特許第6203927号(P6203927)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6203927粒子を含む繊維性構造体及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203927
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】粒子を含む繊維性構造体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   D04H 1/413 20120101AFI20170914BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20170914BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20170914BHJP
   B32B 5/24 20060101ALI20170914BHJP
   C11D 17/04 20060101ALI20170914BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALN20170914BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALN20170914BHJP
【FI】
   D04H1/413
   A61K8/02
   A61K8/46
   B32B5/24
   C11D17/04
   !A61Q11/00
   !A61Q19/00
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】69
(21)【出願番号】特願2016-201975(P2016-201975)
(22)【出願日】2016年10月13日
(62)【分割の表示】特願2014-551294(P2014-551294)の分割
【原出願日】2013年1月3日
(65)【公開番号】特開2017-61768(P2017-61768A)
(43)【公開日】2017年3月30日
【審査請求日】2016年10月20日
(31)【優先権主張番号】61/583,018
(32)【優先日】2012年1月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100187207
【弁理士】
【氏名又は名称】末盛 崇明
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス、ヨーゼフ、ドレーアー
(72)【発明者】
【氏名】マーク、ロバート、シビク
(72)【発明者】
【氏名】アリサンドレア、ホープ、ハマド−エブラヒムプアー
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー、チャールズ、ゴードン
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン、パトリック、クロール
(72)【発明者】
【氏名】ポール、デニス、トロクハーン
(72)【発明者】
【氏名】ポール、トーマス、ワイスマン
【審査官】 相田 元
(56)【参考文献】
【文献】 特表2000−506571(JP,A)
【文献】 特開2005−307383(JP,A)
【文献】 特表2006−511732(JP,A)
【文献】 特開平08−13385(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0071537(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0136780(US,A1)
【文献】 特開2000−328352(JP,A)
【文献】 特開2001−279596(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/031620(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0286437(US,A1)
【文献】 米国特許第6417120(US,B1)
【文献】 特表平08−510796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H 1/00−18/04
D21B 1/00− 1/38
D21C 1/00−11/14
D21D 1/00−99/00
D21F 1/00−13/12
D21G 1/00− 9/00
D21H 11/00−27/42
D21J 1/00− 7/00
A61K 8/02
A61K 8/46
B32B 5/24
C11D 17/04
A61Q 11/00
A61Q 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維要素及び1種以上の、活性剤含有水溶性粒子を含んでなる、単一の繊維性構造体であって、
前記繊維要素の1種以上が水溶性であり、
前記繊維要素が1種以上の水溶性フィラメントを含んでなり、
前記活性剤含有水溶性粒子の活性剤が、界面活性剤を含むことを特徴とする、繊維性構造体。
【請求項2】
前記界面活性剤が、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の単一の繊維性構造体。
【請求項3】
前記活性剤含有水溶性粒子のうち少なくとも1種が、本明細書に記述される中央粒径試験方法により測定されたときに、1μm〜1600μmの中央粒径を含む、請求項2に記載の単一の繊維性構造体。
【請求項4】
前記1種以上のフィラメント形成材料がポリマーを含み、好ましくは前記ポリマーが、プルラン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、トラガカントガム、グアーガム、アカシアガム、アラビアガム、ポリアクリル酸、メチルメタクリレートコポリマー、カルボキシビニルポリマー、デキストリン、ペクチン、キチン、レバン、エルシナン、コラーゲン、ゼラチン、ゼイン、グルテン、大豆タンパク、カゼイン、ポリビニルアルコール、カルボキシル化ポリビニルアルコール、スルホン化ポリビニルアルコール、デンプン、デンプン誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、タンパク質、キトサン、キトサン誘導体、ポリエチレングリコール、テトラメチレンエーテルグリコール、ヒドロキシメチルセルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項2または3に記載の単一の繊維性構造体。
【請求項5】
前記活性剤含有水溶性粒子の少なくとも1種が、前記繊維性構造体内に個別の粒子として存在する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の単一の繊維性構造体。
【請求項6】
前記界面活性剤が、アニオン性界面活性剤を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の単一の繊維性構造体。
【請求項7】
前記界面活性剤が、直鎖または分岐鎖のアルキルベンゼンスホネート、直鎖または分岐鎖のアルコキシ化アルキルサルフェート、直鎖または分岐鎖のアルキルサルフェートおよびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の単一の繊維性構造体。
【請求項8】
前記界面活性剤が、直鎖または分岐鎖のアルコキシ化アルキルサルフェートおよびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の単一の繊維性構造体。
【請求項9】
複数の前記活性剤含有水溶性粒子が、前記繊維性構造体中に、坪量1g/m〜5000g/mで存在し、前記複数の水溶性活性剤含有粒子が、2つ以上の層において前記繊維性構造体中に存在する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の単一の繊維性構造体。
【請求項10】
前記繊維要素が、前記繊維性構造体中に、坪量1g/m〜3000g/mで存在し、前記繊維要素が、2つ以上の層において前記繊維性構造体中に存在する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の単一の繊維性構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維性構造体、より具体的には、1種以上の粒子を含む繊維性構造体、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子を含む繊維性構造体は、当該技術分野で既知である。例えば図1に示すように、ポリプロピレンフィラメント12及びパルプ繊維14を含む、非水溶性ポリプロピレンフィラメント含有繊維性構造体10は、当該技術分野で既知である。加えて、図2に示すように、架橋された非水溶性デンプンフィラメント18及びパルプ繊維14を含む、非水溶性デンプンフィラメント含有繊維性構造体16が、当該技術分野で既知である。更に、図3に示すように、架橋された非水溶性デンプンフィラメント18と、界面活性剤コーティングされたポリオレフィン粒子、界面活性剤コーティングされたポリエステル粒子、及び/又はケイ酸アルミニウム粒子などの非水溶性粒子20とを含む、非水溶性デンプンフィラメント含有繊維性構造体16も、既知である。また更に、図4は、非水溶性熱可塑性ポリマーフィラメント24と、非水溶性有機物及び/又は鉱物粒子26とを含む繊維性構造体22を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、消費者はなおも、例えばフィラメント(例えば水溶性フィラメント)などの繊維要素、及び/又は、1種以上の活性剤を含む繊維要素、並びに、例えば活性剤含有粒子などの粒子(例えば水溶性の活性剤含有粒子及び/又は非水溶性粒子)を含む、新しい改善された繊維性構造体を求めている。
【0004】
繊維性構造の製造者が直面する問題は、繊維性構造体の消費者が、繊維性構造体、特に粒子を含む繊維性構造体に対しより多くの様々な機能及び/又は特性を求めていることである。
【0005】
上記の見地から、様々な用途における消費者の期待を満たす新しい繊維性構造体の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、粒子を含む新しい繊維性構造体を提供することにより、上記の必要性を充足する。
【0007】
本発明の一実施例において、複数の繊維要素及び1種以上の水溶性活性剤含有粒子を含む繊維性構造体が提供される。
【0008】
本発明の別の一実施例において、意図される使用条件に曝されたときに繊維要素から放出可能な1種以上の活性剤を含む複数の繊維要素と、1種以上の活性剤含有粒子とを含む、繊維性構造体が提供される。
【0009】
本発明の更に別の一実施例において、意図される使用条件に曝されたときに繊維要素から放出可能な1種以上の活性剤を含む複数の繊維要素と、1種以上の水溶性活性剤含有粒子とを含む、繊維性構造体が提供される。
【0010】
本発明の更に別の一実施例において、複数の水溶性繊維要素及び1種以上の活性剤含有粒子を含む繊維性構造体が提供される。
【0011】
本発明の更に別の一実施例において、意図される使用条件に曝されたときに繊維要素から放出可能な1種以上の活性剤を含む複数の繊維要素と、1種以上の粒子とを含む、繊維性構造体が提供される。
【0012】
本発明の更なる一実施例において、繊維性構造体の製造方法が提供され、この方法は次の工程を含む:
a.1種以上のフィラメント形成材料を含む繊維要素形成組成物を提供する工程と、
b.その繊維要素形成組成物を1種以上の繊維要素に紡糸する工程と、
c.1種以上の活性剤含有粒子を提供する工程と、
d.1種以上の活性剤含有粒子を、1種以上の繊維要素と連結させて、繊維性構造体を形成する工程。
【0013】
したがって、本発明は粒子を含む繊維性構造体と、その繊維性構造体の製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】従来技術の、パルプ繊維を含む非水溶性ポリプロピレンフィラメント含有繊維性構造体の概略図である。
図2】従来技術の、パルプ繊維を含む架橋した非水溶性デンプンフィラメント含有繊維性構造体の概略図である。
図3】従来技術の、非水溶性粒子を含む架橋した非水溶性デンプンフィラメント含有繊維性構造体の概略図である。
図4】従来技術の、非水溶性有機及び/又は鉱物粒子を含む非水溶性熱可塑性ポリマーフィラメント含有繊維性構造体の概略図である。
図5】本発明による繊維性構造体の一実施例の断面の走査型電子顕微鏡写真である。
図6】本発明による繊維性構造体の別の一実施例の概略断面図である。
図7】本発明による繊維性構造体の別の一実施例の概略断面図である。
図8】本発明による繊維性構造体の別の一実施例の断面の走査型電子顕微鏡写真である。
図9】本発明の繊維要素の製造プロセスの一実施例の概略図である。
図10図9のプロセスに使用されているダイの一実施例の拡大概略図である。
図11】本発明による繊維性構造体の製造プロセスの一実施例の概略図である。
図12】本発明による繊維性構造体の製造プロセスの別の実施例の概略図である。
図13】本発明による繊維性構造体の製造プロセスの別の一実施例の概略図である。
図14】本発明に有用なパターン付きベルトの一実施例の代表的な画像である。
図15】本発明による溶解度測定に使用される装置セットアップの一実施例の概略図である。
図16図15を溶解試験で操作中の概略図である。
図17図16の平面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
用語の定義
本明細書で使用されるとき、「繊維性構造体」は、1種以上の繊維要素及び1種以上の粒子を含む構造体を意味する。一実施例において、本発明による繊維性構造体は、繊維要素と粒子とが連結して一緒に形成する、ある機能を実施可能である構造体(例えば一体型構造体)を意味する。
【0016】
本発明の繊維性構造体は、均質であってもよく、又は積層されていてもよい。積層されている場合、この繊維性構造体は、少なくとも2つ、及び/又は少なくとも3つ、及び/又は少なくとも4つ、及び/又は少なくとも5つの層を含み得、例えば1つ以上の繊維要素層、1つ以上の粒子層、及び/又は1つ以上の繊維要素/粒子混合層を含み得る。
【0017】
一実施例において、この繊維性構造体は、本明細書に記載の坪量試験方法に従って測定した場合に、5000g/m未満の坪量を示す多積層繊維性構造体である。
【0018】
一実施例において、本発明の繊維性構造体は「一体型繊維性構造体」である。
【0019】
本明細書で使用されるとき、「一体型繊維性構造体」は、1種以上の粒子と、相互に絡まり合うか又は互いに連結しあって繊維性構造体を形成している複数の2種以上及び/又は3種以上の繊維要素とを含む、構成である。本発明の一体型繊維性構造体は、多積層繊維性構造体内に1つ以上の積層を含み得る。一実施例において、本発明の一体型繊維性構造体は、3種以上の異なる繊維要素を含み得る。別の一実施例において、本発明の一体型繊維性構造体は、2種以上の異なる繊維要素を含み得、例えば、共形成繊維性構造体であってよく、ここにおいて異なる繊維要素が堆積して、3種以上の異なる繊維要素を含む繊維性構造体を形成する。
【0020】
本明細書で使用されるとき、「繊維要素」は、平均直径を大幅に超える長さを有する、例えば、長さ対平均直径の比が少なくとも約10である、細長い微粒子を意味する。繊維要素は、フィラメント又は繊維であり得る。一実施例において、繊維要素は、複数の繊維要素を含む紡ぎ糸ではなく、単繊維要素である。
【0021】
本発明の繊維要素は、例えばメルトブロー、スパンボンド、電界紡糸、及び/又は回転紡糸などの好適な紡績プロセスにより、繊維要素形成組成物とも呼ばれるフィラメント形成組成物から紡糸することができる。
【0022】
本発明の繊維要素は、単成分及び/又は多成分であり得る。例えば、この繊維要素は、二成分繊維及び/又はフィラメントを含み得る。二成分繊維及び/又はフィラメントは、任意の形態であってよく、例えば横並び、コア及びシース、海島型、及び同様の形態であり得る。
【0023】
本明細書で使用されるとき、「フィラメント」は、上述の細長い微粒子で、5.08cm(2インチ)以上、及び/又は7.62cm(3インチ)以上、及び/又は10.16cm(4インチ)以上、及び/又は15.24cm(6インチ)の長さを示すものを意味する。
【0024】
フィラメントは典型的に、その性質が連続的又は実質的に連続的であると見なされる。フィラメントは、繊維よりも比較的長い。フィラメントの非限定的な例としては、メルトブローン及び/又はスパンボンドフィラメントが挙げられる。フィラメントに紡糸できるポリマーの非限定的な例としては、天然ポリマー(例えばデンプン、デンプン誘導体、セルロース(例えばレーヨン及び/又はリヨセル)、及びセルロース誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体)並びに合成ポリマーが挙げられ、この合成ポリマーには、熱可塑性ポリマーフィラメント(例えばポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン(例えばポリプロピレンフィラメント、ポリエチレンフィラメント))と、生分解性熱可塑性繊維(例えばポリ乳酸フィラメント、ポリヒドロキシアルカノエートフィラメント、ポリエステルアミドフィラメント、及びポリカプロラクトンフィラメント)とが挙げられるがこれらに限定されない。
【0025】
本明細書で使用されるとき、「繊維」は、上述の細長い微粒子で、5.08cm(2インチ)未満、及び/又は3.81cm(1.5インチ)未満、及び/又は2.54cm(1インチ)未満の長さを示すものを意味する。
【0026】
繊維は典型的に、その性質が非連続的であると見なされる。繊維の非限定的な例としては、本発明のフィラメント又はフィラメントトウを紡糸し、次にそのフィラメント又はフィラメントトウを5.08cm(2インチ)未満の断片に切断して、繊維を生成することにより製造されるステープルファイバーが挙げられる。
【0027】
一実施例において、例えばフィラメントをより短い長さ(例えば長さ5.08cm(2インチ)未満)に切断した場合に、1本以上の繊維を本発明のフィラメントから形成することができる。よって、一実施例において、本発明は更に、例えば1種以上のフィラメント形成材料及び1種以上の添加剤(例えば活性剤)を含む繊維など、本発明のフィラメントから製造された繊維も含む。よって、本明細書において本発明のフィラメントと呼ぶときには、別途記載のない限り、そのようなフィラメントから製造された繊維も含む。繊維は典型的に、連続的な性質であると見なされるフィラメントに比較して、非連続的な性質であると見なされる。
【0028】
本明細書で使用されるとき、「フィラメント形成組成物」及び/又は「繊維要素形成組成物」は、例えばメルトブロー及び/又はスパンボンドにより、本発明の繊維要素を製造するのに好適な組成物を意味する。フィラメント形成組成物は、繊維要素を紡糸するのに好適になるような特性を示す1種以上のフィラメント形成材料を含む。一実施例において、このフィラメント形成組成物はポリマーを含む。このフィラメント形成組成物は、1種以上のフィラメント形成材料に加え、1種以上の添加剤、例えば1種以上の活性剤を含み得る。加えて、このフィラメント形成組成物は、1種以上の極性溶媒(例えば水)を含み得、1種以上(例えば全部)のフィラメント形成材料、及び/又は、1種以上(例えば全部)の活性剤をこの中に溶解及び/又は拡散させてから、繊維要素(例えばフィラメント)がフィラメント形成組成物から紡糸される。
【0029】
図5に示す一実施例において、本発明のフィラメント形成組成物から製造された本発明のフィラメント16は、1種以上の添加剤18(例えば1種以上の活性剤)がフィラメントの表面に(例えば1種以上の活性剤を含むコーティング組成物などとして)存在するのではなくフィラメントの中に存在し得るようになっており、これは、繊維要素及び/又は粒子内の活性剤と同じであり得る又は異なり得る。フィラメント形成組成物中に存在するフィラメント形成材料の合計レベル及び活性剤の合計レベルは、本発明の繊維要素を製造することができる限りにおいて任意の好適な量であり得る。
【0030】
一実施例において、例えば活性剤などの1種以上の添加剤は、繊維要素の中に存在してよく、また、例えば活性剤などの1種以上の添加剤は、繊維要素の表面に存在してもよい。別の一実施例において、本発明の繊維要素は、例えば活性剤などの1種以上の添加剤を含み得、これは最初に製造されたときには繊維要素の中に存在するが、その繊維要素の意図する使用条件に曝される前、及び/又は曝されたときに、その繊維要素の表面に現われる。
【0031】
本明細書で使用されるとき、「フィラメント形成材料」は、繊維要素を製造するのに好適な特性を示すポリマー、又はそのようなポリマーを製造できるモノマーなどの材料を意味する。一実施例において、このフィラメント形成材料は、アニオン性、カチオン性、双性イオン性、及び/又は非イオン性ポリマーなどの1種以上の置換ポリマーを含む。別の一実施例において、このポリマーは、ヒドロキシルポリマー(例えばポリビニルアルコール(PVOH))、部分的に加水分解したポリ酢酸ビニル、及び/又は多糖類(例えばデンプン及び/又はデンプン誘導体(例えばエトキシル化デンプン及び/又は酸希釈デンプン)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース)を含み得る。別の一実施例において、このポリマーはポリエチレン及び/又はテレフタレートを含み得る。更に別の一実施例において、このフィラメント形成材料は、極性溶媒可溶性材料である。
【0032】
本明細書で使用されるとき、「粒子」は、例えば粉末、顆粒、カプセル、マイクロカプセル、及び粒状などの固体添加剤を意味する。一実施例において、この粒子は、本明細書に記載の中央粒径試験方法に従って測定した場合に、1600μm以下の中央粒径を示す。別の一実施例において、この粒子は、本明細書に記載の中央粒径試験方法に従って測定した場合に、約1μm〜約1600μm、及び/又は約1μm〜約800μm、及び/又は約5μm〜約500μm、及び/又は約10μm〜約300μm、及び/又は約10μm〜約100μm、及び/又は約10μm〜約50μm、及び/又は約10μm〜約30μmの中央粒径を示す。この粒子の形状は、球形、棒状、プレート状、管状、正方形、長方形、円板状、星形、繊維状であり得、又は規則的又は不規則な無作為形状を有し得る。
【0033】
本明細書で使用されるとき、「活性剤含有粒子」は、1種以上の活性剤を含む固体添加剤を意味する。一実施例において、活性剤含有粒子は、粒子の形態の活性剤である(換言すれば、この粒子は100%活性剤を含む)。この活性剤含有粒子は、本明細書で記述される中央粒径試験方法に従って測定した場合に、1600μm以下の中央粒径を示す。別の一実施例において、この活性剤含有粒子は、本明細書で記述される中央粒径試験方法に従って測定した場合に、約1μm〜約1600μm、及び/又は約1μm〜約800μm、及び/又は約5μm〜約500μm、及び/又は約10μm〜約300μm、及び/又は約10μm〜約100μm、及び/又は約10μm〜約50μm、及び/又は約10μm〜約30μmの中央粒径を示す。一実施例において、1種以上の活性剤は、本明細書で記述される中央粒径試験方法に従って測定した場合に、20μm以下の中央粒径を示す粒子の形状である。
【0034】
本発明の一実施例において、繊維性構造体は、複数の粒子(例えば活性剤含有粒子)と、複数の繊維要素とを含み、粒子(例えば活性剤含有粒子)の繊維要素に対する重量比は、1:100以上、及び/又は1:50以上、及び/又は1:10以上、及び/又は1:3以上、及び/又は1:2以上、及び/又は1:1以上、及び/又は約7:1〜1:100、及び/又は約7:1〜約1:50、及び/又は約7:1〜約1:10、及び/又は約7:1〜約1:3、及び/又は約6:1〜1:2、及び/又は約5:1〜約1:1、及び/又は約4:1〜約1:1、及び/又は約3:1〜約1.5:1である。
【0035】
本発明の別の一実施例において、繊維性構造体は、複数の粒子(例えば活性剤含有粒子)と、複数の繊維要素とを含み、粒子(例えば活性剤含有粒子)の繊維要素に対する重量比は、約7:1〜約1:1、及び/又は約7:1〜約1.5:1、及び/又は約7:1〜約3:1、及び/又は約6:1〜約3:1である。
【0036】
本発明の更に別の一実施例において、繊維性構造体は、複数の粒子(例えば活性剤含有粒子)と、複数の繊維要素とを含み、粒子(例えば活性剤含有粒子)の繊維要素に対する重量比は、約1:1〜約1:100、及び/又は約1:2〜約1:50、及び/又は約1:3〜約1:50、及び/又は約1:3〜約1:10である。
【0037】
別の一実施例において、本発明の繊維性構造体は、複数の粒子(例えば活性剤含有粒子)を、本明細書に記述される坪量試験方法に従って測定した場合に1g/m超、及び/又は10g/m超、及び/又は20g/m超、及び/又は30g/m超、及び/又は40g/m超、及び/又は約1g/m〜約5000g/m、及び/又は〜約3500g/m、及び/又は〜約2000g/m、及び/又は約1g/m〜約1000g/m、及び/又は約10g/m〜約400g/m、及び/又は約20g/m〜約300g/m、及び/又は約30g/m〜約200g/m、及び/又は約40g/m〜約100g/mの坪量で含む。
【0038】
別の一実施例において、本発明の繊維性構造体は、複数の繊維要素を、本明細書に記載の坪量試験方法に従って測定した場合に1g/m超、及び/又は10g/m超、及び/又は20g/m超、及び/又は30g/m超、及び/又は40g/m超、及び/又は約1g/m〜約3000g/m、及び/又は約10g/m〜約5000g/m、及び/又は〜約3000g/m、及び/又は〜約2000g/m、及び/又は約20g/m〜約2000g/m、及び/又は約30g/m〜約1000g/m、及び/又は約30g/m〜約500g/m、及び/又は約30g/m〜約300g/m、及び/又は約40g/m〜約100g/m、及び/又は約40g/m〜約80g/mの坪量で含む。一実施例において、この繊維要素は、2つ以上の層を含み、ここにおいて繊維要素は、それらの層の少なくとも1つに、坪量約1g/m〜約300g/mで存在する。
【0039】
本明細書で使用されるとき、「添加剤」は、本発明の繊維要素内に存在する、フィラメント形成材料ではない任意の材料を意味する。一実施例において、添加剤は活性剤を含む。別の一実施例において、添加剤は加工助剤を含む。更に別の一実施例において、添加剤は充填剤を含む。一実施例において、添加剤は、繊維要素内に存在する任意の材料で、繊維要素内にそれがないことは、繊維要素がその繊維要素構造を失うことにならない(換言すれば、これがないことにより繊維要素がその固体形状を失うことにならない)材料を含む。別の一実施例において、添加剤(例えば活性剤)は、非ポリマー材料を含む。
【0040】
別の一実施例において、添加剤は、繊維要素のための可塑剤を含み得る。本発明の好適な可塑剤の非限定的な例としては、ポリオール、コポリオール、ポリカルボン酸、ポリエステル、及びジメチコーンコポリオールが挙げられる。有用なポリオールの例としては、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、ポリエチレングリコール(200〜600)、ペンタエリスリトール、糖アルコール(例えばソルビトール、マンニトール、ラクチトール)、及びその他の一価及び多価低分子量アルコール(例えばC2〜C8アルコール)、単糖類、二糖類、及びオリゴ糖類(例えばフルクトース、グルコース、スクロース、マルトース、ラクトース、高フルクトース固形コーンシロップ、デキストリン)、並びにアスコルビン酸が挙げられるがこれらに限定されない。
【0041】
一実施例において、可塑剤には、グリセリン及び/又はプロピレングリコール及び/又はグリセロール誘導体(例えばプロポキシル化グリセロール)が挙げられる。更に別の一実施例において、可塑剤は、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリシドール、尿素、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、糖、エチレンビスホルムアミド、アミノ酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0042】
別の一実施例において、添加剤は、例えば剪断力変性剤及び/又は伸展変性剤などのレオロジー変性剤を含み得る。レオロジー変性剤の非限定的な例としては、本発明の繊維要素に使用可能なポリアクリルアミド、ポリウレタン及びポリアクリレートが挙げられるがこれらに限定されない。レオロジー変性剤の非限定的な例は、The Dow Chemical Company(Midland,MI)から市販されている。
【0043】
更に別の一実施例において、添加剤は、本発明の繊維要素に組み込んで、繊維要素が意図する使用条件に曝されたとき、及び/又は活性剤が繊維要素から放出されたとき、及び/又は繊維要素の形態が変化したときに、視覚的信号を提供する、1種以上の色及び/又は染料を含み得る。
【0044】
更にまた別の一実施例において、添加剤は、1種以上の剥離剤及び/又は潤滑剤を含み得る。好適な剥離剤及び/又は潤滑剤の非限定的な例としては、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪族アルコール、脂肪族エステル、スルホン化脂肪族エステル、脂肪族アミンアセテート、脂肪族アミド、シリコーン、アミノシリコーン、フルオロポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。一実施例において、剥離剤及び/又は潤滑剤は、繊維要素に適用することができ、換言すれば、繊維要素が形成された後に適用することができる。一実施例において、1種以上の剥離剤/潤滑剤は、繊維性構造体を形成するために繊維要素を収集装置上に収集する前に、繊維要素に適用することができる。別の一実施例において、1種以上の剥離剤/潤滑剤は、(例えば繊維性構造体の積層体中の)1種以上の繊維性構造体に接触する前に、本発明の繊維要素から形成される繊維性構造体に適用することができる。更に別の一実施例において、1種以上の剥離剤/潤滑剤は、繊維要素及び/又は繊維性構造体が表面(例えば処理システムに使用される装置の表面)に接触する前に、本発明の繊維要素、及び/又はその繊維要素を含む繊維性構造体に適用することができ、これにより、繊維要素及び/又は繊維性構造体の除去を促進し、かつ/あるいは本発明の繊維要素の層又は繊維性構造体の積層が偶発的にであっても互いに接着するのを避けることができる。一実施例において、この剥離剤/潤滑剤は、粒子を含む。
