特許第6203836号(P6203836)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6203836後処理ユニット内でシート束を留める方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203836
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】後処理ユニット内でシート束を留める方法
(51)【国際特許分類】
   B42B 4/00 20060101AFI20170914BHJP
   B42B 5/06 20060101ALI20170914BHJP
   B65H 37/04 20060101ALI20170914BHJP
   B42F 1/02 20060101ALI20170914BHJP
   B27F 7/21 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   B42B4/00
   B42B5/06
   B65H37/04 D
   B65H37/04 Z
   B42F1/02 F
   B27F7/21
【請求項の数】10
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-516539(P2015-516539)
(86)(22)【出願日】2013年5月24日
(65)【公表番号】特表2015-521550(P2015-521550A)
(43)【公表日】2015年7月30日
(86)【国際出願番号】EP2013060735
(87)【国際公開番号】WO2013186028
(87)【国際公開日】20131219
【審査請求日】2016年5月23日
(31)【優先権主張番号】12171894.4
(32)【優先日】2012年6月14日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593016732
【氏名又は名称】オセ−テクノロジーズ ビーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ヘーレン,セオドルス アー.ゲー.
【審査官】 吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102004040851(DE,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0047698(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0236103(US,A1)
【文献】 米国特許第06321935(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42B 4/00
B27F 7/21
B42B 5/06
B42F 1/02
B65H 37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後処理ユニット内でシート束を留めるための方法であって、当該方法は、
a)シート束を形成するステップと、
b)ワイヤ源から弾塑性変形可能なワイヤを提供するステップと、
c)クリップ部材及びステープル部材からなる群から留め部材の種類を選択するステップと、
d)留め部材を形成するためのワイヤ変形プログラムを、前記工程c)で選択された留め部材の種類に基づいて決定するステップと、
e)前記ワイヤ変形プログラムに従って、前記ワイヤ沿いの複数の位置で前記ワイヤを屈曲させるとともに前記ワイヤを切断することにより前記留め部材を形成するステップと、
f)形成された留め部材を前記シート束に適用して前記シート束を留めるステップと、
を含み、
前記クリップ部材は、前記シート束の内部に突出することなく前記シート束をクランプするように配置され、
前記ステープル部材は、前記シート束の内部に突出することにより前記シート束をステープル留めするように配置される、方法。
【請求項2】
前記選択された留め部材が前記クリップ部材の場合、前記工程d)は、前記工程a)で形成された前記シート束の厚さに基づき且つ所定のクランプ力に基づいて前記クリップ部材の形状属性を選択するステップをさらに含み、
前記クリップ部材の形状属性は、複数の屈曲部、該複数の屈曲部のそれぞれの曲げ角度及び前記ワイヤ沿いの2つの隣接する屈曲部の間のワイヤ長のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記工程d)は、前記工程a)で形成された前記シート束の厚さに基づいて、2つの隣接する屈曲部の間の第1のワイヤ長を選択するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記選択された留め部材が前記ステープル部材の場合、前記工程d)は、前記工程a)で形成された前記シート束の厚さに基づいて前記ステープル部材の形状属性を選択するステップをさらに含み、
前記ステープル部材の形状属性は、前記ワイヤ沿いの2つの隣接する屈曲部の間のワイヤ長及び前記ワイヤ沿いの前記ワイヤの端部と隣接する屈曲部との間のワイヤ長のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記工程c)は、オペレータ入力に基づいて前記留め部材の種類を選択するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記工程d)は、構成可能な形状属性を示すオペレータ入力に基づいて前記留め部材の形状属性を選択するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記工程a)で形成された前記シート束は少なくとも1枚の再利用可能なシートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
シート束を留めるための装置であって、当該装置は、
a)シート束を形成するための束形成ユニットと、
b)弾塑性変形可能なワイヤを保管するためのワイヤ源と、
c)クリップ部材及びステープル部材からなる群から留め部材の種類を選択するための選択ユニットと、
d)ワイヤ変形プログラムに従って、前記ワイヤを屈曲させるとともに切断することにより、選択された留め部材の種類の留め部材を動作時に形成するように構成されたワイヤ変形ユニットと、
e)形成された留め部材を前記シート束に適用するための留めユニットと、
f)前記束形成ユニット、前記選択ユニット、前記ワイヤ変形ユニット及び前記シート束を留めるための留めユニットを制御するための制御ユニットであって、該制御ユニットは前記ワイヤ変形ユニットのために前記ワイヤ変形プログラムを決定する、制御ユニットと、
を含み、
前記クリップ部材は、前記シート束の内部に突出することなく前記シート束をクランプするように配置され、
前記ステープル部材は、前記シート束の内部に突出することにより前記シート束をステープル留めするように配置される、装置。
【請求項9】
前記装置は、前記シート束の厚さを測定するためのセンサをさらに含み、
前記制御ユニットは、前記センサにより前記制御ユニットに提供される、前記シート束の厚さを示すセンサ信号に基づいて前記ワイヤ変形プログラムを決定する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記装置は、ユーザーが選択可能な留め部材の種類及び前記留め部材の構成可能な形状属性のうちの少なくとも1つをオペレータに示すためのプレビュー装置と、前記留め部材の種類に関するオペレータ入力及び前記留め部材の構成可能な形状属性に関するオペレータ入力のうちの少なくとも1つを受信するための入力装置とをさらに含む、請求項8に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後処理ユニット内でシート束を留める(retaining)ための方法に関する。本発明はさらにシート束を留めるための装置に関する。本発明はさらにシート束を留めるためのクリップ部材(clip element)に関する。
