(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記再加熱工程は、前記加熱工程における加熱温度〜前記熱可塑性樹脂フィルムを構成する樹脂のTm(融点)以下の温度で行う、請求項4に記載の附形フィルムの製造方法。
前記熱可塑性樹脂フィルムを湾曲させる前記工程および湾曲した前記熱可塑性樹脂フィルムを再度加熱する前記工程は、前記第1成形用部材に前記熱可塑性樹脂フィルムが載置された状態で一連の工程として行われる、請求項4または5に記載の附形フィルムの製造方法。
前記熱可塑性樹脂フィルムが、ポリビニルアルコール製フィルム、ポリエステル製フィルム、ポリアミド製フィルム、ポリイミド製フィルム、ポリオレフィン製フィルム、ポリ塩化ビニル製フィルムおよびポリカーボネート製フィルムから選択される、請求項1〜10のいずれかに記載の附形フィルムの製造方法。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1〜8に記載の技術は、以下の点で改善の余地があった。
特許文献1〜6に記載のような、金型の表面にフィルムを押圧または密着させて附形する方法においては、金型表面に異物が存在している場合、附形フィルムに異物の形状が転写され、所望の表面形状が得られない場合があった。さらに、附形フィルム表面に異物が付着し、汚染される場合があった。このように、製品の歩留まりに改善の余地があった。
さらに、当該方法は、金型表面を常にクリーンな状態に保つ必要があり、金型のメンテナンスや管理が煩雑なものであり、製品の生産効率に改善の余地があった。
また、特許文献7のように、パッドを用いてフィルムを押圧して附形する方法においても、上記と同様な改善の余地があった。
【0010】
特許文献8に記載の技術は、フィルムによりラテックスをレンズ基材の凸面に押し広げるため、該フィルム自体に応力がかかり、フィルムの光学特性に影響を及ぼす場合があった。さらに、ラテックス層の厚みが不均一であると、所望の表面形状を有する附形フィルムが得られない場合があった。このように、製品の歩留まりに改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は以下に示すことができる。
[1] 一方に開口した第1空間部を備える第1成形用部材と、前記第1成形用部材が内部に配設された囲繞部材とを用い、
前記第1成形用部材の開口部を覆うように熱可塑性樹脂フィルムを載置するとともに、該熱可塑性樹脂フィルムを開口端部に固定する工程と、
前記熱可塑性樹脂フィルムを加熱する工程と、
前記熱可塑性樹脂フィルムの一方の面が前記第1空間部内に露出し、他方の面が囲繞部材内に露出した状態で、前記囲繞部材の内部または前記第1空間部内の一方を常圧に維持しつつ、他方を減圧することにより、前記熱可塑性樹脂フィルムを前記第1成形用部材の内壁面に接触しない状態で湾曲させる工程と、
前記熱可塑性樹脂フィルムの湾曲を、該熱可塑性樹脂フィルムの両面のうち少なくとも凸状の湾曲面が前記空間内に露出した状態で停止する工程と、
湾曲した前記熱可塑性樹脂フィルムを冷却する工程と、
を含む、附形フィルムの製造方法。
[2] 一方に開口した第1空間部を備える第1成形用部材と、前記第1成形用部材が内部に配設された囲繞部材とを用い、
前記第1成形用部材の開口部を覆うように熱可塑性樹脂フィルムを載置するとともに、該熱可塑性樹脂フィルムを開口端部に固定する工程と、
前記熱可塑性樹脂フィルムを加熱する工程と、
前記熱可塑性樹脂フィルムの一方の面が前記第1空間部内に露出し、他方の面が囲繞部材内に露出した状態で、前記囲繞部材の内部または前記第1空間部内の一方を常圧に維持しつつ、他方を加圧することにより、前記熱可塑性樹脂フィルムを前記第1成形用部材の内壁面に接触しない状態で湾曲させる工程と、
前記熱可塑性樹脂フィルムの湾曲を、該熱可塑性樹脂フィルムの両面のうち少なくとも凸状の湾曲面が前記空間内に露出した状態で停止する工程と、
湾曲した前記熱可塑性樹脂フィルムを冷却する工程と、
を含む、附形フィルムの製造方法。
[3] 一方に開口した第1空間部を備える第1成形用部材と、前記第1成形用部材が内部に配設された囲繞部材とを用い、
前記第1成形用部材の開口部を覆うように熱可塑性樹脂フィルムを載置するとともに、該熱可塑性樹脂フィルムを開口端部に固定する工程と、
前記熱可塑性樹脂フィルムを加熱する工程と、
前記熱可塑性樹脂フィルムの一方の面が前記第1空間部内に露出し、他方の面が囲繞部材内に露出した状態で、前記囲繞部材の内部または前記第1空間部内の一方を加圧し、他方を減圧することにより、前記熱可塑性樹脂フィルムを前記第1成形用部材の内壁面に接触しない状態で湾曲させる工程と、
前記熱可塑性樹脂フィルムの湾曲を、該熱可塑性樹脂フィルムの両面のうち少なくとも凸状の湾曲面が前記空間内に露出した状態で停止する工程と、
湾曲した前記熱可塑性樹脂フィルムを冷却する工程と、
を含む、附形フィルムの製造方法。
[4]
前記熱可塑性樹脂フィルムの湾曲を停止する前記工程の後であり、湾曲した前記熱可塑性樹脂フィルムを冷却する前記工程の前に、
湾曲した前記熱可塑性樹脂フィルムを再度加熱する工程を含む、[1]から[3]のいずれかに記載の附形フィルムの製造方法。
[5] 前記再加熱工程は、前記加熱工程における加熱温度〜前記熱可塑性樹脂フィルムを構成する樹脂のTm(融点)以下の温度で行う、[4]に記載の附形フィルムの製造方法。
[6] 前記熱可塑性樹脂フィルムを湾曲させる前記工程および湾曲した前記熱可塑性樹脂フィルムを再度加熱する前記工程は、前記第1成形用部材に前記熱可塑性樹脂フィルムが載置された状態で一連の工程として行われる、[4]または[5]に記載の附形フィルムの製造方法。
[7] 前記囲繞部材には、
前記熱可塑性樹脂フィルムを加熱する第1加熱手段または囲繞部材の内部を加熱する第2加熱手段と、
前記囲繞部材の内部または前記第1成形用部材の前記第1空間部内を加圧するための加圧手段、または前記囲繞部材の内部または前記第1成形用部材の前記第1空間部を減圧するための減圧手段と、
が設けられている、[1]から[6]のいずれかに記載の附形フィルムの製造方法。
