【実施例】
【0050】
以下、実施例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。したがって、当業者は以下に示す実施例に様々な変更を加えて本発明を実施することができる。
【0051】
まず、本実施例で行った測定方法について説明する。
(溶媒のジアミノマレオニトリルの溶解度の測定)
ジアミノマレオニトリルを10g(ジアミノマレオニトリルの仕込み質量)、溶媒を10g(溶媒質量)秤量して混合し、25℃で10分間攪拌した後、ADVANTEC社製、型式:No.5C(保留粒子径1μm(カタログ記載値))のろ紙を用いて吸引ろ過して、ろ紙上に残留しているジアミノマレオニトリルをろ物として回収した。得られたろ物を120℃で10時間減圧乾燥して、ジアミノマレオニトリル残留質量(g)を測定した。溶媒のジアミノマレオニトリルの溶解度(x)は、式(I)に基づき算出した。
溶媒のジアミノマレオニトリルの溶解度(x)
=(ジアミノマレオニトリル仕込み質量−ジアミノマレオニトリル残留質量)/溶媒質量
=(10−ジアミノマレオニトリル残留質量)/10
・・・(I)
【0052】
(紫外可視吸収スペクトルの測定方法)
紫外可視吸収スペクトルは、試料0.01gをギ酸(和光純薬株式会社製、98%、試薬特級)に溶解させて全体を8.0gとし、その溶液を0.5g採取してさらにギ酸で希釈して、最終的に試料濃度fが0.01wt.%となるよう調製した。その溶液を厚さ2mmの石英セルに充填して紫外可視吸収スペクトルを測定し、得られた紫外可視スペクトルから、厚さ2mmの石英セルにギ酸を充填した場合(ブランク)の紫外可視吸収スペクトルをバックグラウンドとして差し引くことで得た。
装置:日本分光株式会社製、紫外可視吸収分光光度計 V−670
光源:重水素ランプ、ハロゲンランプ
測定波長範囲:1100〜250nm
検出器:光電子増倍管、冷却型PbS光導電素子
バンド幅:1.0nm
走査速度:400nm/min
【0053】
(CHN分析)
ジェイサイエンスラボ社製、MICRO CORDER JM10を用い、2500μgの試料を試料台に充填してCHN分析を行った。試料炉は950℃、燃焼炉(酸化銅触媒)は850℃、還元炉(銀粒+酸化銅のゾーン、還元銅のゾーン、酸化銅のゾーンからなる)は550℃に設定した。酸素は15mL/min、Heは150mL/minに設定した。検出器は熱伝導度検出器(TCD)を用いた。アンチピリン(Antipyrine)を用いてマニュアルに記載の方法でキャリブレーションを行った。
【0054】
(重量平均分子量の測定方法)
重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。試料0.007gをギ酸(和光純薬株式会社製、98%、試薬特級)に溶解させて全体を7.0gとし、試料濃度が0.1wt.%となるよう調製し、1.5mLのバイアル瓶に充填して下記の条件で測定した。
装置:東ソー株式会社製、高速GPC装置 HLC−8320GPC
カラム:親水性ビニルポリマー微粒子ゲル系カラム TSKgelSuperAWM−H
溶離液:98%ギ酸(和光純薬株式会社製、特級)
流速:0.4mL/min
カラム温度:40℃
注入量:0.1μL
検出器:示唆屈折率検出器
なお、重量平均分子量は、分子量が異なる分子量既知の単分散ポリエチレンオキサイド4種類(東ソー株式会社製の分子量2000、21000、44900、101000の標準試料)を用いて、溶出時間−分子量の検量線を作成し、該検量線上において、該当する溶出時間分布から東ソー株式会社製、GPC解析プログラムEcoSEC−WSによって、重量平均分子量を算出した。
【0055】
[実施例1]
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)100.0g、25%アンモニア水40.0gを混合し、混合液を得、溶媒として用いた。この溶媒のジアミノマレオニトリルの溶解度は0.75であった。
【0056】
重合反応はSUS316製、密閉系セパラブル反応器にて実施した。密閉系反応器には撹拌羽が設置されており、空気駆動式撹拌機に接続することで系内を常時撹拌できるようにした。反応器下部に、上記溶媒140.0gとジアミノマレオニトリル粉末80.0gを充填し、混合した。反応器上部を反応器下部にクランプで固定した後、反応器下部をオイルバスに浸した。反応器内は窒素置換をした。オイルバスの温度を80℃に設定し、80℃で5時間維持した後、反応器をオイルバスから外して反応器上部を取り外し、ジアミノマレオニトリル重合物を、ADVANTEC社製、型式:No.5C(保留粒子径1μm(カタログ記載値))のろ紙を用いて吸引ろ過により回収した。回収した粗ジアミノマレオニトリル重合物は使用した溶媒で洗浄後、アセトニトリル、アセトンで洗浄し、真空乾燥機にて、120℃で10時間減圧乾燥を行い、9.4gのジアミノマレオニトリル重合物を回収した。収率は、11.8%であった。
