特許第6203952号(P6203952)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203952
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】物体の軸支持装置
(51)【国際特許分類】
   E05D 7/10 20060101AFI20170914BHJP
   E05D 7/081 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   E05D7/10
   E05D7/081
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-524608(P2016-524608)
(86)(22)【出願日】2015年10月22日
(86)【国際出願番号】JP2015079846
(87)【国際公開番号】WO2016068018
(87)【国際公開日】20160506
【審査請求日】2016年5月2日
(31)【優先権主張番号】特願2014-219088(P2014-219088)
(32)【優先日】2014年10月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000107572
【氏名又は名称】スガツネ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064469
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 新一
(74)【代理人】
【識別番号】100099612
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100073450
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 英俊
(72)【発明者】
【氏名】菅佐原 純
(72)【発明者】
【氏名】安斎 忠志
【審査官】 村田 泰利
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第02487648(US,A)
【文献】 実公平06−027733(JP,Y2)
【文献】 特許第4212705(JP,B2)
【文献】 特開平11−137805(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 1/00−9/00
E05B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被支持物体の支持軸を支持すべき枠体の内面に相対して取り付けられる1対の支持具から成り、各支持具は、支持具本体と、前記支持具本体に設けられ前記被支持物体の支持軸が係入する係入孔を有して前記被支持物体の支持軸を受け止める受け座と、前記支持具本体に取り付けられ前記受け座に受け止められた前記支持軸を抜け止めする抜け止め部材とを含む物体の軸支持装置において、
前記抜け止め部材は、前記支持具本体に支持されて前記受け座に受け止められた支持軸を抜け止めする位置と前記抜け止め位置から外れる位置との間を変位自在である抜け止めアームから成り、且つ前記抜け止めアームを前記支持軸の抜け止め位置から外して前記支持具本体に仮止めする仮止め手段を更に備え、前記抜け止めアームに一体的に可動するように設けられて前記被支持物体の支持軸を取り外す際に前記支持軸によって押されて前記抜け止めアームの仮止め状態を解消する仮止め解除アームを備えていること
を特徴とする物体の軸支持装置。
【請求項2】
請求項1に記載の物体の軸支持装置であって、
前記抜け止め部材は、前記支持具本体に搖動自在に支持されていること
を特徴とする物体の軸支持装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の物体の軸支持装置であって、
前記仮止め解除アームは、前記抜け止めアームの両側に設けられていること
を特徴とする物体の軸支持装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の物体の軸支持装置であって、
前記抜け止めアームの抜け止め位置は、前記抜け止めアームの自重で維持されていること
