(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記白金塩が、塩化白金酸塩、白金アンミン錯塩、白金ニトロ錯塩、白金ニトロアンミン錯塩又は白金エチレンジアミン錯塩である請求項1又は2に記載の無電解白金めっき液。
請求項1又は2に記載の無電解白金めっき液と、めっき対象物と、を20〜50℃で1〜10時間接触させて、厚み0.4μm以上の白金皮膜を形成する無電解白金めっき方法。
請求項6に記載の無電解白金めっき液と、めっき対象物と、を20〜60℃で0.3〜10時間接触させて、厚み0.4μm以上の白金皮膜を形成する無電解白金めっき方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、毒性のあるヒドラジンを使用することなく、さらには、めっき時間を短縮できる無電解白金めっき液を提供することである。また、本発明の他の目的は、少量のめっき液で所期の厚さの白金皮膜を形成できる無電解白金めっき液を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するため、種々検討を行った。その結果、還元剤として水素化ホウ素塩を用いる無電解白金めっき液において、微量のタリウムイオン及び/又はテルルイオンを共存させると、めっき液が分解して白金が析出する現象を防止できるとともに、高速めっきが可能となることを見出した。また、このめっき液に所定の酸化剤を共存させることにより、白金皮膜のパターン外析出を高度に抑制できることを見出した。さらには、このめっき液の白金及び錯化剤の配合量を大幅に増量してなるめっき液は、少量のめっき液で所期の厚さの白金皮膜を形成できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づき完成されたものである。
【0009】
上記課題を解決する本発明は、以下に記載するものである。
【0010】
〔1〕 白金イオンとして0.1〜15g/Lの白金塩と、
1〜50mL/Lの錯化剤と、
0.1〜15g/Lの水素化ホウ素塩と、
タリウムイオンとして0.001〜60mg/Lのタリウム化合物及び/又はテルルイオンとして0.02〜15mg/Lのテルル化合物と、
を含む、pH10.0〜13.8の無電解白金めっき液。
【0011】
〔1〕の無電解白金めっき液は、後述する第1実施形態の無電解白金めっき液である。
【0012】
〔2〕 白金イオンとして15〜40g/Lの白金塩と、
30〜700mL/Lの錯化剤と、
10〜40g/Lの水素化ホウ素塩と、
タリウムイオンとして0.1〜100mg/Lのタリウム化合物及び/又はテルルイオンとして1〜50mg/Lのテルル化合物と、
を含む、pH10.0〜13.8の無電解白金めっき液。
【0013】
〔2〕の無電解白金めっき液は、後述する第2実施形態の無電解白金めっき液である。
【0014】
〔3〕 前記白金塩が、塩化白金酸塩、白金アンミン錯塩、白金ニトロ錯塩、白金ニトロアンミン錯塩又は白金エチレンジアミン錯塩である〔1〕又は〔2〕に記載の無電解白金めっき液。
【0015】
〔4〕 前記錯化剤が、エチレンジアミン、エチレンアミン、メチルアミン又はピペリジンである〔1〕又は〔2〕に記載の無電解白金めっき液。
【0016】
〔5〕 前記錯化剤が、エチレンジアミンである〔1〕又は〔2〕に記載の無電解白金めっき液。
【0017】
〔6〕 0.2〜50g/Lの酸化剤をさらに含む〔1〕又は〔2〕に記載の無電解白金めっき液。
【0018】
〔7〕 前記酸化剤が、ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−ニトロ安息香酸又はニトロウラシルである〔6〕に記載の無電解白金めっき液。
【0019】
〔8〕 〔1〕又は〔2〕に記載の無電解白金めっき液と、めっき対象物と、を20〜50℃で1〜10時間接触させて、厚み0.4μm以上の白金皮膜を形成する無電解白金めっき方法。
【0020】
