(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204020
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】熱拡散部材および熱拡散部材を備える電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
H05K7/20 F
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-5448(P2013-5448)
(22)【出願日】2013年1月16日
(65)【公開番号】特開2014-138059(P2014-138059A)
(43)【公開日】2014年7月28日
【審査請求日】2015年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】水野 浩道
【審査官】
久松 和之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−299813(JP,A)
【文献】
特開2010−251386(JP,A)
【文献】
特開2000−77872(JP,A)
【文献】
特開2008−131501(JP,A)
【文献】
特開2005−252013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H01L 23/34 − 23/473
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に複数の電子部品を搭載した筐体と、該筐体の下部の少なくとも一部に設けられ前記筐体から取り外し可能な蓋とを備えた電子機器に実装される熱拡散部材において、
高熱伝導率を有する高熱伝導層と、
前記高熱伝導層と重ね合わせられ低熱伝導率を有する低熱伝導層と
を備え、
前記低熱伝導層を、前記蓋を除いた前記筐体内の下部表面に接触または接着させ、
前記高熱伝導層を延伸すると共に略直角に屈曲した高熱伝導延伸部分を前記筐体内部に設けられた前記電子部品または構造物に接触または接着させた
ことを特徴とする熱拡散部材。
【請求項2】
前記高熱伝導層と前記低熱伝導層とを重ね合わされたものの側面部に接着剤を塗布して、前記高熱伝導層と前記低熱伝導層とを接合した
ことを特徴とする請求項1記載の熱拡散部材。
【請求項3】
前記高熱伝導層の一方の面と前記低熱伝導層の一方の面との間に接着層を設け、該接着層により前記高熱伝導層と前記低熱伝導層とを接合した
ことを特徴とする請求項1または2記載の熱拡散部材。
【請求項4】
前記高熱伝導層の材料は黒鉛である
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の熱拡散部材。
【請求項5】
前記低熱伝導層の材料は、シリカガラス繊維、セラミック若しくは空気層を含んだ発泡材料、又は、シリカガラス繊維、セラミックおよび空気層を含んだ発泡材料うちの少なくとも2つを組み合わせたものである
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の熱拡散部材。
【請求項6】
内部に複数の電子部品を搭載した筐体と、
該筐体の下部の少なくとも一部に設けられ前記筐体から取り外し可能な蓋と、
高熱伝導率を有する高熱伝導層と、
前記高熱伝導層と重ね合わせられ低熱伝導率を有する低熱伝導層と
を備え、
前記低熱伝導層を、前記蓋を除いた前記筐体内の下部表面に接触または接着させ、
前記高熱伝導層を延伸すると共に略直角に屈曲した高熱伝導延伸部分を前記筐体内部に設けられた前記電子部品または構造物に接触または接着させた
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
前記筐体の材料は、金属、樹脂若しくは炭素繊維、又は、金属、樹脂および炭素繊維のうちの少なくとも2つを組み合わせたものである
ことを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記構造物は前記筐体を支持する補強フレーム又は表示ユニットである
ことを特徴とする請求項6または7記載の電子機器。
【請求項9】
前記構造物の材料は、金属、樹脂若しくは炭素繊維、又は、金属、樹脂および炭素繊維のうちの少なくとも2つを組み合わせたものである