を特徴とする物体の軸支持装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかに記載の物体の軸支持装置であって、
前記抜け止めアームの抜け止め位置は、前記抜け止めアームの一部に取り付けられて前記抜け止めアームに係合するばねで維持されていること
を特徴とする物体の軸支持装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の物体の軸支持装置であって、
前記仮止め手段は、前記抜け止めアームに設けられた仮止め突起と、前記支持具本体に設けられて前記仮止め突起が係入する仮止め孔又は仮止め凹部から成っていること
を特徴とする物体の軸支持装置。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれかに記載の物体の軸支持装置であって、
前記仮止め手段は、前記支持具本体に設けられた仮止め突起と、前記抜け止めアームに設けられて前記仮止め突起が係入する仮止め凹部又は仮止め孔から成っていること
を特徴とする物体の軸支持装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の物体の軸支持装置であって、
前記支持具本体と受け座とは、前記受け座が前記支持具本体の内面より前記被支持物体側に突出するように、一枚の金属板を曲げ加工して一体に形成すること
を特徴とする物体の軸支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、欄間扉、回転窓の如き被支持物体の軸を支持する装置に関し、更に詳細に述べると、被支持物体の軸を取外し自在に支持する装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
回転扉又は回転窓の如き被支持物体の軸を枠体に取外し自在に支持する種々の装置が用いられており、その1つが特許文献1(実公平4-39977号公報)に開示されている。
【0003】
この特許文献1に開示された物体の軸支持装置は、枠体Fの内面に相対して取り付けられた1対の支持具5から成り、各支持具5は、被支持物体(特許文献1では障子枠Mと称されている)の支持軸3(特許文献1では単に軸3と称されている)が係入する縦長の係入孔8(特許文献1では縦長孔8と称されている)を有し、この係入孔8の下半部を共有し物体の支持軸3を受け入れて物体を支持するように被支持物体に向けて突出する段状受け部7(特許文献1では支持壁7と称されている)と、支持具5の裏側に取り付けられて係入孔8内を延び且つ段状受け部7の裏側に係止する係止片19を有し、段状受け部7に受け入れられた支持軸3に掛け止めされて支持軸3を抜け止めする板ばね(抜け止め部材)9を含んでいる。
【0004】
しかし、この特許文献1に記載の物体の軸支持装置は、被支持物体Mを枠体Fから取り外すためには、1対の支持具5の抜け止め用板ばねを掛止め位置から外した状態で被支持物体Mを取り外さなければならないので、抜け止め用板ばねを非掛止め状態に手で維持する作業者と支持物体Mを取り外す作業者との少なくとも二人の作業者を必要とし、作業性が低い欠点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、被支持物体の抜け止めを解除する作業と被支持物体を取り外す作業とを一人の作業者で容易に行うことができる物体の軸支持装置を供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題解決手段は、被支持物体の支持軸を支持すべき枠体の内面に相対して取り付けられる1対の支持具から成り、各支持具は、支持具本体と、前記支持具本体に設けられ前記被支持物体の支持軸が係入する係入孔を有して前記被支持物体の支持軸を受け止める受け座と、前記支持具本体に取り付けられ前記受け座に受け止められた前記支持軸を抜け止めする抜け止め部材とを含む物体の軸支持装置において、前記抜け止め部材は、前記支持具本体に支持されて前記受け座に受け止められた支持軸を抜け止めする位置と前記抜け止め位置から外れる位置との間を変位自在である抜け止めアームから成り、且つ前記抜け止めアームを前記支持軸の抜け止め位置から外して前記支持具本体に仮止めする仮止め手段を更に備えていることを特徴とする物体の軸支持装置を提供することにある。
