小型飛行体1は、着陸誘導ポート装置2−A乃至2−Cのうち行先の着陸誘導ポート装置2の通信圏内まで飛行すると、当該着陸誘導ポート装置2から送信された誘導電波に重畳されたポートID114と、行先ポートID115が「0123」で一致することを確認する。すると、小型飛行体1は、誘導電波に従って、行先の当該着陸誘導ポート装置2−Aに着陸する。
【0113】
図15は、
図14に示した具体例において、小型飛行体1の通常着陸制御部18の入力部181に、行先ポートID115を入力できることを示す模式図である。
図15の例では、入力部181はテンキーで構成されている。ユーザ等は、このテンキーを押下操作することで、行先ポートID115として「0123」を入力することができる。
このとき、行先ポートID115として入力された「0123」は表示部183に表示される。
なお、通常着陸制御部18の入力部181は、行先ポートID115の入力機能の他に、運搬物収容部22の施錠及び解錠をさせるための暗証番号を入力する機能を備えるようにしてもよい。
また、小型飛行体1に行先ポートID115を登録する手法は、入力部18(テンキー)から直接入力する手法に限られず、ポートID登録者所持装置4乃至6からの間接的に入力する手法を採用することも可能である。
【0114】
図16は、
図14に示した具体例において、小型飛行体1が自動的に飛び交う地点A乃至Cの夫々を模式的に示した図である。
【0115】
小型飛行体1は、上述したように、地点A乃至Cの夫々の間を自動的に飛び交うことができる。
具体的には例えば、小型飛行体1が、ポートID114が「0123」である着陸誘導ポート装置2−Aの着陸圏内に入ると、着陸誘導ポート装置2−Aは、ポートID登録者所持装置5及び6に対して到着の報知を行う。これによりポートID登録者所持装置5及び6を所持するユーザ等は、小型飛行体1の到着を事前に知ることができる。
その後、小型飛行体1が誘導電波に従って着陸誘導ポート装置2−Aに着陸した場合、ユーザ等は、次の行先の行先ポートIDとして例えば「0124」を小型飛行体1に登録する。
ここで、着陸誘導ポート装置2−Aの充放電部61は、太陽光パネル500からの電力を用いて、充電する。そこで、必要に応じて、小型飛行体1は、着陸誘導ポート装置2−Aの充放電部61からの放電を受けて、自機の充電部24に充電することができる。
充電完了後、小型飛行体1は、ポートIDとして「0124」を持つ着陸誘導ポート装置2−Bの位置情報を取得して、GPS信号から得られる自機の現在の位置情報に基づいて、着陸誘導ポート装置2−Bに向かって飛行する。
小型飛行体1が、着陸誘導ポート装置2−Bの通信圏内まで飛行すると、当該着陸誘導ポート装置2からの誘導電波に重畳されたポートIDの「0124」と、行先ポートIDの「0124」が一致することを確認する。すると、小型飛行体1は、誘導電波に従って、行先の当該着陸誘導ポート装置2−Bに着陸する。
【0116】
このような一連の処理が各地点A乃至Cにおいて実行されることで、小型飛行体1は、地点A乃至Cの夫々の間を効率的に飛び交うことができる。
【0117】
ここで、小型飛行体1の各地点A乃至Cへの着陸については、小型飛行体1の着陸誘導ポート装置2−A乃至2−Cの誘導電波を用いることで、精度良い着陸が可能になる。
さらに本実施形態では小型飛行体1がカメラ部21を備えているので、カメラ部21により撮影された着陸地点A乃至Cの撮像画像を用いることで、各地点A乃至Cの着陸をより一段と精度良く行うことができる。
ただし、夜間や悪天候の場合、撮像画像に各地点A乃至Cが写り込まないため、各地点A乃至Cの指標としての発光部62が配置されている。
【0118】
図17は、各地点A乃至Cの指標の具体例としての、LEDランプ62aとアルミ反射板62bとを示した図である。
LEDランプ62aは、発光制御部414(
図6)の制御により自主的に発光する。アルミ反射板62bは、外部からの光(例えば小型飛行体1からの光)を反射することで発光する。
【0119】
なお、発光部62は、各地点A乃至Cの着陸地点としての指標だけでなく、各地点A乃至Cの領域内で小型飛行体1が飛行する場合における、領域の指標として採用することができる。
図18は、各地点A乃至Cの領域内で小型飛行体1が飛行する場合における、領域の指標の配置例を示した図である。
図18(A)に示すように、着陸誘導ポート装置2が配置された地点の領域のエッジに発光部62を配置し、小型飛行体1がカメラ部21で当該領域を撮像した結果得られる撮像画像に基づいて、
図18(B)に示すように、小型飛行体1が、発光部62が囲む領域から逸脱することなく飛行することができる。
例えばこの領域が畑ならば、発光部62を、畑を囲むように配置すれば、小型飛行体1が、この畑内を逸脱しないように飛行して、種や農薬等を自動的に撒いて戻ってくるということもできる。
【0120】
