【実施例】
【0131】
本明細書に開示の中間体(参照例)および最終化合物(実施例)の以下の調製を、当業者がより明確に理解し、本開示を実施することができるように挙げる。これらは、本開示の範囲を限定するものとはみなすべきでなく、単にその説明および代表例であるにすぎないとみなすべきである。以下の化合物中のアルケン炭素における
【化36】
の線は、化合物が(E)および(Z)異性体の未規定混合物として単離されていることを示す。
【0132】
参照例1
3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミンの合成
【化37】
1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン(150g、1.11mol、1.00当量)およびN−ヨード−スクシンイミド(375g、1.67mol、1.58当量)のN,N−ジメチルホルムアミド(2.5L)中混合物を、80℃において5時
間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、次いで10Lの水により希釈した。固体を濾過により回収し、2×1Lの飽和水性亜硫酸ナトリウムにより洗浄し、真空下で乾燥させて150gの3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミンを黄色固体として得た。
【0133】
参照例2
(R)−tert−ブチル3−(4−アミノ−3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートの合成
【化38】
10℃における3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン(5.9g、22.6mmol、1.00当量)、(S)−tert−ブチル3−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシレート(10g、50mmol、2.2当量)およびトリフェニルホスフィン(11.8g、45mmol、2.0当量)のテトラヒドロフラン(300mL)中撹拌混合物に、ジイソプロピルアゾジカルボキシレートのテトラヒドロフラン(30mL)中溶液を30分間で滴加した。得られた混合物を室温において12時間撹拌し、次いで真空下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラム上で精製し、ジクロロメタン/メタノール(100/1)により溶出させて3gの(R)−tert−ブチル3−(4−アミノ−3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを黄色固体として得た。
【0134】
上記のとおり進行させたが、(S)−tert−ブチル3−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシレートに代えて(S)−tert−ブチル2−(ヒドロキシメチル)−ピロリジン−1−カルボキシレートを使用することにより、tert−ブチル(S)−2−([4−アミノ−3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル)ピロリジン−1−カルボキシレートを得た。
【0135】
参照例3
(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−ボロン酸の合成
【化39】
工程1
250mLの丸底フラスコ中に、4−ブロモ−3−フルオロフェノール(5g、26.18mmol、1.00当量)のジクロロメタン(100mL)中溶液、フェニルボロン酸(3.5g、28.70mmol、1.10当量)、Cu(AcO)
2(5.7g)、トリエチルアミン(5.3g)および4Aモレキュラーシーブ(15g)を装入した。得られた溶液を室温において一晩撹拌した。固体を濾別した。濾液を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラム上にロードし、酢酸エチル/石油エーテル(1:100〜1:50)により溶出させた。これにより、2gの1−ブロモ−2−フルオロ−4−フェノキシベンゼンを無色油状物として得た。
【0136】
工程2
窒素の不活性雰囲気下でパージされ、維持された100mLの3首丸底フラスコ中に、
1−ブロモ−2−フルオロ−4−フェノキシベンゼン(2g、7.49mmol、1.00当量)のテトラヒドロフラン(20mL)中溶液を装入した。BuLi(1M、8mL)を−70から−80℃において撹拌しながら滴加した。得られた溶液を−70〜−80℃において液体窒素浴中で30分間撹拌した。トリス(プロパン−2−イル)ボレート(1.7g、9.04mmol、1.21当量)を、−70から−80℃において撹拌しながら滴加した。得られた溶液を撹拌しながら、さらに2時間反応させた一方、温度を−70から−80℃に維持した。次いで、反応物を100mLの水の添加によりクエンチし、酢酸エチルにより抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラム上にロードし、酢酸エチル/石油エーテル(1:20)により溶出させて1.6gの(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)ボロン酸を白色固体として得た。
【0137】
参照例4
2−シアノ−4−メチルペント−2−エン酸の合成
【化40】
2−シアノ酢酸(8.7g、102mmol)のメタノール(200mL)中溶液に2−メチルプロパナール(18.6mL、204mmol)を添加し、溶液を撹拌し、わずかな発熱が見られた。30分後、ピペリジン(11.1mL、112mmol)を添加し、1時間撹拌を継続してから溶媒を真空中で穏やかに加熱しながら除去した。濃厚材料をエーテルにより希釈し、125mLの1.0MのHClにより洗浄し、次いでブラインにより洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮させて2−シアノ−4−メチルペント−2−エン酸の重量11.2gの無色油状物を得、それは静置時に沈殿した。
【0138】
参照例5
2−シアノ−4,4−ジメチルペント−2−エン酸の合成
【化41】
参照例4において使用された手順に従ったが、ピバルアルデヒドを2−メチルプロパナールに代えて使用することにより2−シアノ−4,4−ジメチルペント−2−エン酸を得た。
【0139】
実施例1
2−((R)−3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−3−(3−メチルオキセタン−3−イル)アクリロニトリルトリフルオロ酢酸塩の合成
【化42】
工程1
100mLの丸底フラスコ中に、1,4−ジオキサン(40mL)、水(10mL)、tert−ブチル(3R)−3−[4−アミノ−3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]ピペリジン−1−カルボキシレート(3.108g、7.00mmol、1.00当量)、(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)ボロン酸(1.624g、7.00mmol、1.00当量)、炭酸カリウム(2.898g、32.89mmol、4.70当量)およびPd(dppf)Cl
2(57.1mg、0.4mmol、0.06当量)を装入した。得られた溶液を80℃において油浴中で一晩撹拌した。次いで、固体を濾別し、得られた溶液を水により希釈した。得られた混合物を酢酸エチルにより抽出した。有機層を合わせ、ブラインにより洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲルカラム上にアプライし、酢酸エチル/石油エーテル(1:3)を用いた。これにより、2.7gのtert−ブチル(3R)−3−[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]ピペリジン−1−カルボキシレートを黒色固体として得た。
【0140】
工程2
100mLの丸底フラスコ中に、tert−ブチル(3R)−3−[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]ピペリジン−1−カルボキシレート(2.7g、5.35mmol、1.00当量)およびジクロロメタン(20mL)を装入した。これに次いで、トリフルオロ酢酸(5mL)を添加した。得られた溶液を室温において3時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。これにより、2.6g(粗製物)の3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1−[(3R)−ピペリジン−3−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミンを褐色油状物として得た。
【0141】
工程3
50mLの丸底フラスコ中に、TEA(5.05g、49.91mmol、10.0当量)、3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1−[(3R)−ピペリジン−3−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン(2.02g、4.99mmol、1.00当量)、2−シアノ酢酸(510mg、6.00mmol、1.20当量)、HATU(2.28g、6.00mmol、1.20当量)およびN,N−ジメチルホルムアミド(40mL)を装入した。得られた溶液を室温において4時間撹拌し、次いで200mLの水により希釈した。得られた溶液を酢酸エチルにより抽出し、有機層を合わせ、ブラインにより洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。これにより、600mgの3−[(3R)−3−[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]ピペリジン−1−イル]−3−オキソプロパンニトリルを薄黄色固体として得た。
【0142】
工程4
50mLの丸底フラスコ中に、3−[(3R)−3−[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]ピペリジン−1−イル]−3−オキソプロパンニトリル(300mg、0.64mmol、1.00当量)のトルエン(10mL)中溶液、3−メチルオキセタン−3−カルバルデヒド(127.4mg、1.27mmol、2.00当量)およびピペリジン(108.2mg、1.27mmol、2.00当量)を装入した。得られた溶液を110℃において油浴中で4時間撹拌し、次いで冷却し、真空下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラム上にアプライし、酢酸エチルにより精製した。これにより生成物(80mg)をもたらし、それを分取HPLCにより以下の条件で再精製した(1#−Pre−HPLC−005(Waters)):カラム、SunFire Prep C18 19
*150mm
5um;移動相、0.05%のトリフルオロ酢酸を有する水およびCH
3CN(10分間で10%のCH
3CNから最大70%);検出器、254nm。これにより、22.9mg(5%)の2−((R)−3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−3−(3−メチルオキセタン−3−イル)アクリロニトリルトリフルオロ酢酸塩を白色固体として得た。LC−MS(ES、m/z):[M−CF
3COOH+H]
+554。
【0143】
上記工程1、2および3に記載のとおり進行させたが、tert−ブチル(3R)−3−[4−アミノ−3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]ピペリジン−1−カルボキシレートに代えてtert−ブチル(S)−2−([4−アミノ−3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル)ピロリジン−1−カルボキシレートを用いることにより、(S)−3−(2−((4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−メチル)ピロリジン−1−イル)−3−オキソプロパンニトリルを合成した。
【0144】
実施例2
2−((R)−3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−(アゼチジン−1−イル)−4−メチルペント−2−エンニトリルビス(2,2,2−トリフルオロアセテート)の合成
【化43】
工程1
0℃における2−ブロモ−2−メチルプロパナール(0.6g、4mmol、1.0当量)のEt
2O(20mL)中溶液に、アゼチジン(684mg、12mmol、3.0当量)を滴加した。得られた混合物を0℃において2時間撹拌した。混合物を水により希釈し、Et
2Oにより抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。固体を濾過し、溶媒を真空下で濃縮した。これにより、208mg(41%)の2−(アゼチジン−1−イル)−2−メチルプロパナールを無色油状物として得た。
【0145】
工程2
3−((R)−3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)−3−オキソプロパンニトリル(200mg、0.43mmol、1.0当量)、2−(アゼチジン−1−イル)−2−メチルプロパナール(136.5mg、2.15mmol、5.0当量)およびピペリジン(73.1mg、0.86mmol、2.0当量)のトルエン(10mL)中溶液を、120℃において3時間撹拌した。次いで、混合物を濃縮し、粗製生成物を分取HPLCにより精製した。これにより、39.8mgの2−((R)−3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−(アゼチジン−1−イル)−4−メチルペント−2−エンニトリルビス(2,2,2−トリフルオロアセテート)を白色固体として得た。LCMS(ESI、陽イオン)m/z:581(M−2TFA+1)。
