特許第6203961号(P6203961)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ディーエヌエフ シーオー., エルティーディー.の特許一覧 ▶ エスケーシー シーオー., エルティーディー.の特許一覧 ▶ パク ジュー ヒョンの特許一覧

<>
  • 特許6203961-新規の重合体およびこれを含む組成物 図000047
  • 特許6203961-新規の重合体およびこれを含む組成物 図000048
  • 特許6203961-新規の重合体およびこれを含む組成物 図000049
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203961
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】新規の重合体およびこれを含む組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 8/04 20060101AFI20170914BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20170914BHJP
   G03F 7/11 20060101ALI20170914BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   C08G8/04
   H01L21/302 105A
   G03F7/11 503
   H01L21/30 573
【請求項の数】8
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-536040(P2016-536040)
(86)(22)【出願日】2014年8月22日
(65)【公表番号】特表2016-530375(P2016-530375A)
(43)【公表日】2016年9月29日
(86)【国際出願番号】KR2014007815
(87)【国際公開番号】WO2015026194
(87)【国際公開日】20150226
【審査請求日】2016年4月1日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0100031
(32)【優先日】2013年8月23日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0105840
(32)【優先日】2014年8月14日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515339697
【氏名又は名称】ディーエヌエフ シーオー., エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】DNF CO., LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】516052353
【氏名又は名称】エスケーシー シーオー., エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】SKC CO., LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】516052364
【氏名又は名称】パク ジュー ヒョン
【氏名又は名称原語表記】PARK Joo Hyeon
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100102255
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 誠次
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100188352
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 一弘
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100198074
【弁理士】
【氏名又は名称】山村 昭裕
(72)【発明者】
【氏名】パク ジュー ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム ミョン ウーン
(72)【発明者】
【氏名】リー サン イック
(72)【発明者】
【氏名】ビュン タエ ソク
(72)【発明者】
【氏名】ソン スン
(72)【発明者】
【氏名】クウォン ヨン ヒー
(72)【発明者】
【氏名】ジュン イン キュン
(72)【発明者】
【氏名】リョウ ジューン サン
【審査官】 江間 正起