このように、本発明に係る小型飛行体1と着陸誘導ポート装置2とを含む飛行システムは、荷物の運搬のみならず、各種各様の用途で用いることができる。
例えば、人間が行くことができない場所や行きにくい場所に着陸誘導ポート装置2や発光部62等を配置しておくことで、小型飛行体1を警備やパトロール等にも利用することができる。具体的には例えば、原始力発電所、重要施設、ビル周辺、建設現場、監視カメラのない地域、遭難時の捜索等に、本発明が適用される飛行システムを適用することができる。
また例えば、カメラ、音声収集機、マイク等を装着した小型飛行体1を利用することにより、監視カメラや警備員による巡回の代わりに、小型飛行体1から送信される監視映像等を確認することにより、効率的な警備やパトロールを行うことができる。
さらに、空路9上に、着陸誘導ポート装置2を、小型飛行体1の航続可能距離に合わせて配置することにより、より広範囲な飛行が可能となる。これにより、各種各様な用途に、本発明が適用される飛行システムを容易に適用することができる。
【0121】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0122】
例えば
図5及び6の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは、特に
図5及び6の例に限定されない。
【0123】
また、機能ブロックの存在場所も、
図5及び6に限定されず、任意でよい。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0124】
各機能ブロックの処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0125】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ポートID登録者にプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される、図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけではなく、装置本体に予め組み込まれた状態でポートID登録者に提供される記録媒体等で構成される。
【0126】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に添って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【0127】
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものである。
【0128】
以上まとめると、本発明が適用される小型飛行システムは、次のような技術を実現することが可能になる。
【0129】
例えば、小型飛行体1は、着陸誘導ポート装置2に着陸後、着陸誘導ポート装置2の充放電部61を充電部24に自動的に接続して充電を行い、その後、次の行先(新たに登録したポートIDに対応する着陸誘導ポート装置2)に向かって自動的に出発することができる。
これにより、複数の到着誘導ポート装置2の夫々を小型飛行体1の充電のための各中継地点として用いることができる。
その結果、小型飛行体1が最初に離陸した着陸誘導ポート装置2に戻ることなく再充電を重ね、長距離飛行をすることができる。つまり、複数の着陸誘導ポート装置2を各中継地点に夫々配置することにより、小型飛行体1の飛行距離を自在に延長することができる。この場合、小型飛行体1の予備バッテリーを大量に用意する必要がなくなる。
【0130】
ここで、各中継地点となり得る着陸誘導ポート装置2は、陸上と海上とを問わずに任意の場所に設置をすることができる。海上に設置する場合には、例えば、船舶に着陸誘導ポート装置2と太陽光パネルとを設置し、当該太陽光パネルにより着陸誘導ポート装置2を充電することができる。
この場合、小型飛行体1は、上述した様に着陸誘導ポート装置2の充放電部61を充電部24に自動的に接続して充電を行うことができる。このとき、着陸誘導ポート装置2が設置された船舶が転覆しないように、当該船舶に浮標を取り付けてもよい。
さらに、着陸誘導ポート装置2は、GPS機能を備えることができるため、当該船舶を海上で停泊させるための錨の長さが足りない場合であっても、当該船舶の停泊位置を、修正しながら一定の範囲内に保つことができる。
また、着陸誘導ポート装置2には、小型飛行体1を格納するための格納庫を取り付けてもよい。当該格納庫は、センサによる自動開閉扉を設けることもできる。これにより、着陸誘導ポート装置2を設置した船舶を、小型飛行体1の航空母艦のように用いることができる。
このように、船舶と到着誘導ポート装置2とを組み合わせて、小型飛行体1の航空母艦のように用いることにより、漁業、密漁監視、離島への物資輸送、海難事故の捜索、海上における気象情報や水温の調査等について、本発明が適用される小型飛行システムを有効に活用することができる。
