(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
主蓋体(4)と、該主蓋体(4)に揺動開閉自在に枢着された副蓋体(5)と、該副蓋体(5)を開く方向に弾発付勢する弾性帯体(7)とを、備えた収納容器の蓋に於て、
上記副蓋体(5)が閉じた施蓋状態(P0)で、上記弾性帯体(7)は横倒U字状に弯曲して、弯曲内層側の弾性圧縮応力及び弯曲外層側の弾性引張応力による曲げ復元モーメント(M)を発生し、上記副蓋体(5)を上方へ開く方向に弾発付勢するように構成され、
上記副蓋体(5)は、80°〜110°の開閉角度(θ)で上方起立状として開蓋するように構成され、
上記副蓋体(5)が開いた開蓋状態(P1)で、上記弾性帯体(7)は、J字状弯曲姿勢となって、弯曲内層側の弾性圧縮応力及び弯曲外層側の弾性引張応力が残留して上記曲げ復元モーメント(M)を発生し続けるように構成されたことを特徴とする収納容器の蓋。
注ぎ口(3)と通気孔(6)を有する主蓋体(4)と、該主蓋体(4)に揺動開閉自在に枢着された副蓋体(5)と、上記主蓋体(4)に長手方向一端部(7a)が突き当たるように配設され上記副蓋体(5)を開く方向に弾発付勢する弾性帯体(7)とを、備え、
上記弾性帯体(7)は、上記注ぎ口(3)を施蓋する第1栓部(1)と、上記通気孔(6)を施蓋する第2栓部(2)とを、一体に有し、
さらに、上記副蓋体(5)が閉じた施蓋状態(P0)で、上記弾性帯体(7)は横倒U字状に弯曲して、弯曲内層側の弾性圧縮応力及び弯曲外層側の弾性引張応力による曲げ復元モーメント(M)を発生し、上記副蓋体(5)を上方へ開く方向に弾発付勢するように構成されたことを特徴とする収納容器の蓋。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載の収納容器の蓋は、副蓋体が閉じた施蓋状態で、薄肉の帯状板に生じる弾発力は微弱で、しかも、主蓋体と副蓋体の係合を外した短い瞬間にしか発揮されなかった。従って、副蓋体がスムーズに開かないという欠点があった。
【0005】
そこで、本発明は、スムーズかつ強力な復元力をもって副蓋体を開くことが可能な収納容器の蓋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る収納容器の蓋は、主蓋体と、該主蓋体に揺動開閉自在に枢着された副蓋体と、該副蓋体を開く方向に弾発付勢する弾性帯体とを、備えた収納容器の蓋に於て、上記副蓋体が閉じた施蓋状態で、上記弾性帯体は横倒U字状に弯曲して、弯曲内層側の弾性圧縮応力及び弯曲外層側の弾性引張応力による曲げ復元モーメントを発生し、上記副蓋体を上方へ開く方向に弾発付勢するように構成され
、上記副蓋体は、80°〜110°の開閉角度で上方起立状として開蓋するように構成され、上記副蓋体が開いた開蓋状態で、上記弾性帯体は、J字状弯曲姿勢となって、弯曲内層側の弾性圧縮応力及び弯曲外層側の弾性引張応力が残留して上記曲げ復元モーメントを発生し続けるように構成されたものである。
【0007】
また、注ぎ口と通気孔を有する主蓋体と、該主蓋体に揺動開閉自在に枢着された副蓋体と、上記主蓋体に長手方向一端部が突き当たるように配設され上記副蓋体を開く方向に弾発付勢する弾性帯体とを、備え、上記弾性帯体は、上記注ぎ口を施蓋する第1栓部と、上記通気孔を施蓋する第2栓部とを、一体に有し、さらに、上記副蓋体が閉じた施蓋状態で、上記弾性帯体は横倒U字状に弯曲して、弯曲内層側の弾性圧縮応力及び弯曲外層側の弾性引張応力による曲げ復元モーメントを発生し、上記副蓋体を上方へ開く方向に弾発付勢するように構成されたものであ
