特許第6203801号(P6203801)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6203801移動体に配置可能な無線通信装置、移動体に配置可能な無線通信装置の監視制御システム、移動体に配置可能な無線通信装置の監視制御方法および遠隔制御センター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203801
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】移動体に配置可能な無線通信装置、移動体に配置可能な無線通信装置の監視制御システム、移動体に配置可能な無線通信装置の監視制御方法および遠隔制御センター
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/22 20090101AFI20170914BHJP
   H04W 4/04 20090101ALI20170914BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20170914BHJP
   H04W 24/10 20090101ALI20170914BHJP
【FI】
   H04W28/22
   H04W4/04 110
   H04W64/00 120
   H04W24/10
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-192112(P2015-192112)
(22)【出願日】2015年9月29日
(65)【公開番号】特開2016-72984(P2016-72984A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2016年3月9日
(31)【優先権主張番号】201410522122.7
(32)【優先日】2014年9月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515270943
【氏名又は名称】豊田汽車(中国)投資有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】特許業務法人プロスペック特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100184686
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】小段 友紀
(72)【発明者】
【氏名】魏 星
(72)【発明者】
【氏名】姜 丹
(72)【発明者】
【氏名】藤原 靖久
(72)【発明者】
【氏名】尚 彦鈞
【審査官】 石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−281927(JP,A)
【文献】 特開2010−169570(JP,A)
【文献】 特開2014−087036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
G08G 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信ネットワークへ接続可能な移動通信部と、前記移動通信部により接続された移動通信ネットワークに基づき無線ネットワーク接続サービスを提供する無線ネットワーク接続部とを含む移動体に配置可能な無線通信装置であって、衛星測位システムに基づき前記移動体に配置可能な前記無線通信装置の位置情報を取得するために用いられる衛星測位部と、前記衛星測位部が取得した位置情報に基づいて、前記無線ネットワーク接続サービスの接続状態を制御する制御部とを備え
前記制御部は、前記衛星測位部が取得した前記位置情報に基づいて、前記無線通信装置が前記移動体外に持ち出されて使用されていると判定された場合は、前記移動体外に持ち出されて使用されていると判定されなかった場合と比較して、前記無線ネットワーク接続サービスの接続状態を低下させることを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記無線通信装置の外部電力が切断されたときに、前記衛星測位部が取得した最後の位置情報と、次回前記無線通信装置の外部電力が通電されたときに、前記衛星測位部が取得した位置情報に基づき計算された、両者の距離が基準距離の範囲外であるとき、前記無線通信装置が前記移動体外に持ち出されて使用されていると判定することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記移動通信ネットワークの通信速度を遅くする、もしくは、前記移動通信ネットワークへの接続を停止することで、前記無線ネットワーク接続サービスの接続状態を低下させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