【背景技術】
【0002】
既知の後処理ユニットには、シート束を自動的に結束するか又はクランプするための仕上げ装置(finishing device)が設けられている。既知の仕上げ装置は、ステープル保管筐体から取り出されるステープルをシート束に適用するためのステープル留めユニットと、さらにクリップ保管筐体から取り出されるクリップをシート束に適用するためのクリップ取り付けユニットとを含む。オペレータは、シート束をステープルで留めるか又はクリップで留めるかを選ぶことができる。既知の印刷システムでは、ステープル部材及びクリップ部材の形状は、ステープル保管筐体及びクリップ保管筐体に置かれているものの形状に限られる。通常、仕上げ装置の各保管筐体に置かれるのは1つの形状のもののみ、即ち共通の結束距離を提供するための形状を有する従来のステープル部材及び一般用途用の従来のクリップ形状を有する従来のクリップ部材である。しかしながら、シート束が厚さや表面特性等の特定の点で異なる場合、結束強度、結束部材の使い易さ及びシート束の再利用性を最適なものにするために他の形状のステープル部材及びクリップ部材を選択できることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の一態様では、シート束を留めながら留め部材(retaining element)の保持能力を向上させる、後処理ユニット内でシート束を留めるための方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本方法は、後処理ユニット内でシート束を留めるための方法であって:
a)シート束を形成する工程;
b)ワイヤ源から弾塑性変形可能なワイヤを提供する工程;
c)留め部材の種類をクリップ部材形式(clip element type)及びステープル部材形式(staple element type)のうちの1つから選択する工程;
d)前記工程c)で選択された留め部材の種類の留め部材を形成するためのワイヤ変形プログラムを決定する工程;
e)前記ワイヤ変形プログラムに従って、前記ワイヤを前記ワイヤ沿いのいくつかの位置で屈曲させ、前記ワイヤを切断することにより前記留め部材を形成する工程;及び
f)形成された前記留め部材を前記シート束に適用して前記シート束を留める工程;を含む。
【0005】
工程a)ではシート束が形成される。シート束の属性を工程a)の後で求めてもよい。シート束のそのような属性としては、例えばシート束の厚さ、シート束の位置、シート束の面積等が挙げられる。
【0006】
前記属性は測定してもよいし、予測してもよいし(例えば、シート束内の所定数のシートに基づいて予測する)又は他の方法で求めてもよい。
【0007】
工程b)では、ワイヤ源からワイヤが提供される。ワイヤは弾塑性変形可能(plastically-elastically deformable)である。ワイヤは金属ワイヤ、プラスチックワイヤ又は弾塑性変形可能な任意の他の材料で構成されるものであり得る。ワイヤは、圧力及び熱のうちの少なくとも一方を加えることにより弾塑性変形可能であり得る。ワイヤ源は容器に密閉されたワイヤであってもよいし、リール上に設けられたワイヤロールであってもよいし又は他の方法で提供してもよい。
【0008】
工程c)では、留め部材の種類がクリップ部材形式及びステープル部材形式のうちの1つから選択される。この選択を制御ユニットにより自動的に行われるようにしてもよい。制御ユニットはこの選択をシート束の属性に基づいて自動的に行ってもよい。例えば、上記の選択はシート束の厚さに基づき得る。他の例では、シート束が再利用可能なシートを含む場合にクリップ部材形式が選択されるようにしてもよい。
【0009】
留め部材の形式の選択をオペレータ入力に基づいて行われるようにしてもよい。オペレータ入力はローカルユーザーインターフェースで行われ得るか又は制御ユニットに接続されたコンピュータインターフェース上で行われ得る。制御ユニットは、ユーザーインターフェースのオペレータに対して選択のための提案を行ってもよい。オペレータはその選択を受け入れるか又は調整する決定を下し得る。
【0010】
工程d)では、選択された留め部材の種類の留め部材を形成するためのワイヤ変形プログラムが決定される。ワイヤ変形プログラムは留め部材のいくつかの形状属性(shape attribute)を含む。いくつかの形状属性としては、屈曲部の数、各屈曲部の曲げ角度、ワイヤ沿いの隣接する2つの屈曲部間のワイヤ長及びワイヤの端部とワイヤ沿いの隣接する屈曲部との間のワイヤ長が挙げられる。
【0011】
ワイヤ変形プログラムは、留め部材のいくつかの形状属性を提供するためにワイヤを変形するためのいくつかの処理ステップをさらに含む。ワイヤを変形するためのこれらの処理ステップは、屈曲工程及び切断工程が行われるワイヤ変形ユニットにより提供される製造プロセスに基づく。
【0012】
工程e)では、前記ワイヤ変形プログラムに従って、前記ワイヤを前記ワイヤ沿いのいくつかの位置で屈曲させ、前記ワイヤを切断することにより前記留め部材が形成される。留め部材はワイヤ変形ユニット内で形成される。ワイヤは、ワイヤ源からワイヤ変形ユニットの屈曲部へと供給され得る。例えば、ワイヤが主搬送方向に搬送され、屈曲部形成要素の外面上で前記主搬送方向に対して屈曲させ、第1の屈曲部形成方向に第1の屈曲部が提供され得る。
【0013】
工程f)では、形成された留め部材をシート束に適用してシート束を留める。ステープル部材がステープル駆動ユニットによって適用されることで、シート束がステープル留めされる。クリップ部材がクリップ駆動ユニットによって適用されることで、シート束がクランプされる。
【0014】
シート束に対する留め部材の位置を構成可能にしてもよい。例えば、工程e)で形成される留め部材の大きさに応じてステープル部材又はクリップ部材の位置を調整してもよい。
【0015】
本発明に係る方法は、結束能力、留め部材の使い易さ及びシート束の再利用性を最適化することができる。ステープル部材及びクリップ部材並びに留め部材の形状属性を、留められるシート束の知識に基づいて選択してもよい。
【0016】
前記方法の一実施形態では、前記工程d)において、前記ワイヤ変形プログラムは前記工程a)で形成された前記シート束の厚さに基づく。例えば、クリップ部材のクランプ力をシート束の厚さの知識に基づいて最適化してもよい。他の例では、ステープル部材の突起部分の長さをシート束の厚さの知識に基づいて最適化してもよい。例えば、ワイヤの端部とワイヤ沿いの隣接する屈曲部との間のワイヤの長さを調整してもよい。
【0017】
前記方法の他の実施形態において、前記工程c)ではクリップ部材形式が選択され、前記工程d)は、前記工程a)で形成された前記シート束及び所定のクランプ力に基づいてクリップ部材の形状属性を選択することをさらに含み、前記クリップ部材の形状属性は、屈曲部の数、各前記屈曲部の曲げ角度及び前記ワイヤ沿いの隣接する2つの屈曲部間のワイヤ長のうちの少なくとも1つを含む。
【0018】
前記方法の特定の実施形態において、前記工程d)では、隣接する2つの屈曲部間の第1のワイヤ長が前記工程a)で形成された前記シート束の厚さに基づいて選択される。例えば、隣接する2つの屈曲部間の第1のワイヤ長をシート束の厚さに応じて調整することでクリップ部材のクランプ力を最適化させてもよい。前記第1の長さを有するワイヤの部分は、シート束に適用された場合にシート束の厚さ方向に方向付けられるクリップの屈曲部であってもよいし又はシート束に適用された場合にシート束の厚さ方向に対して垂直に方向付けられるクリップのねじれ部であってもよい。屈曲部及びねじれ部の双方はクリップ部材のクランプ力に寄与する。
【0019】
前記方法の他の実施形態において、前記工程c)ではステープル部材が選択され、前記工程d)は、前記工程a)で形成された前記シート束の厚さに基づいて前記ステープル部材の形状属性を選択することをさらに含み、前記ステープル部材の形状属性は、前記ワイヤ沿いの隣接する2つの屈曲部間のワイヤ長及び前記ワイヤの端部と前記ワイヤ沿いの隣接する屈曲部との間のワイヤ長のうちの少なくとも1つを含む。
