(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
柑橘類では、果皮に傷が付いた際に、その傷から菌が入り込み、かつ高温多湿状態で保管された場合には、水腐れ病と呼ばれる症状が現れることがある。
【0003】
果皮に傷が付く原因としては大まかに、気孔に出来た小さな亀裂から雨水などが侵入して膨張し、水浸状態になりながら亀裂が広がっていく自然発生によるものと、収穫時や搬送時などにおいて発生する外傷や虫がかじった痕、打撲痕などの生傷によるものがある。
【0004】
自然発生により生じた傷からカビなどの菌が入り込んだ場合、症状が進行すると、カビなどの菌が繁殖し、油胞まで破壊されてしまう。
さらに症状が進行すると、腐敗が生じた箇所から水分がなくなってしまい、乾燥腐れと呼ばれる状態となる。
【0005】
このように水腐れの生じた柑橘類を、正常品と混載梱包した場合、正常品まで腐敗されてしまう恐れがあることから、商品の品質を確保するためにも、水腐れの生じた個体を、選果段階で排除することが望まれている。
【0006】
ところで、果皮の油胞内には可視領域の蛍光を発するフラボノイド系物質が有り、油胞が破壊された場合には、この可視領域の蛍光を発するフラボノイド系物質の検出が可能となる。特許文献1〜4では、紫外線照射により、可視領域の蛍光を発するフラボノイド系物質由来の特定蛍光波長を検出することによる画像検査が行われている。
【0007】
また、水腐れ、カビ及び乾燥腐れの有無を検査する方法としては、例えば、特許文献5に開示されるように、青果物に対して、ハロゲンランプ等の照明ランプより光を照射し、青果物からの反射光を撮像用カメラによって撮像することで、青果物の変色又は腐敗した部分の有無を検出する方法が知られている。
【0008】
また、特許文献6には、青果物等に対して可視光から近赤外光までを照射し、水分や油分などの表層成分の変化を近赤外領域の波長で捉えることで、多変量解析によって水分状態の変化を判断することが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、紫外線照射により蛍光を発する物質は、柑橘類の油胞が破壊されることにより検出可能な状態となるため、生傷により油胞までも破壊された状態や、症状が進行してカビなどの菌が繁殖し油胞までも破壊された状態でなければ検出することができない。
【0011】
すなわち、気孔に出来た小さな亀裂から雨水などが侵入して膨張し、水浸状態となる自然発生した初期の水腐れ、特に、近年の市場で要求されるような直径10mm程度の微小な水腐れなどは、特許文献1,2に開示されるような検査では検出することができない。
【0012】
また、腐敗由来の油分変化を検出することは、柑橘類の油胞の破壊が発生する、水腐れ状態が比較的進行した時点でなければできない。
【0013】
このため、近年の市場で要求されるような直径10mm程度の微小な水腐れなどを検出するには感度が低く、充分な検査を行うことができない。
【0014】
また、特許文献6に開示されるように、可視光と近赤外光による多変量解析を用いた検量線においては、検量線作成には技術的な知識が必要であり、煩雑な作業が必要となるため、誰もが容易に使えるわけではない。
【0015】
さらに、Siフォトダイオードの近赤外領域における感度は低く、初期の水腐れの検出には、感度が足りず、検出することができない可能性がある。
【0016】
本発明では、このような現状に鑑み、青果物の果皮表面及び果皮内部に存在する水分の変動に由来する腐敗部などの異常を正確に検出し、また、微小な水腐れであっても検出することができる青果物検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、前述するような従来技術における課題を解決するために発明されたものであって、本発明の青果物検査装置は、
青果物の異常の有無を判別するための青果物検査装置であって、
前記青果物に対して検査光を照射する投光手段と、
前記検査光により前記青果物を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された前記青果物の検査画像に基づき、前記青果物の異常の有無を検出する解析手段と、
前記青果物を所定方向に搬送するための搬送手段と、を備え、
