【実施例1】
【0021】
本発明に係るバイオマスの処理システムについて、図面を参照して説明する。
図1は、実施例1に係るバイオマスの処理システムの概略図である。
図2は、本実施例に係る他のバイオマスの処理システムを示す概略図である。
図1に示すように、本実施例に係るバイオマスの処理システム10Aは、気液界面13aを有する処理槽である装置本体13において、バイオマス原料11からセルロース、ヘミセルロース及びリグニンを高温・高圧条件下で分解処理してリグニン成分及びヘミセルロース成分を除去するバイオマス処理部である水熱分解処理部17と、水熱分解処理部17で処理されたバイオマス固形分(熱水不可溶分)20を抜出するバイオマス固形分抜出部18と、バイオマス固形分抜出部18と連通すると共に、内部に水19を注入し、抜き出したバイオマス固形分20を投入してスラリー状バイオマス固形分24とするスラリー化槽21と、スラリー状バイオマス固形分24を加圧下から常圧下へ排出する排出部23と、スラリー化槽21から抜き出されたスラリー状バイオマス固形分24の抜出しラインL
1に設けられ、スラリー状バイオマス固形分24を沈降させる沈降槽31と、沈降槽31の底部31bに沈降したバイオマス固形分20を掬い上げつつ水分離する掬い上げ搬送手段34とからなる固液分離装置30とを具備するものである。
【0022】
この固液分離装置30においては、スラリー状バイオマス固形分24を沈降槽31において、沈降させ、この沈降したバイオマス固形分20を例えばスクリューコンベヤ35等の掬い上げ搬送手段34により固液分離することにより、反応阻害物質を含む水19を除去して濃縮スラリー状バイオマス固形分36としている。この固液分離装置30で水19を除去することで、固形分濃度を高めることができる。すなわち、バイオマス固形分が有する保水能力までバイオマス固形分濃度を高めることとなる。これにより、後流側での糖化反応の基質濃度の調整が可能となる。
【0023】
すなわち、本実施例によれば、固液分離装置30において、反応阻害物質を含む水19をスラリー状バイオマス固形分24から分離することで、反応阻害物質を効率的に除去することができ、後流側での反応が良好となる。
【0024】
また、分離した水19は、スラリー化槽21に戻して再利用することにより、スラリー化に必要な水を別途供給することが省略され、プラント全体での水の使用量を低減することができる。
【0025】
ここで、水熱分解処理部17には、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンを有するバイオマス原料11を常圧下から加圧下に供給するバイオマス供給部12を有している。
そして、水熱分解処理部17では、供給されたバイオマス原料11は、下方から装置本体13の内部にて、搬送手段である第1のスクリュー手段14により上方へ搬送すると共に、前記バイオマス原料11の供給箇所と異なる上方の側から加圧熱水(以下、「熱水」ともいう)15を装置本体13の内部に供給し、前記バイオマス原料11と加圧熱水15とを対向接触させつつ水熱分解し、排出する加圧熱水である熱水排出液16中に熱水溶解成分(リグニン成分及びヘミセルロース成分)を移行し、前記バイオマス原料11中からリグニン成分及びヘミセルロース成分を分離している。
ここで、搬送手段としては、本実施例ではスクリュー手段を例示しているが、バイオマス固形分を下方から上方に搬送することができるものであれば、スクリュー手段に限定されるものではない。
【0026】
スラリー化槽21に投入される水19は、加圧用の加圧窒素25のリークを防止する目的で液体シールをなすためには系内の圧力下において液体状であればよく、バイオマス固形分20が含有する水分中に含まれるヘミセルロースの過分解(ヘミセルロース分解開始温度約140℃〜180℃)を抑制するためにはスラリー化槽21の液温を140℃以下、さらに好ましくは100℃以下に冷却するよう、バイオマス固形分20の温度やスラリー化槽21の容量に応じて注入する水19の温度を適宜設定すればよい。好ましくは、排出部23にて気化させずに安定化したスラリーで排出できるように、スラリー温度は100℃以下になるよう、水19の温度を適宜設定すればよい。
【0027】
また、水19は、例えば0℃〜60℃の範囲内とし、後述するように系内の水を循環して再利用することもできる。
ここで、
図1中、符号18aはバイオマス固形分抜出部18とスラリー化槽21とを連通する通路、22はスラリー化槽21内部を攪拌する撹拌手段、13aは装置本体13の気液界面、21aはスラリー化槽21の気液界面、L
