特許第6203959号(P6203959)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203959
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】多結晶シリコンを作製するための方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/02 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
   C01B33/02 Z
【請求項の数】10
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-533170(P2016-533170)
(86)(22)【出願日】2014年11月5日
(65)【公表番号】特表2016-539069(P2016-539069A)
(43)【公表日】2016年12月15日
(86)【国際出願番号】EP2014073798
(87)【国際公開番号】WO2015074872
(87)【国際公開日】20150528
【審査請求日】2016年6月30日
(31)【優先権主張番号】102013223883.5
(32)【優先日】2013年11月22日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100187207
【弁理士】
【氏名又は名称】末盛 崇明
(72)【発明者】
【氏名】ライナー、ヘルツルウィマー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス、ビーツ
【審査官】 森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−528955(JP,A)
【文献】 特開2013−220855(JP,A)
【文献】 特開2006−143552(JP,A)
【文献】 特表平09−511477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/00 − 33/193
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多結晶シリコンロッドを供給すること、前記多結晶シリコンロッドを粉砕して多結晶シリコン塊とすること、ならびに基部、壁部、および開口部を有する、容器中に前記多結晶シリコン塊を導入することによって前記多結晶シリコン塊を包装することを含み、前記容器は、2つの異なるサイズである基部および開口部の領域、ならびに側面を有する円錐台または角錐台の形状を有し、前記容器の前記基部の領域は、前記開口部の領域よりも大きく、前記容器の前記壁部は、少なくとも0.5mmの厚さを有し、円錐または角錐の側面線(lateral line)と垂直軸線との間の角度は、少なくとも2°である、多結晶シリコンを作製するための方法。
【請求項2】
前記容器の前記基部領域が、円形または楕円形である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記容器の前記基部領域が、正方形、長方形、または多角形である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記容器の前記壁部が、0.6mmから1mmの厚さを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
円錐または角錐の側面線と垂直軸線との間の前記角度が、2°から6.5°である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記容器が、ホウ素については100ppbw未満、リンについては100ppbw未満、およびヒ素については10ppbw未満の含有量であるプラスチックから成る、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記プラスチックが、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、およびポリフッ化ビニリデンから成る群より選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記多結晶シリコン塊が、ホウ素については100ppbw未満、リンについては100ppbw未満、およびヒ素については10ppbw未満の含有量であるPEまたはPUのグローブを装着して、手作業で前記容器へ導入される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記多結晶シリコン塊が、包装される前に、HNOおよびHFを含む洗浄溶液で洗浄される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記多結晶シリコン塊が、包装されるか、または洗浄される前に、塊サイズのクラスに分級される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多結晶シリコンを作製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多結晶シリコン(ポリシリコン)は、トリクロロシランなどのハロシランから、主としてシーメンスプロセスによって細い芯ロッド上に堆積され、それによって多結晶シリコンロッドが得られ、続いてこれが、汚染が非常に低い手順で粉砕されて、多結晶シリコン塊となる。
【0003】