[8] 前記加圧手段は、前記囲繞部材の内部または前記第1成形用部材の前記第1空間部内に媒体を装入する媒体導入手段を含む、[7]に記載の附形フィルムの製造方法。
[9] さらに、前記媒体を加熱するための第3加熱手段を含む、[8]に記載の附形フィルムの製造方法。
[10] さらに、湾曲する前記熱可塑性樹脂フィルムの位置を連続的に測定することのできる位置センサーと、
前記位置センサーによって測定された前記熱可塑性樹脂フィルムの位置に基づいて、前記加圧手段または前記減圧手段を制御する制御手段と、を備える、[7]〜[9]のいずれかに記載の附形フィルムの製造方法。
[11] 前記熱可塑性樹脂フィルムが、ポリビニルアルコール製フィルム、ポリエステル製フィルム、ポリアミド製フィルム、ポリイミド製フィルム、ポリオレフィン製フィルム、ポリ塩化ビニル製フィルムおよびポリカーボネート製フィルムから選択される、[1]〜[10]のいずれかに記載の附形フィルムの製造方法。
[12] [1]〜[11]のいずれかに記載の工程を含む、偏光フィルムの製造方法。
[13] [12]に記載の製造方法で得られた偏光フィルムの少なくとも一方の面にレンズ基材を積層する工程を備える、偏光レンズの製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の附形フィルムの製造方法によれば、金型等に非接触の状態で熱可塑性樹脂フィルムを附形させることができるので、表面に傷が付き難く、また、異物が付着し難いため、極めて滑らかな表面を有する略球面状を有する附形フィルムを簡便な方法で得ることができる。つまり、本発明の製造方法によれば、附形フィルムやこの附形フィルムを用いた光学材料等の製品の歩留まりが向上する。
さらに、金型のメンテナンスや管理を簡便なものとすることができるため、製品の生産効率が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の附形フィルムの製造方法は、
熱可塑性樹脂フィルムにより、空間を当該フィルムの一方の面側の第1空間と他方の面側の第2空間に区切るように、該熱可塑性樹脂フィルムを配置する工程と、
前記熱可塑性樹脂フィルムを加熱する工程と、
前記第1空間内と前記第2空間内との圧力差を利用して、空間内で前記熱可塑性樹脂フィルムを湾曲させる工程と、
前記熱可塑性樹脂フィルムの湾曲を、該フィルムの両面のうち少なくとも凸状の湾曲面が前記空間内に露出した状態で停止する工程と、
湾曲した前記フィルムを冷却する工程と、
を含む。
以下、本発明の附形フィルムの製造方法の実施の形態を、適宜図面を参照しながら説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0016】
本実施形態の附形フィルムの製造方法は以下の工程を含む。
工程a:熱可塑性樹脂フィルム18により、空間を当該フィルムの一方の面18a側の第1空間16と他方の面18b側の第2空間22に区切るように、熱可塑性樹脂フィルム18を配置する(
図1(a))。
工程b:熱可塑性樹脂フィルム18を加熱する。
工程c:第1空間16内と第2空間22内との圧力差を利用して、熱可塑性樹脂フィルム18を第2空間22内に湾曲させる(
図1(b))。
工程d:熱可塑性樹脂フィルム18の湾曲を、熱可塑性樹脂フィルム18の他方の面18bが第2空間22内に露出した状態で停止する。
工程e:湾曲した熱可塑性樹脂フィルム18を冷却する。
以下、各工程について説明する。
【0017】
(工程a)
工程aは、
図1(a)に示されるように、一方に開口した第1空間16を備える第1成形用部材14において、開口部を覆うように熱可塑性樹脂フィルム18を載置する。第1空間16には、熱可塑性樹脂フィルム18の一方の面18aが露出している。次いで、一方に開口した第2空間22を備える第2成形用部材24を用い、第2空間22内に熱可塑性樹脂フィルム18の他方の面18bが露出するように第2成形用部材24で他方の面18bを覆う。
【0018】
第1成形用部材14の開口端部と第2成形用部材24の開口端部は、嵌合することができ、熱可塑性樹脂フィルム18をこれらの開口端部間に固定することができる。
【0019】
第1成形用部材14および第2成形用部材24は、金属などで構成される。
第1空間16の形状は、附形工程において熱可塑性樹脂フィルム18が第1成形用部材14の空間16の内壁面に接触せず、熱可塑性樹脂フィルム18を加熱できれば特に限定されない。第2空間22の形状は、附形工程において第1空間16内と第2空間22内との圧力差を利用でき、さらに熱可塑性樹脂フィルム18を加熱できれば特に限定されない。
【0020】
第1成形用部材14は、熱可塑性樹脂フィルム18を加熱する第1加熱手段、第1空間16内部を加熱する第2加熱手段、
第1空間16内部を加圧するために媒体を第1空間16内部に装入する移送手段、
媒体を加熱する第3加熱手段、または第1空間16内部を減圧する減圧手段が設けられていてもよい。加熱された媒体が第1空間16内を循環できるように構成されていてもよい。さらに、第1成形用部材14は、密閉系でなくてもよい。
【0021】
第2成形用部材24は、熱可塑性樹脂フィルム18を加熱する第1加熱手段、第2空間22内部を加熱する第2加熱手段、第2空間22内部を加圧するために媒体を第2空間22内部に装入する移送手段、媒体を加熱する第3加熱手段、または第2空間22内部を減圧する減圧手段が設けられていてもよい。加熱された媒体が第2空間22内を循環できるように構成されていてもよい。さらに、第2成形用部材24は、密閉系でなくてもよい。
媒体は、熱可塑性樹脂フィルム18を加熱することができ、フィルムの表裏面に圧力差を与えることができれば特に限定されないが、例えば、空気、窒素等の不活性ガス、水蒸気、水等の液体などを挙げることができる。
第1加熱手段としては、赤外線照射装置、熱線照射装置、オーブン等を挙げることができる。第2加熱手段としては、オーブン等を挙げることができる。
【0022】