移動通信ネットワークへ接続可能な移動通信部と、前記移動通信部により接続された移動通信ネットワークに基づき無線ネットワーク接続サービスを提供する無線ネットワーク接続部とを含む移動体に配置可能な無線通信装置の監視制御システムであって、衛星測位システムに基づき前記無線通信装置の位置情報を取得するために用いられる衛星測位部と、前記衛星測位部が取得した位置情報に基づいて前記無線通信装置が前記移動体外に持ち出されて使用されているか否かを判定する判定部と、前記判定部による、前記無線通信装置が前記移動体外に持ち出されて使用されているか否かの判定結果に基づき前記無線ネットワーク接続サービスの接続状態を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記衛星測位部が取得した前記位置情報に基づいて、前記無線通信装置が前記移動体外に持ち出されて使用されていると判定された場合は、前記移動体外に持ち出されて使用されていると判定されなかった場合と比較して、前記無線ネットワーク接続サービスの接続状態を低下させることを特徴とする無線通信装置の監視制御システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記無線通信装置の外部電力が切断されたときに、前記衛星測位部が取得した最後の位置情報と、次回前記無線通信装置の外部電力が通電されたときに、前記衛星測位部が取得した位置情報に基づき計算された、両者の距離が基準距離の範囲外であるとき、前記無線通信装置が前記移動体外に持ち出されて使用されていると判定することを特徴とする請求項4に記載の無線通信装置の監視制御システム。
【請求項6】
前記移動通信ネットワークの通信速度を遅くする、もしくは、前記移動通信ネットワークへの接続を停止することで、前記無線ネットワーク接続サービスの接続状態を低下させることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の無線通信装置の監視制御システム。
【請求項7】
移動通信ネットワークへ接続可能な移動通信部と、前記移動通信部により接続された移動通信ネットワークに基づき無線ネットワーク接続サービスを提供する無線ネットワーク接続部とを含む移動体に配置可能な無線通信装置の監視制御方法であって、前記無線通信装置の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、取得された位置情報に基づいて前記無線通信装置が前記移動体外で使用されているか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップによる前記無線通信装置が前記移動体外に持ち出されて使用されているか否かの判定結果に基づき、前記無線通信装置により提供される無線ネットワーク接続サービスの接続状態を制御する制御ステップと、を備え、
前記制御ステップは、前記位置情報取得ステップが取得した前記位置情報に基づいて、前記無線通信装置が前記移動体外に持ち出されて使用されていると判定された場合は、前記移動体外に持ち出されて使用されていると判定されなかった場合と比較して、前記無線ネットワーク接続サービスの接続状態を低下させることを特徴とする無線通信装置の監視制御方法。
【請求項8】
前記制御ステップは、前記無線通信装置の外部電力が切断されたときに、前記位置情報取得ステップが取得した最後の位置情報と、次回前記無線通信装置の外部電力が通電されたときに、前記位置情報取得ステップが取得した位置情報に基づき計算された、両者の距離が基準距離の範囲外であるとき、前記無線通信装置が前記移動体外に持ち出されて使用されていると判定することを特徴とする請求項7に記載の無線通信装置の監視制御方法。
【請求項9】
前記移動通信ネットワークの通信速度を遅くする、もしくは、前記移動通信ネットワークへの接続を停止することで、前記無線ネットワーク接続サービスの接続状態を低下させることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の無線通信装置の監視制御方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移動体に配置可能な無線通信装置に関し、特にユーザーにより移動体外に持ち出されて使用されているか否かを監視制御できる移動体に配置可能な無線通信装置、移動体に配置可能な無線通信装置の監視制御システム、移動体に配置可能な無線通信装置の監視制御方法および遠隔制御センターに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット技術の普及に伴い、益々多くの移動端末装置がモバイルインターネットを支持している。既にモバイルホットスポットを提供する無線ルーターが現れており、これは携帯電話会社が提供するインターネット可能なSIM(Subscriber Identity Module:加入者識別モジュール)カードに基づき、WiFiワイヤレスネットワークアクセスポイントをセットアップし、周囲の移動端末装置にWiFiワイヤレスネットワークアクセスサービスを提供できる。このようなモバイル無線ルーターとして例えばMiFi装置がある。MiFiは携帯式装置で、WiFiワイヤレスネットワークアクセスサービスがセットアップされることで、周囲の複数の移動端末装置は3G又は4G等のモバイル通信インターネット接続を共有できる。MiFiは元々Novatel社がこの種の装置のために登録した商標名であったが、現在ではこの種のモバイルホットスポットとしての無線ルーターを広く指す。現在、多くのスマートホンにもモバイルホットスポット機能が付いており、周囲の他の移動端末装置にWiFiワイヤレスネットワークアクセスを提供できる。例えばアップル社のiPhone(登録商標)の設定には「パーソナルホットスポット」(Personal Hotspot)機能がある。
【0003】
