(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
分割部は2つあり、前記2つの分割部のうち一方の分割部61の各端部にはピン55が設けられ、他方の分割部62の各端部には孔部56が設けられていることを特徴とする請求項1記載の人工器官システム。
前記複数のリング分割部は、径方向の全体寸法が小さくなるように変形可能であって、分割部をカテーテルによって心弁移植サイトへと運搬するために前記分割部を挿入できるように構成されていることを特徴とする請求項1〜2何れか1項記載の人工器官システム。
前記複数のリング分割部はそれぞれ対応する位置決め支持装置のアームによって支持されるのに適していることを特徴とする請求項1〜3何れか1項記載の人工器官システム。
前記複数のリング分割部は細長いチューブ状構造を有して実質的に同一の2つの部分へと折り曲げ可能であって、前記細長いチューブ状構造の中間点近傍の、折り曲げ状態にある前記リング分割部の実質的な分割領域に、少なくとも1つのガイドワイヤを出現させるための開口部が設けられていることを特徴とする請求項1〜4何れか1項記載の人工器官システム。
【背景技術】
【0002】
歴史的に、主な心臓病に関わる機能障害の矯正治療には外科的治療が伴っていたが、これらは患者に対する侵襲性が高く、手術中に高い致死率を伴うことが多かった。これらの治療の典型的な例としては、機能不全となった心臓弁の置換や修復の治療がある。このような場合、外科的治療は、通常、開胸手術、人工心肺装置として知られている体外循環装置が必要な心臓の排出、および、機能不全を起こしている心臓弁に直にアクセスするための心臓自体の外科的な切開を含む。心臓弁の治療は、多くの場合、弁形成リングなどの人工装具の助けを借りて、外科手技による復元をするか、心臓弁を完全に取り除いてから人工器官で置換するかのどちらかが必要である。このような治療は生命維持に不可欠なものであることには間違いないが、患者に対して深刻な外傷を与えてしまう。症例によっては、例えば高齢や合併症の存在といった患者の全身状態は、このような外科的治療による致死リスクが許容できないくらいに高くなることを意味することがある。その結果、患者は、外科手術を受けることができず、こうして、生活の質の向上、および、長期間の生存のいくらかの望みのために必要不可欠な治療の機会を失ってしまう。
【0003】
近年、心臓病の治療および矯正治療の方法は、外科手術と同じ有効性をもたらすことを目指しながら、手術の侵襲性を大きく下げるような方向に発展してきていることにより、手術中あるいは手術後の合併症の発生率が大幅に下がり、患者の不快感はほぼ完全になくなった。これらの方法は基本的に内視鏡および特殊人工器官だけでなく、カテーテルを使用することに基づいたものであり、ここから「経カテーテル術」という一般用語が生まれている。これらの装置は、侵襲性が低いアクセスポート(例えば大腿,静脈,心尖部、およびその他を通るアクセス手段)を経由して心腔に導入する間、全体寸法を小さくすることができ、その後移植部位に到達すると装置の治療配置に配備することができる。
【0004】
このような状況の中、考えうる数多くの応用例の1つに、経カテーテル術を用いて、狭窄した大動脈弁、つまり弁尖の大量石灰化によって機能不全となった生体大動脈弁に人工弁を移植する臨床例がある。
【0005】
これらの方法には通常、治療の補助となる1セットの装置が必要であり、これは治療を安全で手早くより効果的にすることを目的にしている。人工大動脈弁の経カテーテル移植例について続けると、治療の第1ステップとして、機能不全となった弁に通常金属製のガイドワイヤを交差させるのが通常の治療であって、このガイドワイヤは、移植システムとしてその後に使用されるアクセス手段を通って導入され、その後、人工器官そのものを移植部位へと運ぶカテーテルがガイドワイヤに沿ってスライドされる。このようにガイドワイヤを予備配置することにより、カテーテルナビゲーションをより信頼でき、効果的なものとすることができ、同時に、手術の時間とリスクを減少させることができる。
【0006】
機能不全を起こしている心臓弁の経カテーテル術による治療と同じ分野において、侵襲性が小さいことを特徴とする弁機能の回復治療が、僧帽弁に対しても開発中である。例えば、最近の、PCT出願である国際公開第2012/063228号公報には、房室弁、つまり僧帽弁や三尖弁の機能にとって代わることのできる人工器官システムが記載されている。該システムでは、生体弁のまわりに、弁膜および弁膜下部装置のすべてを取り囲むようにして略輪状の構造体が配置されている。その後放たれる人工器官本体が正しく稼働するかどうかは、生体弁周辺の輪状構造体の配置が正しいかどうかに大きく依存する。つまり、輪状構造体は生体弁すべてを取り囲み、また同時に弁輪の解剖学的平面直下に位置して心室側面に接触していなければならない。この場合にも、治療をより安全かつ効果的で信頼のおけるものにするために、ガイドワイヤを予備配置することが求められる。さらに、人工器官部品を配置しはじめる前にガイドワイヤの位置が正しいか確認し、必要に応じて再配置を行うことができるので、その処置を完全に元に戻すことができる。
【0007】
カテーテルを所定の経路から心腔へと案内するためにガイドワイヤを用いることは、例えば、米国特許出願公開第2009/234318号明細書にも記載されている。この具体的な発明は、拡張型の病理によって損傷を受けた僧帽弁の修復方法に関するものである。この場合、カテーテルは僧帽弁の一部しか取り囲まない。カテーテルを用いることによって、ワイヤによって互いに接続される固定部材が僧帽弁輪の対応箇所へと移植される。僧帽弁に拘束作用をもたらし、その形状を再形成して、その機能を少なくとも部分的に復元させるために、ワイヤを緊張させることが求められる。この場合にも、治療の第1ステップはガイドワイヤを僧帽弁の後方部分の周りに配置させることである。またこの場合、ガイドワイヤを詳細な解剖学的基準によって決められた経路に沿って配置させることによって、再建手術の結果を確実なものにすることができる。しかしながら、この出願には、治療システムの具体的な必要事項に基づいてガイドワイヤを正しく配置させるための具体的な装置および、具体的な治療方法が全く記載されていない。
