(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来から、ワゴンタイプやワンボックスタイプの車両では、車体の前後方向に開閉移動するスライドドアを車体の側部に設けることにより、車体の側方からの乗降や荷物の積み下ろしを容易に行えるようにしている。スライドドアを動作させる車両用開閉装置は、電動モータ、電動モータにより回転されるドラム、ドラムに巻かれたケーブル、ケーブルを案内するプーリ等により構成されている。この車両用開閉装置は、スライドドアまたは車体に設けられ、車両用開閉装置をスライドドアに設けた技術の一例が、特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載された車両用開閉装置は、スライドドアがガイドレールに沿って動作可能に設けられている。また、ガイドレールの下縁に沿ってケーブルガイドが設けられている。さらに、車体におけるケーブルガイドの前端付近に第1ブラケットが設けられ、車体におけるケーブルガイドの後端付近に第2ブラケットが設けられている。
【0004】
一方、スライドドアのインナパネルにブラケットが固定されており、そのブラケットに電動モータが固定されている。また、電動モータにより駆動されるドラムが設けられており、ドラムには第1ケーブル及び第2ケーブルが逆向きに巻き掛けられている。中継プーリは第1プーリ及び第2プーリを有しており、第1ケーブル及び第2ケーブルは、第1プーリ及び第2プーリに別々に掛けられている。第1ケーブル及び第2ケーブルは、スライドドアに設けられた案内プーリによってケーブルガイド側へ配索され、第1ケーブルの端部が第1ブラケットにより支持され、第2ケーブルの端部が第2ブラケットにより支持されている。
【0005】
さらに、ブラケットには孔が設けられており、孔を取り囲むように筒形状のケーブル挿通部材が設けられている。ケーブル挿通部材の端部は、スライドドアを構成するパネル、例えば、インナパネルに固定される。また、ケーブル挿通部材の内部には、環状のシール部材が取り付けられている。そして、第1ケーブル及び第2ケーブルは、シール部材の内部及びケーブル挿通部材の内部を通され、案内プーリに巻かれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された車両用開閉装置は、スライドアにブラケット及びケーブル挿通部材という2個の部品を取り付けるにあたり、2個の部品を一括して位置決めされるため、何れか一方の部品の位置決め精度が低下する問題があった。
【0008】
本発明の目的は、開閉体へ2個の部品を取り付ける際の位置決め作業性を向上することのできる車両用開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、車体に設けられた開閉体を動作させる車両用開閉装置であって、前記開閉体に設けられ、かつ、一端が前記車体に支持されたケーブルを巻き取り前記開閉体を動作させる駆動部と、前記開閉体に設けられて前記駆動部と前記車体との間に配索される前記ケーブルを支持する支持部と、前記駆動部と前記支持部との間に配索される前記ケーブルが通るように前記開閉体に設けた開口部を塞ぐカバーと、前記カバーの挿入孔に挿入された前記支持部と前記カバーとの間をシールし、かつ、前記カバーと前記支持部とを相対移動可能に接続する弾性部材と、を有
し、前記支持部は前記開閉体に形成された取付け孔に対して位置決めされ、前記支持部は前記取付け孔をシールするシール部材を有する。
【0010】
本発明は、前記弾性部材に形成され、かつ、前記支持部の端部が配置される保持孔と、前記支持部の端部の外面に設けられ、かつ、前記保持孔の内面に係合する抜け止めと、を有する。
【0011】
本発明は、前記駆動部と前記支持部の端部との間に、前記ケーブルを通した可撓性のパイプが設けられている。
【0012】
本発明は、前記カバー及び前記支持部を前記開閉体に固定する単一の固定要素が設けられている。
【0013】
本発明は、前記支持部は前記開閉体に形成された取付け孔に対して位置決めされ、前記支持部は前記取付け孔をシールするシール部材を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、支持部及びカバーを、スライドドアに対してそれぞれ単独で位置決めでき、開閉装置を開閉体に位置決め作業の作業性が向上する。
【0015】
本発明によれば、支持部の端部が保持孔から抜けることを防止できる。