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−524224(JP,A)
【文献】 特表2008−546009(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/117123(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/036027(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 8/00−8/38
G03F 7/00−7/42
H01L 21/00−21/98
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1または2で表される、重合体。
[化学式1]
【化1】
[化学式2]
【化2】
[前記の化学式1および化学式2中、
前記Aは
であり、Bは
であり、Cは
であり;RとRは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、(C1‐C20)アルキルまたは(C6‐C20)アリールであり、R11は、水素、ハロゲン、ヒドロキシまたは(C1‐C20)アルキルであり;
前記A、BとCは、ヒドロキシ、ハロゲン、(C1‐C20)アルキル、(C1‐C20)アルコキシ、(C3‐C20)シクロアルキル、(C6‐C20)アリールおよび(C3‐C20)ヘテロアリールでさらに置換されていてもよく;
前記pおよびqは、0〜5の整数であり、且つpとqは同時に0ではなく;
前記rは、1〜5の整数であり;
mおよびnは、1〜1000の整数である。]
【請求項2】
Cが、
である、請求項1に記載の重合体
【請求項3】
下記の化学式1または2で表される重合体を含む、組成物。
[化学式1]
【化3】
[化学式2]
【化4】
[前記の化学式1および化学式2中、
前記Aは
であり、Bは
であり、Cは
であり;RとRは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、(C1‐C20)アルキルまたは(C6‐C20)アリールであり、R11は、水素、ハロゲン、ヒドロキシまたは(C1‐C20)アルキルであり;
前記A、BとCは、ヒドロキシ、ハロゲン、(C1‐C20)アルキル、(C1‐C20)アルコキシ、(C3‐C20)シクロアルキル、(C6‐C20)アリールおよび(C3‐C20)ヘテロアリールでさらに置換されていてもよく;
前記pおよびqは、0〜5の整数であり、且つpとqは同時に0ではなく;
前記rは、1〜5の整数であり;
mおよびnは、1〜1000の整数である。]
【請求項4】
架橋剤と、
酸触媒と、をさらに含む、請求項に記載の組成物。
【請求項5】
重合体1〜40重量%、架橋剤0.1〜40重量%、酸触媒0.001〜10重量%および残部の溶媒を含む、請求項に記載の組成物。
【請求項6】
架橋剤が、メラミン樹脂、アミノ樹脂、グリコールウリル化合物およびビスエポキシ化合物からなる群から選択される一つ以上であることを特徴とする、請求項又はに記載の組成物。
【請求項7】
酸触媒が、p‐トルエンスルホン酸一水和物(p‐toluenesulfonic acid mono hydrate)、ピリジニウムp‐トルエンスルホン酸(Pyridinium p‐toluenesulfonic acid)、p‐トルエンスルホン酸アミン塩、2,4,4,6‐テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシラート、および2‐ニトロベンジルトシラートからなる群から選択される一つ以上であることを特徴とする、請求項又はに記載の組成物。
【請求項8】
ギャップフィル、ダブルパターニングまたはハードマスク用に使用されることを特徴とする、請求項からのいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の重合体およびこれを含む組成物に関し、より詳細には、様々なプロセスに使用可能な新規の重合体およびこれを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、一つのチップ上に数百万個のトランジスタ、キャパシタおよび抵抗を含むことができる複雑なデバイスに発展しており、かかるチップデザインの発展に伴い、より速い回路網およびより高い回路密度が求められ続けている。
【0003】
より高い回路密度を有するより速い回路への要求は、そのような集積回路を製造するために使用される材料にそのまま反映されてきた。
【0004】
半導体デバイスの小型化および集積化に伴いパターンのサイズが小さくなるにつれて、フォトレジストパターンの倒れ現象を防止するために、フォトレジスト膜およびパターンの厚さが益々薄くなった。