【0008】
上記2つの出願は、単に一例として述べられたものであるに過ぎず、ガイドワイヤシステムを、正確にかつ制御可能な方法によって心腔内部で解放することのできる装置が利用可能な治療療法の多様性を制限することを意図したものではない。
国際公開第2012063228号明細書には可撓性の分割部と前記分割部の端部を取り囲む第2の拡張可能部材をからなる輪状支持部を備える公知の人工器官装置が記載されている。米国特許出願公開第2008004697号には互いに接続されたいくつかの分割部によって形成される解放アーチ構造を備える、公知の人工僧帽弁が記載されている。国際公開第2012087842号には、一実施例において、接続されない2つのアーチ型構造体を備える僧帽弁の置換システムが開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施例において、ガイド構造体を手術治療として心室内部に配置させるための装置(以下「本装置」と呼ぶこともある)の全体概略図を示す。
【
図2】
図1の装置の部品であるダブルルーメンを備える導入カテーテルの一例と、導入カテーテルの主ルーメン内部に位置し、
図1の装置の第1ステージを形成する1組のガイドカテーテルの一例を示す。
【
図3】湾曲制御機構を備えて本装置の第2ステージを形成し、
図2の第1ステージガイドカテーテルに接続される1組のカテーテルの一例である。
【
図5】導入カテーテルの補助ルーメン内部に位置し、装置の側面ステージを形成するガイドカテーテルの一例と、ガイドカテーテルへと挿入され、装置の側面ステージを形成するガイドワイヤ捕捉システムの一例を示す。
【
図6】その配置において、導入カテーテルの第1ルーメンを通って心室腔の内部に位置するガイドワイヤシステムが、導入カテーテルの補助ルーメンを通って侵入してくる捕捉システムによって捕捉される
図1の装置の全体概略図を示す。
【
図7】その配置においてガイドワイヤの先端が捕捉システムにより心室の外に回収される
図1の装置の全体概略図を示す。
【
図8】同様、該配置においてガイドワイヤの先端が捕捉システムにより心室の外に回収される
図1の装置の全体概略図を示す。
【
図9】特に左室腔の生体構造に焦点を当てた、人体心臓の異なる断面図をそれぞれ示す。
【
図10】
図10a1〜
図10g2はガイドワイヤシステムを
図1の装置を用いて生体僧帽弁の周りに位置させるための治療例の詳細を示す。
図10a1〜
図10a2は左室腔内部の導入カテーテルの位置を示したものである。
図10b1〜
図10b2は本装置の第1ステージを形成する1組のガイドカテーテルの位置を示す。
図10cl〜
図10c2は本装置の第2ステージを形成する第1および第2のカテーテルの位置を示す。
図10d1〜
図10d2は大動脈弁弁輪の平面直下に広げられた捕捉装置を用いた捕捉システムの位置を示す。
図10el〜
図10e2は、僧帽弁の周りに位置し、第2ステージで室腔へと導入され、大動脈下部の空間へと侵入して、その先端部が捕捉装置のメッシュへと貫通する1組のガイドワイヤの位置を示す。
図10f1〜
図10f2は、捕捉装置によって捕捉され、シースが大動脈下部の空間へと侵入した1組のガイドワイヤの先端を示す。
図10g1〜
図10g2は、ガイドワイヤを僧帽弁の周りに配置させたまま、配置装置の第1および第2ステージを形成するガイドカテーテルシステムを左心室から取り除いたガイドカテーテルシステムを示す。
【
図11a】
図1の装置によって配置されたガイドワイヤシステムを利用することで、大きな効果を得ることができる房室弁としての経カテーテル人工弁を固定するための輪状構造体の一例を示す。
【
図11b】同様、
図1の装置によって配置されたガイドワイヤシステムを利用することで、大きな効果を得ることができる房室弁としての経カテーテル人工弁を固定するための輪状構造体の一例を示す。
【
図12】配置支持装置の一例に前取付けされた輪状構造体を示す。
【
図13】
図13a〜
図13bは、
図1の装置を用いて事前に配置され、
図11aの輪状構造体の導入と配置を案内するための1組のガイドワイヤの一使用例を示す。輪状構造体と支持構造体の各要素は、はじめ畳まれた形状で示され、その後、開放された形状で示される。
【
図14】
図14al〜
図14d2は、移植用の案内部たる、
図1の装置によって予備配置されたガイドワイヤを用いた僧帽弁置換のための、人工器官システムの経カテーテル移植の一治療例を詳細に示しており、該システムは折り畳み人工弁器官と
図11aの輪状構造体によって形成されている。
図14al〜
図14a2は輪状構造体を左心室へと導入するためのステップを示す。
図14b1〜
図14b2は輪状構造体を組み立てた後に折り畳み人工弁器官を配置させるためのステップを示す。
図14c1〜
図14c2は折り畳み人工弁器官を解放するステップを示す。
図14dl〜
図14d2は、移植手術を補助する装置を除去した後の、人工器官システムを僧帽弁に移植する治療の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照すると、これは、本発明の一実施形態に係る、心室内部での手術治療用のガイド構造体を配置するための装置1の全体概略図を示すものである。本装置は、心室に侵襲性のない方法で導入され、操作者によって制御される所望の経路に沿ってその中を移動する、という主な目的を持っている様々な部品からなっている。本装置は、拍動している心臓に使用できるように考案されているため、体外血液循環回路を全く必要とせず、生体心臓弁の動作に大きく干渉しないので、完全に無傷で可逆的に手術を行える。手術は途中でいつでも中断することができ、装置の部品は心臓そのものの機能に影響を与えることなく心室から取り出すことができる。最後に、本装置は、径方向の全体寸法が小さく、切れ目のない、滑らかな形状を特徴とするため、経カテーテル手術による心腔への導入に特に適したものとなる。
【0013】