【0007】
本発明の課題解決手段において、抜け止めアームの抜け止め位置は、前記抜け止めアームを支持具本体に搖動自在に支持してその自重で維持されてもよいし、前記抜け止めアームを前記支持具本体に搖動自在又は摺動自在に支持して前記抜け止めアームに係合するばねで維持されていてもよい。
【0008】
本発明の課題解決手段において、前記仮止め手段は、前記抜け止めアーム設けられて前記支持具本体の仮止め孔に係入する突起から成っている形態とすることができるが、逆に、前記抜け止めアームが抜け止め位置から外れた位置に相応して前記抜け止めアームに設けられた仮止め凹部に係入する仮止め突起を前記支持具本体に設けてもよい。
【0009】
本発明の課題解決手段において、前記抜け止めアームに一体的に可動するように設けられて前記被支持物体の支持軸を取り外す際に前記支持軸によって押されて前記抜け止めアームの仮止め状態を解消する仮止め解除アームを備えているのが好ましい。この場合、解除アームは、抜け止めアームの両側に対称的に設けることができる。
【0010】
本発明の課題解決手段において、前記受け具本体と受け座とは、前記受け座が前記支持具本体の内面より前記被支持物体側に突出するように、一枚の金属板を曲げ加工して一体に形成することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、抜け止め部材が通常では自重又はばね付勢で抜け止めアームが受け座内に受け止められた物体の支持軸を抜け止めする位置にあるが、被支持物体を取り外す際には、抜け止めアームを自重又はばね付勢に抗して支持具本体に仮止めすることができるので、一人の作業者が抜け止めアームを抜け止め位置から外すように仮止めして被支持物体を取り外すことができ、従って複数の作業者が携わることなく、被支持物体を高い作業性で取り外すことができる。
【0012】
また、本発明において、抜け止めアームに一体に更に仮止め解除アームを設けると、被支持物体を受け座から抜き取って取り外す際に、支持軸に押されて仮止め解除アームが抜け止めアームを仮止め位置から外すことができるので、抜け止めアームは、元の抜け止め位置に自動的に戻ることができ、被支持物体を再度取付ける際に、抜け止めアームを仮止め位置から解放する作業を必要とすることなく、被支持物体を抜け止めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施の形態による物体の軸支持装置に用いられる一つの支持具を示し、同図(A)乃至(D)は、それぞれ、その正面図、右側面図、斜視図及び同図(A)のD−D線断面図である。
図2図1の支持具の分解斜視図であり、同図(A)は、正面側から見た斜視図、同図(B)は、背面側から見た斜視図である。
図3】被支持物体に取り付けられる支持軸組立体を示し、同図(A)乃至(G)は、それぞれ、その正面図、背面図、左側面図、上面図、正面から見た斜視図、背面から見た斜視図、図(A)のG−G断面図である。
図4図3の支持軸組立体の分解斜視図である。
図5】同図(A)乃至(D)は、図1の支持具に図3の支持組立体の支持軸を支持する作業を順次示す正面図である。
図6】同図(A)乃至(C)は、図1の支持具に支持されている図3の支持軸組立体の支持軸を支持具から取外す作業を順次示す正面図、同図(D)は、同図(A)のD−D線断面図である。
図7】本発明の異なる実施の形態による物体の軸支持装置に用いられる一つの支持具を示し、同図(A)乃至(C)は、それぞれ、その正面図、右側面図、左側面図、同図(D)は、同図(A)のD−D線拡大断面図である。
図8】同図、(A)(B)は、それぞれ、図7の支持具の正面側から見た分解斜視図及び背面側から見た分解斜視図である。
図9】同図(A)乃至(D)は、図7の支持具に図3の支持組立体の支持軸を支持する作業を順次示す正面図である。
図10】同図(A)乃至(C)は、図7の支持具に支持されている図3の支持軸組立体の支持軸を支持具から取外す作業を順次を示す正面図である。