【0016】
本発明によれば、駆動部とカバーとを別々に単独で開閉体に位置決めできる。
【0017】
本発明によれば、カバー及び支持部を開閉体に固定する部品の点数を削減できる。
【0018】
本発明によれば、支持部が取付け孔に位置決めされると、シール部材のシール性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を
図1〜
図6に基づいて詳細に説明する。
図1に示す車両10はワンボックスタイプの乗用車である。車体11の側部に乗降用の開口部12が設けられており、また、開口部12を開閉する開閉体としてのスライドドア13が設けられている。開口部12は、車両10の室内Bと外部とをつなぐ通路である。スライドドア13は開口部13dを有し、開口部13dを開閉するドアガラス13eが設けられている。
【0021】
このスライドドア13は、車体11の側部に固定されたガイドレール14に沿って車両前後方向に動作することで開口部12を開閉する。また、ガイドレール14の下縁にケーブルガイド15が設けられている。ケーブルガイド15は、車体11の前後方向に沿ったベルト形状である。さらに、車体11の前後方向でケーブルガイド15の前方に、ブラケット16が固定されている。車体11の前後方向でケーブルガイド15の後方に、ブラケット17が固定されている。
【0022】
一方、スライドドア13は、
図3のようにアウタパネル13a及びインナパネル13bを有し、インナパネル13bの室内B側に、ドアトリム13cが取り付けられている。車体11の前後方向でスライドドア13の後端には、ローラユニット18が設けられている。また、スライドドア13に駆動部としての駆動ユニット19が設けられている。
【0023】
まず、ローラユニット18の構造を説明する。
図4のようにローラユニット18はセンタアーム20及びブラケット21を備えており、ブラケット21はスライドドア13のインナパネル13bの外面に固定されている。センタアーム20は、ブラケット21に回動軸22を介して回動自在に取り付けられている。回動軸22は車体11の上下方向に沿って配置されており、回動軸22はスライドドア13に対して水平方向の平面内で回動自在に取り付けられている。
【0024】
センタアーム20には、ガイドレール14側へ向けて屈曲するローラ装着部23が設けられており、ローラ装着部23には走行ローラ24と一対の案内ローラ25とが回転自在に取り付けられている。これら走行ローラ24および案内ローラ25が、ガイドレール14に沿って転動することで、スライドドア13が車体11の前後方向に移動して、開口部12が開閉される。
【0025】
また、ローラユニット18は、駆動ユニット19から配索された閉側ケーブル26及び開側ケーブル27をケーブルガイド15側へ案内するために、ガイドプーリ28およびドア側プーリ29,30を有している。ガイドプーリ28は、センタアーム20に支持軸31を介して回動可能に取り付けられている。支持軸31は車体11の上下方向に沿って配置されている。
【0026】
ガイドプーリ28には巻き掛け溝がその厚み方向(上下方向)に並べて2つ設けられており、上側の巻き掛け溝に開側ケーブル27が巻き掛けられ、下側の巻き掛け溝に閉側ケーブル26が巻き掛けられている。閉側ケーブル26はガイドプーリ28に巻き掛けられ、かつ、ケーブルガイド15に沿って車体11の前方へ向けて配索され、閉側ケーブル26の端部がブラケット16により支持されている。開側ケーブル27はガイドプーリ28に巻き掛けられ、かつ、ケーブルガイド15に沿って車体11の後方へ向けて配索され、開側ケーブル27の端部がブラケット17により支持されている。
【0027】
一方、車体11の前後方向であって、スライドドア13の後端、具体的にはインナパネル13bにドア側プーリケース33が取り付けられている。ドア側プーリケース33は、スライドドア13の前後方向でセンタアーム20よりも前方に配置されている。このドア側プーリケース33に、ドア側プーリ29,30が取り付けられている。2個のドア側プーリ29,30は上下方向に並べて設けられており、2個のドア側プーリ29,30は、上下方向に沿って設けた支持軸を中心として回転可能である。
【0028】