【0146】
実施例3
(R)−2−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−5−ヒドロキシ−4,4−ジメチルペント−2−エンニトリルの合成
【化44】
工程1
2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール(5.g、48.01mmol)およびイミダゾール(4.9g、71.97mmol)のDCM(100mL)中混合物に、TMS−Cl(7.9g、52.42mmol)を添加し、得られたスラリーを室温において1時間撹拌した。水およびブラインにより洗浄した後、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮し、カラムクロマトグラフィーを介して90:10のヘキサン:酢酸エチルにより精製して6.5gの3−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)−2,2−ジメチルプロパン−1−オールを無色油状物として得た。
【0147】
工程2
1.1当量のデスマーチンペルヨージナンを3−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)−2,2−ジメチルプロパン−1−オールの25mLのDCM中溶液に0℃において添加することにより、3−[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ−2,2−ジメチル−プロパナール(1.15g、5.31mmol)の粗製混合物を調製した。1時間後、スラリーをヘキサンにより希釈し、シリカのプラグ上で濾過した。残留物を濃厚油状物に濃縮し、次いでDCM(10mL)中で溶解させた。3−[(3R)−3−[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]−1−ピペリジル]−3−オキソプロパンニトリル(236.79mg、0.5000mmol)を添加し、次いでTMS−Cl(0.2mL、1.59mmol)、次いでピロリジン(0.13mL、1.59mmol)を添加した。溶液を室温において撹拌し、LCMSにより反応をモニタリングした。16時間後、混合物を水およびDCM間で分配し、次いで有機相をブラインにより洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾過および溶媒の除去により、無色油状物を得、それをシリカゲルクロマト
グラフィー(9:1から90:10の塩化メチレン:MeOH勾配)により精製して約350mgの(R)−2−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−5−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)−4,4−ジメチルペント−2−エンニトリルを得た。
【0148】
工程3
2−[(3R)−3−[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]ピペリジン−1−カルボニル]−5−[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ−4,4−ジメチル−ペント−2−エンニトリル(350mg、0.5200mmol)のDCM(5mL)中溶液に、約2.5mlのTFAを添加し、溶液を室温において一晩撹拌した。翌日、化合物を水およびジクロロメタン間で分配し、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾過および溶媒の除去後、粗製材料をフラッシュ精製した(99:1〜92:8の勾配のDCM:MeOH)。澄明な分画を濃縮し、最小のアセトニトリルおよび水中で溶解させ、冷凍し、凍結乾燥させて(R)−2−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−5−ヒドロキシ−4,4−ジメチルペント−2−エンニトリルの重量46mgの無色粉末を得た。LC−MS(ES,m/z):557[M+H]。
【0149】
実施例4
2−[[(3R)−3−[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]−ピリミジン−1−イル]−ピペリジン−1−イル]カルボニル]−4−メチル−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ペント−2−エンニトリルの合成
【化45】
工程1
50mLの3首丸底フラスコ中に、2−ブロモ−2−メチルプロパナール(2g、13.24mmol、1.00当量)のエーテル(10mL)中溶液を装入した。これに次いで、1−メチルピペラジン(4.66g、46.52mmol、3.51当量)を0℃において滴加した。得られた溶液を室温において一晩撹拌した。固体を濾別した。濾液を水により希釈した。得られた混合物をエーテルにより洗浄した。水層のpH値を炭酸カリウムにより12に調整した。得られた溶液をジクロロメタンにより抽出し、有機層を合わせ、ブラインにより洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。これにより、740mgの2−メチル−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロパナールを黄色油状物として得た。
【0150】
工程2
500mLの丸底フラスコ中に、N,N−ジメチルホルムアミド(20mL)、3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1−[(3R)−ピペリジン−3−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン(8.04g、19.88mmol、1.00当量)、2−シアノ酢酸(2.0g、23.51mmol、1.18当量)、HATU(9.12g、24.00mmol、1.21当量)およびTEA(21.2
mL、10.00当量)を装入した。得られた溶液を室温において4時間撹拌し、次いで500mLの水により希釈した。得られた溶液を、4×300mLの酢酸エチルにより抽出した。有機層を合わせ、ブラインにより洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。これにより、6.2gの3−[(3R)−3−[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]ピペリジン−1−イル]−3−オキソプロパンニトリルを黄色固体として得た。
【0151】
工程3
100mLの丸底フラスコ中に、トルエン(10mL)、3−[(3R)−3−[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]ピペリジン−1−イル]−3−オキソプロパンニトリル(300mg、0.64mmol、1.00当量)、2−メチル−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロパナール(541.45mg、3.18mmol、5.00当量)およびピペリジン(108.29mg、1.27mmol、2.00当量)の溶液を装入した。得られた溶液を120℃において油浴中で3時間撹拌した。得られた混合物を、真空下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラム上にアプライし、酢酸エチル:MeOH(5:1)を用いた。粗製生成物(70mg)をフラッシュ分取HPLCにより以下の条件により精製した(IntelFlash−1):カラム、C
18シリカゲル;移動相、H
2O(0.5%TFA)/CH
3CN=10%、10分以内にH
2O(0.5%TFA)/CH
3CN=40%に増加;検出器、UV254nm。これにより、46.4mg(12%)の2−[[(3R)−3−[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]ピペリジン−1−イル]カルボニル]−4−メチル−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ペント−2−エンニトリルを白色固体として得た。LC−MS−PH−PBF−003−96−0:(ES、m/z):[M+H]
+625。
【0152】
実施例5
(S)−2−(2−((4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]−ピリミジン−1−イル)−メチル)ピロリジン−1−カルボニル)−4−メチル−4−(ピロリジン−1−イル)ペント−2−エンニトリルの合成
【化46】
工程1
氷浴中で冷却された2−メチルプロパナール(5.6mL、61.8mmol)のDCM(75mL)中溶液に、臭素(3.2mL、61.8mmol)を滴加した。1時間後、溶液を蒸発させ、室温においてDCM(8ml)中で撹拌し、ピロリジン(0.94mL、11.26mmol)を添加した。4時間撹拌した後、混合物をブラインにより希釈し、層を分離した。有機層を1MのHClにより洗浄し、次いで水層をKOHによりpH=10〜11に塩基性化した。次いで、これをDCMにより抽出し、有機層を合わせ、乾
燥させ(MgSO
4)、濾過し、濃縮して2−メチル−2−ピロリジン−1−イル−プロパナール油状物を油状物として単離した。
【0153】
工程2
室温における(S)−3−(2−((4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)ピロリジン−1−イル)−3−オキソプロパンニトリル(285mg、0.60mmol)、2−メチル−2−ピロリジン−1−イル−プロパナール(719mg、5.1mmol)およびピロリジン(0.23mL、2.8mmol)のDCM(6mL)中混合物に、クロロ(トリメチル)シラン(0.23mL、1.8mmol)を添加した。90分間撹拌した後、溶液を飽和NaHCO
3により希釈し、DCMにより抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、濃縮した。粗製材料をIsolera(10gのカラム:0%〜15%のiPrOH/DCM)により精製して270mgの(S)−2−(2−((4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)ピロリジン−1−カルボニル)−4−メチル−4−(ピロリジン−1−イル)ペント−2−エンニトリルを得た。MS(陽イオン)m/z:595(M+1)。
【0154】
実施例6
2−((R)−3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチル−4−(ピペラジン−1−イル)ペント−2−エンニトリルの合成
【化47】
工程1
250mLの丸底フラスコ中に、2−ブロモ−2−メチルプロパナール(5g、33.11mmol、1.00当量)およびtert−ブチルピペラジン−1−カルボキシレート(18.6g、99.87mmol、3.02当量)のエーテル(80mL)中溶液を装入した。得られた溶液を25℃において一晩撹拌した。固体を濾別した。有機濾液を水により洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮して6gのtert−ブチル4−(2−メチル−1−オキソプロパン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキシレートを白色固体として得た。
【0155】
工程2
100mLの丸底フラスコ中に、3−[(3R)−3−[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]ピペリジン−1−イル]−3−オキソプロパンニトリル(300mg、0.64mmol、1.00当量)、ピペリジン(110mg、1.29mmol、2.03当量)、トルエン(30mL)およびtert−ブチル4−(2−メチル−1−オキソプロパン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキシレート(820mg、3.20mmol、5.03当量)を装入した。得られた溶液を一晩加熱還流した。反応物を水の添加によりクエンチした。得られた溶液を酢酸エチルにより抽出し、有機層を合わせ、ブラインにより洗浄し
、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラム上にアプライし、酢酸エチル/石油エーテル(1:3から1:5)を用いた。これにより、170mgの(R)−tert−ブチル4−(5−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)−4−シアノ−2−メチル−5−オキソペント−3−エン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキシレートを黄色油状物として得た。
【0156】
工程3