図11】本発明の物体の軸支持装置を欄間扉の支持に使用した状態を示し、同図(A)(B)は、それぞれ、欄間扉が閉じた状態と開いた状態の斜視図、同図(C)は、欄間扉が閉じた状態の斜視図、同図(D)は、欄間扉を三方枠から取り外した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に述べるが、本発明の物体の軸支持装置10は、一例として、図11に示すように、三方枠1に取り付けられた主扉2の上方に取り付けられる欄間扉3を三方枠1に支持するのに用いられる。従って、この例では、三方枠1が物体支持用の枠体Fであり、欄間扉3が被支持物体Mである。
【0015】
本発明の物体の軸支持装置10は、被支持物体Mである欄間扉3の支持軸3Sを支持すべき枠体Fである三方枠1の内面に相対して取り付けられる1対の支持具20から成っている。各支持具20は、図1乃至図4に示すように、縦長の支持具本体30と、支持具本体30に一体に設けられ係入孔40Hを有して被支持物体の後に述べる支持軸3Sを係入して受け止める受け座40と、支持具本体30に取り付けられ受け座40に受け止められた支持軸3Sを抜け止めする抜け止め部材50とを備えている。図示の形態では、後に述べるように、支持軸3Sは、受け座40の係入孔40H内で回転することがないように、略矩形状を有しており、係入孔40Hもこの支持軸3Sに相応して略矩形状を有している。
【0016】
支持具本体30は、図示の形態では、金属帯板(ストラップ)から形成され、その上下の取付け片30PU、30PLに、受け具本体30を三方枠1の内面にねじ止めすべきねじ貫通孔32U、32Lをそれぞれ有する。
【0017】
受け座40は、図1(B)及び図1(D)から解るように、支持具本体30を曲げ加工して支持具本体30の内面(正面)より被支持物体側に突出するように形成されている。図1(B)及び図1(D)から解るように、この受け座40が支持具本体30の内面(正面)から突出する量は、後に述べる抜け止め部材50の厚みにほぼ相応している。
【0018】
係入孔40Hは、図1(C)(D)から解るように、この係入孔40H内に係入された支持軸3Sを受け止める底40HBを有する(図5(D)参照)。
【0019】
抜け止め部材50は、搖動軸52Sによって支持具本体30の前面に搖動自在に支持されて通常では自重で受け座40に受け止められた支持軸3Sに対向して支持軸3Sを抜け止めする位置P1(図5(D)参照)にある抜け止めアーム52から成っている。なお、図2(A)(B)において符号52SHは、支持具本体30に設けられて搖動軸52Sを支持する軸支持孔である。
【0020】
本発明の物体の軸支持装置10は、抜け止めアーム52を支持軸3Sに対向して支持軸3Sを抜け止めする位置P1から外れる位置P2(後に述べる図6(A)参照)に仮止めする仮止め手段60を含んでいる。
【0021】
図示の形態では、仮止め手段60は、抜け止めアーム52の背面に設けられて支持具本体30の仮止め孔62に係入する仮止め突起64から成っている(図2(B)及び図6(D)参照)。仮止め突起64が支持軸3Sを受け座40に受け止める際に支持具本体30に干渉しないように、支持具本体30は、突起64が遊動するように係入する円弧状の逃げ孔66を有する。
【0022】
仮止め手段60は、また、抜け止めアーム52に一体に設けられて被支持物体Mの支持軸3Sを受け座40から取り外す際に、被支持物体Mの支持軸3Sによって押されて抜け止めアーム52の仮止め状態を解消する仮止め解除アーム68を更に備えている。図1(A)(C)、図2(A)(B)に示すように、仮止め解除アーム68は、自重により抜け止めアーム52が支持軸3を抜け止めする位置P1に維持する場合にバランスをとるために、抜け止めアーム52の両側に対称的に設けられているのが好ましいが、抜け止めアーム52の片側にのみ設けられていてもよい。その理由は、後に述べる。
【0023】
図示の形態では、受け具本体30と受け座40とは、一枚の金属板を曲げ加工して一体に形成されている。
【0024】
被支持物体Mの支持軸3Sを含む支持軸組立体70が図3及び図4に示されており、この支持軸組立体70は、被支持物体の側面に取り付けるべき2つのねじ貫通孔72Hを両端に有する基体72と、この基体72の中心孔72CH(図4参照)を貫通する支持軸3Sと、支持軸3Sを基体72に相対的に回転自在に取り付ける軸取付け部73とから成っている。図示の形態では、軸取付け部73は、基体72の前後で支持軸3Sの貫通小軸3SSに支持された前後の摩擦板73FF、73BFと、後部摩擦板73BFの後方に設けられたワッシャ73Wと、皿ばね73DSと,押え板73Pとから成っており、貫通小軸3SSを押え板73Pにかしめて支持軸3Sを基体72に組み付けて支持軸組立体70を形成している。この支持軸組立体70は、基体72のねじ貫通孔72Hを貫通するねじを被支持物体Mの両側面にねじ込んで被支持物体Mに取り付けられる。
