(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204048
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】冷却器
(51)【国際特許分類】
H01L 23/473 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-80825(P2013-80825)
(22)【出願日】2013年4月8日
(65)【公開番号】特開2014-204045(P2014-204045A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年4月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000107538
【氏名又は名称】株式会社UACJ
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100109449
【弁理士】
【氏名又は名称】毛受 隆典
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【弁理士】
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】諸井 努
(72)【発明者】
【氏名】大高 幹雄
【審査官】
梅本 章子
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/016221(WO,A1)
【文献】
実開昭57−093197(JP,U)
【文献】
特開2012−028361(JP,A)
【文献】
特開2013−016690(JP,A)
【文献】
特開2009−146948(JP,A)
【文献】
特開2004−153001(JP,A)
【文献】
特開2009−259925(JP,A)
【文献】
特開2008−193007(JP,A)
【文献】
特開昭52−011869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/34 − 23/473
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体の熱を冷却用流体へ伝達する冷却器であって、
内部に前記冷却用流体が流通し、外部に前記発熱体が熱的に接続されるケース部材と、
前記ケース部材の内部に配設されるフィン部材と、を備え、
前記フィン部材は、
板材から同じ方向に鋭角に切り起こされたフィンが間隔をあけて複数並んでいるフィン列を複数有し、該複数のフィン列が前記冷却用流体の上流側から下流側に向かう方向に並んで配置されることによって形成されるフィン群と、
前記板材から切り起こされずに残っている桟部と、から構成され、
前記複数のフィン列は、隣り合うフィン列における複数のフィンが互いに逆方向の向きに切り起こされており、
前記フィンの根元及び前記桟部は、前記ケース部材の一方の内面に熱的に接合されており、
前記フィンの切り起こされた先端部が前記ケース部材の他方の内面に熱的に接合されており、
前記ケース部材は、前記一方の内面の側の外面において前記発熱体と接触し、
前記ケース部材は、板材から形成され第1の凹部を備える第1の部材と、板材から形成され第2の凹部を備える第2の部材と、を備え、
前記第1の部材と前記第2の部材とは、前記第1の凹部と前記第2の凹部とが対向するように重ねられてフィン部材を収納しており、
前記一方の内面は前記第1の凹部の底面であり、前記他方の内面は前記第2の凹部の底面である、
ことを特徴とする冷却器。
【請求項2】
前記フィン列における複数のフィンは、切り起こし傾斜角度と形状とが同一であり、
前記複数のフィン列は、前記冷却用流体の上流側から下流側に向かう方向に同一の間隔で並んで配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の冷却器。
【請求項3】
前記複数のフィンと前記桟部とは、前記冷却用流体の上流側から下流側に向かう方向において、同一の幅に形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の冷却器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CPU(Central Processing Unit)、集積回路、半導体素子等の各種電子部品、電子機器、そのほか各種電気機器などの放熱のために使用される冷却器に関する。
【背景技術】
【0002】
CPU、集積回路、半導体素子などの電子部品、電子機器及び各種電子機器といった発熱体においては、放熱のために冷却器が設けられる場合がある(例えば、特許文献1参照)。従来では、これらの発熱体の放熱には空冷冷却器が使われていたが、近年、発熱体の発熱量、発熱密度が増大する傾向にあることから水冷冷却器も使われるようになってきた。
【0003】
例えば、省エネルギの観点などからハイブリッド車が多く生産されるようになってきたが、このハイブリッド車の駆動モータの制御を行っているインバータにはIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)素子などの発熱体が実装されており、この発熱体の冷却のために水冷冷却器が設けられている。
【0004】
また、ハイブリッド車等に搭載されるリチウムイオン電池などに対しても、動作時の温度上昇による性能の低下をふせぐために、冷却器が設けられることがある。
【0005】
発熱体を冷却器で効率よく冷やすときには、発熱体と冷却器とを一般にグリスや熱伝導シートを介して接触させる。グリスやシートがなじむ程度に強く接触させることで発熱体と冷却器界面の接触抵抗を低減できるため、冷却器には加圧力に耐えられる強度が求められる。このため、エネルギ密度の高い発熱体用冷却器は、冷却性能を落とすことなく冷却器の強度を向上させる必要がある。
【0006】