【0131】
また例えば、小型飛行体1の消費電力は、風向きや風力等の飛行環境の影響を受ける。そこで、小型飛行体1に風力センサを取り付けてもよい。これにより、小型飛行体1は、一定の風力以上に達したことを風力センサが検出した場合には緊急着陸し、その後一定の風力以下になったことを風力センサが検出した場合は再出発することができる。このようにして、小型飛行体1の消費電力を抑制することができる。
【0132】
また例えば、小型飛行体1は、何らかの事情によりGPSを使用することができない場合に備えて、超音波センサを取り付けてもよい。これにより、小型飛行体1は、他の飛行物体や建物等への衝突を回避することができる。
【0133】
また例えば、小型飛行体1に、カメラ部21に加えてさらに、集音マイクロフォンを取り付けるようにしてもよい。例えば、災害時において、小型飛行体1のカメラ部21による映像のみでは把握しきれいない状況を、小型飛行体1の集音マイクロフォンが集音した音声で補完することができる。
さらに、小型飛行体1にスピーカをさらに取り付けるようにしてもよい。これにより、カメラ部21により上空から撮影された映像と、集音マイクロフォンにより集音された音声との各データに基づいて、上空に存在する小型飛行体1は、スピーカから避難誘導の呼びかけを行うことができる。
さらにまた、小型飛行体1に発光体を取り付けるようにしてもよい。これにより、夜間における避難誘導時も、当該発光体をサーチライトとして使用することができる。
【0134】
また例えば、着陸誘導ポート装置2は、何らかの事情によりGPSや誘導電波を使用することができない場合に備えて、超音波センサや、小型飛行体1を誘導するためのレーザー出力装置を取り付けるようにしてもよい。これにより、GPS、誘導電波、超音波センサ、及びレーザー出力装置が相互に補完し合うことができるので、小型飛行体1を着陸誘導ポート装置2により確実に着陸させることができる。
【0135】
また例えば、着陸誘導ポート装置2や空路9に隣接する任意の場所にICタグを一定間隔で配置し、小型飛行体1にICタグリーダを取り付けるようにしてもよい。これにより、小型飛行体1は、一定間隔で配置されたICタグの情報を読み取りながら、空路9や着陸誘導ポート装置2に従って正確な経路で飛行することがより確実にできる。
【0136】
また例えば、サーバ3は、携帯電話の基地局を利用することにより、世界中の都市や郊外で自由に行き来する小型飛行体1の飛行体IDを、携帯電話の基地局及びインターネット経由で即時かつ容易に取得することができるので、これらの小型飛行体1をリアルタイムで容易に管理することができる。
これにより、サーバ3は、携帯電話の回線数と同様に、数百万の小型飛行体1を管理することができる。
【0137】
また、サーバ3は、小型飛行体1の発生音を集音マイクロフォンで集音し、その集音した音声データを、当該小型飛行体1の飛行体ID毎にデータベース上に記憶させ、蓄積することができる。
そして、サーバ3は、飛行物体の発生音を解析し、解析した発生音と、予め蓄積されたN台の小型飛行体1−1乃至1−Nの各音の夫々とを照合する。これにより、サーバ3は、飛行物体が、照合した飛行体IDを有する小型飛行体1であると特定することができる。その結果、サーバ3は、当該飛行物体が行先に到着する前に、当該行先の近傍等において、当該飛行物体の接近を報知することもできる。
なお、報知の手法は、特に限定されず、例えば、メールやSNS等によりポートID登録者所持装置4乃至6に報知する手法を採用してもよい。
このような報知の例としては、例えば、小型飛行体1を利用したデリバリーの到着の報知を想定することができる。
また、盗難された小型飛行体1の捜索のための手段の1つとして報知することもできる。
ここで、小型飛行体1の発生音を飛行体IDと対応付けて登録することにより、盗難された小型飛行体1の飛行体IDの再登録を防止することもできる。
【0138】
また例えば、地図を方眼紙のように区分けし、夫々の升目毎に任意のコード番号を付与したデジタルマップを作成し、当該デジタルマップを、小型飛行体1やポートID登録者所持装置4乃至6に記憶させてもよい。これにより、当該升目毎に付与されたコード番号を行先として小型飛行体1に記憶させるだけで、小型飛行体1の行先を設定することができる。
つまり、行先として、着陸誘導ポート装置2のポートIDのみならず、任意の場所を設定することができる。
【0139】
さらに、小型飛行体1は、升目毎に付与されたコード番号を行先として設定しているのみならず、飛行中の現在位置確認に用いることもできる。