〔9〕 〔6〕に記載の無電解白金めっき液と、めっき対象物と、を20〜60℃で0.3〜10時間接触させて、厚み0.4μm以上の白金皮膜を形成する無電解白金めっき方法。
【0021】
〔10〕 めっき液中でめっき対象物を600〜3000rpmで回転させる〔8〕に記載の無電解白金めっき方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明の無電解白金めっき液は、タリウムイオン及び/又はテルルイオンが安定剤として作用するため、強力な還元剤である水素化ホウ素ナトリウムを用いて迅速かつ安定に白金皮膜を形成できる。タリウムイオン及び/又はテルルイオンが安定剤として作用する濃度範囲は広い。タリウムイオン及び/又はテルルイオンの配合量の上限は、配合量の下限の20倍以上である。したがって、めっき液の調製や維持管理等が極めて容易である。
【0023】
また、本発明の第2実施形態の無電解白金めっき液は、白金塩が高濃度で配合されているため、少量のめっき液で厚い白金皮膜を迅速に形成できる。
【0024】
本発明の無電解白金めっき液は、さらに酸化剤を配合することにより、より高い温度でめっきをすることができる。その結果、めっき速度を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施形態毎に詳細に説明する。
【0027】
(1)第1実施形態
本発明の第1実施形態の無電解白金めっき液は、白金イオンとして0.2〜15g/Lの白金塩と、錯化剤と、水素化ホウ素塩と、タリウム化合物及び/又はテルル化合物と、を含む、pH10.0〜13.8の無電解白金めっき液である。
【0028】
(白金塩)
本発明の第1実施形態の無電解白金めっき液に配合される白金塩は、特に制限がなく、任意の白金塩が使用できる。具体的には、ジニトロジアンミン白金塩、塩化白金酸塩、白金アンミン錯塩、白金ニトロ錯塩、白金ニトロアンミン錯塩、白金エチレンジアミン錯塩が例示される。めっき液の安定性が良好な点で、白金エチレンジアミン錯塩が特に好ましい。
【0029】
本発明の第1実施形態の無電解白金めっき液に配合される白金塩の配合量は、白金イオンとして、0.1〜15g/Lであり、0.5〜10g/Lが好ましい。白金塩の配合量が0.1g/L未満の場合は、めっき速度が低下する。白金塩の配合量が15g/Lを超える場合は、めっき液の安定性が低下し、パターン外析出を生じやすい。
【0030】
(錯化剤)
本発明の第1実施形態の無電解白金めっき液に配合される錯化剤は、特に制限がなく、任意の錯化剤が使用できる。具体的には、エチレンジアミン、エチレンアミン、メチルアミン、ピペリジンが例示される。錯化力の点で、エチレンジアミンが特に好ましい。
【0031】
本発明の第1実施形態の無電解白金めっき液に配合される錯化剤の配合量は、1〜50mL/Lであり、2〜40mL/Lが好ましい。錯化剤の配合量が1mL/L未満の場合は、めっき液が不安定になり、めっき液中に白金が析出しやすくなる。錯化剤の配合量が50mL/Lを超える場合は、めっき液が安定となりすぎ、めっき速度が低下する。白金イオン1モルに対する錯化剤の配合量は、2〜15モルであることが好ましく、6〜12モルであることがより好ましい。
【0032】
(水素化ホウ素塩)
本発明の第1実施形態の無電解白金めっき液には、還元剤として水素化ホウ素塩が配合される。水素化ホウ素塩としては、アルカリ金属塩が好ましく、水素化ホウ素ナトリウムがより好ましい。
【0033】
本発明の第1実施形態の無電解白金めっき液に配合される水素化ホウ素塩の配合量は、0.1〜15g/Lが好ましく、0.5〜10g/Lがより好ましい。水素化ホウ素塩の配合量が0.1g/L未満の場合は、めっき液中の白金の全量を析出させることができなくなり、不経済になる。水素化ホウ素塩の配合量が15g/Lを超える場合は、めっき液の安定性が低下する場合がある。
【0034】
(タリウム化合物、テルル化合物)
本発明の第1実施形態の無電解白金めっき液には、タリウム化合物及び/又はテルル化合物が配合される。タリウム化合物としては、硫酸タリウム、酢酸タリウム、硝酸タリウム、ギ酸タリウムが例示される。テルル化合物としては、亜テルル酸塩、テルルハロゲン化物が例示される。
