【課題を解決するための手段】
【0011】
当該目的は、独立請求項1の特徴部分を具備する蒸気タービンによって達成される。本発明のさらなる特徴及び詳細については、従属請求項、発明の詳細な説明、及び図面から明らかとなる。
【0012】
言い換えれば、本発明の目的は、タービンケーシングを備えている蒸気タービンであって、タービンケーシングが、外壁と、タービンケーシングの内部においてタービン軸線の周りに回転可能に取り付けられているタービンシャフトと、第1のタービン部分と、タービンシャフトのアキシアル方向において第1のタービン部分の下流に配置されている少なくとも1つの第2のタービン部分とを備えており、蒸気タービンを通じて導かれる蒸気についての膨張方向が、第1のタービン部分から第2のタービン部分に至るまで延在している、蒸気タービンによって達成される。第1のタービン部分は、好ましくは、高圧タービン部分として構成されており、第2のタービン部分は、好ましくは、低圧タービン部分として構成されている。低圧タービン部分は、また、付随するさらなるタービンケーシングとしても構成されている(マルチフロー)。例えば2つの第2のタービン部分が設けられている場合には、中圧タービン部分が、好ましくは、第1のタービン部分及び1つ以上の低圧タービン部分の下流に配置されており、好ましくは、中圧タービン部分の下流に配置されている。
【0013】
蒸気タービンは、以下の特徴によって特徴づけられている。
− 第1のタービン部分と第2のタービン部分との間において、パーティションとも呼称される付加的なシールシェルが、タービンケーシングと共に回転するようにタービンケーシングに、特にタービン外側ケーシングの内側に配置されている。シールシェルが、例えばブラシシールやラビリンスシールようなシール要素を介してタービンシャフトに向かって密着されている。
【0014】
− 第1のタービン部分の内部には、第1の内部ケーシングが、外壁の内側すなわちタービンシャフトに面している外壁の側面において、タービンシャフトに関して回転対称に配置されており、タービンシャフトに対して密着されている。第1の内部ケーシングが、第1のシール領域を有している。第1のシール領域が、膨張方向に関して、第1のタービン部分を前方部分と後方部分とに分割している。さらに、第1の内部ケーシングが、タービン軸線に対して平行に又は略平行に配置されている第1のブレード領域を有している。
【0015】
− 第1の案内羽根ブレード(16)が、第1のブレード領域(13)の、タービンシャフト(5)に面している内壁に配置されている。第1の案内羽根ブレード(16)に対応している第1のロータブレード(17)が、タービンシャフト(5)に配置されている。第1の案内羽根ブレードと第1のロータブレードとが第1のブレードドラムを形成している。
【0016】
− 第2のタービン部分の内部には、第2の内部ケーシングが、外壁の内側において、タービンシャフトに関して回転対称に配置されており、タービンシャフト(5)に対して密着されている。第2の内部ケーシングが、膨張方向において第2のタービン部分を前方部分と後方部分とに分割している第2のシール領域を有している。さらに、第2の内部ケーシングは、第2のブレード領域を有している。
【0017】
− 第2の案内羽根ブレードが、第2の内部ケーシングの第2のブレード領域の内壁に配置されており、当該内壁が、タービンシャフトに面している。第2の案内羽根ブレードに対応している第2のロータブレードが、タービンシャフトに配置されている。第2の案内バネブレードと第2のロータブレードとが、第2のブレードドラムを形成している。
【0018】
− 第1の内部ケーシング及び第2の内部ケーシングの第1のブレード領域及び第2のブレード領域それぞれが、膨張方向の反対方向において、第1のシール領域及び第2のシール領域それぞれから延在している。このことは、第1の内部ケーシングの第1のブレード領域が、シールシェルの反対側に面している第1の内部ケーシングの第1のシール領域から離隔するように延在していることを意味する。
【0019】
− 蒸気タービンは、少なくとも1つの新鮮蒸気配管を有しており、新鮮蒸気が、少なくとも1つの新鮮蒸気配管を介して、タービンケーシングの外壁と第1の内部ケーシングの第1のブレード領域とを通じて、第1のブレード領域及び第1のシール領域とタービンシャフトと第1の案内羽根ブレード及び第1のロータブレードとによって境界が形成されている領域の内部に案内される。外壁と第1のブレード領域とが、新鮮蒸気配管に連通している開口部を有している。新鮮蒸気配管は、第1の内部ケーシングに固定されている。新鮮蒸気配管は、タービンケーシングの外壁に形成された開口部を通じて、密封状態で案内される。
【0020】
第1の内部ケーシング及び第2の内部ケーシングは、ウェブを介してタービンケーシングに接続可能とされる。第1の内部ケーシング及び第2の内部ケーシングは、タービンケーシングと一体に、特にモノリシックに形成されていることに留意すべきである。
