【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態例によれば、Z方向に沿って光軸を持ち、直交XY座標系にピクセルの2Dアレイを有するイメージングセンサを有する、スキャンイメージングシステムが提供され、Z方向はY方向に垂直である。イメージングセンサのピクセルの2Dアレイは複数のピクセルを有する第1のピクセルラインを有する。第1のピクセルラインは上記XY座標系のY方向に沿ってのびる。さらに、第2のピクセルラインがイメージングセンサによって含まれ、この第2のラインは複数のピクセルを有する。第2のピクセルラインもY方向に沿ってのびる。ピクセルの2Dアレイは第1及び第2のピクセルライン間に第1の非感光性ギャップをさらに有する。第1のピクセルラインの一部の若しくは全ピクセルの、及び/又は第2のピクセルラインの一部の若しくは全ピクセルの読み出し電子機器が第1の非感光性ギャップに位置する。さらに、イメージセンサの各ピクセルはフォトダイオードを含み、イメージングセンサは各フォトダイオードを読み出し、アドレスするように構成されるX方向に沿った読み出しラインを有し、イメージングセンサは回転軸としてY軸まわりに傾斜される。
【0010】
言い換えれば、第1及び第2のピクセルラインが、センサの論理回路及び結合回路で充填される非感光性ギャップによって分離される、新規のイメージセンサ構成若しくは設計を伴うスキャンイメージングシステムが提示される。例えば、一部の若しくは全ピクセルの電荷電圧変換器(CVC)は、センサの光活性領域にCVCを位置付けるのではなく、非感光性領域であるギャップに位置付けられ得る。本発明にかかるこうしたCVCフリーのピクセル構成は従来のピクセル601と対照的に、
図6における例示的なピクセル例600から推測され得る。本発明のイメージングセンサはピクセル例600として示されるタイプのピクセルを有してもよく、又は完全にそのようなタイプのピクセルのみから構成されてもよい。いずれの場合も、本発明のイメージングセンサはY方向に沿って、ピクセルライン間に1つ以上のギャップを有し、例えばCVCなどの読み出し電子機器をピクセルラインから離して上記非感光性ギャップの中へ動かすことを可能にする。
【0011】
勿論、本発明のイメージングセンサは大きな複数のピクセルラインを持ってもよく、必要であればそれらはピクセルラインのブロックを構築するように接触して隣接して位置付けられることもでき、また大きな複数のギャップを持ってもよい。ギャップは典型的には少なくとも2つのピクセルラインを分離するか、又はピクセルラインの2ブロックを分離する。
図4はピクセルラインの数ブロックと間に非感光性ギャップを伴う実施形態を示す。上述の第1及び第2のピクセルラインはその場合異なるブロックの一部になり得る。こうしたブロックは時間遅延積分(TDI)の既知の技術を実行するために制御モジュールによって使用され制御され得る。
【0012】
この新規のイメージングセンサによって実現される同じサイズと分解能の従来の二次元センサに勝る本発明のイメージングセンサの改良は少なくとも2つの要素から成る。第1に、本発明のイメージングセンサはセンサの感光性エリアにおけるピクセルの光活性部分の最大化を可能にし、これはフィルファクタの最大化に対応する。これはマイクロレンズ無しに非常に感光性のセンサを可能にし、イメージングセンサが傾斜する構成において有利に応用される。マイクロレンズを回避することは、マイクロレンズの傾斜がマイクロレンズを通る光伝搬に関して最適ではないため、傾斜したセンサを光路に置くために重要である。第2に、イメージングセンサの1若しくは複数のギャップは、より多くの回路がギャップ内でイメージングセンサ上にあることができるので、高速読み出しを可能にする。ピクセルのCVCがそこに置かれることができるだけでなく、読み出し速度を増加する他の追加部品も置かれることができる。これは高速センサを、従って高速画像生成を可能にする。従って本発明は、Y方向にセンサの幅全体に広がり、X方向に少なくとも1ピクセル幅に広がり得る、非感光性空間を利用する。これらの空間、すなわちギャップは、感光性ライン、例えば第1及び第2のピクセルラインの間にある。