【0035】
本発明の第1実施形態の無電解白金めっき液に配合されるタリウム化合物の配合量は、タリウムイオンとして0.001〜60mg/Lであり、0.03〜50mg/Lが好ましく、0.5〜30mg/Lが特に好ましい。タリウムイオンとして0.001mg/L未満の場合は、パターン外析出が生じやすい。タリウムイオンとして60mg/Lを超える場合は、めっき速度が低下する。
【0036】
本発明の第1実施形態の無電解白金めっき液に配合されるテルル化合物の配合量は、テルルイオンとして0.02〜15mg/Lが好ましく、0.5〜10mg/Lがより好ましい。テルルイオンとして0.02mg/L未満の場合は、パターン外析出が生じやすい。テルルイオンとして15mg/Lを超える場合は、めっき速度が低下する。
【0037】
タリウムイオン及びテルルイオンを併用する場合は、めっき速度及びパターン性を勘案し、上記配合量の範囲内で適宜調節する。
【0038】
(pH)
本発明の無電解白金めっき液のpHは、10.0〜13.8であり、10.5〜13.5が好ましく、11.0〜13.0がより好ましい。pHが10.0未満の場合は、白金皮膜の形成速度が低下する。pHが13.8を超える場合は、めっき液が不安定になる。めっき液のpHは、NaOH、KOH等の強アルカリを添加することにより調節できる。
【0039】
(酸化剤)
本発明の第1実施形態の無電解白金めっき液には、酸化剤を配合してもよい。酸化剤としては、ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−ニトロ安息香酸、ニトロウラシルが例示される。酸化剤の配合量は、0.1〜10g/Lが好ましく、0.3〜2g/Lがより好ましい。
【0040】
(めっき液の製造)
本発明の無電解白金めっき液は、上記各成分を所定の濃度で水に溶解し、pHを調整することにより製造される。なお、還元剤は、めっき液を使用する直前に配合することが好ましい。
【0041】
(めっき方法)
めっき液の温度を所定温度に保ち、めっき対象物とめっき液とを接触させることにより、めっき対象物の表面に白金皮膜が形成される。めっき対象物とめっき液との接触は、めっき液中にめっき対象物を浸漬することにより行われる。
【0042】
めっき対象物に無電解白金めっきを施す場合、白金皮膜の形成箇所をパラジウム等の金属を用いて、予め活性化しておく。このようにしてめっき対象物に無電解白金めっきを施すと、前記活性化した部分に白金皮膜が形成され、活性化されていない部分には白金皮膜が形成されない。本発明においては、このような場合をパターン性が良いという。一方、活性化部分以外にも白金皮膜が形成される場合をパターン性が悪いという。なお、活性化方法は、当業者に周知である。
【0043】
めっき液に酸化剤を配合しない場合のめっき液の使用温度は、20〜50℃が好ましく、25〜40℃がより好ましい。めっき液に酸化剤を配合する場合のめっき液の使用温度は、20〜60℃が好ましく、30〜55℃がより好ましい。めっき時間は、0.3〜10時間が好ましく、1〜10時間がより好ましい。この条件でめっきを施すことにより、通常0.4μm以上、好ましくは0.5〜0.8μm、より好ましくは0.7〜0.8μmの膜厚の白金皮膜を形成できる。
【0044】
白金皮膜の形成に際しては、めっき液を撹拌したり、めっき対象物をめっき液中で振動させ、又は回転させることにより、めっき時間を短縮できる。めっき対象物を回転させる場合、回転数は600〜3000rpmが好ましく、800〜2000rpmがより好ましく、900〜1500rpmが特に好ましい。さらに、めっき対象物を回転させる場合、回転軸に対してめっき対象物を1〜40度傾けることが好ましい。
【0045】
(2)第2実施形態
本発明の第2実施形態の無電解白金めっき液は、白金イオンとして15〜40g/Lの白金塩と、錯化剤と、水素化ホウ素塩と、タリウム化合物及び/又はテルル化合物と、を含む、pH10.0〜13.8の無電解白金めっき液である。