【0020】
前記方法の他の実施形態では、前記工程c)は、オペレータ入力に基づいて前記留め部材の種類を選択することをさらに含む。オペレータ入力に基づいて留め部材の種類を選択することの利点は、制御ユニットには分からないユーザーの意見又は要件を考慮に入れることができる点である。選択工程を実行し得る制御ユニットは、シート束、シートの材料組成及び特性、シートの用途、所望のクランプ力等に関する知識が限られていることがある。
【0021】
前記方法の他の実施形態では、前記工程d)は、構成可能な形状属性を示すオペレータ入力に基づいて前記留め部材の形状属性を選択することをさらに含む。オペレータ入力に基づいて留め部材の形状属性を選択することの利点は、制御ユニットには分からないユーザーの意見又は要件を考慮に入れることができる点である。
【0022】
一例として、オペレータは、シート束の厚さに対して垂直な方向との関連で、クリップ部材が留めている状態にある場合のクリップ部材の大きさを選択してもよい。
【0023】
他の例として、制御ユニットは、いくつかの形状属性をそれぞれが含む留め部材の様々なデザインをオペレータに提案してもよく、オペレータは提案された留め部材の様々なデザインのうちの1つを選択してもよい。
【0024】
前記方法の特定の実施形態において、前記工程e)では、2つの搬送ローラーによって提供される搬送ピンチにより前記ワイヤを主搬送方向に搬送し、屈曲部形成要素は2つの搬送ローラーのうちの1つである。前記ワイヤは2つの搬送ローラーのうちの他方の外面上で主搬送方向に対しても屈曲され、第2の屈曲部形成方向に第2の屈曲部が提供され得る。この実施形態は、ワイヤ沿いのいくつかの位置でワイヤを屈曲するための簡単なプロセスを提供する。
【0025】
前記方法の特定の実施形態では、前記工程e)は、前記主搬送方向に対して前記屈曲部形成要素の下流側にある前記ワイヤの一部を、前記主搬送方向及び前記第1の屈曲部変形方向により定義される面に対して角度を有する方向に一時的に屈曲させることをさらに含む。ワイヤの一部を一時的に屈曲させることは、屈曲部形成要素に対してワイヤを所定の位置で弾性屈曲させることによって行われ得る。
【0026】
あるいは、ワイヤの一部を一時的に屈曲させることは、ワイヤの一部をワイヤ沿いの位置で塑性屈曲させ、ワイヤに沿っていくつかの屈曲工程を行い、その後に一時的に屈曲させた屈曲部をワイヤ沿いの同じ位置で塑性的に解消する(即ち脱屈曲(de-bending)工程)ことによって行われ得る。
【0027】
この実施形態は、屈曲部形成要素を用いて複数の屈曲部を形成するための簡単なプロセスをサポートする。この結果得られる留め部材は、形成プロセスの後で少なくとも部分的に互いに重なるように配置されたワイヤ部分を含む。
【0028】
前記方法の他の実施形態では、前記工程a)で形成される前記シート束は少なくとも1枚の再利用可能なシートを含み、前記工程c)では前記クリップ部材形式が選択される。再利用可能なシートが用いられる場合、再利用可能なシートを再利用できるようにするために再利用可能なシートを損傷することなくシート束を留めることが望ましい。クリップ部材形式を選択することで、ステープル部材形式等の突起部を有する結束部材形式によって生じ得る再利用可能なシートへの損傷を防ぐことができる。
【0029】
本発明の他の態様では、シート束を留めるための装置が提供される。当該装置は:
a)シート束を形成するための束形成ユニット;
b)弾塑性変形可能なワイヤを保管するためのワイヤ源;
c)留め部材の種類をクリップ部材形式及びステープル部材形式のうちの1つから選択するための選択ユニット;
d)ワイヤ変形プログラムに従って前記ワイヤを屈曲させ、切断することにより、選択された留め部材の種類の留め部材を動作時に形成するように構成されたワイヤ変形ユニット;
e)形成された前記留め部材を前記シート束に適用するための留めユニット;及び
f)前記シート束を留めるために前記束形成ユニット、前記選択ユニット、前記ワイヤ変形ユニット及び前記留めユニットを制御し、前記ワイヤ変形ユニットのための前記ワイヤ変形プログラムを決定する制御ユニット;を含む。
【0030】
前記装置は、最適化された留め部材の結束能力、留め部材の使い易さ及びシート束の再利用性を提供する。ステープル部材及びクリップ部材並びに留め部材の形状属性を、留め部材によって留められるシート束の知識に基づいて選択してもよい。
【0031】
前記装置の他の実施形態では、前記装置は前記シート束の厚さを測定するためのセンサをさらに含み、前記制御ユニットは、前記センサによって前記制御ユニットに提供される前記シート束の厚さを示すセンサ信号に基づいて前記ワイヤ変形プログラムを決定する。
【0032】
前記装置の他の実施形態では、前記装置はユーザーが選択可能な留め部材の種類及び前記留め部材の構成可能な形状属性のうちの少なくとも1つをオペレータに示すためのプレビュー装置と、前記留め部材の種類に関するオペレータ入力及び前記留め部材の構成可能な形状属性に関するオペレータ入力のうちの少なくとも1つを受信するための入力装置とをさらに含む。ユーザーインターフェースは要望に応じた留め部材の種類及び形状属性の選択をサポートし、それによりシート束の保持の質を向上させる。
【0033】
前記装置の他の実施形態では、前記ワイヤ変形ユニットは、2つの搬送ローラーを含む、前記ワイヤを主搬送方向に搬送するための搬送ピンチと、前記2つの搬送ローラーのうちの一方の外面上で前記ワイヤを第1の屈曲部形成方向に屈曲させ、前記2つの搬送ローラーのうちの他方の外面上で前記ワイヤを第2の屈曲部形成方向に屈曲させるためのワイヤ変形要素とを含む。この実施形態は、ワイヤ沿いのいくつかの位置でワイヤを屈曲させるための簡単な構成を提供する。
【0034】
前記装置の他の実施形態では、前記留めユニットはシート束をステープル留めするためのステープル駆動ユニットと、クリップ部材を適用することによりシート束をクランプするためのクリップ駆動ユニットとを含む。
【0035】
前記装置の他の実施形態では、前記装置は、前記束形成ユニットにおいて再利用可能なシートの積み重ねを検出するように構成された検出手段をさらに含み、前記検出手段は、再利用可能なシートが検出された場合に前記選択ユニットに信号を送信するように構成され、該信号に基づいて前記選択ユニットは前記クリップ部材形式を自動的に選択する。
【0036】
再利用可能なシートの積み重ねを検出するために検出手段を束形成ユニット内に配置してもよい。代替実施形態では、検出手段は、束形成ユニット内で再利用可能な紙の積み重ねが行われる前に束形成ユニットへの再利用可能なシートの供給を検出してもよい。
【0037】
再利用可能なシートが検出された場合、再利用可能なシートを再使用できるようにするために再利用可能なシートを損傷することなくシート束を留めることが望ましい。クリップ部材形式を選択することで、ステープル部材形式等の突起部を有する結束部材形式によって生じ得る再利用可能なシートへの損傷を防ぐことができる。
【0038】
また、後処理ユニット内でシート束を留めるための方法であって:シート束を形成する工程;ワイヤ源から弾塑性変形可能なワイヤを提供する工程;クリップ部材を形成するためのワイヤ変形プログラムを決定する工程;前記ワイヤ変形プログラムに従って、前記ワイヤを前記ワイヤ沿いのいくつかの位置で屈曲させ、前記ワイヤを切断することにより前記クリップ部材を形成する工程;及び形成された前記クリップ部材を前記シート束に適用して前記シート束を留める工程;を含む方法が提供される。
【0039】
また、シート束を留めるための装置であって:シート束を形成するための束形成ユニット;弾塑性変形可能なワイヤを保管するためのワイヤ源;ワイヤ変形プログラムに従って前記ワイヤを屈曲させ且つ切断することにより、クリップ部材を動作時に形成するように構成されたワイヤ変形ユニット;形成された前記クリップ部材を前記シート束に適用するための留めユニット;及び前記シート束を留めるために前記束形成ユニット、前記ワイヤ変形ユニット及び前記留めユニットを制御し、前記ワイヤ変形ユニットのための前記ワイヤ変形プログラムを決定する制御ユニット;を含む装置が提供される。
