特許第6203988号(P6203988)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6203988キャリア付銅箔及びその製造方法、並びに配線層付コアレス支持体及びプリント配線板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6203988
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】キャリア付銅箔及びその製造方法、並びに配線層付コアレス支持体及びプリント配線板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
   H01L23/12 501P
【請求項の数】14
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2017-530236(P2017-530236)
(86)(22)【出願日】2017年2月21日
(86)【国際出願番号】JP2017006422
【審査請求日】2017年7月5日
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2016/076046
(32)【優先日】2016年9月5日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2016-37307(P2016-37307)
(32)【優先日】2016年2月29日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006183
【氏名又は名称】三井金属鉱業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113365
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 雅晴
(74)【代理人】
【識別番号】100131842
【弁理士】
【氏名又は名称】加島 広基
(74)【代理人】
【識別番号】100202511
【弁理士】
【氏名又は名称】武石 卓
(72)【発明者】
【氏名】松浦 宜範
【審査官】 井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−222657(JP,A)
【文献】 特開2008−182222(JP,A)
【文献】 特許第4726855(JP,B2)
【文献】 特開2014−46600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスで構成されるキャリアと、
前記キャリア上に設けられる剥離層と、
前記剥離層上に設けられ、Cr、W、Ta、Ti、Ni及びMoからなる群から選択される少なくとも1種の金属で構成される反射防止層と、
前記反射防止層上に設けられる極薄銅層と、
を備え、前記反射防止層の少なくとも前記極薄銅層側の表面が金属粒子の集合体である、キャリア付銅箔。
【請求項2】
前記反射防止層の前記極薄銅層側の表面が、SEM画像解析により決定される投影面積円相当径が20〜100nmである前記金属粒子の集合体で構成される、請求項1に記載のキャリア付銅箔。
【請求項3】
前記剥離層が主として炭素を含んでなる、請求項1又は2に記載のキャリア付銅箔。
【請求項4】
前記反射防止層の前記極薄銅層側の表面の光沢度Gs(60°)が500以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
【請求項5】
前記反射防止層が1〜500nmの厚さを有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
【請求項6】
前記剥離層が1〜20nmの厚さを有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
【請求項7】
前記極薄銅層の前記剥離層と反対側の表面が、JIS B 0601−2001に準拠して測定される、1.0〜100nmの算術平均粗さRaを有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
【請求項8】
前記反射防止層の酸素含有量が0〜15原子%である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
【請求項9】
少なくとも前記反射防止層及び前記極薄銅層が、前記キャリアの端面にまで延出して前記端面が被覆される、請求項1〜8のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
【請求項10】
請求項1〜のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔の製造方法であって、
前記キャリア上に前記剥離層を形成する工程と、
Cr、W、Ta、Ti、Ni及びMoからなる群から選択される少なくとも1種の金属で構成される金属ターゲットを用いて、マグネトロンスパッタ法により、不活性ガス雰囲気下、圧力1〜20Paで、前記剥離層上に前記反射防止層を形成する工程と、
前記反射防止層上に前記極薄銅層を形成する工程と、
を含む、方法。
【請求項11】
請求項1〜のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔を支持体として用意する工程と、
前記極薄銅層の表面にフォトレジスト層を所定のパターンで形成する工程と、
前記極薄銅層の露出表面に電気銅めっき層を形成する工程と、
前記フォトレジスト層を剥離する工程と、
前記極薄銅層の不要部分を銅フラッシュエッチングにより除去して前記反射防止層を露出させ、それにより配線層が形成されたコアレス支持体を得る工程と、
を含む、配線層付コアレス支持体の製造方法。
【請求項12】
前記銅フラッシュエッチング後、前記反射防止層を露出させたままの状態で、前記配線層が形成されたコアレス支持体を画像検査する工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法により前記配線層付コアレス支持体を製造する工程と、
前記画像検査後、前記配線層が形成されたコアレス支持体上に電子素子を搭載する工程と、
を含む、プリント配線板の製造方法。
【請求項14】
請求項11又は12に記載の方法により前記配線層付コアレス支持体を製造する、又は請求項13に記載の方法により前記プリント配線板を製造する工程と、
前記配線層付コアレス支持体の前記配線層が形成された面にビルドアップ層を形成してビルドアップ層付積層体を作製する工程と、
前記ビルドアップ層付積層体を前記剥離層で分離して前記ビルドアップ層を含む多層配線板を得る工程と、
前記反射防止層をフラッシュエッチングにより除去して、プリント配線板を得る工程と、
を含む、プリント配線板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリア付銅箔及びその製造方法、並びに配線層付コアレス支持体及びプリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリント配線板の実装密度を上げて小型化するために、プリント配線板の多層化が広く行われるようになってきている。このような多層プリント配線板は、携帯用電子機器の多くで、軽量化や小型化を目的として利用されている。そして、この多層プリント配線板には、層間絶縁層の更なる厚みの低減、及び配線板としてのより一層の軽量化が要求されている。
【0003】
このような要求を満たす技術として、コアレスビルドアップ法を用いた多層プリント配線板の製造方法が採用されている。コアレスビルドアップ法とは、いわゆるコア基板を用いることなく、絶縁層と配線層とを交互に積層(ビルドアップ)して多層化する方法である。コアレスビルドアップ法においては、支持体と多層プリント配線板との剥離を容易に行えるように、キャリア付銅箔を使用することが提案されている。例えば、特許文献1(特開2005−101137号公報)には、キャリア付銅箔のキャリア面に絶縁樹脂層を貼り付けて支持体とし、キャリア付銅箔の極薄銅層側にフォトレジスト加工、パターン電解銅めっき、レジスト除去等の工程により第一の配線導体を形成した後、ビルドアップ配線層を形成し、キャリア付支持基板を剥離し、極薄銅層を除去することを含む、半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法が開示されている。
【0004】
ところで、特許文献1に示されるような埋め込み回路の微細化のため、極薄銅層の厚さを1μm以下としたキャリア付銅箔が望まれる。そこで、極薄銅層の厚さ低減を実現するため、気相法により極薄銅層を形成することが提案されている。例えば、特許文献2(特許第4726855号公報)には、キャリアシートの表面に接合界面層を介して銅箔層を有するキャリアシート付銅箔が開示されており、当該接合界面層は、物理蒸着法を用いて形成した金属層(キャリアシート側)/炭素層(極薄銅層側)の2層からなり、銅箔層は、接合界面層上に物理蒸着法で10nm〜300nm厚さの第1銅層を形成し、更に電解法で第2銅層を形成することにより得られたものであることが開示されている。また、この接合界面層を構成する金属層は、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、ニッケル、クロム、チタン、鉄、ケイ素、モリブデン、バナジウム、タングステンのいずれかで構成された層でありうることが特許文献2には記載されている。
【0005】
また、特許文献3(特許第4072431号公報)には、キャリア箔の表面に、クロム層である剥離層、COガスレーザが発振する波長の光を吸収しやすい層である拡散防止層、及び電気銅めっき層をこの順序に積層してなるキャリア付銅箔が開示されており、拡散防止層がニッケル、コバルト、鉄、モリブデン、タングステン、アルミニウム及びリンからなる群より選ばれる元素からなる単一金属の層、あるいはニッケル、コバルト、鉄、クロム、モリブデン、タングステン、銅、アルミニウム及びリンからなる群より選ばれる元素からなる2種以上の金属の合金層または1種以上の金属酸化物層であることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−101137号公報
【特許文献2】特許第4726855号公報