0℃に冷却された30mLの丸底フラスコ中に、ジクロロメタン(8mL)、(R)−tert−ブチル4−(5−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)−4−シアノ−2−メチル−5−オキソペント−3−エン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキシレート(170mg、0.24mmol、1.00当量)およびトリフルオロ酢酸(2mL)を装入した。得られた溶液を、25℃において3時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮し、残留物をDCM中で溶解させた。得られた混合物を20mLの水性炭酸カリウムにより洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮して粗製生成物を得た。粗製生成物をエーテルからの再結晶により精製した。これにより、27mgの2−((R)−3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチル−4−(ピペラジン−1−イル)ペント−2−エンニトリルを薄黄色固体として得た。LCMS(ESI、陽イオン)m/z:610(M+1)。
【0157】
実施例7
2−((R)−3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−(3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル)−4−メチルペント−2−エンニトリルの合成
【化48】
工程1
0℃におけるアゼチジン−3−オール塩酸塩(5.11g、46.7mmol、1.0当量)および1H−イミダゾール(9.52g、140mmol、3.0当量)のDCM(100mL)中溶液に、BDPSCl(19.18g、70mmol、1.5当量)を滴加した。得られた混合物を室温において一晩撹拌し、次いで水により希釈し、DCMにより抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。粗製生成物をシリカゲル上でDCM/MeOH=100/1から10/1により溶出させて12gの3−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)アゼチジンを無色油状物として得た。
【0158】
工程2
0℃における2−ブロモ−2−メチルプロパナール(2.14g、14.3mmol、1.0当量)のEt
2O(150mL)中溶液に、3−(tert−ブチルジフェニルシ
リルオキシ)アゼチジン(13.3g、42.9mmol、3.0当量)を滴加した。得られた混合物を、0℃において3時間撹拌した。混合物を水により希釈し、次いでEt
2Oにより抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。粗製生成物をシリカゲル上にアプライし、石油エーテル/酢酸エチル=20/1から5/1を用いた。これにより、2.4g(44%)の2−(3−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)アゼチジン−1−イル)−2−メチルプロパナールを無色油状物として得た。
【0159】
工程3
3−((R)−3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)−3−オキソプロパンニトリル(471mg、1mmol、1.0当量)、2−(3−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)アゼチジン−1−イル)−2−メチルプロパナール(762mg、2mmol、2.0当量)およびピロリジン(284mg、4mmol、4.0当量)のDCM(20mL)中溶液に、クロロトリメチルシラン(216mg、2mmol、2.0当量)を滴加した。得られた混合物を、室温において一晩撹拌した。混合物を濃縮し、粗製生成物をカラムクロマトグラフィーにより酢酸エチル/MeOH=(100/1から20/1)を使用して精製した。これにより、0.3g(36%)の2−((R)−3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−(3−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)アゼチジン−1−イル)−4−メチルペント−2−エンニトリルを薄黄色固体として得た。
【0160】
工程4
2−((R)−3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−(3−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)アゼチジン−1−イル)−4−メチルペント−2−エンニトリル(300mg、0.36mmol、1.0当量)のTHF(8mL)中溶液に、1MのTBAFのTHF中溶液(0.432mL、0.432mmoL)を添加した。得られた混合物を、室温において一晩撹拌した。混合物を濃縮し、粗製生成物を分取HPLCにより精製し、CH
3CN/H
2O(0.05%TFA)により溶出させた。有機相を減圧下で除去し、得られた水溶液を飽和Na
2CO
3溶液により希釈し、DCMにより抽出した。合わせた有機層をブラインにより洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。これにより、18.1mgの2−((R)−3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−(3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル)−4−メチルペント−2−エンニトリルを白色固体として得た。LCMS(ESI、陽イオン)m/z:597(M+1)。
【0161】
実施例8
2−[(2S)−2−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]−メチル]ピロリジン−1−カルボニル]−4−メチル−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ペント−2−エンニトリルの合成
【化49】
2−メチル−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロパナール(108.3mg、0.6400mmol)のMeCN(6mL)中溶液に、ピロリジン(0.11mL、1.27mmol)を添加した。得られた混合物を0℃に冷却し、次いでTMS−Cl(0.11mL、0.85mmol)を添加した。氷浴を除去し、混合物を10分間撹拌してから3−[(2S)−2−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル]ピロリジン−1−イル]−3−オキソ−プロパンニトリル(100mg、0.210mmol)を添加した。混合物を室温において3時間撹拌し、TLCおよびLC−MSにより進行を確認した。この混合物に、15mlの水を添加し、ジクロロメタンにより抽出した。合わせた有機層をブラインにより洗浄し、Na
2SO
4により乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物をTLCプレート上にロードし、MeOH:CH
2Cl
2=9:100を使用して精製して純粋生成物2−[(2S)−2−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル]ピロリジン−1−カルボニル]−4−メチル−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ペント−2−エンニトリル(93mg、0.1491mmol、70.30%収率)を薄黄色粉末として得た。LC−MS(ES、m/z):625[M+H]。
【0162】
実施例8A
上記のとおり進行させたが、2−メチル−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロパナールに代えて2−メチル−2−(4−エチルピペラジン−1−イル)プロパナールを用いることにより、2−[(2S)−2−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]−メチル]ピロリジン−1−カルボニル]−4−メチル−4−(4−エチルピペラジン−1−イル)ペント−2−エンニトリルを合成した。
【0163】
実施例9
2−[(2S)−2−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル]ピロリジン−1−カルボニル]−4−メチル−4−ピペラジン−1−イル−ペント−2−エンニトリルの合成
【化50】
工程1
2−メチルプロパナール(1mL、10.96mmol)を氷浴により冷却しながらDCM(10mL)中で撹拌した。臭素(0.62mL、12.05mmol)を添加漏斗を介して15分の時間にわたりゆっくりと添加した。0℃における撹拌の1時間後、反応物を薄黄色液体に濃縮した。これをDCM(10mL)中で再溶解させ、氷浴により冷却した一方、tert−ブチルピペラジン−1−カルボキシレート(2.04g、10.96mmol)を30分の時間にわたりゆっくりと添加した(5〜10mLのDCMにより希釈)。冷却浴を除去し、反応混合物を室温において一晩撹拌し、混合物をブラインにより洗浄し、次いで残留DCM層をNa
2SO
4により乾燥させ、濾過し、濃縮してtert−ブチル4−(1,1−ジメチル−2−オキソ−エチル)ピペラジン−1−カルボキシレートを薄黄色固体として回収し、それをさらなる精製なしで直接使用した。
【0164】
工程2
tert−ブチル4−(1,1−ジメチル−2−オキソ−エチル)ピペラジン−1−カルボキシレート(326.2mg、1.27mmol)のDCM(6mL)中溶液に、ピロリジン(0.17mL、2.04mmol)を添加した。反応混合物を0℃に冷却し、次いでTMS−Cl(0.13mL、1.02mmol)を添加した。氷浴を除去し、混合物を10分間撹拌してから3−[(2S)−2−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル]ピロリジン−1−イル]−3−オキソ−プロパンニトリル(120mg、0.250mol)を添加した。混合物を室温において4時間撹拌し、その時点においてTLCおよびLC−MSは反応の完了を示した。この混合物に30mlの水を添加し、層を分離し、水層をCH
2Cl
2により抽出した。合わせた有機層をブラインにより洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を真空中で除去した。残留物を最小のCH
2Cl
2中で溶解させ、シリカゲルカラム上にロードし、MeOH/CH
2Cl
2(1/4):EtOAc20〜30%勾配により精製して純粋生成物tert−ブチル4−[4−[(2S)−2−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル]ピロリジン−1−イル]−3−シアノ−1,1−ジメチル−4−オキソ−ブト−2−エニル]ピペラジン−1−カルボキシレートを薄黄色油状物として得た。
【0165】
工程3
氷浴中のジオキサン中4NのHCl(0.5mL、0.050mmol)のTHF(1mL)中溶液に、tert−ブチル4−[4−[(2S)−2−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル]ピロリジン−1−イル]−3−シアノ−1,1−ジメチル−4−オキソ−ブト−2−エニル]ピペラジン−1−カルボキシレート(32.9mg、0.050mmol)を添加した。氷浴を除去し、反応混合物を室温において4時間撹拌し、その時点でTLCおよびLC−MSは反応の完了を示した。混合物を真空中で濃縮し、NaHCO
3に
よりpH6〜7に調整し、水層をCH
2Cl
2により抽出した。合わせた有機層をブラインにより洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を除去して生成物2−[(2S)−2−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル]−ピロリジン−1−カルボニル]−4−メチル−4−ピペラジン−1−イル−ペント−2−エンニトリル(24mg、0.039mmol、85%収率)をオフホワイト色粉末として得た。LC−MS(ES、m/z):610[M+H]。
【0166】
実施例10
2−[(2S)−2−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル]ピロリジン−1−カルボニル]−4−メチル−4−[メチル(オキセタン−3−イル)アミノ]ペント−2−エンニトリルの合成
【化51】
工程1
2−メチルプロパナール(0.5mL、5.48mmol)を、氷浴により冷却しながらDCM(10mL)中で撹拌した。臭素(0.31mL、6.03mmol)を、添加漏斗を介して15分の時間にわたりゆっくりと添加した。0℃における撹拌の1時間後、反応物を薄黄色液体に濃縮した。これをDCM(5mL)中で再溶解させ、氷浴により冷却した一方、N−メチルオキセタン−3−アミン(0.49mL、5.48mmol)を10分の時間にわたりゆっくりと添加した(5〜10mLのDCMにより希釈)。次いで、冷却浴を除去し、反応混合物を室温において一晩撹拌した。混合物をブラインにより洗浄し、次いで残留DCM層を0.5NのHClにより洗浄した。合わせた水層をKOHによりpH10〜11に調整し、CH
2Cl
2により抽出し、合わせた有機層をブラインにより洗浄し、Na
2SO
4により乾燥させ、濾過し、濃縮して2−メチル−2−[メチル(オキセタン−3−イル)アミノ]プロパナールを薄黄色液体として回収した。粗製材料をさらなる精製なしで次の工程において直接使用した。
【0167】
工程2