【0025】
次に、本発明の上記の実施の形態による物体の軸支持装置10を用いて被支持物体Mを枠体Fに支持したり、取り外したりする操作を図5及び図6を参照して述べる。
【0026】
まず、物体Mを枠体Fに支持する作業を述べると、物体Mの両側に支持軸3Sを含む1対の支持軸組立体70を取り付けるが、これは、各支持軸組立体70の基体72の両端のねじ貫通孔72Hにねじを貫通し、これらのねじを物体Mの側面にねじ込んで行われる。この場合、支持軸3Sのみが物体Mの表面から突出するように、基体72を物体Mのへこみに埋め込んで支持軸組立体70を取り付けるのが好ましい。一方、枠体Fの相対する内面には1対の支持具20を取り付けるが、これは、支持具20の上下の取付け片30PU,30PLのねじ貫通孔32U、32Lにねじを貫通し、これらのねじを枠体Fの内面にねじ込んで行われる。この場合、受け座40のみが枠体Fの表面から突出するように、上下の取付け片30PU、30PLを枠体Fのへこみに埋め込んで受け具20を取り付けるのが好ましい。
【0027】
このようにして、1対の支持軸組立体70が取り付けられた物体Mを1対の受け具20が取り付けられた枠体Fに支持する操作を述べると、図11(D)、図5(A)乃至図5(C)に示すように、物体Mの1対の支持軸3Sを枠体Fの1対の受け具20の受け座40の上縁に沿って受け具20内に挿入する。このようにすると、抜け止め部材50である抜け止めアーム52が支持軸3Sに押されて自重に抗して搖動し、受け座40の係入孔40Hに対向する位置から外しつつ、支持軸3Sが受け座40の係入孔40H内に係入して受け座40内に受け止められる。支持軸3Sが受け座40内に完全に入り込んで受け止められると、抜け止めアーム52は、その自重で支持軸3Sを抜け止めする抜け止め位置P1に戻ってその位置に維持される(図5(D)参照)。従って、物体M(欄間扉3)は、図11(B)(C)に示すように、枠体F(三方枠1)に軸支され、被支持物体Mは、支持具20に回転不能に支持された支持軸3Sを中心にして枠体F(三方枠1)に対して回転自在に支持されることになる。被支持物体Mは、支持軸組立体70の軸取付け部73の皿ばね73DSに抗して支持軸3Sを中心に回動することができる(図11(B)参照)。
【0028】
次に、物体Mを枠体Fから取り外す作業は、図6(A)(D)に示すように、まず、抜け止めアーム52が抜け止め位置P1から外れるように、抜け止めアーム52を手で図6の時計方向に搖動し、その仮止め突起64を仮止め孔62に弾性的に係入して抜け止めアーム52を抜け止め状態から外れた仮止め位置P2に維持する。従って、作業者は、抜け止めアーム52から手を離しても、抜け止めアーム52は、抜け止め位置P1に戻ることはない。この状態で、作業者は、被支持物体Mを持ち上げ支持軸3Sを受け座40の係入孔40Hから抜き出し(図6(B)参照)、その後、物体Mを水平に引き出して物体Mを枠体Fから完全に取り外すことができる(図6(C)参照)。
【0029】
また、この物体Mの取り外し作業中、物体Mの支持軸3Sは、受け座40の係入孔40Hから外れる際に、仮止め解除アーム68を図6(B)から図6(C)に反時計方向に押すので、仮止め突起64が仮止め孔62から強制的に外されて逃げ孔66に戻される。従って、抜け止めアーム52は、仮止め状態が解除され、再び自重で抜け止め位置P1に戻ることができる図5(A)の状態となる。
【0030】
図1図5及び図6の実施の形態において、仮止め突起64が弾性的に係入する仮止め孔62が逃げ孔66の両側に設けられ、また仮止め解除アーム68も抜け止めアーム52の両側に設けられている。このような構造にすると、1対の受け具20に対して物体Mの支持軸3Sを図5の右側から挿入して枠体Fに支持する場合だけでなく、図5の左側から挿入して枠体Fに支持する場合にも、同じ構造の受け具を使用することができるので便宜であるが、一方の仮止め孔62及び相応する一方の仮止め解除アーム68を削除してもよい。
【0031】