【特許文献3】特許第4072431号公報
【特許文献4】特開2015−35551号公報
【発明の概要】
【0007】
ところで、プリント配線板のパッケージング技術の一つであるFO−WLP(Fan−Out Wafer Level Packaging)やFO−PLP(Fan−Out Panel Level Packaging)においても、コアレスビルドアップ法の採用が検討されている。そのような工法の一つとして、コアレス支持体表面に配線層及び必要に応じてビルドアップ配線層を形成し、さらに必要に応じて支持体を剥離した後に、チップの実装を行う、RDL−First(Redistribution Layer−First)法と呼ばれる工法がある(例えば特許文献4(特開2015−35551号公報)参照)。この工法によれば、チップの実装を行う前にコアレス支持体表面の配線層やその後に積層される各ビルドアップ配線層の画像検査を行うことができるため、各配線層の不良部分を避けて、良品部分にのみチップを実装できる。その結果、RDL−First法はチップの無駄使いを回避できる点で、チップの表面に配線層を逐次積層する工法であるChip−First法等と比較すると経済的に有利である。ここで、コアレス支持体表面の配線層を形成した直後に画像検査を行うには、コアレス支持体表面にフォトレジスト加工、電気めっき、及びフォトレジスト剥離等を行った後、さらに必要に応じて配線間に存在する極薄銅層のフラッシュエッチングを行った後、必要に応じてチップ等の電子素子の搭載を行い、その後ビルドアップ層の形成を行う。しかしながら、こうして極薄銅層を銅フラッシュエッチングにより除去してしまうと、下地として露出するキャリアとの間の視覚的コントラストを十分に確保できないことがあり、銅で構成される配線層の画像検査(例えば自動画像検査(AOI))における視認性が低下しうる。そこで、キャリア付銅箔の剥離層と極薄銅層の間に上記視覚的コントラスト向上のための反射防止層を設け、この反射防止層を銅フラッシュエッチングを経て残存させることで、その後の画像検査時における配線層の視認性を向上させることができれば好都合である。また、そのような反射防止層は銅フラッシュエッチング液に対して溶解しないという性質、すなわち銅フラッシュエッチング液に対する耐薬品性に優れることが望まれる。
【0008】
本発明者らは、今般、キャリア付銅箔の剥離層と極薄銅層の間に、所定の金属で構成され、少なくとも極薄銅層側の表面が金属粒子の集合体である反射防止層を介在させることにより、コアレス支持体表面の配線層形成時に反射防止層が銅フラッシュエッチング液に対して優れた耐薬品性を呈するとともに、銅フラッシュエッチング後の画像検査時に反射防止層とのコントラストにより配線層の優れた視認性をもたらしうるとの知見を得た。
【0009】
したがって、本発明の目的は、コアレス支持体表面の配線層形成時に反射防止層が銅フラッシュエッチング液に対して優れた耐薬品性を呈するとともに、銅フラッシュエッチング後の画像検査時に反射防止層とのコントラストにより配線層の優れた視認性をもたらすことを可能とする、キャリア付銅箔を提供することにある。
【0010】
本発明の一態様によれば、キャリアと、
前記キャリア上に設けられる剥離層と、
前記剥離層上に設けられ、Cr、W、Ta、Ti、Ni及びMoからなる群から選択される少なくとも1種の金属で構成される反射防止層と、
前記反射防止層上に設けられる極薄銅層と、
を備え、前記反射防止層の少なくとも前記極薄銅層側の表面が金属粒子の集合体である、キャリア付銅箔が提供される。
【0011】
本発明の他の一態様によれば、上記態様によるキャリア付銅箔の製造方法であって、
前記キャリア上に前記剥離層を形成する工程と、
Cr、W、Ta、Ti、Ni及びMoからなる群から選択される少なくとも1種の金属で構成される金属ターゲットを用いて、マグネトロンスパッタ法により、不活性ガス雰囲気下、圧力1〜20Paで、前記剥離層上に前記反射防止層を形成する工程と、
前記反射防止層上に前記極薄銅層を形成する工程と、
を含む、方法が提供される。
【0012】
本発明の他の一態様によれば、上記態様によるキャリア付銅箔を支持体として用意する工程と、
前記極薄銅層の表面にフォトレジスト層を所定のパターンで形成する工程と、
前記極薄銅層の露出表面に電気銅めっき層を形成する工程と、
前記フォトレジスト層を剥離する工程と、
前記極薄銅層の不要部分を銅フラッシュエッチングにより除去して前記反射防止層を露出させ、それにより配線層が形成されたコアレス支持体を得る工程と、
を含む、配線層付コアレス支持体の製造方法が提供される。
【0013】
本発明の他の一態様によれば、上記態様による方法により前記配線層付コアレス支持体を製造する工程と、
前記画像検査後、前記配線層が形成されたコアレス支持体上に電子素子を搭載する工程と、
を含む、プリント配線板の製造方法が提供される。
【0014】
本発明の他の一態様によれば、上記態様による方法により前記配線層付コアレス支持体を製造する、又は上記態様による方法により前記プリント配線板を製造する工程と、
前記配線層付コアレス支持体の前記配線層が形成された面にビルドアップ層を形成してビルドアップ層付積層体を作製する工程と、
前記ビルドアップ層付積層体を前記剥離層で分離して前記ビルドアップ層を含む多層配線板を得る工程と、
前記反射防止層をフラッシュエッチングにより除去して、プリント配線板を得る工程と、
を含む、プリント配線板の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のキャリア付銅箔の一態様を示す模式断面図である。
図2】本発明の配線層付コアレス支持体又はプリント配線板の製造方法を説明するための工程流れ図であり、前半の工程(工程(a)〜(c))を示す図である。
図3】本発明の配線層付コアレス支持体又はプリント配線板の製造方法を説明するための工程流れ図であり、図2に続く工程(工程(d)〜(f))を示す図である。
図4】本発明のプリント配線板の製造方法を説明するための工程流れ図であり、図3に続く工程(工程(g)〜(i))を示す図である。
図5】例2で作製された配線パターンを光学式自動外観検査(AOI)装置でスキャンして得られた二値化画像である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
キャリア付銅箔
本発明のキャリア付銅箔が図1に模式的に示される。図1に示されるように、本発明のキャリア付銅箔10は、キャリア12と、剥離層16と、反射防止層17と、極薄銅層18とをこの順に備えたものである。剥離層16は、キャリア12上に設けられ、キャリアの剥離を可能とする層である。反射防止層17は、剥離層16上に設けられ、光の反射を防止する機能を有する層である。反射防止層17はCr、W、Ta、Ti、Ni及びMoからなる群から選択される少なくとも1種の金属で構成され、少なくとも極薄銅層18側の表面が金属粒子の集合体である。極薄銅層18は、反射防止層17上に設けられる銅からなる層である。所望により、本発明のキャリア付銅箔10は、キャリア12の剥離層16側の表面に密着金属層13及び/又は剥離補助層14を有していてもよく、好ましくは密着金属層13及び剥離補助層14をこの順に有する。また、キャリア12の両面に上下対称となるように上述の各種層を順に備えてなる構成としてもよい。キャリア付銅箔10は、上述した反射防止層17、及び所望により密着金属層13及び/又は剥離補助層14を備えること以外は、公知の層構成を採用すればよく特に限定されない。
【0017】
このように、剥離層16と極薄銅層18の間に、所定の金属で構成され、少なくとも極薄銅層18側の表面が金属粒子の集合体である反射防止層17を介在させることにより、1)コアレス支持体表面の配線層形成時に反射防止層が銅フラッシュエッチング液に対して優れた耐薬品性を呈するとともに、2)銅フラッシュエッチング後の画像検査時(例えば自動画像検査(AOI))に反射防止層とのコントラストにより配線層の優れた視認性をもたらす、キャリア付銅箔を提供することが可能となる。すなわち、上記1)に関して、反射防止層17を構成するCr、W、Ta、Ti、Ni及びMoから選択される少なくとも1種の金属は、銅フラッシュエッチング液に対して溶解しないという性質を有し、その結果、銅フラッシュエッチング液に対して優れた耐薬品性を呈することができる。また、上記2)に関して、反射防止層17の少なくとも極薄銅層18側の表面を構成する金属粒子の集合体は、その金属質の材質及び粒状形態に起因して望ましい暗色を呈し、その暗色が銅で構成される配線層との間で望ましい視覚的コントラストをもたらし、その結果、画像検査(例えば自動画像検査(AOI))における視認性を向上させる。その上、本発明のキャリア付銅箔を用いて配線層付コアレス支持体又はプリント配線板を製造する際には、3)反射防止層をフラッシュエッチングにより除去する際に反射防止層下に露出してくる配線層の浸食を有意に抑制することができる。すなわち、反射防止層17を構成するCr、W、Ta、Ti、Ni及びMoから選択される少なくとも1種の金属をフラッシュエッチングするためのエッチング液として、選択性の高いエッチング液を用いることができる結果、配線層を構成する銅のエッチング液による溶解を抑制又は回避することができる。
【0018】