スマートテレマティクスシステムの出現により、多くの自動車メーカーも一部の車種の車両に類似した無線ルーター機能を有する無線通信装置を付け、類似したサービスを提供し始めている。これにより乗員の移動端末装置は無線インターネットが可能となる他、車両に搭載されているワイヤレスネットワークアクセスサービスを必要とする他の装置もワイヤレスネットワークアクセスによるインターネット接続が可能となる。又はスマートテレマティクスシステムのリモートコントロールセンターとの通信が可能となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動車メーカーが車載用無線ルーターを提供する際、スマートテレマティクスシステムをサポートするために、通常、毎月一定量の無料インターネットワークトラフィックを付与する。したがって、一部のユーザーは車載用無線ルーターを車から取り外して車外に持ち出し、家や他の場所で無料インターネットを行う可能性がある。安全面やその他の面を総合的に考慮し、自動車メーカーは一般的に、車内に搭載されている無線ルーター機能を有する無線通信装置は車内だけで使用してもらうことを望み、ユーザーがそれを取り外して車外で自由に使用することを望まない。しかし従来の無線通信装置は車外に持ち出されて使用されているか否かを監視制御できなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様に係る無線通信装置は、移動通信ネットワークへ接続可能な移動通信部と前記移動通信部により接続された移動通信ネットワークに基づき無線ネットワーク接続サービスを提供する無線ネットワーク接続部とを含む移動体に配置可能な無線通信装置である。衛星測位システムに基づき前記移動体に配置可能な前記無線通信装置の位置情報を取得するために用いられる衛星測位部と、前記衛星測位部が取得した位置情報に基づいて前記無線ネットワーク接続サービスの接続状態を制御する制御部と、を備えることを特徴とする無線通信装置である。
【0006】
本発明の第2の態様に係る無線通信装置は、移動通信ネットワークへ接続可能な移動通信部と、前記移動通信部により接続された移動通信ネットワークに基づき無線ネットワーク接続サービスを提供する無線ネットワーク接続部とを含む移動体に配置可能な無線通信装置である。衛星測位システムに基づき、前記無線通信装置の位置情報を取得するために用いられる衛星測位部と、前記衛星測位部が取得した位置情報に基づいて判定された前記無線通信装置が前記移動体外に持ち出されて使用されているか否かの判定結果に応じた情報をユーザーに提供する情報提供部とを備えることを特徴とする無線通信装置である。
【0007】
本発明の第3の態様に係る遠隔制御センターは、移動体に配置可能な無線通信装置と通信可能な遠隔制御センターである。前記無線通信装置から送信された前記無線通信装置の位置情報を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記無線通信装置の前記位置情報に基づき前記無線通信装置が前記移動体外で使用されているか否かを判定するセンター側判定部と、前記センター側判定部の判定結果に応じた信号を前記無線通信装置に送信する送信部とを備えることを特徴とする遠隔制御センターである。
【0008】
本発明の第4の態様に係る無線通信装置の監視制御システムは、移動通信ネットワークへ接続可能な移動通信部と、前記移動通信部により接続された移動通信ネットワークに基づき無線ネットワーク接続サービスを提供する無線ネットワーク接続部とを含む移動体に配置可能な無線通信装置の監視制御システムである。衛星測位システムに基づき前記無線通信装置の位置情報を取得するために用いられる衛星測位部と、前記衛星測位部が取得した位置情報に基づいて前記無線通信装置が前記移動体外に持ち出されて使用されているか否かを判定する判定部と、を備えることを特徴とする無線通信装置の監視制御システムである。
【0009】
本発明の第5の態様に係る無線通信装置の監視制御方法は、移動体に配置可能な無線通信装置の監視制御方法である。前記無線通信装置の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、取得された位置情報に基づいて前記無線通信装置が前記移動体外で使用されているか否かを判定する判定ステップと、を備えることを特徴とする無線通信装置の監視制御方法である。
【発明の効果】
【0010】
上記態様は、移動体に配置可能な無線通信装置に衛星測位モジュールを設けるとともに、衛星測位部が獲得した位置情報に基づき、移動体に配置可能な無線通信装置がユーザーにより車外に持ち出されて使用されているか否かを判定することで、監視制御の役割を果たす。
【0011】
さらに、移動体に配置可能な無線通信装置がユーザーにより車外に持ち出されて使用されていると判定されたとき、自動車メーカーが予め設定した対応措置、例えば通信速度を遅くする、ワイヤレスネットワークアクセスサービスの提供を禁止するなどの対応措置により、ユーザーによる移動体に配置可能な無線通信装置の非正常な使用を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に基づく移動体に配置可能な無線通信装置を示したブロック図である。
図2】第一実施例に基づくフローチャートである。
図3】第二実施例に基づくフローチャートである。
図4】第三実施例に基づくフローチャートである。
図5】第四実施例に基づくフローチャートである。
図6】第五実施例に基づくフローチャートである。
