特許第6203951号(P6203951)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6203951局所一致を使用する高解像度マッピング用の医療用デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203951
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】局所一致を使用する高解像度マッピング用の医療用デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0408 20060101AFI20170914BHJP
   A61B 5/0478 20060101ALI20170914BHJP
   A61B 5/0492 20060101ALI20170914BHJP
   A61B 5/0402 20060101ALI20170914BHJP
   A61B 5/044 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   A61B5/04 300J
   A61B5/04 310M
   A61B5/04 314Z
【請求項の数】14
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-524139(P2016-524139)
(86)(22)【出願日】2014年10月29日
(65)【公表番号】特表2016-534781(P2016-534781A)
(43)【公表日】2016年11月10日
(86)【国際出願番号】US2014062876
(87)【国際公開番号】WO2015066164
(87)【国際公開日】20150507
【審査請求日】2016年4月14日
(31)【優先権主張番号】61/898,312
(32)【優先日】2013年10月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】プラモドシン・ヒラシン・タクール
(72)【発明者】
【氏名】アラン・シー・シュロス
(72)【発明者】
【氏名】バルン・マスカラ
(72)【発明者】
【氏名】シバジ・ショーム
(72)【発明者】
【氏名】シャンタ・アルコット―クリシュナマーシー
(72)【発明者】
【氏名】スノパ・サハ
(72)【発明者】
【氏名】スコット・エイ・メイヤー
【審査官】 伊藤 幸仙
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/097059(WO,A1)
【文献】 特許第4001959(JP,B2)
【文献】 特表2014−502556(JP,A)
【文献】 特表2007−537823(JP,A)
【文献】 特表2009−537252(JP,A)
【文献】 特開2005−131367(JP,A)
【文献】 特表2013−523345(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/066324(WO,A1)
【文献】 JADIDI A.S. et al.,FUNCTIONAL NATURE OF ELECTROGRAM FRACTIONATION DEMONSTRATED BY LEFT ATRIAL HIGH-DENSITY MAPPING,CIRCULATION: ARRHYTHMIA AND ELECTROPHYSIOLOGY,2012年 2月 1日,VOL:5, NR:1,PAGE(S):32 - 42,URL,http://dx.doi.org/10.1161/CIRCEP.111.964197
【文献】 HABEL N. et al.,THE TEMPORAL VARIABILITY OF DOMINANT FREQUENCY AND COMPLEX FRACTIONATED ATRIAL ELECTROGRAMS CONSTRAINS THE VALIDITY OF SEQUENTIAL MAPPING IN HUMAN ATRIAL FIBRILLATION,HEART RHYTHM,米国,ELSEVIER,2010年 5月 1日,VOL:7, NR:5,PAGE(S):586 - 593
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/04 − 5/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用デバイスであって、
第1の位置からの第1の組の信号及び第2の位置からの第2の組の信号を感知するように構成された複数の電極が連結されているカテーテルシャフトと、
プロセッサであって、
感知された前記第1の位置からの前記第1の組の信号を受信し
感知された前記第2の位置からの前記第2の組の信号を受信し
第1の期間にわたって前記第1の組の信号を特徴付け、
第2の期間にわたって前記第2の組の信号を特徴付け、
特徴付けられた前記第1の組の信号を、特徴付けられた前記第2の組の信号と比較
特徴付けられた前記第1の組の信号と特徴付けられた前記第2の組の信号との比較に基づき、前記第1の組の信号からの第1の信号を前記第2の組の信号からの第2の信号と一致させ、さらに
前記第1の信号及び前記第2の信号を含む波面伝播であって、方向と、前記第2の信号と重複しない前記第1の信号の少なくとも一部とを含む波面伝播を表すマップを生成するように構成されたプロセッサと
を備える、医療用デバイス。
【請求項2】
前記第1及び第2の組の信号を感知するために前記複数の電極は電位の変化を感知するように構成されている、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項3】
前記複数の電極が、バスケット電極構造体上に配置される、請求項1又は2に記載の医療用デバイス。
【請求項4】
前記第1の組の信号を特徴付けるために前記プロセッサは第1の固有の信号パターンを生成するように構成されており、前記第2の組の信号を特徴付けるために前記プロセッサは第2の固有の信号パターンを生成するように構成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医療用デバイス。
【請求項5】
前記第1の組の信号を特徴付けるために前記プロセッサは前記第1の期間にわたる前記第1の固有の信号パターンの第1の発生数を判定するように構成されている、請求項に記載の医療用デバイス。
【請求項6】
前記第1の組の信号を特徴付けるために前記プロセッサは前記第1の期間内の前記第1の固有の信号パターンの第1の周波数を計算するように構成されており、前記第1の固有の信号パターンの前記第1の周波数が、前記第1の固有の信号パターンの前記第1の発生数を前記第1の期間で除することによって判定される、請求項に記載の医療用デバイス。
【請求項7】
前記第2の組の信号を特徴付けるために前記プロセッサは前記第2の期間にわたる前記第2の固有の信号パターンの第2の発生数を判定するように構成されている、請求項〜6のいずれか一項に記載の医療用デバイス。
【請求項8】
前記第2の組の信号を特徴付けるために前記プロセッサは前記第2の期間内の前記第2の固有の信号パターンの第2の周波数を計算するように更に構成されており、前記第2の固有の信号パターンの前記第2の周波数が、前記第2の固有の信号パターンの前記第2の発生数を前記第2の期間で除することによって判定される、請求項7に記載の医療用デバイス。
【請求項9】
前記第1の組の信号からの第1の信号を前記第2の組の信号からの第2の信号と一致させるために前記プロセッサは前記第1の周波数を前記第2の周波数と一致させるように構成されている、請求項8に記載の医療用デバイス。
【請求項10】
前記第1の組の信号からの前記第1の信号を前記第2の組の信号からの前記第2の信号と一致させるために前記プロセッサは前記第1の固有の信号パターンを前記第2の固有の信号パターンと整合させるように構成されている、請求項4〜のいずれか一項に記載の医療用デバイス。
【請求項11】
前記第1の固有の信号パターンを前記第2の固有の信号パターンと整合させるために前記プロセッサは前記第1の固有の信号パターンと前記第2の固有の信号パターンとの間の重複領域を特定するように構成されている、請求項10に記載の医療用デバイス。
【請求項12】
前記第1の固有の信号パターンを前記第2の固有の信号パターンと整合させるために前記プロセッサは前記第1の固有の信号パターンの第1の活性勾配を前記第2の固有の信号パターンの第2の活性勾配と一致させるように構成されている、請求項10又は11に記載の医療用デバイス。