2−メチル−2−[メチル(オキセタン−3−イル)アミノ]プロパナール(100.0mg、0.6400mmol)のDCM(5mL)中溶液に、ピロリジン(0.06mL、0.760mmol)を添加した。反応混合物を0℃に冷却し、次いでTMS−Cl(0.06mL、0.51mmolを添加し、氷浴を除去し、反応混合物を10分間撹拌してから3−[(2S)−2−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル]ピロリジン−1−イル]−3−オキソ−プロパンニトリル(60mg、0.13mmol)を添加した。混合物を50分間撹拌し、TLCおよびLC−MSを介して進行を確認することにより反応の完了を判断した。反応混合物を15mlの飽和Na
2HCO
3により洗浄し、層を分離した。水層をCH
2Cl
2により抽出し、合わせた有機層をブラインにより洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を除去した。残留物をシリカゲルカラム上にロードし、[MeOH:CH
2Cl
2(1:4)]:EtOAc20%、30%により精製して純粋生成物2−[(2S)−2−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−
フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル]ピロリジン−1−カルボニル]−4−メチル−4−[メチル(オキセタン−3−イル)アミノ]ペント−2−エンニトリル(61.8mg、0.1012mmol、79.5%収率)をオフホワイト色固体として得た。LC−MS(ES、m/z):612[M+H]。
【0168】
実施例10a
【化52】
上記のとおり進行させたが、(R)−3−(2−((4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)ピロリジン−1−イル)−3−オキソプロパンニトリルを、(S)−3−(2−((4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)ピロリジン−1−イル)−3−オキソプロパンニトリルに代えて用いることにより、(R)−2−(2−((4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)ピロリジン−1−カルボニル)−4−(メチル(オキセタン−3−イル)アミノ)−4−メチルペント−2−エンニトリルを得た。LC−MS(ES、m/z):612[M+H]。
【0169】
実施例10b
(S)−2−(2−((4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)ピロリジン−1−カルボニル)−4−(エチル(オキセタン−3−イル)アミノ)−4−メチルペント−2−エンニトリル
【化53】
上記のとおり進行させたが、N−エチルオキセタン−3−アミンを、N−メチルオキセタン−3−アミンに代えて用いることにより、(S)−2−(2−((4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)ピロリジン−1−カルボニル)−4−(エチル(オキセタン−3−イル)アミノ)−4−メチルペント−2−エンニトリルを得た。LC−MS(ES、m/z):626[M+H]。
【0170】
実施例11
2−[(2S)−2−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル]ピロリジン−1−カルボニル]−4−メチル−4−(オキセタン−3−イルアミノ)ペント−2−エンニトリルの合成
【化54】
工程1
2−メチルプロパナール(0.5mL、5.48mmol)を、氷浴により冷却しながらDCM(10mL)中で撹拌した。臭素(0.31mL、6.03mmol)を、添加漏斗を介して15分の時間にわたりゆっくりと添加した。0℃における撹拌の1時間後、反応物を薄黄色液体に濃縮した。これを氷浴により冷却されたDCM(5mL)中で再溶解させた一方、オキセタン−3−アミン(0.39mL、5.48mmol)を、10分の時間にわたりゆっくりと添加し(5〜10mLのDCMにより希釈)、次いで冷却浴を除去し、反応混合物を室温において一晩撹拌した。次いで、混合物をブラインにより洗浄し、残留DCM層を0.5NのHClにより洗浄した。合わせた水層をKOHによりpH10〜11に調整し、CH
2Cl
2により抽出し、合わせた有機層をブラインにより洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、濃縮して2−メチル−2−(オキセタン−3−イルアミノ)プロパナールを薄黄色液体として回収した。粗製材料を、さらなる精製なしで次の工程において直接使用した。
【0171】
工程2
2−メチル−2−(オキセタン−3−イルアミノ)プロパナール(106.3mg、0.7400mmol)のDCM(5mL)中溶液に、ピロリジン(0.07mL、0.890mmol)を添加した。反応混合物を0℃に冷却し、次いでTMS−Cl(0.08mL、0.59mmol)を添加した。氷浴を除去し、反応混合物を室温において10分間撹拌してから3−[(2S)−2−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル]ピロリジン−1−イル]−3−オキソ−プロパンニトリル(70mg、0.1500mmol)を添加した。混合物を50分間撹拌し、その時点においてTLCおよびLC−MSを確認することによりそれの完了を判断した。混合物を飽和Na
2HCO
3により洗浄し、層を分離した。水層をCH
2Cl
2により抽出し、合わせた有機層をブラインにより洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を除去した。残留物をシリカゲルプレート上にロードし、[MeOH:CH
2Cl
2(1:4)]:EtOAc50%、60%によりフラッシュして純粋生成物2−[(2S)−2−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル]ピロリジン−1−カルボニル]−4−メチル−4−(オキセタン−3−イルアミノ)ペント−2−エンニトリル(35.6mg、0.0597mmol、40.2%収率)をオフホワイト色固体として得た。LC−MS(ES、m/z):598[M+H]。
【0172】
実施例11a
(R)−2−(2−((4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)ピロリジン−1−カルボニル)−4−メチル−4−(オキセタン−3−イルアミノ)ペント−2−エンニトリルの合成
【化55】
上記のとおり進行させたが、3−[(2R)−2−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル]ピロリジン−1−イル]−3−オキソ−プロパンニトリルを、3−[(2S)−2−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル]ピロリジン−1−イル]−3−オキソ−プロパンニトリルに代えて用いることにより、(R)−2−(2−((4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)ピロリジン−1−カルボニル)−4−メチル−4−(オキセタン−3−イルアミノ)ペント−2−エンニトリルを得た。LC−MS(ES、m/z):598[M+H]。
【0173】
実施例12
2−[2−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル]アゼチジン−1−カルボニル]−4−メチル−ペント−2−エンニトリルの合成
【化56】
工程1
氷浴中の3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン(300mg、0.930mmol)、tert−ブチル2−(ヒドロキシメチル)アゼチジン−1−カルボキシレート(0.33mL、1.9mmol)およびPPh
3(733.86mg、2.8mmol)のTHF(10mL)中混合物に、DIAD(0.37mL、1.87mmol)を5mlのTHF中溶液としてゆっくりと添加した。混合物を室温において一晩撹拌し、次いで溶媒を除去した。残留物に、H
2Oを添加し、混合物をEtOAcにより抽出した。合わせた有機層をNaHCO
3、次いでブラインにより洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させた。溶媒を除去して重量800mgのtert−ブチル2−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル]アゼチジン−1−カルボキシレートを得、それをさらなる精製なしで次の工程に使用した。
【0174】
工程2
氷浴中のDCM(4mL)中で溶解させた粗製tert−ブチル2−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル]アゼチジン−1−カルボキシレート(800mg、1.63mmol)に、TFA(2mL)をゆっくりと滴加し、10分間撹拌し、その時点において出発材料はTLC分析により残留しなかった。溶媒を除去し、EtOAcを添加し、それを2MのHClにより洗浄した。合わせた水溶液をNaOHによりpH約10に調整し、水層をEtOAcにより抽出した。合わせた有機層をブラインにより洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、溶媒を除去して450mgの1−(アゼチジン−2−イルメチル)−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミンを得、それをさらなる精製なしで次の工程において直接使用した。
【0175】
工程3
2−シアノ−4−メチル−ペント−2−エン酸(30.7mg、0.220mmol)、1−(アゼチジン−2−イルメチル)−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン(57.5mg、0.150mmolのDCM(2mL)中溶液に、PyAOP(86.2mg、0.160mmol)およびTEA(0.06mL、0.440mmol)を添加し、得られた黄色溶液を室温において1時間撹拌した。LCMSは、反応の完了を示し、粗製混合物を精製のためにシリカゲルカートリッジ上に直接ロードした(3から5%のMeOH:CH
2Cl
2)。最も澄明な分画からの溶媒の除去により、LCMSにより判断されたとおり30mgの所望化合物2−[2−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル]アゼチジン−1−カルボニル]−4−メチル−ペント−2−エンニトリル(30mg、0.0586mmol、39.8%収率)を得た。(M+1=512)。
【0176】
実施例13
2−[(3R)−3−[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]ピペリジン−1−カルボニル]−4−メチル−4−[メチル(オキセタン−3−イル)アミノ]ペント−2−エンニトリルの合成
【化57】
2−メチル−2−[メチル(オキセタン−3−イル)アミノ]プロパナール(66.69mg、0.42mmol)、3−[(3R)−3−[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]−1−ピペリジル]−3−オキソ−プロパンニトリル(100mg、0.2100mmol)およびピロリジン(0.1mL、1.27mmol)の混合物を、室温において10分間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、次いでTMS−Cl(0.11mL、0.85mmol)を添加した。氷浴を除去し、反応混合物を室温においてさらに1時間撹拌し、TLCおよびLC−MSにより進行を確認した。溶媒を除去し、得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(MeOH、CH
2Cl
2、MeOH勾配0から10%により精製して2−[(3R)−3−[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]ピペリジン−1−カルボニル]−4−メチル
−4−[メチル(オキセタン−3−イル)アミノ]ペント−2−エンニトリル(118.5mg)を白色粉末として得た。LC−MS(ES、m/z):612[M+H]。
【0177】
実施例13a
(R)−2−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−(エチル(オキセタン−3−イル)アミノ)−4−メチルペント−2−エンニトリルの合成
【化58】
上記のとおり進行させたが、N−エチルオキセタン−3−アミンを、N−メチルオキセタン−3−アミンに代えて用いることにより、(R)−2−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−(エチル(オキセタン−3−イル)アミノ)−4−メチルペント−2−エンニトリルを得た。LC−MS(ES、m/z):626[M+H]。
【0178】
実施例13b
(S)−2−(2−((4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)ピロリジン−1−カルボニル)−4−(シクロプロピル(オキセタン−3−イル)アミノ)−4−メチルペント−2−エンニトリルの合成
【化59】
実施例13に記載のとおり進行させたが、N−シクロプロピルオキセタン−3−アミンを、N−メチルオキセタン−3−アミンに代えて用いることにより、(S)−2−(2−((4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)ピロリジン−1−カルボニル)−4−(シクロプロピル(オキセタン−3−イル)アミノ)−4−メチルペント−2−エンニトリルを得た。LC−MS(ES、m/z):626[M+H]。