図7】第六実施例に基づく概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明に基づく移動体に配置可能な無線通信装置を図示したブロック図である。本発明に基づく無線通信装置10は例えば、車載用WiFiボックスとすることができ、電源部11、移動通信部の一例としての移動通信モジュール12、無線ネットワーク接続部の一例としてのWiFiモジュール13、SIMスロット14、LEDインジケータ15および衛星測位部の一例としてのGPSモジュール16を備える。
【0015】
電源部11は無線通信装置10外部から提供される外部電力を受けてこれを分配する。例えば、無線通信装置10の移動通信モジュール12とWiFiモジュール13等に分配する。車両バッテリー5は無線通信装置10の外部電力とされる。車両ACC電源がONになると、車両バッテリー5は無線通信装置10に電力を供給し始め、無線通信装置10は作動し始める。
【0016】
移動通信モジュール12は移動通信ネットワークアクセスサービスを提供し、移動通信用アンテナ8を介してリモートコントロールセンター2と移動通信を行い、インターネットにアクセスできる。移動通信モジュール12は例えば4G LTE (Long Term Evolution)、CDMA(Code Division Multiple Access)、GSM(Global System for Mobile Communications/登録商標)、又はGPRS(General Packet Radio Service)等の移動通信技術又は無線通信技術に基づく。図1に示される移動通信モジュール12はCPU(Central Processing Unit)17を備えるが、CPU17は必ずしも移動通信モジュール12内に設ける必要はなく、移動通信モジュール12の外に設けてもよい。
【0017】
WiFiモジュール13は移動通信モジュール12移動通信ネットワークに基づき、車内を覆うWiFiワイヤレスネットワークアクセスサービスを提供する。すなわち、本実施形態にかかる無線通信装置は、無線ルータ装置としての機能を有している。WiFiモジュール13と車内の乗員が使用する移動端末装置4はWiFi用アンテナ6を介してWiFi通信を行う。移動端末装置4は例えばスマートホンやタブレットPCなどである。図1は概略的に一つの移動端末装置4しか示していないが、実際に移動端末装置4は複数でもよい。この他、WiFiモジュール13は車両に搭載されたワイヤレスネットワークアクセスサービスを必要とする他の装置ともWiFi用アンテナ6を介してWiFi通信を行うことができる。車両に搭載されたワイヤレスネットワークアクセスサービスを必要とする他の装置としては例えば、車両のナビ装置3があるが、ナビ装置3に限らず、車載用マルチメディアシステム等のワイヤレスネットワークアクセスサービスを必要とする装置でもよい。図1に示されるWiFiモジュール13にはブルートゥースモジュール(未図示)が集まり、ブルートゥース用アンテナ7を介してナビ装置3とブルートゥース通信でき、WiFiモジュール13とナビ装置3との間の比較的大きなデータ量の通信(例えば地図のダウンロードや更新)はWiFi通信で行い、比較的小さいデータ量の通信(例えば音声データ)はブルートゥース通信で行うことができる。しかし本発明においてブルートゥースモジュールは必須ではなく、また必ずしもWiFiモジュール13に集められなくてもよい。
【0018】
WiFiはWi-Fiやワイファイとも呼ばれ、Wi-Fiアライアンス(Wi-Fi Alliance)はこれをIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11規格に基づくあらゆるワイヤレスローカルネットワーク製品と定義している。図1は例示的にWiFiワイヤレスネットワークアクセスサービスを提供するWiFiモジュール13を示しているが、本発明はこれに限られない。WiFiモジュール13は相応のワイヤレスネットワークアクセスサービスを提供する他のワイヤレスネットワークアクセスモジュールに差し替えることもできる。例えば、WAPIワイヤレスネットワークアクセスサービスを提供するWAPIモジュールに差し替えてもよい。WAPI(WLAN Authentication and Privacy Infrastructure)はワイヤレスローカルネットに関する中華人民共和国の国家標準である。また、無線通信装置10に含まれるワイヤレスネットワークアクセスモジュールのタイプの数に制限はない。つまり、複数のタイプのワイヤレスネットワークアクセスモジュールを同時に含むことができ、これにより複数のタイプのワイヤレスネットワークアクセスサービスを提供できる。例えば、一つの無線通信装置10によりWiFiとWAPIワイヤレスネットワークアクセスサービスを同時に提供させてもよい。
【0019】
SIMスロット14は携帯電話会社が提供するSIMカードを装着する。LEDインジケータ15は無線通信装置10の作動状態を示す。
【0020】
無線通信装置10の中のGPSモジュール16はGPS衛星測位システム1に基づき、前記無線通信装置10の位置情報を獲得する。無線通信装置10が車内にあるとき、GPSモジュール16が獲得した無線通信装置10の位置情報は基本的に車両の位置情報に対応する。無線通信装置10が車外に持ち出されたとき、GPSモジュール16が獲得した無線通信装置10の位置情報は車両の位置情報と関係しない。無線通信装置10の中のGPSモジュール16は車両ナビ用のものではなく、専ら無線通信装置10の位置情報を獲得し、この位置情報に基づき無線通信装置10は車外に持ち出されて使用されているか否かを監視制御するものとするのが好ましい。言い換えれば、無線通信装置10の中のGPSモジュール16が車のナビ装置3のGPSモジュール(未図示)と異なるのが好ましい。言い換えれば、ナビ装置3はナビ用の自分専用のGPSモジュール(未示出)を備えるのが好ましい。