る。
【発明の効果】
【0008】
本発明の収納容器の蓋によれば、横倒U字状に弯曲した弾性帯体が十分に大きな曲げ復元モーメントを発生し、この曲げ復元モーメントによって、副蓋体をスムーズに上方へ開くことができる。
【0009】
また、構造が簡素で、工場での組立てが容易であると共に、家庭で、洗浄のために弾性帯体の取付け・取外しを行う際も容易かつ迅速に行うことができる。弾性帯体が第1栓部と第2栓部を一体に有している為、部品点数を減らしてコストを低減でき、安価に製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態を示す図面に基づき本発明を詳説する。
図1〜
図3に示すように、本発明の収納容器の蓋は、注ぎ口3と通気孔6を有する主蓋体4と、主蓋体4に揺動開閉自在に枢着された副蓋体5と、副蓋体5を開く方向に弾発付勢する弾性帯体7とを、備え、
図3に2点鎖線で示す容器本体20の開口外周縁部に螺着されて用いられ、容器本体20には主に水やお茶等の液体を収納し、あるいは、小麦粉やシリアル、フレーク等の粉体を収納しても良い(図示省略)。
副蓋体5は、
図1に示す施蓋状態P
0から、
図2に示す開蓋状態P
1に上下揺動可能として枢着されている。
図1と
図2に示すCは、副蓋体5の軸心位置(枢支点)を示し、副蓋体5は、主蓋体4の前後方向中心線近傍に枢着されている。
【0012】
弾性帯体7は、例えば、シリコン樹脂やエラストマー等の弾性材から成り、注ぎ口3を施蓋する第1栓部1と、通気孔6を施蓋する第2栓部2とを、一体に有し、主蓋体4に長手方向一端部7aが突き当たるように取着されている。弾性帯体7は、第1栓部1と第2栓部2を繋ぐ連結帯状部13よりも厚さ寸法が増大するよう形成された厚肉片部14を、(長手方向)一端部7a寄りに有している。厚肉片部14の厚さ寸法tは、3mm〜6mmに設定され、第1栓部1と第2栓部2を除く厚肉片部14以外の部分(連結帯状部13)の厚さ寸法t
0を1.0mm〜2.5mmに設定するのが好ましく、厚肉片部14は比較的分厚く形成されている。
図1に示すように、副蓋体5が閉じた施蓋状態P
0で、弾性帯体7(厚肉片部14)は、横倒U字状に弯曲している。このとき、弯曲内面は上下当接せず、前方(
図1の左方向)に開口状を保っている。
図1(B)に示すように、弾性帯体7(厚肉片部14)には、図中矢印Y
1にて示す弯曲内層側の弾性圧縮応力、及び、矢印Y
2にて示す弯曲外層側の弾性引張応力が生じている。弾性帯体7は、U字状に弯曲させることで、弾性圧縮応力及び弾性引張応力による曲げ復元モーメントMを発生し、副蓋体5を上方へ開く方向に弾発付勢するように構成されている。
【0013】
開蓋状態P
1では、
図2に示すように、副蓋体5は、水平面に対し略鉛直姿勢まで上方起立状として開蓋するように構成される。施蓋状態P
0から開蓋状態P
1までの副蓋体5の(軸心C廻りの)揺動角度を、開閉角度θとすると、この開閉角度θを、80°〜110°に設定するのが好ましい。弾性帯体7は、開蓋状態P
1に於て、厚肉片部14が伸びきった姿勢には復元せずに、J字状弯曲姿勢で弾性圧縮応力及び弾性引張応力が残留しており、小さいながらも曲げ復元モーメントMを発生し続けている。言い換えると、弾性帯体7は、開蓋状態P