1は抜出しライン、M
1は第1のスクリュー手段14を駆動するモータ、M
2は撹拌手段22を駆動するモータを各々図示する。
【0028】
バイオマス(セルロース系原料)原料11には、セルロース以外にヘミセルロースやリグニンが含まれており、具体的にはセルロースをヘミセルロースが束ね、リグニンが接着している構造を有している。
バイオマスは水熱分解後には、熱水不溶分(固形分)と熱水可溶分とに分けられることとなる。熱水不溶分は主にセルロース(C6糖の原料)であり、熱水可溶分は主にヘミセルロース(C5糖の原料)であり、各々酵素により糖化することで糖を得ることができる。
【0029】
よって、バイオマス原料11が加圧熱水15により高温(180〜240℃)の温度域で水熱分解され、熱水側にヘミセルロースを溶解させると共に、リグニンも分解・溶解させており、その結果熱水側にはヘミセルロース等が溶解されることとなる。
熱水に可溶化された後の熱水可溶化ヘミセルロースの状態では、高温(180〜240℃)の温度域では過分解が生じる。
【0030】
このヘミセルロースの過分解は、C5糖の原料となるヘミセルロースの収率が低下するので、熱水可溶化分のヘミセルロースの過分解を抑制する必要がある。
また、熱水中への過分解物の混入は、後流側設備における酵素による糖化工程及びアルコール発酵等の発酵工程での反応阻害要因となるので、この阻害物の発生を阻止することも必要となる。
【0031】
図1において、バイオマス固形分抜出部18には、図示しない第2のスクリュー手段が設けられ、第1のスクリュー手段14により下方から上方に搬送された熱水不溶分であるバイオマス固形分20をスラリー化槽21側へ抜き出している。そして、抜出されたバイオマス固形分20は通路18aから液体21b中に順次落下し、スラリー化槽21内に設けた攪拌手段22の攪拌により、スラリー化される。
【0032】
また、水19はバイオマス固形分20が通路18aでブリッジし、閉塞しないように、排出部23のバイオマス出口上部から供給するようにしてもよい。また、バイオマス固形分抜出部18は、傾斜型の配管のみとして、バイオマス固形分20を重力落下、又はバイオマス固形分抜出部18の上部から供給する水19にて洗い流しながら、スラリー化槽21内に抜きだすようにしてもよい。
【0033】
また、スラリー化槽21内の液体21b中に落下したバイオマス固形分20が水19との直接熱交換により冷却され、この結果、バイオマス固形分20に同伴した熱水による残留ヘミセルロース、残留リグニン及び主成分セルロースの過分解が抑制される。
【0034】
これは、水熱分解処理部17の気液界面13aの上方側のガス雰囲気内では、第1のスクリュー手段14によりバイオマス固形分20が熱水液面(気液界面13a)より上に露出される。しかしながら、バイオマス固形分20に同伴する加圧熱水15の存在により、高温・高圧状態で未だ反応が進行しているので、バイオマス固形分20をスラリー化槽21内の液体21b中に投入することで、反応停止させることができる。
【0035】
よって、この反応停止によって、残留ヘミセルロース、残留リグニン及び主成分セルロースの過分解が抑制されることとなり、セルロース分の過分解が抑制されその回収率が向上すると共に、後流側における反応阻害成分の生成が抑制される。
【0036】
また、スラリー化槽21内に水19を注入し、液体21bが存在するため、水熱分解処理部17の気液界面13aと、スラリー化槽21の気液界面21aとにおいて、液封止がなされることとなり、これにより加圧用気体である加圧窒素25のリークが防止される。これにより、ガスリークに伴うロスがなくなり、加圧用気体にかかるランニングコストの大幅な削減を図ることができる。なお、スラリー化槽21には図示しない安全弁や加圧窒素25の流入通路が形成されている。
【0037】
また、バイオマス固形分20をスラリー化させることにより、流動化が可能となり、スラリー化槽21から外部へ排出する際の排出機構が簡易となる。すなわち、バイオマス固形分20が高温状態のままであると、排出機構の材質も例えば高価な材料を使用する必要があるが、スラリー化槽21で冷却するので、その排出側に設ける排出部23の材質を安価なステンレスや樹脂等を使用することができる。この排出部23としては、例えばロータリーフィーダ、流量調整弁等を用いることができる。
【0038】