上側のドア側プーリ29に開側ケーブル27が巻き掛けられ、下側のドア側プーリ30に閉側ケーブル26が巻き掛けられている。閉側ケーブル26及び開側ケーブル27は、ドア側プーリケース33の内部に相互に平行に、かつ、上下に並べて配索されており、ドア側プーリケース33を覆うプーリケースカバー34が設けられている。ドア側プーリ29を収容したドア側プーリケース33及びプーリケースカバー34の組立体がプーリユニット65であり、プーリユニット65が本発明の支持部に相当する。また、ガイドプーリ28及び2個のドア側プーリ29,30を覆うガイドカバー35が設けられている。
【0029】
ドア側プーリケース33及びプーリケースカバー34の両方に亘り、フランジ52が設けられている。フランジ52は上下方向、水平方向に突出されてドア側プーリケース33及びプーリケースカバー34を取り囲んでいる。そのフランジ52の外周にシール部材53が固定されている。シール部材53は、ゴム弾性体により無端状に一体成形されている。
【0030】
一方、スライドドア13の後部には、インナパネル13bを厚さ方向に貫通する取付け孔54が設けられている。取付け孔54が、本発明の第1開口部に相当する。そして、シール部材53がインナパネル13bに接触してシール面を形成している。そして、ドア側プーリケース33及びプーリケースカバー34は、スライドドア13の内部Aから外部に亘って配置されている。また、ローラユニット18、センタアーム20、ブラケット21、ガイドカバー35は、スライドドア13の外部、具体的には、スライドドア13の後方に設けられている。
【0031】
さらに、
図5のようにドア側プーリケース33には、単一のケーシングキャップ36が固定されている。ケーシングキャップ36は、本発明のプーリユニット65の一部を構成する。ケーシングキャップ36は、2つのケーブル保持孔36bと、ケーブル保持孔36bに別々につながったアウタケース保持孔36aとを有する。閉側ケーブル26及び開側ケーブル27は、ケーブル保持孔36b及びアウタケース保持孔36aを通されている。閉側ケーブル26及び開側ケーブル27は、ケーシングキャップ36の内部からドア側プーリケース33の内部に亘り、相互に平行に、かつ、水平方向に沿って配索されている。ケーシングキャップ36は、樹脂材料、例えば、ポリアセタール等により一体成形されている。
【0032】
また、閉側ケーブル26はアウタケース37内に通され、開側ケーブル27はアウタケース38内に通されている。閉側ケーブル26及び開側ケーブル27は、個別にアウタケース37,38内に配置されている。アウタケース37,38は、樹脂材料により成形されたチューブの外周に金属製の線材を隙間なく巻き付け、さらに、線材の外周にコーティング層を施して構成されている。アウタケース37,38は可撓性を有し、閉側ケーブル26及び開側ケーブル27の湾曲形状が、所定の状態となるように案内する。
【0033】
閉側ケーブル26及び開側ケーブル27は、挿入されたアウタケース37,38の内部で長さ方向に移動可能である。アウタケース37,38の長さ方向の端部は、共に単一のケーシングキャップ36に接続されている。アウタケース37,38は、本発明のパイプに相当する。
【0034】
また、駆動ユニット19とプーリユニット65との間における閉側ケーブル26及び開側ケーブル27の配索経路に、防水カバー39が設けられている。防水カバー39は、車体11の前後方向でプーリユニット65よりも前方に設けられている。防水カバー39は、インナパネル13bの開口部55を塞いている。開口部55が本発明の第2開口部に相当し、防水カバーが本発明のカバーに相当する。防水カバー39は、樹脂または金属で形成されており、防水カバー39は、四角形状の枠60と、枠60の内周縁から膨らんだ膨らみ部61とを有する。枠60はスライドドア13の外部に配置されている。インナパネル13bには開口部55が設けられており、膨らみ部61が開口部55内に配置されている。
【0035】
枠60の外周にはシール部材56が取り付けられている。シール部材56はゴム状弾性体を無端状に一体成形したものである。シール部材56が開口部55の周囲でインナパネル13bに接触してシール面を形成する。つまり、防水カバー39は、スライドドア13とドアガラス13eとの隙間から、スライドドア13の内部Aに進入した水が、開口部55を経由して、室内B側に漏れることを防止する。
【0036】
そして、防水カバー39の枠60には張り出し部57が設けられており、ボルト、ナット等の固定要素58により、防水カバー39がインナパネル13bに固定されている。また、ドア側プーリケース33のうち、スライドドア13の内部Aに配置されている張り出し部33aと、枠60とにより、インナパネル13bの一部が挟まれており、その張り出し部33a、枠60、インナパネル13bの一部が、ボルト、ナット等の固定要素59により締め付け固定されている。固定要素59が、本発明の固定要素に相当する。