【0021】
本発明はどの衛星測位システムに基づいてもよい。例えば、世界四大衛星測位システムである、アメリカのGPS(Global Positioning System)、ヨーロッパ共同体のGalileo、ロシアのGLONASS(GLObal NAvigation Satellite System)および中国のBDS(BeiDou Navigation Satellite System)がある。図1は例示的にGPSモジュール16とGPS衛星測位システム1を示しているが、本発明はこれらに限られず、本発明の実現は特定の衛星測位システムのタイプに依存するわけではない。
【0022】
リモートコントロールセンター2は例えばトヨタ自動車のG-BookシステムやゼネラルモーターズのOnStarシステム等のリモートコントロールセンターである。車両とリモートコントロールセンターとの移動通信(4G LTE, CDMA, GSM, GPRS等)によりナビゲーション、盗難防止、車両追跡等の様々なサービスを提供できる。
【0023】
なお、本実施形態においては、移動通信部の一例としての移動通信モジュール12と、衛星測位部の一例としてのGPSモジュール16とを別々のモジュールとして例示したが、本発明はこれに限られない。例えば、移動通信ネットワークへの接続を担う部分と、衛星測位システムに基づき位置情報を取得する機能を担う部分とを、一つのチップ上で、共通のメモリをシェアするシェアメモリ構造として実現することも可能である。このような場合、ソフトウェアプログラムを設計する上で比較的容易に設計できるというメリットもある。
【0024】
以下に図面を参照してGPSモジュール16が獲得した位置情報に基づき無線通信装置10に対して監視制御を行う本発明のフローを説明する。
【0025】
<第一実施例>
図2は第一実施例に基づくフローチャートである。図2に示されるように、無線通信装置10の外部電力がONのとき、無線通信装置10は定期的に(例えば6秒毎に1回)リモートコントロールセンター2へGPSモジュール16により獲得した位置情報と位置情報に関連する時刻情報とをアップロードする(ステップS100)。これに対応して、リモートコントロールセンター2は定期的に(例えば6秒毎に1回)無線通信装置10がアップロードした位置情報と関連する時刻情報とを獲得する(ステップS102)。リモートコントロールセンター2は獲得した複数の位置情報と時刻情報とから無線通信装置10の平均移動速度を算出する(ステップS104)。例えば、リモートコントロールセンター2は二つの位置情報を獲得する毎に平均移動速度を一回算出する。リモートコントロールセンター2は算出した平均移動速度は基準平均移動速度の範囲外であるか否か判断する(ステップS106)。リモートコントロールセンター2は算出した平均移動速度は基準平均移動速度の範囲外であると判断したとき(ステップS106:YES)、無線通信装置10は車外に持ち出されて使用されていると判定し、リモートコントロールセンター2は無線通信装置10へWiFiの通信速度を遅くする指示を出し、これによりユーザーによる無線通信装置10の非正常な使用を抑制し(ステップ:S108)、無線通信装置10はこの指示を受けた後、WiFiの通信速度を遅くする(ステップS110)。逆に、算出した平均移動速度が基準平均移動速度の範囲内であると判断した場合(ステップS106:NO)、無線通信装置10は車内で使用されている、つまり無線通信装置10は正常使用されていると判定する。
【0026】
図2に示される第一実施例における判定条件の原理は次のとおりである。通常、車速には合理的な基準範囲(例えば120km/h未満)がある。無線通信装置10が車内で使用されていれば、その移動速度は車速と同じになると考えられるため、算出した平均移動速度はこの基準の範囲内であると考えられる。算出した平均移動速度が250km/hで、基準の範囲外である場合、無線通信装置10はユーザーにより車外に持ち出され、高速鉄道等の交通機関での移動中に使用されている可能性がある。
【0027】
<第一実施例の変形実施例>
図2に示される第一実施例は算出した平均移動速度が基準平均移動速度の範囲外であるか否かを判定条件とする。この実施例の判定条件には変形実施例がある。即ち算出した無線通信装置10の所定周期における移動距離が基準移動距離の範囲外であるか否かを判断する。この種の所定周期における移動距離に基づく変形実施例は本質的に平均移動速度に基づく第一実施例に等しい。なぜなら、平均移動速度が基準移動速度の範囲内である場合、所定周期における移動距離も相応の基準移動距離の範囲内となると考えられるからである。
【0028】