本装置1は、複ルーメンガイド、つまり内部に様々な個別通路12,18(ルーメンとしても知られている)を備えるルーメンガイドによって形成された、導入器と呼ばれる中心本体10から主に構成されており、心臓内部で動作させることを目的としている各器具のために、心室へ通じるアクセスチャンネルを作り出すことを主な目的とする。これらの器具は、それぞれ特定の目的に応じたものであるので、様々な種類がある。例えば、先端部が永久に調節できないように予備形成されているガイドカテーテルなどがある。この種のガイドカテーテルは、単に先端部を所定の角度で屈曲させ、内部で前進する装置をこの角度で撓ませるようにしてもよい。あるいは、先端部を、個々の解剖学的状況に特に適するようなより複雑な曲線や輪郭に事前形成することもできる。
図1に概略的に示されている装置に用いることのできる別種のカテーテルには、操作者の要望に応じて手術中に調節可能な屈曲システムに適合したカテーテルまたはガイドカテーテルが含まれる。カテーテルは、従来技術において操縦機構として知られているこの種のメカニズムによって、手術の要求に応じて操作者が決めた分だけ、屈曲および/または湾曲させることができる。このような自由度によって、カテーテルが、形状を予測することの難しい解剖学的構造の内部を移動するのにうまく適合され、制御性がより高くなる。
【0014】
カテーテルを(ヒステリシス効果または弾性効果のない)直接的で効果的な方法で回転できること、または、カテーテルに異なる平面上の複数の屈折システムを提供できることによって、この種のカテーテルの操作可能性がほぼ完全なものになるため、カテーテルは三次元空間で制御される方法で移動されることができる。
【0015】
カテーテルは通常内部ルーメンを備えているので、ガイドワイヤを配置するため、または、前ステージのルーメンの径と互換性のある外径を有する他のカテーテルを配置するために、任意のガイドカテーテルが明らかに利用できる。
【0016】
図1に概略的に示されている装置の応用に用いることのできるその他の器具としては、本発明の大まかな本質を制限することなく、従来技術でスネアリング装置として知られている管腔内捕捉装置が含まれる。これらの装置は、通常、金属またはポリマー材料からできた折り畳めるループ状の構造体からなり、ガイドワイヤの自由端または小型のカテーテルを捕捉するのに特に適している。これは、これらの装置が隙間に広がって捕捉体積を作り出す構造を有しているからである。捕捉体積を通過するカテーテル、ガイドワイヤ、またはそれに類似した装置の自由端は、伸長手順とは通常逆の手順で装置が畳まれると、該構造体に捕えられる。このようにしてカテーテルまたはガイドワイヤの先端部は、所定の位置に固定されることができ、または、捕捉システムの導入に用いた経路と同じ経路に沿って心室の外側に回収されることができる。手術治療用のガイド構造体を心室内に配置させるためには、ここに記載する本発明の思想に従って、他の機能を有する別タイプの管腔内操作器具を都合よく用いてもよい。
【0017】
図1は特に本発明の具体的な実施形態を示し、これは特に心臓の心尖部の近くの心室壁を通ってアクセスする心室腔内部での使用に適する。以下の図(
図2〜
図6)でより十分に且つより詳細に示されるように、本装置の全体は、ダブルルーメン導入器部材10と、先端部が一定の曲率で予備形成され、導入器の主ルーメン12の内部での進行に対応した寸法を持つ1組のガイドカテーテル14と、略直線状だが可撓性で、前記導入器の側ルーメン18の内部での進行に対応した寸法を持つガイドカテーテル16と、略直線状だが、先端部に調節可能な湾曲機構を取り付けられ、第1のガイドカテーテルセットの内部での進行に対応した全体の径方向寸法を持つ1組のカテーテル20と、側ガイドカテーテルの内部での進行に対応した径方向寸法を持つ捕捉器22と、からなる。
【0018】
この装置の目的は、例えば、第2のガイドカテーテルセットを通して心室内に導入して前進されるガイドワイヤにおいて、操作者によって決められ、心室内で第2のガイドカテーテルセットを移動させることによって形成される経路を辿るガイドワイヤを配置することにある。これらのガイドワイヤの先端部は、心室腔内の固定位置に保持するため、または、心臓の外側に引き出して操作者が利用しやすくするために、その後、捕捉器を用いて捕捉することができる。
【0019】
金属材料および/または放射線不透過性マーカを使用することにより、装置の部品をX線で見ることができるので、心腔内の治療を透視視覚化により導くことができる点に注目されたい。場合によっては、心エコーの補助が役に立つこともある。
図1に図示される装置の具体的な実施形態を参照すると、
図2は導入カテーテルの構造の可能な解決策を示す。該断面図は、本発明のこの特定の実施形態におけるこの部品のダブルルーメンタイプを示す。簡単のために主ルーメンとして認識される第1ルーメン12は、導入カテーテルの主軸に対して平行に伸び、基部オリフィスと先端オリフィス24がそれぞれカテーテルの基端部と先端部26に位置する。簡単のために補助ルーメンとして認識される補助ルーメン18は、導入カテーテルの基端部に位置する基部オリフィスを備える直線基部28によって特徴付けられる。しかしながら、カテーテルの中間部30付近において、補助ルーメン18は外側にそれている。したがって、補助ルーメンの先端オリフィス32は導入カテーテルの外側面34に位置する。よって、主ルーメンの進行軸は、補助ルーメンの進行軸の曲率によって定められる角度だけ補助ルーメンの進行軸からずれている。この種の装置の使用目的に合致する角度は、15°〜45°の範囲内とすることができる。
【0020】
上記の構造上の解決策によって、心室の2つの異なる領域へのアクセス経路が作られる。導入カテーテルの中間位置で外向きに湾曲していることを特徴とするルーメンをさらに追加できれば、心室の異なる領域へのアクセス経路が作られるであろう。
【0021】
図1に図示される具体的な実施形態を再度参照すると、