得られたジアミノマレオニトリル重合物を分析したところ、紫外可視吸収スペクトルにて、472nmに極大吸収波長が観察され、600nmにおける吸収強度は0.34であった。
【0057】
[実施例2]
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)100.0g、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)3.6gを混合し、混合液を得、溶媒として用いた。この溶媒のジアミノマレオニトリルの溶解度は0.95であった。
重合反応は、実施例1の溶媒を、上記溶媒に変更した以外は、実施例1と同様の条件で行った。重合反応終了後、16.6gのジアミノマレオニトリル重合物を回収した。重合反応の収率は20.8%であった。
得られたジアミノマレオニトリル重合物を分析したところ、紫外可視吸収スペクトルにて、403nmに極大吸収波長が観察され、600nmにおける吸収強度は0.37であった。
【0058】
[実施例3]
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)100.0g、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)3.6gを混合し、混合液を得、溶媒として用いた。この溶媒のジアミノマレオニトリルの溶解度は0.95であった。
重合反応は、実施例1の溶媒を、上記溶媒に変更し、反応温度を160℃とした以外は、実施例1と同様の条件で行った。重合反応終了後、70.6gのジアミノマレオニトリル重合物を回収した。重合反応の収率は88.3%であった。
得られたジアミノマレオニトリル重合物を分析したところ、紫外可視吸収スペクトルにて、400〜600nmに極大吸収波長は観察されなかったが、600nmにおける吸収強度は0.43であった。
【0059】
[実施例4]
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)100.0g、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)0.7gを混合し、混合液を得、溶媒として用いた。この溶媒のジアミノマレオニトリルの溶解度は0.90であった。
重合反応は、実施例1で用いた溶媒を、上記溶媒に変更し、反応温度を160℃とした以外は、実施例1と同様の条件で行った。重合反応終了後、60.8gのジアミノマレオニトリル重合物を回収した。重合反応の収率は76.0%であった。
得られたジアミノマレオニトリル重合物を分析したところ、紫外可視吸収スペクトルにて、400〜600nmに極大吸収波長は観察されなかったが、600nmにおける吸収強度は0.51であった。
【0060】
[実施例5]
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)100.0g、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)4.5gを混合し、混合液を得、溶媒として用いた。この溶媒のジアミノマレオニトリルの溶解度は0.93であった。
重合反応は、実施例1で用いた溶媒を、上記溶媒に変更した以外は、実施例1と同様の条件で行った。重合反応終了後、11.7gのジアミノマレオニトリル重合物を回収した。重合反応の収率は14.6%であった。
得られたジアミノマレオニトリル重合物を分析したところ、紫外可視吸収スペクトルにて、419nmに極大吸収波長が観察され、600nmにおける吸収強度は0.46であった。
【0061】
[実施例6]
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)100.0g、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)4.5gを混合し、混合液を得、溶媒として用いた。この溶媒のジアミノマレオニトリルの溶解度は0.93であった。
重合反応は、実施例1で用いた溶媒を、上記溶媒に変更し、反応温度を160℃とした以外は、実施例1と同様の条件で行った。重合反応終了後、68.1gのジアミノマレオニトリル重合物を回収した。重合反応の収率は85.1%であった。
得られたジアミノマレオニトリル重合物を分析したところ、紫外可視吸収スペクトルにて、400〜600nmに極大吸収波長は観察されなかったが、600nmにおける吸収強度は0.46であった。
【0062】
[実施例7]