【0005】
しかし、薄くなったフォトレジストパターンを使用して被エッチング層をエッチングすることは難しい。
【0006】
すなわち、半導体素子の高集積化によりリソグラフィプロセスで得られるフォトレジストパターンのアスペクト比(aspect ratio)が増加して、後続洗浄プロセスの際にフォトレジストパターン間の毛管力(capillary force)が増加することからフォトレジストパターンが崩壊する問題が誘発された。
【0007】
かかる問題点を改善するために、フォトレジスト膜の厚さを200nm以下に減少させる場合、フォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いる後続エッチングプロセスの際に、下部被エッチング層に対するフォトレジストパターンのエッチング選択比を充分に確保することができず、均一な回路パターンを形成することが不可能であった。
【0008】
さらに、短波長光源に適するフォトレジスト物質の場合、ベンゼンのような芳香族化合物の代わりに脂肪族化合物を主成分として含むことから十分なエッチング耐性を確保することが非常に難しかった。一例として、シリコン酸化膜(SiO)などの絶縁膜からなる被エッチング層などをエッチングする際に、被エッチング層の変形が誘発されて半導体素子を製造することがほぼ不可能であった。
【0009】
したがって、薄くなったフォトレジストパターンを使用して被エッチング層をエッチングすることが難しいという欠点を改善するために、半導体基板の被エッチング層とフォトレジストとの間にエッチング(etching)耐性が強い無機物、あるいは有機物膜質を導入することになり、この膜質をハードマスクと称する。
【0010】
また、ハードマスクプロセスは、フォトレジストパターンを用いてハードマスクをエッチングしてパターニングした後、ハードマスクのパターンを用いて被エッチング層をエッチングするプロセスを言う。
【0011】
一般的に、ハードマスクは、フォトレジスト膜が薄い厚さに形成されても下部層に対して十分な選択比が得られることから、形成されるフォトレジスト膜のコーティング厚さに制約を受けない。
【0012】
しかし、前記ハードマスクプロセスは、フォトレジストコーティングプロセスとは異なる別の蒸着装置を必要とするだけでなく複雑なプロセスステップを行うため、蒸着効率が低くて、生産量(throughput)が減少し、製造費用が増加するなどの問題点を有している。
【0013】
したがって、従来のハードマスクプロセスの単純化およびプロセス費用低減の効果を改善するために、フォトレジストコーティングプロセスと同じ溶液プロセスにより形成が可能で、フォトレジストに対して優れたエッチング選択比などの優れた特性を有するハードマスク組成物の開発が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、ハードマスクだけでなくギャップフィルまたはダブルパターニングなどの様々なプロセスに使用可能な新規の重合体を提供する。
【0015】
また、本発明は、新規の重合体を含む組成物およびその用途を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、溶液プロセス、特に、スピンコーティングが可能で、簡単なプロセスで製造が可能であり、優れたエッチング選択比を有する新規の重合体を提供するものであり、本発明の重合体は、下記の化学式1または2で表される。
【0017】
[化学式1]
【化1】
【0018】
[化学式2]
【化2】
【0019】
[前記の化学式1および化学式2中、AまたはBは、互いに独立して、(C6‐C20)アリーレンまたは(C3‐C20)ヘテロアリーレンであり;Cは、(C1‐C20)アルキレンまたは(C6‐C20)アリーレンであり;前記AまたはBのアリーレンおよびヘテロアリーレンと、Cのアリーレンおよびアルキレンは、ヒドロキシ、ハロゲン、(C1‐C20)アルキル、(C1‐C20)アルコキシ、(C3‐C20)シクロアルキル、(C6‐C20)アリールおよび(C3‐C20)ヘテロアリールでさらに置換されていてもよく;前記p、qおよびrは、0〜5の整数であり、且つpとqは同時に0ではなく;mおよびnは、1〜1000の整数である。]
【0020】
本発明の一実施形態による前記の化学式1は、下記の化学式3〜4で表されることができる。
【0021】
[化学式3]
【化3】
【0022】
[化学式4]
【化4】
【0023】
[化学式3〜4中、AまたはBは、互いに独立して、(C6‐C20)アリーレンまたは(C3‐C20)ヘテロアリーレンであり;前記AまたはBのアリーレンおよびヘテロアリーレンは、ヒドロキシ、ハロゲン、(C1‐C20)アルキル、(C1‐C20)アルコキシ、(C3‐C20)シクロアルキル、(C6‐C20)アリールおよび(C3‐C20)ヘテロアリールでさらに置換されていてもよく;前記pおよびqは、1〜5の整数であり;nは、1〜1000の整数である。]
