特許第6203947号(P6203947)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シーメンス アクティエンゲゼルシャフトの特許一覧

特許6203947ガスタービンおよび水素冷却発電機を備えた発電プラント
<>
  • 特許6203947-ガスタービンおよび水素冷却発電機を備えた発電プラント 図000002
  • 特許6203947-ガスタービンおよび水素冷却発電機を備えた発電プラント 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203947
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】ガスタービンおよび水素冷却発電機を備えた発電プラント
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/224 20060101AFI20170914BHJP
   F02C 7/22 20060101ALI20170914BHJP
   H02K 7/18 20060101ALI20170914BHJP
   H02K 9/08 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   F02C7/224
   F02C7/22 A
   F02C7/22 B
   F02C7/22 D
   H02K7/18 Z
   H02K9/08 Z
【請求項の数】4
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2016-517403(P2016-517403)
(86)(22)【出願日】2014年9月15日
(65)【公表番号】特表2016-537543(P2016-537543A)
(43)【公表日】2016年12月1日
(86)【国際出願番号】EP2014069583
(87)【国際公開番号】WO2015043992
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2016年6月20日
(31)【優先権主張番号】102013219548.6
(32)【優先日】2013年9月27日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508008865
【氏名又は名称】シーメンス アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】エステバン・グラウ・ソラライン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・イェケル
(72)【発明者】
【氏名】マリオ・ケーベー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・コヴァルスキ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・レーマン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレイ・マシュキン
(72)【発明者】
【氏名】オルガ・プロトニコワ
(72)【発明者】
【氏名】カロリン・シルト
【審査官】 瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/152049(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01580868(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0239650(US,A1)
【文献】 特開2003−090230(JP,A)
【文献】 特開平11−013416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 1/00− 9/58
H02K 9/00− 9/28
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービン(1)、電気エネルギを発生させるために前記ガスタービン(1)により駆動される発電機(2)、および該発電機(2)からの損失熱を排出するための水素冷却回路を具備し、該水素冷却回路は、水素タンク(4)から前記発電機(2)へと水素(H)を供給するための供給ライン(3)、および加熱された水素(H)を前記発電機(2)から排出するための排出ライン(5)を備えた電力プラントにおいて、
前記排出ライン(5)は混合デバイス(7)に接続されており、前記排出ライン(5)からの前記加熱された水素(H)は、さらなる燃料(E)と混合されて、前記加熱された水素(H)及び前記さらなる燃料(E)の混合物は、燃料供給ライン(6)を介して前記ガスタービンに供給されることを特徴とする電力プラント。
【請求項2】
前記さらなる燃料(E)は、天然ガスであることを特徴とする請求項1に記載の電力プラント。
【請求項3】
前記加熱された水素(H)を浄化するための分離デバイス(8)が、前記排出ライン(5)内に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の電力プラント。
【請求項4】
前記混合デバイス(7)内に流入する前記加熱された水素(H)の圧力および/または流量を制御するための、前記排出ライン(5)内に配置された制御器材が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電力プラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段による、ガスタービンおよび電力を発生するためにガスタービンにより駆動される水素冷却発電機を備えた電力プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
発電機内の損失熱を、冷却ガスを用いて排出することは、長い間一般的に知られている。ここでは、空気が冷却ガスとして当初は供給されていた。しかしながら、空冷発電機は、最大300MVA以下の低出力のみを目的とされており、それは、空気により達成されることが可能な冷却効果が、必然的に限定され、したがって、より高出力においては、必要な冷却が空気により保証され得ないためである。
