(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の商品が前後方向に一列に搭載される搭載部と、前記搭載部に沿って前後移動するように設けられた押板と、前記押板を前方に付勢する付勢部材と、前記搭載部に対して移動可能に設けられ前記付勢部材により前方に付勢される前記押板に連動して移動する移動部材と、前記移動部材に設けられ前記搭載部に搭載されている前記商品の個数が所定数N(Nは自然数)以下となったことを報知する残数表示部と、を備えるマガジンであって、
前記搭載部は、前記商品を支持する底板部と、前記底板部の前端に対して垂直に設けられた前壁部と、左右一対の側壁部と、を有し、
前記移動部材が移動する屈曲形状の移動経路を構成するガイド部材であって、前記移動部材の移動をガイドする屈曲形状のガイド部材が、前記搭載部に設けられており、
前記残数表示部を含む前記移動部材の一部分又は全体が可撓性の部材であり、
前記移動部材が前記押板に固定されており、
前記押板が所定の領域を通過するとき、前記押板を前方に付勢するための付勢力によって前記移動部材が前記搭載部の前端近傍において前記ガイド部材の前記屈曲形状に沿って撓曲するとともに、前記残数表示部が前記マガジンの正面側から視認される表示位置または前記表示位置とは異なる待避位置へと遷移して商品の個数が所定数N以下であることを報知し、
前進する前記押板が前記所定の領域を通過した後、前記移動部材の撓曲形状が変化するとともに前記押板がさらに前進するマガジン。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第一実施形態および第二実施形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜に省略する。尚、本実施の形態では図面上、前後左右上下の方向を規定して説明する場合がある。しかし、これは構成要素の相対関係を簡単に説明するために便宜的に規定するものであり、本発明を実施する製品の製造時や使用時の方向を限定するものではない。特にマガジンに関連する前後は、マガジンの正面側を前方向、背面側を後方向とする。またマガジンに関連する左右は、マガジンの幅方向であって正面側から観察したときの左右をいう。
【0014】
本発明のマガジンの各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はない。本発明は、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
【0015】
<第一実施形態>
第一実施形態は、本発明のマガジン100の一の実施態様の例に関し、第一実施形態の説明には
図1から
図4を用いる。
図1は、第一実施形態に係るマガジン100の側面図であり、残数表示部31が待避位置にある状態を示す。
図2は、第一実施形態に係るマガジン100の側面図であり、残数表示部31が表示位置にある状態を示す。
図3は、第一実施形態における移動部材30の撓曲形状の変化を説明する説明図である。
図3(3A)は、撓曲前の移動部材30の前端とガイド部材35を示し、
図3(3B)は、
図3(3A)における矢印A方向から観察したガイド部材35を示す。
図3(3C)は、ガイド部材35にガイドされて撓曲した移動部材30の前端を示し、
図3(3D)は、
図3(3C)における矢印A方向から観察したガイド部材35を示す。
図4は、第一実施形態に係るマガジン100の上面図である。
図4(4A)は、残数表示部31が待避位置にある状態を示し、
図4(4B)は、残数表示部31が表示位置に遷移した状態を示し、
図4(4C)は、残数表示部31が表示位置に遷移した状態となった後、さらに押板20が前進した状態を示す。
図4では、たばこ商品60の図示を省略している。
尚、本実施形態は、たばこ商品60の残数表示として、搭載されるたばこ商品60の残数が3個以下であることを示す例として説明する。
【0016】
マガジン100は、複数の商品(たばこ商品60)が前後方向に一列に搭載される搭載部10と、搭載部10に沿って前後移動するように設けられた押板20と、押板20を前方に付勢する付勢部材(リール50)と、を備える。またマガジン100は、搭載部10に対して移動可能に設けられ付勢部材(リール50)により前方に付勢される押板20に連動して移動する移動部材30と、移動部材30に設けられ搭載部10に搭載される商品(たばこ商品60)の個数が所定数N(Nは自然数)以下となったことを報知する残数表示部31と、を備える。
移動部材30は、付勢部材(リール50)が押板20を前方に付勢するための付勢力によって撓曲する。残数表示部31は、マガジン100の正面側から視認される表示位置と、上記表示位置とは異なる待避位置とに遷移する。
移動部材30が押板20と連動して移動し、押板20が所定の領域を通過するとき、残数表示部31は待避位置または表示位置へと遷移して商品(たばこ商品60)の個数が所定数N以下であることを報知する。即ち、押板20が所定の領域を通過するとき、残数表示部31は表示位置から待避位置へ、または待避位置から表示位置へと遷移する。
【0017】
前進する押板20に連動して移動する移動部材30を備える。移動部材30は、その一部または全部が可撓性の部材で構成されており、付勢部材(リール50)が押板20を前方に付勢するための付勢力によって撓曲する。本発明は、移動部材30を撓ませるという手段によって、従来技術1に認められる課題を解決する。
【0018】
また本実施形態における移動部材30は、撓曲することにより移動経路が直進方向に限定されない。移動部材30は、適宜、撓曲して移動の方向を変更することが可能である。本実施形態において、移動部材30が撓曲することによる移動方向の変更は、同一面内において上下左右への移動方向の変更、および、一の面内における移動から他の面における移動への移動方向の変更を含む。たとえば、移動部材30の移動経路を、搭載部10の底板部11の面内から、前壁部13の面内に連係させることができる。
また本実施形態における移動部材30は押板20の前進力により移動するとともに、移動部材30の移動に要する力以上に上記前進力が付加されたときに、撓むことによってその力を吸収することが可能である。
【0019】
移動部材30は、搭載部10に対して移動可能に設けられている。
図1、
図2および
図4に示すとおり、本実施形態における移動部材30は、可撓性の帯状部材で構成されており、一方の端部には取付部32が設けられている。上記帯状部材である移動部材30は、移動方向において前端と後端とを有する。取付部32は、押板20における背板22に固定されている。移動部材30は押板20に固定されている。そのため移動部材30は押板20の前進に連動して前進する動作が安定している。押板20が搭載部10の後方に位置するときには、帯状部材の本体部分は、側壁部12の上端面より僅かに離間して位置し、押板20の前後移動の方向と略平行に伸長している。図示省略するが、本実施形態では、移動部材30の底面を側壁部12の上端面に当接させて側壁部12に沿って前後方向に摺動させることもできる。また図示省略するが、移動部材30の側面の下部領域を側壁部12の側面の上部領域に沿わせて、移動部材30を前後方向に摺動させることができる。たとえば、移動部材30の押板20の側とは反対側における側面の下部領域を、側壁部12の内側面の上部領域に沿わせて前後方向に摺動させてもよい。移動部材30の側面の下部領域は、たばこ商品60の側面と側壁部12の内側面の上部領域との間に位置する。このとき、望ましくは、移動部材30は、押板20から側壁部12に向けて緩やかに押し力が与えられるとともに、側壁部12から上記押し力の反力が与えられるとよい。