【請求項13】
前記プロセッサは、追加の固有の信号パターンを一致させ、一致した信号パターンを使用して、高解像度マップを生成するように更に構成されている、請求項1〜12のいずれか一項に記載の医療用デバイス。
【請求項14】
前記複数の電極は、1つ又は2つ以上の追加の期間にわたって、1つ又は2つ以上の追加の位置における1つ又は2つ以上の組のデータを感知するように構成されている、請求項1〜13のいずれか一項に記載の医療用デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法第119条(e)項の下で、2013年10月31日出願の米国仮出願第61/898,312号に対する優先権を主張するものであり、この全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、医療用デバイス及び医療用デバイスを製造するための方法に関する。より具体的には、本開示は、他の構造体と接続される管状部材を含む細長い体内医療用デバイス、並びにかかるデバイスを製造及び使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
様々な種類の体内医療用デバイスが、医療的使用、例えば、血管内使用のために開発されている。これらのデバイスのうちのいくつかは、ガイドワイヤ、カテーテルなどを含む。これらのデバイスは、様々な異なる製造方法のうちのいずれかによって製造され、様々な方法のうちのいずれかに従って使用され得る。既知の医療用デバイス及び方法のうち、各々は、ある利点及び不利点を有する。代替の医療用デバイス、並びに医療用デバイスを製造及び使用するための代替の方法を提供する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、医療用デバイスの設計、材料、製造方法、及び使用代替案を提供する。医療用デバイスが開示される。該医療用デバイスは、
複数の電極が連結されたカテーテルシャフトと、
プロセッサであって、
第1の位置から第1の組の信号を収集することと、
第2の位置から第2の組の信号を収集することと、
第1の期間にわたって第1の組の信号を特徴付けることと、
第2の期間にわたって第2の組の信号を特徴付けることと、
第1の組の信号を第2の組の信号と比較することと、
第1の組の信号からの第1の信号を第2の組の信号からの第2の信号と一致させることと、を行うことができる、プロセッサと、を備える。
【0005】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1及び第2の組の信号を収集することは、前記第1及び第2の期間にわたって電位の変化を感知することを含む。
【0006】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1又は第2の期間にわたって電位の変化を感知する際に、複数の電極のうちの1つ又は2つ以上を使用すること。
【0007】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1又は第2の信号を収集することは、心臓に複数の電極を配置することを含む。
【0008】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、複数の電極は、バスケット電極構造体上に配置される。
【0009】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、複数の電極は、プロセッサに連結される。
【0010】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1の組の信号を特徴付けることは、第1の固有の信号パターンを生成することを含み、第2の組の信号を特徴付けることは、第2の固有の信号パターンを生成することを含む。
【0011】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1の組の信号を特徴付けることは、第1の期間にわたる第1の固有の信号パターンの第1の発生数を判定することを含む。
【0012】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1の組の信号を特徴付けることは、第1の期間内の第1の固有の信号パターンの第1の周波数を計算することを更に含み、第1の固有の信号パターンの第1の周波数は、第1の固有の信号パターンの第1の発生数を第1の期間で除することによって判定される。
【0013】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第2の組の信号を特徴付けることは、第2の期間内の第2の固有の信号パターンの第2の発生数を判定することを含む。
【0014】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第2の組の信号を特徴付けることは、第2の期間内の第2の固有の信号パターンの第2の周波数を計算することを更に含み、第2の固有の信号パターンの第2の周波数は、第2の固有の信号パターンの第2の発生数を第2の期間で除することによって判定される。
【0015】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1の組の信号からの第1の信号を第2の組の信号からの第2の信号と一致させることは、第1の周波数を第2の周波数と一致させることを含む。
【0016】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、追加の固有の信号パターンを一致させることと、一致した信号パターンを使用して、高解像度マップを生成することと、を含む。
【0017】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1の組の信号からの第1の信号を第2の組の信号からの第2の信号と一致させることは、第1の固有の信号パターンを第2の固有の信号パターンと整合させることを含む。
【0018】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1の固有の信号パターンを第2の固有の信号パターンと整合させることは、第1の固有の信号パターンと第2の固有の信号パターンとの間の重複領域を特定することを含む。
【0019】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1の固有の信号パターンを第2の固有の信号パターンと整合させることは、第1の固有の信号パターンの第1の活性勾配を判定することと、それを第2の固有の信号パターンの第2の活性勾配と一致させることと、を含む。
【0020】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1の組の信号を特徴付けることは、第1の期間内の第1の固有の信号パターンの第1の発生数を判定することを含む。
【0021】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1の組の信号を特徴付けることは、第1の期間内の第1の固有の信号パターンの第1の周波数を計算することを更に含み、第1の固有の信号パターンの周波数は、第1の固有の信号パターンの第1の発生数を第1の期間で除することによって判定される。
【0022】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第2の組の信号を特徴付けることは、第2の期間内の第2の固有の信号パターンの第2の発生数を判定することを含む。
【0023】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第2の組の信号を特徴付けることは、第2の期間内の第2の固有の信号パターンの第2の周波数を計算することを更に含み、第2の固有の信号パターンの第2の周波数は、第2の固有の信号パターンの第2の発生数を第2の期間で除することによって判定される。
【0024】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1の組の信号からの第1の信号を第2の組の信号からの第2の信号と一致させることは、第1の周波数を第2の周波数と一致させることを含む。
【0025】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、追加の固有の信号パターンを一致させることと、一致した信号パターンを使用して、高解像度マップを生成すること。