【0045】
更にまた別の一実施例において、添加剤は、1種以上のブロッキング防止剤及び/又は粘着性除去剤を含み得る。好適なブロッキング防止剤及び/又は粘着性除去剤の非制限的な例としては、デンプン、デンプン誘導体、架橋ポリビニルピロリドン、架橋セルロース、微結晶セルロース、シリカ、金属酸化物、炭酸カルシウム、タルク、雲母、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0046】
本明細書で使用されるとき、「意図する使用条件」は、本発明の繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体が、その設計された1つ以上の目的のために使用されるときに、その繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体が曝される、温度、物理的、化学的、及び/又は機械的条件を意味する。例えば、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維要素を含む繊維性構造体が、洗濯ケアの目的のために洗濯機内で使用されるよう設計されている場合、この意図する使用条件には、洗濯機洗浄稼働中の、洗濯機内(洗浄水を含む)に存在する温度、化学的、物理的、及び/又は機械的条件が含まれる。別の一実施例において、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維要素を含む繊維性構造体が、毛髪ケアの目的のためにシャンプーとして人間が使用するよう設計されている場合、この意図する使用条件には、人間の毛髪をシャンプーする際に存在する温度、化学的、物理的、及び/又は機械的条件が含まれる。同様に、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維要素を含む繊維性構造体が、手洗い又は食器洗浄機による食器洗浄稼働中に使用されるよう設計されている場合、この意図する使用条件には、食器洗浄の際に食器洗浄水及び/又は食器洗浄機内に存在する温度、化学的、物理的、及び/又は機械的条件が含まれる。
【0047】
本明細書で使用されるとき、「活性剤」は、例えば、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維要素を含む繊維性構造体の意図する使用条件に、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体を曝したときなどに、本発明の繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維要素を含む繊維性構造体に対して外側の環境に、意図される効果を生成する添加剤を意味する。一実施例において、活性剤は、表面(例えば硬質表面(すなわち台所のカウンタートップ、浴槽、便器、大便器、シンク、床、壁、歯、車、窓、鏡、食器)及び/又は軟質表面(すなわち布地、毛髪、皮膚、カーペット、収穫物、植物))を処理する添加剤を含む。別の一実施例において、活性剤は、化学反応(すなわち、泡立ち、発泡、着色、加温、冷却、発泡、消毒、及び/若しくは浄化並びに/又は塩素添加、例えば水の浄化及び/又は水の消毒及び/又は水の塩素添加)を生成する添加剤を含む。更に別の一実施例において、活性剤は、環境を処理する添加剤を含む(すなわち、空気を脱臭し、浄化し、芳香を付ける)。一実施例において、活性剤は、例えば活性剤を含む繊維要素及び/又は粒子の形成中などに、その場で形成され、例えば、繊維要素及び/又は粒子は、水溶性ポリマー(例えばデンプン)及び界面活性剤(例えばアニオン性界面活性剤)を含み得、これらは、ポリマー錯体又はコアセルベートを形成して、布地表面を処理するのに使用される活性剤として機能し得る。
【0048】
本明細書で表面処理に関して使用されるとき、「処理」は、活性剤が表面又は環境に対して利益をもたらすことを意味する。処理は、表面又は環境の外見、清浄度、におい、純度、及び/又は感触を調整及び/又は即座に改善することを含む。一実施例において、ケラチン性組織(例えば皮膚及び/又は毛髪)表面を処理することに関する処理とは、そのケラチン性組織の美的外観及び/又は感触を調整及び/又は即座に改善することを意味する。例えば、「皮膚、毛髪、又は爪(ケラチン性組織)の状態の調整」には、皮膚、毛髪、又は爪の萎縮を低減するための皮膚、毛髪、又は爪の肥厚化(例えば、皮膚の表皮及び/又は真皮及び/又は皮下(例えば、皮下脂肪又は筋肉)層、並びに該当する場合は爪及び毛幹のケラチン層を構築);真皮−表皮境界(乳頭間突起としても知られる)の回旋の増加;弾性線維症、たるみ、皮膚又は毛髪の変形からの回復の喪失などの、皮膚又は毛髪の弾力性の喪失(皮膚エラスチン機能の喪失、損傷、及び/又は不活性化)の予防;目の下のくま、しみ(例えば、酒さによる不均一な赤味)(以後、「赤斑」と呼ぶ)、血色の悪さ(青白い色)、毛細血管拡張症又はクモ状脈管によって引き起こされる変色、及び白髪などの、皮膚、毛髪、又は爪の色のメラニン性又は非メラニン性変化の予防が挙げられる。
【0049】
他の実施例では、処理は布地物品(布、タオル、リネンなど)、及び/又は硬質表面(卓上、及び/又は深鍋及び平鍋などを含む)から染み及び/又は匂いを除去することを意味する。
【0050】
本明細書で使用されるとき、「布地ケア活性剤」は、布地に適用したときにその布地に利益及び/又は改善をもたらす活性剤を意味する。布地に対する利益及び/又は改善の非限定的な例としては、洗浄(例えば界面活性剤による)、染み除去、染み低減、しわ除去、色の修復、静電気制御、防しわ性、パーマネントプレス、摩耗低減、耐摩耗性、毛玉除去、汚れ除去、汚れ防止(防汚加工を含む)、形状保持、縮み低減、柔軟性、芳香、抗菌性、抗ウイルス性、防臭性、及びにおい除去が挙げられる。
【0051】
本明細書で使用されるとき、「食器洗浄活性剤」は、食器、ガラス器、深鍋、平鍋、台所用具、及び/又は調理用シートに適用したときに、その食器、ガラス器、プラスチックアイテム、深鍋、平鍋、及び/又は調理用シートに利益及び/又は改善をもたらす活性剤を意味する。食器、ガラス器、深鍋、プラスチックアイテム、平鍋、台所用具、及び/又は調理用シートに対する利益及び/又は改善の非限定的な例としては、食物及び/又は汚れ除去、洗浄(例えば界面活性剤による)、染み除去、染み低減、グリース除去、水痕跡除去及び/又は水痕跡予防、ガラス及び金属ケア、消毒、光沢化、並びに磨きが挙げられる。
【0052】
本明細書で使用されるとき、「硬質表面活性剤」は、床、カウンタートップ、シンク、窓、鏡、シャワー、浴槽、及び/又は便器に適用したときに、その床、カウンタートップ、シンク、窓、鏡、シャワー、浴槽、及び/又は便器に利益及び/又は改善をもたらす活性剤を意味する。床、カウンタートップ、シンク、窓、鏡、シャワー、浴槽、及び/又は便器に対する利益及び/又は改善の非限定的な例としては、食物及び/又は汚れ除去、洗浄(例えば界面活性剤による)、染み除去、染み低減、グリース除去、水痕跡除去及び/又は水痕跡予防、水垢除去、消毒、光沢化、磨き、並びに清浄化が挙げられる。
【0053】
本明細書で使用されるとき、「重量比」は、乾燥量基準での2つの材料の比を意味する。例えば、繊維要素中での、フィラメント形成材料と活性剤との重量比は、繊維要素中の乾燥量基準でのフィラメント形成材料の重量(g又は%)と、繊維要素中の乾燥量基準での添加剤(例えば活性剤)の重量(g又は%−フィラメント形成材料重量と同じ単位)との比である。別の一実施例において、繊維性構造体中での、粒子と繊維要素との重量比は、繊維性構造体中の乾燥量基準での粒子の重量(g又は%)と、繊維性構造体中の乾燥量基準での繊維要素重量(g又は%−粒子重量と同じ単位)との比である。
【0054】
本明細書で使用されるとき、「水溶性材料」は、水に混和性である材料を意味する。換言すれば、周囲条件において、水と一緒に、安定した(均質の溶液を形成してから5分経過後にも分離しない)均質な溶液を形成することができる材料である。
【0055】
本明細書で使用されるとき、「周囲条件」は、23℃±1℃、及び相対湿度50%±2%を意味する。
【0056】
本明細書で使用されるとき、「重量平均分子量」は、「Colloids and Surfaces A.Physico Chemical & Engineering
Aspects」(Vol.162,2000,pg.107〜121)に見出される手順にしたがって、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて決定される重量平均分子量を意味する。
【0057】
繊維要素に関して、本明細書で使用されるとき、「長さ」は、繊維要素の一方の端から他方の端までの、最長の軸に沿った長さを意味する。繊維要素に折れ曲がり、カール、又はカーブがある場合、その長さは、一方の端から他方の端までの、繊維要素の全体の経路に沿った長さである。
【0058】
繊維要素に関して、本明細書で使用されるとき、「直径」は、本明細書に記載の直径試験方法に従って測定される。一実施例において、本発明の繊維要素は、100μm未満、及び/又は75μm未満、及び/又は50μm未満、及び/又は25μm未満、及び/又は20μm未満、及び/又は15μm未満、及び/又は10μm未満、及び/又は6μm未満、及び/又は1μm超、及び/又は3μm超の直径を示す。
【0059】
一実施例において本明細書で使用されるとき、「トリガ条件」は、刺激として作用し、本発明の繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体における変化を開始又は促進する、操作又は出来事としての任意のものを意味し、この変化には例えば、繊維要素及び/又は繊維性構造体の物理的構造の喪失又は変化、並びに/あるいは添加剤(例えば活性剤)の放出が挙げられる。別の一実施例において、本発明の繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体が水に加えられる場合、このトリガ条件は環境中(例えば水)に存在し得る。換言すれば、本発明の繊維要素及び/又は繊維性構造体が水に加えられたという事実以外、水中では何も変化しない。
【0060】
繊維要素及び/又は粒子の形態変化に関して、本明細書で使用されるとき、「形態変化」は、その繊維要素が物理的構造変化を経験することを意味する。本発明の繊維要素及び/又は粒子の形態変化の非限定的な例としては、溶解、融解、膨潤、収縮、破砕、破裂、延伸、短縮、及びこれらの組み合わせが挙げられる。本発明の繊維要素及び/又は粒子は、意図される使用条件に曝されると、その繊維要素又は粒子の物理的構造を完全に又は実質的に喪失する可能性があり、あるいは、それらの形態を変化させることがあり、あるいは、その繊維要素又は粒子の物理的構造を保持又は実質的に保持する可能性がある。
【0061】
「繊維要素乾燥量基準の重量」及び/又は「粒子乾燥量基準の重量」及び/又は「繊維性構造体乾燥量基準の重量」とは、それぞれ、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体を、温度23℃±1.0℃、相対湿度50%±10%の調整室に2時間置いて調整した直後に測定した、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体それぞれの重量を意味する。一実施例において、繊維要素乾燥量基準、及び/又は粒子乾燥量基準、及び/又は繊維性構造体乾燥量基準の重量とは、本明細書に記載の含水量試験方法に従って測定した場合に、その繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体が、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体の乾燥重量に対して、20%未満、及び/又は15%未満、及び/又は10%未満、及び/又は7%未満、及び/又は5%未満、及び/又は3%未満、及び/又は0%、及び/又は0%超の水分(例えば水、例えば遊離水)を含むことを意味する。
【0062】
繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体に存在する1種以上の活性剤の合計レベルに関して、本明細書で使用されるとき、「合計レベル」は、対象材料(例えば活性剤)の全ての重量又は重量パーセントの合計を意味する。換言すれば、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体は、繊維要素乾燥量基準及び/又は粒子乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で25重量%のアニオン性界面活性剤を含み得、繊維要素乾燥量基準及び/又は粒子乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で15重量%の非イオン性界面活性剤を含み得、繊維要素乾燥量基準及び/又は粒子乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で10重量%のキレート剤を含み得、繊維要素乾燥量基準及び/又は粒子乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準の重量で5重量%の香料を含み得、これにより、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体中に存在する活性剤の合計レベルは、50%超であり、すなわち、繊維要素乾燥量基準及び/又は粒子乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で55重量%である。
【0063】
本明細書で使用されるとき、「繊維性構造体製品」は、固体形状、例えば矩形固体を意味し、場合によりシートを指し、これは1種以上の活性剤、例えば布地ケア活性剤、食器洗浄活性剤、硬質表面活性剤、及びこれらの混合物を含む。一実施例において、本発明の繊維性構造体製品は、1種以上の界面活性剤、1種以上の酵素(例えば酵素粒の形態で)、1種以上の香料、及び/又は1種以上の抑泡剤を含む。別の一実施例において、本発明の繊維性構造体製品は、ビルダー及び/又はキレート剤を含む。別の一実施例において、本発明の繊維性構造体製品は、漂白剤(例えばカプセル化された漂白剤)を含む。
【0064】
繊維要素全体、及び/又は繊維要素内のフィラメント形成材料、及び/又は繊維要素内の活性剤などの材料に関して、本明細書で使用されるとき、「〜とは異なる」又は「異なる」は、化学的、物理的、及び/又は構造的に他の材料(繊維要素及び/又はフィラメント形成材料及び/又は活性剤など)とは異なることを意味する。例えば、フィラメントの形態でのフィラメント形成材料は、繊維の形態での同じフィラメント形成材料とは異なる。同様に、デンプンポリマーはセルロースポリマーとは異なる。しかしながら、同じ材料で異なる分子量のもの(例えば異なる分子量のデンプン)は、本発明の目的上、互いに異なる材料ではない。
【0065】
本明細書で使用されるとき、「ポリマーのランダム混合物」は、2種以上の異なるフィラメント形成材料がランダムに組み合わせられて繊維要素を形成していることを意味する。したがって、規則的に組み合わせられて繊維要素を形成している2種以上の異なるフィラメント形成材料(例えばコア及びシースの二部分繊維要素)は、本発明の目的上、異なるフィラメント形成材料のランダム混合物ではない。
【0066】
繊維要素及び/又は粒子に関して、本明細書で使用されるとき、「連結する」、「連結した」、「連結」、及び/又は「連結している」は、直接接触又は間接接触のいずれかで、繊維要素及び/又は粒子を組み合わせ、これにより繊維性構成体を形成することを意味する。一実施例において、連結している繊維要素及び/又は粒子は、例えば接着剤及び/又は熱接着により、合わせて接着することができる。別の一実施例において、繊維要素及び/又は粒子は、ベルト及び/又はパターン付きベルトを製造する同じ繊維性構造体上に堆積させることにより、互いに連結させることができる。
【0067】
本明細書で使用されるとき、「機械方向」又は「MD」は、繊維性構造体製造機、及び/又は繊維性構造体製品製造装置を通って繊維性構造体が流れる方向に平行な方向を意味する。
【0068】
本明細書で使用されるとき、「機械横断方向」又は「CD」は、繊維性構造体、及び/又はその繊維性構造体を含む繊維性構造体製品の同じ面内の機械方向に対して垂直な方向を意味する。
【0069】
本明細書で使用されるとき、「積層(“Ply” or “Plies”)」は、実質的に連続的に、面対面の関係で他の積層に対して所望により配置され、多積層の繊維性構造体を形成する、個々の繊維性構造を意味する。また、単一の繊維性構造体が、それ自体を折り重ねることにより、2つの「積層」又は多数の「積層」を効果的に形成できることが想到される。
【0070】
本明細書で使用するとき、冠詞「a」及び「an」は、例えば「アニオン性界面活性剤(an anionic surfactant)」又は「繊維(a fiber)」などのように本明細書で使用する場合、特許請求された又は記載された物質が1種以上であることを意味するものと理解される。
【0071】
百分率及び比は全て、特に記載がない限り、重量によって計算される。百分率及び比は全て、特に記載がない限り、合計組成物を基準に計算される。
【0072】
特に記載がない限り、構成成分又は組成物の濃度は全て、その構成成分又は組成物の活性レベルに関するものであり、市販の供給源に存在し得る不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0073】
繊維性構造体
本発明の繊維性構造体は、複数の繊維要素(例えば複数のフィラメント)と、1種以上の粒子(例えば1種以上の活性剤含有粒子、例えば水溶性の活性剤含有粒子)とを含む。
【0074】
一実施例において、繊維要素及び/又は粒子は、異なる活性剤を含む2つ以上の領域を備えた繊維性構造体を提供するよう、繊維性構造体の中に配置することができる。例えば、繊維性構造体の一領域は、漂白剤及び/又は界面活性剤を含み得、繊維性構造体の別の領域は、柔軟剤を含み得る。
【0075】
図5に示すように、本発明による繊維性構造体28は、複数の繊維要素32(この場合はフィラメント)を含む第1層30と、複数の繊維要素32(この場合はフィラメント)を含む第2層34と、第1層30と第2層34との間に配置された複数の粒子36とを含む。同様の繊維性構造体は、複数の繊維要素を含む繊維性構造体の第1積層の表面上に複数の粒子を堆積させ、次に、複数の繊維要素を含む繊維性構造体の第2積層を連結させることにより形成することができ、これにより粒子は第1積層と第2積層との間に配置される。
【0076】
図6に示すように、本発明の繊維性構造体28の別の実施例は、複数の繊維要素32(この場合はフィラメント)を含む第1層30を含み、ここにおいてこの第1層30は、1つ以上のポケット38(凹部とも呼ばれる)を含み、これは非ランダムの、繰り返しパターンであり得る。1つ以上のポケット38は、1種以上の粒子36を収容し得る。この繊維性構造体28は更に、第1層30に連結した第2層34を含み、これにより粒子36はポケット38内に閉じ込められる。上記と同様に、類似の繊維性構造体は、複数の繊維要素を含む繊維性構造体の第1積層のポケット内に複数の粒子を堆積させ、次に、複数の繊維要素を含む繊維性構造体の第2積層を連結させることにより形成することができ、これにより粒子は第1積層のポケット内に閉じ込められる。一実施例において、このポケットは、別個のポケットを形成するよう、繊維性構造体から分離することができる。
【0077】
図7に示すように、本発明の多積層繊維性構造体40の一実施例は、上記図6による繊維性構造体の第1積層42と、第1積層42に連結される繊維性構造体の第2積層44とを含み、ここにおいて第2積層44は、複数の繊維要素32(この場合はフィラメント)と、繊維性構造体全体にわたってx、y、及びz軸方向に分散された(この場合はランダムに分散された)複数の粒子36とを含む。
【0078】
図8に示すように、本発明の繊維性構造体28の一実施例は、複数の繊維要素32(この場合はフィラメント)と、繊維性構造体28全体にわたってx、y、及びz軸方向に分散された(この場合はランダムに分散された)複数の粒子36とを含む。
【0079】
本発明の繊維要素及び/又は繊維性構造体が固体の形態であっても、本発明の繊維要素を製造するために使用されるフィラメント形成組成物は液体形態であってもよい。
【0080】
一実施例において、この繊維性構造体は、本発明による繊維要素の組成の観点から同一又は実質的に同一であるものを含む。別の一実施例において、この繊維性構造体は、本発明により2種以上の異なる繊維要素を含み得る。繊維要素の違いの非限定的な例は、物理的な違い(例えば直径、長さ、質感、形状、剛性、弾性、及び同様物)、化学的な違い(例えば架橋レベル、溶解度、融点、Tg、活性剤、フィラメント形成材料、色、活性剤のレベル、坪量、フィラメント形成材料のレベル、繊維要素上のコーティングの存在、生分解性かどうか、疎水性かどうか、接触角、及び同様物)、繊維要素が意図される使用条件に曝されたときにその物理的構造を失うかどうかの違い、繊維要素が意図される使用条件に曝されたときに該繊維要素の形態が変化するかどうかの違い、並びに、繊維要素が意図される使用条件に曝されたときに該繊維要素が1種以上の活性剤を放出する速度の違い、であり得る。一実施例において、繊維性構造体内の2種以上の繊維要素及び/又は粒子は、異なる活性剤を含み得る。これは、異なる活性剤が互いに配合禁忌である場合であり得、例えば、アニオン性界面活性剤(例えばシャンプー活性剤)とカチオン性界面活性剤(例えばヘアコンディショナー活性剤)であり得る。
【0081】
別の一実施例において、繊維性構造体は、異なる領域を呈してよく、例えば坪量、密度、及び/又は厚さが異なる領域を呈し得る。更に別の一実施例において、繊維性構造体は、1つ以上の表面において質感を含み得る。繊維性構造体の表面は、例えば非ランダムの繰り返しパターンなどのパターンを含み得る。繊維性構造は、エンボスパターンでエンボス加工され得る。別の一実施例において、繊維性構造体は開口部を含み得る。この開口部は非ランダムの繰り返しパターンで配置され得る。
【0082】
一実施例において、繊維性構造体は、その繊維性構造体の別の部分とは異なる繊維要素の別個の領域を含み得る。
【0083】
本発明の繊維性構造体の使用の非限定的な実施例には、洗濯乾燥機の基材、洗濯機の基材、洗い布、硬質表面洗浄及び/又は研磨基材、床洗浄及び/又は研磨基材、バッテリー内の要素として、乳児用ワイプ、成人用ワイプ、婦人衛生用ワイプ、トイレットペーパーワイプ、窓洗浄基材、油封じ込め及び/又は掃除用基材、防虫基材、スイミングプールの化学基材、食品、口臭予防剤、防臭剤、ごみ処理バック、梱包フィルム及び/又はラップ、創傷包帯、医薬品送達、建物用断熱材、作物及び/又は植物カバー及び/又は苗床、接着剤基材、スキンケア基材、ヘアケア基材、空気ケア基材、水処理基材及び/又はフィルタ、便器洗浄基材、キャンディ基材、ペットフード、家畜用敷料、歯の増白基材、カーペット洗浄基材、並びに本発明の活性剤の他の好適な使用が挙げられるがこれらに限定されない。
【0084】
本発明の繊維性構造体は、そのままで使用されてもよく、1種以上の活性剤でコーティングされてもよい。
【0085】
一実施例において、本発明の繊維性構造体は、本明細書に記載の溶解試験方法に従って測定した場合に、24時間未満、及び/又は12時間未満、及び/又は6時間未満、及び/又は1時間(3600秒)未満、及び/又は30分未満、及び/又は25分未満、及び/又は20分未満、及び/又は15分未満、及び/又は10分未満、及び/又は5分未満、及び/又は1秒超、及び/又は5秒超、及び/又は10秒超、及び/又は30秒超、及び/又は1分超の溶解時間を示す。
【0086】
一実施例において、本発明の繊維性構造体は、本明細書に記載の溶解試験方法に従って測定した場合に、試料1gsm当たりの平均溶解時間が、約10秒/gsm(s/gsm)以下、及び/又は約5.0秒/gsm(s/gsm)以下、及び/又は約3.0秒/gsm(s/gsm)以下、及び/又は約2.0秒/gsm(s/gsm)以下、及び/又は約1.8秒/gsm(s/gsm)以下、及び/又は約1.5秒/gsm(s/gsm)以下を示す。
【0087】
一実施例において、本発明の繊維性構造体は、本明細書に記載の厚さ試験方法に従って測定した場合に、0.01mm超、及び/又は0.05mm超、及び/又は0.1mm超、及び/又は約100mmまで、及び/又は約50mmまで、及び/又は約20mmまで、及び/又は約10mmまで、及び/又は約5mmまで、及び/又は約2mmまで、及び/又は約0.5mmまで、及び/又は約0.3mmまでの厚さを示す。
【0088】
本発明に好適な他の繊維性構造体の非限定的な例は、2012年1月4日に出願された米国仮特許出願第61/583,011号(P&G代理人整理番号第12328P号)及び同第61/583,016号(P&G代理人整理番号第12329P号)に開示されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0089】
粒子
粒子は、水溶性又は非水溶性であり得る。一実施例において、1つの群の粒子が水溶性であり得、別の群の粒子が非水溶性であり得る。別の一実施例において、粒子は、1種以上の活性剤を含み得る(換言すれば、粒子は活性剤含有粒子を含み得る)。更に別の一実施例において、この粒子は1種以上の活性剤から本質的になるか、及び/又は1種以上の活性剤からなり得る(換言すれば、この粒子は、乾燥量基準で、100重量%又は約100重量%の1種以上の活性剤を含み得る)。更に別の一実施例において、この粒子は水溶性粒子を含み得る。更に別の一実施例において、この粒子は水溶性の活性剤含有粒子を含み得る。
【0090】
繊維要素
繊維要素は、水溶性又は非水溶性であり得る。一実施例において、繊維要素は、1種以上のフィラメント形成材料を含む。別の一実施例において、繊維要素は、1種以上の活性剤を含む。更に別の一実施例において、繊維要素は、1種以上のフィラメント形成材料と1種以上の活性剤とを含む。別の一実施例において、繊維要素は、水溶性繊維要素を含み得る。
【0091】
本発明の繊維要素(例えばフィラメント及び/又は繊維)は、1種以上のフィラメント形成材料を含む。フィラメント形成材料に加えて、繊維要素は、例えば繊維要素、及び/又は繊維要素を含む繊維性構造体が意図される使用条件に曝されたときに、繊維要素から放出可能な1種以上の活性剤を更に含み得る。一実施例において、繊維要素内に存在する1種以上のフィラメント形成材料の合計レベルは、繊維要素乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で80重量%未満であり、繊維要素内に存在する1種以上の活性剤の合計レベルは、繊維要素乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で20重量%超である。
【0092】
一実施例において、本発明の繊維要素は、繊維要素乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で、約100重量%、及び/又は95重量%超、及び/又は90重量%超、及び/又は85重量%超、及び/又は75重量%超、及び/又は50重量%超の、1種以上のフィラメント形成材料を含む。例えば、フィラメント形成材料は、ポリビニルアルコール、デンプン、カルボキシメチルセルロース、その他の好適なポリマー、特にヒドロキシルポリマーを含み得る。
【0093】
別の一実施例において、本発明の繊維要素は、1種以上のフィラメント形成材料と1種以上の活性剤とを含み、ここにおいて繊維要素に存在するフィラメント形成材料の合計レベルは、繊維要素乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で、約5重量%〜80重量%未満であり、繊維要素に存在する活性剤の合計レベルは、繊維要素乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で、20重量%超〜約95重量%である。
【0094】
一実施例において、本発明の繊維要素は、繊維要素乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で、少なくとも10重量%、及び/又は少なくとも15重量%、及び/又は少なくとも20重量%、及び/又は80重量%未満、及び/又は75重量%未満、及び/又は65重量%未満、及び/又は60重量%未満、及び/又は55重量%未満、及び/又は50重量%未満、及び/又は45重量%未満、及び/又は40重量%未満のフィラメント形成材料を含み、かつ、繊維要素乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で、20重量%超、及び/又は少なくとも35重量%、及び/又は少なくとも40重量%、及び/又は少なくとも45重量%、及び/又は少なくとも50重量%、及び/又は少なくとも60重量%、及び/又は95重量%未満、及び/又は90重量%未満、及び/又は85重量%未満、及び/又は80重量%未満、及び/又は75重量%未満の活性剤を含む。
【0095】