キャリア12の材質はガラス、セラミックス、樹脂、及び金属のいずれであってもよい。また、キャリア12の形態はシート、フィルム、板、及び箔のいずれであってもよい。また、キャリア12はこれらのシート、フィルム、板、及び箔等が積層されたものであってもよい。例えば、キャリア12はガラス板、セラミックス板、金属板等といった剛性を有する支持体として機能し得るものであってもよいし、金属箔や樹脂フィルム等といった剛性を有しない形態であってもよい。キャリア12の金属の好ましい例としては、銅、チタン、ニッケル、ステンレススチール、アルミニウム等が挙げられる。セラミックスの好ましい例としては、アルミナ、ジルコニア、窒化ケイ素、窒化アルミニウム(ファインセラミックス)等が挙げられる。樹脂の好ましい例としては、PET樹脂、PEN樹脂、アラミド樹脂、ポリイミド樹脂、ナイロン樹脂、液晶ポリマー、PEEK樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、PTFE樹脂、ETFE樹脂等が挙げられる。より好ましくは、電子素子を搭載する際の加熱に伴うコアレス支持体の反り防止の観点から、熱膨張係数(CTE)が25ppm/K未満(典型的には1.0〜23ppm/K)の材料であり、そのような材料の例としては上述したような各種樹脂(特にポリイミド樹脂、液晶ポリマー等の低熱膨張樹脂)、ガラス及びセラミックス等が挙げられる。また、ハンドリング性やチップ実装時の平坦性確保の観点から、キャリア12はビッカース硬度が100HV以上であるのが好ましく、より好ましくは150〜2500HVである。これらの特性を満たす材料として、キャリア12は樹脂フィルム、ガラス又はセラミックスで構成されるのが好ましく、より好ましくはガラス又はセラミックスで構成され、特に好ましくはガラスで構成される。例えばガラスシートである。ガラスをキャリア12として用いた場合、軽量で、熱膨脹係数が低く、絶縁性が高く、剛直で表面が平坦なため、極薄銅層18の表面を極度に平滑にできる等の利点がある。また、キャリアがガラスである場合、電子素子搭載時に有利な表面平坦性(コプラナリティ)を有している点、プリント配線板製造工程におけるデスミアや各種めっき工程において耐薬品性を有している点、後述するビルドアップ層付積層体分離時に化学的分離法が採用できる点等の利点がある。キャリア12を構成するガラスの好ましい例としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、ソーダライムガラス、アミノシリケートガラス、及びそれらの組合せが挙げられ、特に好ましくは無アルカリガラスである。無アルカリガラスは、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、及び酸化カルシウムや酸化バリウム等のアルカリ土類金属酸化物を主成分とし、更にホウ酸を含有する、アルカリ金属を実質的に含有しないガラスのことである。この無アルカリガラスは、0℃から350℃までの広い温度帯域において熱膨脹係数が3〜5ppm/Kの範囲で低く安定しているため、電子素子として半導体チップを搭載した際、ガラスの反りを最小限にできるとの利点がある。キャリアの厚さは100〜2000μmが好ましく、より好ましくは300〜1800μm、更に好ましくは400〜1100μmである。このような範囲内の厚さであると、ハンドリングに支障を来たさない適切な強度を確保しながらプリント配線板の薄型化、及び電子部品搭載時に生じる反りの低減を実現することができる。
【0019】
キャリア12の剥離層16側(存在する場合には密着金属層13側)の表面は、JIS B 0601−2001に準拠して測定される、0.1〜70nmの算術平均粗さRaを有するのが好ましく、より好ましくは0.5〜60nm、さらに好ましくは1.0〜50nm、特に好ましくは1.5〜40nm、最も好ましくは2.0〜30nmである。このように算術平均粗さが小さいほど、極薄銅層18の剥離層16と反対側の表面(極薄銅層18の外側表面)において望ましく低い算術平均粗さRaをもたらすことができ、それにより、キャリア付銅箔10を用いて製造されるプリント配線板において、ライン/スペース(L/S)が13μm以下/13μm以下(例えば12μm/12μm〜2μm/2μm)といった程度にまで高度に微細化された配線パターンの形成を形成するのに適したものとなる。
【0020】
所望により設けられる密着金属層13は、キャリアとの密着性を確保する点から、Ti、Cr及びNiからなる群から選択される少なくとも1種の金属で構成される層であるのが好ましく、純金属であってもよいし、合金であってもよい。密着金属層13を構成する金属は原料成分や成膜工程等に起因する不可避不純物を含んでいてもよい。また、特に制限されるものではないが、密着金属層13の成膜後に大気に暴露される場合、それに起因して混入する酸素の存在は許容される。密着金属層13はスパッタリング等の気相法により形成された層であるのが好ましい。密着金属層13は、金属ターゲットを用いたマグネトロンスパッタリング法により形成された層であるのが膜厚分布の均一性を向上できる点で特に好ましい。密着金属層13の厚さは5〜500nmであるのが好ましく、より好ましく10〜300nm、さらに好ましくは18〜200nm、特に好ましくは20〜100nmである。この厚さは、層断面を透過型電子顕微鏡のエネルギー分散型X線分光分析器(TEM−EDX)で分析することにより測定される値とする。
【0021】
所望により設けられる剥離補助層14は、剥離層16との剥離強度を所望の値に制御とする点、コアレス支持体ないしキャリアを剥離した際に生じる中間層の脱離現象の防止による優れた配線パターンを形成する点等から、銅で構成される層であるのが好ましい。剥離補助層14を構成する銅は原料成分や成膜工程等に起因する不可避不純物を含んでいてもよい。また、剥離補助層14成膜前後に大気に暴露される場合、それに起因して混入する酸素の存在は許容される。もっとも、特に制限はされるものではないが、密着金属層13と剥離補助層14は、大気開放することなく連続で製膜される方が望ましい。剥離補助層14はスパッタリング等の気相法により形成された層であるのが好ましい。剥離補助層14は、銅ターゲットを用いたマグネトロンスパッタリング法により形成された層であるのが膜厚分布の均一性を向上できる点で特に好ましい。剥離補助層14の厚さは5〜500nmであるのが好ましく、より好ましく10〜400nm、さらに好ましくは15〜300nm、特に好ましくは20〜200nmである。この厚さは、層断面を透過型電子顕微鏡のエネルギー分散型X線分光分析器(TEM−EDX)で分析することにより測定される値とする。
【0022】
なお、密着金属層13及び剥離補助層14との間には、別の介在層が存在していてもよい。介在層の構成材料の例としては、Ti、Cr、Mo、Mn、W及びNiからなる群から選択される少なくとも1種の金属とCuとの合金等が挙げられる。
【0023】
あるいは、密着金属層13及び剥離補助層14を、1層の中間合金層で置き換えることもできる。この中間合金層は、Ti、Cr、Mo、Mn、W及びNiからなる群から選択される少なくとも1種の金属(以下、金属Mという)の含有量が1.0at%以上であり、かつ、Cu含有量が30at%以上である銅合金で構成されるのが好ましい。すなわち、キャリア12と中間合金層との密着性を確保し、かつ、剥離層16への剥離容易性を両立させる点から、中間合金層を構成する金属は、金属MとCuとの銅合金であることが好ましい。これらの中でも、Ti、Mo、Mnからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含有する金属と、Cuとの合金がより好ましい。中間合金層における金属Mの含有率は1.0原子%以上が好ましく、より好ましくは3.0原子%以上、さらに好ましくは5.0原子%以上である。中間合金層における金属Mの含有率の上限は特に限定されないが、金属M含有率は好ましくは30原子%以下であり、より好ましくは20原子%以下である。中間合金層におけるCu含有率は30原子%以上であるのが好ましく、より好ましくは40原子%以上、さらに好ましくは50原子%以上である。中間合金層におけるCuの含有率の上限は特に限定されないが、Cu含有率は好ましくは99.5原子%以下であり、より好ましくは97.0原子%以下、さらに好ましくは96.0原子%以下である。中間合金層はスパッタリング等の気相法により形成された層であるのが好ましい。中間合金層は、銅合金ターゲットを用いたマグネトロンスパッタリング法により形成された層であるのが膜厚分布の均一性を向上できる点で特に好ましい。中間合金層の厚さは5〜500nmであるのが好ましく、より好ましく10〜400nm、さらに好ましくは15〜300nm、特に好ましくは20〜200nmである。この厚さは、層断面を透過型電子顕微鏡のエネルギー分散型X線分光分析器(TEM−EDX)で分析することにより測定される値とする。なお、中間合金層の内部には、別の介在層が存在していてもよい。介在層の構成材料の例としては、Ti、Cr、Mo、Mn、W及びNiからなる群から選択される少なくとも1種の金属とCuとの合金等が挙げられる。
【0024】
剥離層16は、キャリア12の剥離を可能とする層であり、キャリア付銅箔の剥離層として採用される公知の材料で構成されることができる。剥離層16は、有機剥離層及び無機剥離層のいずれであってもよい。有機剥離層に用いられる有機成分の例としては、窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物、カルボン酸等が挙げられる。窒素含有有機化合物の例としては、トリアゾール化合物、イミダゾール化合物等が挙げられる。一方、無機剥離層に用いられる無機成分の例としては、Ni、Mo、Co、Cr、Fe、Ti、W、P、Znの少なくとも一種類以上の金属酸化物、炭素層等が挙げられる。これらの中でも特に、剥離層16は主として炭素を含んでなる層であるのが剥離容易性や膜形成性の点等から好ましく、より好ましくは主として炭素又は炭化水素からなる層であり、さらに好ましくは硬質炭素膜であるアモルファスカーボンからなる。この場合、剥離層16(すなわち炭素層)はXPSにより測定される炭素濃度が60原子%以上であるのが好ましく、より好ましくは70原子%以上、さらに好ましくは80原子%以上、特に好ましくは85原子%以上である。炭素濃度の上限値は特に限定されず100原子%であってもよいが、98原子%以下が現実的である。剥離層16(特に炭素層)は不可避不純物(例えば雰囲気等の周囲環境に由来する酸素、炭素、水素等)を含みうる。また、剥離層16(特に炭素層)には反射防止層17の成膜手法に起因して金属原子が混入しうる。炭素はキャリアとの相互拡散性及び反応性が小さく、300℃を超える温度でのプレス加工等を受けても、銅箔層と接合界面との間での高温加熱による金属結合の形成を防止して、キャリアの引き剥がし除去が容易な状態を維持することができる。この剥離層16もスパッタリング等の気相法により形成された層であるのがアモルファスカーボン中の過度な不純物を抑制する点、前述の密着金属層13及び/又は剥離補助層14の成膜との連続生産性の点などから好ましい。剥離層16の厚さは1〜20nmが好ましく、より好ましくは1〜10nmである。この厚さは、層断面を透過型電子顕微鏡のエネルギー分散型X線分光分析器(TEM−EDX)で分析することにより測定される値とする。
【0025】