【0026】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1の組の信号からの第1の信号を第2の組の信号からの第2の信号と一致させることは、第1の固有の信号パターン及び第2の固有の信号パターンを信号テンプレートと一致させることを含む。
【0027】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1の組の信号を特徴付けることは、第1の期間内の第1の固有の信号パターンの第1の発生数を判定することを含む。
【0028】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1の組の信号を特徴付けることは、第1の期間内の第1の固有の信号パターンの第1の周波数を計算することを更に含み、第1の固有の信号パターンの周波数は、第1の固有の信号パターンの第1の発生数を第1の期間で除することによって判定される。
【0029】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第2の組の信号を特徴付けることは、第2の期間内の第2の固有の信号パターンの第2の発生数を判定することを含む。
【0030】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第2の組の信号を特徴付けることは、第2の期間内の第2の固有の信号パターンの第2の周波数を計算することを更に含み、第2の固有の信号パターンの第2の周波数は、第2の固有の信号パターンの第2の発生数を第2の期間で除することによって判定される。
【0031】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1の組の信号からの第1の信号を第2の組の信号からの第2の信号と一致させることは、第1の周波数を第2の周波数と一致させることを含む。
【0032】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、追加の固有の信号パターンを一致させることと、一致した信号パターンを使用して、高解像度マップを生成することと、を更に含む。
【0033】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1の期間は、第2の期間と同じ継続時間である。
【0034】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1の期間は、第2の期間とは異なる。
【0035】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、1つ又は2つ以上の追加の期間にわたって、1つ又は2つ以上の追加の位置における1つ又は2つ以上の組のデータを収集することを更に含む。
【0036】
医療用デバイスを送達するための方法が開示される。本方法は、
請求項1〜32のいずれか一項に記載の医療用マッピングデバイスを患者の心臓の中へ送達することを含む。
【0037】
医療用デバイスを送達するための方法が開示される。本方法は、第1の位置から第1の組の信号を収集することと、
第2の位置から第2の組の信号を収集することと、
第1の期間にわたって第1の組の信号を特徴付けること、
第2の期間にわたって第2の組の信号を特徴付けることと、
第1の組の信号を第2の組の信号と比較することと、
第1の組の信号からの第1の信号を第2の組の信号からの第2の信号と一致させることと、を含む。
【0038】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1及び第2の組の信号を収集することは、第1及び第2の期間にわたって電位の変化を感知することを含む。
【0039】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1又は第2の期間にわたって電位の変化を感知する際に、複数の電極のうちの1つ又は2つ以上を使用することを更に含む。
【0040】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1又は第2の信号を収集することは、心臓に複数の電極を配置することを含む。
【0041】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、複数の電極は、バスケット電極構造体上に配置される。
【0042】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、複数の電極は、プロセッサに連結される。
【0043】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1の組の信号を特徴付けることは、第1の固有の信号パターンを生成することを含み、第2の組の信号を特徴付けることは、第2の固有の信号パターンを生成することを含む。
【0044】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1の組の信号を特徴付けることは、第1の期間にわたる第1の固有の信号パターンの第1の発生数を判定することを含む。
【0045】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1の組の信号を特徴付けることは、第1の期間内の第1の固有の信号パターンの第1の周波数を計算することを更に含み、第1の固有の信号パターンの第1の周波数は、第1の固有の信号パターンの第1の発生数を第1の期間で除することによって判定される。
【0046】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第2の組の信号を特徴付けることは、第2の期間内の第2の固有の信号パターンの第2の発生数を判定することを含む。
【0047】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第2の組の信号を特徴付けることは、第2の期間内の第2の固有の信号パターンの第2の周波数を計算することを更に含み、第2の固有の信号パターンの第2の周波数は、第2の固有の信号パターンの第2の発生数を第2の期間で除することによって判定される。
【0048】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1の組の信号からの第1の信号を第2の組の信号からの第2の信号と一致させることは、第1の周波数を第2の周波数と一致させることを含む。
【0049】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、追加の固有の信号パターンを一致させることと、一致した信号パターンを使用して、高解像度マップを生成することと、を更に含む。
【0050】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1の組の信号からの第1の信号を第2の組の信号からの第2の信号と一致させることは、第1の固有の信号パターンを第2の固有の信号パターンと整合させることを含む。
【0051】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1の固有の信号パターンを第2の固有の信号パターンと整合させることは、第1の固有の信号パターンと第2の固有の信号パターンとの間の重複領域を特定することを含む。
【0052】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1の固有の信号パターンを第2の固有の信号パターンと整合させることは、第1の固有の信号パターンの第1の活性勾配を判定することと、それを第2の固有の信号パターンの第2の活性勾配と一致させることと、を含む。
【0053】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1の組の信号を特徴付けることは、第1の期間内の第1の固有の信号パターンの第1の発生数を判定することを含む。
【0054】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1の組の信号を特徴付けることは、第1の期間内の第1の固有の信号パターンの第1の周波数を計算することを更に含み、第1の固有の信号パターンの周波数は、第1の固有の信号パターンの第1の発生数を第1の期間で除することによって判定される。