1に於て、復元力に余力を残している。
【0014】
図3と
図4に示すように、主蓋体4は、例えば、PPやABS等の合成樹脂から成り、容器本体20の開口外周縁部に螺着される平面視円形状の蓋本体部4Aと、蓋本体部4Aの後縁側に垂下状に設けられた把手17を有し、上端に形成された低突隆部11には、揺動自在のハンドル18が枢着されている。ハンドル18は、低突隆部11の枢支壁12,12に軸部19,19を挿通し、枢支壁12,12の内側対向面に軸部19,19の先端が突出している。さらに、主蓋体4の上端には、注ぎ口3と通気孔6が内設された短筒部8が上方突出状に形成されている。主蓋体4の前縁側外周面には、爪部16が突設されている。
副蓋体5は、例えば、EastmanTritanコポリエステル(登録商標)によって構成され、高い透明度と光沢を兼ね備えた美しい外観を備えると共に、デザイン性、容易な加工特性を有し、さらに、耐熱性・耐冷性に優れ、かつ、頑丈で高強度に形成されている。副蓋体5は、蓋本体部4Aの約半分の大きさに形成されている。
副蓋体5は、主蓋体4の爪部16に係合可能な係止舌片15が前端縁に設けられ、弾性帯体7の第1栓部1を嵌着するための取付孔部21が貫設され、さらに、第2栓部2を取着するための取付ピン22が立設されている。副蓋体5は、突出状の軸部19,19の先端に嵌着可能な嵌着軸受部23,23を有している。嵌着軸受部23,23間には、弾性帯体7の弯曲ガイド部25が形成されている。
【0015】
弾性帯体7は、取付孔部21に嵌着可能なキノコ型の嵌入凸部26を第1栓部1に対応して配設し、第2栓部2内には、取付ピン22が差込まれる差込凹部27が形成されている。弾性帯体7の一端部7aには、半円状の凹部9を有している。
図4に示すように、弾性帯体7は、取付ピン22を差込凹部27に差込むと共に、嵌入凸部26を取付孔部21に嵌め込んで、副蓋体5に取着される。このとき、弾性帯体7は、弯曲ガイド部25に当接して、一端部7aを前方に向けて弯曲する。次に、副蓋体5を、主蓋体4の上方から押し付けて、嵌着軸受部23,23を軸部19,19に外嵌する。副蓋体5の嵌着軸受部23,23が(弾性変形しつつ)軸部19,19に対しパチンと音を立てながら嵌着される。
図3に示すように、主蓋体4に上方から副蓋体5を取り付けることで、前方弯曲状の弾性帯体7の一端部7aが短筒部8の後端外周面に突き当って、凹部9が短筒部8の後縁側の弯曲面24に噛み合って係止する(
図5参照)。
【0016】
図2から
図1に示すように、副蓋体5を、開蓋状態P
1から施蓋状態P
0へ閉じていくと、弾性帯体7がJ字状の弯曲姿勢から横倒U字状の弯曲姿勢に弾性変形する。弾性帯体7は、副蓋体5の軸心Cの近傍の狭い範囲(厚肉片部14)で局部的に弾性変形し、弯曲内層側の弾性圧縮応力及び弯曲外層側の弾性引張応力による曲げ復元モーメントMを発生して、副蓋体5に上方へ開く力を付勢している。即ち、副蓋体5は、軸心Cに近い位置で、弾性帯体7による上方への曲げ復元モーメントMを受ける。このため、弾性帯体7の上記復元モーメントMは、上記軸心C廻りの上方への回転モーメントとして有効に働く。また、弾性帯体7の肉厚や大きさを無用に大きく設定せずに済む利点がある。また、副蓋体5は、主蓋体4(蓋本体部4A)の約半分の面積(大きさ)であるため、副蓋体5を軸心C廻りに上方に回転させる慣性モーメントが小さく、副蓋体5を開く際に弾性帯体7が副蓋体5に与えるべき弾性エネルギー(曲げ復元モーメントM)は少なくて済む。弾性帯体7が副蓋体5に曲げ復元モーメントMを付勢する際に、弾性帯体7の一端部7aが主蓋体4に突き当たって固定され、弾性帯体7の一端部7aが前方に逃げることなく、副蓋体5に曲げ復元モーメントMを確実に付与することが可能となる。
