(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203958
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】ツーパスボイラ構造を備える連続流動蒸気発生器
(51)【国際特許分類】
F22B 21/34 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
F22B21/34
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-532307(P2016-532307)
(86)(22)【出願日】2014年7月25日
(65)【公表番号】特表2016-529467(P2016-529467A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】EP2014066062
(87)【国際公開番号】WO2015018667
(87)【国際公開日】20150212
【審査請求日】2016年5月13日
(31)【優先権主張番号】102013215457.7
(32)【優先日】2013年8月6日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508008865
【氏名又は名称】シーメンス アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム・ブローデッサー
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・エファート
(72)【発明者】
【氏名】トビアス・シュルツェ
【審査官】
柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−327007(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0241859(US,A1)
【文献】
特公昭47−007804(JP,B1)
【文献】
特開平08−327006(JP,A)
【文献】
米国特許第06192837(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B 21/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼チャンバ(1)を有する連続流動蒸気発生器であって、
前記燃焼チャンバ(1)は、略矩形断面のものであり、かつ下方燃焼チャンバ領域(11)と上方燃焼チャンバ領域(12)とを有しており、
前記連続流動蒸気発生器は、前記上方燃焼チャンバ領域(12)からの排ガスが流入するように前記燃焼チャンバ(1)の下流に接続された水平ガス通路(2)を有しており、
前記連続流動蒸気発生器の第1の気密性の筐体壁(S)と、第2の気密性の筐体壁(F,R)と気体透過性の壁(N,G)とが、流動媒体が流動可能な相互溶着蒸気発生器チューブ(10)から全体的にあるいは部分的に形成され、かつ、
第1のコレクタ(31,33,34)および第2のコレクタ(32,35〜40)が、
平行接続された複数の蒸気発生器チューブからなるグループが前記第1の気密性の筐体壁(S)の第1の加熱面セグメント(H1,H2)と、
前記第2の気密性の筐体壁(F,R)および前記気体透過性の壁(N,G)の第2の加熱面セグメント(H9,H10)と、
前記上方燃焼チャンバ領域(12)の、前記第2の気密性の筐体壁に直交する、前記第1の気密性の筐体壁の第3の加熱面セグメント(H3〜H5)と、
前記水平ガス通路(2)の側方筐体壁の第4の加熱面セグメント(H6)と、から構成される前記蒸気発生器チューブに接続され、
前記第1のコレクタ(31,33,34)は、
前記下方燃焼チャンバ領域(11)の2つの平行な第1の筐体壁の前記第1の加熱面セグメント(H1,H2)からの流動媒体が、前記上方燃焼チャンバ領域(12)の前記第1の筐体壁に直交する、第2の筐体壁の前記第2の加熱面セグメント(H9,H10)からの流動媒体と混合できるように、
構成されかつ前記第2のコレクタ(32,35〜40)に接続されていることを特徴とする連続流動蒸気発生器。
【請求項2】
前記第1のコレクタ(31,33,34)は、前記下方燃焼チャンバ領域(11)の前記第1の気密性の筐体壁の角壁領域からなる加熱面セグメントからの流動媒体を、前記上方燃焼チャンバ領域(12)の前記第2の気密性の筐体壁または前記気体透過性の壁の中央壁領域に供給できかつ該中央壁領域で前記上方燃焼チャンバ領域(12)の前記第2の加熱面セグメント(H9,H10)からの流動媒体と混合できるように、接続されていることを特徴とする請求項1に記載の連続流動蒸気発生器。