また、バイオマス固形分20は、固体のままでの取扱い性が煩雑であったが、スラリー化により流動性の向上を図ることができることとなり、取り扱い性も容易となる。
【0039】
また、糖化処理等においては、酵素反応であるので、所定の温度以下(例えば60℃以下)に冷却する必要がある。この際、バイオマス固形分20の状態での冷却はその熱交換効率は良好でないので、大がかりな熱交換手段を必要とするが、スラリー化させることにより、冷却効率が良好となり、大がかりな熱交換手段が不要となる。
【0040】
また、スラリー化槽21内を冷却するための間接冷却手段を設けるようにすることもできる。さらに、スラリー化槽21は攪拌手段22を設けているが、本発明はこれに限定されず、例えばポンプによる循環手段等で攪拌させるようにしてもよい。
【0041】
ここで、スラリー化槽21で得られたスラリー状バイオマス固形分24は、排出部23から排出され、抜出しラインL
1を経由して、スラリー状バイオマス固形分24を沈降させる沈降槽31に導入される。
【0042】
この沈降槽31は、その底部31b側に沈降物を集合させる形状としており、例えば
図3に示すように、中間部分より下はテーパ状側壁31aを形成している。この対向するテーパ状側壁31aにより、スラリー状バイオマス固形分24による沈降物(バイオマス固形分20)の集合が容易となる。
【0043】
この沈降槽31の底部側31bには、スクリュー手段32が設けられ、駆動モータM
3により駆動される。そして、駆動モータM
3の駆動によるスクリュー手段32の回転により、底部側31bに沈降した沈降物を系外へ排出している。
【0044】
この沈降槽31の底部側31bでは、連通部33を介して、バイオマス固形分20を掬い上げつつ水分離するスクリューコンベヤ35を備えた掬い上げ搬送手段34が設置されている。
【0045】
この掬い上げ搬送手段34は、連通部33との底部34a側から上端34b側へ向かって、内部に設けたスクリューコンベヤ35が傾斜して設けられている。そして、内部のスクリューコンベヤ35を駆動モータM
4により回転させることにより、バイオマス固形分20を下方側から上方側へ掬い上げ、この掬い上げの際に、含有する水19を分離している。
【0046】
掬い上げ搬送手段34の上端側34bには、濃縮された濃縮スラリー状バイオマス固形分36を排出する排出口34cが設けられている。
【0047】
また、この沈降槽31には、水受けタンク37が隣接しており、沈降槽31でオーバーフローした水19をラインL
2により移行させている。
水受けタンク37に、攪拌手段37aを設けるようにしてもよい。この場合、水19にバイオマス固形分20が一部混入し、水受けタンク37内にバイオマス固形分20が沈降する場合には、モータM
5により攪拌手段37aを回転駆動させることで、バイオマス固形分20を均一化させる。
この水受けタンク37の水19は、ポンプ38により戻しラインL
3を介して、冷却器39で冷却しつつスラリー化槽21に戻すようにし、水19の再利用を図っている。
【0048】
前述した実施形態では、固液分離装置30で分離した水を冷却器39で冷却してそのままスラリー化槽21に戻しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
図2に示すように、バイオマスの処理システム10Bでは、実施例1のバイオマスの処理システム10Aにおいて、さらに戻しラインL
3に、固液分離装置30から分離した水19を生物処理する生物処理装置45を設け、生物処理した水19を冷却器39で冷却した後、スラリー化槽21に戻すようにしている。
【0049】
固液分離装置30で分離した水19は、後流側での反応阻害物質である有機酸(例えばギ酸、酢酸、クエン酸等)を含むので、生物処理装置45で分解除去され、処理が確実になされ、水19として再利用の際に、阻害物質が除去されることとなるので、スラリー化槽21における反応停止の際に、阻害物質の増加がないものとなる。また、生物処理装置45として、例えばメタン発酵生物処理装置を用いることにより、メタンを回収し、燃料等に利用が可能となる。
【0050】
次に、沈降槽31と掬い上げ搬送手段34により、スラリー状バイオマス固形分20から水19を分離する手順を説明する。
【0051】
ここで、沈降槽31は、大気圧状態であり、ラインL
1を経由して、内部にスラリー状バイオマス固形分24が導入される。この導入されたスラリー状バイオマス固形分24中のバイオマス固形分20は、その自重により沈降槽31の底部31b側に自然沈降する。