反射防止層17はCr、W、Ta、Ti、Ni及びMoからなる群から選択される少なくとも1種の金属で構成され、少なくとも極薄銅層18側の表面が金属粒子の集合体である。この際、反射防止層17は、全体が金属粒子の集合体で構成される層構造であってもよいし、金属粒子の集合体からなる層とその下部に粒子状ではない層とを含む複数層の構造であってもよい。前述したとおり、反射防止層17の極薄銅層18側の表面を構成する金属粒子の集合体は、その金属質の材質及び粒状形態に起因して望ましい暗色を呈し、その暗色が銅で構成される配線層との間で望ましい視覚的コントラストをもたらし、その結果、画像検査(例えば自動画像検査(AOI))における視認性を向上させる。すなわち、反射防止層17の表面は金属粒子の凸形状に起因して光が乱反射して黒く視認される。しかも、反射防止層17は剥離層16との適度な密着性と剥離性、極薄銅層18との密着性にも優れ、フォトレジスト層形成時における現像液に対する耐剥離性にも優れる。このようなコントラスト及び視認性向上の観点から、反射防止層17の極薄銅層18側の表面の光沢度Gs(60°)は500以下であるのが好ましく、より好ましくは450以下、さらに好ましくは400以下、特に好ましくは350以下、最も好ましくは300以下である。光沢度Gs(60°)の下限値は低ければ低い方が良いため、特に限定されないが、反射防止層17の極薄銅層18側の表面の光沢度Gs(60°)は現実的には100以上であり、より現実的には150以上である。なお、粗化粒子の画像解析による鏡面光沢度Gs(60°)はJIS Z 8741−1997(鏡面光沢度−測定方法)に準拠して市販の光沢度計を用いて測定することができる。
【0026】
また、コントラスト及び視認性の向上、並びにフラッシュエッチングの均一性向上の観点から、反射防止層17の極薄銅層18側の表面は、SEM画像解析により決定される投影面積円相当径が10〜100nmである金属粒子の集合体で構成されるのが好ましく、より好ましくは25〜100nm、さらに好ましくは65〜95nmである。このような投影面積円相当径の測定は、反射防止層17の表面を走査型電子顕微鏡により所定の倍率(例えば50000倍)で撮影し、得られたSEM像の画像解析により行うことができる。具体的には、市販の画像解析式粒度分布ソフトウェア(例えば、Mountech Co.,Ltd.社製、Mac−VIEW)を用いて測定される投影面積円相当径の相加平均値を採用する。
【0027】
反射防止層17は、Cr、W、Ta、Ti、Ni及びMoから選択される少なくとも1種の金属で構成され、好ましくはTa、Ti、Ni及びMoから選択される少なくとも1種の金属で、より好ましくはTi、Ni及びMoから選択される少なくとも1種の金属で、最も好ましくはTiで構成される。これらの金属は純金属であってもよいし、合金であってもよい。いずれにしても、これらの金属は本質的に酸化されていない(本質的に金属酸化物ではない)のがCuとの視覚的コントラストを向上する望ましい暗色を呈するため好ましく、具体的には、反射防止層17の酸素含有量が0〜15原子%であるのが好ましく、より好ましくは0〜13原子%、さらに好ましくは1〜10原子%である。いずれにしても上記金属は、銅フラッシュエッチング液に対して溶解しないという性質を有し、その結果、銅フラッシュエッチング液に対して優れた耐薬品性を呈することができる。反射防止層17の厚さは1〜500nmであるのが好ましく、より好ましく10〜300nm、さらに好ましくは20〜200nm、特に好ましくは30〜150nmである。
【0028】
極薄銅層18は、いかなる方法で製造されたものでよく、例えば、無電解銅めっき法及び電解銅めっき法等の湿式成膜法、スパッタリング及び真空蒸着等の物理気相成膜法、化学気相成膜、又はそれらの組合せにより形成した銅箔であってよい。特に好ましい極薄銅層は、極薄化によるファインピッチ化に対応しやすい観点から、スパッタリング法や及び真空蒸着等の気相法により形成された銅層であり、最も好ましくはスパッタリング法により製造された銅層である。また、極薄銅層は、無粗化の銅層であるのが好ましいが、プリント配線板製造時の配線パターン形成に支障を来さないかぎり予備的粗化やソフトエッチング処理や洗浄処理、酸化還元処理により二次的な粗化が生じたものであってもよい。極薄銅層18の厚さは特に限定されないが、上述したようなファインピッチ化に対応するためには、50〜3000nmが好ましく、より好ましくは70〜2500nm、さらに好ましくは80〜2000nm、特に好ましくは90〜1500nm、特により好ましくは120〜1000nm、最も好ましくは150〜500nmである。このような範囲内の厚さの極薄銅層はスパッタリング法により製造されるのが成膜厚さの面内均一性や、シート状やロール状での生産性の観点で好ましい。
【0029】
極薄銅層18の剥離層16と反対側の表面(極薄銅層18の外側表面)が、JIS B 0601−2001に準拠して測定される、1.0〜100nmの算術平均粗さRaを有するのが好ましく、より好ましくは2.0〜40nm、さらに好ましくは3.0〜35nm、特に好ましくは4.0〜30nm、最も好ましくは5.0〜15nmである。このように算術平均粗さが小さいほど、キャリア付銅箔10を用いて製造されるプリント配線板において、ライン/スペース(L/S)が13μm以下/13μm以下(例えば12μm/12μm〜2μm/2μm)といった程度にまで高度に微細化された配線パターンの形成を形成するのに適したものとなる。
【0030】
反射防止層17、極薄銅層18、所望により密着金属層13、所望により剥離補助層14、及び所望により剥離層16(すなわち少なくとも反射防止層17及び極薄銅層18)が、キャリア12の端面にまで延出して当該端面が被覆されるのが好ましい。すなわち、キャリア12の表面のみならず端面も少なくとも反射防止層17及び極薄銅層18で被覆されていることが好ましい。端面も被覆することで、プリント配線板工程におけるキャリア12への薬液の侵入を防止することができる他、コアレス支持体をハンドリングする際(例えばローラ搬送される際)の側端部における剥離によるチッピング、すなわち剥離層16上の皮膜(すなわち極薄銅層18及び反射防止層17)の欠けを強固に防止させることができる。密着金属層13のキャリア12端面における成膜厚さ(端面に対して垂直方向の厚さ、以下「端面厚」という)は、好ましくは2〜350nm、より好ましくは3〜220nm、さらに好ましくは5〜150nm、特に好ましくは6〜70nmである。剥離補助層14の端面厚は、好ましくは2〜350nm、より好ましくは3〜220nm、さらに好ましくは5〜150nm、特に好ましくは6〜70nmである。剥離層16の端面厚は、好ましくは0〜15nm、より好ましくは0〜3nm、さらに好ましくは0〜1nm、特に好ましくは0〜0.5nm、最も好ましくは0nmである。すなわち、キャリア端面には剥離層16が形成されないのが最も好ましい。反射防止層17の端面厚は、好ましくは2〜350nm、より好ましくは3〜220nm、さらに好ましくは5〜150nm、特に好ましくは6〜70nmである。極薄銅層18の端面厚は、好ましくは15〜2800nm、より好ましくは20〜1800nm、さらに好ましくは25〜1400nm、特に好ましくは27〜1350nm、特により好ましくは35〜700nm、最も好ましくは45〜350nmである。また、キャリア12の端面における被覆領域は、キャリア12の表面から厚さ方向(すなわちキャリア表面に対して垂直な方向)に好ましくは0.1mm以上の領域、より好ましくは0.2mm以上の領域、さらに好ましくはキャリア12の端面全域を被覆させる。こうすることで、コアレス支持体の側端部における皮膜の欠けやプリント配線板工程におけるキャリアへの薬液の侵入を効果的に防止することができる。
【0031】
キャリア付銅箔の製造方法
本発明によるキャリア付銅箔10は、上述したキャリア12を用意し、キャリア12上に、剥離層16、反射防止層17、及び極薄銅層18を形成することにより製造することができる。また、剥離層16の形成に先立ち、キャリア12上に、密着金属層13及び/又は剥離補助層14を形成していてもよく、好ましくは密着金属層13及び剥離補助層14をこの順に形成する。いずれにしても、密着金属層13(存在する場合)、剥離補助層14(存在する場合)、剥離層16、反射防止層17及び極薄銅層18の各層の形成は、極薄化によるファインピッチ化に対応しやすい観点から、気相法により行われるのが好ましい。気相法の例としては、スパッタリング法、真空蒸着法、及びイオンプレーティング法が挙げられるが、0.05nm〜5000nmといった幅広い範囲で膜厚制御できる点、広い幅ないし面積にわたって膜厚均一性を確保できる点等から、最も好ましくはスパッタリング法である。特に、密着金属層13(存在する場合)、剥離補助層14(存在する場合)、剥離層16、反射防止層17及び極薄銅層18の全ての層をスパッタリング法により形成することで、製造効率が格段に高くなる。気相法による成膜は公知の気相成膜装置を用いて公知の条件に従って行えばよく特に限定されない。例えば、スパッタリング法を採用する場合、スパッタリング方式は、マグネトロンスパッタリング、2極スパッタリング法、対向ターゲットスパッタリング法等、公知の種々の方法であってよいが、マグネトロンスパッタリングが、成膜速度が速く生産性が高い点で好ましい。スパッタリングはDC(直流)及びRF(高周波)のいずれの電源で行ってもよい。また、ターゲット形状も広く知られているプレート型ターゲットを使用することができるが、ターゲット使用効率の観点から円筒形ターゲットを用いることが望ましい。以下、密着金属層13(存在する場合)、剥離補助層14(存在する場合)、剥離層16、反射防止層17及び極薄銅層18の各層の気相法(好ましくはスパッタリング法)による成膜について説明する。
【0032】
所望により設けられる密着金属層13の気相法による成膜は、Ti、Cr及びNiからなる群から選択される少なくとも1種の金属で構成されるターゲットを用い、非酸化性雰囲気下でマグネトロンスパッタリングにより行われるのが膜厚分布均一性を向上できる点で好ましい。ターゲットの純度は99.9%以上が好ましい。スパッタリングに用いるガスとしては、アルゴンガス等の不活性ガスを用いるのが好ましい。アルゴンガスの流量はスパッタリングチャンバーサイズ及び成膜条件に応じて適宜決定すればよく特に限定されない。また、異常放電やプラズマ照射不良などの稼働不良なく、連続的に成膜する観点から成膜時の圧力は0.1〜20Paの範囲で行うことが好ましい。この圧力範囲は、装置構造、容量、真空ポンプの排気容量、成膜電源の定格容量等に応じ、成膜電力、アルゴンガスの流量を調整することで設定すればよい。また、スパッタリング電力は成膜の膜厚均一性、生産性等を考慮してターゲットの単位面積あたり0.05〜10.0W/cmの範囲内で適宜設定すればよい。