25%アンモニア水800.0gを溶媒として用いた。この溶媒のジアミノマレオニトリルの溶解度は0.27であった。
重合反応は、実施例1で用いた溶媒を、上記溶媒に変更した以外は、実施例1と同様の条件で行った。重合反応終了後、38.0gのジアミノマレオニトリル重合物を回収した。重合反応の収率は47.5%であった。
得られたジアミノマレオニトリル重合物を分析したところ、紫外可視吸収スペクトルにて、400〜600nmに吸収極大は観察されなかったが、600nmにおける吸収強度は0.29であった。
【0063】
[実施例8]
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)100.0g、トリエチルアミン(TEA)6.0gを混合し、混合液を得、溶媒として用いた。この溶媒のジアミノマレオニトリルの溶解度は0.75であった。
重合反応は、実施例1で用いた溶媒を、上記溶媒に変更した以外は、実施例1と同様の条件で行った。重合反応終了後、9.6gのジアミノマレオニトリル重合物を回収した。重合反応の収率は12.0%であった。
得られたジアミノマレオニトリル重合物を分析したところ、紫外可視吸収スペクトルにて、434nmに極大吸収波長が観察され、600nmにおける吸収強度は0.35であった。
【0064】
[実施例9]
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)100.0g、トリプロピルアミン(TPA)8.3gを混合し、混合液を得、溶媒として用いた。この溶媒のジアミノマレオニトリルの溶解度は0.75であった。
重合反応は、実施例1で用いた溶媒を、上記溶媒に変更した以外は、実施例1と同様の条件で行った。重合反応終了後、11.8gのジアミノマレオニトリル重合物を回収した。重合反応の収率は14.8%であった。
得られたジアミノマレオニトリル重合物を分析したところ、紫外可視吸収スペクトルにて、431nmに吸収極大が観察され、600nmにおける吸収強度は0.37であった。
【0065】
[実施例10]
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)100.0g、トリブチルアミン(TBA)10.8gを混合し、混合液を得、溶媒として用いた。この溶媒のジアミノマレオニトリルの溶解度は0.75であった。
重合反応は、実施例1で用いた溶媒を、上記溶媒に変更した以外は、実施例1と同様の条件で行った。重合反応終了後、8.4gのジアミノマレオニトリル重合物を回収した。重合反応の収率は10.6%であった。
得られたジアミノマレオニトリル重合物を分析したところ、紫外可視吸収スペクトルにて、488nmに吸収極大が観察され、600nmにおける吸収強度は0.38であった。
【0066】
[実施例11]
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)100.0g、トリプロピルアミン(TPA)8.3gを混合し、混合液を得、溶媒として用いた。この溶媒のジアミノマレオニトリルの溶解度は0.75であった。
重合反応は、実施例1で用いた溶媒を、上記溶媒に変更し、反応温度を160℃とした以外は、実施例1と同様の条件で行った。重合反応終了後、47.7gのジアミノマレオニトリル重合物を回収した。重合反応の収率は59.6%であった。
得られたジアミノマレオニトリル重合物を分析したところ、紫外可視吸収スペクトルにて、400〜600nmに吸収極大は観察されなかったが、600nmにおける吸収強度は0.47であった。
【0067】
[実施例12]
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)100.0g、シアン化カリウム4.8g、水30.0gを混合し、混合液を得、溶媒として用いた。この溶媒のジアミノマレオニトリルの溶解度は0.80であった。
重合反応は、実施例1で用いた溶媒を、上記溶媒に変更した以外は、実施例1と同様の条件で行った。重合反応終了後、58.8gのジアミノマレオニトリル重合物を回収した。重合反応の収率は73.5%であった。
得られたジアミノマレオニトリル重合物を分析したところ、紫外可視吸収スペクトルにて、431nmに極大吸収波長が観察され、600nmにおける吸収強度は0.27であった。
【0068】
[実施例13]
ジメチルスルホキシド(DMSO)100.0g、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)3.6gを混合し、混合液を得、溶媒として用いた。この溶媒のジアミノマレオニトリルの溶解度は0.98であった。
重合反応は、実施例1で用いた溶媒を、上記溶媒に変更し、反応条件を180℃、1時間とした以外は、実施例1と同様の条件で行った。重合反応終了後、77.7gのジアミノマレオニトリル重合物を回収した。重合反応の収率は97.1%であった。