沈降槽31の底部31b側には沈降物(バイオマス固形分20)を排出するスクリュー手段32が設けられており、沈降槽31の底部31bで連通する連通部33を介して、掬い上げ搬送手段34の底部34a側に、沈降物を搬送・排出している。
【0052】
搬送された沈降物は、掬い上げ搬送手段34の底部側34aから上端側34bへ向かって、内部に設けたスクリューコンベヤ35により掬い上げられる。この掬い上げの際、水とバイオマス固形分20とが分離され、バイオマス固形分20が上方へ搬送される結果、掬い上げ搬送手段34の上端側34bからは、濃縮スラリー状バイオマス固形分36が排出口34cを介して排出される。
【0053】
この結果、スラリー化槽21では、そのスラリー化のために水の投入により、バイオマス固形分20の固形分濃度が、例えば5重量%濃度に薄まっていたものを、固形分濃度が10〜30重量%以上の濃度とすることが可能となり、そのまま糖化処理するに適した固形分濃度とすることができる。
【0054】
本実施例では、掬い上げ搬送手段34の搬送手段として、スクリューコンベヤ35を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばベルトコンベヤ等を用いるようにしてもよい。
【0055】
なお、掬い上げ搬送手段34の底部側34aからは、長期に蓄積したバイオマスの排出やメンテナンス時に内容物を排出するために、ブロー用の排出ラインL
11により導入するようにしてもよい。また、掬い上げ搬送手段34の上端側34bからは洗浄用の水42を導入ラインL
12により導入するようにして、詰まりが生じた場合や、一定期間ごと内部の洗浄を可能とするようにしている。
【0056】
ここで、前述した実施形態では、沈降槽31の底部側31bでは、連通部33を介して、バイオマス固形分20を掬い上げつつ水分離するスクリューコンベヤ35を備えた掬い上げ搬送手段34を設けているが、本発明はこれに限定されるものではない。
図4は、本実施例に係る他のバイオマスの処理システムを示す概略図である。
図4に示すように、本実施例に係るバイオマスの処理システム10Cでは、沈降槽30の下部に掬い上げ搬送手段34を一体的に設けるようにしている。
すなわち、沈降槽31の底部31bを傾斜にし、この傾斜に沿って掬い上げ搬送手段34を一体的に設け、沈降したバイオマス固形分20をそのままスクリューコンベヤ35により掬い上げるようにしている。これにより、スクリュー手段32及び連通部33が不要となり、装置の簡素化を図ることができる。
【0057】
ここで、前記水熱分解処理部17に供給するバイオマスとしては、特に限定されるものではなく、地球生物圏の物質循環系に組み込まれた生物体又は生物体から派生する有機物の集積をいう(JIS K 3600 1258参照)が、本発明では特に木質系の例えば広葉樹、草本系等のセルロース系資源や農業系廃棄物、食品廃棄物等を用いるのが好ましい。
【0058】
また、前記バイオマス原料11としては、粒径は特に限定されるものではないが、5mm以下に粉砕することが好ましい。
本実施例では、バイオマスの供給前において、原料調整装置として、例えば粉砕装置を用いて前処理するようにしてもよい。また、洗浄装置により洗浄するようにしてもよい。
なお、バイオマス原料11として、例えば籾殻等の場合には、粉砕処理することなく、そのままバイオマス供給部12に供給することができるものとなる。
【0059】
また、水熱分解処理部17における、反応温度は180〜240℃の範囲とするのが好ましい。さらに好ましくは200〜230℃とするのがよい。
これは、180℃未満の低温では、水熱分解速度が小さく、長い分解時間が必要となり、装置の大型化につながり、好ましくないからである。一方240℃を超える温度では、分解速度が過大となり、セルロース成分が固体から液体側への移行を増大すると共に、ヘミセルロース系糖類の過分解が促進され、好ましくないからである。
また、ヘミセルロース成分は約140℃付近から、セルロースは約230℃付近から、リグニン成分は140℃付近から溶解するが、セルロースを固形分側に残し、且つヘミセルロース成分及びリグニン成分が十分な分解速度を持つ180℃〜240℃の範囲とするのがよい。
【0060】
反応圧力は、装置本体13の反応温度(180〜240℃)の各温度の水の飽和蒸気圧に、更に0.1〜0.5MPaだけ高い圧力を加えることとするのが好ましい。
また、反応時間は20分以下、3分〜10分とするのが好ましい。これはあまり長く反応を行うと過分解物の割合が増大し、好ましくないからである。