【0033】
所望により設けられる剥離補助層14の気相法による成膜は、銅ターゲットを用い、非酸化性雰囲気下でマグネトロンスパッタリングにより行われるのが膜厚分布均一性を向上できる点で好ましい。銅ターゲットの純度は99.9%以上が好ましい。スパッタリングに用いるガスとしては、アルゴンガス等の不活性ガスを用いるのが好ましい。アルゴンガスの流量はスパッタリングチャンバーサイズ及び成膜条件に応じて適宜決定すればよく特に限定されない。また、異常放電やプラズマ照射不良などの稼働不良なく、連続的に成膜する観点から成膜時の圧力は0.1〜20Paの範囲で行うことが好ましい。この圧力範囲は、装置構造、容量、真空ポンプの排気容量、成膜電源の定格容量等に応じ、成膜電力、アルゴンガスの流量を調整することで設定すればよい。また、スパッタリング電力は成膜の膜厚均一性、生産性等を考慮してターゲットの単位面積あたり0.05〜10.0W/cmの範囲内で適宜設定すればよい。
【0034】
剥離層16が炭素層である場合、炭素層の気相法(好ましくはスパッタリング法)による成膜は、カーボンターゲットを用いてアルゴン等の不活性雰囲気下で行われるのが好ましい。カーボンターゲットはグラファイトで構成されるのが好ましいが、不可避不純物(例えば雰囲気等の周囲環境に由来する酸素や炭素)を含みうる。カーボンターゲットの純度は99.99%以上が好ましく、より好ましくは99.999%以上である。また、異常放電やプラズマ照射不良などの稼働不良なく、連続的に成膜する観点から成膜時の圧力は0.1〜2.0Paの範囲で行うことが好ましい。この圧力範囲は、装置構造、容量、真空ポンプの排気容量、成膜電源の定格容量等に応じ、成膜電力、アルゴンガスの流量を調整することで設定すればよい。また、スパッタリング電力は成膜の膜厚均一性、生産性等を考慮してターゲットの単位面積あたり0.05〜10.0W/cmの範囲内で適宜設定すればよい。
【0035】
反射防止層17の成膜は、Cr、W、Ta、Ti、Ni及びMoからなる群から選択される少なくとも1種の金属で構成されるターゲットを用いて、マグネトロンスパッタ法により行われるのが好ましい。ターゲットの純度は99.9%以上が好ましい。特に、反射防止層17のマグネトロンスパッタ法による成膜は、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、圧力1〜20Paで行われるのが好ましい。スパッタリング圧力は、より好ましくは2〜18Pa、さらに好ましくは3〜15Paである。このようなスパッタリング圧力は通常採用されるスパッタリング圧力よりも顕著に高いものであり、それにより、反射防止層17の表面を本質的に酸化させることなく、望ましい形態の金属粒子の集合体を面内均一に形成することができる。上記スパッタリング条件によれば、望ましい投影面積円相当径及び望ましい光沢度Gs(60°)をもたらすこともできる。また、異常放電やプラズマ照射不良などの稼働不良なく、連続的に成膜できるとの利点もある。なお、上記圧力範囲の制御は、装置構造、容量、真空ポンプの排気容量、成膜電源の定格容量等に応じ、成膜電力、アルゴンガスの流量を調整することにより行えばよい。アルゴンガスの流量はスパッタリングチャンバーサイズ及び成膜条件に応じて適宜決定すればよく特に限定されない。また、スパッタリング電力は成膜の膜厚均一性、生産性等を考慮してターゲットの単位面積あたり1.0〜15.0W/cmの範囲内で適宜設定すればよい。また、製膜時にキャリア温度を一定に保持するのが、安定した膜特性(例えば膜抵抗や結晶サイズ)を得やすい点で好ましい。成膜時のキャリア温度は25〜300℃の範囲内で調整することが好ましく、より好ましくは40〜200℃、さらに好ましくは50〜150℃の範囲内である。
【0036】
極薄銅層18の気相法(好ましくはスパッタリング法)による成膜は、銅ターゲットを用いてアルゴン等の不活性雰囲気下で行われるのが好ましい。銅ターゲットは金属銅で構成されるのが好ましいが、不可避不純物を含みうる。銅ターゲットの純度は99.9%以上が好ましく、より好ましくは99.99%、さらに好ましくは99.999%以上である。極薄銅層18の気相成膜時の温度上昇を避けるため、スパッタリングの際、ステージの冷却機構を設けてもよい。また、異常放電やプラズマ照射不良などの稼働不良なく、安定的に成膜する観点から成膜時の圧力は0.1〜2.0Paの範囲で行うことが好ましい。この圧力範囲は、装置構造、容量、真空ポンプの排気容量、成膜電源の定格容量等に応じ、成膜電力、アルゴンガスの流量を調整することで設定すればよい。また、スパッタリング電力は成膜の膜厚均一性、生産性等を考慮してターゲットの単位面積あたり0.05〜10.0W/cmの範囲内で適宜設定すればよい。
【0037】
なお、キャリア12の端面における密着金属層13、剥離補助層14、剥離層16、反射防止層17及び/又は極薄銅層18の形成は、上述したスパッタリング法において、ステージ上でキャリア12の端面を露出させた状態で成膜を行うことにより、容易に実施することができる。このとき、キャリア12の端面にはキャリア12の表面に成膜される層の厚さの20%〜70%の厚さ(端面厚)で成膜されるのが典型的である。一方、剥離層16を形成する際など、端面に極端に薄い厚さで成膜する場合は、キャリア12の側端部を遮蔽してスパッタリングするのが好ましい。この遮蔽方法の例としては、マスキングテープによる遮蔽、マスキングプレートによる遮蔽が挙げられる。
【0038】
コアレス支持体用積層板
本発明のキャリア付銅箔はコアレス支持体用積層板の形態で提供されてもよい。すなわち、本発明の好ましい態様によれば、上記キャリア付銅箔を備えた、コアレス支持体用積層板が提供される。コアレス支持体用積層板の形態としては以下の2つの形態が挙げられる。(i)コアレス支持体用積層板の第一の形態は、キャリア付銅箔そのものの形態である。すなわち、キャリア12の少なくとも片面に、必要に応じて密着金属層13/必要に応じて剥離補助層14/剥離層16/反射防止層17/極薄銅層18がこの順に積層されたキャリア付銅箔10そのものの形態であり、キャリアの両面に必要に応じて密着金属層13/必要に応じて剥離補助層14/剥離層16/反射防止層17/極薄銅層18がこの順に積層された形態を含まれる。いずれにしても、キャリア12がガラス板や金属板の場合など、キャリア単体に剛性があり支持体として機能し得る場合、この形態が成立する。例えば、ガラスをキャリア12として用いた場合、軽量で、熱膨脹係数が低く、剛直で表面が平坦なため、極薄銅層18の表面を極度に平滑にできる等の利点がある。(ii)コアレス支持体用積層板の第二の形態は、キャリア12の剥離層16と反対側(すなわちキャリア12の外側表面)に接着剤層を備えた形態である。キャリア12が金属箔、樹脂フィルム等の、剛性が無い材料で構成される場合にこの形態が考えられる。この場合、接着剤層の例としては、樹脂層、(ガラス等の)繊維強化性プリプレグ等が挙げられる。例えば、極薄銅層18/反射防止層17/剥離層16/必要に応じて剥離補助層14/必要に応じて密着金属層13/キャリア12/接着剤層(図示せず)/キャリア12/必要に応じて密着金属層13/必要に応じて剥離補助層14/剥離層16/反射防止層17/極薄銅層18の層構成を採用することも可能である。
【0039】
配線層付コアレス支持体の製造方法
本発明のキャリア付銅箔を用いて配線層付コアレス支持体を製造することができる。以下、配線層付コアレス支持体の好ましい製造方法について説明する。この配線層付コアレス支持体の製造方法は、(1)キャリア付銅箔の準備工程と、(2)フォトレジスト層の形成工程と、(3)電気銅めっき層の形成工程と、(4)フォトレジスト層の剥離工程と、(5)フラッシュエッチング工程とを含む。これらの工程を含む配線層付コアレス支持体の製造方法が模式的に図2及び3に示される。
【0040】
(1)キャリア付銅箔の準備工程
キャリア付銅箔10を支持体として用意する(図2(a)参照)。上述のとおり、キャリア付銅箔10はコアレス支持体用積層板の形態で用意されうる。すなわち、上述したように、キャリア付銅箔そのものの形態で提供されてもよいし、キャリア12の剥離層16と反対側(すなわちキャリア12の外側表面)に接着剤層を備えた形態(例えば、極薄銅層18/反射防止層17/剥離層16/剥離補助層14/密着金属層13/キャリア12/接着剤層(図示せず)/キャリア12/密着金属層13/剥離補助層14/剥離層16/反射防止層17/極薄銅層18の層構成)で用意されてもよい。
【0041】
(2)フォトレジスト層の形成工程
極薄銅層18の表面にフォトレジスト層20を所定のパターンで形成する(図2(b)参照)。フォトレジストは感光性フィルムであるのが好ましく、例えば感光性ドライフィルムである。フォトレジスト層20は、露光及び現像により所定の配線パターンを付与すればよい。
【0042】
(3)電気銅めっき層の形成工程
極薄銅層18の露出表面(すなわちフォトレジスト層20でマスキングされていない部分)に電気銅めっき層22を形成する(図2(c)参照)。電気銅めっきは公知の手法により行えばよく、特に限定されない。
【0043】
(4)フォトレジスト層の剥離工程
次いで、フォトレジスト層20を剥離する。その結果、図3(d)に示されるように、電気銅めっき層22が配線パターン状に残り、配線パターンを形成しない部分の極薄銅層18が露出する。
【0044】
(5)銅フラッシュエッチング工程
極薄銅層18の不要部分を銅フラッシュエッチングにより除去して反射防止層17を露出させ、それにより配線層24が形成されたコアレス支持体(以下、配線層付コアレス支持体26という)を得る。このフラッシュエッチング液は、硫酸/過酸化水素混合液や、過硫酸ナトリウム及び過硫酸カリウムの少なくともいずれか1種を含む液を用いるのが、電気銅めっき層22の過度なエッチングを回避しながら、露出した極薄銅層18を確実にエッチングできる点で好ましい。こうして、図3(e)に示されるように、電気銅めっき層22/極薄銅層18が配線パターン状に残り、配線パターンを形成しない部分の反射防止層17がフラッシュエッチング液により溶解されず残留し、表面に露出することとなる。このとき、反射防止層17を構成するCr、W、Ta、Ti、Ni及びMoから選択される少なくとも1種の金属は、銅フラッシュエッチング液に対して溶解しないという性質を有するので、銅フラッシュエッチング液に対して優れた耐薬品性を呈することができる。すなわち、反射防止層17は銅フラッシュエッチングで除去されることなく、次なる画像検査工程のために露出状態で残される。