図2はまた、導入カテーテルの主ルーメン12の中を進行可能な1セットのガイドカテーテル14を示す。本発明におけるこの特定の実施形態において、この第1ガイドカテーテルステージは、事前形成型であって、略直線状の基部36と、基部36に対して約90°だけ事前に湾曲された先端部38とを備える。より一般的には、このカテーテルステージの目的は、内部で進行する装置の軸を、導入器の軸と平行な方向から、ガイドカテーテルの先端部の曲率具合によって決められる方向に変えることである。応用例に応じて、この角度は、導入器の軸とほぼ平行となるカテーテル基部の軸に対して、45°から135°まで変えることができる。したがって、心室内のカテーテルまたはガイドワイヤ等の装置の進行軸を、心臓への導入に要する軸と独立させることができる。
【0022】
ガイドカテーテルは軸方向に自由に回転可能であるので、先端湾曲部を異なる方向に向けることができる。
図2に図示される具体的な実施形態において、例えば、第1ステージの2つのガイドカテーテル14の先端部38を反対方向に向けることができる。その結果、2つのガイドカテーテルのルーメン内を進行する装置が、導入カテーテルの軸に垂直な面と同一面で、反対方向に伸びる経路に沿って曲げられる。もちろん、カテーテル全体の径方向寸法に適合するものであれば、第1ステージを形成するカテーテルをより多く設けることもできる。
【0023】
第1ステージを形成するガイドカテーテル14は、ポリマー材、金属材料、またはそれらの組み合わせから作ることができる。該材料は相反する条件を満たすように選出されなければならない。これは、ガイドカテーテルが導入器の主ルーメン12の中を進行する際には先端部38が少なくとも部分的に真直ぐになり、心室に出たときには予め形成された形状に戻ることができなければならないからである。一方、事前形成部分は、ガイドカテーテルのルーメンへと挿入された装置を曲げるために十分な剛性がなければならない。第1ステージを形成するガイドカテーテルはまた、ねじれ剛性特性を有することが好ましく、つまり基部から端部までトルクを伝達できることが好ましい。
【0024】
図1に図示される具体的な実施形態を再度参照すると、
図3は、第2ガイドカテーテルステージを形成し、
図2に図示されるように、第1ステージを形成するガイドカテーテル14のルーメン内部の進行に適応した全体の径方向寸法によって特徴付けされる、1セットのカテーテル20を示す。本発明のこの具体的な実施形態において、この第2ステージに属するカテーテルは、略直線状でかつ側方に可撓性を有し、該カテーテルがその内部を進行するガイドカテーテルの先端屈曲部を通過できるようになっており、カテーテルの基端部にあるハンドル45に位置するコントローラー43によって駆動され、操縦機構として知られている、一つあるいは複数の湾曲機構42を、先端部40に備えている。コントローラーを操作することにより、段階的で制御されたガイドカテーテル先端部の屈折を達成することが可能になり、最も複雑な解剖学的状況であっても、操作者によって定められた経路に沿ってカテーテルを移動させることができるようになっている。好ましくは、ガイドカテーテルは略直線状で、先端部にトルクを伝達することのできる実質的な剛体基部を有する。カテーテルの全長の少なくとも半分まで伸びている先端部は、湾曲するのに十分な可塑性を有する一方で、基部と同じようにねじれに対して剛性がある。第1ステージのガイドカテーテル14によって作られた屈曲が存在しても、ハンドル45を単に回転させることにより、大きな弾性遅延やヒステリシスをもたらすことなく、全ガイドカテーテルを単一ユニットとして回転させることができるので、第2ステージの案内能力が大きく向上する。実際、第2ステージを形成するガイドカテーテル20は、それぞれ装置の第1ステージを形成するガイドカテーテル14の中で自由にスライドし回転する。
【0025】
カテーテルの最適な機械的特性、つまりねじれ剛性に組み合わさった高い側方可撓性は、カテーテルの正しい構造的解決策を用いることによって達成できる。例えば、適当なワイヤメッシュの金属補強材をポリマー母材に埋め込んでカテーテル壁を形成することは、高いねじれ剛性を与えながらも、曲げ変形性能を保ち、曲げ(キンクとして知られている)で崩壊するリスクを回避するための1つの構造的解決策となる。第2ステージを形成するガイドカテーテルの先端部と、第1ステージを形成するガイドカテーテルの先端部には無傷端44を設けることができ、カテーテルが、心室壁や、心室内の他の解剖学的構造の壁に誤って衝突したり擦れたりした場合に、いかなるダメージも回避されるように、該無傷端44は、オリーブ型の形状をしているか、または柔軟で可塑性の材料からできている。
【0026】
図4は、第2ステージを形成するカテーテル20が、小型カテーテルや(図示されているような)ガイドワイヤ46などの介入治療に用いる装置を通過させる内部ルーメンを有し、本装置が、カテーテルの基端開口部へと挿入され、内部ルーメンに沿って進行し、カテーテル20の先端部から出現して心室に達する方法を示す。ガイドワイヤ46は、ガイドカテーテルの基部オリフィスへと挿入され、その中を進行して、心室の内部で先端オリフィスから出現し、その場所で、および、第1および第2ステージのガイドカテーテル14,20からなる装置によってアクセスしやすくなった経路に沿って進行する。
【0027】
図1に図示される具体的な実施形態を再度参照すると、
図5は、導入カテーテル10の補助ルーメン18を用いて、さらなるガイドカテーテル16(側面ステージとも呼ぶ)などの介入治療の装置を、図示のように、導入器の軸から斜めの方向に進行させられることを示す。
図2および
図3に図示される型のガイドカテーテルは、補助ルーメン18に通して使用することもできる。この側面ガイドカテーテルは、ガイドカテーテルの主要な系統とは異なる方向に、心室への新たなアクセス通路を作り出す。
図5は、本発明のある特定の実施形態において、管腔内捕捉器22(スネアリング装置)が、如何にして、導入カテーテルの補助ルーメンに挿入されたガイドカテーテル16を通って心室へと導入されるかを示したものである。図示されている本発明のある特定の実施形態において、捕捉器22は、高弾性の特性を有する金属ワイヤのループ48の束として表されており、その起点は同様に金属製の幹部50の先端部で結ばれている。幹部50は、細く可撓性であって、心室へアクセスするために辿る経路の屈曲に対応することができる。幹部の基端部は、操作者が利用しやすくなっており、捕捉器の位置調整が制御できる。図示されるループ構造体は、壁薄で小型のシース52(