【0040】
以下で記載の詳細な説明から本発明の利用可能性のさらなる範囲が明らかになる。なお、下記の詳細な説明及び具体例は本発明の実施形態を示すものであるが、それらは一例として記載しているに過ぎない。何故なら、当業者にはこの詳細な説明から本発明の範囲内で様々な変更及び修正を加えることができるのが明らかになるからである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
以下、非限定の実施形態を示す添付の図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
図1A図1Aは、トナー印刷エンジンの概略図を示す。
図1B図1Bは、カットシートインクジェット印刷モジュールを示す。
図2A図2Aは、本発明に係るシート束を留めるための後処理ユニットを示す。
図2B図2Bは、第1の実施形態に係るシート束を留めるための後処理ユニットの部分拡大図を示す。
図2C図2Cは、第2の実施形態に係るシート束を留めるための後処理ユニットの部分拡大図を示す。
図2D図2Dは、本発明の後処理ユニットで用いるクリップ部材の例を示す。
図2E図2Eは、本発明の後処理ユニットで用いるクリップ部材の例を示す。
図2F図2Fは、本発明の後処理ユニットで用いるクリップ部材の例を示す。
図2G図2Gは、本発明の後処理ユニットで用いるクリップ部材の例を示す。
図3A図3Aは、クリップ部材形式が選択された場合の、ユーザーインターフェースを部分的に用いる本発明の方法のステップを示すフローチャートを示す。
図3B図3Bは、ステープル部材形式が選択された場合の、ユーザーインターフェースを部分的に用いる本発明の方法のステップを示すフローチャートを示す。
図3C図3Cは、オペレータによるクリップ部材の確認のフローチャートを示す。
図3D図3Dは、オペレータによるステープル部材の確認のフローチャートを示す。
図4図3A図3Dに示す方法のステップを行うためのユーザーインターフェースを示す。
図5A図5Aは、本発明の一実施形態に係るワイヤ変形ユニットにおける留め部材形成ステップの続きの段階を示す。
図5B図5Bは、本発明の一実施形態に係るワイヤ変形ユニットにおける留め部材形成ステップの続きの段階を示す。
図5C図5Cは、本発明の一実施形態に係るワイヤ変形ユニットにおける留め部材形成ステップの続きの段階を示す。
図5D図5Dは、本発明の一実施形態に係るワイヤ変形ユニットにおける留め部材形成ステップの続きの段階を示す。
図6A図6Aは、本発明の他の実施形態に係るワイヤ変形ユニットにおける留め部材形成ステップの続きの段階を示す。
図6B図6Bは、本発明の他の実施形態に係るワイヤ変形ユニットにおける留め部材形成ステップの続きの段階を示す。
図6C図6Cは、本発明の他の実施形態に係るワイヤ変形ユニットにおける留め部材形成ステップの続きの段階を示す。
図6D図6Dは、本発明の他の実施形態に係るワイヤ変形ユニットにおける留め部材形成ステップの続きの段階を示す。
図7A図7Aは、図5Aに示すワイヤ変形ユニットの線D−Dに沿った断面図を示す。
図7B図7Bは、図5Aに示すワイヤ変形ユニットの線E−Eに沿った断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
添付の図面を参照しながら以下本発明を説明する。なお、いくつかの図面を通して、同じ又は同様の要素を特定するのに同じ参照符号を使用している。
【0043】
図1Aは画像を印刷するための印刷エンジンを示す。印刷エンジンは、画像データを印刷信号に変換するコンバータ1、印刷信号に対応するマーキング材を適用する画像形成モジュール10(マーキング材は現像ユニット(developing unit)13により画像形成要素11に接触させられる)、マーキング材を画像定着モジュール20に搬送するための中間部材(intermediate member)16、画像受容部材(多くの場合シート媒体)を入れるための画像受容部材入力ステーション(image receiving member input station)30、出力された完成物を受容するための排紙ステーション40を含む。この実施形態では、マーキング材は、熱により軟化する樹脂を含む従来型のトナーである。
【0044】
画像データは、データ接続2を介してプリントエンジンに供給される。データ接続2は、とりわけ必要な帯域幅よる任意の好適なデータ接続であり得る。コンバータ1は、データ接続3を介して画像形成モジュール10に好適に適用される印刷信号に画像ライン(image line)を変換するプログラマブルロジックを含む電子回路を含む。図1Aでは、画像形成モジュール10は回転可能な略円筒状の画像形成要素11を含む。画像形成要素11はその内部に電子装置12を有し、画像形成要素の外面の誘電体層の下の導電トラックに電圧を印加する。この電圧は画像形成要素の外側に局所的な電界を発生させる。この電界は、トナー供給ユニット14からトナー粒子を受け取る現像ローラー15からトナー粒子を引き寄せる。このように、トナー粒子の画像が画像形成要素11の表面上に形成される。
【0045】
あるいは、画像形成要素11は、外面に感光層(photoconductive layer)を有するローラーを含み得る。そのような実施形態では、感光層の表面が例えばコロナによって帯電され、ローラーの外部のイメージングユニットに印刷信号が適用される。イメージングユニットは、印刷される画像と一致する層を局所的に照らすLEDバー又はレーザー走査モジュールを含み得る。感光層の光伝導により、局所的に放電した面(locally discharged surface)が得られる。感光層の帯電したままの部分を用いて、これらの帯電部分と現像ローラー15のようなトナーローラーとの間に電界を形成することでトナーローラーからトナーが引き寄せられ得る。一実施形態では、帯電部分とトナーローラーとの間の電界は、トナーローラーを対地電圧に接続することによって提供され得る。トナーは特定色の導電性粒子を含むか又は絶縁性の有色粒子(isolating coloured particles)とその絶縁性粒子を帯電させて現像ローラーと画像形成要素との間の電界に反応させる担体粒子との混合物を含み得る。担体粒子に代えて、トナー粒子を帯電させる接触ローラーを用いて現像ローラーを補完してもよい。従って、画像形成要素の表面にトナー粒子の画像を得るための様々な方法がある。画像形成工程では、図1Aの矢印が示す方向に画像形成要素が回転する。なお、他の実施形態では、画像形成要素は感光層を有するいくつかのローラーと共にベルトを配置することで形成される。
【0046】
中間部材16はベルト17と2つのガイドローラー18とを含むが、2つよりも多くのローラーを含むこともできる。ベルト17は画像形成要素11と合同で回転し、画像形成要素11とベルト17とが接触するニップ部でトナー画像を受け取る。トナーの転移は、ベルトの最上層がゴム等の弾性粘着材を含む場合に生じる機械力の影響によって又は画像形成要素とベルトとの間の電圧差に由来する電気力の影響によって起こり得る。中間部材16は、ベルトの温度を制御するために加熱ユニット(図1Aには図示せず)をさらに含み得る。図1Aには1つの画像形成要素のみを示しているが、ベルト上で回収される異なるプロセスカラーのトナー粒子用の複数の画像形成要素を中間部材がその周囲に有するように構成してもよい。このように、例えばシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックのプロセスカラーによってフルカラー画像が形成され得る。中間部材は、様々な色の粒子を回収するのに適した外層を有するドラムとして構成してもよい。
【0047】