一実施例において、本発明の繊維要素は、繊維要素乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で、少なくとも5重量%、及び/又は少なくとも10重量%、及び/又は少なくとも15重量%、及び/又は少なくとも20重量%、及び/又は50重量%未満、及び/又は45重量%未満、及び/又は40重量%未満、及び/又は35重量%未満、及び/又は30重量%未満、及び/又は25重量%未満のフィラメント形成材料を含み、かつ、繊維要素乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で、50重量%超、及び/又は少なくとも55重量%、及び/又は少なくとも60重量%、及び/又は少なくとも65重量%、及び/又は少なくとも70重量%、及び/又は95重量%未満、及び/又は90重量%未満、及び/又は85重量%未満、及び/又は80重量%未満、及び/又は75重量%未満の活性剤を含む。一実施例において、本発明の繊維要素は、繊維要素乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で、80重量%超の活性剤を含む。
【0096】
別の一実施例において、1種以上のフィラメント形成材料及び活性剤は、フィラメント形成材料の合計レベルの活性剤に対する重量比が、4.0以下、及び/又は3.5以下、及び/又は3.0以下、及び/又は2.5以下、及び/又は2.0以下、及び/又は1.85以下、及び/又は1.7未満、及び/又は1.6未満、及び/又は1.5未満、及び/又は1.3未満、及び/又は1.2未満、及び/又は1未満、及び/又は0.7未満、及び/又は0.5未満、及び/又は0.4未満、及び/又は0.3未満、及び/又は0.1超、及び/又は0.15超、及び/又は0.2超で、繊維要素内に存在する。
【0097】
更に別の一実施例において、本発明の繊維要素は、繊維要素乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で、約10重量%及び/又は約15重量%〜80重量%未満のフィラメント形成材料(例えばポリビニルアルコールポリマー、デンプンポリマー、及び/又はカルボキシメチルセルロースポリマー)を含み、かつ、繊維要素乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で、20重量%超〜約90重量%及び/又は約85重量%の活性剤を含む。この繊維要素は、可塑剤(例えばグリセリン)及び/又はpH調節剤(例えばクエン酸)を更に含んでもよい。
【0098】
更に別の一実施例において、本発明の繊維要素は、繊維要素乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で、約10重量%及び/又は約15重量%〜80重量%未満のフィラメント形成材料(例えばポリビニルアルコールポリマー、デンプンポリマー、及び/又はカルボキシメチルセルロースポリマー)を含み、かつ、繊維要素乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で、20重量%超〜約90重量%及び/又は約85重量%の活性剤を含み、ここにおいてフィラメント形成材料の活性剤に対する重量比は4.0以下である。この繊維要素は、可塑剤(例えばグリセリン)及び/又はpH調節剤(例えばクエン酸)を更に含んでもよい。
【0099】
本発明の更なる一実施例において、繊維要素は、1種以上のフィラメント形成材料と、繊維要素及び/又は繊維要素を含む繊維性構造体が意図される使用条件に曝されたときに放出可能及び/又は放出される、酵素、漂白剤、ビルダー、キレート剤、感覚剤、分散剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の活性剤とを含む。一実施例において、この繊維要素は、繊維要素乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で、95重量%未満、及び/又は90重量%未満、及び/又は80重量%未満、及び/又は50重量%未満、及び/又は35重量%未満、及び/又は約5重量%まで、及び/又は約10重量%まで、及び/又は約20重量%までの合計レベルのフィラメント形成材料と、繊維要素乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で、5重量%超、及び/又は10重量%超、及び/又は20重量%超、及び/又は35重量%超、及び/又は50重量%超、及び/又は65重量%超、及び/又は95重量%まで、及び/又は90重量%まで、及び/又は80重量%までの合計レベルの、酵素、漂白剤、ビルダー、キレート剤、香料、抗微生物剤、抗菌剤、抗真菌剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される活性剤とを含む。一実施例において、この活性剤は1種以上の酵素を含む。別の一実施例において、この活性剤は1種以上の漂白剤である。更に別の一実施例において、この活性剤は1種以上のビルダーである。更に別の一実施例において、この活性剤は1種以上のキレート剤である。更に別の一実施例において、この活性剤は1種以上の香料である。また更に別の一実施例において、この活性剤は1種以上の抗微生物剤、抗菌剤、及び/又は抗真菌剤を含む。
【0100】
本発明の更に別の一実施例において、本発明の繊維要素は、空気中に浮遊した場合に健康及び/又は安全性の懸念を生じる可能性がある活性剤を含み得る。例えば、この繊維要素は、繊維要素内の酵素が空気中に浮遊するのを妨げるよう使用することができる。
【0101】
一実施例において、本発明の繊維要素は、メルトブローン繊維要素であり得る。別の一実施例において、本発明の繊維要素は、スパンボンド繊維要素であり得る。別の一実施例において、繊維要素は、1種以上の活性剤を放出する前及び/又は放出した後に、中空の繊維要素であり得る。
【0102】
本発明の繊維要素は、親水性又は疎水性であり得る。この繊維要素は、繊維要素本来の親水性又は疎水性特性を変えるため、表面処理及び/又は内部的に処理することができる。
【0103】
一実施例において、この繊維要素は、本明細書に記載の直径試験方法に従って測定した場合に、100μm未満、及び/又は75μm未満、及び/又は50μm未満、及び/又は25μm未満、及び/又は10μm未満、及び/又は5μm未満、及び/又は1μm未満の直径を示す。別の一実施例において、本発明の繊維要素は、本明細書に記載の直径試験方法に従って測定した場合に、1μm超の直径を示す。本発明の繊維要素の直径は、繊維要素中に存在する1種以上の活性剤の放出速度、及び/又は繊維要素の物理的構造を喪失及び/又は変化させる速度を制御するのに、使用することができる。
【0104】
繊維要素は、2種以上の異なる活性剤を含み得る。一実施例において、繊維要素は2種以上の異なる活性剤を含み得、ここにおいてこの2種以上の異なる活性剤は、配合禁忌ではない。別の一実施例において、繊維要素は2種以上の異なる活性剤を含み得、ここにおいてこの2種以上の異なる活性剤は、互いに配合禁忌である。
【0105】
一実施例において、繊維要素は、その繊維要素内の活性剤と、その繊維要素の外側表面の活性剤(例えば繊維要素にコーティングされた活性剤)とを含み得る。繊維要素の外側表面の活性剤は、繊維要素内に存在する活性剤と同じであっても異なっていてもよい。異なる場合は、この活性剤は互いに配合禁忌である場合又は配合禁忌でない場合があり得る。
【0106】
一実施例において、1種以上の活性剤は、繊維要素全体にわたって均一に分布、又は実質的に均一に分布され得る。別の一実施例において、1種以上の活性剤は、繊維要素内の別個の領域として分布され得る。更に別の一実施例において、少なくとも1種の活性剤が繊維要素全体にわたって均一に分布、又は実質的に均一に分布され、かつ、少なくとも1種の他の活性剤が繊維要素内の別個の領域として分布され得る。更にまた別の一実施例において、少なくとも1種の活性剤が繊維要素内の1つ以上の別個の領域として分布され、かつ、少なくとも1種の他の活性剤が繊維要素内の第1の別個の領域とは異なる1つ以上の別個の領域として分布され得る。
【0107】
フィラメント形成材料
フィラメント形成材料は、紡糸プロセスなどによってフィラメントを製造するのに好適な特性を示すポリマーを製造することができるポリマー又はモノマーなど、任意の好適な材料である。
【0108】
一実施例において、フィラメント形成材料は、アルコール可溶性材料及び/又は水溶性材料などの極性溶媒可溶性材料を含んでもよい。
【0109】
他の実施例では、フィラメント形成材料は、非極性溶媒可溶性材料を含んでもよい。
【0110】
更に別の実施例では、フィラメント形成材料は、水溶性材料を含み、かつ非水溶性材料を含まなくてもよい(繊維要素乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で、5重量%未満、及び/又は3重量%未満、及び/又は1重量%未満、及び/又は0重量%)。
【0111】
更に別の一実施例において、このフィラメント形成材料は、フィルム形成材料であり得る。更にまた別の一実施例において、このフィラメント形成材料は、合成又は天然物由来であってよく、また、化学的、酵素的、及び/又は物理的に変性されたものであってよい。
【0112】
本発明の更なる一実施例において、フィラメント形成材料は、エチレン不飽和性カルボン酸モノマー及びエチレン性不飽和モノマーなどのアクリルモノマーから誘導されたポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルムアミド、ポリビニルアミン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、アクリル酸及びメチルアクリルレートのコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、デンプン及びデンプン誘導体、プルラン、ゼラチン、及びセルロース誘導体(例えば、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース)からなる群から選択されるポリマーを含み得る。
【0113】
更に他の実施例では、フィラメント形成材料は、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、デンプン、デンプン誘導体、セルロース誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、タンパク質、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キトサン、キトサン誘導体、ポリエチレングリコール、テトラメチレンエーテルグリコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含み得る。
【0114】
更なる実施例では、フィラメント形成材料は、プルラン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、トラガカントガム、グアーガム、アカシアガム、アラビアガム、ポリアクリル酸、メチルメタクリレートコポリマー、カルボキシビニルポリマー、デキストリン、ペクチン、キチン、レバン、エルシナン、コラーゲン、ゼラチン、ゼイン、グルテン、大豆タンパク質、カゼイン、ポリビニルアルコール、カルボキシル化ポリビニルアルコール、スルホン化ポリビニルアルコール、デンプン、デンプン誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、タンパク質、キトサン、キトサン誘導体、ポリエチレングリコール、テトラメチレンエーテルグリコール、ヒドロキシメチルセルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含む。
【0115】
水溶性材料
水溶性材料の非限定的実施例には、水溶性ポリマーが含まれる。水溶性ポリマーは、合成又は天然物由来であってよく、また、化学的及び/又は物理的に変性されたものであってよい。一実施例において、極性溶媒可溶性ポリマーは、少なくとも10,000g/mol、及び/又は少なくとも20,000g/mol、及び/又は少なくとも40,000g/mol、及び/又は少なくとも80,000g/mol、及び/又は少なくとも100,000g/mol、及び/又は少なくとも1,000,000g/mol、及び/又は少なくとも3,000,000g/mol、及び/又は少なくとも10,000,000g/mol、及び/又は少なくとも20,000,000g/mol、及び/又は約40,000,000g/molまで、及び/又は約30,000,000g/molまでの重量平均分子量を示す。
【0116】
水溶性ポリマーの非限定的な実施例には、水溶性ヒドロキシルポリマー、水溶性熱可塑性ポリマー、水溶性生分解性ポリマー、水溶性非生分解性ポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。一実施例において、この水溶性ポリマーはポリビニルアルコールを含む。別の一実施例において、この水溶性ポリマーはデンプンを含む。更に別の一実施例において、この水溶性ポリマーはポリビニルアルコール及びデンプンを含む。更に別の一実施例において、この水溶性ポリマーはカルボキシメチルセルロースを含む。更に別の一実施例において、この水溶性ポリマーはカルボキシメチルセルロース及びポリビニルアルコールを含む。
【0117】
a.水溶性ヒドロキシルポリマー本発明による水溶性ヒドロキシルポリマーの非限定的な実施例としては、ポリオール、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、ポリビニルアルコールコポリマー、デンプン、デンプン誘導体、デンプンコポリマー、キトサン、キトサン誘導体、キトサンコポリマー、セルロース誘導体、例えば、セルロースエーテル及びエステル誘導体、セルロースコポリマー、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、ヘミセルロースコポリマー、ガム、アラビナン、ガラクタン、タンパク質、カルボキシメチルセルロース、及び他の様々な多糖類、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0118】
一実施例において、本発明の水溶性ヒドロキシルポリマーは多糖類を含む。
【0119】
本明細書で使用されるとき、「多糖類」は、天然多糖類及び多糖類誘導体並びに/又は変性多糖類を意味する。好適な水溶性多糖類には、デンプン、デンプン誘導体、キトサン、キトサン誘導体、セルロース誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、ガム、アラビナン、ガラクタン、及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。水溶性多糖類は、約10,000〜約40,000,000g/mol、及び/又は100,000g/mol超、及び/又は1,000,000g/mol超、及び/又は3,000,000g/mol超、及び/又は3,000,000g/mol超〜約40,000,000g/molの重量平均分子量を呈し得る。
【0120】
水溶性多糖類は、非セルロース及び/又は非セルロース誘導体及び/又は非セルロースコポリマーの水溶性多糖類を含み得る。そのような非セルロース水溶性多糖類は、デンプン、デンプン誘導体、キトサン、キトサン誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、ガム、アラビナン、ガラクタン、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0121】
他の実施例では、本発明の水溶性ヒドロキシルポリマーは非熱可塑性ポリマーを含む。
【0122】
水溶性ヒドロキシルポリマーは、約10,000g/mol〜約40,000,000g/mol、及び/又は100,000g/mol超、及び/又は1,000,000g/mol超、及び/又は3,000,000g/mol超、及び/又は3,000,000g/mol超〜約40,000,000g/molの重量平均分子量を有し得る。より大きい分子量及びより小さい分子量の水溶性ヒドロキシルポリマーを、特定の望ましい重量平均分子量を有するヒドロキシルポリマーと組み合わせて使用することができる。
【0123】
水溶性ヒドロキシルポリマー(例えば天然デンプン)の周知の変性としては、化学的変性及び/又は酵素的変性が挙げられる。例えば、天然デンプンは、酸希釈、ヒドロキシエチル化、ヒドロキシプロピル化、及び/又は酸化することができる。加えて、水溶性ヒドロキシルポリマーは、デントコーンデンプンを含み得る。
【0124】
天然由来のデンプンは概ね、D−グルコース単位の直鎖アミロース及び分枝アミロペクチンポリマーの混合物である。アミロースは、(1,4)−α−D結合により結合したD−グルコース単位の実質的に直鎖状のポリマーである。アミノペクチンは、分枝点において(1,4)−α−D結合及び(1,6)−α−D結合によって結合されたD−グルコース単位の高度な分枝状ポリマーである。天然由来のデンプンは典型的に、比較的高レベルのアミロペクチンを含み、例えば、コーンスターチ(アミロペクチン64〜80%)、もちトウモロコシ(アミロペクチン93〜100%)、米(アミロペクチン83〜84%)、ジャガイモ(アミロペクチン約78%)、及び小麦(アミロペクチン73〜83%)である。本明細書において全てのデンプンが潜在的に有用であり得るが、本発明は、農業資源に由来する高アミロペクチン天然デンプンを用いて最も一般的に実践される。農業資源に由来するデンプンは、供給量が豊富であり、容易に補給でき、かつ安価であるという利点を提供する。
【0125】
本明細書で使用されるとき、「デンプン」は、任意の天然由来の非変性デンプン、変性デンプン、合成デンプン、及びこれらの混合物、並びにアミロース又はアミロペクチン断片の混合物を含む。このデンプンは、物理的、化学的、又は生物学的プロセス、あるいはこれらの組み合わせにより変性させることができる。本発明の非変性又は変性デンプンの選択は、望ましい最終製品によって異なる。本発明の一実施形態において、本発明に有用なデンプン又はデンプン混合物は、デンプン又はその混合物の重量に対して、約20重量%〜約100重量%、より典型的には約40重量%〜約90重量%、更に典型的には約60重量%〜約85重量%のアミロペクチン含有量を有する。
【0126】
好適な天然由来デンプンには、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン、小麦デンプン、サゴヤシデンプン、タピオカデンプン、米デンプン、大豆デンプン、葛デンプン、アミオカスターチ、ワラビ粉デンプン、レンコンデンプン、もちトウモロコシデンプン、及び高アミロースコーンスターチが挙げられるがこれらに限定されない。天然由来デンプン、特にコーンスターチ及び小麦デンプンは、その経済性と入手性から、好ましいデンプンポリマーである。
【0127】
本明細書においてポリビニルアルコールは、他のモノマーをグラフトして、その特性を変性させることができる。ポリビニルアルコールに、幅広いモノマーをグラフトすることが成功している。そのようなモノマーの非限定的な例としては、酢酸ビニル、スチレン、アクリルアミド、アクリル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリロニトリル、1,3−ブタジエン、メチルメタクリレート、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、メチルアリルスルホン酸ナトリウム、フェニルアリルエーテルスルホン酸ナトリウム、フェニルメトアリルエーテルナトリウム、2−アクリルアミド−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、塩化ビニリデン、塩化ビニル、ビニルアミン、及び各種アクリル酸エステルが挙げられる。
【0128】
一実施例において、水溶性ヒドロキシルポリマーは、ポリビニルアルコール、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択される。好適なポリビニルアルコールの非限定的な例としては、Sekisui Specialty Chemicals America,LLC(Dallas,TX)から商標名CELVOL(登録商標)として市販されているものが挙げられる。好適なポリビニルアルコールの他の非限定的な例には、Nippon Ghoseiから市販されているG Polymerが挙げられる。好適なヒドロキシプロピルメチルセルロースの非限定的な例には、上述のポリビニルアルコールとの組み合わせを含む、Dow Chemical Company(Midland,MI)から商標名METHOCEL(登録商標)として市販されているものが挙げられる。
【0129】
b.水溶性熱可塑性ポリマー好適な水溶性熱可塑性ポリマーの非限定的な例としては、熱可塑性デンプン及び/又はデンプン誘導体、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、及び特定のポリエステル、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0130】
本発明の水溶性熱可塑性ポリマーは、親水性又は疎水性であり得る。この水溶性熱可塑性ポリマーは、熱可塑性ポリマー本来の親水性又は疎水性特性を変えるため、表面処理及び/又は内部的に処理することができる。
【0131】
この水溶性熱可塑性ポリマーは、生分解性ポリマーを含んでもよい。
【0132】
この熱可塑性ポリマーは、任意の好適な重量平均分子量のものを使用することができる。例えば、本発明による熱可塑性ポリマーの重量平均分子量は、約10,000g/モル超、及び/又は約40,000g/モル超、及び/又は約50,000g/モル超、及び/又は約500,000g/モル未満、及び/又は約400,000g/モル未満、及び/又は約200,000g/モル未満である。
【0133】
活性剤
活性剤は、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体自体以外のものに対して利益をもたらすために設計及び意図される添加物種類であり、例えば、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体の外部環境に対して利益をもたらす。活性剤は、繊維要素の意図される使用条件下で、意図される効果を生み出す、任意の好適な添加剤であり得る。例えば、活性剤は、パーソナルクレンジング及び/又はコンディショニング剤(例えば、シャンプー剤及び/又は染毛剤などのヘアケア剤、ヘアコンディショニング剤、スキンケア剤、日焼け止め剤、及びスキンコンディショニング剤);洗濯ケア及び/又はコンディショニング剤(例えば、布地ケア剤、布地コンディショニング剤、布地柔軟剤、布地防しわ剤、布地ケア静電気防止剤、布地ケア染み除去剤、汚れ放出剤、分散剤、発泡抑制剤、発泡強化剤、発泡防止剤、及び布地リフレッシュ剤);液体及び/又は粉末の食器洗浄剤(食器手洗い及び/又は自動食器洗浄機用)、硬質表面ケア剤、及び/又はコンディショニング剤、及び/又は磨き剤;その他の洗浄及び/又はコンディショニング剤(例えば抗微生物剤、抗菌剤、抗真菌剤、布地色調剤、香料、漂白剤(例えば酸素系漂白剤、過酸化水素、過炭酸塩漂白剤、過ホウ酸塩漂白剤、塩素系漂白剤)、漂白活性化剤、キレート剤、ビルダー、ローション、増白剤、空気ケア剤、カーペットケア剤、移染阻害剤、泥汚れ除去剤、再付着防止剤、ポリマー汚れ放出剤、ポリマー分散剤、アルコキシル化ポリアミンポリマー、アルコキシル化ポリカルボキシレートポリマー、両親媒性グラフトコポリマー、溶解助剤、緩衝系、水軟化剤、水硬化剤、pH調節剤、酵素、凝集剤、発泡剤、保存料、化粧剤、メークアップ除去剤、発泡剤、堆積助剤、コアセルベート形成剤、粘土、増粘剤、ラテックス、シリカ、乾燥剤、におい制御剤、制汗剤、冷感剤、温感剤、吸収性ゲル剤、抗炎症剤、染料、顔料、酸、及び塩基);液体処理活性剤;農業用活性剤;工業用活性剤;摂取可能活性剤(例えば医薬剤、歯増白剤、歯ケア剤、洗口剤、歯周歯肉ケア剤、食用剤、食事剤、ビタミン、ミネラル);水処理剤(例えば水浄化剤及び/又は水消毒剤)、並びにこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0134】
好適な化粧剤、スキンケア剤、スキンコンディショニング剤、ヘアケア剤、及びヘアコンディショニング剤の非限定的な例は、「CTFA Cosmetic Ingredient Handbook」(Second Edition,The Cosmetic,Toiletries,and Fragrance Association,Inc.1988,1992)に記載されている。
【0135】
1種以上の化学物質が、上記の1種以上の活性剤に有用であり得る。例えば、界面活性剤は上記の任意の数の活性剤として使用され得る。同様に、漂白剤は、布地ケア、硬質表面洗浄、食器洗浄、及び歯の増白にも使用することができる。よって、活性剤は、繊維要素及び/又は粒子及び/又はそれらから製造される繊維性構造体の望ましい使用目的に基づいて選択されることが、当業者には理解されよう。
【0136】
例えば、繊維要素及び/又は粒子及び/又はそれらから製造される繊維性構造体が、ヘアケア及び/又はコンディショニングに使用される場合、繊維要素及び/又は粒子及び/又はその繊維要素及び/又は粒子を組み込んだ繊維性構造体の意図される使用条件に曝したときに消費者に望ましい利益をもたらすために、1種以上の好適な界面活性剤(例えば発泡性界面活性剤)が選択され得る。
【0137】
一実施例において、繊維要素及び/又は粒子及び/又はそれらから製造される繊維性構造体が、洗濯作業において衣服を洗濯するのに使用するよう設計又は意図されている場合、繊維要素及び/又は粒子及び/又はその繊維要素及び/又は粒子を組み込んだ繊維性構造体の意図される使用条件に曝したときに消費者に望ましい利益をもたらすために、1種以上の好適な界面活性剤及び/又は酵素及び/又はビルダー及び/又は香料及び/又は発泡抑制剤及び/又は漂白剤が選択され得る。別の一実施例において、繊維要素及び/又は粒子及び/又はそれらから製造される繊維性構造体が、洗濯作業において衣服を洗濯、及び/又は食器洗浄作業において食器を洗浄するために設計される場合、その繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体は、洗濯洗剤組成物、若しくは食器洗浄洗剤組成物、又はそのような組成物に使用される活性剤を含み得る。
【0138】
一実施例において、この活性剤は非香料の活性剤を含む。別の一実施例において、この活性剤は非界面活性剤を含む。更に別の一実施例において、この活性剤は非摂取可能活性剤を含み、換言すれば、摂取可能活性剤以外の活性剤を含む。
【0139】
界面活性剤
好適な界面活性剤の非限定的な例としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの混合物が挙げられる。補助界面活性剤も、繊維要素及び/又は粒子に含めることができる。洗濯洗剤及び/又は食器洗浄洗剤として使用するために設計された繊維要素及び/又は粒子については、界面活性剤の合計レベルは、染み及び/又はにおい除去を含む洗浄を提供するのに十分であるべきであり、概ね約0.5%〜約95%の範囲である。更に、洗濯洗剤及び/又は食器洗浄洗剤のための繊維要素及び/又は粒子に使用するために設計される2種以上の界面活性剤を含む界面活性剤系には、全アニオン性界面活性剤系、混合タイプの界面活性剤系(アニオン性−非イオン性界面活性剤混合物、又は非イオン性−カチオン性界面活性剤混合物を含む)、又は低発泡性非イオン性界面活性剤が挙げられ得る。
【0140】
本明細書の界面活性剤は、直鎖状又は分枝状であり得る。一実施例において、好適な直鎖界面活性剤には、ココナツ油、パーム核油、大豆油、又はその他の植物系油などの農芸化学油に由来するものが含まれる。
【0141】
a.アニオン性界面活性剤
好適なアニオン性界面活性剤の非限定的な例としては、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、分枝状アルキルサルフェート、分枝状アルキルアルコキシレート、分枝状アルコキシレートサルフェート、中鎖分枝状アルキルアリールスルホネート、硫酸化モノグリセリド、スルホン化オレフィン、アルキルアリールスルホネート、一級又は二級アルカンスルホネート、アルキルスルホスクシネート、アシルタウレート、アシルイセチオネート、アルキルグリセリルエーテルスルホネート、スルホン化メチルエステル、スルホン化脂肪酸、アルキルホスフェート、アシルグルタメート、アシルサルコシネート、アルキルスルホアセテート、アシル化ペプチド、アルキルエーテルカルボキシレート、アシルラクチレート、アニオン性フルオロ界面活性剤、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0142】
本明細書での使用に好適なアルキルサルフェート及びアルキルエーテルサルフェートには、それぞれの式ROSOM及びRO(CO)SOMの材料が挙げられ、式中、Rは炭素原子が約8〜約24個のアルキル又はアルケニル、xは1〜10、及びMは、例えばアンモニウム、ナトリウム、カリウム、及びトリエタノールアミンなどの水溶性カチオンである。他の好適なアニオン性界面活性剤は、McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers,North American Edition(1986),Allured Publishing Corp.及びMcCutcheon’s,Functional Materials,North American Edition(1992),Allured Publishing Corp.に記述されている。
【0143】
一実施例において、本発明の繊維要素及び/又は粒子に有用なアニオン性界面活性剤には、C〜C15アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、C〜C20アルキルエーテルサルフェート(例えばアルキルポリ(エトキシ)サルフェート)、C〜C20アルキルサルフェート、及びこれらの混合物が挙げられる。他のアニオン性界面活性剤には、メチルエステルスルホネート(MES)、二級アルカンスルホネート、メチルエステルエトキシレート(MEE)、スルホン化エストリド、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0144】