【0013】
以降の様々な説明から明らかとなり、それらで解明される通り、第1及び第2のピクセルラインはTDIブロックの、すなわちY方向に沿って隣接する若しくは隣接して位置するピクセルのラインのブロックの、一部であり得、この構成においてかかるTDIブロックはフォトダイオードを有さないギャップによって分離される。これらのギャップはセンサのピクセルのCVC、論理回路及び/又は結合回路を統合するために使用される。本発明の文脈において、ピクセルの2Dアレイという語は感光性ピクセルで完全にカバーされる面と理解されてはならないことが留意されるべきである。なおさら本発明のピクセルの2Dアレイは、
図4に示す実施形態例と一致して、感光性ピクセルラインを提供し、感光性ピクセルの上記読み出し電子機器を統合するために使用される領域、すなわち非感光性ギャップを有する。これは以降本発明の異なる実施形態から明らかとなり、それらにより解明される。
【0014】
さらに、本発明のイメージングセンサは勿論、全てY方向に沿ってのびる第3、第4、第5及びさらにそれ以上のピクセルラインを有してもよく、これらのピクセルライン間に第2、第3、第4及びさらにそれ以上の非感光性ギャップも有してもよい。さらに、複数のピクセルラインは、X及びY方向に沿って広がる連続面を構築し、
図3及び4に示す通りピクセルブロックを構成するように、隣接して位置付けられ得る。傾斜した構成において、上記非感光性エリア、すなわちギャップは、イメージングエリア間にギャップを設けることによって画質を低下させることなくイメージングのために必要とされなくてもよい。従って、本発明はイメージングセンサが例えばスキャンイメージングシステムにおいて傾斜構成で適用されるときに特に有利である。
【0015】
本発明の別の実施形態例によれば、イメージングセンサの傾斜角度は好適には約60°の範囲である。
【0016】
ここで傾斜角度とはX方向とZ方向の間の角度を意味する。スキャンイメージングシステムはサンプルの斜め断面を画像化し得る。本発明の別の実施形態例によれば、個々のピクセルにおいて読み出しラインはフォトダイオードより上に隆起している。
【0017】
読み出しラインはイメージングセンサのチップ上の金属ライン若しくはワイヤとして構成されることができ、それらはフォトダイオードより上に隆起され得る。実際には、イメージングセンサ上で、フォトダイオードは最下部であり、全ての電子機器及び接続ラインが隆起され得る。従って、本明細書に記載の傾斜センサ構成と同様に、光が上から直接来ない場合、隆起部がフォトダイオード上に影を落とすので、キャプチャされる光の量を削減し、従って画質を低下させる。本発明のこの実施形態例のセンサでは、従来のイメージセンサのピクセルと比較してより少ない読み出しラインがピクセルにおいて必要になるため、垂直読み出しラインのみを持つことが可能である。こうした垂直読み出しラインはY方向に実質的に垂直なX方向に沿ってはしる。X軸に平行な読み出しラインのみが本発明によって提供され得るので、センサのY軸まわりの回転によって光軸に対してセンサを傾けるときに不都合がない。これは光がセンサ上にセンサのY軸に垂直に、ただしX軸と例えば60°の角度で、落ちることを意味する。これは例えば
図3から容易に推測され得る。読み出しラインは本明細書に記載のこの実施形態においてセンサのX軸と平行にはしるので、これらの読み出しラインは影を落とさず、従って画質を低下させず、このことはピクセル601を用いる従来技術のセンサに勝る重要な利点である。
図6に示す従来の2Dセンサのピクセル601において使用される通り水平及び垂直読み出しライン605‐608両方を伴う場合、これは可能でなく、常に傾斜構成においてフォトダイオード上に影があり得る。結果として、本明細書の前記本発明の実施形態例は、光感受性と画質をさらに増す。本発明の別の実施形態例によれば、イメージングセンサはセルフフォーカシングセンサである。セルフフォーカシングを実行するようにイメージングセンサを制御する制御モジュールが設けられ得る。これは例えばフォーカシングマップのような他のフォーカシング手段の必要性を回避し得る。
【0018】
本発明の別の実施形態例によれば、第1の非感光性ギャップはセンサのピクセルの少なくとも1幅の幅を持つ。ピクセル幅は参照符号420で