移動部材30の前後方向の長さは、残個数の報知が所望されるたばこ商品60の所定数Nを勘案して決定することができる。移動部材30は押板20の前進と連動して前進可能に設けられている。取付部32は、押板20の前進力の作用を受ける作用部となっている。尚、
図4では取付部32の図示を簡略化している。
移動部材30が押板20に固定して取り付けられる態様は、移動部材を備える本実施形態の一例である。本実施形態において、前進する押板20に連動して移動することができる範囲で、移動部材30と押板20とは離間していてもよい。たとえば、押板20が搭載部10の後方から前進し、搭載部10の所定の位置に到達したとき移動部材30と当接し、当該位置よりさらに押板20が前進するとき、これに連動して移動部材30が移動してもよい。あるいは、押板20と移動部材30との間に間接部材が設けられ、前進する押板20の前進力が上記間接部材により移動部材30に伝達されることによって、移動部材30が移動してもよい。上記間接部材は、常時、押板20と移動部材30とを連結するリンク部材であってもよいし、あるいは、所定の領域を通過する押板20と接触して動作し、当該動作により移動部材30を所定の方向に移動させることが可能な部材であってもよい。ここで上記接触とは、直接に当接する状態と近接して間接的に力を及ぼす関係にある状態とを含む。
【0020】
図3に示すとおり、可撓性の帯状部材である移動部材30の他方の端部には残数表示部31が設けられている。移動部材30は、作用部である取付部32において押板20の前進力による作用を受け、残数表示部31を先端として前進する。
移動部材30は、
図3(3A)に示すように、残数表示部31を先端として、前進方向(図面中矢印Bの指し示す方)に移動する。そして開口部370から一対のガイド用側板36の間に侵入し、図示省略する押板20が所定の領域を通過したとき、
図3Cに示すとおり、移動部材30の先端が閉じられた端部371に当接する位置まで前進し、残数表示部31は、表示状態に遷移する。
尚、図示省略するが、移動部材30の移動方向における前端を前進方向に凸のテーパー状、あるいは前進方向に先細る先細状とすることにより、一対のガイド用側板36の間に移動部材30を円滑に侵入させることができる。
【0021】
本実施形態において可撓性の部材とは、押板20の前進力を受けて撓曲可能な部材である。上記撓曲可能な部材とは、部材の物性により撓曲するものであって、例えば、適度な腰があり保形性を有する樹脂部材あるいは薄板の金属片などを例示することができるが、これに限定されない。あるいは、上記撓曲可能な部材とは、部材の機構または構造により撓曲するものであってもよく、例えば、鎖継手を含む連続部材、蛇腹部材などを挙げることができるが、これに限定されない。
【0022】
本実施形態において移動部材30は、全体が可撓性の部材により構成されている態様、および残数表示部31を含む部分的な箇所が可撓性部材で構成される態様を含む。本実施形態に係るマガジン100は、移動部材30の残数表示部31を含む少なくとも一部が可撓性部材で構成されて撓曲することにより、所期の課題が解決可能である。
【0023】
移動部材30は残数表示部31を備える。本実施形態における残数表示部31は、たとえば移動部材30の前進方向の端部に設けることができる。あるいは図示省略するが、移動部材30の前進方向の端部とは反対側の端部、または両端間に挟まれる任意の中間部に残数表示部31を設けることもできる。
帯状部材である移動部材30において、残数表示部31は移動部材30の前端に設けられている。残数表示部31は、帯状部材の前端側面であって第二経路362において正面に面する側面を含む。
残数表示部31は、搭載部10に搭載されるたばこ商品60の個数が所定数N以下となったことを報知する。残数表示部31は、マガジン100の正面側から視認される表示位置と、上記表示位置とは異なる待避位置とに遷移する。
尚、本実施形態における残数表示部31は本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜、形状を変更することができる。
【0024】
残数表示部31は、表示位置にあるときマガジン100の正面側から視認されやすい任意の色で着色されることが好ましい。移動部材30の全体を残数表示部31に適した色で着色してもよいし、残数表示部31と、移動部材30における残数表示部31以外の領域とを異なる色で着色することもできる。
残数表示部31は、表示位置にあるときマガジン100の正面側から視認されやすい色として、色自体の色味を勘案し、例えば赤色や黄色などの彩度の高い色を選択することができる。また表示位置にあって視認される残数表示部31の周囲の色との対比で残数表示部31が目立ち易い色を選択することもできる。例えば当該周囲色を黒や灰色などの無彩色とし、残数表示部31を例えば赤色や黄色などの彩度の高い色とすることにより、表示位置にある残数表示部31の視認性を高めることができる。
【0025】
マガジン100は、移動部材30が移動する移動経路に沿って移動部材30の移動をガイドするガイド部材35が設けられている。
ガイド部材35を設けることによって、移動部材30を所望の移動経路において移動させることが容易となる。
【0026】
マガジン100におけるガイド部材35は、対面する2枚のガイド用側板36と、搭載部10にガイド部材35を固定するための固定部材37を備える。
ガイド用側板36は、上面視認上、略90°の屈曲部を有するL字形状の板状体である。L字形状の一方の辺は、側壁部12の伸長方向に沿っており、他方の辺は前壁部13に沿っている。2枚のガイド用側板36は互いに一定の距離を開けて対向して固定されている。2枚で一対となるガイド用側板36は、移動部材30の移動方向において前端側に開口部370を有し、後端側に端部371を有している。移動部材30は、開口部370から2枚のガイド用側板36の間に侵入することにより移動方向を拘束され、所定の移動経路にガイドされる。移動部材30の先端が2枚のガイド用側板36の間に侵入しやすいように、移動部材30の侵入側において2枚のガイド用側板36の少なくとも一方の端部を外方向に湾曲させた湾曲端364を形成するとよい(
図4)。尚、ガイド用側板36は必ず2枚で一対とする必要はなく、例えば、2枚のガイド用側板36のうち内側のガイド用側板36を省略することもできる。