ことを特徴とする請求項6乃至8記載の電子機器。
【請求項10】
前記蓋は、充電池を前記筐体内に挿入するか、または、前記充電池を前記筐体内から取り出すときに、前記筐体から取り外される
ことを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱体からの熱を拡散する熱拡散部材および熱拡散部材を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン等の携帯情報端末(以下、単に「情報端末」又は「電子機器」と言う。)は広く普及してきており、利用者は、該情報端末を利用して、何時でも何処でも、簡便に情報収集や、情報発信をすることが可能となってきている。
【0003】
それに伴い、係る情報端末は、利用者にとって更なる利便性向上のため、高機能化、高性能化、及び、長時間使用化も進んできている。
具体的には、情報端末に内蔵される中央処理装置(Central_Proccessing_Unit:以下、「CPU」と略称する。)におけるコア数を増やしたり、そのCPUにおける動作クロック周波数を上げたりしている。また、これに伴い放電電流及び充電電流が大きい大容量電池が情報端末に使用されている。
その結果、情報端末を構成する上記CPUや大容量電池の充放電を制御する電源回路等の内蔵部品における発熱が増え、それに伴って、その発熱が情報端末内の温度上昇を招いている。
【0004】
そのため、係る情報端末内の熱の効率的な放熱が重要となっている。即ち、情報端末は、効率的に放熱を行うために、情報端末内の発熱体が発生する熱を、情報端末筐体内に伝導すると共に、そうして伝導された熱を該筐体を通して外部へさらに放散する。係る情報端末は、効率的な熱の放散を行うためには筐体へ熱を伝導しやすくすることと、筐体が外気と接触する面積(筐体表面積)が大きい方が有利である。
【0005】
しかし、単に筐体へ熱を伝導しやすくすると、情報端末に内蔵されたCPU等の高発熱体は、その近傍の筐体部分(以下、「高発熱体近傍筐体部分」と言う。)を該高発熱体の輻射熱や伝導熱(以下、単に「熱」と言う場合がある。)により熱するので、その高発熱体近傍筐体部分の筐体外側の表面(以下、「高発熱体近傍筐体外表面」と言う。)における温度が、高発熱体近傍筐体部分の周囲の筐体外表面の温度より相当に高くなる、所謂、ヒートスポットが生じる。
【0006】
これによって、利用者は、利用者の手のひら等の皮膚が、このヒートスポットに長時間に亘って触れ続けると、触れ続けている皮膚に、例えば低温火傷等を生じる可能性がある。
【0007】
また、情報端末においては、その携帯性を高めるための薄型化や軽量化等が図られてきており、その結果、筐体外表面から効率的な放熱を行うことが可能な筐体表面積を確保することが困難となっている。
【0008】
このようなヒートスポットによる問題を解決する方法が以下に説明するように提案されている。
【0009】
特許文献1は、筐体内における発熱部品等から生じる熱を筺体外表面において均一に、且つ、効率的に熱拡散する熱拡散部材を備える電子機器、熱拡散部材を備える電子機器の製法及び熱拡散部材に関する技術を開示する。
【0010】
図5に示す特許文献1に記載された熱拡散部材85は、熱拡散層91と、断熱層92と、熱伝導層93とを有する。
図5は、関連する電子機器における断面図である。
【0011】
特許文献1に記載された電子機器は、筐体81と、プリント配線基板82と、発熱部品83と、部品84と、熱拡散部材85とを含む。
【0012】
熱拡散部材85は、筐体81の内表面と、プリント配線基板82に搭載される発熱部品83との間に挟むように配置する。熱拡散層91は、面方向に熱を伝導しやすい高熱伝導部材から成る層である。断熱層92は、低熱伝導部材から成る層である。熱伝導層93は、厚み方向に熱を伝導しやすい高熱伝導部材から成る層である。
【0013】
そして、特許文献1に記載された技術では、熱拡散層91に当接する発熱部品83から伝わる熱を面方向に拡散する。そして、面方向に拡散された熱は、熱拡散層91に面同士で接着された熱伝導層93において、厚み方向に伝導する。その厚み方向に伝導した熱は、筐体81へ伝導する。
【0014】