図4に示される。イメージングセンサが複数の非感光性ギャップを持つ場合(例えば
図3参照)、全ギャップは上記センサのピクセルの少なくとも1幅の幅を持ち得る。多くの用途において、ピクセルのフォトダイオードの読み出し電子機器の統合のために十分な空間を提供するためにより大きな幅が有用であり得る。例えば、ピクセル幅の4倍、5倍、若しくは6倍がギャップの適切な幅であり得る。この文脈において幅はピクセルの2アレイのXY座標系のX方向に沿って定義されることが留意されるべきである。本発明の実施形態例によれば、ピクセルラインの感光性ブロック、すなわちTDIブロックの幅と比較してセンサのギャップの最適化された幅が提供され、後ほど詳細に説明される。
【0019】
本発明の別の実施形態例によれば、以下の構成要素の少なくとも1つが第1の若しくは追加の非感光性ギャップに位置付けられる。第1及び第2のピクセルラインの少なくとも一方のピクセルの電流電圧変換器、イメージングセンサの論理回路及びイメージングセンサの結合回路は本発明のイメージングセンサの感光性ギャップ内に位置付けられ得る。本発明の別の実施形態例によれば、複数の電荷電圧変換器がイメージングセンサの各フォトダイオードと関連し、各電荷電圧変換器はイメージングセンサの第1の非感光性ギャップの中、又はイメージングセンサの追加の非感光性ギャップの中に位置付けられる。
【0020】
例えば
図6から推測され得る通り、本発明のピクセル設計はフォトダイオードから成るピクセルを提供する。従来技術のピクセル601と対照的に、本発明のピクセルのフォトダイオードに接続される電荷電圧変換器はピクセル自体の一部でなく、イメージングセンサのギャップのうちの1つにいくらか離れて位置する。この文脈において、本発明のイメージングセンサのピクセルの読み出しラインは典型的にはフォトダイオードより上に隆起していることが留意されるべきである。実際には、イメージングセンサにおいて、フォトダイオードは最下部であり、
図6の図示の読み出しライン603及び604は隆起している。従って、本発明のイメージセンサのピクセル600はフォトダイオード602から成るという用語が本明細書で使用される。本発明の文脈において、こうした追加の非感光性ギャップはY方向に沿ってピクセルの2Dアレイの全幅を覆って及び/又は平行に設けられ得ることが留意されるべきである。従って、別の実施形態例によれば、第1の非感光性ギャップはY方向に沿ってのびる。本発明の別の実施形態例によれば、イメージングセンサは各々がピクセルの2Dアレイの全幅にわたってY方向に沿ってのびる複数の非感光性ギャップを有する。
【0021】
本発明の別の実施形態例によれば、センサの各ピクセルは2つだけ読み出しラインを有する。2つの読み出しラインはとりわけ
図3に定義される通りX軸に平行若しくは実質的に平行であり得る。
【0022】
本発明の別の実施形態例によれば、第1のピクセルラインはY方向に沿ってのびる複数の隣接ピクセルラインから成る第1のブロックの一部である。さらに、第2のピクセルラインはY方向に沿ってのびる複数の隣接ピクセルラインから成る第2のブロックの一部である。さらに、第1及び第2のブロックはY方向に沿ってのびる非感光性ギャップによって互いに分離される。
【0023】
一実施形態例において、イメージングセンサはX方向に128のこうしたブロックを有する。勿論、複数の隣接ピクセルラインのより多い若しくは少ないブロックも当業者によって適用されることができる。
【0024】
特に、こうしたピクセルラインブロックは時間遅延積分(TDI)ブロックとして使用されることができる。TDIブロックはラインがY方向に沿ってのび、列がX方向に沿ってのびるピクセルの2Dアレイとみなされ得る。TDIアクションは列に沿って起こる。このTDIアクションは、センサに対するオブジェクトの動きと同期して電荷が列に沿って移動される、従来のCCD方式TDIであることができる。代替的に、デジタルドメインにおけるTDIが使用されてもよく、ここではピクセル電荷が最初にデジタル数へ変換され、そしてセンサに対するオブジェクトの動きと同期してデジタルドメインへ移動される。このデジタルTDIはイメージセンサ自体の上で、又はFPGAなどの計算ユニットにおいて若しくはコンピュータにおいて"オフチップ"で起こり得る。両方のTDIの態様が本発明の一部である。本発明のかかる実施形態に従ってTDIを使用するより詳細な実施例は