他の実施例では、アニオン性界面活性剤は、C11〜C18アルキルベンゼンスルホネート(「LAS」)及び一級分枝鎖、及びランダムなC10〜C20アルキルサルフェート(「AS」)、式CH(CH(CHOSO)CH及びCH(CH(CHOSO)CHCHのC10〜C18二級(2,3)アルキルサルフェート(式中、x及び(y+1)は、少なくとも約、好ましくは少なくとも約9の整数であり、Mは水溶性化カチオン、特にナトリウム、不飽和硫酸塩、例えばオレイルサルフェートである)、C10〜C18 α−スルホン化脂肪酸エステル、C10〜C18硫酸化アルキルポリグリコシド、C10〜C18アルキルアルコキシサルフェート(「AES」)(式中、xは1〜30である)、及びC10〜C18アルキルアルコキシカルボキシレート(例えば1〜5のエトキシ単位を含む)、米国特許第6,020,303号及び同第6,060,443号に記載のような中鎖分枝状アルキルサルフェート、米国特許第6,008,181号及び同第6,020,303号に記載のような中鎖分枝状アルキルアルコキシサルフェート、国際公開第99/05243号、同第99/05242号、及び同第99/05244号に記載のような修飾アルキルベンゼンスルホネート(MLAS)、メチルエステルスルホネート(MES)、並びにα−オレフィンスルホネート(AOS)からなる群から選択される。
【0145】
b.カチオン性界面活性剤
好適なカチオン性界面活性剤の非限定的な例としては、式(I)を有するものが挙げられるが、これに限定されない:
【0146】
【化1】
式中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に、(a)1〜26個の炭素原子の脂肪族基、又は(b)最高22個までの炭素原子を有する芳香族、アルコキシ、ポリオキシアルキレン、アルキルカルボキシ、アルキルアミド、ヒドロキシアルキル、アリール若しくはアルキルアリール基から選択され、Xは塩生成アニオンであって、例えばハロゲンラジカル(例えば塩化物、臭化物)、アセテートラジカル、シトレートラジカル、ラクテートラジカル、グリコレートラジカル、ホスフェートラジカル、ニトレートラジカル、サルフェートラジカル、及びアルキルサルフェートラジカルから選択されるものである。一実施例において、アルキルサルフェートラジカルは、メトサルフェート及び/又はエトサルフェートである。
【0147】
一般式(I)の好適な四級アンモニウムカチオン性界面活性剤には、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(BTAC)、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、塩化セチルピリジニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、タロートリメチルアンモニウムクロリド、ココトリメチルアンモニウムクロリド,2−エチルヘキシルステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジパルミトイルエチルジメチルアンモニウムクロリド、ジタローオイルエチルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアロイルエチルジメチルアンモニウムメトサルフェート、PEG−2オレイルアンモニウムクロリド、及びこれらの塩を挙げることができ、クロリドはハロゲン(例えば臭素)、アセテート、シトレート、ラクテート、グリコレート、ホスフェートニトレート、サルフェート、又はアルキルサルフェートによって置換される。
【0148】
好適なカチオン性界面活性剤の非限定的な例は、Akzo Nobel Surfactants(Chicago,IL)から商標名ARQUAD(登録商標)で市販されている。
【0149】
一実施例において、好適なカチオン性界面活性剤としては、米国特許第6,136,769号で論じられるようなアルコキシラート四級アンモニウム(AQA)界面活性剤;米国特許第6,004,922号で論じられるようなジメチルヒドロキシエチル四級アンモニウム;ジメチルヒドロキシエチルラウリルアンモニウムクロリド;国際公開第98/35002号、同第98/35003号、同第98/35004号、同第98/35005号及び同第98/35006号で論じられるようなポリアミンカチオン性界面活性剤;米国特許第4,228,042号、同第4,239,660号、同第4,260,529号、及び同第6,022,844号で論じられるようなエステル型カチオン性界面活性剤;並びに米国特許第6,221,825号及び国際公開第00/47708号で論じられるようなアミノ界面活性剤、例えばアミドプロピルジメチルアミン(APA)を含む、例えば最高26個までの炭素原子を含有する四級アンモニウム界面活性剤が挙げられる。
【0150】
一実施例において、エステル型カチオン性界面活性剤は、洗濯洗浄の条件下で加水分解性である。
【0151】
c.非イオン性界面活性剤
好適な非イオン性界面活性剤の非限定的な例としては、アルコキシル化アルコール(AE)及びアルキルフェノール、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド(PFAA)、アルキルポリグリコシド(APG)、C10〜C18グリセロールエーテル等が挙げられる。
【0152】
一実施例において、本発明に有用な非イオン性界面活性剤の非限定的な例としては、Shell製の非イオン性界面活性剤NEODOL(登録商標)などのC12〜C18アルキルエトキシレート、アルコキシル化単位がエチレンオキシ及びプロピレンオキシ単位の混合であるC〜C12アルキルフェノールアルコキシレート、BASF製のPLURONIC(登録商標)などのエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックアルキルポリアミンエトキシレートを有するC12〜C18アルコール及びC〜C12アルキルフェノール縮合体、米国特許第6,150,322号で論じられるものなどのC14〜C22中鎖分枝状アルコール、BA、米国特許第6,153,577号、同第6,020,303号、及び同第6,093,856号で論じられるものなどのC14〜C22中鎖分枝状アルキルアルコキシレート、BAE(xは1〜30)、Llenadoの1986年1月26日発行の米国特許第4,565,647号で論じられるものなどのアルキル多糖類、具体的には、米国特許第4,483,780号及び同第4,483,779号で論じられるようなアルキルポリグリコシド、米国特許第5,332,528号で論じられるものなどのポリヒドロキシ系洗剤酸アミド、並びに米国特許第6,482,994号及び国際公開第01/42408号で論じられるものなどのエーテル末端保護ポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤が挙げられる。
【0153】
本発明に好適な市販の非イオン性界面活性剤の例としては、Tergitol(登録商標)15−S−9(9モルのエチレンオキシドとC11〜C15直鎖アルコールとの縮合生成物)及びTergitol(登録商標)24−L−6 NMW(分子量分布の狭い6モルのエチレンオキシドとC12〜C14一級アルコールとの縮合生成物)(双方ともDow Chemical Companyより販売)、Neodol 45−9(9モルのエチレンオキシドとC14〜C15直鎖アルコールとの縮合生成物)、Neodol(登録商標)23−3(3モルのエチレンオキシドとC12〜C13直鎖アルコールとの縮合生成物)、Neodol(登録商標)45−7(7モルのエチレンオキシドとC14〜C15直鎖アルコールとの縮合生成物)及びNeodol(登録商標)45−5(5モルのエチレンオキシドとC14〜C15直鎖アルコールとの縮合生成物)(Shell Chemical Companyより販売)、Kyro(登録商標)EOB(9モルのエチレンオキシドとC13〜C15アルコールとの縮合生成物(Procter & Gamble Companyより販売)、及びGenapol LA 030又は050(3又は5モルのエチレンオキシドとC12〜C14アルコールとの縮合生成物)(Clariantより販売)が挙げられる。非イオン性界面活性剤は、約8〜約17及び/又は約8〜約14のHLB範囲を呈し得る。プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドとの縮合生成物も使用することができる。
【0154】
アルキルフェノールのポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリブチレンオキシド縮合生成物も、本発明の非イオン性界面活性剤としての使用に好適である。これらの化合物には、アルキレンオキシドとの直鎖状又は分枝状形状で、約6〜約14個の炭素原子を含むアルキル基を有するアルキルフェノールの縮合生成物が含まれる。この種の市販されている非イオン性界面活性剤には、Igepal(登録商標)CO−630(Solvay−Rhodiaより販売)、並びにTriton(登録商標)X−45、X−114、X−100及びX−102(全てDow Chemical Companyより販売)が挙げられる。
【0155】
自動食器洗浄機用途には、低発泡性非イオン性界面活性剤が使用され得る。好適な低発泡性非イオン性界面活性剤は、米国特許第7,271,138号、第7欄10行目〜第7欄60行目に開示されている。
【0156】
他の好適な非イオン性界面活性剤の例は、市販のPluronic(登録商標)界面活性剤(BASFにより販売)、市販のTetronic(登録商標)化合物(BASFにより販売)及び市販のPlurafac(登録商標)界面活性剤(BASFにより販売)である。
【0157】
d.双性イオン性界面活性剤
双性イオン性界面活性剤又は両性界面活性剤の非限定的な例には、二級及び三級アミン誘導体、複素環式二級及び三級アミン誘導体、又は四級アンモニウム、四級ホスホニウム、若しくは三級スルホニウム化合物の誘導体が挙げられる。双性イオン性界面活性剤の例については、米国特許第3,929,678号、第19欄38行目〜第22欄48行目を参照し、これにはベタイン(アルキルジメチルベタイン及びココジメチルアミドプロピルベタインを含む)、C〜C18(例えばC12〜C18)アミンオキシド、並びにスルホ及びヒドロキシベタイン(例えばN−アルキル−N,N−ジメチルアミノ−1−プロパンスルホネート)が挙げられ、ここにおいてアルキル基はC〜C18であり得、特定の実施形態においてはC10〜C14であり得る。
【0158】
e.両性界面活性剤
両性界面活性剤の非限定的な例としては、二級又は三級アミンの脂肪族誘導体、あるいは複素環式二級及び三級アミンの脂肪族誘導体が挙げられ、ここにおいて脂肪族ラジカルは直鎖状又は分枝鎖状、及びこれらの混合物であり得る。脂肪族置換基の1つは、少なくとも約8個の炭素原子(例えば約8〜約18個の炭素原子)を含み得、少なくとも1つが、例えばカルボキシ、スルホネート、サルフェートなどのアニオン性水可溶化基を含む。両性界面活性剤の好適な例については、米国特許第3,929,678号、第19欄、18〜35行目を参照。
【0159】
香料
1種以上の香料及び/又は香料原材料(例えばアコード及び/又はノート)を、本発明の1種以上の繊維要素及び/又は粒子に組み込むことができる。香料は、アルデヒド香料成分、ケトン香料成分、及びこれらの混合物からなる群から選択される香料成分を含み得る。
【0160】
1種以上の香料及び/又は芳香成分が、本発明の繊維要素及び/又は粒子に含まれ得る。香料及び/又は芳香成分として有用な様々な種類の天然及び合成化学成分には、アルデヒド、ケトン、エステル、及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。また、オレンジ油、レモン油、バラ抽出物、ラベンダー、ムスク、パチョリ、バルサム精油、ビャクダン油、松根油、シーダー、及び同様物など、成分複合混合物を含み得る様々な天然抽出物及び精油も含まれる。香料完成品は、そのような成分の非常に複雑な混合物を含み得る。一実施例において、香料完成品は典型的に、繊維要素乾燥量基準及び/又は粒子乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で、約0.01重量%〜約2重量%を占める。
【0161】
香料送達系
香料送達系、特定の香料送達系の製造方法、及びかかる香料送達系の使用は、米国特許出願公開第2007/0275866(A1)号に開示されている。香料送達系の非限定的な例には、次のものが挙げられる:
【0162】
I.ポリマー支援型送達(PAD):この香料送達技術は、香料材料を送達するのにポリマー材料を使用する。古典的なコアセルべーション、水溶性又は部分的可溶性ないし不溶性の、荷電又は中性ポリマー、液晶、ホットメルト、ヒドロゲル、香料プラスチック(perfumed plastics)、マイクロカプセル、ナノ及びマイクロラテックス、ポリマーフィルムフォーマー、ポリマー吸収剤、ポリマー吸着剤などがこの例である。PADには次のものが挙げられるがこれらに限定されない:
【0163】
a.)マトリックス系香料は、ポリマーマトリックス又は粒子内に溶解又は拡散されている。例えば、香料は、1)製品を配合する前にポリマー内に拡散させるか、又は2)製品の配合中又は配合後にポリマーとは別に添加する、ことができる。ポリマーからの香料の拡散は、望ましい表面(部位)に堆積又は適用されるポリマーマトリックス系からの香料放出速度を可能にする又は増加させる一般的なトリガである。ただし、香料放出を制御し得るトリガは他に数多くのものが知られている。ポリマー粒子、フィルム、溶液、及び同様物の内部又は表面への吸収及び/又は吸着は、この技術の態様である。例としては、有機材料(例えばラテックス)からなるナノ又はマイクロ粒子がある。好適な粒子には、ポリアセタール、ポリアクリレート、ポリアクリリック、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリアリールエーテルケトン、ポリブタジエン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリクロロプレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリクロロプレン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリケトン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンクロリネート、ポリイミド、ポリイソプレン、ポリ乳酸、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフタルアミド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、並びに、アクリロニトリル−ブタジエン、酢酸セルロース、エチレン−酢酸ビニル、エチレンビニルアルコール、スチレン−ブタジエン、酢酸ビニル−エチレンのポリマー又はコポリマー、及びこれらの混合物などであるがこれらに限定されない広範な材料が挙げられる。
【0164】
「標準」系は、ポリマーに結合した予備充填された香料を香料の放出の瞬間まで保持することを意図して「予備充填された」もののことを指す。こうしたポリマーは、純製品の匂いを抑制し、香料の放出速度に応じてブルーム及び/又は持続性の効果も与え得る。そのような系における課題の1つは、1)製品内の安定性(必要な時まで担体の内部に香料を保持する)と2)タイムリーな放出(使用中又は乾燥部位から)との間の理想的なバランスを達成することである。そのような安定性を達成することは、製品内保存及び製品の熟成において特に重要である。この課題は特に、水性系の界面活性剤含有製品(例えばヘビーデューティ液体洗濯洗剤)において明らかである。利用できる多くの「標準」マトリックス系は、水性系製品に配合されると、「平衡」系になる。許容可能な製品内の拡散安定性及び利用できる放出トリガ(例えば摩擦)を有するような、「平衡」系又はリザーバ系を選択することができる。「平衡」系は、香料及びポリマーを製品に別々に添加することができ、香料とポリマーの間の平衡相互作用により、1か所以上の消費者の接触点で利益を提供するものである(これに対して、遊離香料制御では、ポリマー支援送達技術がない)。このポリマーも香料で予備充填することができるが、香料の一部又は全部が製品内保存時に拡散し、所望の香料原材料(PRM)がポリマーに結合した平衡状態に達する場合がある。このポリマーは次に、香料を表面へと運び、放出は典型的に香料の拡散により生じる。そのような平衡系ポリマーの使用は、純製品の純製品におい強度を低減させる可能性を有する(通常、予備充填された標準系の場合においてその傾向がより強い)。そのようなポリマーの堆積は、放出特性を「平坦化」するのに役立ち、持続性を高め得る。上述のように、そのような持続性は、初期強度を抑制することによって達成され、強すぎるか又は歪んだ初期強度なしに、初期製品のにおいの利益を達成するために、配合者は、より高いインパクト又は低におい検出閾値(ODT)又は低コヴァッツ・インデックス(KI)のPRMを使用することが可能になり得る。香料の放出は、望ましい消費者接触点に影響を与えるために、適用の特定の時間枠内で発生することが重要である。好適なマイクロ粒子及びマイクロラテックス、並びにこれらの製造方法は、米国特許出願第2005/0003980(A1)号に見出すことができる。マトリックス系は更に、ホットメルト接着剤及び香料プラスチックを含む。加えて、疎水変性多糖類を香料入り製品に配合することにより、香料の堆積を増加させ、及び/又は香料の放出を改変することができる。そのようなマトリックス系は全て、例えば多糖類及びナノラテックスを含めて、他のPDTと組み合わせることができ、これには他のPAD系(例えば香料マイクロカプセル(PMC)の形態のPADリザーバ系)が含まれる。ポリマー支援送達(PAD)マトリックス系には、次の参照文献に記述されるものが含まれ得る:米国特許出願第2004/0110648(A1)号、同第2004/0092414(A1)号、同第2004/0091445(A1)号及び同第2004/0087476(A1)号、並びに米国特許第6,531,444号、同第6,024,943号、同第6,042,792号、同第6,051,540号、同第4,540,721号及び同第4,973,422号。
【0165】
シリコーンも、PDTとして使用可能なポリマーの例であり、ポリマー支援送達「マトリックス系」と同様の様相で香料の利益をもたらし得る。このようなPDTは、シリコーン支援送達(SAD)と呼ばれる。シリコーンに香料を予備充填することができ、あるいは、PADで記述したように平衡系として使用することができる。好適なシリコーン及びその製造は、国際特許第2005/102261号、米国特許出願第20050124530(A1)号、同第20050143282(A1)号、及び国際特許第2003/015736号に見出すことができる。米国特許出願第2006/003913(A1)号に記述されているように、官能基化シリコーンも使用することができる。シリコーンの例には、ポリジメチルシロキサン及びポリアルキルジメチルシロキサンが挙げられる。他の例には、アミン官能基を備えたものが挙げられ、これはアミン支援送達(AAD)及び/又はポリマー支援送達(PAD)及び/又はアミン反応生成物(ARP)に伴う利益を提供するのに使用することができる。他のそのような例は、米国特許第4,911,852号、米国特許出願第2004/0058845(A1)号、同第2004/0092425(A1)号、及び同第2005/0003980(A1)号に見出すことができる。
【0166】
b.)リザーバ系リザーバ系は、コア・シェル型技術として、また、香料が香料放出制御膜(これが保護シェルとして作用し得る)によって取り囲まれているものとして知られている。マイクロカプセル内の材料は、コア、内部相、又は充填物と呼ばれ、壁は、場合によりシェル、コーティング、又は膜と呼ばれる。微粒子若しくは感圧性カプセル又はマイクロカプセルが、この技術の例である。本発明のマイクロカプセルは、様々な手順で形成され、これには、コーティング、押出成形、スプレードライ、界面重合、その場での重合、及びマトリックス重合が挙げられるがこれらに限定されない。可能なシェル材料は、水に対する安定性において幅広く異なる。最も安定なもののひとつがポリオキシメチレン尿素(PMU)系材料であり、これは、水溶液(又は製品)中で長期間にわたって特定のPRMを保持し得る。そのような系には、尿素−ホルムアルデヒド及び/又はメラミン−ホルムアルデヒドが挙げられるがこれらに限定されない。安定なシェル材料には、ポリアクリレート系材料が挙げられ、これは、水溶性又は水分散性アクリル酸アルキル酸コポリマー、アルカリ又はアルカリ塩を含むアニオン性乳化剤の存在下で、油溶性又は分散性アミンと多官能基アクリレート又はメタクリレートモノマー又はオリゴマー、油溶性酸及び反応開始剤との反応生成物として得られる。ゼラチン系マイクロカプセルは、例えば架橋の度合に応じて、水に急速又はゆっくり溶けるように調製することができる。数多くの他のカプセル壁材料が利用可能であり、観察される香料拡散安定性の程度が異なる。理論に束縛されるものではないが、例えば、表面にいったん堆積されたカプセルからの香料の放出速度は、典型的に、製品内香料拡散安定性の逆の順序になる。同様に、例えば尿素−ホルムアルデヒド及びメラミン−ホルムアルデヒドマイクロカプセルは、典型的に、放出のために、拡散以外、又は拡散に追加する放出機構を必要とし、例えばカプセルを破断して香料(芳香剤)放出速度を高めるための機械的力(例えば摩擦、圧力、剪断応力)を必要とする。他のトリガには、融解、溶解、加水分解、又はその他の化学反応、電磁放射線、及び同様物が挙げられる。予備充填マイクロカプセルの使用には、製品内安定性と使用中及び/又は表面上(部位上)での放出との適切な比、並びに適切なPRM選択が必要となる。尿素−ホルムアルデヒド及び/又メラミン−ホルムアルデヒド系のマイクロカプセルは、特に中性付近の水性系溶液中で比較的安定である。これらの材料は、摩擦トリガを必要とする可能性があり、これは全ての製品用途に適用可能ではない場合がある。他のマイクロカプセル材料(例えばゼラチン)は水性系製品中で不安定である可能性があり、製品内で熟成すると、利益が低下する可能性がある(遊離香料制御に比べて)。スクラッチ・アンド・スニフ技術は、PADの更に別の例である。香料マイクロカプセル(PMC)には、下記の参照文献に記述されているものが含まれ得る:米国特許出願第2003/0125222(A1)号、同第2003/215417(A1)号、同第2003/216488(A1)号、同第2003/158344(A1)号、同第2003/165692(A1)号、同第2004/071742(A1)号、同第2004/071746(A1)号、同第2004/072719(A1)号、同第2004/072720(A1)号、同第2006/0039934(A1)号、同第2003/203829(A1)号、同第2003/195133(A1)号、同第2004/087477(A1)号、同第2004/0106536(A1)号、及び米国特許第6,645,479(B1)号、同第6,200,949(B1)号、同第4,882,220号、同第4,917,920号、同第4,514,461号、同第6,106,875号、及び同第4,234,627号、同第3,594,328号、及び米国再発行特許第32713号、PCT特許出願:国際特許第2009/134234(A1)号、同第2006/127454(A2)号、同第2010/079466(A2)号、同第2010/079467(A2)号、同第2010/079468(A2)号、同第2010/084480(A2)号。
【0167】
II.分子支援型送達(MAD):非ポリマー材料又は分子も、香料の送達を改善するのに役立ち得る。理論に束縛されるものではないが、香料は、有機材料と非共有結合的に相互作用して、堆積及び/又は放出の変化をもたらし得る。そのような有機材料の非限定的な例には、疎水性材料(例えば有機油、ろう、鉱物油、ワセリン、脂肪酸又はエステル)、糖、界面活性剤、リポソーム、更に他の香料原材料(香油)、並びに天然油(体の汚れ及び/又はその他の汚れを含む)が含まれるがこれらに限定されない。香料固定剤は、更に別の例である。一態様において、非ポリマー性材料又は分子は、2よりも大きいCLogPを有する。分子支援送達(MAD)はまた、米国特許第7,119,060号及び同第5,506,201号に記述されるものも含み得る。
【0168】
III.繊維支援送達(FAD):部位自体の選択又は使用が、香料の送達を改善するのに役立ち得る。実際に、その部位自体が香料送達技術であり得る。例えば、木綿又はポリエステルなどの異なる布地タイプは、香料を引き付ける及び/又は保持する及び/又は放出する能力に関して、異なる特性を有する。繊維の上又は内部に堆積された香料の量は、繊維の選択によって変えることができ、また繊維の履歴又は処理、並びに繊維のコーティング又は処理によっても変えることができる。繊維は、織り繊維及び不織繊維であり得、また天然繊維又は合成繊維であり得る。天然繊維には、植物、動物、及び地質学的プロセスにより生成されたものが挙げられ、これには木綿、麻、黄麻、亜麻、ラミー、及びサイザルなどのセルロース材料、並びに紙及び布を製造するのに使用される繊維が挙げられるがこれらに限定されない。繊維支援送達は、サーモメカニカルパルプ、漂白若しくは未漂白クラフト、又は亜硫酸パルプなどの、木材繊維の使用からなり得る。動物繊維は多くが絹、羽毛、腱、カットグット、及び毛髪(羊毛を含む)などの特定のタンパク質からなる。合成化学物質によるポリマー繊維には、ポリアミドナイロン、PET又はPBTポリエステル、フェノール−ホルムアルデヒド(PF)、ポリビニルアルコール繊維(PVOH)、ポリ塩化ビニル繊維(PVC)、ポリオレフィン(PP及びPE)、並びにアクリルポリマーが挙げられるがこれらに限定されない。そのような繊維は全て、香料を予備充填することができ、その後で製品に添加することができ、この製品は遊離香料及び/又は1つ以上の香料送達技術を含んでも含まなくてもよい。一態様において、繊維は、香料で充填する前に製品に添加され、その後繊維内に拡散し得る香料をその製品に添加することによって、繊維に香料を充填することができる。理論に束縛されるものではないが、香料は、例えば製品保管中に、繊維に吸収又は繊維内に吸着させることができ、次に、1つ以上の決定的瞬間又は消費者接触点で放出させることができる。
【0169】
IV.アミン支援送達(AAD):アミン支援送達技術アプローチは、香料堆積を増加させるため、又は製品使用中の香料放出を改変するために、アミン基を含む材料を利用する。このアプローチでは、製品への添加前に香料原材料とアミンとを先行錯体化又は先行反応させる必要はない。一態様において、本明細書で使用するのに好適なアミン含有AAD材料は、非芳香族、例えばポリアルキルイミン(例えばポリエチレンイミン(PEI))、又はポリビニルアミン(PVAm)、あるいは芳香族(例えばアントラニレート)であり得る。そのような材料は更に、ポリマー又は非ポリマーであり得る。一態様において、そのような材料は少なくとも1種の一級アミンを含む。この技術は、アミン官能基を介して、低ODTの香料ノート(例えばアルデヒド、ケトン、エノン)の持続性を伸ばし、放出を制御し、また理論に拘束されるものではないが、ポリマーアミンのポリマー支援送達による他のPRMの送達を可能にする。技術なしでは、揮発性のトップノートはあまりにも急激に失われる可能性があり、トップノートに対するミドルノート及びベースノートの比率が高くなり得る。ポリマーアミンの使用によって、より高いレベルのトップノート及び他のPRMを使用して、純製品のにおいを望む以上の強さにすることなく新鮮さを持続することが可能となるか、又はトップノート及び他のPRMをより有効に使用することが可能となる。一態様において、AAD系は、ほぼ中性よりも高いpHでPRMを送達するのに有効である。理論に束縛されるものではないが、AAD系のアミンがより多く脱プロトン化する条件では、PRM(例えばアルデヒド及びケトン(不飽和ケトンを含む)及びエノン(例えばダマスコーン))に対する脱プロトン化されたアミンの親和力が高くなる可能性がある。別の一態様において、ポリマーアミンは、ほぼ中性よりも低いpHでPRMを送達するのに有効である。理論に束縛されるものではないが、AAD系のアミンがより多くプロトン化する条件では、PRM(例えばアルデヒド及びケトン)に対するプロトン化したアミンの親和力が低くなり、幅広い範囲のPRMに対してポリマー骨格の親和力が高くなる可能性がある。そのような一態様において、ポリマー支援送達は、香料に関するより多くの利益を送達し得る。そのような系は、AADの下位に分類されるものであり、アミン−ポリマー支援送達、即ちAPADと呼ぶことができる。7よりも低いpHの組成物中でAPADが採用された場合において、そのようなAPAD系はまた、ポリマー支援送達(PAD)と見なすこともできる。更に別の一態様において、AADとPAD系は他の材料(例えばアニオン性界面活性剤又はポリマーなど)と相互作用し、コアセルベート及び/又はコアセルベート様の系を形成し得る。別の一態様において、窒素以外のヘテロ原子(例えば硫黄、リン又はセレン)を含む材料を、アミン化合物の代替として使用することができる。更に別の一態様において、上記の代替化合物は、アミン化合物と組み合わせて使用することができる。更に別の一態様において、単分子が、アミン部分と、1つ以上の代替のヘテロ原子部分(例えばチオール、ホスフィン及びセレノール)とを含み得る。好適なAAD系並びにその製造方法は、米国特許出願第2005/0003980(A1)号、同第2003/0199422(A1)号、同第2003/0036489(A1)号、同第2004/0220074(A1)号、及び米国特許第6,103,678号に見出すことができる。
【0170】