【0003】
水素ガスは、達成される冷却効果が空気と比較してより大きく、その上に、その効果は、加圧下で水素ガスを導入し且つ正圧下で冷却を実行することによりさらに増大されることが可能であり、より高出力の発電機のための冷媒として優先的に使用される。水素は、空気よりも大きい熱容量およびより大きい熱伝導率を有し、発電機の筐体を水素で充満させることで、熱は、空気により可能であるよりも良好に発電機から消費されることが可能である。しかしながら、水素ガスによる冷却は、追加のわずかとはいえない取り組みを必要とし、それはコストに反映され、取得および後に操作の両方にも反映される。特許文献1は、そのような水素冷却発電機を開示しており、そこでは、水素は閉回路内において発電機を通じて流れている。
【0004】
ガスタービンは、広範囲の燃料または燃料混合物により作動されることが可能である。近年の開発は、例えば再生可能エネルギ源からのような電気エネルギの供給過剰の増大により、この間欠的な供給過剰がますます水素の生成のために使用され、この水素は、例えば天然ガスと混合された後に、さらなる燃焼ガスとともに、ガスタービンの燃焼により電気エネルギに逆変換される方向に向けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1 580 868号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、そのようなガスタービンおよび電気エネルギを発生させるためにガスタービンにより駆動される水素冷却発電機を具備した発電プラントを改良して、発電プラントの最適化された動作を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を備えた発電プラントにより達成される。
【0008】
発電機の冷却のために使用される水素は、発電機の損失熱の吸収により加熱され、混合ステーションにおいて、水素はさらなる燃料(好適に天然ガス)と混合されて、混合ステーションを介して、水素がより効率的に使用され得る燃焼手段のためのガスタービンに供給される。一方では、水素を再冷却するための水素冷却回路において必要な冷却器はもはや必要なく、このことはコストの抑制を導いている。他方では、発電プラントの全体的な効率が改善されており、それは、水素冷却回路からの水素が、ガスタービンに供給されたときに、すでに予備加熱されており、発電プラント内における燃料消費も減少されているためである。したがって、全体的に発電プラントの動作が、最適化されることが可能である。
【0009】
分離デバイスは、排出ライン内に追加的に配置され、水素のみが通過するように形成されており、非常に高純度の燃料が、ガスタービンに供給されることが可能である。
【0010】
本発明は、以下の図に基づいて、例示によりここに説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】冷却発電機に関する先行技術から知られた閉水素冷却回路を概略的に示した図である。
図2】本発明による、発電機およびガスタービンの発電プラントの配列を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1において、水素冷却発電機2が、概略的に示されている。発電機2の一方の端面には、供給ライン3が配置されている。他方の端面には、排出ライン5が配置されている。水素冷却発電機2は、筐体を備えている。筐体内にはステータおよびロータが配置され、それらはそれ以上詳細には示されていない。水素Hは、水素タンク内に貯蔵されている。水素Hは、水素冷却発電機2の冷媒として使用され、水素Hは、水素タンクから供給ライン3を介して発電機2へと流れ、そこで生じる発電機の損失熱を吸収する。続いて、加熱された水素Hは、排出ライン5および冷却器を介して水素タンクへと戻る。冷却器は、より詳細には示されておらず、発電機内で加熱された水素Hを冷却するためのものである。結果的に、漏れ等に起因した通常の損失が無視できる場合、水素Hは主として閉回路を通過する。
【0013】
次に図2において、ガスタービン1、電気エネルギを発生させるためにガスタービン1により駆動される発電機2、および発電機2からの損失熱を排出するための水素冷却回路を具備した、本発明による手段が概略的に示されている。実際に、排出ライン5は、ここでは混合デバイス7に接続されており、そこで、排出ライン5からの加熱された水素Hは、さらに燃料Eと混合され、この混合物は、供給ライン6を介してガスタービン1に供給される。このことは、加熱された水素は、水素が含んでいる作動力とともに、もはや冷却器において冷却されることが無いことを意味している。したがって、結果として生じた損失熱は、排出されるのではなく、予備加熱された燃焼ガスとしてガスタービンに供給されることが可能である。これは、開放水素冷却回路を形成しており、すなわち、新規の水素Hが発電機2に定常的に供給されなければならないが、他方では、より少ない燃料がガスタービン側に供給されるだけでよく、消費量のそのようなバランスは、実質的には同一である。しかしながら、ガスタービン1に供給される水素は予備加熱されているので、より良好な効率が、同量の燃料におけるよりもガスタービン1に関して達成されることが可能であり、結果的に発電プラントの全体的な効率を改善している。このことは、発電機2において加熱された水素を浄化するための分離デバイス8が、排出ライン5に設けられている場合に、さらに改善されることが可能である。排出ライン5内に配置された(しかし図2には示されていない)、圧力および/または流量を制御するための追加の制御器材は、この方法において、ガスタービン内の燃焼を最適化する、例えば天然ガスのようなさらなる燃料の混合比を達成するために、混合デバイス7内に流れ込み且つ発電機において加熱された水素の質量流量を設定している。全体的に、燃焼可能材料、すなわち燃料と、発電プラントの作動のために必要な冷却材と、のバランスの観点、および全体効率の観点の両方から、本発明により、発電プラントの最適化された動作が可能である。
【符号の説明】
【0014】
1 ・・・ガスタービン
2 ・・・発電機
3 ・・・供給ライン
5 ・・・排出ライン
6 ・・・供給ライン
7 ・・・混合デバイス
8 ・・・分離デバイス
E ・・・燃料
H ・・・水素
図1
図2