ガイド部材35は、例えば無色透明の樹脂材料より形成することができる。あるいは、ガイド部材35は、部分的にまたは全体的に有色透明または有色不透明に着色されてもよい。たとえば、撓曲部363から第二経路362に差し掛かる移動経路に対応する部分を任意の色で着色して遮蔽部38を形成することもできる。特にマガジン100の正面側からみて、ガイド部材35の任意の箇所が残数表示部31の表示位置に重複する場合には、当該箇所は、残数表示部31の視認性を確保するために透明性の部材で構成されることが好ましい。遮蔽部38の詳細については後述する。
【0027】
固定部材37は、ガイド部材35を搭載部10に固定するための部材である。本実施形態におけるガイド部材35は、ガイド用側板36が側壁部12および前壁部13の上端面に沿うよう配置される。固定部材37は、例えば側壁部12の面に沿う板状体である。板状態の固定部材37は、側壁部12の外側面に接着されてガイド部材35を支持している。固定部材37は接着以外の手段により搭載部10に固定されるものであってもよい。固定の手段としてはたとえば、搭載部10の任意の箇所に嵌合させる嵌合手段などが挙げられるがこれに限定されない。固定部材37における固定には、着脱可能な固定、接着材などによって物理的な破壊なしには取り外せない状態の固定を含む。
尚、上述するガイド部材35は、本実施形態における一例である。ガイド部材35の配置位置、形状は、移動部材30の移動経路によって異なる。本実施形態は、移動部材30の移動の道筋に沿って配置され、移動部材30の移動方向を所望の方向にガイドする部材をガイド部材35として広く包含する。
【0028】
本実施態様において、前進する押板20が上記所定の領域を通過した後、移動部材30の撓曲形状が変化させるとともに押板20をさらに前進させることができる。
【0029】
本実施形態に係るマガジン100は、所定のタイミングで移動部材30の撓曲形状が変化することにより、残数表示部31が表示位置と待避位置とに遷移するときに押板20の前進を妨げない。そして移動部材30の撓曲形状が変化することで移動部材30の移動方向が変更される。これによって押板20のさらなる前進を許容することが可能である。
例えば本実施形態において具体的に示すとおり、ガイド部材35の端部371(
図3)が閉じられている場合、端部371に移動部材30の端部が当接することにより移動部材30の前進移動は停止する(
図4(4B))。上記停止後、さらに押板20が前進するとき、一対のガイド用側板36に拘束されていない部分において移動部材30が撓曲し、移動部材30に付加される押板20の前進力を吸収することができる(
図4(4C))。
あるいは図示省略するが、ガイド部材35の端部371を開放することによって、移動部材30の移動を端部371において停止させず、前進する押板20と連動して、さらに移動部材30を移動させることもできる。
本実施形態において、移動部材30の撓曲箇所は一か所であってもよいし二か所以上であってもよく、また時間差で異なる場所が撓曲してもよい。
【0030】
本実施態様において移動部材30の撓曲形状の変化は、移動部材30が実質的に一方方向に伸長する形状から任意の箇所が撓曲する形状へと変化する場合、移動部材30が任意の箇所で撓曲する形状から実質的に一方方向に伸長する形状へと変化する場合、移動部材30が任意の箇所で撓曲する形状から他の箇所が撓曲する形状へと変化する場合を含む。
【0031】
本実施態様におけるマガジン100は、従来技術1のごとく、押板が後方から前方へ移動する際に押板の前進する力から押板と移動部材とにおける接合部を切断するために要する一定の力が不可避的に損なわれることが改善される。
即ち、上述する従来技術1では、スライダー部材と、これに連動して前進する移動部材とにおける接合部を所定の位置で切断することによって、スライダー部材のさらなる前進を可能としていた。しかし従来技術1は、上記切断に一定の力を要することにより、不可避的にスライダー部材の前進力が損なわれるという課題を有していた。つまり、プレート部材が移動する際に本体ケースから受ける摩擦力を上回る力に相当する力が、不可避的にかつ繰り返し、スライダー部材の前進力を損なうという課題を有していた。
これに対し、本実施形態では、移動部材30を撓ませるという手段によって、所定の位置よりさらに押板20が前進することを可能とするものである。移動部材30を撓ませるという手段は、一定の力を不可避的に要するというものではなく、各マガジンの態様に適合させ適宜の力で実施することができる。
【0032】
上述する移動部材30には、搭載部10に搭載されるたばこ商品60の個数が所定数N以下となったことを報知する残数表示部31が設けられている。即ち、マガジン100は、搭載部10に搭載されるたばこ商品60の残個数を報知する機能を備える。
マガジン100は、押板20が所定の領域を通過するとき、移動部材30の撓曲形状が変化することにより残数表示部31が待避位置または表示位置へと遷移してたばこ商品60の個数が所定数N以下であることを報知することができる。
【0033】
上記所定の領域とは、搭載部10の前端近傍に位置する。たとえば上記所定の領域とは、押板20が、搭載部10の前からN+1番面に搭載されるたばこ商品60を押す位置から、前からN番目に搭載されるたばこ商品60を押す位置の間である。
【0034】
移動部材30の撓曲形状の変化と残数表示部31の遷移について
図1から
図3を用いて説明する。
図1および
図2におけるマガジン100は、搭載されるたばこ商品の数が3個以下である(即ちN=3である)ことを報知する態様を具体的に示している。
押板20が所定の領域に到達する前の移動部材30は、
図1、
図3(3A)、および
図3(3B)に示される。また押板20が所定の領域を通過した後の移動部材30は、
図2、
図3(3C)、および
図3(3D)に示される。これらの図面からも明らかなとおり、
図1、
図3(3A)、および
図3(3B)に示される移動部材30は、実質的に前後方向に伸長している。残数表示部31が設けられた移動部材30の前端は、さらに押板20が前進することにより搭載部10の前方に設けられたガイド部材35により移動経路に沿ってガイドされる。
即ち、
図2、
図3(3C)、および
図3(3D)に示すとおり、搭載部10に搭載されるたばこ商品60が取り出されて残余のたばこ商品60が3個となったとき、押板20は前から4番面に搭載されるたばこ商品60を押す位置から、前から3番目に搭載されるたばこ商品60を押す位置までの領域を前進方向に移動する。このとき、移動部材30はガイド部材35にガイドされて撓曲し、その形状が変形する。これとともに、その前端に設けられた残数表示部31が前壁部13の主面に沿って移動し、マガジン100の正面側から視認可能となり、搭載されるたばこ商品60の個数が3個以下になったことを報知する表示位置に遷移する。
本実施態様において移動部材30の撓曲形状の変化は、移動部材30が実質的に一方方向に伸長する形状から任意の箇所が撓曲する形状へと変化する場合の例である。
【0035】