【0024】
本発明の一実施形態による前記の化学式1〜4中、AまたはBは、限定されるものではないが、好ましくは、互いに独立して、下記の構造式から選択されることができる。
【0025】
【化5】


【0026】
[前記構造式中、R〜Rは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、(C1‐C20)アルキルまたは(C6‐C20)アリールである。]
【0027】
本発明の一実施形態による前記の化学式1および前記の化学式2中、Cは、下記の構造式から選択されることができる。
【0028】
【化6】
【0029】
[前記構造式中、R11〜R13は、水素、ハロゲン、ヒドロキシまたは(C1‐C20)アルキルである。]
【0030】
本発明の一実施形態による前記の化学式1および前記の化学式2中、Aは、好ましくは、
【化7】

であり、Bは
【化8】

であり、Cは
【化9】

であることができる。
【0031】
また、本発明は、前記の化学式1または前記の化学式2で表される重合体を含む組成物を提供する。
【0032】
本発明の一実施形態による組成物は、架橋剤と、酸触媒と、をさらに含むことができ、具体的には、本発明の組成物は、重合体1〜40重量%、架橋剤0.1〜40重量%、酸触媒0.001〜10重量%および残部の溶媒を含むことができる。
【0033】
本発明の一実施形態による組成物として架橋剤は、メラミン樹脂、アミノ樹脂、グリコールウリル化合物およびビスエポキシ化合物からなる群から選択される一つ以上であることができ、酸触媒は、p‐トルエンスルホン酸一水和物(p‐toluenesulfonic acid mono hydrate)、ピリジニウムp‐トルエンスルホン酸(Pyridinium p‐toluenesulfonic acid)、p‐トルエンスルホン酸トリエチルアミン塩(p‐toluenesolfonic acid triethylamine salt)などのp‐トルエンスルホン酸アミン塩、2,4,4,6‐テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシラート、および2‐ニトロベンジルトシラートからなる群から選択される一つ以上であることができる。
【0034】
本発明の組成物の用途は、制限されるものではないが、好ましくは、ギャップフィル、ダブルパターニングまたはハードマスク用に使用されることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明の重合体と組成物は、簡単なプロセスで製造が可能であり、ハードマスクだけでなく、ギャップフィルまたはダブルパターニングなどの様々な用途に使用可能である。
【0036】
また、本発明の重合体と組成物は、優れたエッチング選択比を有することから優れた半導体装置の生産が可能である。
【0037】
また、本発明の重合体と組成物は、溶液プロセスが可能で、簡単なプロセスで生産費用を低減することができ、大量生産も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】実施例4と5の組成物で形成したカーボン薄膜の耐熱性測定結果(TG/DTA)を示した図である。
図2】実施例4で製造された重合体で形成されたカーボン薄膜の元素分析(AES depth)結果を示した図である。
図3】実施例4で製造された重合体で形成されたカーボン薄膜のアウトガス(Outgas)質量分析(QMS)結果を示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明は、下記の化学式1または下記の化学式2で表される熱安定性、エッチング選択比などの優れた特性を有する新規の重合体を提供する。
【0040】
[化学式1]
【化10】
【0041】
[化学式2]
【化11】
【0042】
[前記の化学式1および化学式2中、AまたはBは、互いに独立して、(C6‐C20)アリーレンまたは(C3‐C20)ヘテロアリーレンであり;Cは、(C1‐C20)アルキレンまたは(C6‐C20)アリーレンであり;前記AまたはBのアリーレンおよびヘテロアリーレンと、Cのアリーレンおよびアルキレンは、ヒドロキシ、ハロゲン、(C1‐C20)アルキル、(C1‐C20)アルコキシ、(C3‐C20)シクロアルキル、(C6‐C20)アリールおよび(C3‐C20)ヘテロアリールでさらに置換されていてもよく;前記p、qおよびrは、0〜5の整数であり、且つpとqは同時に0ではなく;mおよびnは、1〜1000の整数である。]
【0043】
