特許第6203978号(P6203978)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6203978
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】立体像結像装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/22 20060101AFI20170914BHJP
   G02B 5/08 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   G02B27/22
   G02B5/08 C
   G02B5/08 Z
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-81317(P2017-81317)
(22)【出願日】2017年4月17日
【審査請求日】2017年4月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598033848
【氏名又は名称】株式会社アスカネット
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【弁理士】
【氏名又は名称】来田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】大坪 誠
【審査官】 堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−90117(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/131128(WO,A1)
【文献】 特開2017−72681(JP,A)
【文献】 特開2004−354973(JP,A)
【文献】 特開2009−175551(JP,A)
【文献】 特開2002−221611(JP,A)
【文献】 特開2016−69667(JP,A)
【文献】 特開2009−271263(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/008192(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/22
G02B 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ立設状態で隙間を有して平行配置された帯状光反射面を多数備える第1、第2の光制御パネルを、それぞれの前記帯状光反射面を平面視して直交させて、重ね合わせて形成する立体像結像装置の製造方法であって、
透明板材の表側に、傾斜面と垂直面とを有する断面三角形の溝、及び隣り合う前記溝によって形成される断面三角形の凸条がそれぞれ平行配置された前記第1、第2の光制御パネルの成型母材を、第1の透明樹脂からプレス成型、インジェクション成型及びロール成型のいずれか1によって製造する第1工程と、
前記各成型母材の前記溝の垂直面のみに選択的に鏡面を形成して、前記第1、第2の光制御パネルの中間母材を製造する第2工程と、
対となる前記中間母材の前記凸条を向かい合わせた状態で、前記第1の透明樹脂より融点が低い第2の透明樹脂のシートを挟み込み、真空状態で加熱かつ押圧して、対向する前記中間母材のそれぞれの前記溝を前記第2の透明樹脂によって充填する第3工程とを有する立体像結像装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の立体像結像装置の製造方法において、前記溝の深さをdとすると、前記第2の透明樹脂のシートの厚みt1は、t1>dとなっていることを特徴とする立体像結像装置の製造方法。
【請求項3】
それぞれ立設状態で隙間を有して平行配置された帯状光反射面を多数備える第1、第2の光制御パネルを、それぞれの前記帯状光反射面を平面視して直交させて、重ね合わせて形成する立体像結像装置の製造方法であって、
透明板材の表側に、傾斜面と垂直面とを有する断面三角形の溝、及び隣り合う前記溝によって形成される断面三角形の凸条がそれぞれ平行配置された前記第1、第2の光制御パネルの成型母材を、第1の透明樹脂からプレス成型、インジェクション成型及びロール成型のいずれか1によって製造する第1工程と、