本実施形態において、たばこ商品60の個数が所定数N以下になったことを報知する態様は、以下の態様を含む。
即ち、第一の態様は、前進する押板20が所定の領域を通過するとき、残数表示部31は待避位置から表示位置に遷移する。搭載されるたばこ商品60の個数が少なくなったときに残数表示部31がマガジン100の正面から視認される表示位置に遷移し、たばこ商品60の個数が所定数N以下になったことを表示報知する態様である。第一実施形態は、上記第一の態様を具体的に示す。
また、第二の態様は、前進する押板20が所定の領域を通過するとき、表示位置から待避位置に遷移する。かかる態様は、搭載されるたばこ商品60の個数が所定数Nを上回るとき、残数表示部31がマガジン100の正面から視認される表示位置にあり、残数表示部31が視認されなくなったことにより所定数N以下となったことを報知する態様である。ここで残数表示部31が視認されなくなったとは、残数表示部31が完全にマガジン100の正面側から視認されない場合、および表示位置にあるときに比べて相対的にマガジン100の正面側から視認され難くなった場合を含む。上記第二の態様は、後述する第二実施形態において具体的に説明する。
また本実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記第一の態様および上記第二の態様以外の残数の報知の態様を含む。たとえば本実施形態は、移動部材30に複数の残数表示部31が設けられ、各残数表示部31が、それぞれ表示位置と待避位置とに遷移する態様を含む。
【0036】
次に移動部材30の移動経路について説明する。移動部材30は搭載部10に対して移動する部材であり、マガジン100が繰り返し使用されるとき、規定の移動経路に沿って移動する。上記移動経路は、マガジン100の繰り返しの使用の際に、移動部材30により繰り返し示される道筋であり、ガイド部材35によって示される移動経路に限定されず、移動部材の移動をたどって確認される移動経路を含む。上記移動経路は、移動部材30の移動する道筋であって概略一定の経路を示されるものであり、移動部材30の移動方向がわずかに反れることによる道筋のぶれを含む。
【0037】
図3、
図4に示すとおり、移動部材30の移動経路は、搭載部10の前端近傍において撓曲する撓曲部363と、撓曲部363に対し一方側にある第一経路361と、撓曲部363に対し他方側にあって前壁部13の主面に沿う第二経路362とを含む。本実施形態に係るマガジン100において、押板20が前進して所定の領域を通過するとき、移動部材30は、撓曲部363を亘って、第一経路361から第二経路362に向かって前進する。そして移動部材30の上記前進とともに、残数表示部31が第二経路362を移動することによりたばこ商品60の個数が所定数N以下となったことを報知する。
図3では、ガイド部材35に規定される第一経路361、および第二経路362を示すが、これらの延長線も本実施形態における移動経路に含む。
尚、移動部材30は、撓曲部363を亘って、第二経路362から第一経路361に向かって後退するとともに、残数表示部31が第二経路362を移動することによりたばこ商品60の個数が所定数N以下となったことを報知することもできる。かかる態様は後述する第二実施形態において具体的に示す。
【0038】
本実施形態において、撓曲部363に対し他方側にあって前壁部13の主面に沿う第二経路362とは、第一経路361から撓曲部363を経て前壁部13の主面に面し後方等の他の方向に折り返される移動経路、または転向する移動経路を含む。
また本実施形態は、
図3および
図4において具体的に示すとおり、第一経路361から撓曲して前壁部13の主面に沿って延在する第二経路362を含む。前壁部13の主面に沿って延在する第二経路362であれば、第二経路362に残数表示部31の表示位置があるとき、マガジン100の正面から当該表示位置にある残数表示部31の視認性を優れたものとすることができる。
【0039】
本実施形態に係るマガジン100は、移動部材30が撓曲するという性質に基づき移動部材30を撓曲部363で撓曲させて移動方向を変更することを可能とした。これによって移動部材30の移動にともない残数表示部31が第二経路362を移動することを可能とする。ここで残数表示部31が第二経路362を移動するとは、残数表示部31が第一経路361から第二経路362に移動する場合、残数表示部31が第二経路362内を移動する場合、第二経路362から第一経路361に移動する場合を含む。
【0040】
本実施形態は、たとえば
図4に示すように、第一経路361を側壁部12の上端に設け、第二経路362を前壁部13の上端に設けることができる。
即ち、移動部材30は、側壁部12の上端面上を前進し(
図4(4A))、前壁部13に到達した移動部材30は側壁部12と前壁部13とで形成されるコーナーにおいて撓曲し、前壁部13の上端面上を前進する(
図4(4B)、
図4(4C))。
図3においてガイド部材35によりガイドされて規定される移動部材30の移動経路を示す。
【0041】
図4に示される態様では、移動部材30が押板20の前進に連動して第一経路361を移動し搭載部10の前端近傍に到達し、さらに押板20の前進力が付与された場合に以下の効果を発揮する。即ち、かかる場合に、マガジン100は、移動部材30の前端が前壁部13より前方に突き出すことを回避するとともに前壁部13またはその近傍の部材に当接して前進が停止することを回避することができる。
【0042】
本実施形態に係るマガジン100は、残数表示部31が第二経路362を移動することによりたばこ商品60の個数が所定数N以下となったことを報知する態様を含む。上記態様の例として、たとえば、残数表示部31の表示位置は第二経路362に存在する。
即ち、搭載部10に搭載されるたばこ商品60が所定数Nを上回るとき、移動部材30の前端に設けられた残数表示部31は、第一経路361に位置しており、マガジン100の正面側から視認されない(
図1、
図4(4A))。このとき、残数表示部31は、待避位置にある。
移動部材30が搭載部10の前方側に移動し、押板20が所定の領域を通過するとき、移動部材30の、残数表示部31が設けられた部分は撓曲部363において撓曲し前壁部13の主面に沿う第二経路362に到達する。これによって残数表示部31がマガジン100の正面側から視認される表示位置に遷移する(
図2、
図4(4B))、搭載部10に搭載されるたばこ商品60の個数が所定数N以下となったことを報知する。
【0043】
残数表示部31の表示位置を第二経路362に設けることにより、マガジン100の正面側からの残数表示部31の視認性を良好とすることができる。
【0044】
上述のとおり、残数表示部31を、側壁部12に沿う第一経路361から前壁部13に沿う第二経路362に移動させることによって待避位置から上記表示位置に遷移させることができる(
図4)。かかる態様では、撓曲部363から第二経路362の入り口部分にかけてマガジン100の正面側から残数表示部31の視認を遮る遮蔽部38を設けることができる。本実施形態では、