得られたジアミノマレオニトリル重合物を分析したところ、紫外可視吸収スペクトルにて、400〜600nmに極大吸収波長は観察されなかったが、600nmにおける吸収強度は0.28であった。
【0069】
[実施例14]
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)100.0g、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)3.6gを混合し、混合液を得、溶媒として用いた。この溶媒のジアミノマレオニトリルの溶解度は0.97であった。
重合反応は、実施例1で用いた溶媒を、上記溶媒に変更し、反応条件を200℃、0.5時間とした以外は、実施例1を反復した。59.6gのジアミノマレオニトリル重合物を回収し、収率は74.5%であった。
得られたジアミノマレオニトリル重合物を分析した。紫外可視吸収スペクトルにて、400〜600nmに吸収極大は観察されなかったが、600nmにおける吸収強度は0.39であった。
【0070】
[実施例15]
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)100.0gを溶媒として用いた。この溶媒のジアミノマレオニトリルの溶解度は0.72であった。
重合反応は、実施例1で用いた溶媒を、上記溶媒に変更し、反応温度を160℃とした以外は、実施例1と同様の条件で行った。重合反応終了後、55.0gのジアミノマレオニトリル重合物を回収した。重合反応の収率は68.8%であった。
得られたジアミノマレオニトリル重合物を分析したところ、紫外可視吸収スペクトルにて、400〜600nmに極大吸収波長は観察されなかったが、600nmにおける吸収強度は0.44であった。
【0071】
[実施例16]
アセトニトリル100gと1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)3.6gを混合し、混合液を得、溶媒として用いた。この溶媒のジアミノマレオニトリルの溶解度は0.64であった。
重合反応は、実施例1で用いた溶媒を、上記溶媒に変更し、反応条件を、80℃、7時間とした以外は、実施例1と同様の条件で行った。重合反応終了後、11.7gのジアミノマレオニトリル重合物を回収した。重合反応の収率は14.6%であった。
得られたジアミノマレオニトリル重合物を分析したところ、紫外可視吸収スペクトルにて、488nmに極大吸収波長が観察され、600nmにおける吸収強度は0.49であった。
【0072】
[実施例17]
アセトニトリル100gと1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)3.6gを混合し、混合液を得、溶媒として用いた。この溶媒のジアミノマレオニトリルの溶解度は0.64であった。
重合反応は、実施例1で用いた溶媒を、上記溶媒に変更し、反応条件を160℃、7時間とした以外は、実施例1と同様の条件で行った。重合反応終了後、223.7gのジアミノマレオニトリル重合物を回収した。重合反応の収率は93.2%であった。
得られたジアミノマレオニトリル重合物を分析したところ、紫外可視吸収スペクトルにて、400〜600nmに極大吸収波長は観察されなかったが、600nmにおける吸収強度は0.33であった。
【0073】
[実施例18]
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)100.0g、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(ADBN)1.8gを混合し、混合液を得、溶媒として用いた。この溶媒のジアミノマレオニトリルの溶解度は0.72であった。
重合反応は、実施例1で用いた溶媒を、上記溶媒に変更した以外は、実施例1と同様の条件で行った。重合反応終了後、10.0gのジアミノマレオニトリル重合物を回収した。重合反応の収率は12.5%であった。
得られたジアミノマレオニトリル重合物を分析したところ、紫外可視吸収スペクトルにて、486nmに極大吸収波長が観察され、600nmにおける吸収強度は0.28であった。
【0074】
[比較例1]
溶媒を使用せず、反応条件を197℃、1時間とした以外は、実施例1と同様の条件で、重合反応を行った。即ち、アミノマレオニトリル粉末80.0gのみを反応器に充填して、重合反応を実施した。重合反応終了後、反応器内からは黒色粉末を約44.0g回収した。重合反応の収率は55.0%であった。
得られた黒色粉末を分析するため、ギ酸への溶解を試みたが、黒色粉末は溶解しなかった。そのため、紫外可視吸収スペクトルや重量平均分子量を測定することができなかった。