【0046】
(白金塩)
本発明の第2実施形態の無電解白金めっき液に配合される白金塩は、第1実施形態において説明したとおりである。本発明の第2実施形態の無電解白金めっき液に配合される白金塩の配合量は、白金イオンとして、15〜40g/Lであり、18〜35g/Lが好ましく、20〜30g/Lが特に好ましい。白金塩の配合量が15g/L未満の場合は、所期の厚さの白金皮膜を形成するために必要なめっき液が多量となる。白金塩の配合量が40g/Lを超える場合は、めっき液の安定性が低下してパターン外析出を生じやすい。
【0047】
(錯化剤)
本発明の第2実施形態の無電解白金めっき液に配合される錯化剤は、第1実施形態において説明したとおりである。本発明の第2実施形態の無電解白金めっき液に配合される錯化剤の配合量は、30〜700mL/Lであり、100〜600mL/Lが好ましい。錯化剤の配合量が30mL/L未満の場合は、めっき液が不安定になり、めっき液中に白金が析出しやすくなる。錯化剤の配合量が700mL/Lを超える場合は、めっき液が安定となりすぎ、めっき速度が低下する。白金イオン1モルに対する錯化剤の配合量は、15〜100モルであることが好ましく、30〜75モルであることがより好ましい。
【0048】
(水素化ホウ素塩)
本発明の無電解白金めっき液に配合される還元剤は、第1実施形態において説明したとおりである。本発明の第2実施形態の無電解白金めっき液に配合される水素化ホウ素塩の配合量は、10〜40g/Lであり、15〜35g/Lがより好ましく、20〜30g/Lが特に好ましい。水素化ホウ素塩の配合量が10g/L未満の場合は、めっき液中の白金の全量を析出することができなくなり、不経済になる。水素化ホウ素塩の配合量が40g/Lを超える場合は、めっき液の安定性が低下する場合がある。
【0049】
(タリウム化合物、テルル化合物)
本発明のめっき液に配合されるタリウム化合物、テルル化合物は、第1実施形態において説明したとおりである。
【0050】
本発明の第2実施形態の無電解白金めっき液に配合されるタリウム化合物の配合量は、タリウムイオンとして0.1〜100mg/Lであり、15〜80mg/Lがより好ましく、20〜60mg/Lが特に好ましい。タリウムイオンとして0.1mg/L未満の場合は、パターン外析出が生じやすい。タリウムイオンとして100mg/Lを超える場合は、めっき速度が低下する。
【0051】
本発明の第2実施形態の無電解白金めっき液に配合されるテルル化合物の配合量は、テルルイオンとして2〜50mg/Lであり、15〜40mg/Lが好ましく、20〜30mg/Lが特に好ましい。テルルイオンとして2mg/L未満の場合は、パターン外析出が生じやすい。テルルイオンとして50mg/Lを超える場合は、めっき速度が低下する。
【0052】
(pH)
本発明の第2実施形態の無電解白金めっき液のpHは、第1実施形態において説明したとおりである。
【0053】
(酸化剤)
本発明の第2実施形態の無電解白金めっき液には、さらに、酸化剤を配合してもよい。酸化剤の種類や配合量は、第1実施形態において説明したとおりである。
【0054】
(めっき液の製造)
本発明の第2実施形態の無電解白金めっき液の製造方法は、第1実施形態において説明したとおりである。
【0055】
(めっき方法)
めっき液の温度を所定温度に保ち、めっき対象物とめっき液とを接触させることにより、めっき対象物の表面に白金皮膜が形成される。めっき液の使用温度やめっき時間は、第1実施形態において説明したとおりである。
【0056】
めっき対象物のめっき形成箇所が板状物や筒状物の一面側のみである場合、めっき液にめっき対象物を全没させてめっきを行うと、活性化されていない面(めっきを形成しない面)にまで白金皮膜が形成される場合がある。本発明のめっき液は強アルカリ性であるため、ドライフィルム等を用いてめっき不要箇所をマスキングすることが困難である。そのため、めっき対象物をめっき液中に全没させずに、めっきを形成する面のみにめっき液を接触させてめっきを行うことは有効である。
【0057】