図5にも図示)の内部に簡単に折り畳むことができ、これを取り外す時には、先端構造が広がった形状へと直ちに戻る。つまり、捕捉器に対するシースの位置が捕捉器の形状を定めており、シースが捕捉器を覆うと捕捉器が折り畳まれ、シースが幹部の位置に戻ると拡張する。
【0028】
多数のループ48とその花状の形状により、この装置は多方向に捕捉することができるため、捕捉される装置に対する捕捉器の向きはあまり気に掛けなくてもよい。ワイヤは、捕捉器が再度畳まれたときに捕捉されるよう、広がった捕捉器のループのうち1つのループを任意の方向に通過すれば十分である。捕捉器の構造には様々なデザインが考えられることは明らかであり、これらのデザインは、提供すべき具体的な機能または、満たすべき条件に応じて変化させることもできる。これらのデザインのほとんどは従来知られている。
【0029】
捕捉器にはニチノール等の超弾性合金などのように高い機械的性能を持った材料を用い、またシースにはポリアミドまたは金属メッシュで補強されたポリアミド等のテクノポリマー類を用いることで、(シースや捕捉器等の)捕捉装置の全体の径方向寸法を制限することができるので、管腔内での使用に対応させることが可能となる。特に、図示された例において、径は側面ステージの径よりも小さくなければならない。より一般には、通常の管腔内の捕捉の用途に現在用いられている装置の全体の径方向寸法は1mmから3mmの範囲内であるが、1mm未満の寸法もまた可能である。
【0030】
図2から
図5に図示された具体的な解決策を踏まえると、
図6は、本発明の1実施形態による操作状態において、介入治療のためにガイド構造体を心室の内部に配置させるための装置の全体概略図を示す。心臓の外壁を通って配置され、心室へのアクセスポートを提供する導入カテーテル10の主ルーメン12を使用することで、操作者は要求に応じて、第1および第2ステージのガイドカテーテル14,20を配置させ、用途によって要求される経路を辿らせることができる。第2ステージのカテーテル20では、カテーテル先端部が動くことのできる様々な自由度(軸方向の進行,自軸の回転,調節可能な湾曲機構)は、特に不都合な解剖学的構造が存在していたとしても、所望の経路を辿らせることを可能にし、最終の配置に辿り着くことができるようなものになっている。操作者は、導入カテーテル10の補助ルーメン18に位置するガイドカテーテル16から捕捉システム22を心室へと導入させることで、システムの末端位置を操作幹部50によって決定し、対応する包含シース52に作用させることで、その形状(拡張され、または折り畳まれている)を変形させることができる。補助ルーメン18の特徴的な形状によって、捕捉器22の軸は、主ルーメン12のカテーテルに対して曲げられ、その動作をより単純で効果的なものにすることができる。これは、操作者が、ガイドワイヤ46が心室に出現するまで、ガイドワイヤ46を、第2ステージを形成するカテーテルのルーメンの内部で進行させることで、それらの先端部47が捕捉器22に把持されるようにできるからである。捕捉器は、例えば、ガイドワイヤの先端部を安定させるために用いることができ、その後の心腔内治療を支えることができる。
【0031】
図7および
図8は、上記の使用方法とは異なる捕捉器の使用方法を示す。この例で捕捉器22はガイドワイヤの先端部を基端位置に戻すために用いられる。これにより、1つ以上のガイドワイヤを、操作者によって定められた経路に沿って、心腔内部に配置させることが可能になり、使用者は、治療の最後に、この治療に使用した1つあるいは複数のガイドワイヤの両端を利用することができる。
【0032】
第1ステップにおいて、操作者はガイドカテーテル14,20の装置を所望の経路(その全長または部分的に渡って)を辿って前進させ、配置させる。ガイドワイヤ46(または複数のガイドワイヤ)はその後、第2ステージガイドカテーテル20の内部ルーメンを通って心腔へと導入され、このカテーテルの先端オリフィスから出現する。ガイドワイヤは、心腔内部に十分進められると捕捉器22に捕捉される。心腔から捕捉システムを取り除くことで、操作者はガイドワイヤ(または複数のガイドワイヤ)の先端部47も回収する。このようにして、1つ以上のガイドワイヤ46を操作者が定める経路に沿って心腔の内部に配置させることができる。治療の最後に、操作者は心室に位置するガイドワイヤの基端部と先端部47の両方を同時に利用することができる。
図7は、ガイドワイヤ46の先端部47が捕捉され、捕捉システム22が引き抜かれた後の装置の形態:ガイドワイヤが、導入器10の主ルーメン12に挿入されたカテーテル14,20の装置を通って心腔に入り、補助ルーメン18に挿入されたガイドカテーテル16から出る形態を示す。最後に、
図8は、ガイドカテーテルの全装置を取り出し、その後の介入治療に用のガイド構造体として用いることのできるガイドワイヤ46のみを現場に残す様子を示す。
【0033】
図1に図示されるような介入治療としてガイド構造体を心室の内部に配置させるための装置1の、左心室に関連する例示的な応用例の詳細な説明を提供するため、
図9a〜
図9cに示される心臓の解剖断面図が用いられる。特に
図9aおよび
図9bは、心臓左側の縦軸に沿った2つの図、つまり、心尖(心臓の最下点)から頂点へ向かって、心臓を左側2つの心室の縦軸に沿って略切断した断面図を示す。これら断面図は、左心室100(心尖を含む下側の心室)と左心房101(上側の心室)の両方を示す。
図9aは、左心室の公称軸と大動脈弁102の軸によって定められる平面に沿って心臓左側を切開して得られる図を示す。このとき切断面は、僧帽弁103をその前後軸に沿って切り、後尖と前尖の中央線をたどるものであり、これは大動脈弁を通って切断したものと同様である。したがって、この断面図によって、大動脈基部115を、大動脈弁器官102、および、左心室流出路(Left Ventricular Outflow Tract;以下、LVOTと略す)と通常呼ばれる大動脈弁下室117とともに可視化することができる。僧帽弁の両弁尖、つまり前尖135aと後尖135bも、この断面図に認めることができる。僧帽弁は左心房101を左心室100から隔てている。僧帽弁輪120、腱索140の束、および乳頭筋145も明確に識別できるその他の解剖学的構造である。乳頭筋(および対応する腱索)のひとまとまりをこの図に認めることができる。