【0055】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第2の組の信号を特徴付けることは、第2の期間内の第2の固有の信号パターンの第2の発生数を判定することを含む。
【0056】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第2の組の信号を特徴付けることは、第2の期間内の第2の固有の信号パターンの第2の周波数を計算することを更に含み、第2の固有の信号パターンの第2の周波数は、第2の固有の信号パターンの第2の発生数を第2の期間で除することによって判定される。
【0057】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1の組の信号からの第1の信号を第2の組の信号からの第2の信号と一致させることは、第1の周波数を第2の周波数と一致させることを含む。
【0058】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、追加の固有の信号パターンを一致させることと、一致した信号パターンを使用して、高解像度マップを生成することと、を更に含む。
【0059】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1の組の信号からの第1の信号を第2の組の信号からの第2の信号と一致させることは、第1の固有の信号パターン及び第2の固有の信号パターンを信号テンプレートと一致させることを含む。
【0060】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1の組の信号を特徴付けることは、第1の期間内の第1の固有の信号パターンの第1の発生数を判定することを含む。
【0061】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1の組の信号を特徴付けることは、第1の期間内の第1の固有の信号パターンの第1の周波数を計算することを更に含み、第1の固有の信号パターンの周波数は、第1の固有の信号パターンの第1の発生数を第1の期間で除することによって判定される。
【0062】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第2の組の信号を特徴付けることは、第2の期間内の第2の固有の信号パターンの第2の発生数を判定することを含む。
【0063】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第2の組の信号を特徴付けることは、第2の期間内の第2の固有の信号パターンの第2の周波数を計算することを更に含み、第2の固有の信号パターンの第2の周波数は、第2の固有の信号パターンの第2の発生数を第2の期間で除することによって判定される。
【0064】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1の組の信号からの第1の信号を第2の組の信号からの第2の信号と一致させることは、第1の周波数を第2の周波数と一致させることを含む。
【0065】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、追加の固有の信号パターンを一致させることと、一致した信号パターンを使用して、高解像度マップを生成することと、を更に含む。
【0066】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1の期間は、第2の期間と同じ継続時間である。
【0067】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、第1の期間は、第2の期間とは異なる。
【0068】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、1つ又は2つ以上の追加の期間にわたって、1つ又は2つ以上の追加の位置における1つ又は2つ以上の組のデータを収集することを更に含む。
【0069】
医療用デバイスを送達するための方法が開示される。本方法は、
第1の電極、及び第1の電極に隣接する複数の追加の電極を有する、カテーテルを提供することと、
第1の電極で、及び追加の電極で、ある期間にわたって、1つ又は2つ以上の信号を感知することと、
その期間にわたって、第1の電極と、複数の電極のうちの1つ又は2つ以上との間の1つ又は2つ以上のレイテンシを計算することと、
1つ又は2つ以上のレイテンシを使用して、第1の電極と、複数の電極のうちの1つ又は2つ以上との間の1つ又は2つ以上の信号の1つ又は2つ以上の方向を判定することと、
1つ又は2つ以上の方向から主方向信号を判定することと、を含む。
【0070】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、1つ又は2つ以上のレイテンシを計算することは、固定座標系に対する複数の電極の位置を判定することを含む。
【0071】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、主方向信号を判定することは、1つ又は2つ以上の信号の1つ又は2つ以上の方向の合計を判定することを含む。
【0072】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、合計は、1つ又は2つ以上の信号の1つ又は2つ以上の方向の発生数を含む。
【0073】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、主方向信号を判定することは、周波数を判定することを含み、周波数は、合計を期間で除することによって判定される。
【0074】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、ディスプレイ上に主方向を表示することを更に含む。
【0075】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、主方向を表示することは、矢印を表示することを含む。
【0076】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、矢印を表示することは、矢印を長くすることを含む。
【0077】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、矢印を表示することは、矢印を広くすることを含む。
【0078】
上の実施形態のうちのいずれかの代替として、又はそれに加えて、矢印を表示することは、矢印を濃くすることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0079】
本開示は、添付の図面に関連して、以下の発明を実施するための形態を考慮してより完全に理解され得る。
図1】診断及び治療目的で、身体の標的組織領域にアクセスするためのカテーテルシステムの一実施形態の概略図である。
図2図1のシステムと関連する使用のための構造を担持するバスケット機能要素を有するマッピングカテーテルの一実施形態の概略図である。
図3】複数のマッピング電極を含むバスケット機能要素の一実施形態の概略図である。
図4】3つのベクトル場パターンにわたって延在する例示的な主回転子信号パターンの概略図である。
図5A】細胞活性化波面伝播を表す細胞活性化ベクトル矢印の例示的な概略図示である。
図5B】細胞活性化波面伝播を表す細胞活性化ベクトル矢印の例示的な概略図示である。
図5C】細胞活性化波面伝播を表す細胞活性化ベクトル矢印の例示的な概略図示である。
【0080】
本開示は、種々の修正及び代替の形態が可能であるが、これらの細目は、図面において例として示されており、詳細に説明される。しかしながら、その意図は、本発明を説明される特定の実施形態に限定しないことであることが理解されるべきである。反対に、その意図は、本開示の趣旨及び範囲内にある全ての修正、同等物、及び代替物を網羅することである。
【発明を実施するための形態】
【0081】
以下の定義される用語に関して、異なる定義が、特許請求の範囲又は本明細書のいずれかの箇所において与えられない限り、これらの定義が適用されるのもとする。
【0082】
全ての数値は、明確に示されるかどうかにかかわらず、「約」という用語によって修正されることが想定される。「約」という用語は、一般的に、当業者が、記載される値と同等(すなわち、同じ機能又は結果を有する)と見なすであろう様々な範囲の数を指す。多くの例において、「約」という用語は、最も近い有効数字に四捨五入される数を含み得る。