熱可塑性樹脂フィルム18としては、ポリビニルアルコール製フィルム、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等からなるポリエステル製フィルム、ポリアミド製フィルム、ポリイミド製フィルム、ポリオレフィン製フィルム、ポリ塩化ビニル製フィルム、ポリカーボネート製フィルム等を挙げることができる。熱可塑性樹脂フィルム18の膜厚は、得られる附形フィルムの用途によって好ましい膜厚が異なり、適宜選択することができる。これら熱可塑性樹脂フィルムは、二色性染料、調光色素、特定波長カット色素、染料、紫外線吸収剤などを含んでいてもよい。
【0023】
(工程b)
次いで、熱可塑性樹脂フィルム18を第1成形用部材14の開口端部と第2成形用部材24の開口端部で固定した状態で加熱する。
【0024】
後述する再加熱工程の有無や、熱可塑性樹脂フィルム18の延伸状態(有無と倍率)と材料、厚さにより加熱温度は変化するものの、延伸処理したポリエステル製フィルムの場合、加熱温度は30℃〜300℃、好ましくは100〜200℃、より好ましくは120〜180℃である。熱可塑性樹脂フィルム18の加熱温度は、当該フィルムが露出している空間内の、媒体の温度またはフィルムを囲んでいる周囲の温度を測定することにより確認することができる。
【0025】
熱可塑性樹脂フィルム18を加熱するには、第1成形用部材14および/または第2成形用部材24に設けられた第1加熱手段により、光および熱線等で加熱する方法、第1成形用部材14および/または第2成形用部材24に設けられた第2加熱手段により第1空間16内部および/または第2空間22内部を加熱する方法を挙げることができる。さらに、工程cにおいて、加熱された媒体を用いることで熱可塑性樹脂フィルム18を加熱することができる。
なお、加熱された媒体を第1空間16内に循環させる方法により、工程bと工程cを同時に行うことができる。
【0026】
(工程c)
次いで、第1空間16内と第2空間22内との圧力差を利用して、空間内で熱可塑性樹脂フィルム18を湾曲させる。なお、当該工程は工程bの温度を維持しながらまたは加熱しながら行われる。
【0027】
本工程のように、第1空間16内と第2空間22内との圧力差を生じさせるには、以下のような態様が挙げられる。
(i)第2成形用部材24を大気解放して第2空間22内を常圧に維持しつつ、媒体を第1空間16内に装入する。なお、加熱された媒体を第1空間16内に循環させる場合には、工程bと工程cを同時に行うことができる。
(ii)媒体を第1空間16内および第2空間22内に装入し、一方の空間の圧力を他方の空間よりも大きくする。なお、加熱された媒体を第1空間16内および/または第2空間22内に循環させる場合には、工程bと工程cを同時に行うことができる。
(iii)第2成形用部材24の減圧手段により第2空間22内を減圧しつつ、媒体を第1空間16内に装入する。なお、加熱された媒体を第1空間16内に循環させる場合には、工程bと工程cを同時に行うことができる。
(iv)第2成形用部材24の減圧手段により第2空間22内を減圧しつつ、第1成形用部材14を大気解放して第1空間16内を常圧に維持する。
(v)第1成形用部材14の減圧手段により第1空間16内を減圧するとともに、第2成形用部材24の減圧手段により第2空間22内を減圧し、一方の空間の圧力を他方の空間よりも大きくする。
【0028】
加圧する際の第1空間16内の圧力は、熱可塑性樹脂フィルム18の材質、温度とフィルム厚と所望の曲率半径により異なるものの、100〜200μm厚の延伸されたポリエステル製フィルムの場合、0.001〜0.4MPa程度である。第1空間16内および第2空間22内を加圧する場合は、熱可塑性樹脂フィルム18の材質、温度とフィルム厚と所望の曲率半径に基づき、圧力差を適宜設定することができる。
なお、当該工程における熱可塑性樹脂フィルム18の曲率半径は、フィルムの弾性力と印加される圧力との関係により一意的に決定される。
【0029】
工程cは、熱可塑性樹脂フィルム18において形成される湾曲形状の凸面または凹面の変形量、圧力等を確認することにより、熱可塑性樹脂フィルム18の湾曲を制御することができる。
本実施形態においては、工程cは、図示しない位置センサーで検出された熱可塑性樹脂フィルム18の位置変化に基づいて、熱可塑性樹脂フィルム18の湾曲量を制御する工程を含むことができる。
【0030】
位置センサーは第1空間16内または第2空間22内に設けることができる。位置センサーは、レーザー等で熱可塑性樹脂フィルム18の位置の変化を検知し、湾曲量を検知するように構成されている。そして、制御手段が、湾曲量に基づいて加圧手段または減圧手段の出力を制御することで、熱可塑性樹脂フィルム18の湾曲量を制御することができる。当該構成によれば、熱可塑性樹脂フィルム18の湾曲量を正確に設定することができ、湾曲形状を任意に設定することができる。なお、熱可塑性樹脂フィルム18の基準位置(変化量:0)は、例えば第1成形用部材14と第2成形用部材24との間に固定された熱可塑性樹脂フィルム18の位置とすることができる。
制御手段は、位置センサーが読み取った熱可塑性樹脂フィルム18の位置に基づいて、熱可塑性樹脂フィルム18の変化(湾曲量)を把握し、かつ加圧手段または減圧手段の出力を制御することができる。
【0031】
(工程d)
そして、熱可塑性樹脂フィルム18の湾曲を、熱可塑性樹脂フィルム18の他方の面18bが第2空間22内に露出した状態で停止する。これにより、熱可塑性樹脂フィルム18を成形型等と接触させることなく附形することができる。
工程dにおいては、工程cで用いられた位置センサーや制御手段等により、熱可塑性樹脂フィルム18を所望の形状となるまで湾曲させ、第2成形用部材24に非接触の状態で熱可塑性樹脂フィルム18の湾曲を停止することができる。
【0032】
本実施形態においては、湾曲した熱可塑性樹脂フィルム18の熱安定性を向上させる工程(ヒートセット工程)を含むことができる。
再度加熱する際の温度は、工程bにおける加熱温度と同じ温度またはそれ以上とすることができ、好ましくは加熱工程における加熱温度〜前記熱可塑性樹脂フィルムを構成する樹脂の融点以下とすることができる。通常再度加熱する場合は、加熱しながら一定時間保持するまたは収縮させることが好ましい。
【0033】
再加熱工程により、熱可塑性樹脂フィルム18の熱収縮などの寸法変化を低減させることができる。また、熱可塑性樹脂フィルム18が熱収縮する材料などで構成されている場合に、使用温度以上の温度である程度収縮させておくと、寸法安定性の効果(想定した使用温度での収縮をより小さく抑える)を高めることができる。