半導体およびソーラー産業での用途の場合、ほとんど汚染されていないポリシリコン塊が望まれる。従って、この物質は、顧客へ輸送される前に、包装も汚染が低い方法で行われるべきである。
【0004】
原理上はシリコン塊の包装に対する適合性を有するチューブ型パウチ包装機(tubular pouch machines)が市販されている。1つのそのような包装機は、例えば、独国特許出願公開第3640520(A1)号に記載されている。
【0005】
ポリシリコン塊は、端部が鋭い非易流動性バルク物質である。従って、包装の段階では、その物質が充填時に通常のプラスチックパウチに穴を開けないこと、または最悪の場合としてそれを完全に破壊してしまうようなことがないことを確実にするために注意を払う必要がある。
【0006】
このようなことが起こることを防止するために、市販の包装機は、ポリシリコンの包装用に適切に改変される必要がある。
【0007】
その理由は、プラスチックパウチに穴が開いていると、さらにラインの停止が引き起こされ、シリコンが汚染されてしまうからである。
【0008】
独国特許出願公開第102007027110(A1)号には、多結晶シリコンを包装するための方法が開示され、ここでは、多結晶シリコンは、自由に吊り下げられ、完全に成形されたパウチ中に、充填装置によって充填され、充填されたパウチは、続いて密封されるが、パウチが10から1000μmの壁厚を有する高純度プラスチックから成ることを特徴としており、充填装置は、非金属低汚染物質から作られた自由に吊り下げられたエネルギー吸収体を含み、それは多結晶シリコンが導入される前にプラスチックパウチ中に導入され、それを介して多結晶シリコンがプラスチックパウチ中に導入され、自由に吊り下げられたエネルギー吸収体は、続いて多結晶シリコンが充填されたプラスチックパウチから取り出され、プラスチックパウチは密封される。
【0009】
プラスチックパウチの密封は、典型的には、溶接によって行われる。
【0010】
プラスチックパウチ内にエネルギー吸収体を供給するこの種の方法により、包装の過程でプラスチックパウチに穴が開くことの大部分を防ぐことができる。しかし、これは、小さい塊および/または軽量の塊の場合にしか当てはまらない。
【0011】
パウチ損傷発生のリスクは、塊の質量に比例して増加することが見出されている。
【0012】
パウチフィルムの強化によるものである穴開きを低減するために原理上考え得る1つの可能性は、特に、この種の可撓性が低下したフィルムは扱いが困難となることから、それほど実用的ではないことが証明されている。使用されている包装機は、350μmを超える厚さを有するフィルム用には設計されていない。さらに、そのような厚さのパウチは、溶接に要する時間が長くなり、従って、処理能力が落ちてしまう。
【0013】
パウチへのそのような穴開きは、包装の過程だけでなく、顧客への輸送中にも発生し得る。ポリシリコン塊は、端部が鋭く、そのため、塊がパウチフィルムに対して移動した結果として、および/またはパウチフィルム上に圧力が掛けられた結果として、パウチ中の塊の配向が好ましくない状態となった場合、それらは、このフィルムに切断または穴開きを起こす。
【0014】
経験から、標準的な市販のPEフィルムから作られたパウチは、ポリシリコン塊で充填されると、輸送時または輸送後に、引裂かれて開いた状態の溶接線部を示すことが分かっている。
【0015】
パウチ包装材から突き出した塊は、周囲の物質による直接の許容されない汚染を受ける可能性があり、一方内部にある塊は、流入する周囲空気によって、許容されないほど汚染される可能性がある。
【0016】
この問題は、ポリシリコンが第一のパウチに充填され、この第一のパウチが続いて第二のパウチに導入されるといういわゆるダブルパウチを用いる場合であっても見られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
先行技術で公知のあらゆる対策にも関わらず、穴開きおよびパウチ損傷についての100%の目視検査が常に必要とされる。
【0018】
本発明の目的は、これらの問題から発展されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この目的は、多結晶シリコンを作製するための方法によって達成され、その方法は、多結晶シリコンロッドを供給すること、多結晶シリコンロッドを粉砕して多結晶シリコン塊とすること、ならびに基部、壁部、および開口部を有する堅固で本質的に安定である容器中に多結晶シリコン塊を導入することによって多結晶シリコン塊を包装することを含み、この容器は、2つの異なるサイズである基部および開口部の領域、ならびに側面を有する円錐台または角錐台の形状を有し、容器の基部の領域は、開口部の領域よりも大きく、容器の壁部は、少なくとも0.5mmの厚さを有し、円錐または角錐の側面線(lateral line)と垂直軸線との間の角度は、少なくとも2°である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
多結晶シリコンは、好ましくは、反応ガスとしてケイ素含有成分および水素を用いて、加熱された細いシリコン芯ロッド上に堆積される(シーメンスプロセス)。ケイ素含有成分は、好ましくは、クロロシランであり、より好ましくは、トリクロロシランである。堆積は、例えば国際公開第2009/047107(A2)号を参照して、先行技術に従って行われる。
【0021】
堆積後、多結晶シリコンロッドは、粉砕される。好ましくは、まず、ポリシリコンロッドの予備粉砕が行われる。この予備粉砕では、超硬合金を例とする低摩耗性材料から作られたハンマーが用いられる。予備粉砕は、低摩耗性プラスチックまたはシリコンから成ることが好ましい面を有する作業台上で行われる。
