【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一の実施例では、回転式カップリングのためのカービックカップリングは、所定の円の上に配置されている複数の歯であって、ラジアル方向及び周方向において延在している円状面から突出している複数の歯を備えており、複数の歯のうち一方の歯の側面が、複数の歯のうち他方の歯の側面に対向しており、一方の歯が、他方の歯に隣り合っており、分割面によって他方の歯から分割されており、分割面が、円状面に配置された平面とされ、分割面が、一方の歯の側面と他方の歯の側面との間に中央突出部を備えており、中央突出部が、円状面から突出している。
【0013】
カービックカップリングは、円状のカービックカップリングとされる場合がある。カービックカップリングは、例えば鋼のような金属から作られている。カービックカップリングは、2つの係合するカービックカップリングのうちの一のカービックカップリングであり、それぞれの構成部品が、カービックカップリングそれぞれに接続されている。
【0014】
例えばカービックカップリングは、例えばガスタービン、圧縮機、ポンプや蒸気タービンのようなターボタービンの2つの回転シャフトを結合させるために利用される。例えばカービックカップリングは、圧縮機のシャフト部分とガスタービンのタービンのシャフト部分とを結合するか、又は、タービンシャフトの第1の部分とタービンシャフトの第2の部分とを結合する。特定のタービンの動作中に、特定のシャフト部分又はシャフトが互いに接続されている一方、他の動作中には、シャフト部分又はシャフトは互いから分離している。
【0015】
2つのカービックカップリングの結合は、一方のカービックカップリングの一方の歯と他方のカービックカップリングの他方の歯との係合である。特に2つのカービックカップリングが互いに対して結合されている場合には、一方のカービックカップリングの側面は、他方のカービックカップリングの他方の歯の側面と係合している。第1のカービックカップリングが第2のカービックカップリングに結合された場合には、第1のカービックカップリング及び第2のカービックカップリングのうち一方のカービックカップリングの回転運動が、他方のカービックカップリングの回転運動に伝達される。
【0016】
カービックカップリングは、複数の歯が突出している基本構造を有している。当該基本構造は、円状のリングとして形成されている。当該基本構造は、複数の歯と一体に形成されている。
【0017】
カービックカップリングは、例えば未加工のワークピースを型成形した後に本発明の一の実施例における研削工具を利用することによって未加工のワークピースを機械加工することによって製造される。研削工具は、未加工のワークピースから材料を除去することによってこのように形成された歯同士の間に溝を生成するための、特定の断面形状(又は輪郭)を具備する円状のリング構造とされる。
【0018】
カービックカップリングは、例えば30枚〜50枚の歯を、特に40枚の歯を備えている。円状の平面は、2つのカービックカップリングを介して結合されるべき2つのシャフト又はシャフト部分の回転軸線に対して垂直とされる。回転軸線は、アキシアル方向を規定しており、ラジアル方向は、アキシアル方向及び周方向に対して垂直とされる。さらに、周方向は、アキシアル方向及びラジアル方向に対して垂直とされる。
【0019】
特に、複数の歯のうちすべての歯が、円状の平面から同程度に突出している。特に、複数の歯それぞれが、歯の側面同士の間に(その大部分が円状の平面から突出している)頂面を有している。第1のカービックカップリングが第2のカービックカップリングに係合した場合に、頂面は、2つの他の歯の分割面に接近する。しかしながら、第1のカービックカップリングの歯の頂面は、第2のカービックカップリングの他の歯同士の間において分割面に接触していない。その代りに、第1のカービックカップリングの歯の頂面と第2のカービックカップリングの歯同士の間に形成された分割面との間には、所定の間隙が維持される。これにより、異なるカービックカップリングの歯の側面のみが相互に接触することによって、第1のカービックカップリングと第2のカービックカップリングとが係合される。
【0020】
従来技術に基づくカービックカップリングでは、一方の歯と他方の歯との間に形成された分割面は、ゲーブル面すなわち円状面に対して傾斜している2つの面部分を有している表面とされる。しかしながら、当該実施例では、分割面は、円状面内にある平坦な表面(部分又は部位)とされる。一方の歯と他方の歯と間に平坦な表面を設けることによって、製造されたカービックカップリングが、例えば座標計測器(CMM)のような計測装置を利用することによって高精度で管理又は計測可能となる。計測装置は、カービックカップリングの幾何学的形状特性を決定するために、カービックカップリングの形状を、特に歯及び分割面の形状を正確に検査することができる。特に、歯の高さは、すなわち、円状面から歯の頂面に至る計測される歯のアキシアル方向寸法は、高精度の座標計測器を利用することによって決定される。このことは、分割面の従来の輪郭又は幾何学的形状を利用しても不可能である。これにより、カービックカップリングの計測が改善される。
【0021】