V.シクロデキストリン送達システム(CD):この技術アプローチは環状オリゴ糖又はシクロデキストリンを使用して、香料の送達を改善する。典型的に、香料とシクロデキストリン(CD)の錯体が形成される。そのような錯体は予め形成することができ、その場で形成することができ、又は部位の上又は部位内で形成することができる。理論に束縛されるものではないが、特に、シクロデキストリン空洞に対して香料と競合する他の補助成分(例えば界面活性剤)が高濃度で存在していない場合は、水を喪失することで、平衡がCD−香料錯体に向かってシフトし得る。水の曝露又は水分量増加が後の時点で起こった場合、ブルーム効果が達成され得る。加えて、シクロデキストリンにより、香料配合者がPRMを選択する際のフレキシビリティが高められる。シクロデキストリンは、香料を予備充填することができ、又は香料とは別に添加して、望ましい香料安定性、堆積、又は放出の利益を得ることができる。好適なCD、並びにその製造方法は、米国特許出願第2005/0003980(A1)号及び同第2006/0263313(A1)号、並びに米国特許第5,552,378号、同第3,812,011号、同第4,317,881号、同第4,418,144号、及び同第4,378,923号に見出すことができる。
【0171】
VI.デンプンカプセルアコード(SEA):デンプンカプセルアコード(SEA)技術を用いることで、例えば、デンプンなどの成分を添加することにより液体香料を固体に変換することによって、香料の特性を改変することができる。この利益には、製品保管中(特に非水性条件下で)の香りの保留性が高くなることが挙げられる。水分に曝露すると、香料のブルームがトリガされ得る。デンプンにより、製品配合者は、SEAの存在なしでは通常使用できないPRM又はPRM濃度を選択できるようになるため、他の決定的瞬間における利益も達成され得る。他の技術例には、他の有機及び無機材料(例えばシリカ)を使用して、香料を液体から固体に変換することが挙げられる。好適なSEA及びその製造方法は、米国特許出願第2005/0003980(A1)号及び米国特許第6,458,754(B1)号に見出すことができる。
【0172】
VII.無機担体送達系(ZIC):この技術は、香料を送達するために多孔質ゼオライト又は他の無機材料を使用することに関する。香料充填ゼオライトは、補助成分と共に、又は補助成分なしで使用することができる。この補助成分は例えば、香料充填ゼオライト(PLZ)をコーティングして製品保存中若しくは使用中又は乾燥部位からの香料放出特性を変えるために使用される。好適なゼオライト及び無機担体、並びにその製造方法は、米国特許出願第2005/0003980(A1)号、及び米国特許第5,858,959号、同第6,245,732(B1)号、同第6,048,830号、及び同第4,539,135号に見出すことができる。シリカはZICの別の形態である。好適な無機担体の別の例としては、無機チューブルが挙げられ、ここにおいてナノ又はマイクロチューブルの管腔内に、香料又はその他の活性材料が収容される。一態様において、香料充填無機チューブル(又は香料充填チューブル又はPLT)は鉱物ナノ又はマイクロチューブルであり、例えばハロイサイト、又は他の無機材料(他の粘土を含む)とのハロイサイト混合物である。PLT技術は更に、製品内拡散安定性の改善、望ましい部位への堆積、又は充填された香料の放出速度の制御のために、チューブルの内側及び/又は外側に追加の成分を含み得る。モノマー及び/又はポリマー材料(デンプンカプセル化を含む)を使用して、PLTをコーティング、プラグ、キャップ、又は別の方法でカプセル化することができる。好適なPLT系及びその製造方法は、米国特許第5,651,976に見出すことができる。
【0173】
VIII.プロ香料(PP):この技術は、香料材料と他の基材又は化学物質との反応の結果、1種以上のPRMと1種以上の担体との間に共有結合を有する材料を形成する、香料技術を指す。PRMはプロPRM(すなわちプロ香料)と呼ばれる新たな材料に変換され、これは、水又は光などのトリガに曝されると、元のPRMを放出し得る。プロ香料は、香料の堆積、持続性、安定性、定着などを高めるなど、香料送達特性の強化を提供し得る。プロ香料には、モノマー(非ポリマー)又はポリマーであるものが挙げられ、予め形成することができ、あるいは例えば製品内保存中又は湿潤若しくは乾燥部位に存在し得るような平衡条件下でその場で形成することができる。プロ香料の非限定的な例には、マイケル付加物(例えばβ−アミノケトン)、芳香族又は非芳香族イミン(シッフ塩基)、オキサゾリジン、β−ケトエステル、及びオルトエステルが挙げられる。他の一態様には、PRM(例えば、α、β−不飽和ケトン、アルデヒド又はカルボキシルエステル)を放出することができる1つ以上のβ−オキシ又はβ−チオカルボニル部分を含む化合物が挙げられる。香料放出の典型的なトリガは、水への曝露であるが、他のトリガとしては、酵素、熱、光、pH変化、自動酸化、平衡のシフト、濃度又はイオン強度の変化などが挙げられる。水性系製品については、光トリガのプロ香料が特に適している。そのような光プロ香料(PPP)には、トリガされたときにクマリン誘導体及び香料並びに/又はプロ香料を放出するものが挙げられるがこれらに限定されない。放出されたプロ香料は、上述のトリガのうち任意のものにより、1種以上のPRMを放出し得る。一態様において、光プロ香料は、光及び/又は水分トリガに曝されると、窒素系プロ香料を放出する。別の一態様において、窒素系プロ香料は、光プロ香料から放出されて、例えばアルデヒド、ケトン(エノンを含む)及びアルコールから選択される1種以上のPRMを放出する。更に別の一態様において、PPPはジヒドロキシクマリン誘導体を放出する。光トリガのプロ香料は更に、クマリン誘導体及び香料アルコールを放出するエステルであり得る。一態様において、プロ香料は、米国特許出願第2006/0020459(A1)号に記述されるジメトキシベンゾイン誘導体である。別の一実施形態において、プロ香料は、電磁放射線にさらされるとアルコールを放出する3’,5’−ジメトキシベンゾイン(DMB)誘導体である。更に別の一態様において、プロ香料は1種以上の低ODT PRMを放出し、これには三級アルコール(例えばリナロール、テトラヒドロリナロール、又はジヒドロミルセノール)が含まれる。好適なプロ香料及びその製造方法は、米国特許第7,018,978(B2)号、同第6,987,084(B2)号、同第6,956,013(B2)号、同第6,861,402(B1)号、同第6,544,945(B1)号、同第6,093,691号、同第6,277,796(B1)号、同第6,165,953号、同第6,316,397(B1)号、同第6,437,150(B1)号、同第6,479,682(B1)号、同第6,096,918号、同第6,218,355(B1)号、同第6,133,228号、同第6,147,037号、同第7,109,153(B2)号、同第7,071,151(B2)号、同第6,987,084(B2)号、同第6,610,646(B2)号、及び同第5,958,870号、並びに米国特許出願第2005/0003980(A1)号及び同第2006/0223726(A1)号に見出すことができる。
【0174】
a.)アミン反応生成物(ARP):本出願の目的のため、ARPはPPのサブクラス又は種である。また、「反応性」ポリマーアミンも使用することができ、このアミン官能基は1種以上のPRMと予め反応して、アミン反応生成物(ARP)を形成する。典型的に、反応性アミンは一級及び/又は二級アミンであり、ポリマー又はモノマー(非ポリマー)の一部であり得る。そのようなARPはまた、追加のPRMと混合されて、ポリマー支援送達及び/又はアミン支援送達の利益を提供し得る。ポリマーアミンの非限定的な例としては、ポリエチレンイミン(PEI)などのポリアルキルイミン、又はポリビニルアミン(PVAm)に基づいたポリマーが挙げられる。モノマー(非ポリマー)アミンの非限定的な例としては、ヒドロキシルアミン(例えば2−アミノエタノール)及びそのアルキル置換誘導体、並びに芳香族アミン(例えばアントラニレート)が挙げられる。ARPは香料と予混合することができ、あるいはリーブオン又はリンスオフの用途では香料と別に添加することができる。別の一態様において、窒素以外のヘテロ原子(例えば酸素、硫黄、リン又はセレン)を含む材料を、アミン化合物の代替として使用することができる。更に別の一態様において、上記の代替化合物は、アミン化合物と組み合わせて使用することができる。更に別の一態様において、単分子が、アミン部分と、1つ以上の代替のヘテロ原子部分(例えばチオール、ホスフィン及びセレノール)とを含み得る。この利益には、改善された香料送達、並びに制御された香料放出が挙げられ得る。好適なARP及びその製造方法は、米国特許出願第2005/0003980(A1)号及び米国特許第6,413,920(B1)号に見出すことができる。
【0175】
抗微生物剤、抗菌剤、及び抗真菌剤
一実施形態において、ピリジンチオン微粒子が、本発明での使用に好適な抗微生物活性剤である。一実施形態において、この抗微生物活性剤は、1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオン塩であり、かつ微粒子形状である。一実施形態において、ピリジンチオン微粒子の濃度は、本発明の繊維要素乾燥量基準及び/又は粒子乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で、約0.01重量%〜約5重量%、又は約0.1重量%〜約3重量%、又は約0.1重量%〜約2重量%の範囲である。一実施形態において、このピリジンチオン塩は、例えば亜鉛、スズ、カドミウム、マグネシウム、アルミニウム、及びジルコニウム、一般的に亜鉛などの、重金属から形成されるものであり、典型的には1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオンの亜鉛塩(「亜鉛ピリジンチオン」又は「ZPT」と呼ばれる)であり、一般的に小板状粒子形態の1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオン塩である。一実施形態において、小板状粒子形態の1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオンは、本明細書で記述される中央粒径試験方法に従って測定した場合に、約20マイクロメートルまで、又は約5マイクロメートルまで、又は約2.5マイクロメートルまでの平均粒径を有する。他のカチオン(例えばナトリウム)から形成される塩も好適であり得る。ピリジンチオン活性剤は、例えば、米国特許第2,809,971号、同第3,236,733号、同第3,753,196号、同第3,761,418号、同第4,345,080号、同第4,323,683号、同第4,379,753号、及び同第4,470,982号に記述されている。
【0176】
別の一実施形態において、抗微生物剤は、トリクロサン、トリクロカルバン、クロロヘキシジン、メトロニタゾール、及びこれらの混合物から選択される。
【0177】
一実施形態において、ピリチオンの多価金属塩から選択される抗微生物剤に加えて、この組成物には更に、1種以上の抗真菌剤及び/又は抗菌活性剤が含まれ得る。一実施形態において、抗菌活性剤は、コールタール、硫黄、アゾール、硫化セレン、微粒子硫黄、角質溶解剤、炭、ウィットフィールド軟膏、カステラーニ塗布剤、塩化アルミニウム、ゲンチアナバイオレット、オクトピロックス(ピロクトンオラミン)、シクロピロックスオラミン、ウンデシレン酸及びその金属塩、過マンガン酸カリウム、硫化セレン、チオ硫酸ナトリウム、プロピレングリコール、苦橙皮油、尿素調製物、グリセオフルビン、8−ヒドロキシキノリンクリオキノール、チオベンダゾール、チオカルバメート、ハロプロジン、ポリエン、ヒドロキシピリドン、モルホリン、ベンジルアミン、アリルアミン(例えばテルビナフィン)、ティーツリー油、チョウジ葉油、コリアンダー、パルマローザ、ベルベリン、タイムレッド油、桂皮油、ケイ皮アルデヒド、シトロネル酸、ヒノキトール、イクチオールペール、Sensiva SC−50、Elestab HP−100、アゼライン酸、リチカーゼ、ヨードプロピニルブチルカルバメート(IPBC)、イソチアザリノン(例えばオクチルイソチアザリノン)、及びアゾール、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。
【0178】
漂白剤
本発明の繊維要素及び/又は粒子は、1種以上の漂白剤を含む。好適な漂白剤の非限定的な例としては、過酸、過ホウ酸塩、過カルボン酸塩、塩素系漂白剤、酸素系漂白剤、次亜ハロゲン酸塩漂白剤、漂白剤前駆体、漂白活性化剤、漂白触媒、過酸化水素、漂白促進剤、光漂白剤、漂白酵素、フリーラジカル開始剤、過酸素漂白剤、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0179】
1種以上の漂白剤が、本発明の繊維要素及び/又は粒子内に、繊維要素乾燥量基準及び/又は粒子乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で、約0.05重量%〜約30重量%、及び/又は約1重量%〜約20重量%のレベルで含まれ得る。存在する場合、漂白活性化剤は、本発明の繊維要素及び/又は粒子に、繊維要素乾燥量基準及び/又は粒子乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で、約0.1重量%〜約60重量%、及び/又は約0.5重量%〜約40重量%のレベルで存在し得る。
【0180】
漂白剤の非限定的な例としては、酸素系漂白剤、過ホウ酸塩漂白剤、過カルボン酸漂白剤及びその塩、過酸素漂白剤、過硫酸塩漂白剤、過炭酸塩漂白剤、並びにこれらの混合物が挙げられる。更に、漂白剤の非限定的な例は、米国特許第4,483,781号、米国特許出願第740,446号、欧州特許出願第0 133 354号、米国特許第4,412,934号、及び同第4,634,551号に開示されている。
【0181】
漂白活性化剤の非限定的な例(例えばアシルラクタム活性剤)は、米国特許第4,915,854号、同第4,412,934号、同第4,634,551号、及び同第4,966,723号に開示されている。
【0182】
一実施例において、漂白剤は、遷移金属漂白触媒を含み、これはカプセル封入され得る。遷移金属漂白触媒は典型的に遷移金属イオンを含み、例えば、Mn(II)、Mn(III)、Mn(IV)、Mn(V)、Fe(II)、Fe(III)、Fe(IV)、Co(I)、Co(II)、Co(III)、Ni(I)、Ni(II)、Ni(III)、Cu(I)、Cu(II)、Cu(III)、Cr(II)、Cr(III)、Cr(IV)、Cr(V)、Cr(VI)、V(III)、V(IV)、V(V)、Mo(IV)、Mo(V)、Mo(VI)、W(IV)、W(V)、W(VI)、Pd(II)、Ru(II)、Ru(III)、及びRu(IV)からなる群から選択される遷移金属の遷移金属イオンを含む。一実施例において、この遷移金属は、Mn(II)、Mn(III)、Mn(IV)、Fe(II)、Fe(III)、Cr(II)、Cr(III)、Cr(IV)、Cr(V)、及びCr(VI)からなる群から選択される。遷移金属漂白触媒は典型的に配位子を含み、例えば大環状配位子(例えば架橋大環状配位子)を含む。遷移金属イオンは配位子と配位結合し得る。更に、配位子は少なくとも4つのドナー原子を含み得、このうち少なくとも2つが橋頭ドナー原子である。好適な遷移金属漂白触媒の非限定的な例は、米国特許第5,580,485号、同第4,430,243号、同第4,728,455号、同第5,246,621号、同第5,244,594号、同第5,284,944号、同第5,194,416号、同第5,246,612号、同第5,256,779号、同第5,280,117号、同第5,274,147号、同第5,153,161号、同第5,227,084号、同第5,114,606号、同第5,114,611号、欧州特許第549,271(A1)号、同第544,490(A1)号、同第549,272(A1)号、及び同第544,440(A2)号に記述されている。一実施例において、好適な遷移金属漂白触媒は、例えば米国特許第5,576,282号に記述されているマンガン系触媒を含む。別の一実施例において、好適なコバルト漂白触媒は、米国特許第5,597,936号及び同第5,595,967に記述されている。そのようなコバルト触媒は、例えば米国特許第5,597,936号及び同第5,595,967号の教示のように、既知の手順により容易に調製される。更に別の好適な遷移金属漂白触媒は、国際特許WO 05/042532(A1)号に記述されているビスピドンなどの配位子の遷移金属錯体を含む。
【0183】
漂白触媒の非限定的な例としては、定義された漂白触媒活性の遷移金属カチオン(例えば銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデン、又はマンガンカチオン)と、漂白触媒活性をほとんど又は全く持たない補助金属カチオン(例えば亜鉛又はアルミニウムカチオン)と、その触媒金属カチオン及び補助金属カチオンの定義された安定性定数を有する隔離剤(sequestrate)、特にエチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、及びその水溶性塩とを含む触媒系が挙げられる。そのような触媒は米国特許第4,430,243号に開示されている。漂白触媒の他のタイプには、米国特許第5,246,621号及び同第5,244,594号に開示されているマンガン系錯体が挙げられる。これらの触媒の好ましい例としては、MnIV(u−O)(1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン)−(PF(「MnTACN」)、MnIII(u−O)(u−OAc)(1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン)−(ClO、MnIV(u−O)(1,4,7−トリアザシクロノナン)−(ClO、MnIIIMnIV(u−O)(u−OAc)(1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン)−(ClO4)、及びこれらの混合物が挙げられる。欧州特許出願公開第549,272号も参照のこと。本明細書で使用するのに適した他の配位子には、1,5,9−トリメチル−1,5,9−トリアザシクロドデカン、2−メチル−1,4,7−トリアザシクロノナン、2−メチル−1,4,7−トリアザシクロノナン、及びこれらの混合物が挙げられる。自動食器洗浄機用組成物及び濃縮粉末洗剤組成物に有用な漂白触媒が、本発明に適切であるように選択され得る。好適な漂白触媒の例については、米国特許第4,246,612号及び同第5,227,084号を参照のこと。また、例えばMn(1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン(OCH3)−(PF)などの単核マンガン(IV)錯体を教示している米国特許第5,194,416号も参照のこと。更に別のタイプの漂白触媒は、米国特許第5,114,606号に開示されているように、少なくとも3つの連続C−OH基を有する非カルボン酸ポリヒドロキシ化合物である配位子を伴うマンガン(II)、(III)、及び/又は(UV)の水溶性錯体である。好ましい配位子には、ソルビトール、イジトール、ズルシトール、マンニトール、キシリトール、アラビトール、アドニトール、メソエリトリトール、メソイノシトール、ラクトース、及びこれらの混合物が挙げられる。米国特許第5,114,611号は、Mn、Co、Fe、又はCuを含む遷移金属と、非(大)環状配位子との錯体を含む漂白触媒を教示している。配位子の非限定的な例としては、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、イミダゾール、ピラゾール、及びトリアゾール環が挙げられる。一実施例において、この配位子は2,2’−ビスピリジルアミンである。一実施例において、この漂白触媒には、Co、Cu、Mn、Fe、−ビスピリジルメタン及び−ビスピリジルアミン錯体が挙げられ、例えばCo(2,2’−ビスピリジルアミン)Cl、Di(イソチオシアナト)ビスピリジルアミン−コバルト(II)、トリスジピリジルアミン−コバルト(II)過塩素酸塩、Co(2,2−ビスピリジルアミン)ClO、ビス−(2,2’−ビスピリジルアミン)銅(II)過塩素酸塩、トリス(ジ−2−ピリジルアミン)鉄(II)過塩素酸塩、及びこれらの混合物が挙げられる。他の漂白触媒の例としては、グルコン酸マンガン、Mn(CFSO、Co(NHCI、及び、テトラ−N−デンテート及びbi−N−デンテート配位子(NMn(III)(u−O)Mn(IV)N及び[BipyMn(III)(u−O)Mn(IV)bipy]−(ClOを含む)との二核Mn錯体が挙げられる。
【0184】
漂白触媒は、水溶性配位子を水性媒体中で水溶性マンガン塩と混合し、結果として得られた混合物を蒸発により濃縮させることによって、調製することもできる。本明細書では任意の便利な水溶性マンガン塩を使用することができる。マンガン(II)、(III)、(IV)及び/又は(V)は、市販規模で容易に入手できる。いくつかの場合において、十分なマンガンが洗浄液中に存在し得るが、一般に、組成物中の洗剤組成物Mnカチオンに対し、触媒的に有効な量の存在を確保することが好ましい。よって、配位子のナトリウム塩と、MnSO、Mn(ClO又はMnCl(好ましさは最も低い)からなる群から選択される成分とが、中性又はわずかにアルカリ性のpHで、配位子:Mn塩のモル比が約1:4〜4:1の範囲になるように水に溶解される。水は最初に沸騰させて脱酸素化し、窒素スプレーで冷却することができる。結果として得られる溶液を蒸発させ(望ましい場合はN下で)、結果として得られた固体が、更なる精製なしに、本明細書の漂白及び洗剤組成物に使用される。
【0185】
別の様式において、水溶性マンガン源、例えばMnSOが、漂白/洗浄組成物に、あるいは配位子を含む水性漂白/洗浄液槽に添加される。いくつかのタイプの錯体は明らかにiその場形成され、改善された漂白性能が確保される。そのようなその場プロセスにおいて、マンガンに対する配位子をかなりのモル過剰量で使用すると便利であり、配位子:マンガンのモル比は典型的に3:1〜15:1である。追加の配位子はまた、鉄及び銅などの不安定な金属イオンを除去し、これにより漂白剤を分解から保護するのに役立つ。そのような可能な系の1つが、欧州特許出願公開第549,271号に記述されている。
【0186】
本発明に有用な漂白剤−触媒マンガン錯体の構造は解明されていないが、これらは、配位子のカルボキシル及び窒素原子とマンガンカチオンとの相互作用の結果生じる、キレート又は他の水和配位錯体を含むと推測することができる。同様に、触媒プロセス中のマンガンカチオンの酸化状態は、確かにはわかっていないが、おそらくは(+II)、(+III)、(+IV)又は(+V)の価数状態であり得る。配位子には、マンガンカチオンに接合する6つの可能な点があるため、多核種及び/又は「ケージ」構造が水性漂白媒体中に存在し得ることが妥当に推測され得る。実際に存在する活性Mn−配位子種の形態にかかわらず、これは、明らかに触媒的様式で、茶、ケチャップ、コーヒー、ワイン、ジュース、及び同様物の頑固な染みに対して改善された漂白性能を提供するよう機能する。
【0187】
他の漂白触媒は、例えば、欧州特許出願公開第408,131号(コバルト錯体触媒)、同第384,503号及び同第306,089号(金属ポルフィリン触媒)、米国特許第4,728,455号(マンガン/多座配位子触媒)、同第4,711,748号及び欧州特許出願公開第224,952号(アルミノケイ酸触媒に吸収されたマンガン)、米国特許第4,601,845号(マンガン及び亜鉛又はマグネシウム塩によるアルミノケイ酸塩補助)、同第4,626,373号(マンガン/配位子触媒)、同第4,119,557号(第二鉄錯体触媒)、ドイツ特許明細書第2,054,019号(コバルトキレート剤触媒)、カナダ特許第866,191号(遷移金属含有塩)、米国特許第4,430,243号(マンガンカチオン及び非触媒金属カチオンを備えたキレート剤)、並びに同第4,728,455号(グルコン酸マンガン触媒)に記述されている。
【0188】
一実施例において、漂白触媒は、式[Co(NHCl]Y、特に[Co(NHCl]CIを有するコバルトペンタアミン塩化物塩を含む。本明細書において有用な他のコバルト漂白触媒は、例えば、M.L.Tobe,「Base Hydrolysis of Transition−Metal Complexes」,Adv.Inorg.Bioinorg.Mech.,(1983),2,p.1〜94に、その塩基加水分解速度と共に記述されている。例えば、17ページの表は、コバルトペンタアミン触媒の、次のそれぞれの場合での塩基加水分解速度を提供している(文献においてkOHとして示されている):
【0189】
シュウ酸塩と錯体化した場合
(kOH=2.5×10−4−1−1(25℃))
【0190】
NCSと錯体化した場合
(kOH=5.0×10−4−1−1(25℃))
【0191】
蟻酸塩と錯体化した場合
(kOH=5.8×10−4−1−1(25℃))
【0192】
及び酢酸塩と錯体化した場合。
(kOH=9.6×10−4−1−1(25℃))。
【0193】
本明細書において有用な最も好ましいコバルト触媒は、式[Co(NHOAc]Tを有するコバルトペンタアミン酢酸塩であり(式中、OAcは酢酸部分を表わす)、特に、コバルトペンタアミン酢酸塩塩化物、[Co(NHOAc]Cl、並びに[Co(NHOAc](OAc)、[Co(NHOAc](PF、[Co(NHOAc](SO)、Co(NHOAc](BF、及び[Co(NHOAc](NOである。
【0194】
これらの漂白触媒は、例えば本明細書で前述のTobe文献、並びにそこに引用されている参照文献、米国特許第4,810,410号(Diakunら、1989年3月7日発行)、J.Chem.Ed.(1989),66(12),1043〜45、「The
Synthesis and Characterization of Inorganic Compounds」,W.L.Jolly(Prentice−Hall;1970),pp.461〜3;Inorg.Chem.,18,1497〜1502(1979);Inorg.Chem.,21,2881〜2885(1982);Inorg.Chem.,18,2023〜2025(1979);Inorg.Synthesis,173〜176(1960);及びJournal of Physical Chemistry 56,22〜25(1952)に教示されている、既知の手順によって容易に調製することができる。これらの漂白触媒は、補助材料と共に一緒にプロセス加工することもでき、これによって製品の美観のために望ましい場合は色の影響を低減し、あるいは、本明細書において後で例示されているように酵素含有粒子を含めることができ、あるいは、触媒「顆粒(speckles)」を含むよう組成物を製造することができる。
【0195】
酸素漂白剤以外の漂白剤もまた当該技術分野において既知であり、本明細書において使用することができる[例えばスルホン化亜鉛及び/若しくはアルミニウムフタロシアニンのような光活性化漂白剤(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,033,718号)、並びに/又は予備形成有機過酸、例えばペルオキシカルボン酸若しくはその塩、及び/若しくはペルオキシスルホン酸若しくはその塩)]。一実施例において、好適な有機過酸はフタルイミドペルオキシカプロン酸又はその塩を含む。光活性化漂白剤(例えばスルホン化亜鉛フタロシアニン)が存在する場合、これは、本発明の繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体に、繊維要素乾燥量基準及び/又は粒子乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で、約0.025重量%〜約1.25重量%のレベルで存在し得る。
【0196】
漂白活性化剤の非限定的な例は、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、ベンゾイルカプロラクタム(BzCL)、4−ニトロベンゾイルカプロラクタム、3−クロロベンゾイル−カプロラクタム、ベンゾイルオキシベンゼンスルホネート(BOBS)、ノナノイルオキシベンゼン−スルホネート(NOBS)、安息香酸フェニル(PhBz)、デカノイルオキシベンゼンスルホネート(C10−OBS)、ベンゾイルバレロラクタム(BZVL)、オクタノイルオキシベンゼンスルホネート(C−OBS)、過加水分解性エステル、及びこれらの混合物からなる群から選択され、最も好ましくはベンゾイルカプロラクタム及びベンゾイルバレロラクタムである。pH範囲約8〜約9.5での特に好ましい漂白活性化剤は、OBS又はVL脱離基を有するよう選択されるものである。四級置換漂白活性化剤(四級置換漂白活性化剤(QSBA)又は四級置換過酸(QSP))も、含まれ得る。
【0197】
有機過酸化物(例えばジアシルペルオキシド)の非限定的な例は、Kirk Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,Vol.17,John Wiley and Sons,1982の27〜90ページ、特に63〜72ページに詳しく説明されており、これらは全て参照により本明細書に組み込まれる。ジアシルペルオキシドが使用される場合、これはスポット形成/フィルム形成に対する悪影響が最小限であるものであり得る。
【0198】
移染防止剤
本発明の繊維要素及び/又は粒子には、1種以上の移染防止剤が含まれ得る。好適なポリマー移染防止剤には、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN−オキシドポリマー、N−ビニルピロリドン及びN−ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン及びポリビニルイミダゾール、又はこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。移染防止剤は、本発明の繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体に、繊維要素乾燥量基準及び/又は粒子乾燥量基準及び又は繊維性構造体乾燥量基準で、約0.0001%重量%〜約10重量%、約0.01重量%〜約5重量%、また更には0.1重量%〜約3重量%のレベルで存在し得る。