なお、本工程および熱可塑性樹脂フィルム18を湾曲させる工程cは、第1成形用部材に熱可塑性樹脂フィルム18が載置された状態で一連の工程として行うことができ、簡便な方法で附形フィルムを得ることができる。
【0034】
(工程e)
次いで、工程dで得られた、湾曲した熱可塑性樹脂フィルム18を冷却する。
当該工程は、別装置で行うこともできるが、熱可塑性樹脂フィルム18の加熱を終了し、加圧状態を維持しながら冷却することが好ましい。冷却するには、媒体の温度を下げる方法、加熱手段による加熱を終了し常温に戻す方法等を挙げることができる。
上記のような工程を含む本実施形態により、附形フィルムを得ることができる。
【0035】
[用途]
本実施形態の附形フィルムは、メガネ用あるいはサングラス用の偏光基材あるいは偏光板あるいは偏光フィルム、特定波長カットフィルム、調光フィルム、反射凹面鏡、集光反射板等の様々な用途に用いることができる。
以下、本実施形態の附形フィルムを偏光素子として用いた光学材料として、プラスチック偏光レンズについて説明する。
【0036】
[プラスチック偏光レンズ]
本実施形態のプラスチック偏光レンズとしては、上記の製造方法により得られた附形フィルム(偏光フィルム)と、当該偏光フィルムの少なくとも一方の面に積層されたプラスチックレンズ基材と、を備えたものを用いることができる。または、上記の製造方法により得られた附形フィルムからなる偏光基材あるいは偏光板のみで、プラスチック偏光レンズとして用いることもできる。
【0037】
偏光フィルムとしては、例えば、ヨウ素含有ポリビニルアルコール偏光フィルム、二色性染料含有ポリビニルアルコール偏光フィルム、二色性染料含有熱可塑性ポリエステル系偏光フィルム等など種々のものを用いることができる。ポリエステル系偏光フィルムはポリビニルアルコール偏光フィルムより成形し易くする目的で水分を含むこともできる。
偏光フィルムの厚さは通常1〜500μm、好ましくは10〜300μmの範囲である。
【0038】
偏光フィルムは、単層構造であってもよいが、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリアミド、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、環状オレフィンコポリマー、シクロオレフィンポリマー等からなるシートを偏光フィルムの両面あるいは片面に積層させた積層構造とすることもできる。
偏光基材あるいは偏光板の場合も、上記のシートを偏光基材あるいは偏光板の両面あるいは片面に積層させた積層構造とすることもできる。偏光基材あるいは偏光板の厚さは通常10〜2000μm、好ましくは10〜1000μmの範囲である。
【0039】
偏光フィルムは、レンズ基材樹脂との密着性を向上させるために、プライマー(コーティング)処理、薬品処理(反応性ガス、酸又はアルカリ等の薬液処理)、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、粗面化処理、火炎処理エッチング処理、洗浄処理などから選ばれる1種又は2種以上の前処理を行った上で使用してもよい。このような前処理のなかでも、プライマーコーティング処理、薬品処理、コロナ放電処理、プラズマ処理から選ばれる1種又は2種以上が特に好ましい。
レンズ基材を構成する樹脂としては、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を挙げることができる。
【0040】
熱硬化性樹脂としては、ウレタン樹脂、チオウレタン樹脂、アクリル樹脂、エピスルフィド樹脂、アリルジグリコールカーボネート樹脂等を挙げることができる。熱硬化性樹脂は、内部離型剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、油溶染料、調光色素、特定波長カット色素、ブルーイング剤、鎖延長剤、架橋剤、充填剤などを含んでいてもよい。
【0041】
熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリ塩化ビニルなどが挙げられる。これらを混合したアロイとして用いてもよい。
【0042】
これら熱可塑性樹脂には、各種の機能付与剤を添加することができる。機能付与剤としては、例えば紫外線吸収剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、調光色素、特定波長カット色素、顔料、染料、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、防曇剤、抗菌剤などが挙げられる。
【0043】
特に、混練工程や製品製造工程での溶融混練時に異物が発生するのを防止する目的で、リン系熱安定剤やヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加するのが好ましい。
【0044】
必要に応じて離型剤を配合することもできる。離型剤としては脂肪酸エステルが好適に用いられる。例えばステアリン酸モノグリセライド類、ステアリン酸ステアレート等の低級脂肪酸エステル類、セバシン酸ベヘネート等の高級脂肪酸エステル類、ペンタエリスリトールテトラステアレート等のエリスリトールエステル類が使用される。
【0045】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の様々な構成を採用することができる。
【0046】
例えば、
図2に示すように、一方に開口した第1空間部16を備える第1成形用部材14において、開口部を覆うように熱可塑性樹脂フィルム18を載置する。次いで、熱可塑性樹脂フィルム18を固定部材20により開口端部に固定する。このように、熱可塑性樹脂フィルム18の一方の面18a側の第1空間部16と、他方の面18b側の空間に区切るように、該熱可塑性樹脂フィルム18を配置する。
【0047】
そして、
図2に示すように、第1空間部16内を加圧して熱可塑性樹脂フィルム18を湾曲させる。なお、第1空間部16内を減圧して熱可塑性樹脂フィルム18を第1空間部16内に湾曲させることもできる。