【0045】
(6)画像検査等(任意工程)
上記銅フラッシュエッチング後、反射防止層17を露出させたままの状態で、配線層付コアレス支持体26(具体的には配線層24)を画像検査する工程を行うのが好ましい。画像検査は、典型的には、光学式自動外観検査(AOI)装置を用いて光源から所定の光を照射して、配線パターンの二値化画像を取得し、この二値化画像と設計データ画像とのパターンマッチングを試み、両者間における一致/不一致を評価することにより行われる。このとき、反射防止層17の表面を構成する金属粒子の集合体は、その金属質の材質及び粒状形態に起因して望ましい暗色を呈し、その暗色が銅で構成される配線層24との間で望ましい視覚的コントラストをもたらすので、画像検査(例えば自動画像検査(AOI))における視認性を向上させる。
【0046】
上記画像検査後、必要に応じて、配線層付コアレス支持体26上に、チップ等の電子素子28を搭載する工程を行うのが好ましく、これによりプリント配線板を製造することができる。ところで、前述したように、このように配線層24を形成した後にチップの実装を行うプロセスはRDL−First法と呼ばれる手法である。この工法によれば、チップの実装を行う前にコアレス支持体表面の配線層やその後に積層される各ビルドアップ配線層の画像検査を行うことができるため、各配線層の不良部分を避けて、良品部分にのみチップを実装できる。その結果、RDL−First法はチップの無駄使いを回避できる点で、チップの表面に配線層を逐次積層する工法であるChip−First法等と比較すると経済的に有利である。この点、本発明のキャリア付銅箔10にあっては、上述したとおり、所定の金属で構成され、その極薄銅層18側の表面が金属粒子の集合体である反射防止層17を採用することで、画像検査における電気銅めっき層22の表面と反射防止層17の表面とのコントラストが十分に得ることができ、画像検査を高い精度で行なうことが可能となる。例えば、光学式自動外観検査(AOI)装置により取得される配線パターンの二値化画像がより正確かつ鮮明なものとなる。こうして、プリント配線板の製造プロセス(特にRDL−First法)において、チップ実装前の配線層に対する画像検査を高精度に行うことができ、それにより製品歩留まりを向上することができる。また、任意工程として想定される、コアレス支持体26の配線層上に搭載される電子素子28の例としては、半導体素子、チップコンデンサ、抵抗体等が挙げられる。電子素子搭載の方式の例としては、フリップチップ実装方式、ダイボンディング方式等が挙げられる。フリップチップ実装方式は、電子素子28の実装パッドと、コアレス支持体26上の配線層24との接合を行う方式である。この実装パッド上には柱状電極(ピラー)やはんだバンプ等が形成されてもよく、実装前にコアレス支持体26の配線層24表面に封止樹脂膜であるNCF(Non−Conductive Film)等を貼り付けてもよい。接合は、はんだ等の低融点金属を用いて行われるのが好ましいが、異方導電性フィルム等を用いてもよい。ダイボンディング接着方式は、コアレス支持体26表面の配線層24に対して、電子素子28の実装パッド面と反対側の面を接着する方式である。この接着には、熱硬化樹脂と熱伝導性の無機フィラーを含む樹脂組成物である、ペーストやフィルムを用いるのが好ましい。
【0047】
プリント配線板の製造方法
本発明の配線層付コアレス支持体を用いてプリント配線板を製造することができる。以下、プリント配線板の好ましい製造方法について説明する。このプリント配線板の製造方法は、(1)配線層付コアレス支持体の製造工程と、(2)ビルドアップ層付積層体の作製工程と、(3)ビルドアップ層付積層体の分離工程と、(4)反射防止層の除去工程とを含む。これらの工程を含むプリント配線板の製造方法が模式的に図2〜4(特に図4)に示される。
【0048】
(1)配線層付コアレス支持体の製造工程
上述した本発明の方法により配線層付コアレス支持体26を製造する。すなわち、本発明のプリント配線板の製造方法は、上述した配線層付コアレス支持体の製造方法の一連の工程を含むものであり、ここでの繰り返しの説明は省略する。
【0049】
(2)ビルドアップ層付積層体の作製工程
配線層付コアレス支持体26の配線層24が形成された面にビルドアップ層30を形成してビルドアップ層付積層体32を作製する(図4(g)参照)。なお、図4においてビルドアップ層30の詳細は示されていないが、一般的にプリント配線板において採用される公知のビルドアップ配線層の構成を採用すればよく特に限定されない。
【0050】
(3)ビルドアップ層付積層体の分離工程
ビルドアップ層付積層体32を剥離層16で分離してビルドアップ層30を含む多層配線板34を得る。すなわち、キャリア12、密着金属層13(存在する場合)、剥離補助層14(存在する場合)、及び剥離層16が剥離除去される。この分離工程においては、物理的な分離、化学的な分離等が採用されうる。物理的分離法は、手や治工具、機械等でキャリア12等をビルドアップ層30から引き剥がすことにより分離して多層配線板34を得る手法である(図4(h)参照)。また、化学的分離法を採用する場合(特に密着金属層13及び剥離補助層14を有しない場合)、キャリア12を溶解するキャリアエッチング液を用いて多層配線板34を得ることができる。このキャリアエッチング液は、キャリア12を溶解可能で、かつ、ビルドアップ層30を構成する部材を溶解しない薬液でエッチングすることが好ましい。例えばキャリアがガラスである場合は、フッ酸や酸性フッ化アンモニウム等のガラスエッチング液等を用いてキャリアを溶解分離することが好ましい。化学的分離法は、キャリア12にビルドアップ層30が直接接している部位が広く強固に接着された場合において有効である。
【0051】
(4)反射防止層の除去工程
反射防止層17をフラッシュエッチングにより除去して、プリント配線板36を得る(図4(i))。このフラッシュエッチングは、例えば以下の表1に例示されるように、反射防止層17を構成する金属に応じて適切なエッチング液を選択して行うのが好ましい。表1に代表的なエッチング液を例示するが、これらに限定されるものではなく、酸やアンモニウム塩の種類、濃度、温度等は表1に記載の条件から適宜変更されうるものである。
【表1】
【0052】
このようなエッチング液を用いることで反射防止層17を選択的にフラッシュエッチングすることができるので、反射防止層17下に露出してくる配線層24(これは銅で構成される)の浸食を有意に抑制することができる。すなわち、反射防止層17を構成するCr、W、Ta、Ti、Ni及びMoから選択される少なくとも1種の金属をフラッシュエッチングするためのエッチング液として、選択性の高いエッチング液を用いることができる結果、配線層24を構成する銅のエッチング液による溶解を抑制又は回避することができる。
【0053】
図4に示されるようなプリント配線板36は様々な工法により外層を加工することが可能である。例えば、プリント配線板36の配線層24にさらにビルドアップ配線層としての絶縁層と配線層を任意の層数として積層してもよく、或いは配線層24の表面にソルダーレジスト層を形成し、Ni−AuめっきやOSP処理(水溶性プレフラックス処理、Organic Solderability Preservative)等の外層パッドとしての表面処理を施してもよい。さらには外層パッドに柱状のピラー等を設けてもよい。いずれにしても、一般的にプリント配線板において採用される公知の工法を適宜追加的に行うことができ、特に限定されない。
【実施例】
【0054】
本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。
【0055】
例1
(1)キャリア付銅箔の作製
図1に示されるように、キャリア12としてのガラスシート上に密着金属層13、剥離補助層14、剥離層16、及び極薄銅層18をこの順に成膜してキャリア付銅箔10を作製した。具体的な手順は以下のとおりである。なお、以下の例において言及される算術平均粗さRaはJIS B 0601−2001に準拠して非接触表面形状測定機(Zygo株式会社製NewView5032)で測定された値である。
【0056】
(1a)キャリアの準備
算術平均粗さRa0.5nmの表面を有する厚さ700μmのガラスシート(材質:無アルカリガラス、製品名:OA10、日本電気硝子社製)を用意した。
【0057】
キャリア12の端面をステンレス製プレートでマスキングした状態とし、下記のとおりスパッタリングよる各種層の形成を行った。
【0058】
(1b)密着金属層の形成
キャリア12の表面に、密着金属層13として厚さ100nmのチタン層を以下の装置及び条件でスパッタリングにより形成した。
‐ 装置:枚葉式マグネロトンスパッタリング装置(トッキ株式会社製)
‐ ターゲット:直径8インチ(203.2mm)のTiターゲット(純度99.999%)
‐ 到達真空度Pu:1×10−4Pa未満
‐ キャリアガス:Ar(流量:100sccm)
‐ スパッタリング圧:0.35Pa
‐ スパッタリング電力:2000W(6.2W/cm
‐ 成膜時温度:40℃
【0059】
(1c)剥離補助層の形成
密着金属層13の上に、剥離補助層14として厚さ100nmの銅層を以下の装置及び条件でスパッタリングにより形成した。
‐ 装置:枚葉式DCスパッタリング装置(キャノントッキ株式会社製、MLS464)
‐ ターゲット:直径8インチ(203.2mm)の銅ターゲット(純度99.98%)
‐ 到達真空度Pu:1×10−4Pa未満
‐ ガス:アルゴンガス(流量:100sccm)
‐ スパッタリング圧:0.35Pa
‐ スパッタリング電力:2000W(6.2W/cm
‐ 成膜時温度:40℃
【0060】
(1d)剥離層の形成
剥離補助層14の上に、剥離層16として厚さ3nmのアモルファスカーボン層を以下の装置及び条件でスパッタリングにより形成した。
‐ 装置:枚葉式DCスパッタリング装置(キャノントッキ株式会社製、MLS464)
‐ ターゲット:直径8インチ(203.2mm)の炭素ターゲット(純度99.999%)
‐ 到達真空度Pu:1×10−4Pa未満