【0179】
実施例14
2−[3−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル]アゼチジン−1−カルボニル]−4−メ
チル−ペント−2−エンニトリルの合成
【化60】
工程1
3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン(500mg、1.56mmol)、PPh
3(1.22g、4.67mmol)およびtert−ブチル3−(ヒドロキシメチル)アゼチジン−1−カルボキシレート(437mg、2.33mmol)のTHF(10mL)中混合物を氷浴中で冷却し、5mlのTHF中のDIAD(0.61mL、3.11mmol)を反応混合物に滴加した。混合物を5時間撹拌した。残留物に30mlの水を添加し、水層をEtOAcにより抽出した。合わせた有機層をブラインにより洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を除去し、粗製tert−ブチル3−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル]アゼチジン−1−カルボキシレートを次の工程において直接使用した。
【0180】
工程2
DCM(2mL)中のtert−ブチル3−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル]アゼチジン−1−カルボキシレート(780mg)を、氷浴中で冷却した。これに、TFA(4mL、1.59mmol)を添加し、氷浴を除去し、反応混合物を室温において1時間撹拌し、TLCおよびLC−MSにより反応を確認した。2時間後、溶媒を除去し、残留物に水を添加した。水層をEtOAcにより抽出し、合わせた有機層を2NのHClにより洗浄した。合わせた水層をNaOHによりpH9〜10に調整し、EtOAcにより抽出し、合わせた有機層をブラインにより洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過した。溶媒を除去して1−(アゼチジン−3−イルメチル)−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミンを得、それをさらなる精製なしで次の工程において使用した。
【0181】
工程3
2−シアノ−4−メチル−ペント−2−エン酸(48.12mg、0.350mmol)及び1−(アゼチジン−3−イルメチル)−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン(90mg、0.230mmol)のDCM(2mL)中溶液に、PyAOP(134.9mg、0.250mmol)およびTEA(0.1mL、0.690mmol)を添加し、得られた黄色溶液を室温において1時間撹拌した。LCMSは反応の完了を示し、粗製混合物を精製のためにシリカゲルカートリッジ上に直接ロードした(0.2から3%のMeOH:CH
2Cl
2)。最も澄明な分画からの溶媒の除去により、2−[3−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル]アゼチジン−1−カルボニル]−4−メチル−ペント−2−エンニトリルを得た(12mg LCMS。(M+1=512)。
【0182】
実施例15
2−[2−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ
[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル]アゼチジン−1−カルボニル]−4−メチル−4−モルホリノ−ペント−2−エンニトリルの合成
【化61】
工程1
氷浴中の1−(アゼチジン−2−イルメチル)−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン(236.4mg、0.610mmol)、2−シアノ酢酸(77.2mg、0.910mmol)のDCM(8mL)中混合物に、T3P(0.36mL、1.21mmol)およびTEA(0.34mL、2.42mmol)を添加した。氷浴を除去し、反応混合物を室温において一晩撹拌した。反応混合物をシリカゲルカラム上にロードし、0〜3%勾配のMeOH:CH
2CL
2により精製して3−[2−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル]アゼチジン−1−イル]−3−オキソ−プロパンニトリル(201mg)を黄色油状物として得た。
【0183】
工程2
氷浴中の3−[2−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル]アゼチジン−1−イル]−3−オキソ−プロパンニトリル(90.6mg、0.200mmol)、2−メチル−2−モルホリノ−プロパナール(98.3mg、0.590mmol)のDCM(2mL)中混合物に、ピロリジン(pyrrodidine)(0.1mL、1.19mmol)およびTMS−Cl(0.1mL、0.79mmol)を添加した。氷浴を除去し、反応混合物を室温において1時間撹拌し、反応混合物をシリカゲルプレート上に直接ロードし、EtOH:CH
2Cl
25%により精製して純粋生成物2−[2−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル]アゼチジン−1−カルボニル]−4−メチル−4−モルホリノ−ペント−2−エンニトリル(23mg)を白色粉末として得た。LC−MS(ES、m/z):597[M+H]。
【0184】
実施例16
2−[2−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル]アゼチジン−1−カルボニル]−4−メチル−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ペント−2−エンニトリルの合成
【化62】
氷浴中の3−[2−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル]アゼチジン−1−イル]−3−オキソ−プロパンニトリル(100.6mg、0.220mmol)および2−メチル−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロパナール(118.2mg、0.660mmol)のDCM(5mL)中混合物に、ピロリジン(0.11mL、1.32mmol)およびTMS−Cl(0.11mL、0.880mmol)を添加した。氷浴を除去し、反応混合物を室温において1時間撹拌した。粗製反応混合物をシリカゲルプレート上にロードし、MeOH:CH
2Cl
2により精製して2−[2−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル]アゼチジン−1−カルボニル]−4−メチル−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ペント−2−エンニトリル(19mg)を白色粉末として得た。LC−MS(ES、m/z):610[M+H]。
【0185】
実施例17
2−[3−[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]アゼチジン−1−カルボニル]−4−メチル−ペント−2−エンニトリルの合成
【化63】
工程1
3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン(3g、11.49mmol)、PPh3(9.03g、34.5mmol)tert−ブチル3−ヒドロキシアゼチジン−1−カルボキシレート(2.09g、12.1mmol)のTHF(60mL)中混合物を、氷浴中で冷却した。滴下漏斗中の30mlのTHF中のDIAD(4.52mL、23.0mmol)を反応混合物にゆっくりと添加し、反応混合物を一晩撹拌した。溶媒を除去し、H
2Oを添加した。水層をEtOAcにより抽出し、合わせた有機層をブラインにより洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を除去してtert−ブチル3−[3−ヨード−4−[(トリフェニル−{5}−ホスファニリデン)アミノ]ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]アゼチジン−1−カルボキシレートを得、それを次の工程にそのまま使用した。
【0186】
工程2
tert−ブチル3−[3−ヨード−4−[(トリフェニル−{5}−ホスファニリデン)アミノ]−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]アゼチジン−1−カルボキシレート(1.2g、1.77mmol)、(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ボロン酸(0.82g、3.55mmol)、テトラキス(トリフェニルホスファン)パラジウム(0)(102.4mg、0.089mmol)およびK
2CO
3(514mg、3.73mmol)の1,4ジオキサン(16ml)およびH
2O(4ml)中混合物を、Ar
2により15分間フラッシュした。反応管を密封し、マイクロ波オーブン中で180℃において2時間15分加熱した。溶媒を除去し、水およびEtOAcを添加した。混合物をceliteに通して濾過し、分離した。水層をEtOAcにより抽出し、
合わせた有機層をブラインにより洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を除去して粗製tert−ブチル3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−カルボキシレート(800mg)を得、それを次の工程において直接使用した。
【0187】
工程3
TFA(8mL)中のtert−ブチル3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−カルボキシレート(800mg)を、1時間撹拌した。残留物にEtOAcおよび水を添加し、層を分離した。水層をEtOAcにより抽出し、合わせた有機層を約50mlに蒸発させ、2MのHClにより洗浄した。合わせた水層をNaOHによりpH8〜9に調整し、EtOAcにより抽出し、合わせた有機層をブラインにより洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させた。溶媒を除去して600mgの1−(アゼチジン−3−イル)−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミンを得た。
【0188】
工程4
1−(アゼチジン−3−イル)−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン(80mg、0.210mmol、2−シアノ−4−メチル−ペント−2−エン酸(44.4mg、0.320mmol)、PyAOP(121.9mg、0.230mmol)およびTEA(0.09mL、0.640mmol)のDCM(3mL)中混合物を、室温において一晩撹拌した。溶媒を除去し、残留物をシリカゲルプレート上で6:94のMeOH:CH
2Cl
2を使用して精製して2−[3−[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]アゼチジン−1−カルボニル]−4−メチル−ペント−2−エンニトリル(34mg)を白色粉末として得た。LC−MS(ES、m/z):498[M+H]。
【0189】
実施例18
(R)−2−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−4−メチルペント−2−エンニトリルの合成
【化64】
工程1
氷浴中で冷却された2−メチルプロパナール(0.82mL、9.0mmol)のDCM(10mL)中溶液に、臭素(0.5mL、9.9mmol)を10分の時間にわたり添加した。1.5時間後、反応物を1.4gの重量に濃縮し、次いでDCM(10mL)中で室温において再撹拌した。これに、DCM(7mL)中で溶解させたピペリジン−4−オール(1.82g、18.0mmol)を添加した。反応物を室温において一晩撹拌
し、次いでDCMにより希釈し、水性NaHCO
3および0.5NのHClにより洗浄した。次いで、水性酸層をNaOHによりpH=12に調整した。白色沈殿物/油状物が形成され、次いで、水層をDCMにより洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、濃縮して0.49gの2−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−2−メチルプロパナールを黄色油状物として回収した。
【0190】
工程2
(R)−3−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)−3−オキソプロパンニトリル(150mg、0.31mmol)、2−(4−ヒドロキシ−1−ピペリジル)−2−メチル−プロパナール(167mg、0.98mmol)、ピロリジン(0.03mL、0.31mmol)およびDCM(10mL)の混合物を、室温において2日間撹拌し、次いで水性NaHCO
3(40mL)により希釈し、DCMにより抽出した。有機物を乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、油状物に濃縮した。粗製材料をIsolera(25gのカラム:30%のiPrOH/DCM)により精製して生成物を得、それを凍結乾燥により単離して61mg(32%収率)の(R)−2−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−4−メチルペント−2−エンニトリルを粉末として提供した。MS(陽イオン)m/z:625(M+1)。