めっき対象物が板状物である場合、めっきを形成する面を内側に向けてセル構造を形成し、このセル内にめっき液を注入する。また、めっき対象物が筒状物であり、その内面のみにめっきを施す場合、該筒状物の筒内にめっき液を注入する。これにより、めっき対象物のめっきを形成する面のみにめっき液を接触させることができる。この方法によれば、めっき対象物をめっき液中に全没させる必要がない。そのため、めっき液の使用量を低減できる。
【0058】
このようなめっき方法に使用するめっき液は、本発明の第2実施形態の無電解白金めっき液であることが極めて好ましい。本発明の第2実施形態の無電解白金めっき液は、白金塩の濃度が高いため、前記セル内や筒内に注入しためっき液を入れ替えることなく、少量のめっき液で厚い白金皮膜を形成できる。また、白金塩の濃度が高いため、めっき速度が向上する。
【実施例】
【0059】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
【0060】
(実施例1〜11及び比較例1〜6のめっき対象物の調製)
図1に示す有底円筒状のジルコニア管100(直径9mm、長さ42mm)の表面に、円筒軸方向に沿って、幅1mmの帯状パラジウム触媒層パターン2と、前記帯状パターン2の一端に、前記ジルコニア管100の周方向に沿って形成した環状パターン4とからなる触媒層パターン6を形成しためっき対象物を得た。触媒層パターン6の形成は定法によった。触媒層パターン6の全パターン面積は3.1cm
2であった。
【0061】
(実施例1〜11及び比較例1〜6のめっき方法)
内径14mm、長さ15cmポリエチレン製試験管20に表1、2に示す組成の無電解白金めっき液22を白金として5mgとなる液量で加えた。
図2に示すように、実施例1で製造しためっき対象物の触媒層パターン6が完全にめっき液22中に浸漬されるように、試験管20内のめっき液22中に、めっき対象物を挿入した。めっき対象物の上部は、シリコーンゴム管から成る接続ジグ28を用いて回転軸30に接続された。接続の際、めっき対象物の軸心と、回転軸の軸心とは、3度傾けて接続した。回転軸の回転数は表中に記載した。
【0062】
なお、実施例4と実施例6とは、白金イオン濃度が高く、めっき液量が少なくなった。その結果、触媒層パターン6の一部がめっき液に浸漬されなくなったため、
図1に記載のめっき対象物に変えて、触媒層のパターン面積が同一である小型のめっき対象物を使用してめっきを行った。
【0063】
所定めっき時間経過後、めっき対象物をめっき液22から取り出し、形成された白金皮膜の膜厚の測定を行った。膜厚の測定は、蛍光X線膜厚計(セイコーインスツル社製)を使用して行った。さらに、目視で白金皮膜の外観を観察した。パラジウム触媒層のパターンどおりに白金皮膜が形成している場合をパターン性が「良好」と判断した。また、パラジウム触媒層のパターン形成部分以外に白金皮膜が形成している場合をパターン性が「不良」と判断した。
【0064】
(実施例12〜16及び比較例7のめっき対象物の調製)
白金イオン濃度20g/L及び15g/Lの場合(実施例12、14−16、比較例7)には、内側面にパラジウム触媒層が形成された内径3mm、長さ55mmの有底円筒管をめっき対象物とし、この有底円筒管の内側面をめっき対象箇所とした。触媒層の面積は5.2cm
2であった。
白金イオン濃度36g/Lの場合(実施例13)には、内側面にパラジウム触媒層が形成された内径2mm、長さ55mmの有底円筒管をめっき対象物とし、この有底円筒管の内側面をめっき対象箇所とした。触媒層の面積は3.5cm
2であった。
【0065】
(実施例12〜16及び比較例7のめっき方法)