一方の歯と他方の歯との間に形成された分割面は、その全体において平坦である必要は無い。しかしながら、分割面の一部分は平坦な表面である。これにより、平坦な表面から計測すべき歯の頂面に至る距離を計測することによって、歯の高さは容易に計測される。
【0022】
中央突出部は、中央尖端部とも呼称される。中央突出部は、丸められた角部が歯の側面と分割面との間において切断されることを防止したことの結果物である。
【0023】
特に(カービックカップリングを製造するために利用される)研削工具の円状リング面の幅は、ラジアル方向中央部分の一方の歯と他方の歯との間における周方向長さより小さいので、形成すべき一方の歯と他方の歯との間の材料を除去するために研削工具を利用した場合に、一方の歯と他方の歯との間の中央領域における材料は維持され(従って、除去され)、最終的には中央突出部を形成する。しかしながら、研削工具の円状リング面のラジアル方向内側端部における分割面の周方向長さより小さくするために、研削工具の円状リング面の幅を選定することによって、一方の歯の側面と分割面との間における丸められた角部を切断、研削、又は除去することが防止される。
【0024】
本発明における一の実施例では、分割面は、分割面のラジアル方向内側部分において平坦とされ、及び/又は、特に分割面のラジアル方向外側部分において平坦とされる。これにより、特に、歯の高さは、円状のカービックカップリングのラジアル方向内側領域又はラジアル方向外側領域において計測可能とされる。
【0025】
本発明の一の実施例では、分割面が、一方の歯の側面に隣り合っている分割面の一部分において、及び/又は、他方の歯の側面に隣り合っている分割面の一部分において平坦とされる。特に、一方の歯の側面に隣り合っている分割面の一部分の幅、及び/又は、他方の歯の側面に隣り合っている分割面の一部分の幅は、分割面のラジアル方向最内側部分における分割面の幅より小さく、特に当該幅の0.5倍〜0.9倍とされる。
【0026】
これにより、分割面のラジアル方向内側端部から分割面のラジアル方向外側端部に至るすべてのラジアル方向位置において、高さが正確に計測可能とされる。また、分割面のラジアル方向内側部分は、一方の歯のラジアル方向内側端部に対応しており、分割面のラジアル方向外側部分は、一方の歯のラジアル方向外側端部に対応している。特に一方の歯の側面に隣り合っている分割面の一部分の幅が、分割面のラジアル方向最内側部分における分割面の幅より小さい場合には、一方の歯の側面と分割面との間における丸められた縁部の切断が確実に防止される。
【0027】
特に、研削工具は、研削工具の円状リング面が特定の幅を有しているように構成されており、一方の歯の側面と分割面との間に形成された丸められた縁部を切断しないように、当該特定の幅は、分割面のラジアル方向内側部分の幅に相当するか、当該幅より小さくなっている。
【0028】
本発明における一の実施例では、分割面と一方の歯の側面との間には、及び/又は、分割面と他方の歯の側面との間には、0.2mm〜1.00mmの、特に0.4mm〜0.75mmのフィレット半径を特に有している丸められた角部が形成されている。
【0029】
丸められた角部は、その大部分がラジアル方向に延在しているが、一方の歯の側面の湾曲に従って湾曲している丸められた縁部である。分割面と一方の歯の側面との間に丸められた角部が形成されているので、当該位置に尖った縁部が存在していたとしたら発生する応力が低減される。丸められた角部は、分割面のラジアル方向内側端部から分割面のラジアル方向外側端部に至る経路全体に沿って延在している。これにより、高い疲労に耐え得る特定の安定した構成が形成される。
【0030】
本発明の一の実施例では、丸められた角部が、分割面のラジアル方向内側部分に形成されている。特に、丸められた角部は、分割面のラジアル方向最内側部分に形成されている。特に、丸められた角部は、研削工具による機械加工を利用する、又は、形成すべき一方の歯と他方の歯との間から材料を除去する、製造プロセスに起因して切断されることはない。特に、研削工具は、一方の歯の側面が機械加工される際に、一方の歯に隣り合っている他方の歯の側面は切断されない。特に、他方の歯の側面と分割面との間に形成された少なくとも丸められた角部は、丸められた角部から材料をさらに研削することによって切断されない。
【0031】
これにより、分割面のラジアル方向内側部分における応力が、又は、一方の歯若しくは他方の歯の側面における応力が低減される。
【0032】
本発明の一の実施例では、一方の歯及び/又は他方の歯の側面が、凹状に又は凸状に湾曲しており、その曲率半径は、円の半径の1.0倍〜5.0倍、特に1.0倍〜1.5倍である。湾曲の中心は、特にカービックカップリングのラジアル方向外側において円状面に配置されている。
【0033】
一方の歯及び/又は他方の歯の側面を凹状の形状又は凸状の形状とすることによって、本発明の実施例における研削工具を利用してカービックカップリングを製造することができる。特に、研削工具の半径は、カービックカップリングの半径より大きい。これにより、カービックカップリングを製造することが単純化される。
【0034】
本発明の一の実施例では、中央突出部が、歯のアキシアル方向長さの1%〜10%の長さで円状面から突出している。
【0035】