図9bでは、心臓の左側の図が示されており、これは前記切断面を心室の軸に対して僧帽弁の交連―交連軸と並行になるまで回転させたときに現れるように示された図である。この図は、僧帽弁の後尖135bのみを、対応する弁輪120の部分、および、腱索140と乳頭筋145によって形成された対応する弁下器官とともに示す。この断面図は、両乳頭筋を(断面図にて)示す。最後に、
図9cは左心房が覆われていないときに見える僧帽弁を弁上から見た平面図を示す。僧帽弁の前尖135aと後尖135bが認められる。両弁尖は、僧帽弁輪120により覆われるとともに、これにより左心室の筋組織に接続されている。弁輪に沿った2つの弁尖の間にある移行部位は交連部位127である。この図は、僧帽弁の向きに対して2つの直交主軸、つまり中央線に沿って両弁尖を通過する前後方向に対称な軸と、該軸に直交して交連―交連の方向に沿って並ぶ軸とを明示する。最後に、両弁尖の自由縁を乳頭筋145へと固定する腱索140の束を、僧帽弁のオリフィスから確認することができる。
【0034】
図10a1〜
図10g2はガイドワイヤ装置を生体僧帽弁103を取り囲むように配置させるための治療例の詳細を示したものであって、該治療は、本発明の特定の実施形態として
図1に図示されるような、ガイド構造体を介入治療のために心室の内部に配置させるための装置1を使用して、経心尖アクセスから装置を左心室の中へと挿入させる手順を経る。
【0035】
図10alおよび
図10a2は心臓の左側を通る2つの異なる断面図において治療の第1ステップを図示している。この治療を図示するこの後の図面において、同じ体裁が使用される。図は、経心尖アクセスを通り、僧帽弁103の後尖135bの後ろ側で、後尖135bの中央線上となるようにして、心室壁に隣接した導入カテーテル10の先端部の位置決めを示す。この位置決めにおいて、導入カテーテル10は心室側面に僧帽弁の生体弁輪への直接のアクセス手段を作り出す。導入器10は、補助ルーメン32の先端オリフィスが、捕捉システムの前進する方向で、大動脈弁102へと向けられるように、軸に対して角度をつけて向けられていなければならない。
図10blおよび
図10b2もまた、心臓の左手側の2つの異なった図における、第1ステージを形成するカテーテル14の位置決めを示したものである。これらは導入器10の主ルーメン12に沿い、心室側面における僧帽弁輪の平面に接近するまで進められる。これらはその後、その屈曲した両先端部38が、僧帽弁輪の中央線に向いて接線方向に、ただし反対方向に向けられるよう、軸方向に向けられる。このような向きによって、その後のステージにおけるカテーテルを僧帽弁輪と平行な方向に案内することができる。放射線不透過性マーカが、このカテーテルや、当該装置のその他の部品の先端に存在することにより、当該装置の向きを(透視撮像システム等の)X線画像システムを用いてより迅速に可視化することができる。
【0036】
図10clおよび
図10c2は本装置の第2ステージを形成するカテーテル20の位置決めを示し、各カテーテルはそれぞれ僧帽弁を半分取り囲む。導入器10、および、本装置の第1ステージを形成するカテーテル14は、僧帽弁の後尖135bの後側に位置付けされ、一方本装置の第2ステージを形成するカテーテル20の先端部は、前尖135aの後側に面している。これらの図面によって、カテーテル20の先端における湾曲制御機構に加え、それを軸方向に回転させる機能も存在することにより、カテーテル先端部を案内する操作性が向上することが示される。これは、僧帽弁組織のある部位、例えば交連部位において、カテーテルを正しく位置決めする上で必要不可欠なものになっている。
【0037】
本装置の第2ステージを形成するカテーテルの両先端部はこのようにして、僧帽弁前尖の直後ろの、(LVOTとよばれる)大動脈弁117下のスペースで互いに向かい合う。
【0038】
図10dlおよび
図10d2は、導入カテーテル10の補助ルーメン18内部での、本装置の側面ステージを形成するガイドカテーテル16の位置決めを示し、これにより、心室の公称軸および僧帽弁輪の平面(つまり、本装置1において第2ステージを形成するカテーテル20が置かれている平面)からはずれているが、大動脈弁の軸とは略一致する方向に、大動脈弁(LVOT)117の下のスペースへと通じる追加アクセス経路を作り出している。捕捉システム22は、捕捉器48が完全にシース52の内部に折り畳まれた薄型の形状で、側面ガイドカテーテル16を通ってLVOT117へと導入される。図に示されているように、捕捉器48はその後シース52から出され、大動脈弁102の直下に展開される。捕捉器22の形状および配置は、大動脈弁、つまりLVOT117へと広がっている左心室の一部を完全に覆う、ある種のネットを作り出すようになっている一方で、血流または大動脈弁尖の動作を妨げないようになっている。捕捉器22の設計および弾性特性は、生体弁尖または弁輪に傷がつくリスクが伴う大動脈弁102、または、左枝が閉塞するリスクを伴うLVOTの中隔側に位置する電気伝導システム(房室結節およびヒス束)との干渉が一切禁じられるものである。
【0039】
本装置の第2ステージを形成するカテーテル20の先端部は本装置の心室側面でお捕捉器22に実質的に対面する。
【0040】
図10elおよび
図10e2は第2ステージのカテーテル20の2つの先端オリフィスからLVOT117へと進められた1組のガイドワイヤ46を示す。カテーテル20の位置と、左心室から大動脈弁を通って放出される収縮期の血流の引きずり動作により、ガイドワイヤが捕捉器22のループから押し出され、ガイドワイヤは、大動脈弁102を跨ぎ、大動脈基部および上行大動脈を通って上昇するようにして配置される。カテーテル20の先端部に位置する湾曲制御機構を用いることは、ガイドワイヤ46を捕捉器22に通して案内するのに役立つこともできる。ここに記載する(ガイドワイヤおよび捕捉器、等の)部品はすべて、基本的に放射線不透過に作られているか、または(例えば第2ステージのカテーテルの先端部が)適当なマーカによって放射線不透過に作られていることを念頭に置くべきである。