画像定着モジュール20は、搬送ローラー21及びガイド手段22によりシート状の紙等の画像受容部材を圧力ローラー23に搬送することができる。圧力ローラー23は、画像受容部材を中間部材16のベルト17に接触させる。画像受容部材は、シート束31を含む画像受容部材入力ステーション30によって供給される。熱及び圧力を加えることによってトナーが画像受容部材に定着し、その画像受容部材が後処理ユニット40の方にさらに搬送される。画像定着モジュールは、画像受容部材の他方の面に印刷を行うことができるよう裏返すための経路を含んでいてもよい。定着ローラー24は、印刷画像を画像受容部材にさらに定着させ且つ印刷画像の画質を高めるために画像受容部材の温度を上げる。圧力ローラー23の温度が十分に高い場合は定着ローラーは必要ない。
【0048】
後処理ユニット40は様々なシートが積み重ねられ得る支持トレー41を含むが、後処理工程を行うためにステープラー、穴あけ器等も含み得る。様々なモジュールの動作を連係させるために、それらのモジュールが制御ユニットにより制御される。
【0049】
図1Bはカットシートインクジェット印刷モジュールを示す。図1Bは、矢印250及び251で示す搬送方向に受容媒体のシート202が搬送機構212により搬送されているのを示す。搬送機構212は、1つ(図1に示すように)又はそれ以上のベルトを含む駆動ベルトシステムであり得る。あるいは、これらのベルトの1つ以上を1つ以上のドラムに交換してもよい。搬送機構は、印刷工程の各ステップでのシートの搬送要件(例えば、シートの位置合わせの精度)に応じて好適に構成され得る。そのため、1つ以上の駆動ベルト及び/又は1つ以上のドラムを含み得る。受容媒体のシートを適切に搬送するためには搬送機構にシートを固定する必要がある。固定の方法は特に限定されておらず、静電固定、機械固定(例えばクランプ)及び真空固定から選択され得る。これらのうちで真空固定が好ましい。
【0050】
図1Bの参照符号211は、異なる色のインク(例えばシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)を吐出するためにそれぞれ設けられた4つのインクジェットマーキング装置221、222、223及び224を含むインクジェットマーキングモジュールを表す。各ヘッドのノズルピッチは例えば約360dpiである。本発明では、「dpi」という用語は2.54cm毎のドットの数を意味する。シングルパスのインクジェット印刷で使用するインクジェットマーキング装置221、222、223、224は、二重矢印252で示す所望の印刷範囲の少なくとも幅の長さLを有する。印刷範囲は、矢印250及び251で示す媒体搬送方向に対して垂直である。インクジェットマーキング装置は、前記所望の印刷範囲の少なくとも幅の長さを有する1つのプリントヘッドを含み得る。2つ以上のインクジェットヘッドをそれらの長さの合計が印刷範囲の幅全体を覆うように組み合わせてインクジェットマーキング装置を構成することもできる。そのように構成されたインクジェットマーキング装置はページワイドアレイ(PWA)プリントヘッドとも呼ばれる。
【0051】
インクの吐出による画像形成では、使用されるインクジェットヘッド(即ちプリントヘッド)はオンデマンド型インクジェットヘッド又はコンティニュアス型インクジェットヘッドのいずれかであり得る。インク吐出システムとしては、電気機械変換システム(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シアーモード型又はシェアードウォール型)又は電気−熱変換システム(例えばサーマルインクジェット型又はバブルジェット(登録商標)型)のいずれかを使用できる。それらのうち、本画像形成方法では直径が30μm以下のノズルを有する圧電型インクジェット記録ヘッドを用いることが好ましい。
【0052】
図1Bは、前処理工程(図示せず)後に受容媒体202がインクジェットマーキングモジュール211の上流部に搬送されている状態を示す。そして、受容媒体202の幅全体を覆うように配置されたインクジェットマーキング装置221、222、223、224のそれぞれから各カラーインクを吐出することにより画像形成が行われる。
【0053】
任意で、受容媒体の温度を制御しながら画像形成を行ってもよい。この目的のために、搬送機構(例えばベルト又はドラム)の表面の温度を制御するために、インクジェットマーキングモジュール211の底面に温度制御装置219を配置してもよい。温度制御装置219は、受容媒体202の表面温度を例えば30℃〜60℃の範囲に制御するのに用いられ得る。温度制御装置219は、受容媒体の表面温度を上記の範囲内に制御するために輻射ヒーター等のヒーターや冷風等の冷却手段を含み得る。その後、受容媒体202は印刷の間にインクジェットマーキングモジュール211の下流部に搬送される。
【0054】
図1Bは、ヒーター、例えば輻射ヒーターを含み得る乾燥定着ユニット220を示す。画像が形成された後、印刷物は乾燥定着ユニット220に搬送されてその中を通る。印刷物は、印刷画像中に存在する溶媒(大体が水)が蒸発するように加熱される。乾燥定着ユニット220における空気のリフレッシュ速度を高めることで、蒸発の速度と故に乾燥速度とが高まり得る。それと同時にインクの膜形成が起こる。これは印刷物が最低造膜温度(MFT)よりも高い温度に加熱されるからである。乾燥定着ユニット220における印刷物の滞在時間及び乾燥定着ユニット220が動作する温度は、印刷物が乾燥定着ユニット220を出た時に乾燥した丈夫な印刷物が得られるように最適化される。上述のように、乾燥定着ユニット220における搬送機構212を、印刷装置の前処理部及び印刷部の搬送機構から分離して、ベルト又はドラムを含むように構成してもよい。
【0055】
図1Bは、様々なシートが積み重ねられ得る支持トレー41を含む後処理ユニット40をさらに示す。後処理ユニットは、後処理工程を行うためにステープラー、穴あけ器等も含み得る。様々なモジュールの動作を連係させるために、それらのモジュールが制御ユニットにより制御される。
【0056】
本発明は、図1Aに示すトナー印刷エンジン、図1Bに示すカットシートインクジェット印刷モジュール及びシート束を留めるための他の任意の後処理ユニットで使用され得る。
【0057】
図2Aは、本発明に係るシート束を留めるための後処理ユニットを示す。図2Aでは、後処理ユニット40は支持トレー41を含む。シート束43は、ブラシローラー等の束形成ローラー44を回転させることにより形成され、支持トレー41によって支持される。支持トレー41は、第1の端部42のシート束の先端部43aの下側に開口領域(open area)を有する。後処理ユニットは、ステープル部材を適用する前に、ステープル駆動ユニット46に対してシート束の先端部43aを揃えるための束押圧ユニット45をさらに含む。ステープル駆動ユニット47は、シート束の先端部43aにステープル部材を適用するように構成されている。
【0058】
後処理ユニットはクリップ適用ユニット48をさらに含む。クリップ適用ユニット48は、1つ以上のクリップ部材を保管するためのクリップ保管筐体49と、クリップ保管筐体49に保持されるクリップ部材60をシート束の先端部43aの方に(矢印Pで示すように)移動させるためのクリップ押圧部材51と、クリップ部材がシート束の先端部43aの方に移動する間にクリップ部材を誘導するためのクリップ移動ユニット50を含む。クリップ移動ユニット50は、適用されるクリップ部材によってシート束の先端部43aが固定されるように、シート束の先端部43aの方にクリップ部材を誘導するのと同時に、シート束の先端部43aに対してクリップ部材60の第1の部分を上方に動かすこと及びクリップ部材60の第2の部分を下方に動かすことのうちの少なくとも一方を行って、クリップ部材が破線Wで示すクリップ移動経路をたどるようにするように構成されている。後処理装置は、ワイヤ変形ユニット74に作動的に接続されたワイヤ源70をさらに含む。ワイヤ72は、ワイヤ源によってワイヤ変形ユニット74に供給される。
【0059】
図2Bは、第1の実施形態に係る図2Aの後処理装置40の細部Fを示す。