【0021】
− シール領域が、蒸気が前方部分それぞれからタービン部分の後方部分それぞれに至る際に通過する、開口部それぞれを外壁に面している領域に有している。このことは、開口部が、タービンケーシングの外壁の近傍において、内側ケーシングのシール領域のラジアル方向外側領域に配置されていることを意味する。
【0022】
− 中間蒸気配管が、少なくとも1つの第1の中間蒸気開口部の内部に配置されており、少なくとも1つの第1の中間蒸気開口部が、第1のタービン部分の後方部分の領域において、タービンケーシングの外壁に設けられている。“低温”蒸気が、少なくとも1つの第1の中間蒸気配管を介して、第1のタービン部分の後方部分の外部に案内され、外部に配置された過熱器に供給される。
【0023】
− さらに、さらなる中間蒸気開口部が、タービンケーシングの外壁に設けられている。中間蒸気開口部は、第2のタービンケーシングの領域において外壁に配置されている。過熱蒸気が、中間蒸気開口部を通じて案内されている第2の中間蒸気配管を介して、タービンケーシングの外壁及び第2の内部ケーシングの第2のブレード領域を通じて、第2のブレード領域と第2のシール領域との間の領域の内部に案内される。過熱蒸気は、外部に配置された過熱器から供給される。
【0024】
− さらに、少なくとも1つの蒸気出口開口部又は蒸気出口配管が、タービンケーシングの外壁に設けられている。第2のタービン部分の後方部分からの排出蒸気は、蒸気出口配管を介してタービンケーシングの外部に案内される。
【0025】
再過熱機能を具備するこのタイプの蒸気タービンの場合には、非常に過熱された蒸気が、2つの地点において蒸気タービンの内部に導かれる。
【0026】
蒸気タービンは、新鮮蒸気及び再過熱された蒸気が導入される領域に、2つの内部ケーシングから成る2つのシェル構造を有している。言い換えれば、第1の内部ケーシングは、第1のタービン部分のタービンケーシングの内部に挿置されており、第2の内部ケーシングは、第2の下流のタービン部分のタービンケーシングの内部に挿置されている。第1の内部ケーシングは、タービンケーシングを、特にタービンケーシングの外壁を流入する高温の新鮮蒸気から遮蔽している。第2の内部ケーシングは、タービンケーシングを、特にタービンケーシングの内壁を再過熱された高温の蒸気から遮蔽している。同時に、圧力差が2つの圧力段を隔てているので、内部ケーシングにおける蒸気パラメータが非常に高くなる。
【0027】
再過熱された蒸気が導入される領域に配置されている第2の内部ケーシングは、新鮮蒸気の流入領域において第1の内部ケーシングから分離している独立した部品である。従って、タービンの内部構造と変形可能な形態とされる膨張過程とを設計することができ、蒸気タービン内の推進力が仮想的に完全に相殺されるように、主膨張方向の反対方向において2つの内部ケーシングを配置させることができる。
【0028】
さらに、2つの内部ケーシングの配置及び構成によって、大量の蒸気が2つの内部ケーシングそれぞれのあらゆる側面から流出するので、一様な温度場を確保することができる。従って、タービンケーシングの外壁における一様な温度場によって、当該外壁の湾曲が最小限度に抑えられる。
【0029】
内部ケーシングを自在に配置させることによって、特定の利点が生み出される。タービンの密閉システムが、漏出損失を最小限度に抑えるために最適化されるからである。2つの内部ケーシングの単一の膨張方向は、シールシェルが第1のタービン部分と第2のタービン部分との間に必要とされることを意味する。シールシェルには、低温配管と高温配管との間における圧力差に起因する負荷、及び再過熱による負荷が専ら作用する。従って、シールシェルの領域においては、事実上漏れが発生しない。
【0030】
蒸気タービンでは、第1の内部ケーシングが、蒸気の膨張方向において第1のタービン部分に設けられている。新鮮蒸気は、新鮮蒸気配管を介して第1の内部ケーシングに流入する。第1のブレードは、複数のブレードドラムを有している。第1のブレードドラムそれぞれは、案内羽根とロータブレードとを有している。新鮮蒸気は、蒸気タービンを介して蒸気の主膨張方向の反対方向に膨張される。これにより、2つの良好な効果が発生する。第一に、第1の内部ケーシングは、第1の内部ケーシングの周囲を流れている相対的に低温の蒸気によって冷却され、タービンの全体的な推力が低減される。釣り合い推力が当該領域において発生するからである。さらに、さらなるドラムブレードが、内部ケーシングの下流において第1のタービン部分の後方部分に配置されている。膨張の拡大が、シールシェルによって実質的に阻止される。第1のタービン部分の後方部分における低温の再過熱蒸気は、完全にタービンの外部に案内され、過熱器において、特に蒸気ボイラーにおいて再過熱される。その後に、再過熱された蒸気は、第2のタービン部分における蒸気タービンの内部に戻る。蒸気は、蒸気タービンにおいて非常に高温であるので、単一シェル構造のタービンの強度を上回る。従って、蒸気は、第2の内部ケーシングの内部に導入される。第2の内部ケーシングでは、過熱された蒸気が、タービンケーシングの、特にタービンケーシングの外壁の許容温度に到達するまで膨張する。