【0191】
実施例19
2−[(3R)−3−[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]ピペリジン−1−カルボニル]−4−メチル−4−(6−オキサ−2−アザスピロ[3.3]ヘプタン−2−イル)ペント−2−エンニトリルの合成
【化65】
工程1
氷浴中で冷却された2−メチルプロパナール(5.6mL、61.8mmol)のDCM(75mL)中溶液に、臭素(3.2mL、61.8mmol)を滴加した。1時間後、得られた2−ブロモ−2−メチルプロパナール溶液を8.5gの重量に蒸発させた。この材料をDCM(8ml)中で室温において撹拌し、6−オキサ−2−アザスピロ[3.3]ヘプタン;1/2オキサレート(1.57mL、7.19mmol)をTEA(10mL)およびMeOH(3mL)とともに添加した。2日間撹拌した後、混合物をブライン(30mL)により希釈し、層を分離した。有機層を1MのHCl(50mL)により洗浄し、次いで水層をKOHによりpH=10〜11に塩基性化した。次いで、これをDCMにより抽出し、有機層を合わせ、乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、濃縮して2−メチル−2−(6−オキサ−2−アザスピロ[3.3]ヘプタン−2−イル)プロパナールを油状物として単離し、次の工程において直接使用した。
【0192】
工程2
室温における(R)−3−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イ
ル)−3−オキソプロパンニトリル(222mg、0.46mmol)、2−メチル−2−(6−オキサ−2−アザスピロ[3.3]ヘプタン−2−イル)プロパナール(231.17mg、1.37mmol)およびピロリジン(0.23mL、2.73mmol)のDCM(10mL)中混合物に、クロロ(トリメチル)シラン(0.17mL、1.37mmol)を添加した。2時間撹拌した後、溶液を飽和NaHCO
3により希釈し、DCMにより抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、濃縮した。粗製材料をクロマトグラフィーにより精製して133mgの2−[(3R)−3−[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]ピペリジン−1−カルボニル]−4−メチル−4−(6−オキサ−2−アザスピロ[3.3]ヘプタン−2−イル)ペント−2−エンニトリルを得た。MS(陽イオン)m/z:623(M+1)。
【0193】
実施例19a
(S)−2−(2−((4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)ピロリジン−1−カルボニル)−4−メチル−4−(2−オキサ−6−アザスピロ[3.3]ヘプタン−6−イル)ペント−2−エンニトリルの合成
【化66】
上記のとおり進行させたが、(S)−3−(2−((4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)ピロリジン−1−イル)−3−オキソプロパンニトリルを、(R)−3−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)−3−オキソプロパンニトリルに代えて用いることにより、2−[(2S)−2−[[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]メチル]ピペリジン−1−カルボニル]−4−メチル−4−(6−オキサ−2−アザスピロ[3.3]ヘプタン−2−イル)ペント−2−エンニトリルを得た。MS(陽イオン)m/z:623(M+1)。
【0194】
実施例20
2−[(3R)−3−[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]−ピリミジン−1−イル]ピペリジン−1−カルボニル]−4−(4−エチルピペラジン−1−イル)−4−メチル−ペント−2−エンニトリルの合成
【化67】
工程1
実施例5において調製された2−ブロモ−2−メチル−プロパナール(2504mg、16.58mmol)の15mLのDCM中冷却(0℃)溶液に、1−エチルピペラジン(2.53mL、19.9mmol)およびTEA(2.31mL、16.58mmol)を添加し、溶液を室温において24時間撹拌した。混合物を1NのHCl(50mL)およびDCM(50mL×2)により後処理した。水性物をKOHによりpH約11に塩基性化し、DCM(50mL×3)により洗浄した。有機層を飽和塩化ナトリウムにより洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、次いで濃縮して2−(4−エチルピペラジン−1−イル)−2−メチル−プロパナール(90%収率)を油状物として得た。
【0195】
工程2
3−[(3R)−3−[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]−1−ピペリジル]−3−オキソ−プロパンニトリル(0.32mL、0.57mmol) DCM(20mL)、2−(4−エチルピペラジン−1−イル)−2−メチル−プロパナール(211.84mg、1.15mmol)およびピロリジン(0.14mL、1.72mmol)の溶液を室温において10分間撹拌し、次いでクロロ(トリメチル)シラン(0.29mL、2.3mmol)を添加した。混合物を室温において18時間撹拌しておいた。混合物を飽和NaHCO
3(50mL)およびDCM(50mL×2)により後処理し、飽和塩化ナトリウムにより洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、濃縮して油状物を得、それをシリカゲル(5%〜50%のiPA/DCM)上で精製して2−[(3R)−3−[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]ピペリジン−1−カルボニル]−4−(4−エチルピペラジン−1−イル)−4−メチル−ペント−2−エンニトリル265mg(72.3%収率)を得た。MS(陽イオン)m/z:638(M+1)。
【0196】
実施例21
(R)−2−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−(4−イソプロピルピペラジン−1−イル)−4−メチルペント−2−エンニトリルの合成
【化68】
実施例20において上記のとおり進行させたが、工程1において1−イソプロピルピペ
ラジンを、1−エチルピペラジンに代えて用いることにより、(R)−2−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−(4−イソプロピルピペラジン−1−イル)−4−メチルペント−2−エンニトリルを得た。MS(陽イオン)m/z:653(M+1)。
【0197】
実施例22
(R)−2−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−(4−(tert−ブチル)ピペラジン−1−イル)−4−メチルペント−2−エンニトリルの合成
【化69】
実施例20において上記のとおり進行させたが、工程1において1−(tert−ブチル)ピペラジンを、1−エチルピペラジンに代えて用いることにより、(R)−2−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−(4−(tert−ブチル)ピペラジン−1−イル)−4−メチルペント−2−エンニトリルを得る。MS(陽イオン)m/z:668(M+1)。
【0198】
実施例23
(R)−2−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−(4−(2−メトキシエチル)ピペラジン−1−イル)−4−メチルペント−2−エンニトリルの合成
【化70】
実施例20において上記のとおり進行させたが、工程1において1−(2−メトキシエチル)ピペラジンを、1−エチルピペラジンに代えて用いることにより、(R)−2−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−(4−(2−メトキシエチル)ピペラジン−1−イル)−4−メチルペント−2−エンニトリルを得る。MS(陽イオン)m/z:668(M+1)。
【0199】
実施例24
(R)−2−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1
H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチル−4−(4−メチル−3−オキソピペラジン−1−イル)ペント−2−エンニトリルの合成
【化71】
実施例20において上記のとおり進行させたが、工程1において1−メチルピペラジン−2−オンを、1−エチルピペラジンに代えて用いることにより、(R)−2−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチル−4−(4−メチル−3−オキソピペラジン−1−イル)ペント−2−エンニトリルを得る。MS(陽イオン)m/z:638(M+1)。
【0200】
実施例25
(R)−2−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチル−4−(4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)ペント−2−エンニトリルの合成
【化72】
実施例20において上記のとおり進行させたが、工程1において1−(メチルスルホニル)ピペラジンを、1−エチルピペラジンに代えて用いることにより、(R)−2−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチル−4−(4−(メチルスルホニル)−ピペラジン−1−イル)ペント−2−エンニトリルを得る。MS(陽イオン)m/z:688(M+1)。
【0201】
実施例26
(R)−2−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチル−4−(4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペラジン−1−イル)ペント−2−エンニトリルの合成
【化73】
実施例20において上記のとおり進行させたが、工程1において1−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペラジンを、1−エチルピペラジンに代えて用いることにより、(R)−2−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチル−4−(4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペラジン−1−イル)ペント−2−エンニトリルを得る。MS(陽イオン)m/z:692(M+1)。
【0202】
実施例27
2−((R)−3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチル−4−((3S,5R)−3,4,5−トリメチルピペラジン−1−イル)ペント−2−エンニトリルの合成
【化74】
実施例20において上記のとおり進行させたが、工程1において(2S,6R)−1,2,6−トリメチルピペラジンを、1−エチルピペラジンに代えて用いることにより、2−((R)−3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチル−4−((3S,5R)−3,4,5−トリメチル−ピペラジン−1−イル)ペント−2−エンニトリルを得る。MS(陽イオン)m/z:652(M+1)。
【0203】
実施例28
2−((R)−3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−((3S,5R)−3,5−ジメチルピペラジン−1−イル)−4−メチルペント−2−エンニトリルの合成
【化75】
工程1および2
実施例20において上記のとおり進行させたが、工程1において(2S,6R)−tert−ブチル2,6−ジメチルピペラジン−1−カルボキシレートを、1−エチルピペラジンに代えて用いることにより、(2S,6R)−tert−ブチル4−(5−((R)−3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)−4−シアノ−2−メチル−5−オキソペント−3−エン−2−イル)−2,6−ジメチルピペラジン−1−カルボキシレートを得る。
【0204】
工程3
(2S,6R)−tert−ブチル4−(5−((R)−3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)−4−シアノ−2−メチル−5−オキソペント−3−エン−2−イル)−2,6−ジメチルピペラジン−1−カルボキシレート(103.5mg、0.1400mmol)を、ジオキサン中4NのHCl中で溶解させ、室温において3時間撹拌した。溶媒を除去し、2mLのMeOHを残留物に添加した。混合物をpH約7〜8に中和し、DCMにより抽出した。合わせた有機層をブラインにより洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させて純粋生成物2−((R)−3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−((3S,5R)−3,5−ジメチルピペラジン−1−イル)−4−メチルペント−2−エンニトリルを白色固体として得た。MS(陽イオン)m/z:638(M+1)。
【0205】
実施例29