【0060】
図2Bは、シート束43が支持トレー41に支持されている状態を示す。支持トレー41は第1の端部42のシート束の先端部43aの下側に開口領域を有する。ステープル駆動ユニット46は、大量のステープル部材を保管するためのステープル保管筐体47を含む。ステープル駆動ユニット46は、大量のステープル部材のうちの1つのステープル部材をシート束の先端部43aに適用するように構成されている。
【0061】
ワイヤ源70は、ワイヤ変形ユニット74にワイヤ72を提供するためにワイヤ変形ユニット74に作動的に接続されている。ワイヤ変形プログラムが制御ユニット1によって決定され、ワイヤ変形ユニット74に提供される。ワイヤ変形ユニット74では、決定されたワイヤ変形プログラムに従ってクリップ部材60が形成される。ワイヤ変形ユニット74はクリップ駆動ユニット48に作動的に接続されている。クリップ適用ユニット48は、1つ以上のクリップ部材を保管するためのクリップ保管筐体49と、クリップ押圧要素51と、クリップ移動経路50とを含む。ワイヤ変形ユニット74で形成されたクリップ部材60はクリップ保管筐体49に供給される。クリップ保管筐体49内のクリップ部材60は、クリップ押圧要素51により(矢印Pで示すように)シート束の先端部43aの方に動かされる。クリップ移動経路50はクリップ部材がシート束の先端部43aの方に動かされる間にクリップ部材を誘導する。クリップ移動経路50は、適用されるクリップ部材によってシート束の先端部43aが固定されるように、シート束の先端部43aの方にクリップ部材を誘導するのと同時に、シート束の先端部43aに対してクリップ部材60の第1の部分を上方に動かすこと及びクリップ部材60の第2の部分を下方に動かすことのうちの少なくとも1つを行って、クリップ部材が破線Wで示すクリップ移動経路をたどるようにするように構成されている。後処理ユニットは、シート束43の厚さhを検出するために矢印Aで示すように移動可能に配置された束センサ54をさらに含む。
【0062】
図2Cは、第2の実施形態に係る図2Aの後処理ユニット40の細部Fを示す。
【0063】
ワイヤ源70は、ワイヤ変形ユニット74にワイヤ72を供給するために設けられている。ワイヤ変形ユニット74はクリップ駆動ユニット48及びステープル駆動ユニット246に作動的に接続されている。制御ユニット1は、留め部材の形式を選択する選択ユニットを含む。ワイヤ変形プログラムが制御ユニット1により決定され、ワイヤ変形ユニット74に提供される。ワイヤ変形ユニット74は、決定されたワイヤ変形プログラムに従ってステープル部材120及びクリップ部材60のうちの一方を形成する。ワイヤ変形ユニット74でクリップ部材60が形成される場合は、クリップ部材60がクリップ駆動ユニット48のクリップ保管筐体49に供給される。クリップ部材60は上述のようにシート束43に適用される。ワイヤ変形ユニット74でステープル部材120が形成される場合は、ステープル部材120がステープル駆動ユニット246に提供される。ステープル部材120は上述のようにシート束43に適用される。
【0064】
なお、ステープル部材120が要求に応じてワイヤ変形ユニット74により形成されるため、ステープル駆動ユニット246には大量のステープル部材を保管するためのステープル保管筐体47を有する必要がない。同様に、各クリップ部材60が要求に応じてワイヤ変形ユニット74により形成されるため、クリップ駆動ユニット48には大量のクリップ部材を保管するためのクリップ保管筐体を有する必要がない。
【0065】
図2D図2Gは、本発明の後処理ユニットで用いられるクリップ部材の例を示す。各図面は、クリップ部材及び矢印で示すようにクリップ部材をシート束に適用した後のクリップ部材の配置を示す。
【0066】
図2Dは、架橋部62、屈折可能な第1の脚部64及び屈折可能な第2の脚部66を含み、第1の脚部64及び第2の脚部66の双方が架橋部62に接続されたクリップ部材60を示す。脚部64、66はクリップ部材60の端部65、67にそれぞれ接続されている。クリップ部材60が非取り付け状態にある場合、2つの端部65、67は一直線に並んで共通の面68に位置している。クリップ部材60をシート束の先端部に取り付けるには、2つの脚部64、66のうちの少なくとも一方を、他方側の端部に対して共通の面68の面外に動かして、脚部の間にシート束の端部を挿入するための空間を作る。シート束43が固定されると、脚部64、66はそれぞれシート束の端部43aの反対側に位置する。
【0067】
クリップ部材60は、ワイヤ変形ユニット74によりクリップ適用ユニット48のクリップ保管筐体49に供給される(図2B及び図2Cに図示)。クリップ部材60は、シート束43の厚さhに応じてシート束の端部43aにクランプ力を提供する。クランプ力はクリップ部材60のクランプ幅C1に亘りクリップ部材60によって分散される。
【0068】
クリップ部材は、シート束の結束が適切なクランプ幅に亘って適当なクランプ力によって維持され且つクリップ部材をシート束に取り付けてもクリップのワイヤに塑性変形が起きないように設計され得る。このクランプ力は厚さ、クリップ部材の寸法並びにクリップ部材の各部分のねじり剛性及び曲げ剛性特性に左右される。例えば、クリップ部材60では、最大のねじり剛性が脚部64、66に蓄積し、曲げ弾性エネルギーがクリップ部材60の架橋部62に蓄積する。標準的なオイラービーム理論を用いることで、ペーパークリップワイヤの各断面における力及び曲げ/ねじれモーメントの全てを容易に計算できる。
【0069】
図2Eはクリップ部材の第2の例60bを示す。クリップ部材60bは2つの架橋部62と、さらに2つの架橋部62を接続する接続部69とを含む。クリップ部材60bが非取り付け状態にある場合、2つの端部65、67及び接続部69は一直線に並んで共通の面68に位置している。クリップ部材60bをシート束の端部43aに取り付けるには、脚部64、66の双方を、接続部69に対して共通の面68の面外に動かして、双方の脚部と接続部69との間にシート束の端部43aを挿入するための空間を作る。シート束43が固定されると、脚部64、66の双方は接続部69に対してシート束の端部43aの反対側に位置する。クリップ部材60bのクランプ幅C2は、図2Dに示すクリップ部材60のクランプ幅C1よりも比較的大きい。
【0070】
図2Fはクリップ部材の第3の例60cを示す。クリップ部材60cでは、2つの脚部64、66は接続部69のクランプ領域内に位置している。その結果、クリップ部材60cをシート束の端部43aに取り付けた場合、クリップ部材のクランプ幅C3はクリップ部材60bのクランプ幅C2よりも比較的小さくなる。クリップ部材60cのクランプ力はクリップ部材60bのクランプ力と略同じである。
【0071】
図2Gはクリップ部材の第4の例60dを示す。クリップ部材60dは3つの架橋部62a、62b、62c及び2つの接続部69a、69bを含む。接続部69a、69bのぞれぞれは隣接する2つの架橋部62を接続する。脚部66は接続部69aのクランプ領域内に位置し、脚部64は接続部69bのクランプ領域内に位置している。クリップ部材60dをシート束の端部43aに取り付けた場合、クリップ部材60dはクランプ幅C4に亘ってクランプ力を提供する。クリップ部材60dの脚部64、66はそれぞれシート束の端部43aの反対側に位置する。
【0072】
当業者であれば考えるように、所望のクランプ幅に亘って適切なクランプ力を提供するためにクリップ部材の形状として他の形状が選択され得る。
【0073】
ペーパークリップの形状は、真っ直ぐなワイヤの長さ(straight wire length)及び曲げ角度という限られた寸法パラメータで記述できる。それら以外で関連性のあるパラメータはワイヤの直径、ヤング率及び最大ミーゼス塑性応力のみである。さらに、クリップ部材60を作る前にシート束の厚さが予め分かっている。そのため、各寸法パラメータに対するクリップ内の全弾性エネルギー(ワイヤ全体に亘って相和したねじれ+曲げエネルギー)の導関数としてクランプ力を計算できる。所望の束の厚さ及びクランプ力のそれぞれに対して適したクリップの形状を生成するコンピュータプログラムを設計することができる。実践での実現可能性の理由から、クランプ力が大きいほど大きいワイヤ直径が必要になり得る。