本発明の他の実施の形態による物体の軸支持装置10が図7及び図8に示されている。この実施の形態では、抜け止めアーム52は、自重ではなく、巻ばね54によって抜け止め位置P1に保持するようにしている。巻ばね54は、搖動軸52Sに巻き付けられ、その一端は、受け座40の背面に係止され、他端は、仮止めアーム52に係止している。
【0032】
また、仮止め手段60は、仮止め突起64に弾性的に係入する1つだけの仮止め孔62を有し、それに伴って、1つの仮止め解除アーム68を有する。抜け止めアーム52の抜け止め位置P1では、仮止め突起64は、逃げ孔66の一端に衝合して抜け止めアーム52の抜け止め位置P1を維持するストッパーの機能も有する。
【0033】
図7及び図8に示された第2の実施の形態による物体の軸支持装置10を用いて物体Mを枠体Fに支持したり、枠体Fから取り外したりする作業が図9及び図10に示されている。これらの作業は、図1の実施の形態と実質的に同じであるので、詳細な説明は、省略するが、第2の実施の形態では、抜け止めアーム52は、巻ばね54によって抜け止め位置P1に維持されるので、物体Mの支持軸3Sを枠体Fの受け具20に支持する場合には、この巻ばね54に抗して支持軸3Sを受け座40に取り込み、またこの抜け止めアーム52を抜け止め位置から外して仮止めする場合には、巻ばね54に抗して抜け止めアーム52を搖動しなければならないので、これらの作業に際しては、自重の場合に比べてばね抵抗が生じる点で第1の実施の形態と異なるが、その他の操作は、全く同じである。
【0034】
上記のように、本発明によれば、通常では自重又はばねで抜け止めアーム52は、受け座40内に受け止められた被支持物体Mの支持軸3Sを抜け止めする位置にあるが、被支持物体Mを取り外す際には、抜け止めアーム52を支持具本体30に抜け止め位置から外れた位置に仮止めすることができるので、一人の作業者で抜け止めアームの仮止めと被支持物体の取り外しとを行うことができ、従って複数の作業者が携わることなく、被支持物体を高い作業性で取り外すことができる。
【0035】
また、抜け止めアーム52に一体に移動する仮止め解除アーム68は、被支持物体Mを受け座40から抜き取って取り外す際に被支持物体Mの支持軸3Sに押されて抜け止めアーム52を仮止め位置から外すことができるので、抜け止めアーム52は、元の抜け止め位置に自動的に戻すことができる。
【0036】
なお、上記2つの実施の形態では、抜け止めアーム52は、支持具本体30に搖動自在に支持して変位するようにしたが、支持具本体のスロット又はレールに摺動自在支持して変位するようにしてもよい。また、仮止め手段70は、抜け止めアーム52の背面に設けられて支持具本体30の仮止め孔62に係入する仮止め突起64から成っているが、抜け止めアーム52が抜け止め位置から外れた位置に相応して抜け止めアーム52の背面に設けられた仮止め凹部に係入する仮止め突起を支持具本体側に設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明によれば、被支持物体の支持軸を枠体の受け具から抜け止めする抜け止め部材を抜け止め位置から外した後、作業者が手を離しても抜け止め位置から外れた状態を維持することができるので、一人の作業者で被支持物体を枠体から取り外すことができるため、物体の取り外しの作業性が向上し、高い産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0038】
1 三方枠
2 主扉
3 欄間扉
3S 支持軸
3SS 貫通小軸
F 枠体
M 被支持物体
10 物体の軸支持装置
20 1対の支持具
30 縦長の支持具本体
30PU、30PL 上下の取付け片
32U、32L ねじ貫通孔
40 受け座
40H 係入孔
40HB 係入孔の底
50 抜け止め部材
52 抜け止めアーム
52S 搖動軸
52SH 軸支持孔
54 巻ばね
60 仮止め手段
62 仮止め孔
64 仮止め突起
66 逃げ孔
68 仮止め解除アーム
70 支持軸3Sを含む支持軸組立体
72 基体
72H ねじ貫通孔
73 軸取付け部
73FF、73BF 前後の摩擦板
73W ワッシャ
73DS 皿ばね
73P 押え板
【先行技術文献】
【特許文献】
【0039】
【特許文献1】実公平4―39977号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11