【0048】
熱可塑性樹脂フィルム18の加熱工程は、光や赤外線により加熱する場合には、熱可塑性樹脂フィルム18の他方の面18b側から直接加熱することができる。そして、熱可塑性樹脂フィルム18を湾曲させる工程は、第1空間部16内を加圧することにより行うことができる。
【0049】
一方、
図2に示す方法は、図示しない囲繞部材内で行ってもよい。囲繞部材には、囲繞部材内部を加熱する加熱手段、囲繞部材内部を気体や水蒸気で加圧するための加圧手段、気体や水蒸気を加熱する加熱手段、第1空間16内部を加圧する加圧手段、第1空間16内部を減圧する減圧手段が設けられていてもよい。さらに、囲繞部材には、囲繞部材の内部および第1空間16内部を常圧に保つことができるように、大気解放が可能となるように構成されていてもよい。
【0050】
囲繞部材内で
図2に示す方法を行う場合、熱可塑性樹脂フィルム18を湾曲させる工程は、以下の態様を取り得る。
(1)囲繞部材の内部を常圧に維持しつつ、第1空間部16内を加圧することにより、熱可塑性樹脂フィルム18を湾曲させる。
(2)囲繞部材の内部および第1空間部16内を加圧し、第1空間部16内の圧力を囲繞部材の内部の圧力よりも大きくすることにより、熱可塑性樹脂フィルム18を湾曲させる。
(3)囲繞部材の内部を減圧し、第1空間部16内を加圧することにより、熱可塑性樹脂フィルム18を湾曲させる。
(4)囲繞部材の内部および第1空間部16内を減圧し、第1空間部16内の圧力が囲繞部材の内部の圧力よりも大きくすることにより、熱可塑性樹脂フィルム18を湾曲させる。
【0051】
図2においては、熱可塑性樹脂フィルム18を他方の面18b方向に湾曲させる態様により説明したが、第1空間部16内を減圧することにより熱可塑性樹脂フィルム18を一方の面18a方向に湾曲させる態様とすることもできる。
なお、囲繞部材内に配設される場合、熱可塑性樹脂フィルム18を湾曲させる工程は、以下の態様を取り得る。
(1)囲繞部材の内部を常圧に維持しつつ、第1空間部16内を減圧することにより、熱可塑性樹脂フィルム18を湾曲させる。
(2)第1空間部16内を常圧に維持しつつ、囲繞部材の内部を加圧することにより、熱可塑性樹脂フィルム18を湾曲させる。
(3)囲繞部材の内部を加圧し、第1空間部16内を減圧することにより、熱可塑性樹脂フィルム18を湾曲させる。
【0052】
また、
図3に示すように附形フィルムを製造することもでき、以下の工程を備える。
工程a:熱可塑性樹脂フィルム18により、空間を当該フィルムの一方の面18a側の第1空間16と他方の面18b側の第2空間22に区切るように、熱可塑性樹脂フィルム18を配置する(
図3(a))。
工程b:熱可塑性樹脂フィルム18を加熱する。
工程c:第1空間16内と第2空間22内との圧力差を利用して、成形型を用いることなく熱可塑性樹脂フィルム18を第1空間16内に湾曲させる(
図3(b))。
工程d:熱可塑性樹脂フィルム18の湾曲を、熱可塑性樹脂フィルム18の一方の面18aが第1空間16内に露出した状態で停止する。
工程e:湾曲した熱可塑性樹脂フィルム18を冷却する。
図1において説明した実施形態と同様の構成を採用することができ、同一の工程については説明を省略する。
【0053】
工程cにおいて、第1空間16内と第2空間22内との圧力差を生じさせるには、以下のような態様が挙げられる。
(i)第1成形用部材14を大気解放して第1空間16内を常圧に維持しつつ、媒体を第2空間22内に装入する。なお、加熱された媒体を第2空間22内に循環させる場合には、工程bと工程cを同時に行うことができる。
(ii)媒体を第1空間16内および第2空間22内に装入し、第2空間22の圧力の方を大きくする。なお、加熱された媒体を第1空間16内および/または第2空間22内に循環させる場合には、工程bと工程cを同時に行うことができる。
(iii)第1成形用部材14の減圧手段により第1空間16内を減圧しつつ、媒体を第2空間22内に装入する。なお、加熱された媒体を第2空間22内に循環させる場合には、工程bと工程cを同時に行うことができる。
(iv)第1成形用部材14の減圧手段により第1空間16内を減圧しつつ、第2成形用部材24を大気解放して第2空間22内を常圧に維持する。
(v)第1成形用部材14の減圧手段により第1空間16内を減圧するとともに、第2成形用部材24の減圧手段により第2空間22内を減圧し、第2空間22の圧力の方を大きくする。
【0054】
また、
図3に示すような附形フィルムを製造する方法においては、
図4に示すような、半球状の第1空間16を有する第1成形用部材14を用いることもできる。なお、従来においては、
図4に示すような形態で、第2空間22側からフィルム18を加圧しながら第1成形用部材14にフィルム18を密着させることにより附形フィルムを製造していたが、本実施形態によれば、第1成形用部材14にフィルム18を接触させることなく、附形フィルムを製造することができる。
【0055】
本実施形態における熱可塑性樹脂フィルム18を湾曲させる工程は、例えば、湾曲させるために使用した媒体の体積により変化量を測定することにより制御することができる。
また、本実施形態における熱可塑性樹脂フィルム18を湾曲させる工程は、例えば、湾曲させる側の空間に液体(オイルなど)を満たしておき、熱可塑性樹脂フィルム18が湾曲することにより押し出された液体量で湾曲の終点を制御することもできる。
【0056】
また、
図5に示すように附形フィルムを製造することもでき、以下の工程を備える。
工程a:熱可塑性樹脂フィルム18により、空間を当該フィルムの一方の面18a側の第1空間16と他方の面18b側の第2空間に区切るように、熱可塑性樹脂フィルム18を配置する(
図5(a))。
工程b:熱可塑性樹脂フィルム18を加熱する。
工程c:第1空間16内において、熱可塑性樹脂フィルム18と成形型32とが非接触の状態で、成形型32と熱可塑性樹脂フィルム18との間に供給された媒体34で熱可塑性樹脂フィルム18を押圧し、第2空間内の圧力との差を利用して熱可塑性樹脂フィルム18を湾曲させる(
図5(b))。
工程d:熱可塑性樹脂フィルム18の湾曲を停止する。熱可塑性樹脂フィルム18の他方の面18bが第2空間内に露出する。