この場合、当該デジタルマップの各升目には、升目内の最も高い建物、地形の高さ、空間の幅等を数値で表示するようにしてもよい。これにより、小型飛行体1は、当該数値を読み取ることで、高度や空間幅を維持しながら飛行することができる。その結果、小型飛行体1は、GPSが使用できない地域、原子力発電所、工場、市中の限られた区域等であっても、当該デジタルマップを読み取りながら飛行することができる。
【0140】
図19は、小型飛行体1が用いるデジタルマップの一例を示す図である。
【0141】
図19の例のデジタルマップは、平面地図上に疑似的に被せられた状態で、用いられる。これにより、当該平面地図は、升目で区切られ、升目毎にコード番号が付されることになる。さらに、升目内の最も高い建物や地形の高さや幅などが数値で表示されることになる。
例えば、1列目A行の升目は、01乃至25に区分けされ、01の区分けには、高さ50メートルの建物等が存在することがわかる。
【0142】
また、デジタルマップの各升目の大きさは、任意に拡大又は縮小することができる。
例えば、小型飛行体1の出発時の升目の大きさは、GPSの誤差内である50m×50mとし、小型飛行体1が到着誘導ポート装置2の誘導電波の圏内に入った後は、升目の大きさを1m×1mに縮小してもよい。これにより、小型飛行体1は、建物、樹木、地形の高さや幅等の数値を読みながら飛行することができる。
【0143】
また、デジタルマップにおいて、航路9を事前に細かく設定することもできる。
これにより、小型飛行体1は、原子力発電所や工場等の施設の上空だけではなく、低空飛行による細かな見回り、確認作業、警備活動等を行うことができる。
【0144】
図20は、
図1の小型飛行システムのうち、着陸誘導ポート装置2に複数の小型飛行体1を格納できる格納庫71を取り付けた場合の一例を示す図である。
【0145】
図20の例の着陸誘導ポート装置2は、格納庫71の中に小型飛行体1を格納した状態で、小型飛行体1に対する充電を自動的に行うことができる。これにより、小型飛行体1は、充電後にいつでも出発することが可能になる。
【0146】
また、格納庫71の表面には、太陽光発電のための太陽光パネル500を張り付けることができる。これにより、商用電源等が存在しない場所であっても小型飛行体1を着陸させ、着陸誘導ポート装置2のバッテリーを充電することができる。
このとき、図示しないバッテリーは、格納庫71の床下に格納することができる。
【0147】
また、格納庫71には、自動又は手動で開閉するドア72を取り付けることができる。当該ドア72は、開いた状態で着陸誘導ポート装置2を設置することができる。これにより、着陸誘導ポート装置2を複数設置するスペースに余裕を持たせることができる。なお、格納庫71に小型飛行体1を格納中に、他の複数の小型飛行体1が当該着陸誘導ポート装置2に着陸して来たとしても、小型飛行体1夫々は、サーバ3に一括管理されているため、他の小型飛行体1の影響を受けることなく飛行することができる。
【0148】
また、着陸誘導ポート装置2には、小型飛行体1が着陸誘導ポート装置2に着陸する場合に、風の影響等を受けて小型飛行体1が動くことを防ぐストッパー73を取り付けることができる。
【0149】
また、格納庫71には、クレーン74を備えることができる。これにより、小型飛行体1を任意の位置に移動させることができる。
【0150】
図21は、
図1の小型飛行システムのうち、着陸誘導ポート装置2に、脚を有する着陸ボード90を取り付けた場合の一例を示す図である。
【0151】
図21の例の着陸誘導ポート装置2は、着陸ボード90の脚を固定することにより、地上、自動車の屋根や荷台、小型船上等に用いることができる。なお、バッテリー等を当該着陸ボード90の下部に格納することができる。
【0152】
図22は、
図1の小型飛行システムのうち、船舶に着陸誘導ポート装置2を設置することにより、当該船舶を小型飛行体1の航空母艦の様に使用する場合の例を示す図である。
【0153】
図22の例の着陸誘導ポート装置2は、太陽光発電のための太陽光パネル500を複数連結させ、その上に、格納庫71を取り付けた着陸誘導ポート装置2を設置する。これにより、着陸誘導ポート装置2は、太陽光パネル500から多くの電力の供給を受けることができる。また、敷き詰められた太陽光パネル500の端部には、太陽光パネル500を保護するためのネット91を取り付けることができる。
【0154】
図23は、
図1の小型飛行システムのうち、船舶を使用せずに着陸誘導ポート装置2を水面に設置する例を示した図である。
【0155】
図23は、
図1の小型飛行システムのうち、太陽光発電のための太陽光パネルを複数連結させ、連結された太陽光パネルの端部には、連結させた太陽光パネルが水に浮かぶようフロートを複数取り付け、連結された太陽光パネルの上に、格納庫を取り付けた着陸誘導ポート装置を設置した場合の一例を示した図である。これにより、船舶を使用しなくとも水上に着陸誘導ポート装置2を設置することができる。さらに太陽光発電による電力の供給を受けることができる。