【0075】
[比較例2]
溶媒を使用せず、反応条件を397℃、1時間とした以外は、実施例1と同様の条件で、重合反応を行った。即ち、アミノマレオニトリル粉末80.0gのみを反応器に充填して、重合反応を実施した。重合反応終了後、反応器内からは黒色粉末を約28.0g回収した。重合反応の収率は35.0%であった。
得られた黒色粉末を分析するため、ギ酸への溶解を試みたが、黒色粉末は溶解しなかった。そのため、紫外可視吸収スペクトルや重量平均分子量を測定することができなかった。
【0076】
[比較例3]
溶媒を使用せず、反応条件を125℃、12時間とし、反応前に反応器内を排気し、減圧させた以外は、実施例1と同様の条件で、重合反応を行った。重合反応終了後、反応器内からは黒褐色粉末が74.7g回収されたが、その大部分はジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。溶解したものは、未反応のジアミノマレオニトリル、もしくは重合度の低いオリゴマー類と考えられる。そこでジメチルスルホキシドに溶解しなかった約1.2gの黒色粉末を回収し、収率は1.5%であった。
得られた黒色粉末を分析したところ、紫外可視吸収スペクトルにて、343nmに極大吸収波長が観察され、400〜700nmの範囲には存在しなかった。また600nmにおける吸収強度は0.12であった。
【0077】
[比較例4]
トリエチルアミン80.0gを溶媒として用いた。この溶媒のジアミノマレオニトリルの溶解度は0.01であった。
重合反応は、実施例1で用いた溶媒を、上記溶媒に変更した以外は、実施例1と同様の条件で重合反応を行った。重合反応終了後、反応器内からは黒褐色粉末が77.4g回収されたが、その大部分はジメチルスルホキシドに溶解した。そこでジメチルスルホキシドに溶解しなかった約3.5gの黒色粉末を回収し、収率は4.4%であった。
得られた黒色粉末を分析したところ、紫外可視吸収スペクトルにて、337nmに極大吸収波長が観察され、400〜700nmの範囲には存在しなかった。また600nmにおける吸収強度は0.13であった。
【0078】
[比較例5]
トリエチルアミン80.0gを溶媒として用いた。この溶媒のジアミノマレオニトリルの溶解度は0.01であった。
重合反応は、実施例1で用いた溶媒を、上記溶媒に変更し、反応温度を160℃とした以外は、実施例1と同様の条件で行った。反応器内からは黒褐色粉末が71.4g回収されたが、その大部分はジメチルスルホキシドに溶解した。そこでジメチルスルホキシドに溶解しなかった約7.9gの黒色粉末を回収し、収率は9.9%であった。
得られた黒色粉末を分析したところ、紫外可視吸収スペクトルにて、369nmに極大吸収波長が観察され、400〜700nmの範囲には存在しなかった。また600nmにおける吸収強度は0.16であった。
【0079】
[比較例6]
トリエチルアミン80.0gを溶媒として用いた。この溶媒のジアミノマレオニトリルの溶解度は0.01であった。
重合反応は、実施例1で用いた溶媒を、上記溶媒に変更し、反応条件を125℃、3時間とし、反応前に反応器内を排気し、減圧させた以外は、実施例1と同様の条件で、重合反応を行った。重合反応終了後、反応器内からは黒褐色粉末が73.8g回収されたが、その大部分はジメチルスルホキシドに溶解した。そこでジメチルスルホキシドに溶解しなかった約6.8gの黒色粉末を回収し、収率は8.5%であった。
得られた黒色粉末を分析したところ、紫外可視吸収スペクトルにて、351nmに極大吸収波長が観察され、400〜700nmの範囲には存在しなかった。また600nmにおける吸収強度は0.17であった。
【0080】
実施例1〜18及び比較例1〜6における、重合反応条件及び生成物の物性等を、表1に示す。
実施例1で得られたジアミノマレオニトリル重合物の紫外可視吸収スペクトルと、比較例4で得られた黒色粉末試料の紫外可視吸収スペクトルを、
図1に示す。図中で太線が実施例1の吸収スペクトルを示し、細線が比較例6の吸収スペクトルを示す。
実施例2で得られたジアミノマレオニトリル重合物の紫外可視吸収スペクトルと、比較例4で得られた黒色粉末試料の紫外可視吸収スペクトルを、
図2に示す。図中で太線が実施例2の吸収スペクトルを示し、細線が比較例6の吸収スペクトルを示す。
実施例3で得られたジアミノマレオニトリル重合物の紫外可視吸収スペクトルと、比較例4で得られた黒色粉末試料の紫外可視吸収スペクトルを、
図3に示す。図中で太線が実施例3の吸収スペクトルを示し、細線が比較例6の吸収スペクトルを示す。
【0081】
【表1】
x:溶媒のジアミノマレオニトリルの溶解度
y:ジアミノマレオニトリルに対する溶媒の質量比率
(*)−は極大吸収波長を持たないことを表す。