前記投光手段は、1450±50nmである検査波長を含む光が照射可能であり、
前記撮像手段が撮像素子として、InGaAsフォトダイオードを含み、
前記解析手段は、前記検査波長の光に基づく検査画像について、コントラストの変化を際立たせた後、2値化処理することによって、前記青果物の水腐れを少なくとも含む異常の有無をインラインで検出するように構成され
、
前記撮像手段は、前記投光手段から照射された検査光が前記青果物に反射した反射光により、前記青果物の検査画像を撮像し、
前記検査画像の各画素値は、前記青果物からの反射光Rsと、あらかじめ取得した入射光を照射し得られた標準体からの反射光Rrとの比率として算出された前記青果物の反射比R、すなわち、下記式(1)に基づき決定することを特徴とする。
【数1】
【0018】
さらに、前記検査画像の各画素値は、見かけ上の吸光度A、すなわち、下記式(2)に基づき決定することができる。
【数2】
【0021】
この場合、前記搬送手段の両側方に反射鏡をさらに備え、
前記青果物の側面部を前記反射鏡に映すことで、前記撮像手段によって前記青果物全体を撮像可能に構成することができる。
【0022】
また、前記搬送手段が、前記青果物を所望の方向に回転させる青果物回転機構を備えていても良い。
さらに、前記撮像手段が、前記青果物の上方に配置されているとともに、
前記撮像手段が、前記青果物の下方にもさらに配置されていても良い。
また、前記撮像手段が、前記青果物の上方に配置されていても良い。
さらに、前記撮像手段が、前記青果物の下方に配置されていても良い。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、水の吸収波長の中でも、1450±50nmである検査波長を用いるとともに、高感度のInGaAsフォトダイオードを用いて青果物の撮像を行い、この検査画像により、青果物の異常の有無を検出しているため、水分状態の変化を精度良く捉えることができ、直径10mm程度の微小な水腐れなども検出することができる。
【0024】
また、1450±50nmである検査波長のみで検査を行うことができるため、従来のように、複数の波長の光を用いるよりも簡易な構成の青果物検査装置とする事ができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
図1は、本発明の青果物検査装置の一実施例における構成を説明するための概略構成図である。
【0027】
図1に示すように、本実施例の青果物検査装置10は、被測定対象である青果物Sに、青果物Sの上方より検査光を照射する投光手段12と、青果物Sに反射した検査光(反射光)により青果物Sを青果物Sの上方より撮像する撮像手段14と、撮像手段14により撮像された青果物Sの検査画像に基づき青果物Sの腐敗部位を検出する解析手段16とを備えている。
ここで青果物Sの「上方」とは、青果物Sの載置面よりも上であり、青果物Sの鉛直方向、斜め方向なども含まれるものである。
【0028】
なお、本実施例において、青果物Sとしては、特に限定されるものではないが、例えば、蜜柑や橘などの柑橘類、梨、桃、ビワ、スモモ、リンゴなどとすることができる。
また、このような青果物Sとした場合、本実施例の青果物検査装置10では、例えば、柑橘類などに見られる水腐れ、梨などに見られる水果、桃、ビワ、スモモ、リンゴなどに見られる押せ痕などを検査することができる。
【0029】
ここで「水腐れ」とは、上述するように、果皮に傷が付いた際に、その傷から菌が入り込み、雨や露などにより長期にわたり果皮表面が濡れた状態で、25度前後の環境温度の条件下において現れる、果皮が膨潤したような状態となる症状である。
また、「水果」とは、果肉が水浸した状態となる症状である。程度が酷くなると果肉が褐色を帯びた状態となる。
また、「押せ痕」とは、青果物同士の接触などによって青果物表面に局部的な圧力が加わることで、青果物の果肉組織が破壊され、果皮と果肉の間に果肉組織から染み出した水分が存在する状態(いわば、人体でいう内出血の状態)が現れる症状である。
【0030】
なお、本実施例の青果物検査装置10は、このような障害の検査に限らず、例えば、果肉細胞が破壊されることで果皮表層及び/又は果皮下に現れる、水分の増減に関連する障害全般について検査することが可能である。