(R)−2−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−(5,6−ジヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−7(8H)−イル)−4−メチルペント−2−エンニトリルの合成
【化76】
実施例20において上記のとおり進行させたが、工程1において5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジンを、1−エチルピペラジンに代えて用いることにより、(R)−2−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニ
ル)−4−(5,6−ジヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−7(8H)−イル)−4−メチルペント−2−エンニトリルを得る。MS(陽イオン)m/z:647(M+1)。
【0206】
実施例30
(S)−2−(2−((4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)ピロリジン−1−カルボニル)−4,4−ジメチル−5−モルホリノペント−2−エンニトリルの合成
【化77】
実施例5、工程2におけるとおり進行させたが、2,2−ジメチル−3−モルホリノ−プロパナールを、2−メチル−2−(ピロリジン−1−イル)プロパナールに代えて用いることにより、(S)−2−(2−((4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)ピロリジン−1−カルボニル)−4,4−ジメチル−5−モルホリノペント−2−エンニトリルを得る。MS(陽イオン)m/z:625(M+1)。
【0207】
実施例31
(R)−2−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチル−4−(4−(オキセタン−3−イル)ピペラジン−1−イル)ペント−2−エンニトリルの合成
【化78】
工程1
2−ブロモ−2−メチル−プロパナール(696.6mg、4.61mmol)のDCM(10mL)中溶液を氷浴により冷却し、5〜10mLのDCMにより希釈された1−(オキセタン−3−イル)ピペラジン(328mg、2.31mmol)を添加漏斗を介して15分の時間にわたりゆっくりと添加した。次に、ヒューニッヒ塩基(0.4mL、2.31mmol)を添加し、次いで冷却浴を除去した。反応混合物を室温において一晩撹拌し、DCM層を0.5NのHClにより3回洗浄した。合わせた水層をNaOHによりpH10〜11に中和し、DCMにより抽出した。合わせた有機層をブラインにより洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させた。濾過および溶媒の除去により、2−メチル−2−[4−(オキセタン−3−イル)ピペラジン−1−イル]プロパナールを薄黄色液体として
得、それをさらなる精製なしで次の工程において直接使用した。
【0208】
工程2
3−[(3R)−3−[4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]−1−ピペリジル]−3−オキソ−プロパンニトリル(80mg、0.17mmol)の冷却(0℃)溶液に、DCM(10mL)中の2−メチル−2−[4−(オキセタン−3−イル)ピペラジン−1−イル]プロパナール(約108mg、0.51mmol)、次いでピロリジン(0.08mL、1.02mmol)およびTMS−Cl(0.09mL、0.68mmol)を添加した。氷浴を除去し、反応物を1時間撹拌した。溶媒のほとんどを除去し、残留物をクロマトグラフィーにより精製し、95:5のCH
2Cl
2:MeOHを使用して79mgの(R)−2−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]−ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチル−4−(4−(オキセタン−3−イル)ピペラジン−1−イル)ペント−2−エンニトリルを白色固体として得た。MS(陽イオン)m/z:666(M+1)。
【0209】
実施例32
(R)−4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)−2−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチルペント−2−エンニトリルの合成
【化79】
実施例31において上記のとおり進行させたが、工程1において1−(ピペラジン−1−イル)エタノンを、1−(オキセタン−3−イル)ピペラジンに代えて用いることにより、(R)−4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)−2−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチルペント−2−エンニトリルを得る。MS(陽イオン)m/z:652(M+1)。
【0210】
実施例33
(R)−メチル4−(5−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)−4−シアノ−2−メチル−5−オキソペント−3−エン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキシレートの合成
【化80】
実施例31において上記のとおり進行させたが、工程1においてメチルピペラジン−1−カルボキシレートを、1−(オキセタン−3−イル)ピペラジンに代えて用いることにより、(R)−メチル4−(5−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)−4−シアノ−2−メチル−5−オキソペント−3−エン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキシレートを得る。MS(陽イオン)m/z:668(M+1)。
【0211】
実施例34
(R)−2−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−(4−エチル−3−オキソピペラジン−1−イル)−4−メチルペント−2−エンニトリルの合成
【化81】
工程1
tert−ブチル3−オキソピペラジン−1−カルボキシレート(10g、49.9mmol)の250mLのDMF中スラリーに、NaH(鉱油中60%)(2.1g、52.4mmol)を分けて添加した。混合物を添加の完了後15分間撹拌し、0℃に冷却し、ヨードエタン(5.62mL、69.92mmol)を約3分間にわたりゆっくりと添加した。得られた懸濁液を、室温において2時間撹拌した。水をゆっくりと添加し(400mL)、次いで250mLの1:1酢酸エチル:ジエチルエーテルを添加した。層を分離し、次いで有機相をブラインにより洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮してtert−ブチル4−エチル−3−オキソピペラジン−1−カルボキシレートを重量6.4gの無色油状物として得、それを次の工程において直接使用した。
【0212】
工程2
tert−ブチル4−エチル−3−オキソ−ピペラジン−1−カルボキシレート(4.5g、19.9mmol)の1,4−ジオキサン(10mL)中溶液に、10mLの4.0MのHCl/ジオキサンを添加した。室温において1時間撹拌した後、追加の5mLのジオキサン中HClを添加し、数mLのMeOHを添加した。反応物をさらに1時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。ジクロロメタンを添加し、溶媒を除去して生成物を重量2
.2gの泡状物として得た。これをジクロロメタンおよび水性炭酸ナトリウム間で分配した。有機相を水により洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して1−エチルピペラジン−2−オンを泡状物として得た。
【0213】
工程3および4
実施例31におけるとおり進行させたが、工程1において1−エチルピペラジン−2−オンを、1−(オキセタン−3−イル)ピペラジンに代えて用いることにより、(R)−2−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−(4−エチル−3−オキソピペラジン−1−イル)−4−メチルペント−2−エンニトリルを得る。MS(陽イオン)m/z:652(M+1)。
【0214】
実施例35
(R)−2−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチル−4−(3−オキソピペラジン−1−イル)ペント−2−エンニトリルの合成
【化82】
実施例31において上記のとおり進行させたが、工程1においてピペラジン−2−オンを、1−(オキセタン−3−イル)ピペラジンに代えて用いることにより、(R)−2−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチル−4−(3−オキソピペラジン−1−イル)ペント−2−エンニトリルを得る。MS(陽イオン)m/z:624(M+1)。
【0215】
生物実施例
実施例1
Btk酵素活性アッセイ
Caliperベースキナーゼアッセイ(Caliper Life Sciences、Hopkinton、MA)を使用して、本開示の化合物のBtkキナーゼ活性の阻害を計測した。試験化合物の段階希釈物を、ヒト組換えBtk(0.5nM)、ATP(16μM)およびホスホアクセプターペプチド基質FAM−GEEPLYWSFPAKKK−NH
2(1μM)と室温において3時間インキュベートした。次いで、反応をEDTAにより終了させ、最終濃度20mMおよびリン酸化反応生成物をCaliper Desktop Profiler(Caliper LabChip 3000)上で定量した。阻害パーセントは、それぞれの化合物希釈物について計算し、50%の阻害を生成する濃度を計算した。この値をIC
50として表す。本開示のある化合物についてのIC
50を以下に提供する。
【0216】
【表1】
【0217】
実施例2
ヒトRamos B細胞系におけるBTKエンゲージメントの計測
BTK活性の阻害についての化合物の効力は、BTKを含有するヒトRamos B細胞中での標的への化合物の結合により評価することができる。BTK占有の程度は、細胞を化合物により処理し、プローブとしてのN−(2−(4−((E)−4−((R)−3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)−4−オキソブト−2−エン−1−イル)ピペラジン−1−イル)エチル)−6−(6−(5−(2−オキソヘキサヒドロ−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−4−イル)ペンタンアミド)ヘキサンアミド)ヘキサンアミドの結合を介して未占有BTKを検出した後に計測する。
【0218】
手短に述べると、Ramos細胞を96ウェルプレートにウェル当たり10
6個の細胞の密度において添加した。効力について試験すべき化合物の段階希釈物を、最終濃度が1μMにおいて出発し、合計8つの段階希釈物について3倍段階希釈されるように添加した。最終DMSO濃度は、それぞれのウェルにおいて0.09%であった。化合物を細胞と
1時間相互作用させておいた。次いで、BTK選択プローブをそれぞれのウェルに330nMの最終濃度で添加した。プローブによる処理は1時間であった。次いで、細胞を遠心分離により回収し、氷上で15〜30分間溶解させた。次いで、BTKへのプローブの結合を、Alphascreen(Perkin Elmer)によりBTKプローブ上の特異的標的についてのキットを使用して検出した。次いで、それぞれの化合物濃度におけるBTKの占有パーセントを、標識プローブにより結合されている未占有BTKの検出に基づき計算した。次いで、BTK占有率を化合物濃度の対数の関数としてプロットし、IC
50値を計算した。BTK占有率を計測するためのアッセイを改変して化合物を培養培地から除去し、細胞を様々な時間インキュベートし、次いで上記のとおり残留占有率を計測することにより細胞中でのBTK結合の持続性を計測した。持続性計測について、18時間のウォッシュアウト後の本明細書に開示の化合物(実施例番号9、14、15、3、16、17、10a、13b、30、22および26に開示の化合物を除く)について占有率の範囲は、約3〜80%であった。
【0219】
実施例3
ヒト全血試料におけるCD69発現の遮断
B細胞受容体の活性化は、BTK活性の増加、カルシウム動員およびB細胞活性化をもたらす(Honigberg L.A.,et.al.,Proc Natl Acad
Sci USA.107:13075−80.2010参照)。BTK阻害剤は、CD69発現により計測されるとおりB細胞活性化を遮断することが示されている(Karp,R.,et.al.,Inhibition of BTK with AVL−292 Translates to Protective Activity in Animal Models of Rheumatoid Arthritis.Inflammation Research Association Meeting,Sept,2010参照)。CD69を、全血におけるBTK活性の尺度としてB細胞活性化後に発現させた。全血のアリコートを試験化合物の段階希釈物と30分間プレインキュベートし、次いで抗IgM(ヤギFab’2、50μg/ml)により活性化させた。試料を37℃において一晩インキュベートし、次いで製造業者の指示書に従ってPE標識抗CD20およびAPC標識抗CD69(BD Pharmingen)により30分間染色した。次いで、全血を溶解させ、CD20発現に対してゲーティングされた細胞をCD69発現についてFACSにより定量した。阻害パーセントは、無阻害についてDMSO対照に基づき計算し、試験化合物濃度の関数としてプロットし、それからIC