特許文献1に記載された技術では、発熱部品83は熱拡散層91と当接しており、且つ、発熱部品83と対向する位置の熱拡散層91と筐体81の内表面との間に断熱層92が設けられている。
【0015】
こうして、特許文献1に記載された技術では、発熱部品83からの熱は、断熱層92によって断熱されるので筐体81の外表面に直接伝導するのを抑制し、これにより、ヒートスポットの発生を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2010−251386号公報(6ページ目、段落番号:0030)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、特許文献1記載の電子機器がスマートフォン等の情報端末であり、係る情報端末が充電池を備えているとすると、通常の充電池には寿命(すなわち、充放電可能回数制限)があるため、寿命が尽きた電池の交換が必要となる。そのために、係る情報端末の筐体内に電池を出し入れするための蓋が該筐体に設けられている。その結果、当該電池蓋の箇所には、熱拡散部材を設けることができず、十分な放熱が行えないという問題点がある。
【0018】
換言すれば、特許文献1に記載された技術には、上述したような蓋を設けた場合に、筐体81の内表面における熱伝導層93が接する領域が小さくなり、筐体81の外表面に熱を逃がす放熱面積が少なく、放熱効率が低くなるという問題点がある。
【0019】
本発明の目的は、上述した問題点を解決する熱拡散部材および熱拡散部材を備える電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の熱拡散部材は、
内部に複数の電子部品を搭載した筐体と、該筐体の下部の少なくとも一部に設けられ前記筐体から取り外し可能な蓋とを備えた電子機器に実装される部材であって、
高熱伝導率を有する高熱伝導層と、
前記高熱伝導層と重ね合わせられ低熱伝導率を有する低熱伝導層と
を備え、
前記低熱伝導層を、前記蓋を除いた前記筐体内の下部表面に接触または接着させ、
前記高熱伝導層を延伸した高熱伝導延伸部分を前記筐体内部に設けられた構造物に接触または接着させる。
【0021】
また、本発明の熱拡散部材を備える電子機器は、
内部に複数の電子部品を搭載した筐体と、
該筐体の下部の少なくとも一部に設けられ前記筐体から取り外し可能な蓋と、
高熱伝導率を有する高熱伝導層と、
前記高熱伝導層と重ね合わせられ低熱伝導率を有する低熱伝導層と
を備え、
前記低熱伝導層を、前記蓋を除いた前記筐体内の下部表面に接触または接着させ、
前記高熱伝導層を延伸した高熱伝導延伸部分を前記筐体内部に設けられた構造物に接触または接着させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明には、電子機器の筐体の外表面にヒートスポットが発生するのを抑制しつつ、電子機器の筐体が電池等を出し入れ可能にする蓋を備える構造であっても、効率的に熱を拡散することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1の実施形態を示す断面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態における熱拡散部材の構造を概念的に表す断面図である。
【
図3】本発明の第2の実施形態を示す断面図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態における熱拡散部材の構造を概念的に表す断面図である。
【
図5】特許文献1に記載された電子機器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、説明の便宜上、図中に3次元の座標記号を用いることとする。
【0025】
<第1の実施形態>
図1は本発明の第1の実施形態を示す断面図である。
図1を参照すると、本実施形態において、電子機器(以下では、「スマートフォン」を例に説明する。)は、筐体46と、タッチパネルユニット42と、表示ユニット41と、補強フレーム40と、基板48と、バッテリ49と、蓋50と、発熱体3と、熱拡散部材30とを含む。
【0026】
また、
図2は、第1の実施形態における熱拡散部材30の構造を概念的に表す断面図である。
【0027】