【0031】
投光手段12としては、1450±50nmである検査波長を含む近赤外光を照射可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ハロゲンランプやLED光源、レーザー装置を用いることができる。なお、LED光源としては、白色光を照射するものであってもよいが、特定波長の光のみを照射するものとすることもできる。
【0032】
撮像手段14としては、投光手段12により照射された波長の検査光に基づく画像を撮像可能なものであれば特に限定されるものではなく、エリアカメラ、ラインカメラ、イメージング分光器、マルチバンドカメラなどを用いることができる。
【0033】
なお、本発明では、このような撮像手段14の撮像素子として、InGaAsフォトダイオードを用いることを特徴としている。このように、InGaAsフォトダイオードを用いることによって、波長が1450±50nmである検査光であっても、高感度・低ノイズで検出が可能となる。
【0034】
なお、投光手段12と青果物Sとの間に、所定の波長の光のみを透過するバンドパスフィルタ18を設けることもできる。
このように構成することで、投光手段12が必要な波長の光だけを青果物Sに照射することができ、画像解析に不要な波長の光を受光しないため、ノイズを低減することができる。
【0035】
また、解析手段16としては、撮像された検査画像に基づき、後述するような画像解析によって腐敗部位の有無を判別可能なものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、画像解析プログラムが組み込まれたコンピュータなどとすることができる。
【0036】
本実施例の青果物検査装置10では、青果物Sに対して投光手段12より検査光を照射するとともに、青果物Sからの反射光を用いて撮像手段14により青果物Sを撮像して検査画像を取得している。
【0037】
本実施例では、検査画像の各画素値は、撮像手段14が受光した検査光(反射光)の光量Lに基づいて決定しているが、例えば、下記式(1)で表すように、青果物Sからの反射光Rsと、あらかじめ取得している入射光を照射し得られた標準体(例えば、グレーチャートなど)からの反射光Rrとの比率として算出された青果物Sの反射比に基づいて検査画像の各画素値を決定している。なお、下記式(2)で表すように、算出された反射比Rから見かけ上の吸光度に基づき画素値を決定するようにしてもよい。
【0040】
このように、標準体からの反射光Rrを基準とすることで、例えば、投光手段12が経年劣化するなどして光量が低下した場合にも、反射比Rはほぼ変動なく測定することができるため、長期間安定した検査を行うことができる。
【0041】
なお、反射比Rや見かけ上の吸光度Aに基づく検査画像の各画素値の決定は、例えば、以下のようにして行うことができる。
例えば、8ビット画像の場合、画素値は0〜255の値となるため、想定される反射比Rの最低値(撮像手段14の性能などに基づき適宜設定)が「0」、反射比Rの最高値である1が「255」となるように、各画素の反射比Rを換算すればよい。
【0042】
そして、この検査画像を、解析手段16により画像解析することで、青果物Sの腐敗部位を検出することができる。
解析手段16における画像解析は、例えば、検査画像におけるコントラストの変化を検出したり、また、画像処理として、公知の技術である膨張、収縮、ぼかし、エッジ抽出などの前処理を行い、コントラストの変化を際立たせた後、2値化処理することによって、検査画像における腐敗部分を検出することができる。
【0043】
これは、青果物Sの腐敗部位が、正常部位と比べて水分量が多くなることから、水の吸収波長の光が腐敗部位に吸収され、撮像手段14により撮像した際に、正常部位と比べて腐敗部位の光量が低下することに基づいている。
【0044】
なお、
図1に示す実施例では、バンドパスフィルタ18を投光手段12と青果物Sとの間に設けているが、例えば、
図2に示すように、バンドパスフィルタ18を青果物Sと撮像手段14との間に設けることもできる。
【0045】
また、投光手段12として、例えば、LED光源やレーザー装置など波長の半値幅が小さい光源を用いる場合には、
図3に示すように、バンドパスフィルタ18を設けなくともよい。
【0046】