本発明の一の実施例では、中央突出部は、一方の歯の側面の反対側に位置する側面を有しており、中央突出部は、他方の歯の側面の反対側に位置する他の側面を有しており、中央突出部の側面は、円状面に対して5°〜45°の突出側面角度で傾斜しており、中央突出部の他方の側面は、円状面に対して5°〜45°の突出側面角度で傾斜している。
【0036】
特に、突出側面角度は、ラジアル方向最内側端部における分割面の幅に基づいて、平面の周方向における幅に基づいて、丸められた角部の特性、特にフィレット半径に基づいて選定される。特に、突出側面角度は、製造作業中にカービックカップリングが加工中の側面の反対側の側面において材料を除去せず、その結果として丸められた角部に悪影響を与えない研削工具によって、中央突出部が製造可能とされるように選択される。
【0037】
本発明の一の実施例では、中央突出部の一方の側面と中央突出部の他方の側面とが、一方の歯と他方の歯との中央において、特にラジアル方向に延在していると共に一方の歯のアキシアル方向長さの1%〜10%の長さで円状面から突出している頂部において結合している。
【0038】
中央突出部の長さを上述の範囲に維持することによって、中央突出部が、係合している第2のカービックカップリングの一方の歯の頂面と相互干渉しないことが確実となる。これにより、結合プロセスが阻害されなくなる。
【0039】
本発明の一の実施例では、分割面に最も近接している一方の歯の側面の一部分が、円状面に対して150°〜110°の側面角度を有している。これにより、一方の歯の側面を特定の向きに定めることができるので、カービックカップリングを他のカービックカップリングに効果的に結合することができる。
【0040】
本発明の一の実施例では、分割面から最も遠位に位置する一方の歯の側面の一部分が、円状面に対して170°〜140°の他の側面角度を有している。
【0041】
これにより、歯の隣り合う粗面同士が形成する角度が、特に尖鋭な縁部を回避するために小さくされる。
【0042】
本発明の一の実施例では、一方の歯と他方の歯と分割面とを含むカービックカップリングの少なくとも一部分が、一方の歯と他方の歯との間に位置する鏡面に関して鏡面対称とされ、鏡面は、円状面に対して垂直とされる。
【0043】
鏡面対称は、少なくとも概ね成立している。特に第1の製造ステップの際に、一方の歯の側面が、研削工具を利用することによって機械加工される。その後に、研削工具がカービックカップリングから持ち上げられ、研削工具の研削面が製造すべき他方の歯の側面と接触するように反転される。鏡面対称の結果として、鏡面対称の製造ステップにおいて、一方の歯の側面及び他方の歯の側面を形成することができる。
【0044】
本発明の一の実施例では、上述の実施例に従った凹状の側面を具備する歯を有している一方のカービックカップリングと、上述の実施例に従った凸状の側面を具備する歯を有している他方のカービックカップリングとを備えているカップリングシステムであって、一方のカービックカップリングと他方のカービックカップリングとが、一方のカービックカップリングの一方の歯の側面と他方のカービックカップリングの他方の歯の側面との少なくとも1つの接触(点又は面)を介して互いに係合するように構成されている、カップリングシステムが提供される。
【0045】
一方のカービックカップリングは、本発明の一の実施例における研削工具を利用することによって製造され、他方のカービックカップリングは、本発明の一の実施例における他の研削工具を利用することによって製造される。
【0046】
一の実施例では、カービックカップリング、特に上述の実施例のうち一の実施例におけるカービックカップリングを製造するための研削工具であって、カービックカップリングの2つの隣り合っている歯を分割している平面を研削するための円状面に位置する円状リング面と、円状リング面に結合していると共に、カービックカップリングの2つの隣り合っている歯のうち一方の歯を研削するための円状面に対して傾斜している側面と、円状リング面に結合ていると共に、カービックカップリングの歯同士の間に中央突出部を形成するための円状面に対して傾斜している側面部部分と、を備えている研削工具が提供される。
【0047】
凸状の歯を有するカービックカップリングを製造するためではなく、凹状の歯を有するカービックカップリングを製造するために、異なる研削工具が利用される場合がある。
【0048】
上述の実施形態及び本発明のさらなる実施形態は、以下に説明する例示的な実施例から明らかとなり、本発明の実施例を参照しつつ説明される。本発明については、実施例の例示を参照しつつ、以下に詳述するが、本発明は、当該例示に限定される訳ではない。
【0049】
“内側”及び“外側”並びに“最内側”及び“最外側”については、カービックカップリングが所定の円の上―すなわち環状又は円筒状―に配置された複数の歯を備えており、当該円が、中心を有しており、“内側”が、“外側”ではなく中央に近接している位置を意味するという点において理解すべきである。“内側”表面又は“内側”部分は、当該表面及び部分の外側部分ではなく、中央に近接している表面又は部分の区域を意味する。
【0050】
本発明の実施例については、添付図面を参照しつつ説明する。本発明は、説明又は図示された実施例に限定される訳ではない。