図3に示すように、ガイド部材35の撓曲部363から第二経路362にかかる部分を有色不透明に着色することにより遮蔽部38としている(
図4において遮蔽部38は図示省略している)。遮蔽部38が設けられたことにより、マガジン100の正面側から観察されるガイド部材35の正面は以下のように視認される。即ち、残数表示部31が第一経路361において待避位置にあるとき、ガイド部材35の正面は、撓曲部363および第二経路362の入り口部分において遮蔽部38が視認されるとともにその他の第二経路362は透明視される(
図3(3B))。つまり、第一経路361にある移動部材30の前方からの視認は遮蔽されている。また残数表示部31が第二経路362において表示位置にあるとき、ガイド部材35の正面は、遮蔽部38が視認されるとともに、その他の第二経路362において残数表示部31が視認される(
図3(3D))。
【0045】
遮蔽部38が設けられた本実施態様は、オペレータが搭載部10の前端近傍において待避位置にある残数表示部31をマガジン100の正面側から視認し、残数報知がなされたものと誤認することを防止する。
【0046】
本実施形態のマガジン100は、第一経路361が側壁部12の主面に平行な面に含まれるとともに第二経路362が前壁部13の主面に平行な面に含まれる態様を示している。本実施形態のその他の態様は、第一経路361、撓曲部363および第二経路362がいずれも同じ面内に含まれる態様を含む。また本実施形態のその他の態様は、搭載部10を構成する底板部11、側壁部12、および前壁部13の中から選択される任意の二面と平行な面において、それぞれ第一経路361および第二経路362が設けられるとともに当該任意の二面によって形成されるコーナーに撓曲部363を設けることができる。尚、本実施形態において上記任意の二面に平行な面には、上記任意の二面と同一な面を含む。
【0047】
図1から
図4を用いて説明するマガジン100は、表示位置にある残数表示部31により、搭載されるたばこ商品60が所定数N以下となったことを報知し、たばこ商品60がN個のときと、N個未満であるときとで表示される内容に変更はない。
本実施形態の変形例として、表示位置にある残数表示部31により、搭載されるたばこ商品60が所定数N以下となったことが報知されるとともに、たばこ商品60がN個のときと、N個未満であるときとで報知される内容を変更することができる。
【0048】
即ち、本実施形態におけるマガジン100の変形例は、表示位置にある残数表示部31のマガジン100の正面側から視認される面積を、押板20の前進に連動して増加または減少させることができる。
【0049】
たとえば、
図3に示すガイド部材35の端部371は閉じられているので、移動部材30の第二経路362は、端部371で終結している。これに対し図示省略する上記変形例では、端部371を開放することにより端部371を貫通させ、移動部材30をさらに移動させるとともに、マガジン100の正面側からに視認される残数表示部31の面積を増加させることができる。このとき残数表示部31は、押板20が所定の領域を通過するときに第一経路361から第二経路362に移動してマガジン100の正面側から視認される領域に加え、さらに前進する押板20に連動して移動部材30が前進するときに新たに第二経路362において視認される領域も残数表示部31として含む。
【0050】
上記変形例によれば、搭載されるたばこ商品60が所定数Nであるのか、さらに少ないのかを報知することができ、より効果的な残数表示をなすことができる。
【0051】
またマガジン100の上記変形例は、押板20が所定の領域を通過してさらに前進するとき、残数表示部31の上記面積を、たばこ商品60の個数が所定数N以下となったたばこ商品60の個数に対応させて増加または減少させることができる。
【0052】
搭載部10からたばこ商品60が一つ取り出されると、押板20は一つのたばこ商品60の前後方向の厚み寸法分だけ前進する。前進する押板20と連動して移動する移動部材30は、搭載部10からたばこ商品60が一つ取り出されるたびに一定の距離で移動する。そこで、移動部材30において、商品の残個数に対応して順次、マガジン100の正面から視認される領域を、残数表示部31として設けることができる。たとえば、たばこ商品60が所定数Nとなったときに第二経路362において視認される第一視認領域に加え、たばこ商品60がN−1となったときに新たに第二経路362において視認される第二視認領域も含めて残数表示部31とすることができる。これにより、まずたばこ商品60の残数がN個となったとき、残数表示部31が表示位置に遷移して上記第一視認領域がマガジン100の正面側から視認される。そして次にたばこ商品60の残数がN−1個となったとき、残数表示部31は上記第一視認領域および上記第二視認領域が視認される位置に移動する。
【0053】
かかる変形例によれば、所定数N以下のたばこ商品60の残個数を面積の大小で具体的に示すことができる。各残個数に態様する各領域を異なる色で着色することにより、さらに具体的な残個数を報知することが可能である。
【0054】
以下に、本実施形態に係るマガジン100のその他の構成について説明する。
図1、
図2、
図4に示すように、搭載部10は、上方に向けて開口する半筐体状に形成されている。搭載部10は、たばこ商品60を支持する底板部11と、左右一対の側壁部12と、底板部11の前端に対して垂直に設けられた前壁部13と、底板部11の後端に対して垂直に設けられた後壁部14と、を有する。
前壁部13の前板部13aは底板部11の前端より上方に向けて垂直に起立している。後板部13bは、前板部13aから僅かに後方に離間した位置において底板部11より垂直に起立している。
前壁部13は、二重の板状部、すなわち前板部13aおよび後板部13bからなる。
前板部13aと後板部13bとの間には、商品ラベル(図示略)などが差し込まれるラベルホルダ17が形成されている。
後壁部14も、二重の板状部、すなわち前板部14aおよび後板部14bからなる。
後壁部14の前板部14aは底板部11の後端に対して直交するように設けられ、後壁部14の後板部14bは、前板部14aから僅かに後方に離間した位置において前板部14aと一体的に設けられている。
前板部14aと後板部14bとの間には、商品ラベル(図示略)などが差し込まれるラベルホルダ18が形成されている。
左右の側壁部12は、底板部11の左右両端に対してそれぞれ直交するように設けられ、底板部11よりも上方に起立し、且つ、底板部11よりも下方へ垂下している。
搭載部10は、更に、底板部11の下面より下方に突出したブレード19を有している。ブレード19は、マガジン100が什器に設置される際に、マガジン100の底面の所定の位置に設けられた凹部と係合させて、マガジン100の設置姿勢を係脱可能に維持するための部材である。
【0055】