本発明の重合体は、アリールまたはヘテロアリールの芳香族環を少なくとも二つ以上含んでおり、光学的特性と機械的特性に優れる。
【0044】
具体的には、本発明の重合体は、アリールまたはヘテロアリールの芳香族環を少なくとも二つ以上含んでおり、このうち、必ず、一つがフェニレンで置換されたメチレンを含んでおり、優れたエッチング選択比、機械的特性、光学的特性および高い溶解度を有することから溶液プロセスにも適用可能という優れた特性を有する。
【0045】
本発明に記載の「アルキル」、「アルコキシ」およびその他の「アルキル」部分を含む置換体は、直鎖または分岐鎖の両方の形態を含む。また、本発明に記載の「アリール」は、一つの水素除去により芳香族炭化水素から誘導された有機ラジカルであり、各環に、適切には4〜7個、好ましくは5または6個の環原子を含む単一または融合環系を含み、多数個のアリールが単結合で連結されている形態まで含む。具体例として、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントリル、インデニル(indenyl)、フルオレニル、9,9‐ジフェニル‐9H‐フルオレンなどを含むが、これに限定されない。すなわち、本発明に記載の9,9‐ジフェニル‐9H‐フルオレンから二つの水素除去により誘導された
もアリーレンに該当する。本発明に記載の「ヘテロアリール」は、芳香族環骨格原子として、B、N、O、S、P(=O)、SiおよびPから選択される1〜4個のヘテロ原子を含み、残りの芳香族環骨格原子が炭素であるアリール基を意味し、5〜6員単環式ヘテロアリール、および一つ以上のベンゼン環と縮合された多環式ヘテロアリールであり、部分的に飽和されることもできる。また、本発明におけるヘテロアリールは、一つ以上のヘテロアリールが単結合で連結された形態も含む。
【0046】
好ましくは、本発明の一実施形態による前記の化学式1は、下記の化学式3〜4で表されることができる。
【0047】
[化学式3]
【化12】
【0048】
[化学式4]
【化13】
【0049】
[化学式3〜4中、AまたはBは、互いに独立して、(C6‐C20)アリーレンまたは(C3‐C20)ヘテロアリーレンであり;前記AまたはBのアリーレンおよびヘテロアリーレンはヒドロキシ、ハロゲン、(C1‐C20)アルキル、(C1‐C20)アルコキシ、(C3‐C20)シクロアルキル、(C6‐C20)アリールおよび(C3‐C20)ヘテロアリールでさらに置換されていてもよく;前記pおよびqは、1〜5の整数であり;nは、1〜1000の整数である。]
【0050】
本発明の一実施形態による前記の化学式1〜4のうち、優れた効果を有する面において化学式2がより好ましい。
【0051】
本発明の一実施形態による前記の化学式1〜4中、AまたはBは、互いに独立して、下記の構造式から選択されることができ、これに限定されるものではない。
【0052】
【化14】


【0053】
[前記構造式中、R〜Rは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、(C1‐C20)アルキルまたは(C6‐C20)アリールである。]
【0054】
前記の化学式1〜4中、AまたはBは、好ましくは、互いに独立して、下記の構造式から選択されることができる。
【0055】
【化15】
【0056】
[前記構造式中、R〜Rは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、(C1‐C20)アルキルまたは(C6‐C20)アリールである。]
【0057】
本発明の一実施形態による前記の化学式1および化学式2中、Cは、下記の構造式から選択されることができる。
【0058】
【化16】
【0059】
[前記構造式中、R11〜R13は、水素、ハロゲン、ヒドロキシまたは(C1‐C20)アルキルである。]
【0060】
好ましくは、本発明の一実施形態による前記の化学式1および化学式2中、Cは、下記の構造式から選択されることができる。
【0061】
【化17】
【0062】
[前記構造式中、R11〜R12は、水素、ハロゲン、ヒドロキシまたは(C1‐C20)アルキルである。]
【0063】
優れたエッチング選択比を有する面において、本発明の一実施形態による前記の化学式1および化学式2中、AおよびBは、互いに独立して、下記の構造式から選択されることができる。
【0064】
【化18】
【0065】
[前記構造式中、R〜Rは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、(C1‐C20)アルキルまたは(C6‐C20)アリールである。]
【0066】
前記の化学式1および化学式2中、Cは、下記の構造から選択される場合が好ましい。
【0067】
【化19】