【0041】
図10f1および
図10f2は、包含シース52内部の折り畳み式装置48を再閉鎖させることで、どのようにして1組のガイドワイヤ46の各先端部47が捕捉され、該ガイドワイヤが捕捉器の金属ワイヤループの中に捕えられたままになるのかを示す。
【0042】
図10g1および
図10g2は、シース52および折り畳み式装置48を導入カテーテル10の補助(側面)ルーメン18から基端位置へと回収する様子と、第1ステージおよび第2ステージを形成する2組のガイドカテーテル14,20を導入カテーテルの主ルーメン12から回収する様子を示す。
【0043】
このようにして、1組のガイドワイヤ46の先端部47も左心室の外側に回収されるため、ガイドワイヤ46の基端部が導入カテーテル10の主ルーメン内部に配置され、また先端部をこの導入器10の補助ルーメン内部に配置されると同時に、ガイドワイヤ46が僧帽弁103の周りに配置されたままとなる。したがって、操作者には、僧帽弁103の周りを取り囲んだ後、同じ心尖ポートを通るが、2つの異なるルーメン12,18の内部を通るようにして、左心室の内部へ入り、そしてその外部へと出ていくガイドワイヤシステムが提供される。
【0044】
導入カテーテル10はその後取り除くことができ、僧帽弁の周りに巻き付けられたガイドワイヤ46のペアのみが現場に残される。各ガイドワイヤの両端は心尖ポートから心臓の外部へと回収される。ガイドワイヤシステムは、このように操作者によって定められた経路に沿って、心室の内部に完全に配置される。
【0045】
1組のガイドワイヤについて
図10al〜
図10g2を参照して記載される原理は、ガイドワイヤ用の複数の連絡通路を導入カテーテルの主ルーメンの中に構築する
図1に図示される配置システムの明白な改良により、より多数のガイドワイヤへと拡張することができる。1組のガイドワイヤが僧帽弁103を取り囲む
図10g1および
図10g2に示されている構造を、単一のガイドワイヤが僧帽弁全体に巻き付けられる構造へと容易に変更することが可能であることもまた、当業者にとって明らかであろう。実際、単に2つのガイドワイヤ46の2つの対応端部を結合して、一方のガイドワイヤを回収することで他方のガイドワイヤを完全に回収すすることが必要なだけである。
図10g1および
図10g2に示された配置において、先端部同士を結合することによって、僧帽弁全体に巻き付けられ、そのループが後尖135bの裏面で完結するガイドワイヤが作られる。
【0046】
反対に、基端部同士を結合させた場合には、この結合によって、現場に残されたガイドワイヤによって形成される僧帽弁103に巻き付いたループが前尖135aの裏側で完結する対称的な形状が形成される。
【0047】
本願の実施例において、該実施例は、本願の本質および本装置から恩恵を受ける手術治療、またはその結果として使用を拡張することを制限する意図は全くなく、房室弁を置換するために用いる経カテーテルシステムに関連して、ガイドワイヤを心室の中に配置するための装置の使用が、
図11a〜
図14d2を参照しながら以下に記載される。人工器官装置は2つの部品からなり、これはすなわち、生体弁の内部で拡張する人工弁本体と、生体弁の外側を囲むように位置し、前記2つの部品の間にて生体弁尖を弁輪の位置に挟むことによって固定源と逆流シーリングを形成する、略輪状支持構造体のことである。
【0048】
輪状構造体の位置決めは、人工器官装置の全てを正確に操作する上で本質的な要素である。人工器官の固定を確実にし、また人工器官近傍の液体が浸出するリスクを減少させるためには、輪状支持構造体の位置決めは、輪状構造体がオリフィスまたは弁下器官を通過することなく生体弁全体を覆っていなければならないことと、弁輪と接触して配置していなければならないことの、基本的に2つの必要条件を満たさなくてはならない。生体弁輪の直下に設けられ、弁全体を覆うことのできるガイドワイヤシステムは、このようにして輪状部品を位置決めするための有効な案内を与える。さらに、ガイドワイヤの両端にアクセス可能な1組の分離型ガイドワイヤを設けることもできるため、輪状支持構造体の設計に都合のよい型を開発することができる。
【0049】
例として、
図11a〜
図11bは、本願の一般的性質を制限することを何ら意図することなく、2つの分離した独立の部品61,62と、移植部位における位置決めおよび解放の処置の間中、永久的で耐久性のある構造上の連続性を取り戻すことのできる接合装置63からなる輪状支持構造体60を示す(
図11b)。
【0050】
輪状構造体の各部品61,62は、分離支持アーム64,65の先端部に固定することができ、同じ位置決め支持装置66(
図12)の一部を形成する。別の方法として、自身の位置決め支持装置によって、各部品を心室腔の内部へと運ぶこともできる。
【0051】
図13aおよび
図13bに図示されるように、輪状構造体の部品61,62および位置決め支持装置66のアーム64,65はすべて変形可能で、心尖アクセスポートから心室腔への導入に対応できる、より小さな装置全体の径方向のサイズを提供することができる。経カテーテル心弁治療技術の分野における最新の知見によれば、経心尖治療に適合する装置の外形の最大径は約10mmである。
【0052】
図面は、本発明で提案された介入治療用にガイド構造体を位置決めするための装置1により、僧帽弁の周りに今まで位置していたガイドワイヤ46の1組を、輪状構造体60の部品61,62を心室腔の中に案内するために用いることができることを示す。実際、輪状構造体の各部品は(「ワイヤを覆っている」)中空の形状でできており、ガイドワイヤ46に通路を与え、前記部品の全長の約半分の位置に、ワイヤ出口用の開口部67,68を設ける。各ガイドワイヤ46の端部はその後、それぞれ、部品61,62の半分まで進む。ガイドワイヤの自由端は、部品の自由端のオリフィスへと挿入され、中間開口部67,68から出現できるようになっている。ガイドワイヤ46を位置決めするためのその後の手順は、2つの部品61,62の対応する半部が、両端から来る同一のガイドワイヤに沿ってスライドするようになっていなければならない(