前記各成型母材の前記溝の垂直面のみに選択的に鏡面を形成して、前記第1、第2の光制御パネルの中間母材を形成する第2工程と、
前記溝及び前記凸条が形成された前記各中間母材の表面に、前記第1の透明樹脂より融点が低い第2の透明樹脂のシートを配置して、真空状態で加熱かつ押圧して、それぞれの前記溝に前記第2の透明樹脂を充填する第3工程を有して、前記第1、第2の光制御パネルをそれぞれ形成することを特徴とする立体像結像装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の立体像結像装置の製造方法において、前記溝の深さをdとすると、前記第2の透明樹脂のシートの厚みt1は、2×t1>dとなっていることを特徴とする立体像結像装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1記載の立体像結像装置の製造方法において、前記第2工程での前記垂直面への鏡面の選択形成は、前記傾斜面に沿った方向から該傾斜面に平行又は該傾斜面が影になるようにして、前記垂直面に向けてスパッターリング、金属蒸着、金属微小粒子の吹き付け、又はイオンビームの照射をすることにより行うことを特徴とする立体像結像装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1記載の立体像結像装置の製造方法において、前記傾斜面は平面又は内側に窪む凹面であることを特徴とする立体像結像装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1記載の立体像結像装置の製造方法において、前記溝の断面三角形のボトムコーナー部及び前記凸条の断面三角形のトップコーナー部には、それぞれ微小平面部が形成されていることを特徴とする立体像結像装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1記載の立体像結像装置の製造方法において、前記第2の透明樹脂の屈折率η2は、前記第1の透明樹脂の屈折率η1の0.8〜1.2倍の範囲にあることを特徴とする立体像結像装置の製造方法。
【請求項9】
透明板材の両側に垂直面と傾斜面を有する断面三角形の第1、第2の溝、及び隣り合う前記第1、第2の溝によって形成される断面三角形の第1、第2の凸条がそれぞれ形成され、かつ前記透明板材の両側にそれぞれ形成された前記第1、第2の溝が平面視して直交して配置される第1の透明樹脂からなる成型母材を、プレス成型、インジェクション成型、又はロール成型によって製造する第1工程と、
前記成型母材の両側にある前記第1、第2の溝の前記垂直面に、選択的に鏡面を形成して中間母材を形成する第2工程と、
前記第1、第2の溝及び前記第1、第2の凸条が形成された前記中間母材の両面に、前記第1の透明樹脂より融点が低い第2の透明樹脂のシートを配置して、真空状態で加熱かつ押圧して、前記第1、第2の溝に前記第2の透明樹脂を充填する第3工程を有することを特徴とする立体像結像装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状の光反射面(鏡面)が平行に並べて配置された第1、第2の光制御パネル(平行光反射パネル)を、それぞれの光反射面が平面視して直交した状態で、隙間を有して又は隙間なく重ね合わせて(又は一体化して)形成した立体像結像装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物体表面から発する光(散乱光)を用いて立体像を形成する装置として、例えば、特許文献1に記載の立体像結像装置(光学結像装置)がある。
この結像装置は、2枚の透明平板の内部に、この透明平板の厚み方向に渡って垂直に多数かつ帯状で、金属反射面(鏡面)からなる光反射面を一定のピッチで並べて形成した第1、第2の光制御パネルを有し、この第1、第2の光制御パネルのそれぞれの光反射面が平面視して直交するように、第1、第2の光制御パネルの一面側を向い合わせて密着させたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2009/131128号公報
【特許文献2】国際公開第2015/033645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した第1、第2の光制御パネルの製造に際しては、金属反射面が一面側に形成された一定厚みの板状の透明合成樹脂板やガラス板(以下、「透明板」ともいう)を、金属反射面が一方側に配置されるように多数枚積層して積層体を作製し、この積層体から各金属反射面に対して垂直な切り出し面が形成されるように切り出している。