【請求項3】
前記第1のコレクタ(31,33,34)は、前記下方燃焼チャンバ領域(11)の前記第1の気密性の筐体壁の中央壁領域からなる加熱面セグメントからの流動媒体を、前記上方燃焼チャンバ領域(12)の前記第2の気密性の筐体壁または前記気体透過性の壁の角壁領域に供給できかつ該角壁領域で前記上方燃焼チャンバ領域(12)の前記第2の加熱面セグメント(H9,H10)からの流動媒体と混合できるように、接続されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の連続流動蒸気発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲の請求項1のプリアンブルに記載の連続流動蒸気発生器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明は、具体的には発電所のための連続流動蒸気発生器(continuous flow steam generator)に関するものであり、この蒸気発生器は、略矩形断面の燃焼チャンバと、排ガス側において燃焼チャンバの下流に接続されるとともにさらなる垂直ガス通路に接続され得る水平ガス通路と、を有する。そうした構造は、ツーパスボイラ(two-pass boiler)とも呼ばれており、例えば特許文献1から公知となっている。なお、流動媒体が内部を流動可能な相互溶着蒸気発生器チューブが、連続流動蒸気発生器の気密
筐体壁と気体透過性火格子壁との両方を形成できる。蒸気発生器チューブに接続される対応して構成されるコレクタが、
筐体壁のうちの平行接続された複数の蒸気発生器チューブからなるグループから構成されるさまざまな加熱面セグメントを形成可能にする。原則として、連続流動蒸気発生器の蒸気発生器チューブは、その長さの一部または全体において垂直にかつ/またはらせん状つまりスパイラル形状の様式で構成可能である。さらに連続流動蒸気発生器は連続強制流動蒸気発生器の形態とされてもよい。
【0003】
特許文献2には、シングルパスボイラまたはタワーボイラと称される垂直配管を備える連続流動蒸気発生器が開示される。この場合、
筐体壁の配管は、下方セクションと上方セクションとに区分されており、これらセクションは流路コレクタによって互いに接続される。この流路コレクタは、さらなる手段を用いずに蒸気発生器チューブ間の完全な圧力均等化をもたらすが、一方で流動媒体の不完全な混合をもたらす。下方セクションにおける蒸気発生器チューブの流出温度における差異または流出エントロピーにおける差異は、流路コレクタでは部分的にしか補われず、そのため流動媒体は上方セクションにおける蒸気発生器チューブへ向けて前方へ誘導され部分的にしか混合されない。なお上方セクションの蒸気発生器チューブでは加熱が不均一となるため、蒸気発生器チューブ内の流動媒体の局所的な温度差が
筐体壁内でさらに大きくなることがあり、ある環境下ではこの温度差は許容できないほど大きな値に達することがある。この温度値が材料の基準温度を超える場合、あるいはこの高い温度値によって許容できないほど大きな材料応力が生じる場合に、
筐体壁が損傷に生じることがあり、こうした損傷は発電所の信頼性のある動作のために避けなければならない。
【0004】
そのため特許文献2には、上方セクションにおいて平行な蒸気発生器チューブを備える連続強制流動蒸気発生器に関して、蒸気発生器の全負荷での蒸気発生器チューブにおける平均質量流密度を1200kg/m
2s以下にならないように蒸気発生器チューブのための設計パラメータが選択されることが提案されている。しかしながら、流量分布の均一化およびこの方法によって実現される上方垂直配管における停滞の回避は、特定の状況下では、例えば13CrMo45(T12)などの従来の材料を使用できるようにある程度まで局所的に温度の不均衡を低減させるための手段としては十分ではない。そうした場合では、さらなる高合金材料が使用され得る。したがって、特に上方セクションにおける