【0074】
図3Aは、クリップ部材形式が選択されている場合の、ユーザーインターフェースを部分的に用いる本発明の方法のステップを示すフローチャートを示す。ステップS201では、クリップ部材形式が選択されているかどうかを判断する。クリップ部材形式が選択されている場合はステップS202へと進む。クリップ部材形式が選択されていない場合は、図3Bに示す続きのプロセスBに進む。ステップS202では、シート束の厚さが求められる。ステップS203では、クランプ力が選択される。クランプ力はオペレータの入力により選択される。あるいは、所定の値に基づいてクランプ力を選択してもよい。また、シート束の厚さの増加に応じてクランプ力が大きくなるようにするために、シート束の厚さに基づいてクランプ力をさらに選択してもよい。
【0075】
ステップS204では、クリップ部材の少なくとも1つの形状属性が選択される。クリップ部材の少なくとも1つの形状属性は、ステップS203で選択されたクランプ力及びステップS202で求められたシート束の厚さに基づく。ステップS204における選択は、変形されるワイヤのワイヤ特性及びワイヤ変形ユニットのワイヤ変形制約事項(wire deforming constraints)にさらに基づく。ワイヤ特性としては、例えばワイヤの厚さ、弾性係数及びワイヤの降伏応力が挙げられる。ワイヤ変形制約事項としては、例えばクリップ部材の最大サイズ、ワイヤの2つの屈曲部間の最大長、形成される屈曲部の最大曲げ角度等が挙げられる。
【0076】
ステップS204における形状属性の選択は実施形態によってそれぞれ異なり、クリップ部材の屈曲部の数の選択、少なくとも1つの屈曲部の角度の選択、クリップ部の長さ、例えばクリップ部材の架橋部62の長さの選択が挙げられる。
【0077】
ステップS206では、図3Cにさらに示すオペレータによる確認が行われる。オペレータによる確認はステップS222、S224及びS226を含む。ステップS222では、ユーザーが選択可能な複数のクリップ部材が確認のためにオペレータに提案される。例えば、3つの選択可能なクリップ部材がオペレータに提示され、それらのクリップ部材の全ては形成されたシート束に対して所望のクランプ力を提供する。さらに、ステップS224では、クリップ部材の架橋部62の長さ等のクリップ部材形式の構成可能な形状属性が確認のためにオペレータに提示される。ステップS226では、ユーザーが選択可能なクリップ部材及び/又はクリップ部材形式の構成可能な形状属性に関する1つ以上のオペレータ入力が受信され処理される。
【0078】
図3Aに示すように、ステップS208では、ワイヤ変形プログラムが決定される。ワイヤ変形プログラムはクリップ部材の少なくとも1つの形状属性の選択に基づいて決定される。ワイヤ変形プログラムは、クリップ部材を形成するためにワイヤを変形するための複数の製造ステップを含み、それがステップS226で選択される。
【0079】
ステップS210では、決定されたワイヤ変形プログラムに従って、ワイヤ沿いの選択された数の位置でワイヤを屈曲させ、ワイヤを切断することによりクリップ部材が形成される。最後に、ステップS212では、ステップS210で形成されたクリップ部材をシート束に適用して、シート束を留める。さらに、シート束43に対するクリップ部材の位置をオペレータが選択するようにしてもよい。
【0080】
図3Bは、ステープル部材形式が選択されている場合の、ユーザーインターフェースを部分的に用いる本発明の方法のステップを示すフローチャートを示す。ステップS301では、ステープル部材形式が選択されているかどうかを判断する。ステープル部材形式が選択されている場合はステップS302へと進む。ステップS302では、シート束の厚さが求められる。ステップS304では、ステープル部材の少なくとも1つの形状属性が選択される。ステップS304では、ステープル部材の少なくとも1つの形状属性は、ステップS302で求めたシート束の厚さに基づく。ステップS304における選択は、変形されるワイヤのワイヤ特性及びワイヤ変形ユニットのワイヤ変形制約事項にさらに基づく。
【0081】
ステップS304における形状属性の選択は実施形態によってそれぞれ異なり、ステープル部材の端部の長さの選択及びステープル部材の架橋部の長さの選択が挙げられる。
【0082】
ステップS306では、図3Dにさらに示すオペレータによる確認が行われる。オペレータによる確認はステップS322、S324及びS326を含む。ステップS322では、ユーザーが選択可能な複数のステープル部材が確認のためにオペレータに提案される。例えば、3つの選択可能なステープル部材がオペレータに提示される。さらに、ステップS324では、ステープル部材の架橋部の長さ等のステープル部材形式の構成可能な形状属性が確認のためにオペレータに提示される。ステップS326では、ユーザーが選択可能なステープル部材及び/又はステープル部材形式の構成可能な形状属性に関する1つ以上のオペレータ入力が受信され処理される。
【0083】
図3Bに示すように、ステップS308では、ワイヤ変形プログラムが決定される。ワイヤ変形プログラムはステープル部材の少なくとも1つの形状属性の選択に基づいて決定される。ワイヤ変形プログラムは、ステープル部材を形成するためにワイヤを変形するための複数の製造ステップを含み、それがステップS326で選択される。
【0084】
ステップS310では、決定されたワイヤ変形プログラムに従って、ワイヤ沿いの選択された数の位置でワイヤを屈曲させ、ワイヤを切断することによりステープル部材を形成する。最後に、ステップS312では、ステップS310で形成されたステープル部材をシート束に適用して、シート束を留める。一実施形態では、シート束43に対するステープル部材の位置が構成可能である。
【0085】
図4は、本発明の方法のステップを行うためのユーザーインターフェースを示す。言及のステップは図3A図3Dのフローチャートに示してある。留め部材の種類を選択するため(S201、S301)及び留め部材の少なくとも1つの構成可能な形状属性を選択するために(クリップ部材の場合はS226、ステープル部材の場合はS326)オペレータによる確認が行われる。
【0086】
ユーザーインターフェース80はステープル部材選択ボタン82及びクリップ部材選択ボタン83を含む。オペレータは、ステープル部材形式及びクリップ部材形式のうちの1つを選択することができる(S201、S301)。シート束に関する情報はフィールド86に提示される。例えば、シート束を構成するシートの数、シートのサイズ(A4、A3等)及びシート材の種類(紙、再生紙等)が提示される。適用される留め部材の数がフィールド84に示されている。通常、適用される留め部材の数は1つである。留め部材の大きさがフィールド87に示され(S224、S324)、シート束に対する留め部材の位置がフィールド88に示されている。留め部材の大きさ及び留め部材の位置がオペレータにより調整されるようにしてもよい。留め部材のクランプ力は、スライダーユーザーインターフェース要素89によって示される。クランプ力は、スライダーが示すようにより大きく又は小さくなるようにオペレータの入力によって調整され得る(S203)。フィールド90にはユーザーが選択可能な3つの留め部材90a、90b、90cが提示され(S222、S322)、それらの留め部材はフィールド89に示すクランプ力を提供する。オペレータは、留め部材90a、90b、90cのうちの1つを自身の好み又は要件に基づいて選択できる(S226、S326)。選択された留め部材は要望に応じて形成され(S210、S310)、シート束を留めるために後で適用される(S212、S312)。
【0087】
図5A図5Dは、本発明の一実施形態に係る留め部材形成工程の続きのいくつかの段階を示す。これらの保持部材形成工程の段階は、本発明の後処理ユニットのワイヤ変形ユニット74で用いることができる。