この他、上記第一実施例には次のような状況も考えられる。即ち算出した無線通信装置10の平均移動速度が特定時間の間ずっと0である場合、つまり特定時間の間、無線通信装置10が作動しておらず制止状態にあるが、外部電力がONで、ついている状態にあり、定期的に位置情報と時刻情報とをアップロードしているというような場合、ユーザーが一旦停車時に車内のACC電源をONにし、車内でWiFiインターネットを使用している可能性がある。しかし一般的に静止している車内で非常に長い時間(例えば2日以上)続けてインターネットすることはない。したがって、算出した無線通信装置10の平均移動速度が0 の状態が所定の時間(例えば2日)を超える場合、ユーザーが無線通信装置10を車外に持ち出し、家で使用している可能性が高い。つまり、第一実施例(又は上記第一実施例の変形実施例)において判定条件を満たすとは、この判定条件を満たし続けている時間が所定の時間に達したときに前記無線通信装置10は車外に持ち出されて使用されていると判定することを含むことができる。
【0029】
<第二実施例>
図3は第二実施例に基づくフローチャートである。図3に示されるように、無線通信装置10の外部電力がONのとき、無線通信装置10は定期的に(例えば6秒毎に1回)リモートコントロールセンター2へGPSモジュール16により獲得した位置情報と位置情報に関連する時刻情報とをアップロードする(ステップS200)。これに対応して、リモートコントロールセンター2は定期的に(例えば6秒毎に1回)無線通信装置10がアップロードした位置情報と関連する時刻情報とを獲得する(ステップS202)。リモートコントロールセンター2は獲得した複数の位置情報と時刻情報とから無線通信装置10の外部電力が一定時間OFFされた後またONされたことがあるか否かを検出することができる。例えば、無線通信装置10の外部電力がずっとONである場合に、リモートコントロールセンター2は定期的に(例えば6秒毎に1回)無線通信装置10の位置情報と関連する時刻情報(P0,t0), (P1,t1) ... (Pm,tm)とを獲得し、隣接するデータ点の時間間隔は6秒であるが、(Pm, tm)データ点以降の一定時間(6秒超え、例えば30分)のデータが中断され(即ち無線通信装置10からのデータを受信していない)、その後、リモートコントロールセンターがまた引き続き定期的に(例えば6秒毎に1回)無線通信装置10の位置情報と関連する時刻情報(Pn,tn), (Pn+1, tn+1), (Pn+2, tn+2) ...とを獲得できる場合において、リモートコントロールセンター2はこの30分以内に無線通信装置10の外部電力がまずOFFされ、その後、再びONされたと推定できる。リモートコントロールセンター2は無線通信装置10の外部電力がOFFされた時におけるGPSモジュール16が獲得した最後の位置情報と無線通信装置10の外部電力が次にONされた時におけるGPSモジュール16が獲得した位置情報とに基づき、二者の距離を算出する(ステップ:S204)。リモートコントロールセンター2は算出した二者の距離が基準距離の範囲外であるか否かを判断する(ステップS206)。リモートコントロールセンター2は算出した距離が基準距離の範囲外であると判断した場合(ステップS206:YES)、無線通信装置10は車外に持ち出されて使用されていると判定し、リモートコントロールセンター2は無線通信装置10へWiFiの通信速度を遅くする指示を送り、これによりユーザーによる無線通信装置10の非正常な使用を抑制し(ステップ:S208)、無線通信装置10はこの指示を受けた後、WiFiの通信速度を遅くする(ステップS210)。逆に、算出した距離が基準距離の範囲内であると判断した場合(ステップS206:NO)、無線通信装置10は車内で使用されている、つまり無線通信装置10は正常使用されていると判定する。
【0030】
図3に示される第二実施例における判定条件の原理は次のとおりである。無線通信装置10が車内で使用されている場合、通常であれば、無線通信装置10の外部電力のOFFは車両のACC電源のOFFに対応し、無線通信装置10の外部電力のONは車両のACC電源のONに対応する。ACC電源がOFFしてからACC電源が次にONになるまでの間、一般的に車両は静止状態にあり、二つの時刻の車両の位置は重なると考えられる(或いは特殊な場合、ある合理的な基準距離の範囲内、例えば数メートルの距離である)。したがって、無線通信装置10が車内で使用されていれば、算出した外部電力がOFFされた時における無線通信装置10の位置と外部電力が次にONされた時における無線通信装置10の位置の間の距離もこの基準距離の範囲内であると考えられる。逆に、例えば無線通信装置10が車から取り外され(この場合、外部電力はOFFにされる)、家(又は他の場所)に持ち出され、再び家の外部電源につなげて使用した場合(このとき外部電力は供給を復活)、この二つの時刻におけるGPSモジュール16が獲得した位置情報の間の距離は無線通信装置10が取り外された時における車両の位置と家の位置との間の距離(例えば数百メートル)に対応すると考えられ、合理的な基準距離の範囲を超える。
【0031】
<第三実施例>
図4は第三実施例に基づくフローチャートである。図4に示されるように、無線通信装置10の外部電力がONのとき、無線通信装置10は定期的に(例えば6秒毎に1回)リモートコントロールセンター2へGPSモジュール16により獲得した位置情報と位置情報に関連する時刻情報とをアップロードする(ステップS300)。これに対応して、リモートコントロールセンター2は定期的に(例えば6秒毎に1回)無線通信装置10がアップロードした位置情報と関連する時刻情報とを獲得する(ステップS302)。リモートコントロールセンター2は無線通信装置10がアップロードした位置情報に示されるGPSモジュール16が位置情報の獲得に失敗し(即ちGPSモジュール16は位置情報を測定できない)回数又は頻度をカウントする(ステップS304)。