【0068】
[前記構造式中、R11〜R12は、水素、ハロゲン、ヒドロキシまたは(C1‐C20)アルキルである。]
【0069】
より好ましくは、本発明の一実施形態による前記の化学式1および化学式2中、Aは
【化20】

であり、Bは
【化21】

であり、Cは
【化22】

であることができる。
【0070】
また、本発明は、前記の化学式1または化学式2で表される重合体を含む組成物を提供する。
【0071】
本発明の組成物は、本発明の前記の化学式1または化学式2で表される重合体を含んでおり、機械的、光学的特性に優れるだけでなく、溶解度が高いことから溶液プロセスにも適用が可能で低コストで大量生産が可能である。
【0072】
また、本発明の組成物はハードマスク用だけでなく、ギャップフィルやダブルパターニングにも使用可能で様々な用途で適用することができる利点があり、高温でハードマスク等の膜を製造する際に別の架橋剤を使用しなくても架橋が可能で高い純度の膜を低コストで得ることができる。
【0073】
本発明の一実施形態による組成物は、架橋剤と、酸触媒とをさらに含むことができ、温度に応じて、架橋剤と酸触媒を含まないこともある。
【0074】
具体的に、高温(300〜500℃)で膜を製造する際に架橋剤と酸触媒を含まないこともあり、低コストで高純度の膜を製造することができ、低温(200〜300℃)で膜を製造する際に架橋剤と酸触媒を含んで製造されることができる。
【0075】
本発明の一実施形態による組成物は、重合体1〜40重量%、架橋剤0.1%〜40重量%、酸触媒0.001%〜10重量%および残部の溶媒を含むことができ、好ましくは、重合体1〜20重量%、架橋剤0.1〜20重量%、酸触媒0.001〜 5重量%および残部の溶媒を含むことができる。
【0076】
本発明の一実施形態による溶媒は、限定されるものではないが、一例として、テトラヒドロナフタレン、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、シクロヘキサノン、エチルラクテート、プロピレングリコールn‐プロピルエーテル、ジメチルホルムアミド(DMF)、γ‐ブチロラクトン、エトキシエタノール、メトキシエタノール、メチル3‐メトキシプロピオネート(MMP)、およびエチル3‐エトキシプロピオネート(EEP)からなる群から選択される1種以上であることがある。
【0077】
本発明の一実施形態による組成物において架橋剤は、メラミン樹脂、アミノ樹脂、グリコールウリル化合物およびビスエポキシ化合物からなる群から選択される一つ以上であることができ、具体的な一例として、N‐メトキシメチル‐メラミン樹脂、N‐ブトキシメチル‐メラミン樹脂、テトラメトキシメチルグリコウリル、テトラブトキシメチルグリコウリルであることができる。
【0078】
本発明の一実施形態による酸触媒は、p‐トルエンスルホン酸一水和物(p‐toluenesulfonic acid mono hydrate)、ピリジニウムp‐トルエンスルホネート(Pyridinium p‐toluenesulfonate)、2,4,4,6‐テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、および2‐ニトロベンジルトシラートからなる群から選択される一つ以上であることができる。
【0079】
本発明の組成物の用途は、制限されるものではないが、好ましくは、ギャップフィル、ダブルパターニングまたはハードマスク用に使用されることができる。
【0080】
本発明の組成物を用いて製造されるハードマスク膜は、当業者が通常の方法で形成することができ、好ましくは、スピンコーティングで形成することができ、通常の方法で形成されたハードマスク膜は、ベークして架橋することができ、ベーグの方法において温度などの条件は、通常の方法で可能な方法であればいずれも可能である。
【実施例】
【0081】
以下、本発明の具体的な実施例を挙げて説明するが、これは、本発明の権利範囲を限定するためのものではない。
【0082】
[実施例1]化合物(1)の合成
【0083】
【化23】
【0084】
フラスコに蒸留装置を設置した後、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)フルオレン150gとベンズアルデヒド45g、酸触媒であるトルエンスルホン酸一水和物6.3gを投入した後、テトラヒドロナフタレン300ml、トルエン30mlを投入した後、攪拌して溶解させた。140℃で加熱して9時間反応させた後、沈殿のためにエチルアセテート300mlを投入して希釈した反応混合液をヘキサン/イソプロピルアルコール混合液(7L/3L)に沈殿させた。沈殿された化合物を濾過しヘキサンで洗浄した後、真空乾燥させた。乾燥した化合物は、GPCにより重量平均分子量が5,000であることを確認した。