【0088】
図5Aに第1段階を示す。ワイヤ変形ユニット74は、第1のワイヤ搬送ローラー101及び第2のワイヤ搬送ローラー102により提供されるワイヤ搬送ピンチ100と、ワイヤ変形要素104とを含む。ワイヤ72は、リールに支持されたワイヤロールの形のワイヤ源(図示せず)から供給される。ワイヤ72の曲率半径は異なる。図5Aに示す第1段階に先だって、ワイヤの実際の曲率に応じてワイヤ72がワイヤ搬送ピンチ100に入る前にワイヤ72を真っすぐにしてもよい(例えば直管内で)。ワイヤ変形要素104は、矢印d及びdで示すワイヤ変形経路に沿って移動し得る。第1段階では、ワイヤ変形要素104は第1のワイヤ搬送ローラー101に隣接する第1の位置に配置される。搬送ローラー101、102は、ワイヤ搬送ピンチ100を介してワイヤ72を主搬送方向Xに搬送するために矢印Rで示す方向に回転する。ワイヤの第1の端部72aはワイヤ搬送ピンチ100に対して方向Xに距離L動かされる。
【0089】
図5Bは第2段階を示す。第2段階では、ワイヤ変形要素104が方向dに動かされ、第2のワイヤ搬送ローラー102に隣接する第2の位置に移動する。その結果、ワイヤ72は第2のワイヤ搬送ローラーの外面102a上で変形されて、約90°の角度を有する第1の屈曲部72bがワイヤ72に形成される。ここで、ワイヤの端部106は、ワイヤの第1の先端72aとワイヤの第1の屈曲部72bとの間に第1の長さL1Wを有する。第1の長さL1Wは、第1の屈曲部72bの曲げ角度により距離Lよりもやや小さくなる。距離Lと第1の長さL1Wとの関係は、ワイヤ変形プログラムを決定するためのワイヤ変形制約事項として考慮される(図2及び図3においてワイヤ変形制約事項の入力として示すように)。
【0090】
図5Cは第3段階を示す。第3段階では、ワイヤ変形要素104が第1のワイヤ搬送ローラー101に隣接する第1の位置に動かされ、その後ワイヤの第1の屈曲部72bをワイヤ搬送ピンチ100に対して距離L動かすためにワイヤ72がワイヤ搬送ピンチ100によって主搬送方向Xに動かされる。
【0091】
図5Dは第4段階を示す。第4段階では、ワイヤ変形要素を方向dに沿って第2のワイヤ搬送ローラー102に隣接する第2の位置に動かすことにより、ワイヤ72に第2の屈曲部72cが形成されている。ワイヤ108の第2の部分は、ワイヤの第1の屈曲部72bとワイヤの第2の屈曲部72cとの間に第2の長さL2Wを有する。第2の長さL2Wは距離Lよりもやや小さい。第2の屈曲部72cは第1の屈曲部72bの曲げ方向と同じ方向に形成されている。
【0092】
図6A図6Dは、本発明の他の実施形態に係る留め部材形成工程の続きのいくつかの段階を示す。
【0093】
図6Aに第1段階を示す。この第1段階は図5Aに示す第1段階と同じである。
【0094】
図6Bに第2段階を示す。この第2段階は図5Bに示す第2段階と同じである。
【0095】
図6Cは本実施形態の第3段階を示す。この第3段階は図6Bに示す第2段階の後で行われる。第3段階では、搬送ローラー101、102は、ワイヤ搬送ピンチ100を介してワイヤ72を主搬送方向Xに搬送するために矢印Rで示す方向に回転する。ワイヤの第1の屈曲部72bがワイヤ搬送ピンチ100に対して距離L動かされる。ワイヤを搬送する間、ワイヤ変形要素104がワイヤ変形経路の面(矢印d、dで示す)から一時的に離される。最後に、ワイヤ変形要素104が第2のワイヤ搬送ローラー102に隣接する第2の位置に再度配置される。このように、ワイヤ変形要素104は、ワイヤ72を方向Xに搬送する上での妨げにならない。
【0096】
図6Dは本実施形態の第4段階を示す。第4段階では、ワイヤ変形要素を方向dに沿って第1のワイヤ搬送ローラー101に隣接する第1の位置に動かすことにより、第3の屈曲部72dがワイヤ72に形成される。ワイヤ72は第1のワイヤ搬送ローラーの外面101a上で変形されているため、90°の角度を有する第3の屈曲部72dが形成されている。第3の屈曲部72dは、第1の屈曲部72bの曲げ方向とは反対の方向に形成されている。ワイヤの第2の部分109は、ワイヤの第1の屈曲部72bとワイヤの第3の屈曲部72dとの間に第2の長さL3Wを有する。
【0097】
図5A図5D及び図6A図6Dに示す実施形態では、搬送ローラー101、102のそれぞれが屈曲部形成要素として用いられ、搬送ローラーの外面101a、102bによってワイヤの屈曲部の形状が定義される。あるいは、好適な形状の外面を有する屈曲部形成要素を搬送ピンチの下流に設けてもよい。搬送ローラーの外面によって提供される形状とは別の形状を有するワイヤ屈曲部を提供するために、ワイヤ変形要素104と共にワイヤ変形工程で屈曲部形成要素を用いてもよい。
【0098】
図7Aは、図5Aに示すワイヤ変形ユニットの線D−Dに沿った断面図を示す。図7Aでは、ワイヤ変形ユニット74の断面図はワイヤ72の主搬送方向Xに対して垂直である。図7Aは、第1のワイヤ搬送ローラー101及び第2のワイヤ搬送ローラー102により提供される搬送ピンチ100を示す。第1のワイヤ搬送ローラー101は第1の軸111に回転可能に接続され、第2のワイヤ搬送ローラー102は第2の軸112に回転可能に接続されている。また、第1のプレート116がワイヤ搬送ローラー101、102の双方の第1の側に配置され、第2のプレート118がワイヤ搬送ローラー101、102の双方の第2の側に配置されている。第2のプレート118は第1の端部118a及び第2の端部118bが湾曲しており、第1のプレート116の両端と接触している。
【0099】
図7Bは、図5Aに示すワイヤ変形ユニットの線E−Eに沿った断面図を示す。図7Bでは、ワイヤ変形ユニットの断面はワイヤ72の主搬送方向Xに沿っている。ワイヤ搬送ピンチ100の下流及びワイヤ変形要素104の下流で、ワイヤが第2のプレート118及び第1のプレート116によって矢印Hで示す方向に弾性屈曲されている。第2のプレート118cの端部は上方に湾曲し、第1のプレートの端部116aと共にバネとして作用してワイヤ部分72eを方向Hに弾性屈曲させる。なお、留め部材の既に形成されている部分は搬送ローラーの位置及びワイヤ変形要素の位置によって制限されていない。何故なら、ワイヤ部分72eは搬送ピンチ100及びワイヤ変形部材104の面外に動かされるからである。これには少なくとも部分的に重なる部分を有する留め部材を容易に形成できるという利点がある。
【0100】
本発明の詳細な実施形態を本明細書で開示したが、開示した実施形態は、様々な形で実施可能な本発明の例示に過ぎないことを理解すべきである。従って、本明細書で開示した具体的な構造及び機能に関する詳細を限定として解釈するのではなく、単に請求項の根拠として、また実質的に適切な詳細構造の任意のもので本発明を様々な形で用いる方法を当業者に教示するための例示的根拠として解釈すべきである。特に、別々の従属項で提示及び記載の特徴は、組み合わせで適用され得る。そのような請求項の有利な組み合わせがここに開示される。
【0101】
また、本明細書で使用の用語及び表現は限定を意図したものではなく、むしろ本発明の理解可能な説明を提供するために用いられている。本明細書で使用の「a」又は「an」は1つ以上と定義される。本明細書で使用の複数という用語は2つ以上と定義される。本明細書で使用の他のという用語は、少なくとも第2以上と定義される。本明細書で使用の含有する及び/又は有するという用語は、含む(即ち、オープンランゲージ)と定義される。本明細書で使用の連結された(coupled)という用語は、必ずしも直接的ではないが接続されていることと定義される。
【0102】
本発明を説明したが、本発明は様々な形で変更され得ることが分かる。そのような変更は、本発明の精神及び範囲からの逸脱と見做すのではなく、そのような変更の全ては、当業者には明らかなように下記の請求項の範囲内に含まれる。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B