このため、透明板に金属反射面を形成する作業において大型の蒸着炉を必要とし、しかも、1枚又は少数枚の透明板を蒸着炉に入れて脱気して高真空にした後、蒸着処理を行い、大気圧に開放して蒸着した透明板を取り出すという作業を百回以上繰り返す必要があり、極めて手間と時間のかかる作業であった。また、金属蒸着された透明板を積層して積層体を形成し、極めて薄い所定厚で切断する作業を行って、この積層体から第1、第2の光制御パネルを切り出し、更にこれら第1、第2の光制御パネルの切り出し面(両面)の研磨作業等を行う必要があるため、作業性や製造効率が悪かった。
【0005】
そこで、特許文献2のように、平行な土手によって形成される断面四角形の溝が一面に形成され、この溝の対向する平行な側面に光反射部が形成された凹凸板材を備えた光制御パネルを2つ用意し、この2つの光制御パネルを、それぞれの光反射部を直交又は交差させた状態で向い合わせる方法が提案されている。
しかしながら、インジェクション成型時に、凹凸板材の土手の高さを高くすると(即ち、溝の深さを深くすると)脱型が極めて困難となるという問題があった。更に、平行溝の側面のみを均一に鏡面化するのは難しく、製品にバラツキが多いという問題があった。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、製造が比較的容易で鮮明な立体像を得ることが可能な立体像結像装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う第1の発明に係る立体像結像装置の製造方法は、それぞれ立設状態(ここで、立設状態とは、第1、第2の光制御パネルの面に対して垂直となることをいう)で、隙間を有して平行配置された帯状光反射面を多数備える第1、第2の光制御パネルを、それぞれの前記帯状光反射面を平面視して直交させて、隙間を設けて又は隙間無しで重ね合わせて形成する立体像結像装置の製造方法であって、
透明板材の表側に、傾斜面と垂直面とを有する断面三角形の溝、及び隣り合う前記溝によって形成される断面三角形の凸条がそれぞれ平行配置された前記第1、第2の光制御パネルの成型母材を、第1の透明樹脂からプレス成型、インジェクション成型及びロール成型のいずれか1によって製造する第1工程と、
前記各成型母材の前記溝の垂直面のみに選択的に鏡面を形成して、前記第1、第2の光制御パネルの中間母材を製造する第2工程と、
対となる前記中間母材の前記凸条を向かい合わせた状態で、前記第1の透明樹脂より融点が低い第2の透明樹脂のシートを挟み込み、真空状態で加熱かつ押圧して、対向する前記中間母材のそれぞれの前記溝を前記第2の透明樹脂によって充填する第3工程とを有する。
【0008】
第1の発明に係る立体像結像装置の製造方法において、前記溝の深さをdとすると、前記第2の透明樹脂のシートの厚みt1は、t1>d(更に詳細には、2d>t1>d)となっているのが好ましい。
【0009】
また、前記目的に沿う第2の発明に係る立体像結像装置は、それぞれ立設状態で隙間を有して平行配置された帯状光反射面を多数備える第1、第2の光制御パネルを、それぞれの前記帯状光反射面を平面視して直交させて、重ね合わせて形成する立体像結像装置の製造方法であって、
透明板材の表側に、傾斜面と垂直面とを有する断面三角形の溝、及び隣り合う前記溝によって形成される断面三角形の凸条がそれぞれ平行配置された前記第1、第2の光制御パネルの成型母材を、第1の透明樹脂からプレス成型、インジェクション成型及びロール成型のいずれか1によって製造する第1工程と、
前記各成型母材の前記溝の垂直面のみに選択的に鏡面を形成して、前記第1、第2の光制御パネルの中間母材を形成する第2工程と、
前記溝及び前記凸条が形成された前記各中間母材の表面に、前記第1の透明樹脂より融点が低い第2の透明樹脂のシートを配置して、真空状態で加熱かつ押圧して、それぞれの前記溝に前記第2の透明樹脂を充填する第3工程を有して、前記第1、第2の光制御パネルをそれぞれ形成する。ここで、断面三角形の溝の傾斜面は平面の他、断面が内側に窪む凹面、多角面(多角形の一部からなる)を含む。
【0010】