工程e:湾曲した熱可塑性樹脂フィルム18を冷却する。
図1において説明した実施形態と同様の構成を採用することができ、同一の工程については説明を省略する。
【0057】
工程a
図5(a)に示すように、一方に開口した第1空間部16を備える第1成形用部材14において、開口部を覆うように熱可塑性樹脂フィルム18を載置する。次いで、熱可塑性樹脂フィルム18を固定部材20により開口端部に固定する。このように、熱可塑性樹脂フィルム18の一方の面18a側の第1空間部16と、他方の面18b側の空間に区切るように、該熱可塑性樹脂フィルム18を配置する。
【0058】
第1成形用部材14内には、上下動可能な成形型32が配置されている。成形型32の表面32aは、略半球状の凸面である。成形型32は、無数の細孔を備える多孔質体;中空の管を束ねて一方向に媒体が流れるように固めたもの、例えば、パイプ状の成形体を束ね固めた中空体;複数枚の板を用いた構造体、例えば、複数枚の板を離間して積層しその隙間を通して媒体が流れるように構成した層状の積層体;複数枚の板を格子状あるいは三角状に組んだ構造体;繊維状のものを固めた繊維体;等から構成されており、成形型32の表面32aに媒体を供給することができる。
多孔質体としては焼結金属;焼結セラミック;粒子状無機物(セラミック/金属)にバインダーコートしたものを集結したもの;発泡金属;発泡プラスチック;粒子を集結したプラスチック粒状体;有機高分子粒状体;多孔質ゴム;中空糸を束ねて固めたもの;金属、セラミックス、プラスチック、ゴム等からなるパイプ状構造体を束ね固めた中空体;金属、セラミックス、プラスチック、ゴム等からなる板状構造体を隙間を設けて積層した空洞体;等が挙げられる。
成形型32は、図示しない媒体供給手段を備え、成形型32の内部から表面32aに媒体を供給することができる。媒体は、熱可塑性樹脂フィルム18を加熱することができ、フィルムの表裏面に圧力差を与えることができれば特に限定されないが、例えば、空気、窒素等の不活性ガス、水蒸気、水等の液体などを挙げることができる。
【0059】
工程c
熱可塑性樹脂フィルム18が固定部材20により開口端部に固定されると、成形型32を熱可塑性樹脂フィルム18の方向に移動させるとともに、媒体供給手段から成形型32の表面32aに媒体34を供給する。そして、成形型32をさらに上昇させて、媒体34の押圧力で熱可塑性樹脂フィルム18を湾曲させる(
図5(b))。
【0060】
成形型32の表面32aに媒体34を供給することにより、成形型32と熱可塑性樹脂フィルム18との間には媒体34の層が形成され、工程bにより加熱された熱可塑性樹脂フィルム18が成形型32に接触することなく成形型32の表面形状を転写することが可能となる。
つまり、成形型32を熱可塑性フィルム18の方に移動させ、フィルム18に徐々に押し込んでゆくと、成形型32の表面から噴出する媒体34の噴出圧と、フィルム18の加熱温度での弾性率に起因する成形型方向への抗力と、成形型32と逆方向から印加した圧力とが釣り合うある距離で平衡状態となるため、成形型32とフィルム18は接触することなく、成形型32の形状がフィルム18に転写される。その結果、熱可塑性樹脂フィルムを湾曲させることができる。このことは、通常行われる成形型に接触させ形を成形する方法と同様の方法で実施できるが、成形されたフィルムは成形型に接触していないため、成形型の面粗度に影響されない。
【0061】
熱可塑性樹脂フィルム18が所望の形状となるように、成形型32の上昇速度、媒体34の温度、供給量、供給速度等を調整する。本実施形態においては、熱可塑性樹脂フィルム18の他方の面18b側の第2空間は開放されており、他方の面18bには大気圧が印加されているが、
図1のように、一方に開口した第2空間22を備える第2成形用部材24を用い、第2空間22内に熱可塑性樹脂フィルム18の他方の面18bが露出するように第2成形用部材24で他方の面18bを覆うこともできる。これにより、第2空間22内の圧力も調整することができる。
【0062】
また、
図6に示すように、成形型としては、表面が略半球状の凹面である成形型36を用いることもできる。
また、
図5,6の態様については、装置全体を上下反転させて使用してもよく、または、水平方向にして使用してもよい。いずれの場合も、熱可塑性樹脂フィルムを上記のように附形することが可能である。
【0063】
本実施形態の附形フィルムを偏光素子として用いた光学材料として、ガラス偏光レンズも挙げることができる。ガラス偏光レンズとしては、上記の製造方法により得られた附形フィルム(偏光フィルム)と、当該偏光フィルムの少なくとも一方の面に積層されたガラス基材と、を備えたものも挙げることができる。
【実施例】
【0064】
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0065】
[実施例1]
図4に示される附形フィルムの製造
下部中央に直径10mmのレーザ透過穴を有した第1成形用部材14と第2成形用部材24を145度に加熱(第1加熱手段)し、部材間にポリエチレンテレフタレート製偏光フィルム(厚み140ミクロン)を水平に積載し嵌合固定後、レーザ測定(キーエンス社 CCDレーザ変位計 LK-G150)でフィルム距離をゼロと設定し、120秒保持させた。
温度を維持しながら第2空間22内を0.04Mpaの圧力で加圧し、第1空間16側へポリエチレンテレフタレート製偏光フィルムを膨らませた。その後、レーザ測定でフィルム距離が-5.6mmに到達したところで第2空間22内の圧力を手動で大気開放による減圧および加圧をしながら、フィルム距離を-5.6mmから-5.2mmの間で30秒保持させた。
さらに第1成形部材14の部材内に水を循環し、第2空間22内の圧力を手動で大気開放による減圧および加圧をしながら、フィルム距離を-5.6mmから-5.2mmの間で60秒保持させた後、第1成形用部材14と第2成形用部材24を開放し、高さ5.4mm、曲率半径130.4mmに附形した湾曲フィルムを得た。
湾曲フィルムの表面を目視にて観察したところ、表面に傷や異物が存在せず、極めて滑らかな表面を有することが確認された。さらに、湾曲フィルムを半分に切って断面形状を観察したところ、略球面形状を有することが確認された。