図4は、本発明の青果物検査装置の別の実施例における構成を説明するための概略構成図である。
図4に示す青果物検査装置10は、基本的には
図1〜3に示した青果物検査装置10と同様な構成であり、同じ構成部材には、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0047】
図1〜3に示す青果物検査装置10では、青果物Sに対して投光手段12と撮像手段14を同じ方向に配置し、反射光によって青果物Sを撮像している。これに対して
図4に示した実施例の青果物検査装置10では、投光手段12により照射された検査光が青果物Sを透過して、この透過光を用いて撮像手段14により青果物Sの検査画像を撮像している。
【0048】
このように、透過光に基づく検査画像を用いた場合であっても、上述するように、反射光に基づく検査画像を用いた場合と同様に、画像解析を行うことによって、青果物Sの正常部位と腐敗部位とを判別することができる。
【0049】
なお、
図4に示した実施例では、透過光のみにより検査画像を撮像しているが、
図1〜3に示した実施例と組み合わせることで、透過光と反射光の両方を用いて検査画像を撮像しても構わない。
【0050】
図5は、本発明の青果物検査装置のさらに別の実施例における構成を説明するための概略構成図である。
図5に示す青果物検査装置10は、基本的には
図1〜4に示した青果物検査装置10と同様な構成であり、同じ構成部材には、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0051】
図1〜4に示す青果物検査装置10では、静止状態の青果物Sに対して投光手段12から検査光を照射し、この検査光に基づく検査画像を撮像手段14によって撮像するように構成している。これに対して
図5に示した実施例の青果物検査装置10では、搬送手段20によって一方向に搬送される青果物Sに対して、搬送手段20の上方より検査光を照射し、検査画像を撮像するように構成している。
ここで搬送手段20の「上方」とは、青果物Sが載置される搬送手段20よりも上であり、青果物Sの鉛直方向、斜め方向なども含まれるものである。
【0052】
このように、インラインで青果物検査を行うように構成することによって、大量の青果物を効率よく検査することができる。
なお、搬送手段20によって青果物Sを搬送しながら検査を行う場合には、
図5に示すように、搬送方向の両側方に反射鏡22を設け、青果物Sの側面部を反射鏡22に映すことで、撮像手段14によって青果物S全体を撮像するように構成することが好ましい。
【0053】
なお、撮像手段14は1台に限らず、例えば、
図6に示すように、複数の撮像手段14を用いることによって、青果物Sの上面と両側面をそれぞれ別の撮像手段14によって撮像するように構成することもできる。
【0054】
図7〜9は、本発明の青果物検査装置のさらに別の実施例における構成を説明するための概略構成図である。
図7〜9に示す青果物検査装置10は、基本的には
図1〜6に示した青果物検査装置10と同様な構成であり、同じ構成部材には、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。また、
図7〜9に示す図面は、説明を簡略化するため、構成を一部省略している。
【0055】
搬送手段20として、例えば、ローラーコンベアのように隙間がある場合やコンベア間の継ぎ部がある場合、ベルトコンベアのベルト部が透光性を有している場合などは、
図7〜9に示すように、搬送手段20の下方に撮像手段14を配置することもできる。
ここで搬送手段20の「下方」とは、青果物Sが載置される搬送手段20よりも下であり、青果物Sの鉛直方向、斜め方向なども含まれるものである。
【0056】
なお、
図7では、搬送手段20の下方に配置された撮像手段14と、上方に配置された撮像手段14が、一直線上に配置されているが、このような配置に限られるものではなく、
図8に示したように、搬送手段20の下方に配置された撮像手段14と、上方に配置された撮像手段14とをずらして配置することで、青果物Sの上側と下側とを異なる位置で撮像するようにしても良いものである。また
図9に示したように、搬送手段20の下方にのみ撮像手段14を配置しても良いものである。
【0057】
また