図13a)。輪状構造体における2つの部品61,62は、このようにガイドワイヤ46に接続されると、その後ガイドワイヤシステムの2つの両端部により挿入され、ワイヤを覆いながら心室腔内に、ガイドワイヤが事前に配置されていたまさにその弁輪下の位置で、生体僧帽弁103を正確に取り囲むようになるまで進められる。輪状構造体部品61,62の再接続を促すため(
図13b)、ガイドワイヤはその後も輪状構造体部品61,62の自由端の位置決めに必要不可欠である。最後に、ガイドワイヤ46を適当に緊張させることで構造体外周の伸びを減少させていき、輪状構造体の2つの部品61,62の間のロック機構63に閉鎖動作を与える効果を生むこともできる。
【0053】
ロック機構63は、適当な孔部56に係合するように適合したピン55を備え、特にピン55と対応する孔部56の1組からなる。2つの部品の一方の部品61の先端にはそれぞれピン55が設けられ、また他方の部品62の先端にはそれぞれ孔部56が設けられている。該2つの部品は、各ピンを対応する孔部に挿入することによって接続可能である。
【0054】
図14a1〜
図14d2は、経カテーテル技術および経心尖アプローチによる僧帽弁の置換のための、人工器官装置の移植に考えられる手順の概要図を与える。2つのガイドワイヤが僧帽弁を取り囲むように位置決めする事前処置は、すでに上で説明してあるので、以下の記載では省略する。
【0055】
図14a1および
図14a2は、(前に
図13aおよび
図13bに示されている)畳まれた構成において位置決め支持装置66に取り付けられている輪状構造体の2つの部品61,62の左心室の中への導入、配置を、2つの異なる視点から示す。全装置は始め、導入器として用いられるシース69の中に折り畳むことができる。先端が僧帽弁103の近くに達すると、導入器が固定され、ガイドワイヤ46にそのまま案内されながら、位置決め支持装置66によって、輪状構造体の部品61,62が心室の中に配置される。
【0056】
輪状構造体の部品61,62が正しく配置され、ガイドワイヤを用いて互いに接続されると、人工器官装置70の中央バルブ体72が導入されるが、この中央バルブ体は、輪状構造体として用いられる同様の装置66に完全に組み込まれている位置決め解放装置74に折り畳まれた状態で取り付けられている(
図14b1および
図14b2)。
【0057】
図はそれぞれ、本発明の一般的性質を制限することを何ら意図することなく、輪状構造体の支持装置66と同軸方向にスライドする装置74を示している。同軸とする解決策は、僧帽弁のオリフィスに実質的に完全に位置合わせするという大きな利点を有している。これは、中央バルブ体72の位置決め解放装置74の設計を大幅に単純化させる。
【0058】
中央バルブ体72は、開放前の最終位置において、僧帽弁103を跨いで位置決めされる。人工器官装置70の部品61,62,72を位置決め解放させるために、2つの装置74,66を互いに完全に組み込むことの主な利点は、操作者側の技術を何ら必要とせずに、各部品が互いにきわめて精度よく位置決めされることにある。実際、単に、人工器官装置60,72の部品を開放のために完全に整列させ、互いの最適な結合のため相互に位置決めされる配置を、一意的に識別することのできる、機械的、光学的、またはその他のタイプの指示マーカを与えればそれで十分である。図に示された例において、本装置の構造はそれ自体で、人工器官の2つの部品を同軸上に設置させることを確実にする。人工器官装置の解放装置の2つの部品の軸方向のスライドを正確な位置で止める簡単なメカストップも、最終解放の直前の最適な位置決めを確実にする。
【0059】
図14c1および
図14c2は、輪状構造体60の位置決め支持装置66に組み込まれている、位置決め解放装置74によって中央バルブ体72が帽弁103の中に解放される様子を示す。中央バルブ体は弁輪直下の位置で拡張し、よって中央バルブ体72が僧帽弁103の内部に解放され、また輪状構造体60は僧帽弁の外側に位置決めされるので、生体僧帽弁103の弁尖104は2つの部品の間に捕集される。弁尖は、人工器官70の全外周に沿って弁輪120との連続性を作り出し、人工器官70の固定源と逆流シーリングを与える。
【0060】
最後に、
図14d1および
図14d2は解放支持装置が左心室の心尖ポートから取り出された後の、移植された人工弁器官70を示す。
【0061】
上記実施形態の利点は、生体弁すべてを弁輪下の位置で取り囲むように部品61,62を正確に位置決めすることを確実にするようなガイドワイヤシステムを提供するだけでなく、輪状構造体60の2つの部品61,62を両側から別々に挿入できることから派生するシステムも含まれているので、一体型の輪状構造体と比べて部品がより短くなり、部品61,62を心室へと導入させることをより簡単に、より安全にすることができる。しかし主な利点は、部品の全周に沿って分布する支持体64,65を用いて、移植手術の最中に輪状構造体を所定位置に保持することができることである。
【0062】
これらの支持体は、部品を心室腔へと導入させるために用いた支持体と同じものとでき、また中央バルブ体72の位置決め解放システム74と物理的に一体化させることもできる。つまり、輪状構造体60を搬送、位置決め、開放させるための装置66が、中央バルブ体72を搬送、位置決め、開放させるための対応する装置74と一体化した場合、これによって、人工器官装置移植手術全体に渡る輪状構造体60の配置の安定性と、中央バルブ体を最終的に解放する際の人工器官装置70の様々な部品60,72間の正確な空間基準とが、両方とも確実になる。
【0063】
上記の実施例は、本発明の実施形態における介入治療のためにガイド構造体を心室の内部に配置させる装置が、如何にして、迅速で、安全で、効果的な経カテーテル処置、または心臓の解剖学的構造に用いられる低侵襲性の処置が実現されるかを明らかにするものである。