図2に示す熱拡散部材30は、高熱伝導層11と、低熱伝導層12と、接着層13と、絶縁層14とを含む。高熱伝導層11は、熱伝導率が高い、例えば、グラファイト(黒鉛)をシート状に形成した部材である。また、低熱伝導層12は、熱伝導率が低い、例えば、シリカガラス繊維、セラミック又は空気層を含んだ発泡材料等をシート状に形成した部材である。上述した部材の材料は、一例であり、これらの部材の材料は上述した材料に限定されるものではない。
【0028】
接着層13は、後述する高熱伝導延伸部分における高熱伝導層11を、補強フレーム40等に接着する際に用いる。接着層13は、例えば、基材の両面に粘着性の材料を塗布したシート状の両面接着テープまたは熱伝導性接着剤である。
【0029】
また、絶縁層14は、高熱伝導層11に含まれる、例えば、黒鉛などの導電体が部品や回路等に接触することにより回路が短絡することを防ぐために、CPU等の発熱体3やバッテリ49等の部品に対面する側に設けた絶縁体から成る層である。
【0030】
接着層13や絶縁層14は、薄い部材であるため、これらの接着層13や絶縁層14が、高熱伝導層11及び低熱伝導層12への、または、からの熱の伝導性に影響を及ぼすことはない。
【0031】
図2に示すように、熱拡散部材30の高熱伝導延伸部分以外の部分において、高熱伝導層11側の面が発熱体3に対向し、低熱伝導層12が筐体46の内表面に接する。
【0032】
また、熱拡散部材30において、高熱伝導層11は、高熱伝導延伸部分まで延伸されている。
【0033】
そして、高熱伝導延伸部分における高熱伝導層11の上面側には、接着層13が設けられ、高熱伝導延伸部分における高熱伝導層11の下面側には、絶縁層14が設けられている。
【0034】
次に、上述した熱拡散部材30をスマートフォンに使用する場合について、
図1を用いて説明する。
【0035】
図1に示した3次元の座標記号は、スマートフォンの上下方向がZ軸、左右方向がX軸および厚み方向がY軸であることを表す。すなわち、
図1は、スマートフォンのX−Y軸断面を表す。
【0036】
図1において、熱拡散部材30の低熱伝導層12は、発熱体3に対向する筐体46の内表面に当接している。
【0037】
これにより、発熱体3からの熱は、高熱伝導層11に、矢印で表す熱伝導47のように伝導する。しかし、高熱伝導層11に伝導した熱は、低熱伝導層12により断熱され、筐体46には伝わらない。
【0038】
そのため、発熱体3近傍の筐体46における外表面の温度は上昇しない。その結果、筐体外表面における発熱体3に対向する箇所にヒートスポットが発生することは抑制される。
【0039】
これにより、利用者がスマートフォンを長時間把持して利用する場合でも、利用者が手のひら等に低温火傷等を負うことは防げる。
【0040】
さらに、熱拡散部材30の高熱伝導延伸部分(
図2参照)は、蓋50を避けるようにバッテリ49の右側面と基板48の左側面との間隙を通り、さらに、バッテリ49の上面側と補強フレーム40との間隙を通って伸びている。
【0041】
そして、熱拡散部材30は、熱拡散部材30の高熱伝導延伸部分の上面側にある接着層13により補強フレーム40に接着される。
【0042】
また、このとき、高熱伝導延伸部分の下面側にある絶縁層14は、バッテリ49と対向する。絶縁層14とバッテリ49との間には、空隙があってもよいし、または、両者が当接していてもよい。
【0043】
このような熱拡散部材30を設けることにより、発熱体3からの熱は、熱拡散部材30における高熱伝導層11に伝導し、高熱伝導層11に伝導した熱は、さらに高熱伝導延伸部分の接着層13、補強フレーム40および表示ユニット41へと伝わってスマートフォンの内部に拡散される。
【0044】
ここで、補強フレーム40は、熱伝導率が高い、例えば、ステンレス材などを使用することが可能である。補強フレーム40に伝導した熱は、さらに表示ユニット41に伝導される。また、補強フレーム40に伝導した熱は、補強フレーム40の左右から筐体46へも伝導する。
【0045】
尚、補強フレーム40を備えていないスマートフォンの場合には、高熱伝導延伸部分の高熱伝導層11は、例えば表示ユニット41等の構造物へ接着層13を介して接着してもよい。
【0046】
また、筐体46の材料は、金属、樹脂および炭素繊維のうち少なくとも何れか、又は、これらの材料を適当に組み合わせたものであってよい。