【0083】
終点による数値範囲の記載は、その範囲内の全ての数を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)。
【0084】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される際、「a」、「an」、「the」という単数形は、別途文脈が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される際、「又は(若しくは)」という用語は、一般的に、別途文脈が明確に指示しない限り、「及び(並びに)/又は(若しくは)」を含む、その意味において採用される。
【0085】
「実施形態」、「一部の実施形態」、「他の実施形態」などへの本明細書における言及は、説明される実施形態が、1つ又は2つ以上の特定の特徴、構造、及び/又は特性を含み得ることを示すということに留意されたい。しかしながら、かかる記載は、全ての実施形態が、特定の特徴、構造、及び/又は特性を含むということを必ずしも意味しない。加えて、特定の特徴、構造、及び/又は特性が一実施形態と関連して説明されるとき、かかる特徴、構造、及び/又は特性はまた、明確に矛盾して記載されない限り、他の実施形態と関連して使用され得ることが理解されるべきである。
【0086】
以下の発明を実施するための形態は、異なる図面における類似の要素が、同じように付番される図面を参照して読まれるべきである。図面は、必ずしも縮尺に従っておらず、例示的な実施形態を描写し、本発明の範囲を限定するようには意図されていない。
【0087】
心拍障害の電気生理現象をマッピングすることは、しばしば、コンステレーションカテーテル又は複数のセンサを有する他のマッピング/感知デバイスの心室の中への導入を含む。センサは、センサ位置における心臓の電気的活性を検出する。電気的活性を処理させ、センサ位置に対する心臓組織を通じた細胞励起を正確に表す心電図信号として表示されることが望ましくあり得る。次いで、処理システムは、信号を分析し、ディスプレイデバイスに出力し得る。医師は、表示された情報を使用して、診断手技を実施し得る。しかしながら、一部の場合において、感知電極は、心臓の電気的活性を正確に検出することができない場合がある。例えば、センサは、完全に信号を検出することができない場合があるか、又はそれらは、遠距離場電気的活性及び/若しくは電気的アーチファクトを検出し得る。
【0088】
処理システムは、心筋組織の電気的活性によって生成され、かつ隣接する電極によって感知される様々な活性化信号を検出するように構成され得る。しかしながら、コンステレーションカテーテル又は他のマッピング/感知デバイス上の比較的限られた数の電極は、活性化パターン感知の解像度を制限し得る。したがって、電極の総数及び/又は電極間の間隔を低減し、より小さい、集中的な心臓位置から電気信号データを収集することが望ましくあり得る。更に、電極間の距離を低減することは、高解像度データの収集を可能にし得る。しかしながら、この高解像度データは、小さい、局所心臓領域からのみ収集され得る。本明細書において開示される方法及びシステムは、低解像度の標準的な活性マッピングの制限のうちの少なくともいくつかを克服するように設計される。例えば、本明細書において開示される方法のうちのいくつかは、局所領域からの高解像度データを収集し、組み合わせて、心室の高解像度マップを作成することを含み得る。他の方法及び医療用デバイスも開示される。
【0089】
図1は、診断及び/又は治療目的のために、身体の標的組織領域にアクセスするためのシステム10の概略図である。図1は、概して、心臓の左心房において展開されるシステム10を示す。あるいは、システム10は、左心室、右心房、又は右心室等の心臓の他の領域において展開させることができる。図示された実施形態は、心筋組織をアブレーションするために使用されているシステム10を示すが、システム10(及び本明細書において説明される方法)は、その代替として、前立腺、脳、胆嚢、子宮、神経、血管、及びカテーテルによって典型的にアクセスされない身体領域を含む、身体の他の領域における組織をアブレーションするための手技等の他の組織のアブレーション用途における使用のために構成され得る。
【0090】
システム10は、マッピングプローブ14及びアブレーションプローブ16を含み得る。図1において、それぞれは、選択された心臓領域12内に、好適な経皮手段によって血管又は動脈(大腿静脈又は動脈など)を通して別個に導入される。あるいは、マッピングプローブ14及びアブレーションプローブ16は、心臓領域12における同時導入及び展開のために、一体化構造で組み立てられ得る。
【0091】
マッピングプローブ14は、可撓性カテーテル本体18を有し得る。カテーテル本体18の遠位端は、3次元多電極構造体20を担持し得る。図示された実施形態において、構造体20は、開放内部空間22を画定するバスケットの形態をとる(図2を参照されたい)が、電極構造体の幾何学的形状及び電極位置が既知であり得る他の多電極構造体が使用されてもよい。多電極構造体20は、電極位置及びチャネルを各々有する複数のマッピング電極24(図1には明確に示されていないが、図2に示されている)を担持する。各電極24は、解剖学的領域における固有の生理学的活性を感知するように構成され得る。一部の実施形態において、電極24は、解剖学的構造内の固有の生理学的活性の活性化信号、例えば、心臓活性の活性化時間を検出するように構成され得る。
【0092】
電極24は、処理システム32に電気的に連結され得る。信号線(図示せず)は、バスケット構造体20上の各電極24に電気的に連結され得る。信号線は、以下に詳細に記載されるように、プローブ14の本体18を通って延在し、各電極24を処理システム32の入力に電気的に連結する。電極24は、心筋組織などの、解剖学的領域内の固有の電気的活性を感知する。感知された活性、例えば、活性化信号は、解剖学的マップ、例えば、ベクトル場マップを生成することによって、医師が、診断及び/又は処置手技、例えば、アブレーション手技のために適切な心臓内の部位(1つ若しくは複数)を特定することを支援するように、処理システム32によって処理される。例えば、処理システム32は、近距離信号成分、すなわち、マッピング電極24に隣接する細胞組織からの活性化信号、又は妨害的な遠距離場信号成分、すなわち、隣接しない組織からの活性化信号を特定し得る。例えば、近距離信号成分が心房心筋組織からの活性化信号を含み得る一方で、遠距離場信号成分は、心室心筋組織からの活性化信号を含み得る。近距離活性化信号成分は、病変の存在を見つけるために、かつ病変の処置、例えば、アブレーション治療のためのアブレーションに好適な位置を判定するために、更に分析され得る。
【0093】
処理システム32は、専用回路(例えば、個別論理要素及び1つ又は2つ以上のマイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は、取得した活性化信号を受信及び/若しくは処理するための、例えば、プログラマブル論理デバイス(PLD)若しくはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等の特別に構成されたプログラマブルデバイス)を含む。一部の実施形態では、処理システム32は、受信された活性化信号に関連する情報を受信し、分析し、及び表示する命令を実行する汎用マイクロプロセッサ及び/又は特殊マイクロプロセッサ(例えば、活性化信号を処理するのに最適化され得る、デジタル信号プロセッサ、すなわちDSP)を含む。このような実装形態では、処理システム32は、実行されるときに、信号処理の一部を行うプログラム命令を含み得る。プログラム命令は、例えば、マイクロプロセッサ又はマイクロコントローラによって実行されるファームウェア、マイクロコード、又はアプリケーションコードを含み得る。上述の実装形態は、例示的であるに過ぎない。他のプログラム命令が企図される。
【0094】
一部の実施形態では、処理システム32は、電極24に隣接する心筋組織内の固有の電気的活性を測定するように構成され得る。例えば、一部の実施形態では、処理システム32は、マップ化されている解剖学的特徴内の主回転子又は発散活性化パターンと関連する固有の電気的活性を検知するように構成される。例えば、主回転子及び/又は発散活性化パターンは、心房細動の開始及び持続に関与し得、回転子経路、回転子コア、及び/又は発散の中心のアブレーションは、心房細動を終結させる上で効果的であり得る。いずれの状況においても、処理システム32は、感知された活性化信号を処理して、APDマップ、ベクトル場マップ、等高線マップ、信頼度マップ、心電図、心臓活動電位など等の関連特性の表示を生成する。関連特性は、アブレーション治療に好適な部位を特定するために医師によって使用され得る。