50値を計算した。本明細書に開示の化合物(実施例番号2、5、17、13b、30および22に開示の化合物を除く)についてのIC
50値の範囲は、約1.4〜0.08μMであった。
【0220】
実施例4
マウスコラーゲン誘導性関節炎の阻害
ネズミコラーゲン誘導性関節炎(mCIA)の阻害は、関節リウマチについての標準的な動物疾患モデルである。従来の研究は、BTKの阻害がmCIAの遮断において有効であることを実証している(Honigberg L.A.,et.al.,Proc Natl Acad Sci USA.107:13075−80.2010参照)。0日目開始時、DBA/1マウスに完全フロイントアジュバント中II型コラーゲンのエマルションを注射する。マウスを21日後に追加免疫して疾患の発現を同調させる。軽度な疾患の発現後、動物を試験に加え、無作為化する。投与は、試験化合物または対照としてのデキサメタゾン(0.2mg/kg)による1日1回、典型的には11日間の経口である。1つの群は、ビヒクル単独を受容する。臨床評価(0〜4)は、関節炎の膨張および重症度の程度に基づく。全ての四肢についての評価を足して16の最大評価とする。抗コラーゲン抗体および総Igを、Elisaにより試験の終了時にそれぞれの動物について計測する(Bolder BioPath、Boulder、CO)。
【0221】
実施例5
不可逆的共有結合と可逆的共有結合を評価するための透析時のキナーゼ活性の回復
本開示の化合物および/または薬学的に許容可能な塩を、そのIC
50値よりも10倍大きい濃度において20mMのHepes[pH7.5]、5mMのMgCl
2、0.01%のTriton X−100および1mMのジチオトレイトールを含有する緩衝液中タンパク質キナーゼ(5nM)の溶液に添加した。22℃において60分後、反応物を透析カセット(0.1〜0.5mLのSlide−A−Lyzer、MWCO10kDa、Pierce)に移し、1Lの緩衝液(20mMのHepes[pH7.5]、5mMのMgCl
2、0.01%のTriton X−100および1mMのジチオトレイトール)に対して22℃において透析した。透析緩衝液を実験終了まで1日2回交換した。アリコートを透析カセットから24時間毎に取り出し、タンパク質キナーゼ活性について分析した。それぞれの試料についてのキナーゼ活性は、その時点についてのDMSO対照に正規化し、平均±SDとして表現した。
【0222】
結果:キナーゼ活性は、透析時に本開示の化合物による阻害から回復した。室温における大規模透析時、キナーゼ活性は、過剰の本開示化合物による阻害から時間依存的に部分的または完全に回復した。
【0223】
実施例6
質量スペクトル分析
本開示の化合物および/または薬学的に許容可能な塩により阻害されるタンパク質キナーゼは、質量スペクトル分析に供して恒久的な不可逆的共有結合アダクトの形成を評価することができる。インタクトな完全タンパク質またはタンパク質キナーゼのトリプシン開裂時に生成されるペプチド断片を試験する好適な分析方法は、一般に当分野において公知である。このような方法は、恒久的な不可逆的共有結合タンパク質アダクトを、対照試料の質量と不可逆的アダクトの質量に対応する質量ピークを観察することにより同定する。このような2つの方法を以下に記載する。
【0224】
インタクトな完全キナーゼの質量スペクトル分析
方法:
タンパク質キナーゼ(5μM)を、本開示の化合物(25μM、5当量)と室温において緩衝液(20mMのHepes[pH8.0]、100mMのNaCl、10mMのMgCl
2)中で1時間インキュベートする。本開示の化合物を有さない対照試料も調製する。反応を、等容量の0.4%ギ酸の添加により停止させ、試料を液体クロマトグラフィー(Microtrap C18 Proteinカラム[Michrom Bioresources]、5%のMeCN、0.2%のギ酸、0.25mL/分;95%のMeCN、0.2%のギ酸により溶出)およびインラインESI質量分析(LCT Premier、Waters)により分析する。タンパク質キナーゼおよび任意のアダクトの分子質量は、MassLynxデコンボリューションソフトウエアにより決定することができる。
【0225】
結果:本開示の化合物により阻害されるキナーゼの高分解能インタクト質量分析は、阻害剤の不存在下でのキナーゼ(例えば対照試料)と類似するスペクトルを示す。キナーゼの分子質量と式Iの化合物の分子質量に対応する質量スペクトルにおける新たなピークの形成は存在しない。この実験に基づくと、本明細書に開示の化合物および/または薬学的に許容可能な塩に適用することができるとおり、恒久的な不可逆的タンパク質アダクトは当業者に明らかでない。
【0226】
キナーゼトリプシン消化物の質量スペクトル分析
方法:
タンパク質(10〜100pmol)を、本開示の化合物および/または薬学的に許容可能な塩(100〜1000pmol、10当量)と3時間インキュベートしてからトリプシン消化する。ヨードアセトアミドを化合物インキュベーション後にアルキル化剤として使用することができる。本開示の化合物および/または薬学的に許容可能な塩を利用しない対照試料も調製する。トリプシン消化のため、1μlのアリコート(3.3pmol)を、10μlの0.1%TFAにより希釈してから脱着マトリックスとしてのアルファシアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸(0.1%のTFA:アセトニトリル50:50中5mg/mol)または脱着マトリックスとしてのシナピン酸(0.1%のTFA:アセトニトリル50:50中10mg/mol)を使用してmicro C18 Zip Tip処理をMALDI標的上に直接行った。
【0227】
結果:本開示の化合物および/または薬学的に許容可能な塩により阻害されるキナーゼのトリプシン断片の高分解能質量分析は、阻害剤の不存在下でのキナーゼ(例えば対照試料)と類似のスペクトルを示す。対照試料中に存在しないいかなる改変ペプチドの証拠も存在しない。この実験に基づくと、恒久的な不可逆的タンパク質アダクトは当業者に明らかでない。
【0228】
細胞アッセイも場合により使用して本開示の化合物の阻害特性を評価する。細胞アッセイは、任意の適切な源、例として植物および動物細胞(例えば哺乳動物細胞)からの細胞を含む。細胞アッセイは、場合によりヒト細胞においても実施する。BTK阻害の細胞アッセイは当分野において周知であり、それには阻害剤を細胞中に送達し(例えばエレクトロポレーション、受動拡散、マイクロインジェクションなどによる)、活性終点、例えば細胞基質のリン酸化の量、細胞タンパク質の発現の量またはBTKの触媒活性により影響されることが公知の細胞表現型の一部の他の変化を計測する方法が含まれる。例えば、特定の細胞基質のリン酸化は、リン酸化細胞基質に特異的な検出抗体を使用し、次いでウエスタンブロッティング技術および任意の適切な手段(例えば蛍光標識抗体の蛍光検出)を使用する可視化を使用して場合により評価する。
【0229】
本開示の不存在下におけるBTK触媒活性に対する、本開示の存在下でのBTK触媒活性の低減の計測を、当分野において公知の種々の方法、例えば以下の実施例セクションに記載のアッセイを使用して場合により実施する。BTK活性をアッセイする他の方法は、当分野において公知である。
【0230】
実施例7
薬物−キナーゼ滞留時間の測定
以下のものは、化合物が、例えば典型的には、共有結合が化合物と標的との間で形成される場合に生じるBTKからの緩慢な解離速度または解離速度の不存在を示すかどうかを区別するために使用することができるプロトコルである。緩慢な解離についてのリードアウトは、時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(TR−FRET)を使用して検出されるキナーゼ活性部位への高親和性蛍光トレーサー分子の結合を遮断する対象化合物の能力である。この実験は、50mMのHepes pH7.5、10mMのMgCl
2、0.01%のTriton X−100および1mMのEGTAからなる緩衝液中で実施した。
【0231】
手順の最初の工程は、500nMのBTK(Invitrogenカタログ番号PV3587)と1.5μMの本開示の化合物との10μLの容量での30分間のインキュベーションであった。次いで、混合物を40μLの緩衝液の添加により5倍希釈した。次いで、10μL容量の希釈キナーゼ/化合物溶液を、小容量384ウェルプレート(例えばGreinerカタログ番号784076)のウェルに添加した。キナーゼ−化合物結合相互作用の可逆性を調査するため、高親和性蛍光トレーサーおよびユウロピウムに結合して
いる抗体を両方含有する競合溶液を調製した。BTKについて、競合溶液は、1.5μMのTracer 178(Invitrogenカタログ番号PV5593)を含有し、それはフルオロフォアAlexaFluor 647に結合しているBTKについての専売高親和性リガンドである。競合溶液は、BTK中のポリヒスチジン精製タグに結合するように設計されたユウロピウムに結合している80nMの抗ポリヒスチジン抗体(Invitrogenカタログ番号PV5596)も含有した。
【0232】
10μLの競合溶液をGreinerプレートに添加した後、混合物を、非共有結合阻害剤の解離および高親和性トレーサーの結合の時間を考慮するように1時間以上インキュベートした。共有結合および緩慢解離阻害剤はトレーサーの結合を遮断する一方、急速解離非共有結合阻害剤は遮断しないことを予期することができる。BTKへのトレーサーの結合は、抗ヒスチジン抗体のユウロピウム部分とTracer 178のAlexaFluor 647基との間でTR−FRETを使用して検出する。結合は、LANCEタイプTR−FRET実験と同等のフィルターおよびミラーを備えたPerkin Elmer Envision装置(モデル2101)を使用して評価した。データは、競合化合物の不存在下で得られたシグナルの割合としてプロットした。バックグラウンドシグナルは、反応からのBTKの除外により得た。化合物が不可逆的共有結合阻害剤である場合、トレーサーは、実験の過程全体にわたり標的への結合から完全に遮断される。化合物が可逆的共有結合阻害剤である場合、トレーサーは、化合物が標的から解離するにつれて標的に結合する。
【0233】
実施例8
結合の可逆性
以下のアプローチを、標的との不可逆的共有結合を形成する化合物、例えば非シアノ含有アクリルアミド化合物を、可逆的共有結合を形成する化合物、すなわち、本開示の化合物および/または薬学的に許容可能な塩から区別するために開発した。反応物は、関心対象の化合物よりも高い濃度のタンパク質標的を用いて調製した。不可逆的共有結合化合物および可逆的共有結合化合物は両方、標的に結合し、溶液から枯渇した。次いで、反応物を、摂動、例として5Mのグアニジン塩酸塩による変性およびトリプシンによる消化の両方により処理し、標的の適切な折り畳みを撹乱させた。摂動は、標的からの解離に起因して可逆的共有結合化合物を溶液に戻す一方、不可逆的共有結合化合物は標的に結合したままであることが見出された。溶液中の化合物の濃度は、タンデム質量分析に結合した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して摂動の前後の両方で評価した。この技術を使用して、不可逆的共有結合化合物は、天然状態および摂動状態の両方で溶液から枯渇する一方、本明細書に開示の化合物および/または薬学的に許容可能な塩は、折り畳まれた状態で枯渇するが標的の摂動後に溶液に戻ることが実証され、そのことは、本明細書に開示の化合物および/または薬学的に許容可能な塩が可逆的共有結合を形成することを証明する。
【0234】
【表2】
【0235】
配合物実施例
以下のものは、本明細書に開示の化合物を含有する代表的な医薬配合物である。
【0236】
非経口組成物
注射による投与に好適な非経口医薬組成物を調製するため、100mgの本明細書に開示の化合物の水溶性塩を、脱イオン水中2%のHPMC、1%のTween 80(MSAによるpH2.2)中で、少なくとも20mg/mLまで適量で溶解させる。混合物を、注射による投与に好適な投与単位形態中に取り込む。
【0237】
経口組成物
経口送達のための医薬組成物を調製するため、400mgの本明細書に開示の化合物および以下の成分を緊密に混合し、単一の分割錠に打錠する。
【0238】
錠剤配合物
以下の成分を緊密に混合し、単一の分割錠に打錠する。
【0239】
【表3】
【0240】
カプセル剤配合物
以下の成分を緊密に混合し、硬シェルゼラチンカプセル剤中に充填する。
【0241】
【表4】
【0242】
吸入剤組成物
吸入送達のための医薬組成物を調製するため、20mgの本明細書に開示の化合物を50mgの無水クエン酸および100mLの0.9%の塩化ナトリウム溶液を混合する。混合物を、吸入投与に好適な吸入送達ユニット、例えばネブライザー中に取り込む。
【0243】
局所ゲル組成物
医薬局所ゲル組成物を調製するため、100mgの本明細書に開示の化合物を1.75gのヒドロキシプロピルセルロース、10mLのプロピレングリコール、10mLのイソプロピルミリステートおよび100mLの精製アルコールUSPと混合する。次いで、得られたゲル混合物を局所投与に好適な容器、例えばチューブ中に取り込む。
【0244】
点眼液組成物
医薬点眼液組成物を調製するため、100mgの本明細書に開示の化合物を、100mLの精製水中0.9gのNaClと混合し、0.2ミクロンフィルタを使用して濾過する。次いで、得られた等張液を、点眼投与に好適な点眼送達ユニット、例えば点眼剤容器中に取り込む。
【0245】
点鼻噴霧液
医薬点鼻噴霧液を調製するため、10gの本明細書に開示の化合物を、30mLの0.05Mのリン酸緩衝溶液(pH4.4)と混合する。溶液を、それぞれの適用のために100μLの噴霧物を送達するために設計された点鼻投与器中に装入する。