【0199】
増白剤
本発明の繊維要素及び/又は粒子は、例えば増白剤(例えば蛍光増白剤)などの活性剤を含み得る。そのような増白剤は、物品の色を清浄に見せる可能性がある。
繊維要素及び/又は粒子は、下記の構造を有するα−結晶質のC.I.蛍光増白剤を含み得る:
【0200】
【化2】
【0201】
一態様において、増白剤は、α−結晶質形態のC.I.蛍光増白剤260などの冷水可溶性増白剤である。
【0202】
一態様において、増白剤は、主にα−結晶質形態にあり、これは、典型的には少なくとも50重量%、少なくとも75重量%、少なくとも90重量%、少なくとも99重量%、又は実質的に全てのC.I.蛍光増白剤260がα−結晶質形態にあることを意味する。
【0203】
増白剤は典型的に、微粉化された微粒子形態であり、重量平均一次粒径が、中央粒径試験方法に従って測定した場合に、3〜30μm、3〜20μm、又は3〜10μmである。
【0204】
組成物は、β−結晶質形態のC.I.蛍光増白剤260を含んでもよく、(i)α−結晶質形態のC.I.蛍光増白剤260の、(ii)β−結晶質形態のC.I.蛍光増白剤260に対する、重量比は、少なくとも0.1、又は少なくとも0.6であり得る。
【0205】
ベルギー特許第680847号は、α−結晶質形態のC.I.蛍光増白剤260の製造プロセスに関する。
【0206】
本発明に有用であり得る市販の光学増白剤は、サブグループに分類することができ、これには、スチルベン、ピラゾリン、クマリン、カルボン酸、メチンシアニン、ジベンゾチオフェン−5,5−ジオキシド、アゾール、5員及び6員複素環、及びその他の多様な剤の誘導体が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。そのような増白剤の例は、「The Production and Application of Fluorescent Brightening Agents」,M.Zahradnik,Published by John Wiley & Sons,New York(1982)に開示されている。本組成物に有用な光学的増白剤の具体的な非限定的な例は、米国特許第4,790,856号及び同第3,646,015号に特定されているものである。
【0207】
更なる好適な増白剤は、下記の構造を有する:
【0208】
【化3】
【0209】
好適な蛍光増白剤濃度としては、約0.01重量%、約0.05重量%、約0.1重量%、更には約0.2重量%の低い濃度から、0.5重量%又は更に0.75重量%の高い濃度までが挙げられる。
【0210】
一態様において、増白剤を粘土の上に充填して粒子を形成してもよい。
【0211】
色調剤
組成物は、色調剤を含み得る。好適な色調剤には、染料、染料−粘土共役体、及び顔料が挙げられる。好適な染料には、小分子染料及びポリマー染料が挙げられる。好適な小分子染料には、ダイレクトブルー、ダイレクトレッド、ダイレクトバイオレット、アシッドブルー、アシッドレッド、アシッドバイオレット、ベーシックブルー、ベーシックバイオレット、及びべーシックレッド、又はこれらの混合物のカラーインデックス(C.I.)分類に区分される染料からなる群から選択される小分子染料が挙げられる。
【0212】
別の一態様において、好適な小分子染料には、カラーインデックス(Society of Dyers and Colourists(Bradford,UK))番号で、ダイレクトバイオレット9、ダイレクトバイオレット35、ダイレクトバイオレット48、ダイレクトバイオレット51、ダイレクトバイオレット66、ダイレクトバイオレット99、ダイレクトブルー1、ダイレクトブルー71、ダイレクトブルー80、ダイレクトブルー279、アシッドレッド17、アシッドレッド73、アシッドレッド88、アシッドレッド150、アシッドバイオレット15、アシッドバイオレット17、アシッドバイオレット24、アシッドバイオレット43、アシッドレッド52、アシッドバイオレット49、アシッドバイオレット50、アシッドブルー15、アシッドブルー17、アシッドブルー25、アシッドブルー29、アシッドブルー40、アシッドブルー45、アシッドブルー75、アシッドブルー80、アシッドブルー83、アシッドブルー90及びアシッドブルー113、アシッドブラック1、ベーシックバイオレット1、ベーシックバイオレット3、ベーシックバイオレット4、ベーシックバイオレット10、ベーシックバイオレット35、ベーシックブルー3、ベーシックブルー16、ベーシックブルー22、ベーシックブルー47、ベーシックブルー66、ベーシックブルー75、ベーシックブルー159、並びにこれらの混合物からなる群から選択される小分子染料が挙げられる。別の一態様において、好適な小分子染料には、カラーインデックス(Society of Dyers and Colourists(Bradford,UK))番号で、アシッドバイオレット17、アシッドバイオレット43、アシッドレッド52、アシッドレッド73、アシッドレッド88、アシッドレッド150、アシッドブルー25、アシッドブルー29、アシッドブルー45、アシッドブルー113、アシッドブラック1、ダイレクトブルー1、ダイレクトブルー71、ダイレクトバイオレット51、及びこれらの混合物からなる群から選択される小分子染料が挙げられる。別の一態様において、好適な小分子染料には、カラーインデックス(Society of Dyers and Colourists(Bradford,UK))番号で、アシッドバイオレット17、ダイレクトブルー71、ダイレクトバイオレット51、ダイレクトブルー1、アシッドレッド88、アシッドレッド150、アシッドブルー29、アシッドブルー113、及びこれらの混合物からなる群から選択される小分子染料が挙げられる。
【0213】
好適なポリマー染料としては、共役色原体を含むポリマー(染料−ポリマー共役体)、ポリマーの骨格に共重合した色原体を有するポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択されるポリマー染料が挙げられる。
【0214】
別の一態様において、好適なポリマー染料には、商標名Liquitint(登録商標)(Milliken,Spartanburg,South Carolina,USA)として販売されている表面直接染料、少なくとも1種の反応染料から形成される染料−ポリマー共役体、及び、ヒドロキシル部分、一級アミン部分、二級アミン部分、チオール部分、及びこれらの混合物からなる群から選択される部分を含むポリマーからなる群から選択されるポリマー、からなるポリマー染料が挙げられる。更に別の一態様において、好適なポリマー染料には、Liquitint(登録商標)(Milliken,Spartanburg,South Carolina,USA)バイオレットCT、反応性ブルー、反応性バイオレット又は反応性レッド染料と共役したカルボキシメチルセルロース(CMC)(例えば、Megazyme(Wicklow,Ireland)からAZO−CM−CELLULOSEという商品名(製品コードS−ACMC)で市販されているC.I.リアクティブブルー19で共役されているCMCなど)、アルコキシル化トリフェニルメタンポリマー着色料、アルコキシル化チオフェンポリマー着色料、及びこれらの混合物からなる群から選択されるポリマー染料が挙げられる。
【0215】
好ましい色調染料は、国際特許WO 08/87497(A1)号に見出される増白剤を含む。これらの増白剤は、次の構造(I)で特性付けることができる:
【0216】
【化4】
式中、R及びRは、以下から独立して選択され得る:
a)[(CHCR’HO)(CHCR”HO)H]
式中、R’は、H、CH、CHO(CHCHO)H、及びこれらの混合物からなる群から選択され、R”はH、CHO(CHCHO)H、及びこれらの混合物からなる群から選択され、x+y≦5であり、y≧1であり、z=0〜5である。
b)R=アルキル、アリール又はアリールアルキル、及びR=[(CHCR’HO)(CHCR”HO)H]
式中、R’はH、CH、CHO(CHCHO)H、及びこれらの混合物からなる群から選択され、R”はH、CHO(CHCHO)H、及びこれらの混合物からなる群から選択され、x+y≦10であり、y≧1であり、z=0〜5である。
c)R=[CHCH(OR)CHOR]、及びR=[CHCH(OR)CHOR
式中、RはH、(CHCHO)H、及びこれらの混合物からなる群から選択され、z=0〜10であり、
式中、Rは(C〜C16)アルキル、アリール基、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
d)R1及びR2は、スチレンオキシド、グリシジルメチルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル及びグリシジルヘキサデシルエーテルの、アミノ付加生成物に、1〜10個のアルキレンオキシド単位を付加したものから独立して選択することができる。
【0217】
本発明の好ましい増白剤は下記の構造(II)によって特徴付けることができる:
【0218】
【化5】
式中、R’はH、CH、CHO(CHCHO)H、及びこれらの混合物からなる群から選択され、R”はH、CHO(CHCHO)H、及びこれらの混合物からなる群から選択され、x+y≦5であり、y≧1であり、z=0〜5である。
【0219】
本発明の更に好ましい増白剤は、以下の構造(III)によって特徴付けることができる:
【0220】
【化6】
【0221】
この増白剤は一般に、「Violet DD」と呼ばれる。Violet DDは典型的に、合計で5つのEO基を有する混合物である。この構造は、上記の「a」における下記のようなペンダント基の構造Iにおいて次の選択で得られる:
【0222】
【表1】
【0223】
有用な更なる増白剤には、米国特許出願第2008 34511(A1)号(Unilever)に記述されているものが挙げられる。好ましい増白剤は「バイオレット13」である。
【0224】
好適な染料粘土共役体には、少なくとも1種のカチオン性/塩基性染料及びスメクタイト粘土、並びにこれらの混合物からなる群から選択される染料粘土共役体が挙げられる。別の一態様において、好適な染料粘土共役体には、C.I.ベーシックイエロー1〜108、C.I.ベーシックオレンジ1〜69、C.I.ベーシックレッド1〜118、C.I.ベーシックバイオレット1〜51、C.I.ベーシックブルー1〜164、C.I.ベーシックグリーン1〜14、C.I.ベーシックブラウン1〜23、C.I.ベーシックブラック1〜11からなる群から選択される1種のカチオン/塩基性染料、並びに、モンモリロナイト粘土、ヘクトライト粘土、サポナイト粘土、及びこれらの混合物からなる群から選択される粘土から選択される、染料粘土共役体が挙げられる。更に別の一態様において、好適な染料粘土共役体には、モンモリロナイトベーシックブルーB7 C.I.42595共役体、モンモリロナイトベーシックブルーB9 C.I.52015共役体、モンモリロナイトベーシックバイオレットV3 C.I.42555共役体、モンモリロナイトベーシックグリーンG1 C.I.42040共役体、モンモリロナイトベーシックレッドR1 C.I.45160共役体、モンモリロナイトC.I.ベーシックブラック2共役体、ヘクトライトベーシックブルーB7 C.I.42595共役体、ヘクトライトベーシックブルーB9 C.I.52015共役体、ヘクトライトベーシックバイオレットV3 C.I.42555共役体、ヘクトライトベーシックグリーンG1 C.I.42040共役体、ヘクトライトベーシックレッドR1 C.I.45160共役体、ヘクトライトC.I.ベーシックブラック2共役体、サポナイトベーシックブルーB7
C.I.42595共役体、サポナイトベーシックブルーB9 C.I.52015共役体、サポナイトベーシックバイオレットV3 C.I.42555共役体、サポナイトベーシックグリーンG1 C.I.42040共役体、サポナイトベーシックレッドR1
C.I.45160共役体、サポナイトC.I.ベーシックブラック2共役体、及びこれらの混合物からなる群から選択される染料粘土共役体が挙げられる。
【0225】
適切な顔料としては、フラバントロン、インダントロン、1〜4個の塩素原子を有する塩素化インダントロン、ピラントロン、ジクロロピラントロン、モノブロモジクロロピラントロン、ジブロモジクロロピラントロン、テトラブロモピラントロン、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸ジイミド(イミド基は置換されていないか、あるいは、C1〜C3−アルキル若しくはフェニル又は複素環式ラジカルで置換されていてもよく、このフェニル及び複素環式ラジカルは更に、水溶性を付与しない置換基を有していてもよい)、アントラピリミジンカルボン酸アミド、ビオラントロン、イソビオラントロン、ジオキサジン顔料、銅フタロシアニン(1分子当たり2個以下の塩素原子を有していてもよい)、ポリクロロ−銅フタロシアニン、又はポリブロモクロロ−銅フタロシアニン(1分子当たり14個以下の臭素原子を有する)、及びこれらの混合物からなる群から選択される顔料が挙げられる。
【0226】
別の態様では、好適な顔料としては、ウルトラマリンブルー(C.I.ピグメントブルー29)、ウルトラマリンバイオレット(C.I.ピグメントバイオレット15)、及びこれらの混合物からなる群から選択される顔料が挙げられる。
【0227】
上記の布地色調剤は、組み合わせて使用することができる(布地色調剤の任意の混合物を使用することができる)。好適な布地色調剤は、Aldrich(Milwaukee,Wisconsin,USA)、Ciba Specialty Chemicals(Basel,Switzerland)、BASF(Ludwigshafen,Germany)、Dayglo Color Corporation(Mumbai,India)、Organic Dyestuffs Corp.(East Providence,Rhode Island,USA)、Dystar(Frankfurt,Germany)、Lanxess(Leverkusen,Germany)、Megazyme(Wicklow,Ireland)、Clariant(Muttenz,Switzerland)、Avecia(Manchester,UK)から購入することができ、及び/又は、本明細書に含まれている実施例に従って製造することができる。好適な色調剤は、米国特許第7,208,459(B2)号に詳細が記述されている。
【0228】
酵素
1種以上の酵素が、本発明の繊維要素及び/又は粒子内に存在し得る。好適な酵素の非限定的な例としては、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、カルボヒドラーゼ(マンナナーゼ及びエンドグルカナーゼを含む)、ペクチナーゼ、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、キシラナーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ケラタナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ(penosanases)、マラナーゼ(malanases)、グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0229】
酵素は、様々な目的のために本発明の繊維要素及び/又は粒子に含めることができ、この目的には、タンパク質系、炭水化物系、又はトリグリセリド系の染みを基材から除去すること、布地洗濯における遊離染料付着の防止、及び布地修復が挙げられるがこれらに限定されない。一実施例において、本発明の繊維要素及び/又は粒子には、例えば植物由来、動物由来、細菌由来、真菌及び酵母由来などの任意の好適な由来による、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、ペルオキシダーゼ、及びこれらの混合物を含み得る。利用される酵素の選択は、例えばpH活性及び/又は安定性最適条件、熱安定性、及び他の添加物(繊維要素及び/又は粒子内に存在する例えば活性剤(例えばビルダー)など)に対する安定性などの因子に影響を受ける。一実施例において、酵素は、細菌酵素(例えば細菌アミラーゼ及び/又は細菌プロテアーゼ)、真菌酵素(例えば真菌セルラーゼ)、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0230】
酵素が本発明の繊維要素及び/又は粒子内に存在する場合、この酵素は、「洗浄有効量」を提供するのに十分なレベルで存在し得る。用語「洗浄有効量」は、布地、食器、床、磁器及びセラミックス、金属表面、及び同様物などの基材に対して、洗浄、染み除去、汚れ除去、増白、脱臭、又はフレッシュさ改善効果を生成できる任意の量を指す。現在市販されている調製の実際的な用語において、活性酵素の典型的な量は、本発明の繊維要素及び/又は粒子の1g当たり、重量で最高約5mg、より典型的には0.01mg〜3mgである。別途記載のない限り、本発明の繊維要素及び/又は粒子は典型的に、繊維要素乾燥量基準及び/又は粒子乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で、約0.001重量%〜約5重量%、及び/又は約0.01重量%〜約3重量%、及び/又は約0.01重量%〜約1重量%を含む。
【0231】
繊維要素及び/又は粒子を製造した後に、その繊維要素及び/又は粒子に対して1種以上の酵素を適用することができる。
【0232】
酵素物質の範囲及び本発明のフィラメント形成組成物(これは合成洗剤組成物でもあり得る)に酵素物質を組み込む手段は、国際公開第9307263(A)号、国際公開第9307260(A)号、国際公開第8908694(A)号、米国特許第3,553,139号、同第4,101,457号、及び同第4,507,219号に開示されている。
【0233】
酵素安定化系
本発明の繊維要素及び/又は粒子に酵素が存在する場合、酵素安定化系もこの繊維要素及び/又は粒子に含まれ得る。酵素は様々な技法で安定化され得る。酵素安定化技法の非限定的な例は、米国特許第3,600,319号及び同第3,519,570号、欧州特許第199,405号、同第200,586号、及び国際公開第9401532(A)号に開示及び例示されている。
【0234】
一実施例において、酵素安定化系はカルシウム及び/又はマグネシウムイオンを含んでもよい。
【0235】
酵素安定化系は、本発明の繊維要素及び/又は粒子に、繊維要素乾燥量基準及び/又は粒子乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で、約0.001重量%〜約10重量%、及び/又は約0.005重量%〜約8重量%、及び/又は約0.01重量%〜約6重量%のレベルで存在し得る。この酵素安定化系は、繊維要素及び/又は粒子内に存在する酵素に適合性の任意の安定化系であり得る。そのような酵素安定化系は、他の配合活性物質によって内在的に提供することができ、あるいは、例えば、酵素の配合者若しくは製造者によって別途添加されてもよい。そのような酵素安定化系は、例えば、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、ホウ酸、プロピレングリコール、短鎖カルボン酸、ボロン酸、及びこれらの混合物であり得、これらは様々な安定化問題に対処するよう設計される。
【0236】
熱生成剤
本発明の繊維要素及び/又は粒子は、熱形成剤を含み得る。熱形成剤は、水及び/若しくは酸素(例えば空気中の酸素など)の存在下で熱を発生するよう配合され、これによって、水及び/若しくは酸素の存在下で繊維性構造体が分解する速度を加速し、並びに/又は繊維要素内での1種以上の活性物質の効果を増大させる。熱生成剤は更に、又は代わりに、繊維性構造体からの1種以上の活性物質の放出速度を加速するのにも使用することができる。熱生成剤は、酸素(すなわち空気中の酸素、水中の酸素など)及び/又は水に曝されると、発熱反応を起こすよう配合される。数多くの様々な材料及び材料組み合わせを、熱生成剤として使用することができる。繊維性構造体内に使用できる非限定的な熱生成剤としては、電解質塩(例えば、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、塩化第二銅、塩化第一銅、硫酸第二鉄、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マンガン、硫酸マンガン、塩化カリウム、硫酸カリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウムなど)、グリコール(例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなど)、石灰(例えば生石灰、消石灰など)、金属(例えば、クロム、銅、鉄、マグネシウム、マンガンなど)、金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム、酸化鉄など)、ポリアルキレンアミン、ポリアルキレンイミン、ポリビニルアミン、ゼオライト、グリセリン、1,3−プロパンジオール、ポリソルベートエステル(例えば、Tween 20、60、85、80)、及び/又はポリグリセロールエステル(例えば、Stepanから販売されているNoobe、Drewpol及びDrewmulze)が挙げられる。熱生成剤は、1種以上の材料から形成することができる。例えば、硫酸マグネシウムは単独で熱生成剤を形成し得る。別の非限定的な実施例において、約2〜25重量%の活性炭、約30〜70重量%の鉄粉末、及び約1〜10重量%の金属塩を組み合わせることにより、熱生成剤を形成することができる。理解されるように、他の又は追加の材料を単独で、又は他の材料と組み合わせて使用して、熱生成剤を形成することができる。繊維性構造体に使用される熱生成剤を形成するのに使用可能な材料の非限定的な例は、米国特許第5,674,270号及び同第6,020,040号、並びに米国特許出願公開第2008/0132438号及び同第2011/0301070号に開示されている。
【0237】
分解促進剤
本発明の繊維要素及び/又は粒子は、繊維性構造体が水及び/又は酸素の存在下で分解する速度を加速するのに使用される分解促進剤を含み得る。分解促進剤が使用される場合は、一般に、水及び/又は酸素に曝されると気体を放出するよう設計され、これが繊維性構造体周囲の領域を攪拌して、繊維性構造体の担体フィルムの分解を促進させる。分解促進剤が使用される場合は、更に、又はその代わりに、1種以上の活性物質を繊維性構造体から放出する速度を加速するのに使用され得る。ただし、これは必須ではない。分解促進剤が使用される場合は、更に、又はその代わりに、繊維性構造体中の1種以上の活性物質を効果的に増加させるために使用され得る。ただし、これは必須ではない。分解促進剤は、1種以上の材料を含み得、例えば、アルカリ金属炭酸塩(例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)、アルカリ金属炭酸水素塩(例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなど)、炭酸アンモニウム、などが挙げられるがこれらに限定されない。水溶性ストリップは所望により1種以上の活性化剤を含み得、これは繊維性構造体内の1種以上の分解促進剤を活性化又はその活性化速度を増加させるのに使用される。理解されるように、分解促進剤が繊維性構造体内に存在しない場合であっても、1種以上の活性化剤が繊維性構造体内に含まれ得る。ただし、これは必須ではない。例えば、活性化剤は酸性又は塩基性化合物を含み得、ここにおいてそのような酸性又は塩基性化合物は、分解促進剤が繊維性構造体内に含まれている場合でも含まれていない場合でも、その繊維性構造体内の1種以上の活性剤の補助として使用することができる。繊維性構造体内に含まれ得る活性化剤が使用される場合、その活性化剤の非限定的な例としては、有機酸(例えばヒドロキシ−カルボン酸(クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸など)、飽和脂肪族カルボン酸(酢酸、コハク酸など)、不飽和脂肪族カルボン酸(例えば、フマル酸など))が挙げられる。繊維性構造体内に使用される分解促進剤及び活性化剤を形成するのに使用され得る材料の非限定的な例は、米国特許出願公開第2011/0301070号に開示されている。
【0238】
活性剤の放出
繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体がトリガ条件に曝されたときに、その繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体から1種以上の活性化剤が放出され得る。一実施例において、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体又はその一部がその性質を失った場合、換言すれば、物理的構造を失った場合、その繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体又はその一部から、1種以上の活性化剤が放出され得る。例えば、フィラメント形成材料が溶解、融解、又は他の変化工程を被ってその構造が失われた場合、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体はその物理的構造を失う。一実施例において、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体の形態が変化すると、その繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体から1種以上の活性剤が放出される。
【0239】
別の一実施例において、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体又はその一部の性質が変化した場合、換言すれば、物理的構造を失うのではなく変化した場合、その繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体又はその一部から、1種以上の活性化剤が放出され得る。例えば、フィラメント形成材料が膨潤、収縮、延伸、及び/又は短縮したが、そのフィラメント形成特性は保持されている場合、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体はその物理的構造が変化する。
【0240】
別の一実施例において、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体の形態が変化していない状態で(物理的構造が喪失も変化もしていない場合)、その繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体から、1種以上の活性化剤が放出され得る。
【0241】
一実施例において、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体が、(例えば上述のように、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体の性質を喪失又は変化させることにより)活性剤の放出をもたらすトリガ条件に曝されたときに、その繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体は、活性剤を放出し得る。トリガ条件の非限定的な例としては、繊維要素及び/若しくは粒子及び/若しくは繊維性構造体を、溶媒、極性溶媒(例えばアルコール及び/若しくは水)、及び/若しくは非極性溶媒に曝すこと(これはそのフィラメント形成材料が極性溶媒可溶性材料及び/若しくは非極性溶媒可溶性材料を含んでいるかどうかに依存して順に行われ得る);その繊維要素及び/若しくは粒子及び/若しくは繊維性構造体を、熱、例えば24℃(75°F)超、及び/若しくは38℃(100°F)超、及び/若しくは66℃(150°F)超、及び/若しくは93℃(200°F)超、及び/若しくは100℃(212°F)超の温度に曝すこと;その繊維要素及び/若しくは粒子及び/若しくは繊維性構造体を、低温、例えば4℃(40°F)未満、及び/若しくは0℃(32°F)未満、及び/若しくは−18℃(0°F)未満の温度に曝すこと;その繊維要素及び/若しくは粒子及び/若しくは繊維性構造体を、例えば、その繊維要素及び/若しくは粒子及び/若しくは繊維性構造体を使用する消費者が印加する伸張力などの力に曝すこと;その繊維要素及び/若しくは粒子及び/若しくは繊維性構造体を、化学反応に曝すこと;その繊維要素及び/若しくは粒子及び/若しくは繊維性構造体を、位相変化をもたらす条件に曝すこと;その繊維要素及び/若しくは粒子及び/若しくは繊維性構造体をpH変化及び/若しくは圧力変化及び/若しくは温度変化に曝すこと:その繊維要素及び/若しくは粒子及び/若しくは繊維性構造体に1種以上の活性剤を放出させるような1種以上の化学物質に、その繊維要素及び/若しくは粒子及び/若しくは繊維性構造体を曝すこと;その繊維要素及び/若しくは粒子及び/若しくは繊維性構造体を超音波に曝すこと;その繊維要素及び/若しくは粒子及び/若しくは繊維性構造体を光及び/若しくは特定の波長に曝すこと;その繊維要素及び/若しくは粒子及び/若しくは繊維性構造体を異なるイオン強度に曝すこと;並びに/又は、その繊維要素及び/若しくは粒子及び/若しくは繊維性構造体を、別の繊維要素及び/若しくは粒子及び/若しくは繊維性構造体から放出された活性剤に曝すこと、が挙げられる。
【0242】
一実施例において、繊維要素及び/又は粒子を含む繊維性構造体製品が、次の工程からなる群から選択されるトリガ工程に曝されたとき、本発明の繊維要素及び/又は粒子から、1種以上の活性剤が放出され得る:布地物品の染みを繊維性構造体製品で前処理する工程;繊維性構造体製品に水を接触させて洗浄液を形成する工程;繊維性構造体製品を乾燥機内で回転させる工程;繊維性構造体製品を乾燥機内で加熱する工程;及びこれらの組み合わせ。