なお、この判定条件は、GPSモジュール16が位置情報の獲得に失敗したものの、移動通信モジュール12により移動通信ネットワークには接続されており、無線通信装置とリモートコントロールセンターとの通信は確立されていることが前提である。つまり、無線通信装置10は今回のGPSモジュール16が測定した位置情報は獲得できなかったことをリモートコントロールセンター2に通知できる。あるいは、無線通信装置10は基地局IDをリモートコントロールセンター2に通知できる。このような場合、リモートコントロールセンターは、この基地局IDに基づき、基地局ポジショニング技術を利用して、移動通信モジュール12の大まかな位置情報(通常、精度はGPSモジュール16が獲得する位置情報に及ばない)を獲得することができる。この場合、大まかな位置情報(移動通信モジュール12の基地局ポジショニング技術を利用して獲得した大まかな位置情報)はあるが、GPSモジュール16が測定して獲得したものではないため、GPSモジュール16が位置情報の獲得に失敗したものとして扱われる。リモートコントロールセンター2はカウントしたGPSモジュール16が位置情報の獲得に失敗した回数又は頻度が基準回数又は基準頻度の範囲外であるか否かを判断する(ステップS306)。リモートコントロールセンター2はカウントしたGPSモジュール16が位置情報の獲得に失敗した回数又は頻度が基準回数又は基準頻度の範囲外であると判断した場合(ステップS306:YES)、無線通信装置10は車外に持ち出されて使用されていると判定し、リモートコントロールセンター2は無線通信装置10へWiFiの通信速度を遅くする指示を送り、これによりユーザーによる無線通信装置10の非正常な使用を抑制し(ステップ:S308)、無線通信装置10はこの指示を受けた後、WiFiの通信速度を遅くする(ステップS310)。逆に、カウントしたGPSモジュール16が位置情報の獲得に失敗した回数又は頻度が基準回数又は基準頻度の範囲内であると判断した場合(ステップS306:NO)、無線通信装置10は車内で使用されている、つまり無線通信装置10は正常使用されていると判定する。
【0032】
図4に示される第三実施例における判定条件の原理は次のとおりである。ユーザーが車内で無線通信装置10を正常使用しているとき、ある場面(例えば車がトンネルや地下駐車場に入った場面)において、GPS信号が遮断されても移動通信は作動している状況が考えられるが、このようなGPS位置情報が測定できない回数/頻度はある合理的な基準回数/頻度の範囲内にあると考えられる。例えば、トンネル内の走行時間は短い時間であり、トンネルを抜ければ、GPS信号はすぐに回復する。一方、ユーザーが無線通信装置10を車から持ち出して家で外部電力をONにして使用するとき、室内のGPS信号がずっと遮断されている(通常、室内ではGPSは信号がないか、信号が非常に劣るが、室内の移動通信の信号はGPS信号より良い。即ち室内の移動通信信号は遮断されない)ため、GPSモジュール16が位置情報の獲得に失敗した回数又は頻度は上記基準回数/頻度の範囲を遥かに超える。このため、ユーザーは無線通信装置10を車外に持ち出したと判定できる。
【0033】
<第四実施例>
図5は第四実施例に基づくフローチャートである。図5に示される第四実施例は上記第一、第二実施例の条件を組み合わせて判定条件とする。即ちリモートコントロールセンター2はステップS404において複数の位置情報と時刻情報とから平均移動速度を算出し、外部電力がOFFされた時刻における無線通信装置10の位置情報と外部電力が次にONされた時刻における無線通信装置10の位置情報との二者の距離を算出する。第四実施例において、満たす条件として第一実施例の条件と第二実施例の条件の組み合わせを判断する必要がある(即ち二つの条件全てを満たす必要がある)。つまり算出した平均移動速度が基準平均移動速度の範囲外であり、かつ算出した距離が基準距離の範囲外であるか否かを判断する(ステップS406)。図5に示される第四実施例の他のステップは第一、第二実施例の類似するため、説明を省略する。
【0034】
図5に示される第四実施例における判定条件の原理は次のとおりである。第一実施例と第二実施例の条件の組み合わせを判定条件として利用することで判定がより正確になり、判定ミスを低減できる。
【0035】
<第五実施例>
図6は第五実施例に基づくフローチャートである。図6に示される第五実施例は上記第一、第二、第三実施例の条件を組み合わせて判定条件とする。即ちリモートコントロールセンター2はステップS504において複数の位置情報と時刻情報とから平均移動速度を算出する。外部電力がOFFされた時刻における無線通信装置10の位置情報と外部電力が次にONされた時刻における無線通信装置10の位置情報との二者の距離を算出する。そしてGPS位置情報が測定できなかった回数/頻度をカウントする。第五実施例において、満たす条件として第一実施例の条件、第二実施例の条件、および第三実施例の条件の組み合わせを判断する必要がある(即ち三つの条件全てを満たす必要がある)。つまり算出した平均移動速度が基準平均移動速度の範囲外であるか否か、かつ算出した距離が基準距離の範囲外であるか否か、かつGPS位置情報が測定できなかった回数/頻度が基準回数/頻度の範囲外であるか否かとを判断する(ステップS506)。図6に示される第五実施例の他のステップは第一、第二、第三実施例と類似するため、説明を省略する。
【0036】
図6に示される第五実施例における判定条件の原理は次のとおりである。第一実施例、第二実施例および第三実施例の条件の組み合わせを判定条件として利用することで判定がより正確になり、判定ミスを低減できる。