【0095】
アブレーションプローブ16は、1つ又は2つ以上のアブレーション電極36を担持する可撓性カテーテル本体34を含み得る。1つ又は2つ以上のアブレーション電極36は、1つ又は2つ以上のアブレーション電極36にアブレーションエネルギーを送達するように構成され得る無線周波数発生器(RF)37に電気的に接続され得る。アブレーションプローブ16は、処置されるべき解剖学的特徴、並びに構造体20に対して移動可能であり得る。アブレーションプローブ16は、1つ又は2つ以上のアブレーション電極36が、処置されるべき組織に対して位置付けられる際に、構造体20の電極24との間に、又はそれに隣接して位置付け可能であり得る。
【0096】
処理システム32は、医師が見ることができるように、関連特性の表示をデバイス40に出力し得る。図示された実施形態において、デバイス40は、CRT、LED、若しくは他のタイプのディスプレイ、又はプリンタである。デバイス40は、医師にとって最も有用な形式で関連特性を提示し得る。加えて、処理システム32は、装置40への表示のための位置特定出力を生成し得、この出力は、医師が、アブレーションのために特定された部位における組織と接触するところにアブレーション電極36を案内するのに役立つ。
【0097】
図2は、遠位端に電極24を含むマッピングカテーテル14の実施形態を図示し、図1に示されるシステム10における使用に好適であり得る。マッピングカテーテル14は、可撓性カテーテル本体18を有し、その遠位端は、マッピング電極又はセンサ24を担持するように構成される3次元構造体20を担持する。マッピング電極24は、心筋組織における固有の電気的活性、例えば、活性化信号を感知し、次いで、感知された活性は、処理システム32によって処理されて、医師が、生成及び表示された関連特性を介して、心拍障害又は他の心筋病変を有する部位(1つ若しくは複数)を特定するのを支援する。この情報を使用して、アブレーション等の適切な治療を特定された部位に適用するための適切な位置を判定し、かつ/又は1つ若しくは2つ以上のアブレーション電極36の特定された部位への誘導を支援することができる。
【0098】
図示された3次元構造体20は、基部部材41及び端部キャップ42を含み、それらの間を可撓性スパイン44が周方向に離間した関係で概ね延在する。上記のように、3次元構造体20は、開放内部空間22を画定するバスケットの形態をとる。一部の実施形態では、スパイン44は、ニチノールメタル又はシリコーンゴムなどの、弾性不活性材料から作られ、及び接触する組織表面に曲げる又は一致させるように、基部部材41と端部キャップ42との間で、弾性の予め緊張された状態で接続される。図示された実施形態では、8つのスパイン44が、3次元構造体20を形成する。追加的な又はより少ないスパイン44が、他の実施形態において使用され得る。図示されるように、各スパイン44は、8つのマッピング電極24を担持する。追加的な又はより少ないマッピング電極24が、3次元構造体20の他の実施形態において、各スパイン44上に配置され得る。図示された実施形態において、3次元構造体20は、比較的小さい(例えば、直径40mm以下)。代替の実施形態において、3次元構造体20は、更により小さい又はより大きい(例えば、直径40mm以上)。
【0099】
摺動可能なシース50は、カテーテル本体18の主要軸に沿って移動可能である。シース50を前方に(すなわち、遠位端に向かって)移動させることにより、シース50が3次元構造体20の上を移動し、これにより、構造体20が折り畳まれ、例えば、心臓などの解剖学的構造の内部空間への導入及び/又は内部空間からの除去に好適な小型で薄型の形状状態になる。対照的に、シース50を後方に(すなわち、近位端に向かって)移動させることにより、3次元構造体20が露出して、構造体20が弾性的に拡張され、図2に図示される予め緊張した位置を想定させる。
【0100】
信号線(図示せず)は、各マッピング電極24に電気的に連結される。信号線は、マッピングカテーテル20の本体18を通ってハンドル54内に延在し、そこで、それらは、複数のピンコネクタであり得る外部コネクタ56に連結される。コネクタ56は、マッピング電極24を処理システム32に電気的に連結する。マッピングカテーテルによって生成される信号を処理するためのマッピングシステム及び方法に関する更なる詳細は、米国特許第6,070,094号、発明の名称「Systems and Methods for Guiding Movable Electrode Elements within Multiple Electrode Structure」、米国特許第6,233,491号、発明の名称「Cardiac Mapping and Ablation Systems」、及び米国特許第6,735,465号、発明の名称「Systems and Processes for Refining a Registered Map of a Body Cavity」に論じられており、これらの開示は、参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【0101】
システム10の動作を図示するために、図3は、複数のマッピング電極24を含むバスケット構造体20の概略側面図である。図示された実施形態において、バスケット構造体は、64のマッピング電極24を含む。マッピング電極24は、(A、B、C、D、E、F、G、及びHにラベル付けされた)8つのスパイン部の各々上の(1、2、3、4、5、6、7、及び8にラベル付けされた)8つの電極のグループに配置される。64のマッピング電極24の配置が、バスケット構造体20上に配設されるように図示されているが、あるいはマッピング電極24は、異なる数、異なる構造体、及び/又は異なる位置で配置されてもよい。加えて、複数のバスケット構造体は、異なる解剖学的構造から信号を同時に得るために、同じ又は異なる解剖学的構造に展開されてもよい。
【0102】
バスケット構造体20が、処置されるべき解剖学的構造(例えば、心臓の左心房、左心室、右心房、若しくは右心室)に隣接して位置付けられた後、処理システム32は、解剖学的構造の生理学的活性に関連する各電極24チャネルからの活性化信号を記録するように構成される、すなわち、電極24は、解剖学的構造の生理機能に固有の電気的活性化信号を測定する。生理学的活性の活性化信号は、固有の生理学的活性に応答して、又は複数の電極24のうちの少なくとも1つによって設けられる既定のペーシングプロトコルに基づいて、感知することができる。
【0103】
コンステレーションカテーテル又は他のマッピング/感知デバイスに沿った電極の配設、サイズ、間隔、及び/若しくは位置は、標的解剖学的構造の幾何学的形状と組み合わせて、感知電極が、標的細胞組織の電気的活性を収集及び伝送する精度に寄与し得る。例えば、電極の総数及び/又は電極間の距離がコンステレーションカテーテル又は他の感知デバイス上で減少する場合、カテーテル/デバイスから取得されるデータの解像度が低減し得る。更に、マッピング電極24によって感知される活性化信号の解像度は、バスケット構造体20上のマッピング電極24の特定の間隔、配設、及び位置、並びに/又は特定の心室内のバスケット構造体20の位置によって変動し得る。図3は、間隔が感知された活性化信号の特定の解像度に相関し得るように位置付けられた64の電極を図示する。しかしながら、相対位置、形状、配設、及び/又はマッピング電極24間の距離の変更が、異なる程度の解像度に相関し得ることが理解され得る。加えて、バスケット構造体20の全体的なサイズ、形状、及び/又は位置の減少も、感知された活性化信号の解像度における変化に相関し得る。更に、マッピング電極24及びバスケット構造体20の両方の相対サイズ、間隔、位置、形状、及び/又は配設の両方の変更は、感知された活性化信号の異なる解像度をもたらし得る。
【0104】