筐体壁に関して、材料7CrWVMoNb9−6(T23)または7CrMoVTiB10−10(T24)が検討されるか使用される。これら材料の場合、連続流動蒸気発生器のひいては発電所全体の確実な作動について、溶着接続部の信頼性および耐久性にとりわけ注意を払う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2 182 278号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10 2010 038 885 号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は上述の欠点を解消する連続流動蒸気発生器を提供することである。この目的は特許請求の範囲の請求項1の特徴を有する連続流動蒸気発生器によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、排ガス側で燃焼チャンバの下流に接続された水平ガス通路を備えるツーパスボイラとして設計された連続流動蒸気発生器のために、蒸気発生器チューブの新規な接続構造が提案される。慣習的にそうしたツーパスボイラの場合、上方燃焼チャンバ領域において、前壁の蒸気発生器チューブと後壁の蒸気発生器チューブと側壁の蒸気発生器チューブとは平行に接続される。続いて後壁の蒸気発生器チューブは例えば後壁表面にわたって分配されており、その一部が、ノーズと水平ガス通路のベースと水平ガス通路の端部における火格子とを形成しており、かつ他の部分が、ノーズの下流では非加熱様式で延在しており、さらに上方では燃焼チャンバから水平ガス通路への移行部における火格子を形成する。新規な接続構造では、第1のコレクタが、下方燃焼チャンバ領域の2つの平行な第1の
筐体壁の第1の加熱面セグメントから蒸気発生器チューブを流動する流動媒体を、第1の
筐体壁に直交する第2の
筐体壁の第2の加熱面セグメントからの流動媒体に混合できるように、構成されかつ接続されており、それによって質量流密度が高まり温度の均一化が達成される。
【0008】
第2の
筐体壁が、前壁と、上方燃焼チャンバ領域の後壁とノーズと火格子とから形成される後壁アセンブリと、である場合に、あるいは第1の
筐体壁が下方燃焼チャンバ領域の2つの側壁である場合に、下方前壁および後壁の質量流と同様に2つの下方側壁の混合された質量流を使用できるため、上方前壁および後壁アセンブリのための配管冷却のために利用可能な質量流は大幅に増大する。より大きな質量流により、前壁および後壁アセンブリの加熱面セグメントの蒸気発生器チューブ内の質量流密度を高めることができ、それによって
筐体壁の冷却が向上される。さらに、加熱面セグメントに供給される熱は、流動媒体のより大きな質量流に起因して温度上昇をより少なくする。したがって具体的には上方燃焼チャンバ領域における
筐体壁、特に一般的に非常に高い熱吸収率を示すツーパスボイラの前壁において、より高い質量流密度に起因して流入温度の均一化を達成でき、ひいては作動の信頼性を大幅に高めることができる。
【0009】
本発明の好ましい改良案では、第2の通路コレクタおよび少なくとも1つの立下り管が、上方燃焼チャンバ領域の第2の
筐体壁からの流動媒体を上方燃焼チャンバ領域の
筐体壁の第3の加熱面セグメントに供給可能なように構成されかつ接続される。理想的には、上方前壁および水平ガス通路の端部における火格子の流出部において、流動媒体が対応するコレクタに回収されて、いずれの場合にも2つの立下り管を介して2つの上方側壁と燃焼チャンバ流出火格子と水平ガス通路の側壁との1つに供給される。
【0010】
ここで第1のコレクタは、下方燃焼チャンバ領域の第1の
筐体壁の角壁領域からなる加熱面セグメントからの流動媒体を、上方燃焼チャンバ領域の第2の
筐体壁の中央壁領域へ供給できかつ/または該領域で混合できるように接続されていることが好ましい。なお下方側壁の流出部において、縁部領域の比較的冷たい流動媒体を、上方前壁および後壁の比較的温度の高い中央領域に供給できる。側壁の中央からの比較的温かい流動媒体は、前壁および後壁の縁部領域の比較的冷たい領域の流動媒体に混合される。この混合は流動媒体の温度の均質化の向上をもたらす。
【0011】