‐ キャリアガス:Ar(流量:100sccm)
‐ スパッタリング圧:0.35Pa
‐ スパッタリング電力:100W(0.3W/cm
‐ 成膜時温度:40℃
【0061】
(1e)反射防止層の形成
剥離層16の表面に、反射防止層17として厚さ100nmのニッケル層を以下の装置及び条件でスパッタリングにより形成した。
‐ 装置:枚葉式DCスパッタリング装置(キャノントッキ株式会社製、MLS464)
‐ ターゲット:直径8インチ(203.2mm)、厚さ1mmのNiターゲット(Ni:100重量%)
‐ 到達真空度Pu:1×10−4Pa未満
‐ キャリアガス:Ar(流量:100sccm)
‐ スパッタリング圧:12Pa
‐ スパッタリング電力:2000W(6.2W/cm
‐ 成膜時温度:40℃
【0062】
(1f)極薄銅層の形成
反射防止層17の上に、膜厚300nmの極薄銅層18を以下の装置及び条件でスパッタリングにより形成した。得られた極薄銅層18の剥離層16と反対側の表面(すなわち外側表面)の算術平均粗さ(Ra)は3nmであった。
‐ 装置:枚葉式DCスパッタリング装置(キャノントッキ株式会社製、MLS464)
‐ ターゲット:直径8インチ(203.2mm)の銅ターゲット(純度99.98%)
‐ 到達真空度Pu:1×10−4Pa未満
‐ キャリアガス:Ar(流量:100sccm)
‐ スパッタリング圧:0.35Pa
‐ スパッタリング電力:2000W(6.2W/cm
‐ 成膜時温度:40℃
【0063】
(1g)組成分析及び投影面積円相当径の測定
組成分析等のためのサンプルとして、上記で得られたキャリア付銅箔の密着金属層13、剥離補助層14、剥離層16及び反射防止層17の製造条件と同様の製造条件により、ガラスシート上に密着金属層13のみを形成したサンプルと、ガラスシート上に剥離補助層14のみを形成したサンプルと、ガラスシート上に剥離層16のみを形成したサンプルと、ガラスシート上に反射防止層17のみを形成したサンプルとを別個に作製した。各々のサンプルに対して組成分析を以下のとおり行うことで各層の組成を把握した。
【0064】
<密着金属層、剥離補助層及び反射防止層の組成分析>
密着金属層13、剥離補助層14、及び反射防止層17に対し、表面分析用のモニタリングサンプルを作成し、TOF−SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析法)により元素分析を行った。この測定は定電流モードにより800V−3mAの条件で行った。その結果、密着金属層13、剥離補助層14及び反射防止層17の組成はそれぞれ以下のとおりであった。
密着金属層13:Ti:92.5原子%、O:7.5原子%
剥離補助層14:Cu:99原子%、O:1原子%
反射防止層17:Ni:99.6原子%、O:0.4原子%
【0065】
<剥離層の組成分析>
剥離層16(すなわち炭素層)に対して、XPSにより元素分析を行い、炭素濃度を測定した。その結果、剥離層16の炭素濃度は93原子%(C+O=100%)であった。
【0066】
<反射防止層表面の表面形状及び投影面積円相当径の測定>
反射防止層17を形成した直後のサンプルを抜き取り、反射防止層17の表面を走査型電子顕微鏡により50000倍で撮影してSEM画像を得た。得られたSEM像を二値化画像した画像解析によって表面形状を特定し、粒子状の表面について2μm×1μmの任意の視野範囲内の粒子について投影面積円相当径の平均値を求めた。この画像解析には、画像解析式粒度分布ソフトウェア(Mountech Co.,Ltd.社製、Mac−VIEW)を用いた。測定は任意の50個以上の粒子を対象とし、個々の粒子について投影面積円相当径を測定し、その相加平均値を算出した。結果は表2に示されるとおりであった。
【0067】
例2〜5
反射防止層17としてニッケル層の代わりにチタン層を以下のようにして形成した作製したこと以外は、例1と同様にして、キャリア付銅箔の作製及び評価を行った。結果は表2に示されるとおりであった。なお、極薄銅層18の剥離層16と反対側の表面の算術平均粗さRaは3.7nmであった。反射防止層17以外の各層の組成は例1と概ね同様であった。反射防止層17の組成はTi:85原子%、O:15原子%(例2)、Ti:91原子%、O:9原子%(例3)、Ti:90原子%、O:10原子%(例4)、Ti:87原子%、O:13原子%(例5)であった。
【0068】
(チタン層の形成)
剥離層16の表面に、反射防止層17として厚さ100nmのチタン層を以下の装置及び条件でスパッタリングにより形成した。
‐ 装置:枚葉式DCスパッタリング装置(キャノントッキ株式会社製、MLS464)
‐ ターゲット:直径8インチ(203.2mm)のチタンターゲット(純度99.999%)
‐ キャリアガス:Ar(流量:100sccm)
‐ 到達真空度Pu:1×10−4Pa未満
‐ スパッタリング圧:12Pa(例2及び4)、4Pa(例3)又は0.5Pa(例5)
‐ スパッタリング電力:2000W(6.2W/cm)(例2)又は1000W(3.1W)(例3〜5)
【0069】
例6
反射防止層17としてニッケル層の代わりにクロム層を以下のようにして形成した作製したこと以外は、例1と同様にして、キャリア付銅箔の作製及び評価を行った。結果は表2に示されるとおりであった。なお、極薄銅層18の剥離層16と反対側の表面の算術平均粗さRaは3.5nmであった。反射防止層17以外の各層の組成は例1と概ね同様であった。反射防止層17の組成はCr:98原子%、O:2原子%であった。
【0070】
(クロム層の形成)
剥離層16の表面に、反射防止層17として厚さ100nmのクロム層を以下の装置及び条件でスパッタリングにより形成した。
‐ 装置:枚葉式DCスパッタリング装置(キャノントッキ株式会社製、MLS464)
‐ ターゲット:直径8インチ(203.2mm)、厚さ6mmのCrターゲット(Cr:99.9)
‐ キャリアガス:Ar(流量:100sccm)
‐ 到達真空度Pu:1×10−4Pa未満
‐ スパッタリング圧:12Pa
‐ スパッタリング電力:2000W(6.2W/cm
【0071】
例7
反射防止層17としてニッケル層の代わりにタングステン層を以下のようにして形成した作製したこと以外は、例1と同様にして、キャリア付銅箔の作製及び評価を行った。結果は表2に示されるとおりであった。なお、極薄銅層18の剥離層16と反対側の表面の算術平均粗さRaは3.1nmであった。反射防止層17以外の各層の組成は例1と概ね同様であった。反射防止層17の組成はW:99原子%、O:1原子%であった。
【0072】
(タングステン層の形成)
剥離層16の表面に、反射防止層17として厚さ100nmのタングステン層を以下の装置及び条件でスパッタリングにより形成した。
‐ 装置:枚葉式DCスパッタリング装置(キャノントッキ株式会社製、MLS464)
‐ ターゲット:直径8インチ(203.2mm)、厚さ4mmのWターゲット(W:99.9重量%)
‐ キャリアガス:Ar(流量:100sccm)
‐ 到達真空度Pu:1×10−4Pa未満
‐ スパッタリング圧:4Pa
‐ スパッタリング電力:2000W(6.2W/cm
【0073】
例8
反射防止層17としてニッケル層の代わりにタンタル層を以下のようにして形成した作製したこと以外は、例1と同様にして、キャリア付銅箔の作製及び評価を行った。結果は表2に示されるとおりであった。なお、極薄銅層18の剥離層16と反対側の表面の算術平均粗さRaは3.2nmであった。反射防止層17以外の各層の組成は例1と概ね同様であった。反射防止層17の組成はTa:99原子%、O:1原子%であった。
【0074】
(タンタル層の形成)
剥離層16の表面に、反射防止層17として厚さ100nmのタンタル層を以下の装置及び条件でスパッタリングにより形成した。
‐ 装置:枚葉式DCスパッタリング装置(キャノントッキ株式会社製、MLS464)
‐ ターゲット:直径8インチ(203.2mm)、厚さ4mmのTaターゲット(Ta:99.99%)
‐ キャリアガス:Ar(流量:100sccm)
‐ 到達真空度Pu:1×10−4Pa未満
‐ スパッタリング圧:4Pa
‐ スパッタリング電力:2000W(6.2W/cm
【0075】
例9
反射防止層17としてニッケル層の代わりにモリブデン層を以下のようにして形成した作製したこと以外は、例1と同様にして、キャリア付銅箔の作製及び評価を行った。結果は表2に示されるとおりであった。なお、極薄銅層18の剥離層16と反対側の表面の算術平均粗さRaは3.0nmであった。反射防止層17以外の各層の組成は例1と概ね同様であった。反射防止層17の組成はMo:99.1原子%、O:0.9原子%であった。
【0076】
(モリブデン層の形成)
剥離層16の表面に、反射防止層17として厚さ100nmのモリブデン層を以下の装置及び条件でスパッタリングにより形成した。
‐ 装置:枚葉式DCスパッタリング装置(キャノントッキ株式会社製、MLS464)
‐ ターゲット:直径8インチ(203.2mm)、厚さ6mmのMoターゲット(Mo:99.99%)
‐ キャリアガス:Ar(流量:100sccm)
‐ 到達真空度Pu:1×10−4Pa未満
‐ スパッタリング圧:4Pa
‐ スパッタリング電力:2000W(6.2W/cm
【0077】
例10(比較)
反射防止層17であるニッケル層の代わりにアルミニウム層を以下のようにして形成した作製したこと以外は、例1と同様にして、キャリア付銅箔の作製及び評価を行った。結果は表2に示されるとおりであった。なお、極薄銅層18の剥離層16と反対側の表面の算術平均粗さRaは5.1nmであった。反射防止層17以外の各層の組成は例1と概ね同様であった。反射防止層17の組成はAl:99.4原子%、O:0.6原子%であった。
【0078】
(アルミニウム層の形成)
剥離層16の表面に、反射防止層17として厚さ100nmのアルミニウム層を以下の装置及び条件でスパッタリングにより形成した。
‐ 装置:枚葉式DCスパッタリング装置(キャノントッキ株式会社製、MLS464)
‐ ターゲット:直径8インチ(203.2mm)、厚さ8mmのAlターゲット(Al:99.999%)
‐ キャリアガス:Ar(流量:100sccm)
‐ 到達真空度Pu:1×10−4Pa未満
‐ スパッタリング圧:12Pa
‐ スパッタリング電力:1000W(3.1W/cm
【0079】
例11(比較)