【0017】
図1に示すように、主蓋体4は、大きく開口する注ぎ口3の後方に、小さく開口する通気孔6が接近して配置されており、通気孔6は、吸入小筒部10の内周面によって形成されている。吸入小筒部10は、短筒部8の後端部に一体に形成され、下方突出状として下端部が大きく垂下状となるように設けられている。
図6に示すように、収納容器を斜めに傾けて液体Wを注ぎ口3から流出させる際、吸入小筒部10の下端部が液体Wに浸入し、通気孔6から空気をスムーズに吸入できる。注ぎ口3と通気孔6が接近して配置されることで、弾性帯体7の第1栓部1と第2栓部2で両方を同時に施蓋(密封)することができ、かつ、液体Wを注ぎ口3から流出させる際に、通気孔6から液体Wが出てしまうことがない。
【0018】
なお、本発明は、設計変更可能であって、例えば、弾性帯体7の副蓋体5への取着方法は上述の実施形態に限定されない。
【0019】
以上のように、本発明に係る収納容器の蓋は、主蓋体4と、該主蓋体4に揺動開閉自在に枢着された副蓋体5と、該副蓋体5を開く方向に弾発付勢する弾性帯体7とを、備えた収納容器の蓋に於て、上記副蓋体5が閉じた施蓋状態P
0で、上記弾性帯体7は横倒U字状に弯曲して、弯曲内層側の弾性圧縮応力及び弯曲外層側の弾性引張応力による曲げ復元モーメントMを発生し、上記副蓋体5を上方へ開く方向に弾発付勢するように構成されたので、横倒U字状に弯曲した弾性帯体7が十分に大きな曲げ復元モーメントMを発生し、この曲げ復元モーメントMによって、副蓋体5をスムーズに上方へ開くことができる。
【0020】
また、注ぎ口3と通気孔6を有する主蓋体4と、該主蓋体4に揺動開閉自在に枢着された副蓋体5と、上記主蓋体4に長手方向一端部7aが突き当たるように配設され上記副蓋体5を開く方向に弾発付勢する弾性帯体7とを、備え、上記弾性帯体7は、上記注ぎ口3を施蓋する第1栓部1と、上記通気孔6を施蓋する第2栓部2とを、一体に有し、さらに、上記副蓋体5が閉じた施蓋状態P
0で、上記弾性帯体7は横倒U字状に弯曲して、弯曲内層側の弾性圧縮応力及び弯曲外層側の弾性引張応力による曲げ復元モーメントMを発生し、上記副蓋体5を上方へ開く方向に弾発付勢するように構成されたので、横倒U字状に弯曲した弾性帯体7が十分に大きな曲げ復元モーメントMを発生し、この曲げ復元モーメントMによって、副蓋体5をスムーズに上方へ開くことができる。また、構造が簡素で、工場での組立てが容易であると共に、家庭で、洗浄のために弾性帯体7の取付け・取外しを行う際も容易かつ迅速に行うことができる。弾性帯体7が第1栓部1と第2栓部2を一体に有している為、部品点数を減らしてコストを低減でき、安価に製造できる。
【0021】
また、上記副蓋体5は、80°〜110°の開閉角度θで上方起立状として開蓋するように構成されているので、弾性帯体7は、開蓋状態P
1で、J字状弯曲姿勢となって弾性圧縮応力及び弾性引張応力が残留して、小さ目の曲げ復元モーメントMを残して、副蓋体5がふらつかないで静止する。また、副蓋体5を180°まで開く場合に比較して、弾性帯体7が副蓋体5に与えるべき弾性エネルギーは少なくて済み、弾性帯体7の肉厚及び大きさを極端に大に設定せずに済む。