【0061】
前記常圧下から加圧下に供給するバイオマス供給部12としては、例えば、スクリュー、ピストンポンプ又はスラリーポンプ等の手段を挙げることができる。
【0062】
また、水熱分解装置の水熱分解処理部17は、本実施例では、垂直型の装置としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、気液界面13aを有する傾斜型の水熱分解装置としてもよい。
【0063】
ここで、水熱分解装置を傾斜型又は垂直型とするのは、水熱分解反応において発生したガスや原料中に持ち込まれたガス等が上方から速やかに抜けることができ好ましいからである。また、加圧熱水15で分解生成物を抽出するので、抽出効率の点において上方から下方に向かって抽出物の濃度が高まることとなり、好ましいものとなる。
【0064】
以上のように、本実施例によれば、バイオマス原料からセルロース主体の成分とヘミセルロース成分を固液接触状態で分解処理した後、その分解物であるバイオマス固形分をスラリー化槽21の内部に注入した液体21b中に、投入することで、スラリー化させると共に、液体シールがなされ、加圧気体の流出を防止することができる。これにより加圧用気体(例えば加圧窒素等)の流出が防止され、ランニングコストの大幅な削減を図ることができる。
【0065】
そして、スラリー化槽21でスラリー化したスラリー状バイオマス固形分24は、バイオマス固形分20を沈降槽31で沈降させた後、該沈降物を掬い上げつつ水分離するスクリューコンベヤ35を備えた掬い上げ搬送手段34により水分離がされ、濃縮スラリー状バイオマス固形分36を得ることができる。
【0066】
これにより、例えばフィルタープレス手段や遠心分離手段等の高価な脱水手段を設けることが不要となる。また、フィルタープレス手段や遠心分離手段等の脱水手段は、間欠的な運転となるため、連続的な処理に不適であるので、後流側の糖化発酵、精製プロセスの効率化を図ることができない。また、動力やスラリー状バイオマス固形分24の沈降のために大量の水を必要とするためにランニングコストも嵩むこととなる。
【0067】
これに対して、本発明の固液分離装置30では、連続的に低ランニングコストで固液分離することができ、発酵、精製のプロセスの効率化を図ることができる。
【0068】
以上より、本実施例によれば、固液分離装置30において、反応阻害物質を含む水19をスラリー状バイオマス固形分24から分離することで、反応阻害物質を効率的に除去することができ、後流側での反応が良好となる。
【実施例2】
【0069】
次に、本発明に係るバイオマスの処理システムの他の実施例について、図面を参照して説明する。なお、実施例1のバイオマスの処理システムと同一部材については同一符号を付してその説明は省略する。
図5は、実施例2に係るバイオマスの処理システムを示す概略図である。
図6は、実施例2に係る他のバイオマスの処理システムを示す概略図である。
図5に示すように、バイオマスの処理システム10Dは、実施例1の固液分離装置(別体型)を備えたバイオマスの処理システム10Aにおいて、主にセルロース成分を含むバイオマス固形分を六炭糖(C6糖)等に酵素糖化し、糖を濃縮するC6糖化・糖濃縮装置50を有している。
図6に示すように、バイオマスの処理システム10Eは、実施例1の他の固液分離装置(一体型)を備えたバイオマスの処理システム10Eにおいて、主にセルロース成分を含むバイオマス固形分を六炭糖(C6糖)等に酵素糖化し、糖を濃縮するC6糖化・糖濃縮装置50を有している。なお、糖化方法については、同一操作であるので、
図5を用いて以下説明する。
【0070】
このC6糖化・糖濃縮装置50は、前記固液分離装置30で濃縮された濃縮スラリー状バイオマス固形分36を酵素51により酵素糖化する糖化槽52、糖化後の糖液53から、固体分を分離する糖液用固液分離装置54と、糖液用固液分離装置54で分離した糖液53から水57を除去して、濃縮糖液55を得る逆浸透(Reverse Osmosis:RO)膜56aを備えた水分分離装置56とを有するものである。
糖液用固液分離装置54は、例えばスクリューデカンタ、砂濾過装置、MF膜等を単独又は組合せて用いることができ、これにより固形物を除去して逆浸透膜(RO)56aの保護を図るようにしている。さらに、RO膜56aの前段側において、限外濾過膜(Ultrafiltration Membrane:UF膜)を用いることで、RO膜56aの保護を図ると共に酵素の回収が可能となり、酵素を再利用することができる。