図4との関連で説明される。
【0025】
本発明の別の実施形態例によれば、TDIの原理と一致する、例えば前述の2つのTDI手順と一致する、イメージングセンサを制御するように構成される制御モジュールが提供される。本発明の別の実施形態例によれば、第1及び第2のブロックに加えて、センサはY方向に沿ってのびる複数の隣接ピクセルラインの追加ブロックも有する。各ブロックはn個の隣接ピクセルラインから成り、nは整数であり、以下の関係:2≦n≦8、特にn=4が当てはまる。
【0026】
本発明の別の実施形態例によれば、ピクセルライン間若しくはブロック間のイメージングセンサの各非感光性ギャップはセンサのピクセルの少なくともm幅の幅を持ち、mは整数である。さらに、以下の関係:8≦m≦20、特にm=13が当てはまる。
【0027】
本発明の発明者らはピクセルから読み出し電子機器を外すこととのトレードオフがあることを発見した。読み出し電子機器をピクセルの感光性部分からあまりに遠くに動かすことは、長いラインにおけるノイズとカップリングに起因する画質の低下につながり得る。しかしながら、読み出し電子機器をピクセル内に持つことはピクセルの感光性部分のサイズ、すなわちフィルファクタの低減につながり、画質の低下にもつながる。ここに開示される範囲は、センサを傾斜三次元及び/又はオートフォーカスセンサとして使用するときの、フィルファクタ、ピクセルの感光性エリアと読み出し電子機器との間の距離、及び深さ分解能の間での最適条件である。特に、4ラインのTDIピクセルとTDIブロック間の13ピクセル幅ギャップを用いることが、前述のトレードオフを考慮して最適な組み合わせを提供することがわかった。しかしながら、この実施形態例に従って、1つのTDIブロックの行の数は2から8の間で異なってもよく、上記TDIブロック間のギャップの幅は8から20ピクセルの間で異なってもよい。
【0028】
本発明の別の実施形態例によれば、イメージングセンサはマイクロレンズを有さない。マイクロレンズを回避することは、例えばスキャンイメージシステム若しくはデジタルスキャン顕微鏡の光路において傾斜したセンサを置くために重要である。読み出し電子機器、センサの論理回路及び結合回路を、ピクセルの光活性ライン間のギャップへ動かすことは、低照度中に複雑でエラーを起こしやすいマイクロレンズが必要ないように、フィルファクタを増加若しくは最大化する。
【0029】
本発明の別の実施形態例によれば、イメージングセンサの各非感光性ギャップはセンサのピクセルの少なくとも1幅の幅を持つ。
【0030】
本発明の別の実施形態例によれば、スキャンイメージングシステムはサンプルをイメージングするためのデジタルスキャン顕微鏡である。
【0031】
本発明の別の実施形態例によれば、前述及び後述の実施形態のいずれかにかかるイメージングセンサの使用が提示され、イメージングセンサは病理学サンプルの画像を生成するために使用される。
【0032】
感光性ピクセルライン間のギャップを有するイメージングセンサを提供することが本発明の要旨とみなされ、このギャップは感光性でなく、ピクセルの読み出し電子機器を有する。さらに、傾斜経路において使用される従来の二次元イメージセンサと同じ面積をカバーする、単一ダイ上の複数のTDIラインセンサから基本的に構成される、新規のイメージングセンサ設計が提示される。一実施形態において、センサは単一ダイ上の複数のTDIラインセンサの組み合わせを有する。TDIラインセンサはセンサの論理回路と結合回路で充填されるギャップによって分離されることを特徴とする。本明細書で説明される原理は、とりわけフォトダイオードに関連付けられるCVCのような、電子回路のために上記ギャップを持つセルフフォーカシングセンサにおいて特に適用され得る。
【0033】
本発明のこれらの及び他の特徴は以降に記載の実施形態から明らかとなり、それらを参照して解明される。
【0034】
本発明の実施形態例は以下の図面において記載される。