【0085】
[実施例2]化合物(2)の合成
【0086】
【化24】
【0087】
フラスコに蒸留装置を設置した後、4‐フェニルフェノール150gとベンズアルデヒド94g、酸触媒であるトルエンスルホン酸一水和物6.3gを投入した後、テトラヒドロナフタレン300ml、トルエン30mlを投入した後、攪拌して溶解させた。140℃で加熱して9時間反応させた後、沈殿のためにエチルアセテート300mlを投入して希釈した溶液をヘキサン/イソプロピルアルコール混合液(7L/3L)に沈殿させた。沈殿された化合物を濾過しヘキサンで洗浄した後、真空乾燥させた。乾燥した化合物は、GPCにより重量平均分子量が3、000であることを確認した。
【0088】
[実施例3]化合物(3)の合成
【0089】
【化25】
【0090】
フラスコに蒸留装置を設置した後、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)フルオレン100gと4‐フェニルフェノール50gとベンズアルデヒド64g、酸触媒であるトルエンスルホン酸一水和物6.3gを投入した後、テトラヒドロナフタレン300ml、トルエン30mlを投入した後、攪拌して溶解させた。140℃で加熱して9時間反応させた後、沈殿のためにエチルアセテート300mlを投入して希釈した溶液をヘキサン/イソプロピルアルコール混合液(7L/3L)に沈殿させた。沈殿された化合物を濾過しヘキサンで洗浄した後、真空乾燥させた。乾燥した化合物は、GPCにより重量平均分子量が4,500であることを確認した。
【0091】
[実施例4]スピンコーティング用組成物の製造
前記実施例1で合成された化合物1の6gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100gに溶解させた後、0.2μmのメンブレンフィルタで濾過してスピンコーティング用組成物を製造した。
【0092】
[実施例5]スピンコーティング用組成物の製造
前記実施例3で合成された化合物3の6gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100gに溶解させた後、0.2μmのメンブレンフィルタで濾過してスピンコーティング用組成物を製造した。
【0093】
[実施例6]スピンコーティング用組成物の製造
前記実施例1で合成された化合物1の11gと架橋剤としてテトラメトキシメチルグリコウリル1.1g、酸触媒としてピリジニウムp‐トルエンスルホネート0.2gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100gに溶解させた後、0.2μmのメンブレンフィルタで濾過してスピンコーティング用組成物を製造した。
【0094】
[実施例7]スピンコーティング用組成物の製造
前記実施例3で合成された化合物3の11gと架橋剤としてテトラメトキシメチルグリコウリル1.1g、酸触媒としてピリジニウムp‐トルエンスルホネート0.2gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100gに溶解させた後、0.2μmのメンブレンフィルタで濾過してスピンコーティング用組成物を製造した。
【0095】
[実験例1]ストリッピングテスト
前記実施例4、5で製造された組成物をそれぞれシリコンウェハの上にスピン塗布させた後、200℃のホットプレートで60秒間および340℃のホットプレートで60秒間ベークして架橋させてカーボン膜を形成させた。コーティングされた膜の厚さを測定した後、コーティングされたウェハをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに1分間浸漬した。1分後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを完全に除去した後、厚さを測定した結果、実施例4と5の組成物いずれも厚さ変化は観察することができなかった。かかる結果に基づいて製造された組成物は、塗布後、ベークプロセス中に完全硬化され、これは、材料の塗布プロセスの進行中に他の膜質と相互混合などが生じないことを確認することができた。
【0096】
[実験例2]耐熱性の測定(TG)
前記実施例4と5で製造された組成物をそれぞれシリコンウェハの上にスピン塗布し、200℃のホットプレートで60秒間および400℃のホットプレートで60秒間ベークして架橋させた後、塗布された組成物を取り、耐熱性を確認するために400℃までTG分析を実施した。その結果は図1に示し、実施例4と5の両方の組成物が400℃まで質量損失が1%以下に生じることを確認し、また、耐熱性が高く熱安定性が高いことが分かる。
【0097】