第2の発明に係る立体像結像装置の製造方法において、前記溝の深さをdとすると、前記第2の透明樹脂のシートの厚みt1は、2×t1>d(更に詳細には、2d>2×t1>dとなっているのが好ましい。
【0011】
第1、第2の発明に係る立体像結像装置の製造方法において、前記第2工程での前記垂直面への鏡面の選択形成は、前記傾斜面に沿った方向から、該傾斜面に平行又は該傾斜面が影になるようにして、前記垂直面に向けてスパッターリング、金属蒸着、金属微小粒子の吹き付け、又はイオンビームの照射、その他の方法で金属粒の照射をすることにより行うのが好ましい(第3の発明に係る立体像結像装置の製造方法にも適用可能である)。
【0012】
また、第1、第2の発明に係る立体像結像装置の製造方法において、前記傾斜面は平面又は内側に窪む凹面であるのが好ましい。
第1、第2の発明に係る立体像結像装置の製造方法において、前記溝の断面三角形のボトムコーナー部及び前記凸条の断面三角形のトップコーナー部には、それぞれ微小平面部が形成されているのが好ましい。
【0013】
そして、第1、第2の発明に係る立体像結像装置の製造方法において、前記第2の透明樹脂の屈折率η2は、前記第1の透明樹脂の屈折率η1の0.8〜1.2倍(より好ましくは、0.9〜1.1倍、、更に好ましくは、0.96〜1.04倍)の範囲にあるのが好ましい。溝と凸条の断面が三角形となって、これらを構成する第1の透明樹脂と第2の透明樹脂の屈折率が異なると、プリズム現象を起こし易いが、この発明においては、第1、第2の透明樹脂の屈折率を同一又は近似させているので、プリズム現象が発生し難い。
【0014】
第3の発明に係る立体像結像装置の製造方法は、透明板材の両側に垂直面と傾斜面を有する断面三角形の第1、第2の溝、及び隣り合う前記第1、第2の溝によって形成される断面三角形の第1、第2の凸条がそれぞれ形成され、かつ前記透明板材の両側にそれぞれ形成された前記第1、第2の溝が平面視して直交して配置される第1の透明樹脂からなる成型母材を、プレス成型、インジェクション成型、又はロール成型によって製造する第1工程と、
前記成型母材の両側にある前記第1、第2の溝の前記垂直面に、選択的に鏡面を形成して中間母材を形成する第2工程と、
前記第1、第2の溝及び前記第1、第2の凸条が形成された前記中間母材の両面に、前記第1の透明樹脂より融点が低い第2の透明樹脂のシートを配置して、真空状態で加熱かつ押圧して、前記第1、第2の溝に前記第2の透明樹脂を充填する第3工程を有する。
【発明の効果】
【0015】
第1〜第3の発明に係る立体像結像装置の製造方法は、プレス成型、インジェクション成型及びロール成型のいずれか1で製造された成型母材が使用され、成型母材には傾斜面と垂直面を有する溝が平行に多数形成されている。この溝は開放側に広くなるので、押型又は脱型が容易となり、(溝の深さ)/(溝の幅)で定義されるアスペクト比の高い立体像結像装置を比較的安価に製造できる。
【0016】
ここで、垂直面を選択的に鏡面化するには、傾斜面に沿った方向から垂直面に向けて、周知の方法であるスパッターリング、金属蒸着、金属微小粒子の吹き付け、又はイオンビームの照射を行って、垂直面のみに金属被膜を形成する。傾斜面を平面、更に内側に窪む凹面にすることで、溝の傾斜面に鏡面が形成されるのを極力防止できる。
【0017】
特に、中間母材の溝が形成された面に、第1の透明樹脂より融点が低い第2の透明樹脂からなるシートを被せて、真空状態で加熱かつ押圧して、第2の透明樹脂を溝内に充填しているので、第1の透明樹脂の形状を保ったまま、溝を埋めることができる。
なお、第1の透明樹脂と第2の透明樹脂の屈折率を同一とする又は近づけることによって、より歪みの少ない立体像を再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(A)、(B)はそれぞれ本発明の第1の実施の形態に係る立体像結像装置の製造方法によって製造された立体像結像装置の正断面図及び側断面図である。
図2】(A)、(B)はそれぞれ同製造方法を示す正断面図及び側断面図である。
図3】(A)、(B)は同製造方法の説明図であり、(C)、(D)はそれぞれ変形例に係る中間母材の溝及び凸条の部分拡大側断面図である。
図4】本発明の第2の実施の形態に係る立体像結像装置の製造方法の説明図である。
図5】(A)、(B)はそれぞれ同製造方法で形成された第1、第2の光制御パネルの説明図である。