【0031】
第1の内部ケーシングの内部の第1のブレードにおける新鮮蒸気の膨張と、第2の内部ケーシングの内部の第2のブレードにおける過熱された蒸気の膨張とによって、内部ケーシングとタービンケーシングの外壁との間における圧力及び温度それぞれが、内部ケーシングの内部における圧力及び温度より低い。このようにして、タービンの外部ケーシングに作用する負荷が小さくなる。これにより、タービンケーシング又はタービンケーシングの外壁が、蒸気タービンの動作の際に、仮にあったとしても僅かに湾曲されるにすぎない。内部ケーシング及び内部ケーシングのブレードの配置及び構成によって実現される効果は、非常に大きい圧力パラメータ及び温度パラメータが膨張方向に関するシールシェルの上流及び下流において支配的でなくなるので、シールシェルのシール要素を通じた漏出が小さくなる。
【0032】
第2のブレードを具備する第2の内部ケーシングは、第1のブレードの第1の内部ケーシングと同様に、蒸気の膨張方向の反対方向に挿入されている。これにより、その結果として、第1の内部ケーシングと同一の良好な効果が得られる。すなわち、タービンケーシングの第2の内部ケーシングの外面及び外壁の内側における冷却が改善されるので、推力相殺も改善される。推力相殺効果が積み上げられるので、貯蔵損失についての良好な効果、及び、タービンケーシングの内部に機能的に挿入可能とされ且つ膨張方向における下流に配置されている低圧部分の大きさについての良好な効果が、顕著に向上する。
【0033】
第2の内部ケーシングは、第2の内部ケーシングの周囲を流れている蒸気によって冷却される。
【0034】
2つの内部ケーシングを利用することによって、通常全体として二重シェルの形態とされる蒸気タービンは、その大部分が単一シェルを有しているタービンケーシングと共に形成されている。これにより、蒸気タービンの構成に関する構造についてのコストが著しく低減される。低圧部分が中圧部分すなわち第2のタービン部分の下流に配置されている場合には、2つの内部ケーシングを利用することによって、単一のタービンケーシングの内部において再過熱する完全な復水タービンシステムを配置させることができる。
【0035】
過熱器は、蒸気タービンのタービンケーシングの外側に配置されており、第1の中間蒸気配管を通じて輸送された“低温”蒸気を再過熱するように、且つ、過熱器において加熱された蒸気を第2の中間蒸気配管に輸送するように構成されている。
【0036】
第1のタービンセクションにおいて蒸気を特に良好に膨張させるために、好ましくは、外壁の内面に設けられた案内羽根とタービンシャフトに設けられた対応するロータブレードとを具備する少なくとも1つの第3のブレードが、蒸気タービンにおいて、第1のタービン部分の後方部分に配置されている。第3のブレードは、第1の内部ケーシングのブレード領域の内壁とタービンシャフトとの間には配置されていないが、タービンケーシングの外壁とタービンシャフトとの間に配置されている。
【0037】
内部ケーシングすなわち内部ケーシングのブレード領域と付加的なシールシェルとを一方向に配置することによって、第3のブレードが、第1の内部ケーシングとシールシェルとの間に据付可能となる。同様に、第3のブレードは、シールシェルに作用する圧力を低減させる。しかしながら、単一のシェルケーシング領域の技術的に管理可能なパラメータの範囲内においてのみ、さらなるブレードを装着可能とされる。
【0038】
さらに、蒸気タービンにおいて、外壁の内面に設けられた案内羽根ブレードとタービンシャフトに設けられた対応するロータブレードとを具備する、第4のブレードが、第2のタービン部分の後方部分に配置されている。さらなるブレードによって、蒸気タービンを通じた蒸気のさらなる膨張が再び行われる。これにより、タービンケーシングの当該領域における負荷を再び低減することができる。従って、第3のタービン部分、特に低圧タービン部分が、第2のタービン部分の後方部分に又は第2のタービン部分の後方部分の膨張方向に関する下流に配置されている点において、蒸気タービンは優位である。
【0039】
好ましくは、蒸気タービンにおいて、第1のタービン部分が高圧タービン部分とされ、第2のタービン部分が中圧タービン部分又は低圧タービン部分とされる。
【0040】
内部ケーシングの漏出を防止するために、内部ケーシングのシール領域が、シール要素を介してタービンシャフトに対して密着される。このことは、例えばブラシシールやラビリンスシールを介して実現される。
【0041】
本発明について、添付図面を参照して詳述する。