[実験例3]ストリッピングテスト
前記実施例6、7で製造された組成物をシリコンウェハの上にスピン塗布させた後、240℃のホットプレートで60秒間ベークして架橋させてカーボン膜を形成させた。コーティングされた膜の厚さを測定した後、コーティングされたウェハをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに1分間浸漬した。1分後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを完全に除去した後、厚さを測定した結果、実施例の組成物いずれも厚さ変化は観察することができなかった。かかる結果に基づいて製造された組成物は、塗布後、ベークプロセス中に完全硬化され、これは、材料の塗布プロセスの進行中に他の膜質と相互混合などが生じないことを確認することができた。
【0098】
[実験例4]収縮率テスト
前記実施例4、5で製造された組成物をそれぞれシリコンウェハの上にスピン塗布して200℃のホットプレートで60秒間ベークした後、膜の厚さを測定した。次いで、340℃のホットプレートで60秒間ベークして架橋させてカーボン膜を形成させた後、膜の厚さを測定(KLA_Tencor社製、SPECTRA FX100)し、コーティングされた薄膜の収縮率を確認した。その結果は表1のとおりである。
【0099】
【表1】
【0100】
表1を参照すると、実施例5の組成物で形成されたカーボン薄膜が、実施例4の組成物で形成されたカーボン薄膜よりも低い収縮率を示すことが分かる。
【0101】
[実験例5]耐エッチング性テスト
前記実施例4、5で製造された組成物をそれぞれシリコンウェハの上にスピン塗布して200℃のホットプレートで60秒間および340℃のホットプレートで60秒間ベークして架橋させてカーボン薄膜を形成した。
【0102】
次いで、前記薄膜にAr/N/O混合ガスを使用して15秒間ドライエッチングを施した後、薄膜の厚さを測定した。また、前記薄膜にCF/Ar/O混合ガスを使用して15秒間ドライエッチングを施した後、薄膜の厚さを測定した。その結果は表2のとおりである。
【0103】
【表2】
【0104】
表2を参照すると、実施例5の組成物で形成されたカーボン薄膜が、実施例4の組成物で形成されたカーボン薄膜よりも高い耐エッチング性を有することが分かる。
【0105】
[実験例6]耐エッチング性テスト
前記実施例6、7で製造された組成物をそれぞれシリコンウェハの上にスピン塗布して240℃のホットプレートで60秒間ベークして架橋させてカーボン薄膜を形成した。次いで、前記薄膜にAr/N/O混合ガスを使用して30秒間ドライエッチングを施した後、薄膜の厚さを測定した。また、前記薄膜にCF/Ar/O混合ガスを使用して30秒間ドライエッチングを施した後、薄膜の厚さを測定した。その結果は表3のとおりである。
【0106】
【表3】
【0107】
表3を参照すると、実施例6の組成物で形成されたカーボン薄膜と、実施例7の組成物で形成されたカーボン薄膜の両方とも耐エッチング性が高い。
【0108】
[実験例7]カーボン含有量の確認
前記実施例4で製造された組成物をシリコンウェハの上にスピン塗布して200℃のホットプレートで60秒間および340℃のホットプレートで60秒間ベークして架橋させて薄膜を形成させた。次いで、AES Depth装置(Thermo Electron corporation、MICROLAB 350)でC、N、O元素の含有量を測定した。その結果は図2に示し、Cの含有量が90.5%、Oの含有量が9.5%と炭素の含有量が非常に高い膜質が形成されたことを確認することができた。
【0109】
[実験例8]接触角の測定
前記実施例4、5で製造された組成物をそれぞれシリコンウェハの上にスピン塗布して200℃のホットプレートで60秒間および340℃のホットプレートで60秒間ベークして架橋させて薄膜を形成させた。KRUSS社製(FM40 Easy drop)の接触角測定装置で前記薄膜の接触角を測定した。その結果は表4のとおりである。
【0110】
【表4】
【0111】
表4から分かるように、実施例4の組成物で形成されたカーボン薄膜と、実施例5の組成物で形成されたカーボン薄膜の接触角が、互いに類似していることが分かる。
【0112】
[実験例9]アウトガス(Outgas)量の測定
前記実施例4で製造された組成物をシリコンウェハの上にスピン塗布して200℃のホットプレートで60秒間および340℃のホットプレートで60秒間ベークして架橋させて薄膜を形成させた。前記薄膜がコーティングされたウェハを1cm×1cmの試験片に切断した後、Pfeiffer vacuum社製(QMA‐200)の質量分析装置を用いてアウトガス(Outgas)の量を測定した。その結果は図3に示した。

図1
図2
図3