【0037】
一方、防水カバー39の膨らみ部61には挿入孔40が設けられており、挿入孔40に、環状のグロメット41を介してケーシングキャップ36が保持されている。グロメット41はゴム状弾性体により一体成形されている。グロメット41は保持孔41aを有しており、保持孔41a内にケーシングキャップ36が挿入されている。ケーシングキャップ36は、本発明における支持部の端部に相当し、保持孔41aは、本発明の保持孔に相当する。
【0038】
グロメット41は、本発明の弾性部材に相当し、グロメット41は、防水カバー39及びプーリユニット65が、インナパネル13bに取り付けられていない状態で、防水カバー39とケーシングキャップ36とを相対移動可能に接続する。ケーシングキャップ36のうち、保持孔41a内に位置する箇所の外周面に、外向きのフランジ63が形成されている。フランジ63は本発明の抜け止めに相当する。そして、2本のアウタケース37,38は挿入孔40を通されてケーシングキャップ36に取り付けられている。
【0039】
2本のアウタケース37,38のうち、駆動ユニット19側の端部には2個のエンドキャップ42,43がそれぞれ固定されている。2個のエンドキャップ42,43は、樹脂材料を円筒形状に一体成形したものである。閉側ケーブル26は、アウタケース37の内部及びエンドキャップ42の内部に亘って、長さ方向に移動可能に配置されている。開側ケーブル27は、アウタケース38の内部及びエンドキャップ43の内部に亘って、長さ方向に移動可能に配置されている。アウタケース37,38は、インナパネル13bとドアトリム13cとの間の空間Cに配索されている。
【0040】
次に、
図2を参照して閉側ケーブル26及び開側ケーブル27を牽引する駆動ユニット19を説明する。駆動ユニット19は、スライドドア13に設けられている。この駆動ユニット19は、車体11の前後方向で防水カバー39よりも前方であり、かつ、防水カバー39よりも下方に配置されている。
【0041】
駆動ユニット19は、モータケース48の内部に設けられた電動モータ49と、電動モータ49に減速機を介して動力伝達可能に接続されたドラム50とを有している。モータケース48にはドラムケース64が取り付けられており、ドラムケース64内にドラム50が収納されている。
【0042】
また、ドラムケース64の外周に張り出し部62が複数個設けられており、張り出し部62がスライドドア13のブラケットに固定要素を介して固定されている。張り出し部62が固定されるブラケットは、インナパネル13bに設けられている。張り出し部62を固定する固定要素は、ボルト及びナットを含む。このように、防水カバー39をインナパネル13bに取り付けるブラケットと、駆動ユニット19をインナパネル13bに取り付けるブラケットとは、それぞれ別々に設けられている。
【0043】
さらに、インナパネル13bには、インナパネル13bを厚さ方向に窪ませて形成された凹部66が設けられており、駆動ユニット19は凹部66に設けられている。凹部66は、インナパネル13bの一部を、アウタパネル13aに近づく向きで窪ませて形成されている。このように、駆動ユニット19はインナパネル13bに取り付けられている。インナパネル13bに固定された駆動ユニット19は、モータケース48がインナパネル13bとドアトリム13cとの間の空間Cに配置され、ドラムケース64が、内部Aに配置されている。
【0044】
また、電動モータ49の回転軸とドラム50とは同軸状に配置されており、閉側ケーブル26の一端及び開側ケーブル27の一端がドラム50に固定され、閉側ケーブル26及び開側ケーブル27が、ドラム50にそれぞれ巻き掛けられている。ドラム50に対する閉側ケーブル26の巻き掛け向きは、ドラム50に対する開側ケーブル27の巻き掛け向きとは逆である。
【0045】
図2の例では、ドラム50が時計回りに回転すると、閉側ケーブル26がドラム50により巻き取られ、かつ、開側ケーブル27がドラム50から繰り出される。逆に、ドラム50が反時計回りに回転すると、開側ケーブル27がドラム50に巻き取られ、かつ、閉側ケーブル26がドラム50から繰り出される。
【0046】