反射防止層17であるニッケル層の代わりに銀層を以下のようにして形成した作製したこと以外は、例1と同様にして、キャリア付銅箔の作製及び評価を行った。結果は表2に示されるとおりであった。なお、極薄銅層18の剥離層16と反対側の表面の算術平均粗さRaは8.5nmであった。反射防止層17以外の各層の組成は例1と概ね同様であった。反射防止層17の組成はAg:99.8原子%、O:0.2原子%であった。
【0080】
(銀層の形成)
剥離層16の表面に、反射防止層17として厚さ100nmの銀層を以下の装置及び条件でスパッタリングにより形成した。
‐ 装置:枚葉式DCスパッタリング装置(キャノントッキ株式会社製、MLS464)
‐ ターゲット:直径8インチ(203.2mm)、厚さ8mmのAgターゲット(Ag:99.9%)
‐ キャリアガス:Ar(流量:100sccm)
‐ 到達真空度Pu:1×10−4Pa未満
‐ スパッタリング圧:12Pa
‐ スパッタリング電力:1000W(3.1W/cm
【0081】
例12(比較)
反射防止層17であるニッケル層を以下のようにして形成して(粒子状ではなく)膜状の表面形状としたこと以外は、例1と同様にして、キャリア付銅箔の作製及び評価を行った。結果は表2に示されるとおりであった。なお、極薄銅層18の剥離層16と反対側の表面の算術平均粗さRaは2.7nmであった。反射防止層17以外の各層の組成は例1と概ね同様であった。反射防止層17の組成はNi:99.5原子%、O:0.5原子%であった。
【0082】
(ニッケル層の形成)
剥離層16の表面に、反射防止層17として厚さ100nmのNi層を以下の装置及び条件でスパッタリングにより形成した。
‐ 装置:枚葉式DCスパッタリング装置(キャノントッキ株式会社製、MLS464)
‐ ターゲット:直径8インチ(203.2mm)、厚さ1mmのNiターゲットNi:100重量%)
‐ キャリアガス:Ar(流量:100sccm)
‐ 到達真空度Pu:1×10−4Pa未満
‐ スパッタリング圧:0.08Pa
‐ スパッタリング電力:1000W(3.1W/cm
【0083】
例13(比較)
反射防止層17であるチタン層を以下のようにして形成して(粒子状ではなく)膜状の表面形状としたこと以外は、例1と同様にして、キャリア付銅箔の作製及び評価を行った。結果は表2に示されるとおりであった。なお、極薄銅層18の剥離層16と反対側の表面の算術平均粗さRaは2.7nmであった。反射防止層17以外の各層の組成は例1と概ね同様であった。反射防止層17の組成はTi:92原子%、O:8原子%であった。
【0084】
(チタン層の形成)
剥離層16の表面に、反射防止層17として厚さ100nmのTi層を以下の装置及び条件でスパッタリングにより形成した。
‐ 装置:枚葉式DCスパッタリング装置(キャノントッキ株式会社製、MLS464)
‐ ターゲット:直径8インチ(203.2mm)のTiターゲット(純度99.999%)
‐ キャリアガス:Ar(流量:100sccm)
‐ 到達真空度Pu:1×10−4Pa未満
‐ スパッタリング圧:0.05Pa
‐ スパッタリング電力:1000W(3.1W/cm
【0085】
例14〜18
i)密着金属層13、剥離補助層14、反射防止層17及び極薄銅層18の形成をキャリア12の端面にマスキングを施さずに行ったこと、及びii)剥離層16の形成をステンレス鋼製プレートを用いたマスキングを施して行い、端面における剥離層16の厚さ(端面厚)を変化させたこと以外は、例2と同様にしてキャリア付銅箔の作製を行った。その結果、キャリア12の端面における各層の厚さ(端面厚)は下記のとおりとなった。
‐ 密着金属層13:チタン層(端面厚:35nm)
‐ 剥離補助層14:銅層(端面厚:35nm)
‐ 剥離層16:炭素層(表3に示される各種端面厚)
‐ 反射防止層17:チタン層(端面厚:38nm)
‐ 極薄銅層18:銅層(端面厚:100nm)
【0086】
各種評価
例1〜18のキャリア付銅箔について、以下に示されるとおり、各種評価を行った。評価結果は表2A、2B及び3に示されるとおりであった。
【0087】
<現像液に対する耐剥離性>
各キャリア付銅箔の極薄銅層の表面を0.05mol/Lの希硫酸で処理して表面の酸化膜の除去を行い、その後、水洗及び乾燥を行った。その後、極薄銅層の表面に感光性ドライフィルムを貼り付け、ライン/スペース(L/S)=5μm/5μmのパターンを与えるように露光及び現像を行った。現像は、現像液として1.0重量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて、25℃で2分間、シャワー方式により行った。現像後における極薄銅層とキャリアとの間の層間界面(特に剥離層と密着金属層の間)への現像液の浸入による極薄銅層の剥離の有無ないし程度を評価した。得られた評価結果を以下の基準で格付けした。
評価A:極薄銅層の剥離が無かった。
評価B:極薄銅層が直径50μm以下のサイズで剥離した。
評価C:極薄銅層が直径50μmよりも大きなサイズで剥離した。
【0088】
<極薄銅層フラッシュエッチング時の反射防止膜の耐薬品性>
上記現像後の配線層付コアレス支持体(パターン形成された配線間に極薄銅層が露出した状態のもの)を硫酸−過酸化水素混合液を含むエッチング液に23℃で5分間、シャワー圧力0.1MPaにて浸漬することにより銅フラッシュエッチングを行った。こうして、パターン形成された配線間に露出した極薄銅層を除去した。フラッシュエッチング後の配線層付コアレス支持体を観察することにより反射防止層の耐薬品性を評価した。得られた評価結果を以下の基準で格付けした。
評価A:反射防止層が消失することなく残留していた。
評価B:反射防止層が一部消失した。
評価C:反射防止層が全面に渡って消失し、配線の一部が浮き上がった。
【0089】
なお、上記評価において、例10のサンプルは、極薄銅層フラッシュエッチング時に反射防止膜が消失したため、以下に続く表面光沢度の評価及びAOI視認性の評価の実施を断念した。
【0090】
<極薄銅層フラッシュエッチング後の反射防止層の表面光沢度Gs(60°)>
例1〜9及び11〜13について、上記銅フラッシュエッチング後のコアレス支持体表面であって、反射防止層が露出した箇所(配線パターンが存在しない箇所)に対して光沢度計(日本電色工業株式会社製、PG−1M)を用い、JIS Z 8741(1997)(鏡面光沢度−測定方法)に準拠して角度60°の光沢度を測定した。
【0091】
<配線のAOI視認性>
例1〜9及び11〜13について、配線パターンの視認性を以下の手順により評価した。光源として635nmの赤色LEDを備えた、光学式自動外観検査(AOI)装置(大日本スクリーン製造社製、製品名:PI9500)を用意した。上記銅フラッシュエッチング後の配線層付コアレス支持体の配線層側の表面をスキャンして輝度ヒストグラムを作成し、スペースと配線を識別可能とする閾値を設けた。この閾値の値は、輝度ヒストグラムのスペース(間隙部)由来のピークPとライン(配線部)由来のピークPの間において、それぞれのピーク末端間(間隙部に相当するピークの終端と配線部に相当するピークの開始点の間)の中央値とした。この閾値を基づいて配線パターンが形成された回路表面をスキャンしてラインとスペースを識別して、設計データとのパターンマッチングを行い、以下の4段階の基準により格付け評価した。
‐評価AA:設計どおりに非常に正確にライン/スペース像(以下、L/S像)が得られたもの
‐評価A:概ね正確にL/S像が得られたもの、
‐評価B:許容可能な程度にL/S像が得られたもの、
‐評価C:ライン及びスペースの識別が困難であったもの
【0092】
配線パターンの視認性が良好であった例2について、配線パターンの光学式自動外観検査(AOI)装置にてスキャンして二値化した。こうして得られた二値化画像を図5に示す。
【0093】
<コアレス支持体端部における皮膜欠けの評価>
上記得られた配線パターン付のコアレス支持体に対して、コアレス支持体端部における剥離層上の皮膜(すなわち極薄銅層及び反射防止層)の欠けの最大幅(mm)を測定し、以下の基準に従って格付けした。結果は表2B及び3に示されるとおりであった。
‐評価AA:0.1mm未満(最良)
‐評価A:0.1mm以上1mm未満(良)
‐評価B:1mm以上2mm未満(許容可能)
‐評価C:2mm以上(不可)
【0094】
<薬液侵入幅の評価>
上記得られた配線パターン付のコアレス支持体に対して、100mm×100mmのサイズのプリプレグ(パナソニック社製FR−4、厚さ200μm)を積層してプリプレグを硬化させ、プリント配線板を作製した。得られたプリント配線板に対して過マンガン酸ナトリウム溶液を用いたデスミア処理を行い、薬液侵入量を示す指標として薬剤侵入幅(mm)を測定した。
【0095】
このデスミア処理は、ローム・アンド・ハース電子材料株式会社の以下に示される処理液を用いて、以下の各処理を順に行うことにより実施した。
[膨潤処理]
‐ 処理液:サーキュポジットMLBコンディショナー211‐120mL/L及び
サーキュポジットZ‐100mL/L
‐ 処理条件::75℃で5分間浸漬
[過マンガン酸処理]
‐ 処理液:サーキュポジットMLBプロモーター213A‐110mL/L、及び
サーキュポジットMLBプロモーター213B‐150mL/L
‐ 処理条件:80℃で5分間浸漬
[中和処理]
‐ 処理液:サーキュポジットMLBニュートラライザー216−2‐200mL/L
‐ 処理条件:45℃で5分間浸漬
【0096】
測定された薬液侵入幅(mm)を以下の基準に従って格付けした。結果は表2B及び3に示されるとおりであった。
‐評価AA:0.1mm未満(最良)
‐評価A:0.1mm以上0.5mm未満(良)
‐評価B:0.5mm以上2mm未満(許容可能)
‐評価C:2mm以上(不可)
【0097】
【表2A】
【0098】
【表2B】
【0099】
【表3】

【要約】
コアレス支持体表面の配線層形成時に反射防止層が銅フラッシュエッチング液に対して優れた耐薬品性を呈するとともに、銅フラッシュエッチング後の画像検査時に反射防止層とのコントラストにより配線層の優れた視認性をもたらしうる、キャリア付銅箔が提供される。このキャリア付き銅箔は、キャリアと、キャリア上に設けられる剥離層と、剥離層上に設けられ、Cr、W、Ta、Ti、Ni及びMoからなる群から選択される少なくとも1種の金属で構成される反射防止層と、反射防止層上に設けられる極薄銅層とを備え、反射防止層の少なくとも極薄銅層側の表面が金属粒子の集合体である。
図1
図2
図3
図4
図5