【0037】
<第六実施例>
図7は第六実施例に基づく概略図である。第六実施例に基づき、リモートコントロールセンター2は無線通信装置10の位置情報は車両が通常到達できない場所にあるか否かに基づき無線通信装置10は車外に持ち出されて使用されているか否かを判定できる。例えば、図7に示すように、無線通信装置10の位置情報が無線通信装置10は湖や海などの特定の位置にあることを示す場合、無線通信装置10は車外に持ち出されて船上で使用されている可能性がある。なぜなら、通常の場合、自動車はこのような特定の位置に現れないからである。
【0038】
上記実施例は本発明の好ましい実施例であり、本発明を限定するものではない。例えば、上記第一〜第三実施例の条件の組み合わせ方法は第四実施例と第五実施例で示した組み合わせ方法に限らず、これら条件は例えば第六実施例の条件とも組み合わせることができる。ある条件を満たすとは、この条件を満たし続けている時間が所定の時間に達したことを指してもよい。複数の条件の組み合わせを満たす場合、それぞれの条件を満たす前後の順番は決めなくてもよい。上記実施例の条件は例示的なものに過ぎないことは当業者の自明とするところである。
【0039】
上記実施例で示したWiFiの通信速度を遅くする指示も例示的なものに過ぎず、例えばWiFiサービスを禁止するなどの他の指示に修正又は変形してもよい。
【0040】
上記実施例において、定期的に位置情報と関連する時刻情報とをアップロードすることを例示的に示したが、アップロードするデータには必ずしも関連の時刻情報を含んでいる必要はないことは当業者の自明とするところである。なぜなら、リモートコントロールセンター2は位置情報の時刻を受けることで関連する時刻情報を判断できるからである。
【0041】
この他、上記実施例において、リモートコントロールセンター2により無線通信装置10は車外に持ち出されて使用されているか否かを判定することを例示的に示したが、本発明はこれに限られず、リモートコントロールセンター2を介入させることなく無線通信装置10自身が判定してもよい。この場合、例えば無線通信装置は、GPSモジュールにより取得された位置情報と、その位置情報を取得した時点の時刻情報とを記憶する無線通信側データベースと、そのデータベースに記憶された位置情報と時刻情報とに基づいて、この無線通信装置が車外へ持ち出されて使用されているか否かを判定する無線通信装置側判定部とをさらに備えている。そして、前述の第一実施例から第六実施例に示したような判定条件を満たした場合に、無線通信装置が車外へ持ち出されて使用されていると判定するように構成すればよい。これにより、無線通信装置側のみの簡易な構成で、車外へ持ち出されて使用されているか否かの監視制御を実現することができる。
【0042】
また、上記実施例において、無線通信装置10はセンター側判定部もしくは無線通信装置側判定部による判定結果に基づき、本発明に係る無線通信装置が提供する無線ネットワーク接続サービスの接続状態を制御することを例示的に示したが、本発明はこれに限られず、無線ネットワーク接続サービスの接続状態を制御することなく、前述のいずれかの判定部による、無線通信装置が移動体外に持ち出されて使用されているか否かの判定結果に応じた情報を、ユーザーに提供してもよい。
【0043】
この場合、無線通信装置は、ユーザーへの情報提供部として、警報ランプと、前述のいずれかの判定部により無線通信装置が移動体外に持ち出されて使用されていると判定された場合に、警報ランプの点灯を制御する点灯制御部とを備える。点灯制御部は、移動通信モジュールに設けられたCPUがその機能を兼ねてもよいし、別途設けてもよい。そして例えば、無線通信装置が移動体外に持ち出されて使用されていると判定されなかった場合には単色のランプが常時点灯するように制御し、無線通信装置が移動体外に持ち出されて使用されていると判定された場合には、点滅させるように構成される。これにより、ユーザーに対し、無線通信装置を車外に持ち出されて使用することを止めるように注意喚起することができる。
【0044】
また、警報ランプを無線通信装置10が備えるLEDインジケータ15と一体的に形成することも可能である。さらに、情報提供の手段は、警報ランプに限られない。例えば、センター側判定部により、無線通信装置が移動体外に持ち出されて使用されていると判定された場合には、予め登録されたユーザー情報を参照し、電話やメールを利用して、遠隔制御センターよりユーザーへ直接注意喚起の連絡をすることも可能である。
【0045】
本発明の思想と範囲を外れない場合において、本発明の実施例に対して各種修正や変更を行うことができることは当業者が自明とするところである。したがって、請求項で限定される本発明の範囲内に入る修正や変形も全て本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
1…GPS衛星測位システム、2…リモートコントロールセンター、3…ナビ装置、4…移動端末装置、5…車両バッテリー、6…WiFi用アンテナ、7…ブルートゥース用アンテナ、8…移動通信用アンテナ、9…GPS用アンテナ、10…車載用無線ルーター、11…電源部、12…移動通信モジュール、13…WiFiモジュール、14…SIMスロット、15…LEDインジケータ、16…GPSモジュール、17…CPU。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7