それによって完全に、本発明によって特に上方前壁および後壁のための配管冷却に利用可能な質量流を大幅に増大させることができる。より大きな質量流によって、蒸気発生器チューブにおける質量流密度を高めることができ、冷却効果を向上できる。さらに流動媒体の質量流がより大きいため、2つの壁に供給された熱はより小さな温度上昇しかもたらさない。完全な混合は、前壁および後壁の流出部コレクタの下流および水平ガス通路の火格子の下における立下り管で行われると見なすことができる。上方側壁の流出部における加熱面の上流には温度不均衡が存在しないため、これは、平均流入部温度が前壁および後壁での熱吸収に起因して高められるにも関わらず、加熱面における加熱の不均衡の結果として、上方側壁の流出部において、蒸気発生器チューブの従来の接続構造に比べてより低い最大流出部温度しかもたらさない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に基づく連続流動蒸気発生器の例示的な実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本発明について図面に基づいて例示的に説明する。図面には、本発明に基づく連続流動蒸気発生器の実現可能な例示的な実施形態の側面図が概略的に示される。連続流動蒸気発生器は、下方燃焼チャンバ領域11と上方燃焼チャンバ領域12とを備える燃焼チャンバ1を有しており、水平ガス通路2が上方燃焼チャンバ領域12に接続される。水平ガス通路は続いて、追加的に図示されない垂直ガス通路に接続されてもよい。複数のバーナー(詳細には図示されない)が下方燃焼チャンバ領域11に設けられており、これらバーナーは、燃焼チャンバ1内の液体燃料、固形燃料または気体燃料を燃焼させる。燃焼によって生じた排ガスは続いて上方燃焼チャンバ領域12へ流動し、この上方燃焼チャンバ領域12から水平ガス通路2へ流入する。燃焼チャンバと水平ガス通路2との包囲壁は蒸気発生器チューブ10から形成されており、これらチューブ10は互いに気密様式で溶接されており、チューブ10には、より詳細には図示されないポンプを用いて、バーナーによって生じた排ガスによって加熱された流動媒体−通常は水−がポンプで送り込まれる。下方燃焼チャンバ領域11では、蒸気発生器チューブ10が、その長さの一部あるいは全体にわたって、垂直方向に方向付けられかつ/またはらせん状つまりスパイラル形状の様式で方向付けられてもよい。こうしたスパイラル形状構造では建造に関して比較的高い出費が要求されるが、その代わりに、平行接続された蒸気発生器チューブ間に生じる熱差が、単なる垂直配管を備える燃焼チャンバ1の場合と比べると比較的小さくなる。図示される連続流動蒸気発生器は、排ガスの誘導状態を向上させるために、後壁Rの蒸気発生器チューブから形成されるノーズNをさらに備える。ノーズNは燃焼チャンバ内に突出する。燃焼チャンバ壁の蒸気発生器チューブは蒸発器チューブとして設計される。流動媒体は該チューブ内で気化されて、燃焼チャンバの上端における流出部コレクタ32,36および40を介して、水分離システム5に供給される。水分離システム5では、依然として気化されていない水分が回収されて排出される。これは、蒸気発生器チューブの信頼性のある冷却に関して、チューブを流動媒体が流れる間に気化可能な流動媒体の流量に比べて送り込まれる流動媒体の流量がより大きいことが必要とされる場合に、特に始動工程中に必要である。そのようにして生じた蒸気は、連続流動蒸気発生器の天井を形成する下流過熱器チューブ7の流入部コレクタ6へ誘導される。
【0014】
これらコレクタは、慣習的に下方燃焼チャンバ11から上方燃焼チャンバ12への移行領域に配置されかつ接続されており、またこの場合は流路コレクタの形態のものである。こうしたコレクタは、下方燃焼チャンバ領域11および上方燃焼チャンバ領域12の蒸気発生器チューブ間の分離ポイントを形成する。それがまさに本発明が意図されるところである。本発明によれば、この分離ポイントにおいて、第1のコレクタ31,33および34が、下方燃焼チャンバ領域11の第1の包囲壁としての2つの平行な側壁Sの第1の加熱面セグメントH1およびH2からの流動媒体を、第2の包囲壁としての上方燃焼チャンバ領域12の前壁Fおよび後壁Rの第2の加熱面セグメントH9およびH10からの流動媒体と混合できるように、配置されかつ接続される構成が提供される。ここでは保証すべきことに、上方燃焼チャンバ領域12において、後壁Rの配管は、第1のコレクタ31の上方において、途切れることなくノーズNとして形成される領域へ移行しかつ続いて水平通路2の流出部において後続の火格子Gへ移行して、最終的に後壁アセンブリの加熱面セグメントH10をともに形成する。これは、下方燃焼チャンバ領域11の加熱面セグメントH7およびH8から流出した流動媒体が、該流動媒体と上方燃焼チャンバ領域12で混合される下方燃焼チャンバ領域11の側方加熱面セグメントH1およびH2からの付加的な流動媒体を含むこと、それゆえ上方燃焼チャンバ領域12では、前壁とR,NおよびGから形成される後壁アセンブリとからなる加熱面セグメントH9およびH10において、流動媒体の質量流量が高められる。