この有底円筒管の上端部に、該有底円筒管の外径と略同一の内径を有する両端開口のシリコーンゴム管を液密に接続した。有底円筒管及びこれに連結されたシリコーンゴム管内に表2、3に示す組成の無電解白金めっき液を注入した。注入しためっき液の量は、白金イオン濃度20g/Lの場合(実施例12、14、15、比較例7)は0.42mL、白金イオン濃度15g/Lの場合(実施例16)は0.56mL、白金イオン濃度36g/Lの場合(実施例13)は0.16mLとした。なお、有底円筒管の内容積を超える量のめっき液を注入した場合、過剰量のめっき液はその上端部に接続されたシリコーンゴム管内に貯溜される。これにより、有底円筒管の内面のめっき処理をその内容積を超える量のめっき液を用いて行うことができる。所定めっき時間経過後、有底円筒管内のめっき液を捨て、有底円筒管をダイヤモンドディスクグラインダーにより長さ方向に半分に切断し、形成された白金皮膜を評価した。評価方法は実施例1と同じである。なお、パターン性の評価は、シリコーンゴム管内部へのめっき析出を目視で確認し、シリコーンゴム管内部にめっき析出が認められた場合を不良、認められなかった場合を良好とした。
【0066】
(実施例1〜11)
表1に記載のめっき液を作製した。なお、タリウムイオン源としては、ギ酸タリウムを用いた。テルルイオン源としては亜テルル酸カリウムを用いた。上記めっき方法に記載の手順に従ってめっき対象物にめっきを施した。結果は表1に示した。
【0067】
実施例1〜6は、酸化剤を含まない本発明の第1実施形態の無電解白金めっき液に関する。めっき時間はいずれも90分であった。形成された白金皮膜の膜厚はいずれも0.7μmでパターン性は良好であった。
【0068】
実施例4のめっき液の各成分濃度は、実施例1のめっき液の各成分濃度の20倍であった。本発明の第1実施形態の無電解白金めっき液は、広い濃度範囲で良好な白金皮膜を形成できることが確認された。
【0069】
実施例2、3によれば、タリウムイオン濃度が0.03〜50mg/Lの広い範囲で良好な白金皮膜を形成できることが確認された。
【0070】
実施例5、6によれば、安定剤としてテルルイオンを用いる場合、タリウムイオンを用いる場合と同様に良好な白金皮膜を形成できることが確認された。
【0071】
実施例7〜9は、酸化剤を含む本発明の第1実施形態の無電解白金めっき液に関する。酸化剤を含むことにより、めっき液の安定性が向上し、めっき温度を10℃高くしてめっきを行うことができた。その結果、めっき速度が向上し、めっき時間を短縮できた。
【0072】
実施例10〜11によれば、白金イオン濃度を下げて、タリウムイオン濃度又はテルルイオン濃度を極低濃度としても良好なパターン性と高いめっき速度で白金皮膜を形成できることが確認された。
【0073】
実施例12〜16は、本発明の第2実施形態の無電解白金めっき液である。実施例12〜13によれば、白金イオン濃度が高いため、めっき時間をさらに短縮できた。無電解白金めっき液の白金イオン濃度が高いため、めっき時間をさらに短縮できた。また、実施例14〜15によれば、タリウムイオン濃度又はテルルイオン濃度を極低濃度としても良好なパターン性と高いめっき速度で白金皮膜を形成できることが確認された。さらに、実施例16によれば、錯化剤濃度を下げても良好なパターン性と高いめっき速度で白金皮膜を形成できることが確認された。
【0074】
(比較例1〜7)
比較例1、3は、安定剤として作用するタリウムイオン又はテルルイオンが配合されていない。安定剤が配合されていないと、パターン部分以外にも白金皮膜が析出し、パターン部分の白金皮膜は薄くなった。これは、酸化剤を配合しても同様であった(比較例3)。比較例2は、タリウムイオンが多すぎるため、パターン性は良好であったが、めっき速度が低下した。
【0075】
比較例4〜6は、安定剤としてメルカプトベンゾチアゾールを配合した。比較例4は、パターン性が不良であった。比較例6は、めっき速度が低下した。しかし、比較例5においては、満足できる結果が得られた。これらの結果から、安定剤としてメルカプトベンゾチアゾールを配合する場合は、その配合量の範囲は極めて狭い範囲に限定されることが判る。安定剤の配合量の範囲が狭いため、量産時には安定した品質を得ることが難しい。
【0076】
比較例7は、白金イオンに対してエチレンジアミンの含有量が少ないため、めっき液が分解した。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】