【0243】
フィラメント形成組成物
本発明の繊維要素は、フィラメント形成組成物から製造される。このフィラメント形成組成物は、極性溶媒系組成物である。一実施例において、このフィラメント形成組成物は、1種以上のフィラメント形成材料と1種以上の活性剤とを含む水性組成物である。
【0244】
本発明のフィラメント形成組成物は、本明細書に記載の剪断粘度試験方法に従って測定した場合に、3,000秒−1の剪断速度及び処理温度(50℃〜100℃)において、約1パスカル秒〜約25パスカル秒、及び/又は約2パスカル秒〜約20パスカル秒、及び/又は約3パスカル秒〜約10パスカル秒の剪断粘度を有してもよい。
【0245】
フィラメント形成組成物は、フィラメント形成組成物から繊維要素を製造するとき、約50℃〜約100℃、及び/又は約65℃〜約95℃、及び/又は約70℃〜約90℃の温度で処理され得る。
【0246】
一実施例において、フィラメント形成組成物は、少なくとも20重量%、及び/又は少なくとも30重量%、及び/又は少なくとも40重量%、及び/又は少なくとも45重量%、及び/又は少なくとも50重量%〜約90重量%まで、及び/又は約85重量%まで、及び/又は約80重量%まで、及び/又は約75重量%までの1種以上のフィラメント形成材料、1種以上の活性剤、及びこれらの混合物を含み得る。フィラメント形成組成物は、約10重量%〜約80重量%の極性溶媒(例えば水)を含み得る。
【0247】
一実施例において、フィラメント形成組成物の不揮発性成分は、フィラメント形成組成物の合計重量に対して、約20重量%、及び/又は30重量%、及び/又は40重量%、及び/又は45重量%、及び/又は50重量%から、約75重量%、及び/又は80重量%、及び/又は85重量%、及び/又は90重量%までの量で含まれ得る。この不揮発性成分は、例えば骨格鎖ポリマー、活性剤、及びこれらの組み合わせなどのフィラメント形成材料からなっていてよい。フィラメント形成組成物の揮発性成分は、残りの百分率を構成し、フィラメント形成組成物の合計重量に対して、10重量%〜80重量%の範囲である。
【0248】
繊維要素の紡糸プロセスにおいて、紡糸ダイから離れる際に、繊維要素は初期安定性を有する必要がある。この初期安定性基準を特性付けるには、キャピラリー数が使用される。ダイの条件において、キャピラリー数は少なくとも1、及び/又は少なくとも3、及び/又は少なくとも4、及び/又は少なくとも5であるべきである。
【0249】
一実施例において、フィラメント形成組成物は、少なくとも1〜約50、及び/又は少なくとも3〜約50、及び/又は少なくとも5〜約30のキャピラリー数を呈し、これによりこのフィラメント形成組成物は繊維要素に効果的にポリマー加工され得る。
【0250】
本明細書で使用されるとき、「ポリマー加工」は、加工されたフィラメント形成材料を含む繊維要素がフィラメント形成組成物から形成される、紡糸操作及び/又は紡糸プロセスを意味する。紡糸操作及び/又はプロセスには、スパンボンド、メルトブロー、電界紡糸、回転紡糸、連続フィラメント製造、及び/又はトウ繊維製造操作/プロセスが含まれ得る。本明細書で使用されるとき、「加工が施されたフィラメント形成材料」は、溶融プロセス操作を経て、次にポリマープロセス操作を受け、繊維要素を生じる、任意のフィラメント形成材料を意味する。
【0251】
キャピラリー数は、この液滴が分割される傾向を特性付けるのに使用される無次元の数である。キャピラリー数が大きいほど、ダイから離れる際の流体安定性が大きいことを示す。キャピラリー数は下記の様に定義される:
【0252】
【数1】
Vは、ダイ出口での流体粘度であり(時間当たりの長さの単位)、
ηは、ダイの条件下での流体粘度(長さ当たりの質量の単位*時間)であり、
σは、流体の表面張力である(時間当たりの質量の単位)。速度、粘度、及び表面張力が一連の一貫した単位で表わされるとき、結果として得られるキャピラリー数は、それ自体単位をもたない。個々の単位が相殺される。
【0253】
キャピラリー数は、ダイから離れる時点の条件に対して定義される。流体速度は、ダイ開口部を通過する流体の平均速度である。この平均速度は下記のように定義される:
【0254】
【数2】
Vol’=体積流量(時間当たりの長さの単位)であり、
面積=ダイ出口の断面積(長さの単位)である。
【0255】
ダイ開口部が円形の穴である場合、流体速度は以下のように定義することができ:
【0256】
【数3】
Rは円形の穴の半径(長さの単位)である。
【0257】
流体粘度は、温度に依存し、かつ剪断速度に依存し得る。剪断薄化流体の定義には、剪断速度に対する依存性が含まれる。表面張力は、流体の構成成分及び流体の温度に依存する。
【0258】
一実施例において、フィラメント形成組成物は、1種以上の剥離剤及び/又は潤滑剤を含み得る。好適な剥離剤及び/又は潤滑剤の非限定的な例としては、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪族アルコール、脂肪族エステル、スルホン化脂肪族エステル、脂肪族アミンアセテート及び脂肪族アミド、シリコーン、アミノシリコーン、フルオロポリマー、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0259】
一実施例において、フィラメント形成組成物は、1種以上のブロッキング防止剤及び/又は粘着性除去剤を含み得る。好適なブロッキング防止剤及び/又は粘着性除去剤の非制限的な例としては、デンプン、変性デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、架橋セルロース、微結晶セルロース、シリカ、金属酸化物、炭酸カルシウム、タルク、及び雲母が挙げられる。
【0260】
本発明の活性剤は、繊維要素形成の前又は形成中にフィラメント形成組成物に加えることができ、及び/又は、繊維要素形成の後に繊維要素に加えることができる。例えば、香料活性剤は、本発明による繊維要素及び/又は繊維性構造体を形成した後に、この繊維要素及び/又は繊維要素を含む繊維性構造体に対して適用することができる。別の一実施例において、酵素活性剤は、本発明による繊維要素及び/又は繊維性構造体を形成した後に、この繊維要素及び/又は繊維要素を含む繊維性構造体に対して適用することができる。更に別の一実施例において、繊維要素製造のために紡糸プロセスを通過させるには好適でない可能性がある1種以上の粒子を、本発明による繊維要素及び/又は繊維性構造体を形成した後に、この繊維要素及び/又は繊維要素を含む繊維性構造体に対して適用することができる。
【0261】
伸長助剤
一実施例において、繊維要素は伸長助剤を含む。伸長助剤の非限定的な例としては、ポリマー、その他の伸長助剤、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0262】
一実施例において、伸長助剤は、重量平均分子量が少なくとも約500,000Daである。別の一実施例において、伸長助剤の重量平均分子量は、約500,000〜約25,000,000であり、別の実施例において約800,000〜約22,000,000であり、更に別の実施例において約1,000,000〜約20,000,000であり、また別の実施例において約2,000,000〜約15,000,000である。本発明のいくつかの実施例においては、伸張溶融粘度の増加とメルトフラクチャーの低減が可能な性質から、高分子量の伸長助剤が好ましい。
【0263】
伸長助剤は、メルトブロープロセスで使用した場合に、本発明の組成物に有効量で添加して、紡糸プロセス中の繊維のメルトフラクチャー及びキャピラリー破断を明らかに低減し、これによって、比較的一貫した直径を有する実質的に連続的な繊維が溶融紡糸され得る。繊維要素及び/又は粒子を製造するのに採用されるプロセスにかかわらず、この伸長助剤は、使用される場合、一実施例において、繊維要素乾燥量基準及び/又は粒子乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で、約0.001重量%〜約10重量%の範囲で存在でき、また別の一実施例において、繊維要素乾燥量基準及び/又は粒子乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で、約0.005重量%〜約5重量%の範囲で存在でき、更に別の一実施例において、繊維要素乾燥量基準及び/又は粒子乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で、約0.01重量%〜約1重量%の範囲で存在でき、また別の一実施例において、繊維要素乾燥量基準及び/又は粒子乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で、約0.05重量%〜約0.5重量%の範囲で存在できる。
【0264】
伸長助剤として使用することができるポリマーの非限定的な例としては、アルギン酸塩、カラギーナン、ペクチン、キチン、グアーガム、キサンタンガム、アガー、アラビアゴム、カラヤゴム、トラガカントガム、イナゴマメゴム、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0265】
他の伸長助剤の非限定な例には、変性及び非変性ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、酢酸ビニル、ポリエチレンイミン、ポリアミド、ポリアルキレンオキシド(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンプロピレンオキシドを含む)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0266】
繊維要素の製造方法
本発明の繊維要素は、任意の好適なプロセスで製造することができる。繊維要素を製造するための好適なプロセスの非限定的な例が、下記に記述される。
【0267】
一実施例において、図9及び10に示すように、本発明による繊維要素32を製造する方法46は、次の工程を含む:
a.1種以上のフィラメント形成材料と、所望により1種以上の活性剤と、を含むフィラメント形成組成物48を提供する工程と、
b.例えば紡糸ダイ50を介して、フィラメント形成組成物48を紡糸して、1本以上の繊維要素32(例えばフィラメント)にし、これは1種以上のフィラメント形成材料と、所望により1種以上の活性剤とを含む、工程。1種以上の活性剤は、意図される使用条件に曝されたときに、繊維要素から放出可能であり得る。繊維要素32中に存在する1種以上のフィラメントの合計レベルは、活性剤がその中に存在する場合、繊維要素乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で、80重量%未満、及び/又は70重量%未満、及び/又は65重量%未満、及び/又は50重量%未満であり得、また、1種以上の活性剤の合計レベルは、繊維要素中に存在する場合、繊維要素乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で、20重量%超、及び/又は35重量%超、及び/又は50重量%超、及び/又は65重量%超、及び/又は80重量%超であり得る。
【0268】
図10に示すように、紡糸ダイ50は複数の繊維要素形成穴52を含み得、これには同心狭細化流体穴56で囲まれた溶融キャピラリー54が含まれ、ここを流体(例えば空気)が通過して、繊維要素形成穴52から出る際に、フィラメント形成組成物48を狭細化して繊維要素32にするのを促進する。
【0269】
一実施例において、紡糸工程中に、繊維要素32が形成される際、フィラメント形成組成物48中に存在する任意の溶媒(例えば水)が除去される(例えば乾燥による)。一実施例において、フィラメント形成組成物の揮発性溶媒(例えば水)の重量の30%超、及び/又は40超、及び/又は50超が、例えば製造中の繊維要素を乾燥するなどして、この紡糸工程中に除去される。
【0270】
フィラメント形成組成物は、フィラメント形成組成物から製造される繊維要素が、繊維要素乾燥量基準及び/又は粒子乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で、繊維要素中に約5重量%〜50重量%以下の合計レベルのフィラメント形成材料を含み、かつ、繊維要素乾燥量基準及び/又は粒子乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で、繊維要素中に50重量%〜約95重量%の合計レベルの活性剤を含む限りにおいて、任意の好適な合計レベルのフィラメント形成材料と、任意の好適なレベルの活性剤とを含み得る。
【0271】
一実施例において、フィラメント形成組成物は、フィラメント形成組成物から製造される繊維要素が、繊維要素乾燥量基準及び/又は粒子乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で、繊維要素及び/又は粒子中に約5重量%〜50重量%以下の合計レベルでフィラメント形成材料を含み、かつ、繊維要素乾燥量基準及び/又は粒子乾燥量基準及び/又は繊維性構造体乾燥量基準で、繊維要素及び/又は粒子中に50重量%〜約95重量%の合計レベルで活性剤を含む限りにおいて、任意の好適な合計レベルのフィラメント形成材料と、任意の好適なレベルの活性剤とを含み得、ここにおいてフィラメント形成材料の活性剤合計レベルに対する重量比は、1以下である。
【0272】
一実施例において、フィラメント形成組成物は、フィラメント形成組成物の約1重量%から、及び/又は約5重量%から、及び/又は約10重量%から、約50重量%まで、及び/又は約40重量%まで、及び/又は約30重量%まで、及び/又は約20重量%までのフィラメント形成材料と、フィラメント形成組成物の約1重量%から、及び約5重量%から、及び約10重量%から、約50重量%まで、及び/又は約40重量%まで、及び/又は約30重量%まで、及び/又は約20重量%までの活性剤と、フィラメント形成組成物の約20重量%から、及び/又は約25重量%から、及び/又は約30重量%から、及び/又は約40重量%から、及び/又は約80重量%まで、及び/又は約70重量%まで、及び/又は約60重量%まで、及び/又は約50重量%までの揮発性溶媒(例えば水)を含む。フィラメント形成組成物は、少量の他の活性剤を含み得、例えば、フィラメント形成組成物の10重量%未満、及び/又は5重量%未満、及び/又は3重量%未満、及び/又は1重量%未満の、可塑剤、pH調節剤、及びその他の活性剤を含み得る。
【0273】
フィラメント形成組成物は、任意の好適な紡糸プロセス、例えばメルトブロー、スパンボンド、電界紡糸、及び/又は回転紡糸などで、1つ以上の繊維要素及び/又は粒子に紡糸される。一実施例において、フィラメント形成組成物は、メルトブローにより、複数の繊維要素及び/又は粒子に紡糸される。例えば、フィラメント形成組成物はタンクからメルトブロー紡糸口金へとポンプで送り出すことができる。紡糸口金内の1つ以上のフィラメント形成穴から出る際に、フィラメント形成組成物が空気により狭細になり、1つ以上の繊維要素及び/又は粒子が形成される。繊維要素及び/又は粒子は次に乾燥させて、紡糸に使用した残りの溶媒(例えば水)を除去することができる。
【0274】
本発明の繊維要素及び/又は粒子は、ベルト(例えばパターン付きベルト)に収集して、繊維要素及び/又は粒子を含む繊維性構造体を形成することができる。
【0275】
繊維性構造体の製造方法
図11に示すように、本発明の繊維性構造体28は、図9及び10に記述されているように、紡糸ダイ50から供給されるフィラメント形成組成物を紡糸し、これによって複数の繊維要素32(例えばフィラメント)を形成し、次に粒子源58(例えば篩又は風成形成ヘッド)から提供される1種以上の粒子を連結させることによって製造することができる。粒子36は、繊維要素32内に分散され得る。粒子36と繊維要素32との混合物を収集ベルト60上に収集することができ、このベルトは例えば、繊維性構造体28の少なくとも一表面に対して3次元質感などの質感を付与するパターン付き収集ベルトであり得る。
【0276】
図12は、図6による繊維性構造体28の製造方法の一実施例を示す。この方法は、第1層30の一表面にポケット38を形成するよう、複数の繊維要素32の第1層30を形成する工程を含む。1種以上の粒子36が、粒子源58からポケット38に堆積される。次に、紡糸ダイ50から製造された複数の繊維要素32を含む第2層34が、第1層30の表面上に形成され、これにより粒子36がポケット38内に閉じ込められる。
【0277】
図13は、図5による繊維性構造体28の製造方法の更に別の一実施例を示す。この方法は、複数の繊維要素32の第1層30を形成する工程を含む。1種以上の粒子36が、粒子源58から第1層30の表面上に堆積される。次に、紡糸ダイ50から製造された複数の繊維要素32を含む第2層34が、粒子36の上に形成され、これにより粒子36が、第1層30と第2層34との間に配置される。
【0278】
繊維性構造体の製造のための非限定的実施例
粒子の添加は、初期繊維の形成中、又は初期繊維をパターン付きベルト上に収集した後に、達成することができる。そのような粒子を構造内に閉じ込められた状態にするための、粒子の添加に関する3つの方法が開示される。
【0279】
図9及び10に示されているように、本発明の繊維要素は、下記の通り製造することができる。繊維要素は、図9及び10に概略図が示されている小規模装置を使用して形成することができる。バッチ操作に好適な加圧タンク62には、紡糸のための好適なフィラメント形成組成物48が充填される。ポンプ64(例えば、1旋回当たり5.0立方センチメートル(cc/rev)の容量を有するZenith(登録商標)、タイプPEP II(Parker Hannifin Corporation、Zenith Pumps部門(Sanford,N.C.,USA)により製造)を使用して、フィラメント形成組成物の紡糸ダイ50への移動を促進することができる。加圧タンク62から紡糸ダイ50へのフィラメント形成組成物48の流れは、ポンプ64の毎分回転数(rpm)を調節することによって制御できる。パイプ66を使用して、加圧タンク62、ポンプ64、及び紡糸ダイ50が接続される。
【0280】
図10に示されている紡糸ダイ50は、約1.524ミリメートル(約0.060インチ)のピッチPで互いに間隔をあけて配置されている、数列の円形押出ノズル(繊維要素形成穴52)を有している。このノズルは、約0.305ミリメートル(約0.012インチ)の個々の内径及び約0.813ミリメートル(約0.032インチ)の個々の外径を有する。個々のノズルはそれぞれ、環状かつ末広のフレア状オリフィス(同心狭細化流体穴56)で囲まれており、これにより個々の溶融キャピラリー54それぞれに狭細化のための空気が供給される。ノズルから押し出されるフィラメント形成組成物48は、オリフィスを通って供給される概ね円筒形の加湿された空気流に取り囲まれ、狭細化される。
【0281】
狭細化のための空気は、電気抵抗ヒーターにより供給源からの圧縮空気を加熱して提供することができ、例えばこのヒーターは、Chromalox、Emerson Electric部門(Pittsburgh,Pa.,USA)により製造されたものである。電気加熱されサーモスタット制御された送達パイプ内の条件で、加熱された空気を飽和又はほぼ飽和させるため、適切な量の蒸気が追加される。復水は、電気加熱されサーモスタット制御された分離器内で除去される。
【0282】
初期繊維要素を、温度約149℃(約300°F)〜約315℃(約600°F)の乾燥用空気流で乾燥させる。この空気流は、電気抵抗ヒーター(図示なし)により加熱され、乾燥ノズルを通って供給され、押し出される非熱可塑性初期繊維の全体的な方向に対して約90の角度で噴出される。乾燥した初期繊維要素を収集装置(例えば、可動式の有孔ベルト又はパターン付き収集ベルト)で収集する。形成ゾーンの直下に減圧源を追加して、繊維の収集を助けるのに使用することができる。
【実施例】
【0283】
(実施例1)
繊維要素の第1層が紡糸され、パターン付き収集ベルト上に収集される。この実施例のために選択されたベルトを、図14に示す。結果として得られる第1層は、第1層、及び最終的にここから形成される繊維性構造体のz方向に延在するポケットを含む。このポケットは、粒子を受容するのに好適である。第1層は収集ベルト上に置かれる。
【0284】
下記の表1は、本発明のフィラメント形成組成物の例である。これは、非限定的実施例において繊維要素を製造するのに使用される。このフィラメント形成組成物は、調製され、図9の加圧タンク62に入れられる。
【0285】
【表2】
1 Celvol 523、Celanese/Sekisui、分子量85,000〜124,000、87〜89%加水分解
【0286】
次に、粒子を第1層の上に拡げて、ポケットを充填する。この場合、Green Zero(Green Speckle Granules)(Genencor International(登録商標)(Leiden,The Netherlands)により製造)が使用される。ポケットは、完全に充填されたものから、完全に空のものまであった。この工程を図5に示す。
【0287】
収集ベルトは、その上に粒子を備えた第1層を載せたまま、紡糸ダイの下を通過し、これが複数の繊維要素の第2層を提供する。この収集ベルトは、結果として得られる繊維性構造体内のポケットパターンの一体性を保持するのを助けるため、プロセス全体にわたって使用される。収集ベルトが、第2層を提供する紡糸ダイの下を通過する際に、「キャップ層」が形成され、これが第1層と第2層の間のポケット内に粒子を閉じ込める。結果として得られる製品の一実施例を図6に示す。1つの紡糸ダイを使用した2回通過プロセスを使用してこの繊維性構造体を構成する一方で、複数の紡糸ダイを使用した1回通過プロセスも使用することができる。
【0288】
結果として得られた繊維性構造体は、下の表2〜5に示す下記のデータを呈した。
【0289】
【表3】
【0290】
【表4】
【0291】
【表5】
【0292】
【表6】
【0293】
(実施例2)
粒子流を供給するのに好適な粒子源(例えばフィーダー)は、図11に示すように、繊維要素の乾燥領域の直上に配置される。この場合、Retsch(登録商標)(Haan,Germany)製造の振動フィーダーが使用される。横断方向に一貫した粒子分布にするため、粒子はトレーの上に供給され、このトレーはフィーダーの幅から外れた場所から始まり、紡糸ダイ面と同じ幅で終了している。これにより、繊維要素形成の全領域にわたって粒子が確実に送達される。トレーは出口以外完全に閉じており、これにより粒子供給の妨害を最小限に抑える。
【0294】
初期繊維要素が形成されている間、フィーダーがオンになり、粒子が繊維要素の流れに導入される。この場合、Green Zero(Green Speckle Granules)(Genencor International(登録商標)(Leiden,The Netherlands)により製造)が粒子として使用される。この粒子は繊維要素と連結及び/又は混合し、収集ベルト上で一緒に収集される。
【0295】
(実施例3)
実施例2の繊維性構造体が、この実施例の繊維性構造体の第1層として使用される。この第1層を紡糸ダイの下に2回通して、第1層の上と下の両方が、紡糸ダイにより生成された繊維要素に曝され、これにより3層の繊維構造が形成される。
【0296】
自動食器洗浄機用物品
自動食器洗浄機用物品は、本発明の1種以上の繊維性構造体、及び界面活性剤系、並びに所望により、洗浄の技術分野で周知の1種以上の任意成分、例えば自動食器洗浄機内で食器を洗浄するのに有用なものが含まれる。これら任意成分の例としては、スケール防止剤、キレート剤、漂白剤、香料、染料、抗菌剤、酵素(例えばプロテアーゼ、アミラーゼ)、洗浄ポリマー(例えばアルコキシル化ポリエチレンイミンポリマー)、再付着防止ポリマー、ヒドロトロープ、発泡阻害剤、カルボン酸、増粘剤、保存料、消毒剤、ガラス及び金属ケア剤、pH緩衝手段(これにより自動食器洗浄機洗浄液が全般にpH 3〜14(あるいは8〜11)となるようにする)、又はこれらの混合物が挙げられる。自動食器洗浄機用活性剤の例は、米国特許第5,679,630号、同第5,703,034号、同第5,703,034号、同第5,705,464号、同第5,962,386号、同第5,968,881号、同第6,017,871号、同第6,020,294号に記述されている。
【0297】
スケール形成は問題になり得る。これは、アルカリ土類金属の炭酸塩、リン酸塩、及びケイ酸塩の堆積によって生じ得る。スケール防止剤の例としては、ポリアクリレート、及びアクリル酸系のポリマーに他の部分を組み合わせたものが挙げられる。これらのポリマーのスルホン化されたものは、無リン酸系配合実施に特に有効である。スケール防止剤の例としては、米国特許第5,783,540号、第15欄20行目〜第16欄2行目、及び欧州特許第0 851 022(A2)号、12ページ1〜20行目に記述されているものが挙げられる。
【0298】
一実施例において、本発明の繊維性構造体を含む自動食器洗浄機用物品は、典型的に、分散剤ポリマーを、その自動食器洗浄機用物品の重量に対して0〜約30重量%、及び/又は約0.5重量%〜約20重量%、及び/又は約1重量%〜約10重量%の範囲で含み得る。分散剤ポリマーは、米国特許第4,659,802号に記述されているエトキシル化カチオン性ジアミン又はエトキシル化カチオン性ポリアミンであり得る。他の好適な分散剤ポリマーには、アクリル酸、マレイン酸及びメタクリル酸から合成されたコポリマーが挙げられ、例えばACUSOL(登録商標)480N及びACUSOL 588(登録商標)(Rohm & Haasから販売)、並びに、商標名425N(登録商標)(Rohm &Haasから入手可能)として販売されているアクリル酸−マレイン酸(80/20の比率)ホスホノ末端基分散剤コポリマーが挙げられる。カルボキシレートモノマーとスルホネートモノマー両方を含むポリマー、例えばALCOSPERSE(登録商標)ポリマー(Alcoから販売)も、許容可能な分散剤ポリマーである。一実施形態において、商標名ALCOSPERSE(登録商標)725として販売されているALCOSPERSE(登録商標)ポリマーは、スチレンとアクリル酸のコポリマーである。ALCOSPERSE(登録商標)725はまた、金属腐食防止の利点も提供し得る。その他の分散剤ポリマーは、米国特許第4,530,766号、同第5,084,535号、及び欧州特許出願第66,915号(1982年12月15日発行)に開示されている、不飽和脂肪族カルボン酸の低分子量コポリマーを含む、低分子量変性ポリアクリレートコポリマーである。
【0299】
一実施形態において、本発明の繊維性構造体を含む自動食器洗浄機用物品は、非イオン性界面活性剤、スルホン化ポリマー、所望によりキレート剤、所望によりビルダー、及び所望により漂白剤、並びにこれらの混合物を含み得る。食器を洗浄する方法は、本発明の自動食器洗浄機用物品の用量を、自動食器洗浄機に投入する工程を含んで提供される。
【0300】
食器手洗い用洗浄物品
食器手洗い用洗浄物品は、本発明の1種以上の繊維性構造体を含み、これは界面活性剤系、並びに所望により、洗浄及びハンドケアの技術分野で周知の1種以上の任意成分、例えば食器手洗いに有用なものが含まれる。これら任意成分の例としては、香料、染料、真珠光沢剤、抗菌剤、酵素(例えばプロテアーゼ)、洗浄ポリマー(アルコキシル化ポリエチレンイミンポリマー)、カチオン性ポリマー、ヒドロトロープ、湿潤剤、皮膚軟化剤、ハンドケア剤、ポリマー泡安定剤、漂白剤、ジアミン、カルボン酸、増粘剤、保存料、消毒剤、pH緩衝手段(これにより食器洗浄液が全般にpH 3〜14、及び/又は8〜11となるようにする)、又はこれらの混合物が挙げられる。食器手洗い用活性剤の例は、米国特許第5,990,065号、及び同第6,060,122号に記述されている。
【0301】
一実施形態において、食器手洗い用洗浄物品の界面活性剤は、アルキルサルフェート、アルコキシサルフェート、アルキルスルホネート、アルコキシスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アミンオキシド、ベタイン又は脂肪族若しくは複素環式二級及び三級アミンの誘導体、四級アンモニウム界面活性剤、アミン、単一若しくは多アルコキシル化アルコール、アルキルポリグリコシド、脂肪酸アミド界面活性剤、C〜C20アンモニアアミド、モノエタノールアミド、ジエタノールアミド、イソプロパノールアミド、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、並びにこれらの混合物を含む。
【0302】
食器を洗浄する方法は、本発明の食器手洗い用洗浄物品の用量を、汚れた食器を収容するのに好適なシンク又はたらいに投入する工程を含んで提供される。このシンク又はたらいには、水及び/又は汚れた食器が含まれ得る。
【0303】
硬質表面洗浄物品
硬質表面洗浄物品は、本発明の1種以上の繊維性構造体を含み、これは洗浄の技術分野で周知の1種以上の成分(例えば硬質表面の洗浄に有用なもの)を含み、例えば、酸構成成分、具体的には良好な水垢除去特性を提供する酸構成成分(例えば、ギ酸、クエン酸、ソルビン酸、酢酸、ホウ酸、マレイン酸、アジピン酸、乳酸、リンゴ酸、マロン酸、グリコール酸、又はこれらの混合物)が含まれる。硬質表面酸性洗浄物品に含まれ得る成分の例は、米国特許第7,696,143号に記述されているものが挙げられる。あるいは、硬質表面洗浄物品は、アルカリ性構成成分(例えば、アルカノールアミン、炭酸塩、重炭酸塩化合物、又はこれらの混合物)を含む。硬質表面アルカリ性洗浄物品に含まれ得る成分の例は、米国特許出願第2010/0206328(A1)号に記述されているものが挙げられる。硬質表面を洗浄する方法には、硬質表面を洗浄する方法において、硬質表面洗浄物品を使用又は投入する工程が含まれる。一実施形態において、この方法は、硬質表面洗浄物品の用量をバケツ又は同様の容器に投入する工程を含み、所望により、この物品をバケツに投入する前又は後に、このバケツに水を加える工程を含む。別の一実施形態において、この方法は便器に硬質表面洗浄物品を投入する工程を含み、所望により、この物品を便器内にある水に溶解させてから便器の表面をこする工程を含む。