【0066】
[実施例2]
図4に示される附形フィルムの製造
下部中央に直径10mmのレーザ透過穴を有した第1成形用部材14と第2成形用部材24を145度に加熱(第1加熱手段)し、部材間にポリエチレンテレフタレート製偏光フィルム(厚み140ミクロン)を水平に積載し嵌合固定後、レーザ測定(キーエンス社 CCDレーザ変位計 LK-G150)でフィルム距離をゼロと設定し、120秒保持させた。温度を維持しながら第2空間22内を0.04Mpaの圧力で加圧し、第1空間16側へポリエチレンテレフタレート製偏光フィルムを膨らませた。次に、レーザ測定でフィルム距離が-7.5mmに到達したところで第2空間22内の圧力を手動で大気開放による減圧および加圧をしながら、フィルム距離を-7.5mmから-6.5mmの間で30秒保持させた。その後、第2空間22内の圧力を大気開放により減圧させ、フィルム距離-5.4mmまでフィルムを収縮したところで、第2空間22内の圧力を手動で大気開放による減圧および加圧をしながら、フィルム距離を-5.6mmから-5.2mmの間で30秒保持させた。さらに第1成形部材14の部材内に水を循環し、第2空間22内の圧力を手動で大気開放による減圧および加圧をしながら、フィルム距離を-5.6mmから-5.2mmの間で60秒保持させた後、第1成形用部材14と第2成形用部材24を開放し、高さ5.4mm、曲率半径130.4mmに附形した湾曲フィルムを得た。
湾曲フィルムの表面を目視にて観察したところ、表面に傷や異物が存在せず、極めて滑らかな表面を有することが確認された。さらに、湾曲フィルムを半分に切って断面形状を観察したところ、略球面形状を有することが確認された。
【0067】
[実施例3]
附形フィルムを用いた偏光レンズの製造
m−キシリレンジイソシアネート50.6重量部、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカンと4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカンと5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカンとの混合物49.4重量部、硬化促進剤としてジブチル錫ジクロライド0.01重量部、離型剤としてZelec UN(登録商標、Stepan社製)0.1重量部、および紫外線吸収剤としてSeesorb 709(シプロ化成社製)0.05重量部を攪拌して溶解させた後、減圧下で脱泡処理して、調製直後に注入用モノマー混合物として供した。攪拌溶解1時間後の20℃における粘度は30mPa・sであった。
次いで、レンズ注型用鋳型を構成する2つのガラスモールドと、実施例1で附形したフィルムで仕切られた2つの空隙部に、このモノマー混合物を、3μmのフィルターを通してろ過後チューブを通して注入した。なお、最も間隙の狭い空隙部の離間距離は0.5mm程度であった。注入後閉栓したレンズ注型用鋳型を熱風循環式オーブンの中に置き、12時間かけて25℃から108℃に昇温し、その後108℃で7時間維持、徐冷の後、オーブンからレンズ注型用鋳型を取り出した。レンズ注型用鋳型からレンズを離型し、110℃で2.5時間アニール処理して偏光レンズを得た。
【0068】
[実施例4]
多孔質材料として、平均孔径15μm、気孔率15%のポーラス・アルミを、片面は凹形状に削り出し、裏面は凸形状に削り出した厚さが略均等な材料を準備した。この多孔質材料を、
図3の金型内の空間16内に、
図6の金型36の様に凹型面がフィルムに対向するように配置した。すなわち
図6において、固定部材20の代わりに
図3の第2成形用部材24を設置し囲繞した。多孔質材料の凹型面に向かって裏面側より0.02MPaの圧力にて空気(媒体34)を流した。
厚さ140μmのPET一軸延伸フィルムを第2成形用部材24と第1成形用部材14の間に嵌合し、全体を145度の温度にて加熱し120秒保持し後、第2空間22に空気を0.06MPa印加し60秒経過後、第2成形用部材24及び第1成形用部材14を80度まで冷却した。その後、第1空間16内および第2空間22内の加圧を停止し、嵌合を開放して曲げ加工したフィルムを取り出した。
得られた曲げ加工したフィルムの表面を目視にて観察したところ、表面に傷や異物が存在せず、極めて滑らかな表面を有することが確認された。また、実施例3と同様にレンズを作製することができた。
【0069】
この出願は、2016年2月24日に出願された日本出願特願2016−032656号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【0070】
本発明は以下の態様も取り得る。
[1] 熱可塑性樹脂フィルムにより、空間を当該フィルムの一方の面側の第1空間と他方の面側の第2空間に区切るように、該熱可塑性樹脂フィルムを配置する工程と、
前記熱可塑性樹脂フィルムを加熱する工程と、
前記第1空間内と前記第2空間内との圧力差を利用して、空間内で前記熱可塑性樹脂フィルムを湾曲させる工程と、
湾曲した前記フィルムを冷却する工程と、
を含む、附形フィルムの製造方法。
[2] 前記熱可塑性樹脂フィルムを湾曲させる前記工程は、
前記第1空間内または前記第2空間内の一方を加圧して、前記熱可塑性樹脂フィルムを他方の空間内に湾曲させる工程を含む、[1]に記載の附形フィルムの製造方法。
[3] 前記フィルムを湾曲させる前記工程は、
前記第1空間内または前記第2空間内の一方を減圧して、前記熱可塑性樹脂フィルムを減圧された空間内に湾曲させる工程を含む、[1]に記載の附形フィルムの製造方法。
[4] 前記フィルムを湾曲させる前記工程は、
前記第1空間内または前記第2空間内の一方を加圧するとともに他方の空間内を減圧して、前記熱可塑性樹脂フィルムを減圧された空間内に湾曲させる工程を含む、[1]に記載の附形フィルムの製造方法。
[5] 前記熱可塑性樹脂フィルムを湾曲させる前記工程は、
前記第1空間内または前記第2空間内の一方に媒体を装入して、当該一方の空間内を加圧することにより、前記熱可塑性樹脂フィルムを他方の空間内に湾曲させる工程を含む、[2]または[4]に記載の附形フィルムの製造方法。