【0047】
また、熱拡散部材30における低熱伝導層12は、耐熱性および難燃性を有していてもよい。また、低熱伝導層12として発泡材料を用いる場合は、低熱伝導層12は、耐衝撃性、耐落下性および耐騒音性を有していてもよい。
【0048】
また、
図2に示すように、高熱伝導層11と、低熱伝導層12と、絶縁層14とは、重ね合わせたこれら各層の側面部を接着剤15を用いて接着することにより一体化することが可能である。
【0049】
また、熱拡散部材30を成す各層の厚みの一例を挙げると、高熱伝導層11は約20μm(マイクロメータ)、低熱伝導層12は約50μm、絶縁層14は約10μm、および、接着層13は約10μmである。
【0050】
つまり、熱拡散部材30は、その厚みが、例えば、40μmから80μmまでの略均一な厚みを有し、薄くて柔軟性を有するので、例えば、筐体の内表面に貼付したり、略直角に折り曲げたりすることが可能である。
上述した熱拡散部材30を成す各層の厚み及び熱拡散部材30全体の厚みは、一例であり、これらの厚みに限定されるものではない。
【0051】
また、例えば、バッテリ49及びバッテリ49近傍の充放電を制御する電源回路は、充放電を行う際に発熱する場合がある。その場合、バッテリ49において発生する熱が、発熱体3から高熱伝導延伸部分に伝導される熱と比べて低くければ、発熱体3からの熱は、バッテリ49等の部品へも伝導する。
【0052】
また、発熱体からの熱による熱量に応じて、複数の高熱伝導シートを重ね合わせて成る層を高熱伝導層11としてもよい。
【0053】
本実施形態には、スマートフォンの筐体の外表面にヒートスポットが発生するのを抑制しつつ、スマートフォンの筐体において電池等を出し入れ可能にする蓋を備える構造であっても、効率的に熱を拡散することができるという効果がある。
【0054】
その理由は、発熱体3からの熱を低熱伝導層12により断熱することにより、筐体46の外表面にその熱を伝えないようにすると共に、高熱伝導延伸部分および補強フレーム40等を介してその熱をスマートフォン外部へ放熱することができるからである。
【0055】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について
図3及び
図4を参照して説明する。
【0056】
図3は本発明の第2の実施形態を示す断面図である。
【0057】
また、
図4は、本実施形態における熱拡散部材35の構造を概念的に表す断面図である。
図4を参照すると、本実施形態における熱拡散部材35は、高熱伝導層11と、低熱伝導層12と、絶縁層14と、接着層13とを含む。そして、これら各層における面同士の接着には、接着層13を用いる。
【0058】
以下では、本実施形態における特徴的な部分を中心に説明し、上述した第1の実施形態の構成要素と同一の本実施形態の構成要素には、同一の参照番号を付与し、それらの構成要素についての重複する説明は省略する。
【0059】
本実施形態において、熱拡散部材35は、発熱体3に対向する側から、順に、絶縁層14と、接着層13と、高熱伝導層11と、接着層13と、低熱伝導層12と、接着層13とから構成される。熱拡散部材35において、発熱体3から最も遠い側にある接着層13は、熱拡散部材35を筐体46の内表面に接着する。
【0060】
また、熱拡散部材35における高熱伝導延伸部分は、補強フレーム40に接着される側から順に、接着層13と、高熱伝導層11と、接着層13と、絶縁層14とから構成される。
【0061】
高熱伝導延伸部分をスマートフォンに実装する方法は、第1の実施形態と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0062】
以上、本実施形態には、第1の実施形態における効果と同じ効果がある。
【0063】
その理由も、第1の実施形態と同様である。
【符号の説明】
【0064】
3 発熱体
11 高熱伝導層
12 低熱伝導層
13 接着層
14 絶縁層
15 接着剤
30 熱拡散部材
35 熱拡散部材
40 補強フレーム
41 表示ユニット
42 タッチパネルユニット
46 筐体
47 熱伝導
48 基板
49 バッテリ
50 蓋
81 筐体
82 プリント配線基板
83 発熱部品
84 部品
85 熱拡散部材
91 熱拡散層
92 断熱層
93 熱伝導層