【0304】
便器洗浄ヘッド
本発明の1種以上の繊維性構造体を含む便器洗浄用具のための便器洗浄ヘッドが提供される。この便器洗浄ヘッドは使い捨てであり得る。この便器洗浄ヘッドは、ハンドルに取り外し可能に取り付けることができ、これによりユーザーの手は便器から離れたままである。一実施形態において、便器洗浄ヘッドは水分散性シェルを含み得る。この水分散性シェルは、本発明の1種以上の繊維性構造体を含み得る。この水分散性シェルは、コアを完全に包み込んでいてもよい。このコアは、少なくとも1種の粒状材料を含み得る。このコアの粒状材料は、界面活性剤、有機酸、香料、消毒剤、漂白剤、洗剤、酵素、微粒子、又はこれらの混合物を含み得る。所望により、このコアはセルロースを含まなくてよく、また、本発明の1つ以上の繊維性構造体を含み得る。好適な便器洗浄ヘッドの例は、本願と同一譲受人に譲渡された米国特許出願第12/901,804号に従って製造することができる。デンプン材料を含む好適な便器洗浄ヘッドは、本願と同一譲受人に譲渡された米国特許出願第13/073,308号、同第13/073,274号、及び/又は同第13/07,3346号に従って製造することができる。便器表面を洗浄する方法は、便器表面に本発明の便器洗浄ヘッドを接触させる工程を含んで提供される。
【0305】
使用方法
本発明による1種以上の布地ケア活性剤を含む本発明の繊維性構造体は、布地物品を処理するための方法において利用することができる。布地物品を処理する方法は:(a)布地物品を洗浄する前にその布地物品を前処理する工程、(b)繊維性構造体を水に接触させることにより形成される洗浄液を、布地物品に接触させる工程、(c)乾燥機中で布地物品を繊維性構造体に接触させる工程、(d)乾燥機中において繊維性構造体の存在下で布地物品を乾燥させる工程、からなる群から選択される1つ以上の工程を含み得る。
【0306】
いくつかの実施形態において、この方法は更に、前処理する布地物品に繊維性構造体を接触させる前に、その繊維性構造体を予め湿らせる工程を更に含み得る。例えば、繊維性構造体を予め水で湿らせてから、前処理すべき染みを含む布地の一部に付着させることができる。あるいは、布地を湿らせて、繊維性構造体を該布地上に配置又は該布地に付着させることができる。いくつかの実施形態において、この方法は更に、布地物品の処理に使用するため、繊維性構造体の一部だけを選択する工程を含み得る。例えば、1つだけの布地ケア物品を処理する場合、繊維性構造体の一部を切り取り及び/又は切り裂いて、布地上に配置又は付着させ、あるいは水に入れて比較的少量の洗浄液を形成し、これを布地の前処理に使用することができる。このようにすることで、ユーザーは、対処する作業によって布地処理方法をカスタマイズすることができる。いくつかの実施形態において、繊維性構造体の少なくとも一部分を、装置を使用して、処理される布地に適用することができる。代表的な装置には、ブラシ、スポンジ、及びテープが挙げられるがこれらに限定されない。更に別の一実施形態において、繊維性構造体は布地の表面に直接適用され得る。上記工程の任意の1つ以上を繰り返して、望ましい布地処理利益を達成することができる。
【0307】
試験方法
他に特記のない限り、「定義」の項及び下記の試験方法の項に記述されているものを含め、本明細書に記述される全ての試験は、温度23℃±1.0℃、相対湿度50%±2%の調整室で試験前に最低2時間調整した試料で実施された。試験された試料は「使用可能単位」である。本明細書で使用される「使用可能単位」とは、シート、ロール材料から得た平面、先行変換された平面、及び/又は単層若しくは多層製品を意味する。全ての試験は、同じ環境条件下、同じ調整室内で行われる。しわ、破れ、穴、及び同様物などの欠陥がある試料は試験しない。本明細書の記述に従い調整された試料は、試験目的上、乾燥試料(例えば「乾燥フィラメント」)と見なされる。機器は全て、メーカーの仕様に従って校正される。
【0308】
坪量試験方法
繊維性構造体の坪量は、分解能±0.001gの上皿化学天秤を使用して、12枚の使用可能単位を重ねて測定する。この天秤はドラフトシールドを使用して、空気流及びその他の妨害から保護される。寸法8.9cm±0.0089cm(3.500インチ±0.0035)インチ×8.9cm±0.0089cm(3.500インチ±0.0035インチ)の精密切断ダイを使用して、全ての試料を調製する。
【0309】
精密切断ダイを使用して、試料を正方形に切断する。切断した正方形を合わせて、12枚の試料厚さの積層を形成する。試料積層の重量を測定し、0.001g単位に四捨五入した測定結果を記録する。
【0310】
坪量は、次のように、lbs/3000ft又はg/mで計算される。
坪量=(積層の重量)/[(積層中の正方形1枚の面積)×(積層中の正方形の枚数)]
例えば、
坪量(lbs/3000ft)=[[積層の重量(g)/453.6(g/lbs)]/[12.25(in)/144(in/ft)×12]]×3000
又は、
坪量(g/m)=積層の重量(g)/[79.032(cm)/10,000(cm/m)×12]
0.1lbs/3000ft又は0.1g/m単位に四捨五入した結果を記録する。試料寸法は、上述のものに類似の精密カッターを使用して、積層内の試料面積が少なくとも254平方センチメートル(100平方インチ)となるように変更又は変化させることができる。
【0311】
含水量試験方法
繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体中に存在する水(水分)の量は、下記の含水量試験方法を使用して測定される。プレカットシートの形状の繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維性構造体、又はその一部(「試料」)を、温度23℃±1.0℃、相対湿度50%±2%の調整室に、試験前に最低24時間置いてから試験を行う。繊維性構造体はそれぞれ、少なくとも10.16平方センチメートル(4平方センチメートルの面積を有するが、天秤の秤量皿に適切にフィットするのに十分な小ささである。上記の温度及び湿度条件下で、少なくとも小数点以下4桁の天秤を使用し、試料重量を5分おきに記録し、10分間のうちに前の重量からの変化が0.5%未満になるまで記録する。最終的重量を「平衡重量」として記録する。10分以内に、この試料をホイルに乗せ、70℃±2℃、相対湿度4%±2%の強制換気炉に入れ、24時間乾燥させる。24時間乾燥した後、この試料を取り出し、15秒以内に秤量する。この重量は、試料の「乾燥重量」として記述される。
【0312】
試料の含水量(含湿量)は以下のように算出される:
【0313】
【数4】
3つの相同試料の含水量(含湿量)を平均して、報告される試料含水量(含湿量)%を得る。結果は0.1%に四捨五入して報告する。
【0314】
溶解試験方法
装置及び材料(図15〜17も参照):
600mLビーカー12
電磁攪拌器14(Labline Model No.1250又は同等物)
磁気攪拌棒16(5cm)
温度計(1〜100℃+/−1℃)
切断ダイ−寸法3.8cm×3.2cmのステンレススチール製切断ダイ
タイマー(0〜3,600秒又は1時間)、秒単位まで正確なもの。使用するタイマーは、試料が3,600秒を超える場合、十分な合計時間測定範囲を有しているべきである。ただし、タイマーは秒単位まで正確である必要がある。
Polaroid 35mmスライド台紙20(Polaroid Corporationから市販、又は同等物)
35mmスライド台紙ホルダー25(又は同等物)
以下の特性を有するCincinnati市の水道水又はそれと同等のもの、CaCOとして総硬度=155mg/L;カルシウム含有量=33.2mg/L;マグネシウム含有量=17.5mg/L、リン酸塩含有量=0.0462。
【0315】
試験プロトコル
温度23℃±1.0℃、相対湿度50%±2%の一定した温度及び湿度環境で少なくとも2時間おき、試料を平衡状態にする。本明細書に定義されている坪量試験方法を使用して、測定する繊維性構造体試料の坪量を測定する。35mmスライド台紙20(開口領域寸法24×36mm)に適合するよう、切断ダイ(3.8cm×3.2cm)を使用して、繊維性構造体試料から3枚の溶解試験試料片を切断する。各試料片を別々の35mmスライド台紙20に固定する。磁気攪拌棒16を、600mLビーカー12に入れる。公共水道水(又は同等物)の蛇口を開けて、温度計で水温を測定し、必要に応じて温水又は冷水を調節して、試験温度に維持する。試験温度は水温15℃±1℃である。試験温度になったら、ビーカー12に、15℃±1℃の公共水道水500mL±5mLを入れる。満たしたビーカー12を電磁攪拌機14の上に置き、電磁攪拌機14をオンにし、渦が生じて渦の底がビーカー12の400mL目盛位置になるように、攪拌速度を調節する。35mmスライド台紙20を、35mmスライド台紙ホルダー25の鰐口クランプ26に固定し、これによりスライド台紙20の長辺21が水面に平行になるようにする。鰐口クランプ26は、スライド台紙20の長辺21の中間に配置しなければならない。ホルダー25の深さ調節具28を調節し、深さ調節具28の下から鰐口クリップ26の下までの距離が約27.9+/−0.318cm(11+/−0.125インチ)までとなるように設定する。この設定で、試料表面が水の流れに対して垂直に配置される。1回の動きで、固定されたスライド及びクランプを水の中に入れ、タイマーを開始する。試料は、ビーカーの中心に来るよう水中に入れる。不織布構造体がばらばらになった時点で、崩壊となる。これを崩壊時間として記録する。目に見える不織布構造全てがスライド台紙から離れたら、スライドを水から引き上げ、溶けていない不織布構造断片に関して溶液の監視を継続する。全ての不織布構造断片が見えなくなった時点で、溶解となる。これを溶解時間として記録する。
【0316】
各試料の3つの相同物で実施し、平均の崩壊時間及び溶解時間を記録する。平均崩壊時間及び溶解時間は、秒単位である。
【0317】
平均崩壊時間及び溶解時間は、本明細書で定義された坪量試験方法により測定された試料の坪量でそれぞれを割ることにより、坪量で正規化される。坪量で正規化された平均崩壊時間及び溶解時間は、試料gsm当たりの秒の単位である(s/(g/m))。
【0318】
中央粒径試験方法
この試験方法は中央粒径を測定するために用いる必要がある。
【0319】
中央粒径試験方法は、ASTM D 502−89、「Standard Test Method for Particle Size of Soaps and Other Detergents」(1989年5月26日認可)を、分析に使用される篩サイズに関する詳細仕様と共に用いて、粒状材料の中央粒径を測定するために実施される。第7項「Procedure using machine−sieving method」に従い、米国標準(ASTM E 11)篩#8(2360um)、#12(1700um)、#16(1180um)、#20(850um)、#30(600um)、#40(425um)、#50(300um)、#70(212um)、#100(150um)を含む清潔で乾燥した篩ネストが必要である。上記の篩ネストを使用する所定の機械篩方法が用いられる。粒状材料が試料として使用される。好適な篩振動機は、W.S.Tyler Company(Mentor,Ohio,U.S.A.)から入手可能である。
【0320】
各篩のマイクロメートル寸法開口部を対数横座標にとり、累積重量パーセント(Q)を線形縦座標にとって、片対数プロットでデータをプロットする。上記のデータ表示の例は、ISO 9276−1:1998、「Representation of results of particle size analysis−Part1:Graphical Representation」の図A.4に与えられている。本発明の目的のため、粒状材料中央粒径(D50)は、累積重量パーセントが50パーセントに等しい点の横座標値として定義され、これは、次の式を用いて、50%値のすぐ上(a50)と下(b50)の値のデータ点の間を直線で補間することにより計算される:
【0321】
50=10^[Log(Da50)−(Log(Da50)−Log(Db50))(Qa50−50%)/(Qa50−Qb50)]
式中、Qa50及びQb50はそれぞれ、50番目の百分位数の真上及び真下のデータの累積質量百分位数であり、Da50及びDb50は、これらのデータに相当するマイクロメートル篩サイズ値である。
【0322】
第50百分位数値が最も細かい篩サイズ(150um)よりも小さいか又は最も粗い篩サイズ(2360um)よりも大きい場合には、中央値が2つの測定された篩サイズ間に入るまで、1.5以下の等比級数にしたがってネストに追加の篩を加えられなければならない。
【0323】
粒状材料の分布範囲は、中央値を中心とした粒状物寸法分布の幅の測定値である。これは、次の式に従って計算される:
範囲=(D84/D50+D50/D16)/2
式中、D50は中央粒径、D84及びD16はそれぞれ、累積重量パーセント保持プロットでの第16及び第84百分位数値での粒径である。
16値が最も細かい篩サイズ(150um)を下回った場合には、この範囲は下記に従って計算される:
範囲=(D84/D50)。
84値が最も粗い篩サイズ(2360um)を超える場合には、この範囲は下記に従って計算される:
範囲=(D50/D16)。
【0324】
16値が最も細かい篩サイズ(150um)を下回り、かつD84値が最も粗い篩サイズ(2360um)を超える場合には、この分布範囲は最大値5.7とされる。
【0325】
直径試験方法
個別の繊維要素、又は、繊維性構造体内の繊維要素の直径は、走査型電子顕微鏡(SEM)又は光学顕微鏡と画像解析ソフトウェアを使用して測定される。200〜10,000倍の倍率を選択し、これにより繊維要素が測定のため好適に拡大される。SEMを使用する場合、試料に金又はパラジウム化合物をスパッタリングして、電子ビーム中での繊維要素の帯電及び振動を防ぐ。SEM又は光学顕微鏡で撮影された画像(モニター画面上)から繊維要素直径を測定するために手作業を用いる。マウス及びカーソルツールを使用して、ランダムに選択した繊維要素の縁部を探し、次に、その繊維要素の反対側の縁部まで、幅を横切って(すなわち、その点から繊維要素に対して垂直に)測定する。目盛付きの校正済み画像解析ツールが、μm単位での実際の読み取り値を得るための目盛を提供する。繊維性構造体内の繊維要素については、SEM又は光学顕微鏡を使って、繊維性構造体試料全体にわたっていくつかの繊維要素をランダムに選択する。少なくとも繊維要素の2つの部分を切断し、この方法で試験を行う。そのような測定を合わせて少なくとも100回行い、全てのデータを記録して、統計解析を行う。記録されたデータは、繊維要素直径の平均値、繊維要素直径の標準偏差、及び繊維要素直径の中央値を計算するのに使用される。
【0326】
もう一つの有用な統計は、特定の上限より下の繊維要素集団の量を計算することである。この統計を行うには、ある上限より下になる繊維要素直径の結果個数を数え、その数(データの合計数で割り、100%を掛けたもの)を、その上限より下の百分率としてパーセント単位で報告するように(例えば、直径が1マクロメートル以下であるパーセント、又はサブミクロンである%)、ソフトウェアをプログラムする。個々の円形の繊維要素の測定直径(μm単位)は、diとして表記する。
【0327】
繊維要素が非円形の断面の場合、繊維要素直径の測定値は、水力直径に等しいものとして測定され、これは、繊維要素の断面積の4倍を、繊維要素の断面積の周囲(中空の繊維要素の場合は外周)で割ったものである。数平均直径、あるいは平均直径は、次の式で計算される:
【0328】
【数5】
【0329】
引張試験方法:伸長、引張強度、TEA、及び弾性係数
伸長、引張強度、TEA、及び接線弾性係数は、ロードセル(測定される力はセルの限度の10%〜90%の範囲内である)を用い、コンピュータインタフェース付き延伸引張試験機(好適な機器は、Thwing−Albert Instrument Co.(Wet Berlin,NJ)のEJA Vantageである)の一定速度で測定される。可動(上)及び固定(下)の両方の空気圧ジョーに、滑らかなステンレススチール面のグリップを取り付け、該グリップの高さは25.4mmで、試験試料片の幅よりも広くする。約0.41MPa(60psi)の空気圧をジョーに供給する。
【0330】
繊維性構造体の8つの使用可能単位を、4試料ずつ、2つの積層に分ける。各積層の試料を、機械方向(MD)及び機械横断方向(CD)に関して同じ向きにする。積層の一方をMDでの試験に、もう一方をCDでの試験に用いる。2.54センチメートル(1インチ)の精密カッター(Thwing Albert JDC−1−10、又は同様物)を使用して、1つの積層から4枚のMDストリップを切断し、もう一方から4枚のCDストリップを切断する。この寸法は幅2.54cm±0.025cm(1.00インチ±0.01インチ)、長さ7.62〜10.16cm(3.0〜4.0インチ)である。1つの使用可能単位厚さの各ストリップを、試験の一体型試料片として処理する。
【0331】
延伸試験を実施するよう引張試験機をプログラムし、試料片が破断するまで、5.08cm/min(2.00インチ/min)の速度でクロスヘッドを上げながら、取得速度20Hzで力及び伸長データを収集する。破断感度は80%に設定する。すなわち、測定力が最大ピーク力の20%に低下したときに試験は終了し、クロスヘッドは元の位置に戻される。
【0332】
標点距離は2.54センチメートル(1.00インチ)に設定する。クロスヘッド及びロードセルをゼロに設定する。一体型試料片を少なくとも2.54cm(1.0インチ)を上グリップに挿入し、上と下のジョーの内部で垂直に揃え、上のグリップを閉じる。一体型試料片を下のグリップに挿入し、閉じる。一体型試料片には、たるまないよう十分な張力をかけなければならないが、これはロードセルに対して0.05N(5.0gの力)未満である。引張試験機をスタートし、データを収集する。4つのCD一体型試料片及び4つのMD一体型試料について、同様にして試験を繰り返す。ソフトウェアは、構成された力(g)対延伸(in)の曲線から下記のように計算するようプログラムされる:
引張強度は、最大ピーク力(g)を試料幅(in)で割ったものであり、0.0039N/cm(1g/in)に四捨五入されたg/in単位で報告される。
【0333】
調整標点距離は、0.03N(3.0gの力)で測定した延伸(in)を元の標点距離(in)に加えたものとして計算される。
【0334】
伸長は、最大ピーク力での延伸(in)を調整標点距離(in)で割り、100を掛けたものとして計算され、0.1%単位に四捨五入して%で報告される。
【0335】
合計エネルギー(TEA)は、ゼロ伸びから最大ピーク力時の延伸までを積分した力曲線下の面積(gin)を、調整標点距離(in)と試料片幅(in)の積で割ったものとして計算され、0.38J/m(1gin/in)単位に四捨五入して報告される。
【0336】
力(g)対延伸(in)曲線を、力(g)対ひずみ曲線として再プロットする。ひずみは本明細書において、延伸(in)を調整標点距離(in)で割ったものとして定義される。
【0337】
ソフトウェアは、構成された力(g)対ひずみ曲線から下記のように計算するようプログラムされる:
接線弾性係数は、力(g)対ひずみ曲線の2つのデータポイント間に引いた直線の傾きとして計算され、ここにおいて使用する一方のデータポイントは、0.27N(28gの力)後に記録された第1データポイント、もう一方のデータポイントは、0.47N(48gの力)後に記録された第1データポイントである。この傾きを、次に、試料片幅(2.54cm)で割り、0.0098N/cm(1g/cm)に四捨五入して報告される。
【0338】
引張強度(g/in)、伸長(%)、合計エネルギー(gin/in)及び接線弾性係数が、4つのCD一体型試料片及び4つのMD一体型試料片について計算される。CD及びMD試料片について、各パラメータそれぞれについて平均が計算される。
【0339】
計算:
幾何平均引張強度=[MD引張強度(g/in)×CD引張強度(g/in)]の平方根
幾何平均ピーク伸長=[MD伸長(%)×CD伸長(%)]の平方根
幾何平均TEA=[MD TEA(gin/in)×CD TEA(gin/in)]の平方根
幾何平均弾性係数=[MD弾性係数(g/cm)×CD弾性係数(g/cm)]の平方根
合計乾燥引張強度(TDT)=MD引張強度(g/in)+CD引張強度(g/in)
合計TEA=MD TEA(gin/in)+CD TEA(gin/in
合計弾性係数=MD弾性係数(g/cm)+CD弾性係数(g/cm)
引張強度比=MD引張強度(g/in)/CD引張強度(g/in)
【0340】
厚さ方法
繊維性構造体の厚さは、繊維性構造体試料の5つの試料を切断して測定され、各切断試料は、VIR Electronic Thickness Tester Model
II(Thwing−Albert Instrument Company(Philadelphia,PA)から販売)のロードフットの荷重表面よりも大きな寸法になるようにする。典型的に、ロードフットの荷重表面は約20.3cm(3.14in)の円形表面積を有する。試料は平らな水平面とロードフット荷重表面との間に収容される。ロードフット荷重表面が、試料に対し、1.52kPa(15.5g/cm)の封圧を印加する。各試料の厚さは、結果として得られる、平らな表面とロードフット荷重表面との間の隙間である。この厚さは、5つの試料の平均厚さとして計算される。結果はミリメートル(mm)単位で報告される。
【0341】
剪断粘度試験方法
本発明のフィラメント形成組成物の剪断粘度は、細管レオメーター、Goettfert Rheograph 6000(Goettfert USA(Rock Hill SC,USA)により製造)を使用して測定される。測定は、直径Dが1.0mm、長さLが30mm(すなわち、L/D=30)のキャピラリーダイを使用して実施される。ダイはレオメーターの20mmバレルの下端に取り付けられ、これをダイ試験温度75℃に保持する。ダイ試験温度に予熱したフィラメント形成組成物の60gの試料を、レオメーターのバレル部分に充填する。試料内にトラップされた空気があれば除去する。試料をバレルからキャピラリーダイを通して、選択した所定の速度である1,000〜10,000sec−1で押し込む。見かけの剪断粘度は、バレルからキャピラリーダイを通過する際の試料の圧力低下と、試料がキャピラリーダイを通過する流量から、レオメーターのソフトウェアによって計算することができる。log(見かけの剪断粘度)をlog(剪断速度)に対してプロットすることができ、このプロットは、式η=Kγn−1に従い冪乗則によりフィッティングされ得、式中、Kは材料の粘度定数、nは材料の狭細指数、γは剪断速度である。本明細書のフィラメント形成組成物の報告される見かけの剪断粘度は、冪乗則関係を用いて、剪断速度3,000秒−1に補間することにより計算される。
【0342】
重量平均分子量
材料(例えばポリマー)の重量平均分子量(Mw)は、混合ベッドカラムを用いたゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で測定される。次の部品を有する高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)が使用される:Millenium(登録商標)、モデル600Eポンプ、システムコントローラー、及びコントローラーソフトウェアバージョン3.2、モデル717 Plusオートサンプラー及びCHM−009246カラムヒーター(全てWaters Corporation(Milford,MA,USA)により製造)。カラムは、PLゲル20μm混合Aカラム(ゲル分子量範囲1,000g/mol〜40,000,000g/mol)であり、長さ600mm、内径7.5mmを有し、ガードカラムはPLゲル20μm、長さ50mm、内径7.5mmである。カラム温度は55℃、注入量は200μLである。検出器は、Astra(登録商標)ソフトウェア、バージョン4.73.04検出器ソフトウェア(Wyatt Technology(Wyatt Technology(Santa Barbara,CA,USA)により製造)、K5セル及び690nmのレーザーを備えるレーザー光散乱検出器を含む、DAWN(登録商標)Enhanced Optical System(EOS)である。奇数番号の検出器のゲインは101に設定される。偶数番号の検出器のゲインは20.9に設定される。Wyatt TechnologyのOptilab(登録商標)示差屈折計は50℃に設定される。ゲインは10に設定される。移動相はHPLCグレードのジメチルスルホキシドに、0.1% w/vのLiBrを加え、移動相流量は1mL/min、均一濃度である。作動時間は30分間である。
【0343】
試料は、公称量で3mgの材料を移動相1mLに溶解させることにより調製される。試料にキャップをし、次に約5分間、電磁攪拌機を使って攪拌する。試料を次に85℃の対流炉に60分間入れる。試料を次に静置し室温まで冷ます。試料を次に5μmナイロン膜(タイプSpartan−25(Schleicher & Schuell(Keene,NH,USA)により製造)で濾過して、5mLのシリンジを用いて5ミリリットル(mL)のオートサンプラーバイアルに入れる。
【0344】
それぞれ一連の測定された試料(1材料につき3つ以上の試料)について、溶媒の盲検体試料をカラムに注入する。次に、チェック試料を、上記の試料と同様にして調製する。チェック試料は、重量平均分子量が47,300g/molのプルラン(Polymer
Laboratories)を2mg/mL含む。このチェック試料を分析してから、試料の各セットを分析する。盲検体試料、チェック試料、及び材料試験試料の試験は、二重に実施する。最後の実施は、盲検体試料の測定である。光散乱検出器及び示差屈折計は、「Dawn EOS Light Scattering Instrument Hardware Manual」及び「Optilab(登録商標)DSP Interferometric Refractometer Hardware Manual」(両方ともWyatt Technology Corp.(Santa Barbara,CA,USA)により製造)に従って実施し、これらは両方とも参照により本明細書に組み込まれる。
【0345】
試料の重量平均分子量は、検出器ソフトウェアを使用して計算される。dn/dc(濃度による屈折率の差動)値0.066が使用される。レーザー光検出器及び屈折率検出器のベースラインは、検出器の暗電流及び溶媒散乱による寄与を除去して補正される。レーザー光信号が飽和、又は過剰なノイズを示す場合、分子量の計算には使用しない。分子量特性の領域は、レーザー光散乱と屈折率の90°検出器の両方の信号が、それぞれのベースラインノイズレベルの3倍を超えるように選択される。典型的に、クロマトグラムの高分子量側は、屈折率信号により制限され、低分子量側は、レーザー光信号により制限される。
【0346】
重量平均分子量は、検出器ソフトウェアで定義される「一次Zimmプロット」を使用して計算することができる。試料の重量平均分子量が1,000,000g/molを超える場合、一次及び二次Zimmプロットの両方が計算され、回帰フィッティングによる誤差が最も少ない結果を、分子量の計算に使用する。報告される重量平均分子量は、材料試験試料の2回の測定の平均である。
【0347】
繊維要素組成試験方法
繊維要素組成測定のための繊維要素を調製するため、繊維要素は、あらゆるコーティング組成物、及び/又は繊維要素外表面上に存在する除去可能材料を除去することにより、条件を整える必要がある。このための方法の一例は、繊維要素を、外側コーティングを除去するが繊維要素自体は変化させない好適な溶媒で、3回洗浄することである。繊維要素は次に23℃±1.0℃で空気乾燥し、繊維要素の水分含有量を10%未満とする。次に、条件を整えた繊維要素の化学分析は、フィラメント形成材料及び活性剤に関する繊維要素の組成構成、並びに繊維要素中に存在するフィラメント形成材料及び活性剤のレベルを決定するよう実施される。
【0348】
フィラメント形成材料及び活性剤に関する繊維要素の組成構成は、TOF−SIM又はSEMを用いた断面解析を実施することによっても決定することができる。更に、繊維要素の組成構成を決定する他の方法では、蛍光染料をマーカーとして使用する。更に、通常通り、繊維要素のメーカーはその繊維要素の組成を知っていなくてはならない。
【0349】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図している。例えば、「40ミリメートル」として開示される寸法は、「約40ミリメートル」を意味するものである。
【0350】
明瞭にする目的のために、合計「重量%」値は、100重量%を超えない。
【0351】
相互参照されるか又は関連する全ての特許又は特許出願を含む、本願に引用される全ての文書を、特に除外すること又は限定することを明言しないかぎりにおいて、その全容にわたって本願に援用するものである。いずれの文献の引用も、こうした文献が本願で開示又は特許請求される全ての発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、また、こうした文献が、単独で、あるいは他の全ての参照文献とのあらゆる組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを参照、教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。更に、本文書において、用語の任意の意味又は定義の範囲が、参考として組み込まれた文書中の同様の用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合には、本文書中で用語に割り当てられる意味又は定義に準拠するものとする。
【0352】
本発明の特定の実施例及び/又は実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
図1
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