図6】(A)、(B)はそれぞれ本発明の第3の実施の形態に係る立体像結像装置の製造方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
続いて、本発明の実施の形態に係る立体像結像装置及びその製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図1(A)、(B)に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る立体像結像装置の製造方法によって製造された立体像結像装置10は、それぞれ立設状態で隙間を有して平行配置された帯状光反射面11、12を多数備える第1、第2の光制御パネル13、14を、それぞれの帯状光反射面11、12を平面視して直交させて、重ね合わせて形成されている。
【0020】
この立体像結像装置10の製造にあっては、図3(A)に示すように、透明板材16の表側に、傾斜面17と垂直面18とを有する断面三角形の溝19、及び隣り合う溝19によって形成される断面三角形の凸条20がそれぞれ所定ピッチwで平行配置された第1、第2の光制御パネル13、14の成型母材22を第1の透明樹脂を原料として、インジェクション成型(又はプレス成型若しくはロール成型)によって製造する。この第1の透明樹脂として、比較的融点の高い熱可塑性樹脂(例えば、ゼオネックス(ZEONEX:登録商標、ガラス転移温度:120〜160℃、屈折率:1.535、シクロオレフィンポリマー))を使用するのが好ましい。その他、透明樹脂としては、ポリメチルメタルクレート(アクリル系樹脂)、非晶質フッ素樹脂、PMMA、光学用ポリカーボネイト、フルオレン系ポリエステル、ポリエーテルスルホン等の熱可塑性樹脂を使用することができるが、特に融点、透明度の高いものを使用するのが好ましい。
【0021】
成型母材22は、成型後、アニーリング処理を行って、残留応力等を除去するのが好ましい。また、溝19の底部(ボトムコーナー部)21及び凸条20の頂部(トップコーナー部)21aには、微小平面部23、24が設けられている。微小平面部23、24の幅は、例えば、凸条20のピッチwの0.01〜0.1倍程度とするのがよい。
なお、溝19の深さdは、(0.8〜5)wとするのが好ましい。これによってアスペクト比(鏡面の高さd/鏡面のピッチw)が0.8〜5の光反射面が得られる(以上、第1工程)。
【0022】
次に、図3(B)に示すように、成型母材22の溝19の垂直面18のみに選択的に鏡面を形成して、傾斜面17には鏡面を形成せず、透明の状態を保持する処理を行う。この垂直面18への鏡面の選択形成は、図3(B)に示すように、傾斜面17に沿った方向から、傾斜面17に平行又は傾斜面17が影になるようにして、真空中又は低圧下で、垂直面18に向けてスパッターリング、金属蒸着、金属微小粒子の吹き付け、又はイオンビームの照射、その他の方法で金属粒子の照射をすることにより行う。この場合、金属粒子の照射方向26(角度θ2)は、僅少の範囲で傾斜面17の角度θ1より寝せる(即ち、θ1>θ2)のが好ましい。これによって、傾斜面17に金属粒子が付着するのを減らす又は無くすことができる。
以上の処理によって、垂直面18のみが鏡面化されて垂直光反射面27(第1、第2の光制御パネル13、14の帯状光反射面11、12となる)が形成され、第1、第2の光制御パネル13、14の中間母材28が製造される(以上、第2工程)。
【0023】
なお、この実施の形態においては、傾斜面17が平面であり、僅少の範囲ではあるが、垂直面18の鏡面化中に傾斜面17にも金属粒子が付着することがあるので、図3(C)、(D)に示すように、傾斜面29、30を多角形の一部を用いた凹面、円弧状の凹面とすることもできる(以下の実施の形態においても同じ)。本発明の傾斜面にはこれらの凹面も含まれる。これら内側に窪む凹面の成型及び脱型は容易である。なお、図面上においては、凹面を含む傾斜面は平面として記載する場合もある。
【0024】
これによって、図2(A)、(B)に示すように、第1、第2の光制御パネル13、14の中間母材28が形成されるので、対となる中間母材28の凸条20を向かい合わせた状態で、第1の透明樹脂より融点が低い第2の透明樹脂のシート32を挟み込み、真空状態で加熱かつ押圧して、第2の透明樹脂のみを溶解し、対向する中間母材28のそれぞれの溝19を第2の透明樹脂によって充填する(以上、第3工程)。