駆動ユニット19に、閉側ケーブル26及び開側ケーブル27に所定の張力を付与するテンショナ機構44が設けられている。テンショナ機構44は、2個のガイドシリンダ45,46と、ガイドシリンダ45,46の内部に設けたバネ47と、エンドキャップ42,43とを有する。バネ47は圧縮コイルバネである。モータケース48の外部にテンショナケース51が設けられており、テンショナケース51にガイドシリンダ45,46が2個設けられている。
【0047】
そして、ガイドシリンダ45に、エンドキャップ43が移動可能に設けられ、ガイドシリンダ46に、エンドキャップ42が移動可能に設けられている。エンドキャップ42はアウタケース37の長さ方向の端部に固定され、エンドキャップ43はアウタケース38の長さ方向の端部に固定されている。エンドキャップ42,43は樹脂材料を円筒形状に成形したものである。そして、閉側ケーブル26はエンドキャップ42内を通りドラム50に巻き掛けられている。開側ケーブル27はエンドキャップ43内を通りドラム50に巻き掛けられている。
【0048】
バネ47はガイドシリンダ45,46の内部にそれぞれ設けられており、バネ47はガイドシリンダ45,46の内部でエンドキャップ42,43をドラム50から離れる向きに押圧している。また、エンドキャップ42,43には、アウ
タケース37,38の長さ方向の端部が接続されているため、バネ47の力はエンドキャップ42,43を介してアウタケース37,38にも伝達される。そして、バネ47の力で押されたアウタケース37,38が撓むと、アウタケース37の内面が閉側ケーブル26に押し付けられて、閉側ケーブル26に所定の張力が付与される。また、アウタケース38の内面が開側ケーブル27に押し付けられて、開側ケーブル27に所定の張力が付与される。
【0049】
ところで、
図1のようにスライドドア13を側面視すると、2本のアウタケース37,38は、
図2のようにケーシングキャップ36とテンショナケース51との間に、互いに接触しない状態で並べて配置される。また、アウタケース37,38は、テンショナケース51から車両10の上方向に伸ばされ、かつ、車両10の後ろ方向に湾曲して配索されて、ケーシングキャップ36に接続されている。さらに、具体的には、アウタケース37,38の湾曲方向で、アウタケース38はアウタケース37よりも外側に配置されている。
【0050】
これは、スライドドア13の幅方向におけるアウタケース37,38の配置スペースをなるべく狭くするための構造である。このため、湾曲方向に対して外側に配置されたアウタケース38の全長はアウタケース37の全長よりも長い。なお、スライドドア13の幅方向は、車体11の幅方向、つまり、左右方向と同じである。
【0051】
上記構成の車両用開閉装置において、スライドドア13により開口部12が閉じられている状態で、電動モータ49の動力でドラム50が反時計方向に回転すると、開側ケーブル27がドラム50に巻き取られ、かつ、閉側ケーブル26がドラム50から繰り出される。すると、走行ローラ24及び一対の案内ローラ25が、ガイドレール14に沿って転動し、かつ、スライドドア13が車体11の後方へ向けて移動し、開口部12が開かれる。
【0052】
これに対して、開口部12が開いている状態で、電動モータ49の動力でドラム50が時計方向に回転すると、閉側ケーブル26がドラム50に巻き取られ、かつ、開側ケーブル27がドラム50から繰り出される。すると、走行ローラ24及び一対の案内ローラ25が、ガイドレール14に沿って転動し、かつ、スライドドア13が車体11の前方へ向けて移動し、開口部12が閉じられる。スライドドア13が移動する際、閉側ケーブル26及び開側ケーブル27はケーブルガイド15に接触し、車体11には接触しない。
【0053】
上記の駆動ユニット19、防水カバー39、プーリユニット65は、以下の手順でスライドドア13に取り付けられる。駆動ユニット19、防水カバー39、プーリユニット65がスライドドア13に取り付けられる前は、ドラム50に巻かれた閉側ケーブル26及び開側ケーブル27は、防水カバー39の挿入孔40に通され、かつ、プーリユニット65に配索されている。
【0054】
先ず、プーリユニット65が開口部55を経由してスライドドア13の内部Aに挿入され、フランジ52を取付け孔54に対して位置決めし、シール部材53をインナパネル13bに接触させる。この状態で、プーリユニット65が動かないように支持しておく。次いで、駆動ユニット19をインナパネルに締結固定する。
【0055】