[6] 前記熱可塑性樹脂フィルムを他方の空間内に湾曲させる前記工程は、
前記第1空間内または前記第2空間内に加熱された前記媒体を装入して当該空間内を加圧することにより、30℃〜300℃の温度下で前記熱可塑性樹脂フィルムを他方の空間内に湾曲させる工程を含む、[5]に記載の附形フィルムの製造方法。
[7] 前記熱可塑性樹脂フィルムを湾曲させる前記工程は、
位置センサーで検出された該熱可塑性樹脂フィルムの位置に基づいて、該熱可塑性樹脂フィルムの湾曲量を制御する工程を含む、[5]に記載の附形フィルムの製造方法。
[8] 湾曲した前記フィルムを冷却する前記工程の前に、
湾曲した前記フィルムを再度加熱する工程を含む、[1]から[7]のいずれかに記載の附形フィルムの製造方法。
[9] 前記再加熱工程は、前記加熱工程における加熱温度〜前記熱可塑性樹脂フィルムを構成する樹脂のTm(融点)以下の温度で行う、[8]に記載の附形フィルムの製造方法。
[10] 前記熱可塑性樹脂フィルムを配置する前記工程は、一方に開口した第1空間部を備える第1成形用部材において、開口部を覆うように熱可塑性樹脂フィルムを載置するとともに、該熱可塑性樹脂フィルムを開口端部に固定する工程を含み、
前記熱可塑性樹脂フィルムを湾曲させる前記工程は、該熱可塑性樹脂フィルムの一方の面が露出する前記第1空間内と、該熱可塑性樹脂フィルムの他方の面が露出する前記第2空間内との圧力差を利用して、前記熱可塑性樹脂フィルムを前記第1成形用部材の内壁面に接触しない状態で湾曲させる工程を含む、[1]から[9]のいずれかに記載の附形フィルムの製造方法。
[11] 前記熱可塑性樹脂フィルムは、少なくとも前記第1空間部に露出した面の裏面が、一方に開口した第2空間部を備える第2成形用部材で覆われている、[10]に記載の附形フィルムの製造方法。
[12] 前記熱可塑性樹脂フィルムが前記第1成形用部材の開口端部に固定され、前記熱可塑性樹脂フィルムの前記他方の面が囲繞部材内に露出した状態で、前記熱可塑性樹脂フィルムおよび前記第1成形用部材が囲繞部材内に配設されており、
前記熱可塑性樹脂フィルムを湾曲させる工程は、前記囲繞部材の内部または前記第1空間部内の一方を常圧に維持しつつ、他方を減圧することにより、前記熱可塑性樹脂フィルムを湾曲させる工程を含む、
[10]に記載の附形フィルムの製造方法。
[13] 前記熱可塑性樹脂フィルムが前記第1成形用部材の開口端部に固定され、前記熱可塑性樹脂フィルムの前記他方の面が囲繞部材内に露出した状態で、前記熱可塑性樹脂フィルムおよび前記第1成形用部材が囲繞部材内に配設されており、
前記熱可塑性樹脂フィルムを湾曲させる工程は、前記囲繞部材の内部または前記第1空間部内の一方を常圧に維持しつつ、他方を加圧することにより、前記熱可塑性樹脂フィルムを湾曲させる工程を含む、
[10]に記載の附形フィルムの製造方法。
[14] 前記熱可塑性樹脂フィルムが前記第1成形用部材の開口端部に固定され、前記熱可塑性樹脂フィルムの前記他方の面が囲繞部材内に露出した状態で、前記熱可塑性樹脂フィルムおよび前記第1成形用部材が囲繞部材内に配設されており、
前記熱可塑性樹脂フィルムを湾曲させる工程は、前記囲繞部材の内部または前記第1空間部内の一方を加圧し、他方を減圧することにより、前記熱可塑性樹脂フィルムを湾曲させる工程を含む、
[10]に記載の附形フィルムの製造方法。
[15] 前記熱可塑性樹脂フィルムを湾曲させる前記工程および湾曲した前記フィルムを再度加熱する前記工程は、前記第1成形用部材に前記熱可塑性樹脂フィルムが載置された状態で一連の工程として行われる、[10]から[14]のいずれかに記載の附形フィルムの製造方法。
[16] 前記囲繞部材には、
前記熱可塑性樹脂フィルムを加熱する第1加熱手段または囲繞部材の内部を加熱する第2加熱手段と、
前記囲繞部材の内部または前記第1成形用部材の前記第1空間部内を加圧するための加圧手段、または前記囲繞部材の内部または前記第1成形用部材の前記第1空間部を減圧するための減圧手段と、
が設けられている、[12]から[15]のいずれかに記載の附形フィルムの製造方法。
[17] 前記加圧手段は、前記囲繞部材の内部または前記第1成形用部材の前記第1空間部内に媒体を装入する媒体導入手段を含む、[16]に記載の附形フィルムの製造方法。
[18] さらに、前記媒体を加熱するための第3加熱手段を含む、[17]に記載の附形フィルムの製造方法。
[19] さらに、湾曲する前記熱可塑性樹脂フィルムの位置を連続的に測定することのできる位置センサーと、
前記位置センサーによって測定された前記熱可塑性樹脂フィルムの位置に基づいて、前記加圧手段を制御する制御手段と、を備える、[17]または[18]に記載の附形フィルムの製造方法。
[20] 前記熱可塑性樹脂フィルムが、ポリビニルアルコール製フィルム、ポリエステル製フィルム、ポリアミド製フィルム、ポリイミド製フィルム、ポリオレフィン製フィルム、ポリ塩化ビニル製フィルムおよびポリカーボネート製フィルムから選択される、[1]〜[19]のいずれかに記載の附形フィルムの製造方法。
[21] [1]〜[20]のいずれかに記載の工程を含む、偏光フィルムの製造方法。
[22] 熱可塑性樹脂フィルムにより、空間を当該フィルムの一方の面側の第1空間と他方の面側の第2空間に区切るように、該熱可塑性樹脂フィルムを配置する工程と、
前記熱可塑性樹脂フィルムを加熱する工程と、
前記第1空間内と前記第2空間内との圧力差を利用して、空間内で前記熱可塑性樹脂フィルムを湾曲させる工程と、
湾曲した前記フィルムを冷却して偏光フィルムを得る工程と、
前記偏光フィルムの少なくとも一方の面にレンズ基材を積層する工程と、
を備える、偏光レンズの製造方法。
本発明の附形フィルムの製造方法は 熱可塑性樹脂フィルムにより、空間を当該フィルムの一方の面側の第1空間と他方の面側の第2空間に区切るように、該熱可塑性樹脂フィルムを配置する工程と、前記熱可塑性樹脂フィルムを加熱する工程と、前記第1空間内と前記第2空間内との圧力差を利用して、空間内で前記熱可塑性樹脂フィルムを湾曲させる工程と、前記熱可塑性樹脂フィルムの湾曲を、該フィルムの両面のうち少なくとも凸状の湾曲面が前記空間内に露出した状態で停止する工程と、湾曲した前記フィルムを冷却する工程と、を含む。