搭載部10は、底板部11と、左右の側壁部12と、前壁部13の後板部13bと、後壁部14の前板部14aと、により囲まれた半筐体状の領域に、複数のたばこ商品60を縦置きで前後に列をなすように収容可能となっている。例えば、搭載部10には、最大で標準寸法の13個のたばこ商品60を搭載(収容)可能となっている。
【0056】
底板部11には、底板部11に押板20を連結するためのスリット11aが、前後方向に延在するように形成されている。このスリット11aは、例えば、底板部11の幅方向中央に位置している。
底板部11の上面におけるスリット11aの両脇には、底板部11の上面より上方に起立し、前後方向に延在する突条部16が形成されている。たばこ商品60は、これら突条部16間に架設されるようにして、搭載部10に搭載される。たばこ商品60は、押板20により前方に移動される際に、これら突条部16と、左右の側壁部12と、にガイドされて前方に摺動する。
【0057】
突条部16の前端部は、前方に向けて上り傾斜した傾斜部16aとなっており、最前列に前送りされたたばこ商品60(たばこ商品60a)はこの傾斜部16aの傾斜に沿って上方に持ち上げられるようになっている。
たばこ商品60aの上端面は、たばこ商品60aの後ろから最後列に搭載されるたばこ商品60bまでにおける他のたばこ商品60の上端面より、傾斜部16aの傾斜高さの分だけ高い位置にある。
底板部11の前壁部13の上面において、左右の突条部16の間の部分には、リール50の後述する留め具52を係止固定する係止部11bが形成されている。この係止部11bは、例えば、左右の突条部16の傾斜部16aの間に配置され、傾斜部16aよりも上には突出していない。このため、係止部11bがたばこ商品60の移動を阻害しないようになっている。
【0058】
押板20は、底板部11と連結された状態で、底板部11に沿って前後移動するように設けられている。
図1、
図2、
図4に示すように押板20は、底板部11と平行に配置され底板部11の上面に対して摺動する摺動板21と、この摺動板21の前端より垂直に起立するように設けられ最後列のたばこ商品60bの背面を前方に付勢する背板22を有する。そして、摺動板21との協働で底板部11を挟持する、図示省略する挟持体と、リール50を保持するリール保持部25と、を有する。尚、挟持体と摺動板21とは、図示省略する連結部によって連結されている。上記連結部は、その左右幅が、摺動板21および挟持体23の左右幅よりも狭く、かつスリット11aの左右幅よりも若干狭くなるよう形成されている。これにより、連結部がスリット11aに嵌め込まれることにより、摺動板21と挟持体とにより底板部11におけるスリット11aの左右縁部を上下から挟持した状態で、押板20がスリット11aに沿って前後方向に移動可能となっている。尚、
図1、
図2、
図4において図示省略される挟持体は、適宜、
図7および
図8において示される挟持体23を参照することができる。
換言すれば、押板20の底部は、スリット11aを上下に貫通し、且つ、底板部11においてスリット11aの幅方向に隣接する縁部を上下から(摺動板21と挟持体とにより)挟み込んでいる。
【0059】
押板20のリール保持部25には、リール50が嵌着されている。リール50のリール紐51は、背板22の適切な箇所に形成された図示しない開口を介して、背板22の前方に導出されている。
リール紐51の先端には、留め具52が固定されている。この留め具52は、底板部11の前端部上面に設けられた係止部11bに係止固定されている。リール50のケース53内には、図示しない板バネが渦巻き状に巻き取られた巻バネが収納され、その巻バネの一端に、巻バネからの延長部材であるリール紐51の基端部が連結されている。押板20と搭載部10の前端とは、リール紐51により連結されており、リール紐51は、連結部材である。
巻バネは、リール紐51をケース53内に引き込む方向へと、リール紐51を付勢している。このため、押板20は、リール紐51により、前方に(係止部11b側に)引っ張られている。この引っ張り力により、押板20の背板22が最後列のたばこ商品60(たばこ商品60b)の背面を前方に付勢している。
搭載部10のたばこ商品60が残り1個になったときに、このたばこ商品60を搭載部10における最前位置移動できるように、押板20の移動範囲が設定されている。
リール紐51は、左右一対の突条部16の間、またはスリット11a内において前後方向に延在し、突条部16により支持されるたばこ商品60と干渉しないようになっている。
【0060】
移動部材30の表示部31は、搭載部10のたばこ商品60が所定数N以下であることを表示報知する。
この所定数Nは、搭載部10に搭載可能なたばこ商品60の最大数の範囲において、オペレータにより任意に決定することができる。
例えば、所定数Nは、5個以下であることが好ましく、また4個以下であることがより好ましく、さらに好ましい例としては3個であることが挙げられる。上述のように、搭載部10には、例えば、最大で13個のたばこ商品60を搭載可能であり、この場合、搭載部10へのたばこ商品60の最大搭載数(13)から所定数N(例えば3個)を差し引いた数が10以上の構成となる。
たばこ商品60は、一般的に、カートン単位でまとめて包装され、1カートンのたばこ商品60は一般的に10個である。このため、搭載部10のたばこ商品60の残数が所定数N以下になったことが表示報知された段階で、1カートン分(つまり10個)のたばこ商品60を余すことなく搭載部10に補充することができる。
【0061】
以上に説明する本実施形態は、さらに以下の態様を含む。
即ち、本実施形態は、第二経路362が前壁部13の外縁より外側に伸長する外出路(図示せず)を含み、移動部材30が第二経路362を移動するとともに、残数表示部31が上記外出路に移動することによって表示位置に遷移するマガジンを含む。
【0062】
たとえば、図示省略するが、本実施形態は、第一経路361および第二経路362を、いずれも前壁部13に沿って設けることができる。このとき、移動部材30は前壁部13の主面に平行な面において、第一経路361を前進し、同一面内において撓曲部363を通過することにより撓曲し、第二経路362に移動する。第二経路362は、例えば前壁部13の上端面より上方まで延長する外出路を含む。押板20が所定の領域を通過するとき、移動部材30の前端に設けられた残数表示部31は第二経路362を前進し上記外出路まで移動する。これによって、マガジン100の正面側から、前壁部13の上端を突き出た残数表示部31が視認される。つまり、残数表示部31は、上記外出路まで移動することにより表示位置に遷移する。
【0063】
上記外出路を第二経路362に含むことにより、残数表示を搭載部10の外部で行うことができる。また前壁部13から外方向に突き出る。
【0064】
本実施形態は、さらに以下の態様を含む。