その次に、防水カバー39の膨らみ部61をインナパネル13bの開口部55に挿入し、防水カバー39の張り出し部57とインナパネル13bとを相互に位置決めし、固定要素58,59を用いて防水カバー39をインナパネル13bに組付ける。この時点で、アウタケース37,38はテンショナケース51とケーシングキャップ36とに接続され、ケーシングキャップ36のフランジ63がグロメット41の保持孔41aの内面に係合するため、アウタケース37,38がケーシングキャップ36から抜けることはない。
【0056】
次に、スライドドア13の内部Aに挿入されたプーリユニット65とともに、フランジ52とシール部材53の位置決めを行う。具体的には、グロメット41が許容する範囲でアウタケース37,38ごとプーリユニット65を動かすことでフランジ52とシール部材53の位置決めを行う。そして、張り出し部57と張り出し部33aとによりインナパネル13bの一部を挟み、かつ、相互に位置決めし、張り出し部57とブラケットとを位置決めし、固定要素58,59を用いて、防水カバー39及びプーリユニット65をインナパネル13bに固定する。
【0057】
防水カバー39をインナパネル13bのブラケット及び張り出し部33aに対して位置決めする際、グロメット41が弾性変形可能である。このため、取付け孔54に対して位置決めされているプーリユニット65と、インナパネル13bのブラケット及び張り出し部33aに対して位置決めする防水カバー39とを、相対的に移動させることができる。すなわち、プーリユニット65単体及び防水カバー39単体で、インナパネル13bに対して位置調整が可能である。
【0058】
したがって、プーリユニット65の位置決め及び防水カバー39を、別々の対象物に対して別々に移動させて位置決めすることができ、プーリユニット65及び防水カバー39をスライドドア13に取り付ける作業の作業性が向上する。また、取付け孔54に対するシール部材53の位置決め精度が向上し、シール部材53のシール性が低下することを防止できる。
【0059】
さらに、シール部材56を開口部55に位置決めする精度が向上し、シール部材56のシール性が低下することを抑制できる。さらに、グロメット41とケーシングキャップ36との位置決め精度を向上することができ、グロメット41とケーシングキャップ36との接触部分のシール性が低下することを抑制できる。
【0060】
その後、駆動ユニット19をインナパネル13bに対して位置決めし、固定要素を用いて駆動ユニット19をインナパネル13bのブラケットに固定する。本実施形態では、防水カバー39と駆動ユニット19との間に配索されているアウタケース37,38が可撓性を備えており、駆動ユニット19を固定するブラケットと、防水カバー39を固定するブラケットとが別々に設けられている。このため、防水カバー39をインナパネル13bに位置決めする際に、防水カバー39と駆動ユニット19とを相対移動させることができ、防水カバー39の位置決め精度が一層向上する。
【0061】
さらに、防水カバー39及びドア側プーリケース33が、共通の固定要素59により共締めされている。したがって、部品点数を低減できる。さらに、ケーシングキャップ36は固定要素59によりインナパネル13bに固定され、防水カバー39は、固定要素58,59によりインナパネル13bに固定されており、ケーシングキャップ36と防水カバー39の膨らみ部との間に、グロメット41が取り付けられている。このため、アウタケース37,38がケーシングキャップ36に対して動いたとしても、その力がグロメット41に伝わることはない。したがって、グロメット41のシール性の低下を抑制でき、かつ、グロメット41の耐久性の低下を抑制できる。
【0062】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、防水カバー39及びプーリユニット65及び駆動ユニット19をスライドドア13に固定する構造は、ブラケットを介さずにナットまたはボルトがスライドドアに溶接されている構造を含む。
【0063】
また、防水カバー39及びプーリユニット65及び駆動ユニット19をスライドドア13に固定する構造は、防水カバー39及びプーリユニット65及び駆動ユニット19をそれぞれ取り付けるブラケットまたはナットが、アウタパネルの内面に設けられている構造を含む。さらに、プーリユニット65をスライドドア13に位置決めする構造は、アウタパネル13aの一部をスライドドア13の前側まで延ばし、アウタパネル13aに保持孔を設ける構造を含む。