示されるように、多電極構造体20のサイズ及び/又は寸法の低減は、マッピング電極24間の空間を低減し得る。更に、多電極構造体20のサイズの低減は、特定の期間中にマッピングされ得る細胞組織の低減された「標的エリア」をもたらし得る。しかしながら、マッピング電極24間の間隔の低減は、感知された電気的活性、例えば、活性化信号の解像度を増加させ得る。したがって、一部の実施形態において、標的エリアにおける低減にもかかわらず、多電極構造体20の全体的なサイズ及び/又は寸法を低減することが望ましくあり得る。より小さい標的エリアは、増加された解像度(より小さいエリアにわたって)を有し得、したがって、より小さい多電極構造体を使用して、いくつかの低減された標的エリア位置からの「より高い解像度」の電気的活性データを組み合わせることが望ましくあり得る。更に、高解像度「グローバル」心室マップが、いくつかの小さい高解像度マップを組み合わせることによって生成され得る。したがって、いくつかの局所的な高解像度心臓マップを、単一のグローバル高解像度心臓マップの中へ組み合わせるための技術に対する必要性が存在し得る。
【0105】
第1の組の信号からの第1の信号を第2の組の信号からの第2の信号と一致させて、心室内の局所領域から収集される電気的活性化データの高解像度マップを生成することは、領域内の特定の活性化パターンが所与の期間にわたって発生する周波数に従って、信号を一致させることを含み得る。記載されるように、処理システム32は、マッピング電極24に隣接する心筋組織内の固有の電気的活性を測定するように構成され得る。更に、処理システム32は、細胞の波動励起伝播の複数の「固有の」活性化パターン、例えば、主回転子又は発散活性化パターンと関連付けられる、固有の電気的活性を検出するように構成され得る。活性化パターンの例示的な表示としては、ベクトル場パターン、等高線マップ、等時線、活性化電位表示、及び/又は位相マップが挙げられ得るが、これらに限定されない。主回転子又は発散活性化パターンは、処理システム32によって検出され得る固有の電気的活性のいくつかの例示的な固有のパターンのうちの1つを図示する。更に、処理システム32に接続される電極構造体20は、ある期間にわたって発生する複数の固有の活性パターンを感知し得る。処理システム32は、特定の心臓位置において発生する各固有の信号パターンを区別及びカテゴリ化することができ得る。加えて、処理システム32は、特定の期間にわたって、特定の心臓位置における各固有の信号パターン発生を判定することができ得る。したがって、所与の位置における各固有の信号パターンの「周波数」又は普及度は、特定の期間にわたる各固有の信号パターンの発生の数で除することによって計算され得る。固有の信号パターンの周波数は、心室内の任意の数の位置において感知される固有の信号パターンに対して計算され得る。更に、サンプリングが発生する位置は、重複する場合があるか、又はしない場合があり、多電極構造体20が電気的活性を収集する(すなわち、サンプリングする)期間は、複数の心臓位置にわたって同じ若しくは異なり得る。しかしながら、サンプリングが発生する期間は、固有の信号パターンの普及度を構築するために十分に長くあり得るが、電気的活性を細胞活性化配列にわたって安定していると見なすことができるように、十分に短くあり得る。例示的な期間としては、1〜2分、1〜5分、1〜10分、5〜10分、又は5〜20分が挙げられ得る。
【0106】
計算された周波数は、標的領域(すなわち、心室)内の複数のサンプリング位置にわたって比較され得る。例えば、多電極構造体20は、第1の位置において心室に配置され得、第1の期間、データを感知し得る。感知された活性化信号は、収集された、カテゴリ化された固有の信号パターン(例えば、第1の位置において収集及び特徴付けられる)であり得、周波数が計算され得る。次いで、多電極構造体20は、第2の位置において心室内に配置され得、第2の期間、データを感知し得る。第2の位置は、第1の位置と重複する場合があるか、又はしない場合がある。第1の期間は、第2の期間と同じである場合があるか、又は同じではない場合がある。感知された活性化信号は、固有の信号パターンとして収集され、カテゴリ化され得(例えば、第2の位置において収集及び特徴付けられる)、周波数が計算され得る。第1の位置において計算される周波数は、第2の位置において計算される周波数と比較され得る。
【0107】
本開示の目的上、同じ若しくはほぼ同じ周波数で発生する固有の信号パターンは、同じ活性化信号の一部であることが想定される。更に、第1の位置における固有の信号パターンは、それらのそれぞれの周波数の類似性に基づいて、第2の位置における固有の信号パターンと一致され得る。周波数の類似性は、「類似の」周波数が相関閾値内にあるかどうかを判定することによって評価され得る。相関値を使用して、標的周波数と「一致している」と見なされ得る周波数の範囲を計算することができる。相関値は、数値割合(%)であり得る。例えば、相関値は、10%(例えば、約10%以下以内)に設定され得る。したがって、第1の位置における50の例示的な周波数は、別の位置における45〜55の別の例示的な周波数に一致していると見なされ得る。10%の相関値が好適であり得るが、これは、制限するようには意図されていない。約25〜20%、又は約1〜20%、又は約2〜10%、又は約2〜20%、又は約5〜10%、又は約20%以下以内、又は約15%以下以内、又は約10%以下以内、又は約5%以下以内等の他の相関値が利用されてもよい。
【0108】
第1の位置からの周波数と第2の位置からの周波数を一致させた後、これらの周波数に相関する対応する固有の信号パターンが一致され得る。更に、心室内の複数の位置からの固有の信号パターンが感知され、他の固有の信号パターンと比較され(それらのそれぞれの周波数に基づいて)、「類似の周波数」の固有の信号パターンと一致され得る。固有の信号パターンの感知、比較、及び一致は、心室のスパン全体にわたって発生し得る。例えば、複数の位置は、左若しくは右心房又は心室全体にわたる位置を含み得る。更に、心室にわたるいくつかの局所領域からの高解像度データの「類似の周波数」の固有の信号パターンの一致は、心室全体からの細胞活性の高解像度グローバル活性化マップを生成し得る。
【0109】
様々なアルゴリズム、動作、論理ルール、プロセス、及び/又は演算を利用して、複数の位置から計算される周波数を比較することができることが理解され得る。記載されるように、一例は、固有の信号パターンが領域にわたって一致されるべきかどうかを定義する閾値相関値を特定することを含み得る。更に、その相関値を有する周波数が見つけられない場合、ある領域からの固有の信号パターンの「対」が合計され、他の領域からの他の固有の信号パターンの周波数と比較され得る。処理システム32は、反復プロセスを実装し得、ここでは、一致した信号パターンが一致プロセスから排除され、残りの周波数が同じ又は異なる相関値に基づいて比較される。
【0110】
別の実施形態において、第1の組の信号からの第1の信号を第2の組の信号からの第2の信号と一致させて、心室内の局所領域から収集される電気的活性化データの高解像度マップを生成することは、固有の信号パターンの視覚的表示を整合させることによって一致させることを含み得る。例えば、図4は、3つの例示的なベクトル場マップ60、62、64にわたって延在する、概略的な主回転子信号パターン61を図示する。様々な視覚的表示としては、等高線マップ、等時線、活性化電位表示、及び/又は位相マップが挙げられ得るが、これらに限定されないことが理解され得る。固有の信号パターンは、利用されている特定のパターンに固有の特定の特性に基づいて整合され得る。例えば、図4は、ベクトル場マップ60から交点66をわたってベクトル場マップ62内に延在する、ベクトル68の概略的な視覚的表示を図示する。ベクトル68は、心臓内の特定の位置において、電極によって感知される、例示的な細胞波面伝播の規模及び方向を表す。図4は、「視覚的表示」が、ディスプレイ上で具体的なピクセル又は視覚的成分によって表され得ることを更に図示する。ピクセル及び/又は視覚的成分は、ベクトルが交点66をわたって延在するときに整合され得る。更に、図4は、ベクトル場マップが、固有の信号パターン(例えば、主回転子パターン)を視覚的に表す、1つ又は2つ以上のベクトルを含み得ることを図示する。したがって、いくつかの視覚的特性の整合は、固有の信号パターンの視覚的表示を正確に整合させるために利用され得ることが理解され得る。また、固有の信号パターンは、1つ又は2つ以上の視覚的表示にわたって延在し得、1つ又は2つ以上の交点にわたって整合され得ることも理解され得る。
【0111】
少なくとも一部の実施形態において、固有の信号パターンは、重複し得る。固有の信号パターンを整合させる一方法は、信号パターンの重複領域を特定することであり得る。重複領域は、ピクセル領域、視覚的インジケータ、照明エリア、表示要素、画像要素、又は視覚的表示(例えば、ベクトル場表示)の重複した部分を整合させることによって、固有の信号パターンが整合されることを可能にする、類似の視覚的特性を含み得る。また、固有の信号パターン特性(例えば、ベクトル矢印)が、連続した様式で整合され得る(例えば、隣接して位置付けられるときに、交点をわたって延在する)か、重複構成に位置付けられるとき、特性の同一要素を重複させることによって整合され得るか、又は連続した様式及び重複した様式の両方で整合され得ることも企図される。