移動部材30は、一方の端部が押板20に固定されるとともに、全体を撓曲させて、他方の端部を前後方向に隣り合う2つのたばこ商品60の間に挟み込むことができる。上記端部は、残数表示部31が設けられている。上記端部を挟み込むたばこ商品60は、搭載部10の後方よりN個面のたばこ商品60とN+1個目のたばこ商品60である。搭載部10に搭載されるたばこ商品60は、付勢部材(リール50)により前方に付勢される押板20によって前方に押された状態である。同様に2つのたばこ商品60の間に挟み込まれた端部も、たばこ商品60とともに前方に押された状態となる。つまり、移動部材30は、付勢部材(リール50)が押板20を前方に付勢するための付勢力によって撓曲した状態が保たれる。
搭載されるたばこ商品60が順次取り出され押板20が前進するとき移動部材30も同様に前進する。そして搭載部10からたばこ商品60が抜き取られて残余のたばこ商品60が所定数Nとなったとき、前進する押板20が所定の領域を通過するとともに、たばこ商品60に挟まれていた上記端部がマガジン100の正面側から視認される。上記端部はたとえば自己の弾性により前方に飛び出してもよい。
【0065】
<第二実施形態>
本実施形態に係るマガジン200は、以下に説明する点でのみ上記の第一実施形態に係るマガジン100と相違し、その他の点では第一実施形態に係るマガジン100と同様に構成されている。
図5から
図8を用いて第二実施形態を説明する。
図5は、第二実施形態に係るマガジン200の側面図であり、残数表示部31が表示位置にある状態を示す。
図6は、第二実施形態に係るマガジン200の上面図であり、残数表示部31が表示位置にある状態を示す。
図7は、第二実施形態に係るマガジン200の裏面図であり、残数表示部31が所定の領域を通過する前の状態であって、残数表示部31が表示位置にある状態を示す。
図8は、第二実施形態に係るマガジン200の概略部分上面図および概略正面図であり、
図8(8A)は押板20が所定の領域に入る前の状態を示し、
図8(8B)は押板20が所定の領域を通過している状態を示し、
図8(8C)は押板20が所定の領域を通過した後の状態を示す。
図6から
図8はたばこ商品60の図示を省略している。
【0066】
本実施形態に係るマガジン200は、前進する押板20が所定の領域を通過するとき、移動部材30が後退するとともに、残数表示部31が第二経路から第一経路に移動することによって、表示位置から待避位置に遷移する。
【0067】
マガジン200は、上述するたばこ商品60の個数が所定数N以下になったことを報知する態様に関し、上記第二の態様の一つの例である。即ち、マガジン200は、移動部材30が押板20と連動して移動し、押板20が所定の領域を通過するとき、残数表示部31が表示位置から待避位置へと遷移して商品の個数が所定数N以下であることを報知する態様の例として示される。
【0068】
マガジン200は、搭載部10の底板部11の下面に移動部材30が設けられている。移動部材30は帯状部材であって一方の端部が底板部11の下面であって搭載部10の前方寄りに設けられた円筒形の回転体40の側面に固定されている。移動部材30の他方の端部には残数表示部31が設けられている。
回転体40は、底板部11よりも下方に垂下する一方側の側壁部12と、これに対抗する摺動板21の側面と間において配置され、回転軸41に軸支されている。回転軸41は、底板部11の下面に軸受されている。
回転体40およびこれに連結する移動部材30は、常時は押板20と離間しており、押板20が前進するときに動作せず、押板20が所定の領域を通過するときに、押板20と連動して移動部材30が移動する。より具体的には、押板20を構成する摺動板21の側面であって、回転体40が設けられた側の側面には、微小な凹凸が連続してなる鋸歯部47が設けられている。前進する押板20が所定の領域を通過するとき回転体40の側面と鋸歯部47とが接触することにより、回転体40の側面が鋸歯部47の前進につられて回転する。本実施形態では、回転体40の側面が鋸歯部47の前進につられて回転する方向を正回転という。回転体40が正回転することにより、回転体40は移動部材30を巻き取る方向に回転する。即ち、前進する押板20が所定の領域を通過するとき、移動部材30は回転体40に巻き取られる方向に移動する。
尚、鋸歯部47は、回転体40と押板20とが接触したときに回転体40を回転させるための一つの例である。本実施形態において、たとえば鋸歯部47を設ける代わりに、前進する押板20と回転体40とが接触したときに摩擦力が発生しやすいように、ゴム部材などを鋸歯部47が設けられている位置に貼ってもよい。
【0069】
以下に
図8を用いて、マガジン200における移動部材30の移動および残数表示部31の残数報知に関する事項について詳細に説明する。
図8(8A)に示すとおり、マガジン200には、移動部材30の撓曲を促すためのガイド部45、ガイド部46が設けられている。ガイド部45、ガイド部46は、所望の移動方向に移動部材30の移動をガイドするとともに移動部材30の撓曲を促す。
ガイド部45は、側壁部12と前壁部13とで形成されるコーナーに対面して設けられており、コーナー側に凸の円弧状に形成された側面部45aを有する。ガイド部46は、上記コーナーに設けられており、側面部45aと対面し、コーナー側に凹の円弧状に形成された側面部46aを有する。側面部45aと側面部46aとの間には一定の距離が確保されており、この間を移動部材30が撓曲しつつ移動する。
本実施形態における移動部材30の移動経路は、側面部45aと側面部46aとでガイドされる撓曲部と、撓曲部に対し一方側にある第一経路と、撓曲部に対し他方側にあって前壁部13の主面に沿う第二経路とを含む。
【0070】
図5から
図7および
図8(8A)に示すとおり、搭載されるたばこ商品60の個数が所定数Nを上回るとき、移動部材30の残数表示部31が設けられた側は、前壁部13の背面に沿って位置している。即ち移動部材30は、第二経路まで伸長している。前壁部13の底板部11より下方の位置には窓部71が設けられており、窓部71から残数表示部31が視認される。即ち、残数表示部31は表示位置にある。たとえば移動部材30において残数表示部31は、赤色や黄色などの彩度の高い色で着色された部分であってよい。一方、窓部71から視認される残数表示部31の視認性を高めるために、前壁部13の正面側であって特には窓部71の周囲の色は黒やグレーなどの無彩色とするとよい。これによって、残数表示部31の色と、窓部71の周囲の色とのコントラストを高めることができる。
残数表示部31が表示位置にあるとき、移動部材30は移動せず、押板20だけがたばこ商品60の搭載数が減るごとに前進する。
【0071】
窓部71は、マガジン200の正面側から表示位置にある残数表示部31を視認するための構成である。かかる趣旨から、窓部71は前後方向の繰り抜きの窓であってもよいし、光透過性の樹脂部材などで構成された無色または有色の透明性の窓であってもよい。
【0072】
図8(8B)に示すとおり、搭載部10に搭載されるたばこ商品60が取り出され、残余のたばこ商品60の個数が所定数Nとなったとき、押板20は所定の領域を通過する。このとき、鋸歯部47と回転体40の側面とが接触し、回転体40が正回転するとともに移動部材30は回転体40の側面に巻き取られて後退方向に移動する。この結果、残数表示部31も後退方向に移動する。尚、移動部材30が回転体40に巻き取られる量は、たとえば鋸歯部47の前後方向の長さにより調整することができる。