なお、ここで、溝19の深さをdとすると、第2の透明樹脂のシート32の厚みt1は、t1>d(更に詳細には、2d>t1>d)となっている。シート32を所定値より厚くすることによって、溝19を第2の透明樹脂によって完全に埋めることができる。なお、溝19内への樹脂が不足すると、空間が形成されるので、第2の透明樹脂は溝19から溢れる程度がよい。
【0025】
以上の処理によって、図1(A)、(B)に示すように、第1、第2の光制御パネル13、14の凸条20が向かい合った立体像結像装置10が完成する。なお、第1、第2の光制御パネル13、14のベース部(即ち、成型母材22)は、第1の透明樹脂からなって、その露出面33、34は完全平面となっている。
また、第2の透明樹脂は、例えば、ゼオノア(ZEONOR:登録商標、ガラス転移温度:100〜102℃のもの、屈折率:1.53、シクロオレフィンポリマー)を使用するのが好ましいが、その他の透明樹脂で、融点が第1の透明樹脂より低く、透明度が高く、更に、屈折率が第1の透明樹脂に近いものであれば代替可能である。
【0026】
この立体像結像装置10の動作を、図1(A)、(B)を参照して説明すると、図示しない対象物から光L1はP1で第2の光制御パネル14に入光し、第2の光制御パネル14の(垂直光反射面27からなる)帯状光反射面12にP2で反射し、第1の光制御パネル13に入光し、第1の光制御パネル13の(垂直光反射面27からなる)帯状光反射面11のP3で反射し、P4の位置で第1の光制御パネル13から空中に出て行き結像する。ここで゛図1(A)のQ1で第1の透明樹脂から第2の透明樹脂に、Q2で第2の透明樹脂から第1の透明樹脂に入光するが、第1、第2の透明樹脂の屈折率が略同じであるので、全反射等の現象は起こらない。また、図1(B)のS1、S2でも、異なる物質間を通過するが、屈折率が似ているので、全反射等は起こらない。
なお、P1、P4の位置でも屈折を起こすが、P1、P4の屈折は相殺する。また、帯状光反射面11、12は表裏(図1では左右)いずれの側にも光反射面を形成する。
【0027】
続いて、図4を参照しながら、本発明の第2の実施の形態に係る立体像結像装置の製造方法を説明する。
第1の実施の形態に係る立体像結像装置の製造方法において、図3(A)、(B)に示す第1工程、第2工程を経て、第1の光制御パネル13の中間母材28を製造する。この中間母材28と第2の透明樹脂からなるシート36を重ねて、加熱機構を有する平面プレス37の間に配置する。この場合、中間母材28の凸条20がシート36に接するようにする。シート36の厚みは溶解した場合、溝19a内を完全に埋める量が必要である。
【0028】
次に、真空状態にして、第2の透明樹脂が溶解し第1の透明樹脂が溶解しない温度に加熱かつ押圧して、第2の透明樹脂で溝19aを完全に埋める。その後冷却して第1の光制御パネル13を得ることになるので、同一方法で第2の制御パネル14を製造する(図5(A)、(B)参照、以上、第3工程)。そして、第1の光制御パネル13の帯状光反射面11を形成する垂直面光反射面27と、第2の光制御パネル14の帯状光反射面12を形成する垂直光反射面27が平面視して直交(88〜92度の範囲)するようにして、第1、第2の光制御パネル13、14を重ね合わせて、透明樹脂等を用いて密封(例えば、真空状態で)接合する。
第1、第2の光制御パネル13、14の向きは、凸条20が形成された表側を接するようにして重ねる場合、第1、第2の光制御パネル13、14の表側と裏側を接合する場合、第1、第2の光制御パネル13、14の裏側同士を接合する場合がある。
【0029】
図4に示す方法では、第1、第2の光制御パネル13、14を別々に製造したが、第1、第2の光制御パネル13、14の中間母材28と第2の透明樹脂のシート36を重ねた状態で、平板プレス37に載せて、真空状態で加熱かつ押圧することもできる。
【0030】
図6(A)、(B)に示すように、本発明の第3の実施の形態に係る立体像結像装置の製造方法は、第1の透明樹脂からなる透明板材40の両側に垂直面41、42と傾斜面43、44を有する断面三角形の第1、第2の溝45、46、及び隣り合う第1、第2の溝45、46によって形成される断面三角形の第1、第2の凸条47、48がそれぞれ形成され、かつ透明板材40の両側にそれぞれ形成された第1、第2の溝45、46が平面視して直交(交差)して配置される成型母材50を、プレス成型、インジェクション成型、又はロール成型によって製造する(以上、第1工程)。なお、この実施の形態では傾斜面43、44は内側に円弧状の窪みを有する凹面としているが、平面、断面多角形の一部を用いた凹面であってもよい。