【0112】
別の実施形態において、固有の信号パターンは、重複しない場合がある。重複しない固有の信号パターンを整合させる一方法は、パターンが互いに隣接して位置付けられる領域を特定することを含み得る。パターンが互いに隣接する領域は、ピクセル領域、視覚的インジケータ、照明エリア、表示要素、画像要素、又は視覚的表示(例えば、ベクトル場表示)の重複した部分を整合させることによって、固有の信号パターンが整合されることを可能にする、類似の視覚的特性を含み得る。更に、重複しない固有の信号パターンを整合させることは、活性勾配を一致させることを含み得る。活性勾配を一致させることは、パターンが互いに隣接する領域(例えば、ピクセル領域)における伝播の方向を含み得る。活性勾配を判定することは、伝播の方向を得ることを含み得る。伝播の方向は、時間微分を使用して判定され得る。
【0113】
第1の組の信号からの第1の信号を第2の組の信号からの第2の信号と一致させて、心室内の局所領域から収集される電気的活性化データの高解像度マップを生成することは、固有の信号パターンを1つ又は2つ以上のグローバルテンプレートパターンと比較することを含み得る。例示的なグローバルテンプレートパターンとしては、発散場、渦場、又は層流場パターンが挙げられ得るが、これらに限定されない。グローバルテンプレートパターンは、処理システム32によって特定及び記憶され得る。しかしながら、グローバルシグネチャパターンは、処理システム32と接続及び/又は関連付けられていない場合がある他の媒体において、記憶、アクセス、処理、取り出し、及び/又は利用され得ることが企図される。固有の信号パターンが多電極構造体20によって感知された後、固有の信号パターンは、例示的な第1のグローバルテンプレートパターン又はパターンの組と比較され得る。少なくとも一部の実施形態において、グローバルテンプレートは、既定のもの、又はそうでなければ臨床医に既知のものであってもよい。グローバルテンプレートパターンに対する固有の信号パターンの類似性は、グローバルテンプレートパターンの投影に基づき得る。次いで、固有の信号パターンは、残りのグローバルテンプレートパターンと反復的に比較され得る。
【0114】
第1の組の信号からの第1の信号を第2の組の信号からの第2の信号と一致させて、心室内の局所領域から収集される電気的活性化データの高解像度マップを生成することは、領域における特定の活性化パターンが所与の期間にわたって発生する周波数に従って一致させること、1つ又は2つ以上のグローバルテンプレートパターンに対する固有の信号パターンによって一致させること、及び/又は固有の信号パターンの視覚的表示を整合させることによって一致させることの任意の組み合わせを含み得る。例えば、固有の信号パターンの周波数は、パターンの視覚的表示を整合させることによって、固有の信号パターンを最初に一致させた後に計算され得る。整合によって一致させた後に周波数を計算することは、整合による一致のあるレベルの「信頼性」を確立し得る。同様に、固有の信号パターンの周波数は、固有の信号パターンを1つ又は2つ以上のグローバルテンプレートパターンと比較することによって最初に一致される固有の信号パターンに対して、あるレベルの「信頼性」を確立するように計算され得る。
【0115】
別の実施形態において、局部的な解剖学的フィンガープリントが生成されてもよい。局所心臓領域の局部的なフィンガープリントは、後に、全心臓領域マップの再構築の際に使用されてもよい。フィンガープリンティングは、マッピングのために標的化される基礎的な生体構造を記録することを含む。例示的な工程は、各領域のインピーダンスマップを生成することを含み得る。別の例示的な工程は、各領域の等高線マップを生成することを含み得る。
【0116】
別の実施形態において、データを感知及び収集するための期間(例えば、サンプリング継続時間)は、固有の信号パターンがそれ自体繰り返すまで延長され得る。期間はまた、最大閾値を含み得る。
【0117】
別の実施形態において、グローバル心房活性を使用して、固有の信号パターンを一致させることができる。例えば、p波形態は、心臓領域マップを構築するために一致し得る活性化信号を特定するように、一連の心拍にわたって比較され得る。更に、p波形態のタイミングを用いて、心臓領域マップを構築することができる。
【0118】
別の実施形態において、いくつかのより小さい高解像度伝播マップを組み合わせることは、高解像度細胞波面伝播マップを生成し得る。図5は、3×3の電極分布において配設される9つの電極72の方向において伝播する概略的な細胞活性化波面を図示する。各電極の3次元座標は、磁気及び/又はインピーダンスに基づく感知システムを使用して感知され得る。図5における電極構成は、コンステレーションカテーテル、バスケット構造体、又は類似の感知デバイス上に配設される9つの電極を表し得る。図5は、概して、9つの電極72に向かって移動する、波面70による細胞発火の方向を図示する。任意の電極下にある細胞が、電気膜電位の変化に応答して、脱分極する際に、電極は、「活性化事象」、すなわち、細胞の静止状態電位に対する電位の変化を「感知」し得る。更に、電極は、電位データの変化を収集し、信号をディスプレイ40に出力し得る処理システム32に送信し得る。同様に、隣接する細胞が、隣接する細胞の電位の変化に応答して発火する場合、波面は、隣接する電極に伝播し得る。次いで、隣接する電極は、類似の様式で電位の変化を感知し得る。任意の電極間の細胞発火の電位の変化の感知間の時間差は、それらの電極間のレイテンシ時間間隔として特徴付けられる。レイテンシ時間間隔を使用して、波面伝播の方向を計算することができる。更に、上で示されるように、波面伝播の方向は、例えば、ベクトル場パターン上のベクトルとして視覚的に表示され得る。
【0119】
図5Aは、9つの電極分布72における中央電極上に位置する概略的なベクトル74を図示する。上で示されるように、ベクトル矢印74の規模及び方向は、中央電極と周辺電極との間のレイテンシ時間間隔を計算することによって判定され得る。更に、レイテンシ時間間隔を使用して、全ての9つの電極にわたる活性化波面70の伝播の「主」方向を計算することができる。主方向電極は、それが9つの電極分布72の集合体上を通過する際に、波面伝播の一般方向を表し得る。一部の実施形態において、主方向は、矢印又は表示として表され得る。任意の数及び構成の電極分布が可能であることが企図される。更に、主方向を計算するために利用される電極は、互いに隣接してもよいか、又はしなくてもよい。ベクトル74は、波面72の伝播の主方向を表し得る。図5Aに図示されるように、ベクトル74を表すために使用される矢印は、ある長さ及び濃さを有する。長さ及び/又は濃さは、処理システム32が主方向ベクトルを計算した「信頼性」に相関し得る。更に、「信頼性」は、ある期間にわたってその特定の方向において発生する細胞活性化の総数に直接比例し得る。例えば、図5Bに図示されるように、視覚的表示上の主方向を表す矢印78は、主方向において感知される活性化の数の増加に応答して、長くなり得る。図5Cは、ベクトル矢印78が、主方向において感知される活性化の数の増加に応答して、広くなる又は濃くなる、別の実施形態を図示する。任意の視覚的表示の任意の属性(例えば、ベクトル矢印)が、あるレベルの信頼性を反映するように変更され得る(例えば、色、形状、透明性)ことが企図される。主方向表示の計算値は、心室内の多くのサンプリング位置で生成され得る。サンプリング位置は、重複し得る。重複するサンプリング位置からの情報を分析することは、信頼性レベルの増加を提供し得る。局所的な主方向表示は、全心室の高解像度伝播マップを生成するように組み合され得る。
【0120】
本開示は、多くの点において、例示的であるに過ぎないことが理解されるべきである。本開示の範囲を超えることなく、詳細、特に、形状、サイズ、及び工程の配設に関して、変更が行われ得る。これは、適切な範囲で、他の実施形態において使用されている1つの例示的な実施形態の特性のうちのいずれかの使用を含み得る。本発明の範囲は、当然のことながら、添付の特許請求の範囲が明示される言語において定義される。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C