発電施設の燃焼チャンバは矩形断面を有するため、前壁および後壁あるいは後壁アセンブリは、平行な側壁に対して直交するよう配置される。前壁および後壁あるいは後壁アセンブリは、さらに天井の壁と側壁とともに、燃焼チャンバと排ガス側で下流に接続された水平ガス通路との包囲壁を形成する。本発明の例示的な実施形態では、流出部コレクタの形態のコレクタ35および37が、上方燃焼チャンバ領域12の上端に設けられ、かついずれのコレクタ35および37も、平行な側壁Sの各側における1つの立下り管4に接続されており、それによって上方燃焼チャンバ領域12の第2の包囲壁Fからなる第2の加熱面セグメントH9からの流動媒体と、上方燃焼チャンバ領域12の後壁RのノーズNと水平ガス通路2の火格子Gとからなる第2の加熱面セグメントH10からの流動媒体とを、上方燃焼チャンバ領域12の側方包囲壁Sの第3の加熱面セグメントH3〜H5に供給でき、かつ/または水平ガス通路2の側方包囲壁の第4の加熱面セグメントH6に供給でき、かつ/または上方燃焼チャンバ領域12と水平ガス通路2との間の移行部に配置された燃焼チャンバ流出火格子ZGにコレクタ36’を介して供給できる。流動媒体は続いて、上述の加熱面セグメントを通って下から上へ流動し、コレクタ32,36および40で回収され、水分離システム5に供給される。
【0015】
図示される好ましい実施形態ではさらに、下方燃焼チャンバ領域11の角壁領域からなる加熱面セグメントH1の蒸気発生器チューブ10は、上方燃焼チャンバ領域12の前方包囲壁のおよび後方包囲壁アセンブリの中央壁領域(詳細には図示せず)からなる加熱面セグメントに、流路コレクタ31および33を用いて接続される。対応して、下方燃焼チャンバ領域11の中央壁領域からなる加熱面セグメントH2の蒸気発生器チューブ10は、上方燃焼チャンバ領域12の前方包囲壁のおよび上方後壁アセンブリの角壁領域からなる加熱面セグメントにコレクタ31および34を用いて接続される。前壁Fおよび後壁あるいは上方燃焼チャンバ領域12の後壁Rの一部とノーズNと火格子Gとから形成される後壁アセンブリの区分けは、図面には側面が図示されるため図示されていないが、対応する加熱面セグメントとなるように図示された側壁の区分けと同様に実現され得る。
【0016】
蒸気発生器チューブおよびコレクタの本発明に基づく接続構造では、特に包囲壁の冷却に関して、かつ上方燃焼チャンバ領域12における温度の不均衡に関して利点が得られる。より高い質量流量密度は内部熱伝達率を向上させる。前壁と、後続のノーズと水平ガス通路ベースと火格子を備える後壁とにおけるウォームアップの広がりが短ければ短いほど、流出温度はより低くなる。さらに、上方前壁および後壁の流入部での側壁からの流動媒体の目標とされる混合に関して好ましい効果がある。またなぜなら流動媒体は流入部で完全に混合されており、そのため該流動媒体は、流入部コレクタにおいてはもはや温度の不均衡が存在しないと見なされるため、上方燃焼チャンバ領域12における側壁に関してこの接続構造は有利となる。ツーパスボイラとして設計された連続流動蒸気発生器の燃焼チャンバの蒸気発生器チューブの本発明に基づく接続構造は、下方側壁流出部コレクタと、上方前壁および後壁と、上方側壁の流入部における付加的なコレクタとの間のパイプラインのための構造に関して付加的な出費を正当にもたらす。なお本発明に基づく接続構造を用いることによって、材料T23およびT24の使用を実施的に回避でき、かつ処理に関連する困難性を避けることができる。さらに本発明に基づく接続構造を用いて、発電所の作動状態は、連続流動蒸気発生器または連続強制流動蒸気発生器の形態の連続流動蒸気発生器が600℃から700℃の範囲のより高いフレッシュスチーム温度で作動するよう意図されると考えられる。これは原則的には、流動媒体の局所的な混合を引き起こす加熱面セグメントの所定の様式の相互接続構造によって実現される。そのため同様に、下方燃焼チャンバ領域11の前壁Fおよび後壁Rの加熱面セグメントからの流動媒体を、上方燃焼チャンバ領域12の側壁Sの加熱面セグメントの作動媒体に混合できる構造を提供できる。
【符号の説明】
【0017】
1 燃焼チャンバ
2 水平ガス通路
4 立下り管
5 水分離システム
6 流入部コレクタ
7 下流過熱器チューブ
10 蒸気発生器チューブ
11 下方燃焼チャンバ領域
12 上方燃焼チャンバ領域
31,33,34 第1の流路コレクタ
32 流出部コレクタ
35,37 第2の流出部コレクタ
36,36’ 流出部コレクタ
H1〜H10 加熱面セグメント
F 前壁
R 後壁
S 側壁
N ノーズ
G 火格子