【0031】
次に、垂直面41、42に対してのみ、第1の実施の形態に係る立体像結像装置の製造方法に記載した手順と同一の方法で鏡面処理を行う。これによって、第1、第2の光制御パネルの帯状光反射面として機能する垂直光反射面51、52が形成されて、中間母材53となる(以上、第2工程)。この中間母材53の上下に第2の透明樹脂からなるシート54、55を配置し、平面プレス56の間に挟み、周囲を真空にして加熱しながら(具体的には真空加熱炉に入れて)、押圧する。これによって、第1の透明樹脂は溶けないが第2の透明樹脂は溶けて液体化し、第1、第2の溝45、46を埋めつくす(以上、第3工程)。これによって、上下面が完全平面となって、第1、第2の光制御パネルが一体となった立体像結像装置が完成する。なお、第1の透明樹脂、第2の透明樹脂の素材は、第1の実施の形態に係る立体像結像装置の製造方法と同様である。
【0032】
第2、第3の実施の形態に係る立体像結像装置の製造方法において、溝19a、45、46の深さをdとすると、第2の透明樹脂のシート36、54、55の厚みt1は、2×t1>d(更に詳細には、2d>2×t1>d)となっているのが好ましい。これによって、溝19a、45、46が加熱されて液体化した第2の透明樹脂によって埋まる。
【0033】
そして、第1〜第3の実施の形態に係る立体像結像装置の製造方法において、第2の透明樹脂の屈折率η2は、第1の透明樹脂の屈折率η1の0.8〜1.2倍(より好ましくは、0.9〜1.1倍)の範囲にあるのが好ましいが、本発明はこの屈折率には限定されない。
【0034】
本発明は以上の実施の形態に限定されるものではなく、それぞれの実施の形態に係る立体像結像装置の製造方法を組み合わせて、立体像結像装置を製造する場合も本発明は適用される。なお、以上の実施の形態では、帯状光反射面となる垂直光反射面(鏡面)は溝の垂直面に鏡面処理によって形成される金属被膜の両側に形成される。
以上の発明において、第2の透明樹脂の表面の平面化処理はプレス等で押す場合、金型で成型する場合の他、切削又は研磨により形成する場合も含む。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明に係る立体像結像装置の製造方法は、アスペクト比の比較的高い立体像結像装置を容易にかつ安価に製造できる。これによって、立体像結像装置を、映像を必要とする機器(例えば、医療機器、家庭電気製品、自動車、航空機、船舶等)で有効に利用できる。
【符号の説明】
【0036】
10:立体像結像装置、11、12:帯状光反射面、13:第1の光制御パネル、14:第2の光制御パネル、16:透明板材、17:傾斜面、18:垂直面、19、19a:溝、20:凸条、21:底部、21a:頂部、22:成型母材、23、24:微小平面部、26:照射方向、27:垂直光反射面(帯状光反射面)、28:中間母材、29、30:傾斜面、32:シート、33、34:露出面、36:シート、37:平面プレス、40:透明板材、41、42:垂直面、43、44:傾斜面、45、46:溝、47、48:凸条、50:成型母材、51、52:垂直光反射面、53:中間母材、54、55:シート、56:平面プレス
【要約】
【課題】製造が比較的容易で鮮明な立体像を得ることが可能な立体像結像装置の製造方法を提供する。
【解決手段】透明板材16の表側に、傾斜面17と垂直面18とを有する断面三角形の溝19、及び隣り合う溝19によって形成される断面三角形の凸条20がそれぞれ平行配置された第1、第2の光制御パネル13、14の成型母材22を、第1の透明樹脂からインジェクション成型等によって製造する第1工程と、各成型母材22の溝19の垂直面18のみに選択的に鏡面を形成して、第1、第2の光制御パネル13、14の中間母材28を製造する第2工程と、対となる中間母材28の凸条20を向かい合わせた状態で、第1の透明樹脂より融点が低い第2の透明樹脂のシート32を挟み込み、真空状態で加熱かつ押圧して、対向する中間母材28のそれぞれの溝19を第2の透明樹脂によって充填する第3工程とを有する。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6