図1〜9に示した撮像手段14は、いずれも青果物Sの鉛直方向上方または鉛直方向下方に配置されているが、方向については特に限定されるものではなく、角度を付けたり、上方と下方とで角度を変えたりするなど、装置構成に合わせて適宜変更が可能なものである。
【0058】
さらに、ローラーコンベアの隙間から撮像する場合やコンベア間の継ぎ部から撮像する場合には、撮像手段14としては、ラインカメラを用いることが好ましい。
【0059】
また、青果物Sの下方から撮像することができない場合には、青果物Sを所望の方向に回転させる青果物回転機構(図示せず)を搬送手段20に設け、青果物Sを回転移動させることにより、青果物Sに対して1方向からの撮像だけではなく、複数方向から撮像するようにしても良い。青果物Sを、青果物回転機構(図示せず)が設けられた搬送手段20で搬送することで、順次、青果物Sの全周を隈無く検査することができる。
【0060】
この青果物回転機構(図示せず)については、搬送手段20上に載置された青果物Sを横方向や縦方向など所望の方向に回転移動させる回転機構を利用することができ、特に限定されるものではないが、例えば特開平10−53213号公報、特開2000−153912号公報、特開2014−97455号公報などに開示されているような青果物Sの天地を反転させる機構を利用することも可能である。
【0061】
図10は、
図1に示す青果物検査装置10を用いて、青果物Sについて検査を行った際の検査画像(1450nmの光に基づく検査画像)(
図10(a))と、960nmの光(
図10(b))及び1150nmの光(
図10(c))に基づく比較画像の例である。なお、投光手段12としてはハロゲンライトを用い、撮像手段14の前段には、バンドパスフィルタ18を設け、青果物Sの反射光Rsを用いて撮像した画像である。また図中の黒丸箇所は、腐敗部位に相当する箇所を示したものである。
【0062】
図10(b)に示すように、960nmの光に基づく画像では、腐敗部位に相当する黒丸箇所は他の箇所と比べても変わりなく、腐敗部位が判別できていない。また、
図10(c)に示すように、1150nmの光に基づく画像では、腐敗部位に相当する黒丸箇所は僅かに黒く撮像されているが、コントラストの変化が小さく、コンピュータなどによる画像解析では精度良くかつ迅速に判別することは難しい。
【0063】
特に、
図5に示すように、インラインでの青果物検査を行う場合には、迅速な検査が必要であるため、
図10(b)や
図10(c)のような画像では、充分な検査を行うことができない。
【0064】
一方で、
図10(a)に示すように、1450nmの光に基づく画像では、腐敗部位に相当する黒丸箇所が黒く明確に現れている。このように、コントラストの変化が大きく腐敗部位が現れることにより、コンピュータなどによる画像解析でも、精度良くかつ迅速に判別することができ、インラインでの青果物検査に対応することができる。
【0065】
図11は、撮像手段の撮像素子としてSiフォトダイオードを用い、検査光として960nmの光を用いた場合の比較画像の一例である。また図中の黒丸箇所は、腐敗部位に相当する箇所を示したものである。
Siフォトダイオードでは、1100nm程度の光までしか検出できないため、水の吸収波長として960nmまでしか利用することができない。このような960nmの検査光を用いた場合の画像では、
図11に示すように、腐敗部位に相当する黒丸箇所は、他の箇所と比べても変わりない。したがって、腐敗部位を判別することは困難である。
【0066】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【課題】青果物の果皮表面及び果皮内部に存在する水分の変動に由来する腐敗部などの異常を正確に検出し、また、微小な水腐れであっても検出することができる青果物検査装置を提供する。
【解決手段】青果物に対して検査光を照射する投光手段と、検査光により青果物を撮像する撮像手段と、撮像手段により撮像された青果物の検査画像に基づき、青果物の異常の有無を検出する解析手段とを備え、投光手段は、1450±50nmである検査波長を含む光が照射可能であり、撮像手段が撮像素子として、InGaAsフォトダイオードを含み、解析手段は、検査波長の光に基づく検査画像を用いて、青果物の異常の有無を検出する。