【0022】
これに続いて、予備粉砕されたポリシリコンは、所望される目標塊サイズ0、1、2、3、または4に粉砕される。塊サイズは、シリコン塊の面上における2点間の最大距離(=最大長さ)として、以下のように定義される:
塊サイズ0:約0.5から5mm
塊サイズ1:約3から15mm
塊サイズ2:約10から40mm
塊サイズ3:約20から60mm
塊サイズ4:約>45mm
【0023】
粉砕は、ジョークラッシャーを例とする粉砕機によって行われる。1つのそのような粉砕機は、例えば欧州特許出願公開第338682(A2)号に記載されている。
【0024】
その後、粉砕されたシリコンは、適宜機械的ふるいにより、上記の塊サイズに分級される。
【0025】
塊は、所望に応じて、包装前に洗浄されてよい。この目的のために、HNOおよびHFを含む洗浄溶液が、好ましく用いられる。
【0026】
ポリシリコン塊は、好ましくは、予備洗浄作業において、酸化性洗浄溶液で少なくとも1段階洗浄され、さらなる段階での主洗浄作業において、HNOおよびHFを含む洗浄溶液で洗浄され、なおさらなる段階での親水性化手順において、酸化性洗浄液で洗浄される。予備洗浄は、好ましくは、HF/HCl/Hによって行われる。シリコン面の親水性化は、好ましくは、HCl/Hによって行われる。
【0027】
洗浄後、または粉砕の後に直接(洗浄が行われない場合)、ポリシリコン塊は、包装される。
【0028】
容器の基部領域は、円形または楕円形であってよい(円錐台)。円錐台は、正円錐から、それより小さい円錐を基部領域に平行に切り取ることによって作製される。
【0029】
基部領域が正方形もしくは長方形(四角形)であるか、または多角形である場合(角錐台)も好ましい。角錐台は、角錐(出発角錐)から、それよりも小さい類似の角錐(相補的角錐(complementary pyramid))を基部領域に平行に切り取ることによって形成される。
【0030】
角錐台の2つの平行な面は、互いに類似している。角錐台は、各々が側面線を有する複数の側面を有し、これらの側面線は、角錐の垂直軸線と異なる角度を形成し得る。角錐台の側面線のすべては、角錐の垂直軸線と、少なくとも2°の角度を形成するべきである。
【0031】
従って、用いられる容器は、好ましくは、基部、壁部、および開口部を有する堅固で本質的に安定である容器であり、この容器は、2つの異なるサイズの円形領域および側面を有する円錐台の形態を有し、円形基部領域は、容器開口部の円形領域よりも大きく、容器の壁部は、少なくとも0.5mmの厚さを有し、側面線と垂直円錐軸線との間の角度は、少なくとも2°である。
【0032】
容器はまた、角錐台の形態を有していてもよい。この場合、基部領域は、正方形、長方形、または多角形であってよい。この場合、開口部も、正方形、長方形、または多角形の形態を有する。ここでも、いずれの側面線と垂直軸線との間の角度も、少なくとも2°であることが必須である。
【0033】
容器の壁部は、好ましくは、0.6mmから1mmの厚さを有する。
【0034】
側面線と垂直円錐軸線との間の角度は、好ましくは、2°から6.5°である。
【0035】
容器の開口部は、蓋によって閉じることができる。
【0036】
容器は、好ましくは、プラスチックから成る。
【0037】
用いられるプラスチックは、好ましくは、ホウ素については100ppbw未満、リンについては100ppbw未満、およびヒ素については10ppbw未満の含有量を有する。
【0038】
プラスチックは、好ましくは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、およびポリフッ化ビニリデン(PVDF)から成る群より選択される。
【0039】
容器内部に入れられたシリコン塊は、容器の傾いた壁部によって動かないようにされる。このことは、シリコン塊が輸送中も固定されるという点で、ポリシリコンの既存の包装材と比較して利点を有する。容器中では、塊の相対的な動きは存在しない。従って、輸送中における物質の不必要なさらなる粉砕を防止することが可能である。
【0040】
包装中、塊は、容器中へ直接量り入れることが可能である。標準的な包装機またはグリッパーアーム付きロボットが用いられてよい。容器充填の過程では、比較的少ない微粉含有量しか発生しない。
【0041】
容器が手作業で充填される場合、高純度ポリエチレンまたはPUのグローブが用いられることが好ましい。グローブを構成する材料は、ホウ素については100ppbw未満、リンについては100ppbw未満、およびヒ素については10ppbw未満の含有量を有するべきである。
【0042】
先行技術でのパウチの場合、一般則として、例えば成形チューブ(forming tube)によるか、またはパウチを肩に引っ掛けることにより、パウチを予め成形する必要があった。本発明の方法では、堅固で本質的に安定である容器が用いられることにより、これを行う必要がなくなる。先行技術から知られる穴開きの問題は発生しない。
【0043】
先行技術の場合のような包装材の損傷についての目視検査を行う必要はない。
【0044】
充填された容器は、ボール紙製輸送用ボックスに自動的に包装されてよい。
【0045】
容器は、好ましくは、容器を握って保持することができるように、容器の外側壁部上に取り付けられたサービス部材(service elements)を含む。
【0046】
容器をボール紙製輸送用ボックス中に包装するために、グリッパーアーム付きロボットまたはローラーコンベアが用いられてよい。
【0047】
容器のボール紙製輸送用ボックス中への包装は、好ましくは、ボックス容積が最適に利用され、最大包装密度が得られるように行われる。