また、水分分離装置56には、ルーズRO膜、ナノ濾過膜(Nanofiltration Membrane:NF膜)等を用いてもよい。
【0071】
次に、このC6糖化・糖濃縮装置50の処理工程の手順について説明する。
<酵素糖化工程>
先ず、前記糖化槽52において、濃縮スラリー状バイオマス固形分36が供給ラインL
4を介して導入され、酵素51が添加され、酵素糖化工程における酵素反応による糖化がなされる。
【0072】
<固液分離工程>
次に、糖液53は第1の糖液タンク61に貯留され、その後、糖液用固液分離装置54によりリグニン等の固形残液62が分離され、その後糖液53は第2の糖液タンク63に貯留される。
【0073】
<糖濃縮工程>
次に、糖液53は、RO膜56aを備えた水分分離装置56により水57が除去され、濃縮糖液55を得る。
この濃縮糖液55は図示しない後工程の発酵処理において、各種有機原料となる。
【0074】
本実施例では、各種膜を用いた膜処理により、糖の濃縮を効率よく行うことができる。
また、分離したリグニン等の固形残液62は、高カロリであるので、燃料用に用いることができる。また、リグニン等の固形残液62は、有機肥料利用や化学原料利用(リグニンの接着剤としての利用等)に用いることができる。
【0075】
このように、本発明のバイオマス原料を用いた糖液生産方法は、
図5に示すように、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンを有するバイオマス原料11を常圧下から加圧下に供給し、前記バイオマス原料11を加圧熱水15により水熱分解処理部17により水熱分解し、前記加圧熱水15中にリグニン成分及びヘミセルロース成分を溶解させ、その後、前記水熱分解処理部17から抜出したバイオマス固形分20を、内部に水19が注入され、前記水熱分解処理部17と連通するスラリー化槽21に投入し、スラリー状バイオマス固形分24とし、前記スラリー状バイオマス固形分24を酵素糖化して糖液53を得た後、固形分を分離し、次いで水を除去することによりバイオマス原料11から糖液53を効率よく生産することができる。
【0076】
このバイオマス原料を用いた糖液生産方法により得られた糖液を用いて、特にメタノール、エタノール等のアルコール発酵を行い、アルコールを製造することができる。
【0077】
さらに、バイオマス固形物をスラリー状とすることでその取り扱いを容易とし、その後の糖化工程に適したものとなり、効率的な糖液(C6糖)の製造を行うことができる。また、この糖液を基点として、各種有機原料(例えばアルコール類、石油代替品類、又はアミノ酸類等)を効率よく製造することができる。また、この糖液を基点として、例えばLPG、自動用燃料、航空機用ジェット燃料、灯油、ディーゼル油、各種重油、燃料ガス、ナフサ、ナフサ分解物であるエチレングリコール、乳酸、アルコール(エタノール等)、アミン、アルコールエトキシレート、塩ビポリマー、アルキルアルミニウム、PVA、酢酸ビニルエマルジョン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、MMA樹脂、ナイロン、ポリエステル等の各種有機原料(例えばアルコール類、石油代替品類、又はアミノ酸類等)を効率よく製造することができる。よって、枯渇燃料である原油由来の化成品の代替品及びその代替品製造原料としてバイオマス由来の糖液を効率的に利用することができる。
【0078】
さらに、液体中にバイオマス固形分を投入するので、液体による直接熱交換によりバイオマス固形分を冷却することで反応停止を効率良く行うことができ、また、酸やアルカリが希釈されるため、バイオマス固形分に同伴する残留ヘミセルロース、残留リグニン及び主成分セルロースの過分解が抑制される。この結果、反応阻害成分の生成抑制を図ると共に、セルロース分の回収率の向上を図ることができる。
【0079】
このスラリー状バイオマス固形分を得る際、本発明ではスラリー状バイオマス固形分を沈降槽において沈降させ、この沈降したバイオマス固形分を例えばスクリューコンベヤ等の掬い上げ搬送手段により固液分離することにより、水を除去して濃縮スラリー状バイオマス固形分にするようにしている。また、スラリー状バイオマス固形分に反応阻害物質を含む場合には、水の除去と共に反応阻害物質の含有量の低減を図ることができることとなり、純度の高い濃縮バイオマス固形分とすることができる。