【0073】
図8(8B)では、表示位置にあった残数表示部31が、窓部71から視認される面積が、表示位置にあるときに比べて減少する位置まで後退方向に移動することにより待避位置に遷移した例を示す。即ち、窓部71において視認される残数表示部31の面積が減少したことによって、オペレータは、搭載されるたばこ商品60が所定数Nとなったことを確認することができる。
即ち、本実施形態に係るマガジン200は、表示位置にある残数表示部31のマガジン200の正面側から視認される面積が、押板20の前進に連動して減少する態様を示すものである。
鋸歯部47の前後方向の長さが、たばこ商品60の前後方向の厚み寸法よりも長い場合、
図8(8B)に示すとおり、押板20が所定の領域を通過した後も、鋸歯部47と回転体40との接触が維持される。
【0074】
図8(8C)に示すとおり、押板20が所定の領域を通過したあと、さらにたばこ商品60が搭載部10より取り出されることにより押板20は前進する。このとき、押板20が鋸歯部47と回転体40とが非接触になる位置まで前進する間、回転体40が回転し、さらに移動部材30が回転体40に巻き取られる。これによって窓部71から残数表示部31が完全に視認されなくなる。
尚、窓部71のマガジン200の正面に向かって右側部分を遮蔽部38とすることができる。これにより、ガイド部45とガイド部46との間で撓曲する残数表示部31をマガジン200の正面側から視認できないようにすることができる。
【0075】
押板20が所定の領域を通過して、回転体40と接触しない位置まで前方することにより、移動部材30の移動は停止する。
図8(8C)に示すとおり、移動部材30の移動が停止したとき、移動部材30がガイド部45とガイド部46との間において撓曲する状態が維持されている。
【0076】
搭載部10に新たなたばこ商品60を補充するときには、押板20は搭載部10の後方に押し下げられる。押板20が搭載部10の前方から後方に移動するときも、鋸歯部47と回転体40とが接触する。このとき回転体40は正回転とは反対側に回転する。上記反対側への回転を逆回転と呼ぶ。回転体40に巻き取られた移動部材は、回転体40が逆回転することにより、前進方向に繰り出されるように移動する。この結果、残数表示部31は窓部71より視認される表示位置へ遷移する。
【0077】
上述では、マガジン200の正面側から視認される残数表示部31の面積が段階的に減少する例を示した。ただし本実施形態は、押板20が所定の領域を通過することによって残数表示部31が完全にマガジン200の正面側から視認されない待避位置に遷移する態様を含む。たとえば窓部71の右端を中央寄りに設けることによって、たばこ商品60の個数が所定数Nとなったときに第二経路に位置する残数表示部31を遮蔽部38で遮蔽することができる。
【0078】
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)複数の商品が前後方向に一列に搭載される搭載部と、前記搭載部に沿って前後移動するように設けられた押板と、前記押板を前方に付勢する付勢部材と、前記搭載部に対して移動可能に設けられ前記付勢部材により前方に付勢される前記押板に連動して移動する移動部材と、前記移動部材に設けられ前記搭載部に搭載される前記商品の個数が所定数N(Nは自然数)以下となったことを報知する残数表示部と、を備えるマガジンであって、
前記移動部材は前記付勢部材が前記押板を前方に付勢するための付勢力によって撓曲し、
前記残数表示部は、前記マガジンの正面側から視認される表示位置と、前記表示位置とは異なる待避位置とに遷移し、
前記移動部材が前記押板と連動して移動し、前記押板が所定の領域を通過するとき、前記残数表示部は待避位置または表示位置へと遷移して商品の個数が所定数N以下であることを報知することを特徴とするマガジン。
(2)前進する前記押板が前記所定の領域を通過した後、前記移動部材の撓曲形状が変化するとともに前記押板がさらに前進する上記(1)に記載のマガジン。
(3)前記移動部材が移動する移動経路は、前記搭載部の前端近傍において屈曲する撓曲部と、撓曲部に対し一方側にある第一経路と、撓曲部に対し他方側にあって前壁部の主面に沿う第二経路とを含み、
前記押板が前進して所定の領域を通過するとき、前記移動部材が前記撓曲部を亘って、
前記第一経路から前記第二経路に向かって前進し、または前記第二経路から前記第一経路に向かって後退するとともに、前記残数表示部が前記第二経路を移動することにより前記商品の個数が所定数N(Nは自然数)以下となったことを報知する上記(1)または(2)に記載のマガジン。
(4)前記表示位置が前記第二経路にある上記(3)に記載のマガジン。
(5)前記表示位置にある前記残数表示部の前記マガジンの正面側から視認される面積が、前記押板の前進に連動して増加または減少する上記(4)に記載のマガジン。
(6)前記押板が前記所定の領域を通過してさらに前進するとき、
前記残数表示部の前記面積が、前記商品の個数が所定数N(Nは自然数)以下となった前記商品の個数に対応して増加または減少する上記(5)に記載のマガジン。
(7)前記残数表示部が前記第一経路から前記第二経路に移動することによって、前記待避位置から前記表示位置に遷移する上記(4)から(6)のいずれか一項に記載のマガジン。
(8)前記撓曲部から前記第二経路にかけて前記マガジンの正面側から前記残数表示部の視認を遮る遮蔽部を有し、
前記残数表示部は、前記遮蔽部より前進側に移動することによって前記待避位置から前記表示位置に遷移する上記(7)に記載のマガジン。
(9)前記第二経路が前記前壁部の外縁より外側に伸長する外出路を含み、
前記移動部材が前記第二経路を移動するとともに、前記残数表示部が前記外出路に移動することによって表示位置に遷移する上記(4)から(6)のいずれか一項に記載のマガジン。
(10)前進する前記押板が前記所定の領域を通過するとき、
前記移動部材が後退するとともに、前記残数表示部が前記第二経路から前記第一経路に移動することによって、前記表示位置から前記待避位置に遷移する上記(4)から(6)のいずれか一項に記載のマガジン。
(11)前記移動部材が移動する移動経路に沿って前記移動部材の移動をガイドするガイド部材が設けられている上記(1)から(9)のいずれか一項に記載のマガジン。
(12)前記搭載部は前記商品を支持する底板部、前記底板部の前端に対して垂直に設けられた前壁部と左右一対の側壁部とを有し、
前記第一経路は、前記側壁部の上端に設けられており、
前記第二経路は、前記前壁部の上端に設けられている上記(3)から(10)のいずれか一項に記載のマガジン。
(13)前記搭載部は前記商品を支持する底板部、前記底板部の前端に対して垂直に設けられた前壁部と左右一対の側壁部とを有し、
前記第一経路および前記第二経路は、前記前壁部に沿って設けられている上記(3)から(10)のいずれか一項に記載のマガジン。