また、冷却器の構成は、通常はケース内にフィンが設けられ、発熱体はケースと接触する。冷却器は発熱体と面接触して冷却しており、面内で温度のばらつきをなくすために冷却器の発熱体に接触する面は平坦であることが望ましい。冷却器の局所的な面のゆがみや変形が原因で、冷却器と発熱体との間に空隙ができると、熱抵抗が増加するためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2011/016221号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
インバータなどの発熱体の小型化により冷却器は薄型のものが用いられるようになっている。冷却器の薄型化に伴い、ケースの厚さも薄くなるためケースの強度が下がり、冷却器の強度が問題となっている。
【0009】
特許文献1に記載の冷却器は、冷却性能は良いものの、切り起こされて残った桟部が強度的に弱くなる場合があった。冷却器の強度が低いと、冷却器を取り付ける際に十分に加圧することができず、冷却性能を確保できないおそれがある。
【0010】
また、特許文献1に記載の冷却器では、桟部が変形すると、流路が狭くなって圧損が増加するおそれがあった。さらに、冷却器は薄型のものが使用されるので、桟部が変形すると桟部と接続しているケースにも変形が及ぶ可能性がある。ケースが変形すると発熱面が均一に冷やされず、冷却性能を確保できない。
【0011】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、容易に製造することができ冷却性能に優れ、かつ、発熱体と熱的に良好に接触することができる冷却器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点に係る冷却器は、
発熱体の熱を冷却用流体へ伝達する冷却器であって、
内部に前記冷却用流体が流通し、外部に前記発熱体が熱的に接続されるケース部材と、
前記ケース部材の内部に配設されるフィン部材と、を備え、
前記フィン部材は、
板材から同じ方向に鋭角に切り起こされたフィンが間隔をあけて複数並んでいるフィン列を複数有し、該複数のフィン列が前記冷却用流体の上流側から下流側に向かう方向に並んで配置されることによって形成されるフィン群と、
前記板材から切り起こされずに残っている桟部と、から構成され、
前記複数のフィン列は、隣り合うフィン列における複数のフィンが互いに逆方向の向きに切り起こされており、
前記フィンの根元及び前記桟部は、前記ケース部材の一方の内面に熱的に接合されており、
前記フィンの切り起こされた先端部が前記ケース部材の他方の内面に熱的に接合されて
おり、
前記ケース部材は、前記一方の内面の側の外面において前記発熱体と接触し、
前記ケース部材は、板材から形成され第1の凹部を備える第1の部材と、板材から形成され第2の凹部を備える第2の部材と、を備え、
前記第1の部材と前記第2の部材とは、前記第1の凹部と前記第2の凹部とが対向するように重ねられてフィン部材を収納しており、
前記一方の内面は前記第1の凹部の底面であり、前記他方の内面は前記第2の凹部の底面である、
ことを特徴とする。
【0013】
また、前記フィン列における複数のフィンは、切り起こし傾斜角度と形状とが同一であり、
前記複数のフィン列は、前記冷却用流体の上流側から下流側に向かう方向に同一の間隔で並んで配置されていることが好ましい。
【0014】
また、前記複数のフィンと前記桟部とは、前記冷却用流体の上流側から下流側に向かう方向において、同一の幅に形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ケース部材とフィン部材を接合する際に、両者を重ねて組み立てて荷重をかけた時に、一つの桟部の両側に接続しているフィンのそれぞれから、反対の向きの回転方向のモーメントを受ける。このことにより、結局、桟部の受けるモーメントは相殺され、ほとんど変形することがない。したがって、桟部とケース部材の間を隙間なく接触させることができ、冷却性能に優れた冷却器を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態に係る冷却器の構成の概略を示す分解斜視図である。
【
図2】この実施の形態に係るフィンユニットを拡大して示す斜視図である。
【
図3】(a)はこの実施の形態に係るフィンユニットをZ方向から見た図であり、(b)はこの実施の形態に係るフィンユニットの1つのフィン群を流通経路方向に沿って見た図である。
【
図4】フィンユニットに荷重が加わったときの桟部の変形をシミュレーションして示す図である。
【
図5】フィンユニットに荷重が加わったときの様子を示す図である。
【
図6】(a)は、単一方向切り起こしのフィンを示す図である。(b)は、逆方向切り起こしのフィンを示す図である。
【
図7】(a)、(b)はフィンユニットの変形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係る冷却器10の構成の概略を示す分解斜視図である。冷却器10は、例えば半導体素子や電池などの図示しない発熱体を、冷却用流体を用いて冷却できるように構成されている。冷却器10は、
図1に示すように、冷却用流体の出入口部11a、11bと、ケース(経路部材)12と、フィンユニット(熱交換体)16と、を備える。この実施の形態では、冷却用流体は、水や不凍液などの液体を用いるものとした。冷却用流体は、例えばモータなどで駆動される図示しないポンプによって圧送されて、出入口部11a、11bやケース12の内部を流通する。
【0019】
出入口部11a、11bとケース12のそれぞれは、例えば、銅やアルミニウム、鉄などの熱伝導性の高い材料で形成され、冷却用流体の流通経路の一部を構成する。この実施の形態では、出入口部11a、11bは、パイプ状に形成されており、ケース12は、上ケース12aと下ケース12bとの2部材で構成されている。上ケース12aと下ケース12bとのそれぞれには、出入口部11aと接続するための半円柱状の凹部14a、14bと、出入口部11bと接続するための半円柱状の凹部13a、13bと、フィンユニット16を収納するための直方体状の凹部15a、15bとが形成されている。フィンユニット16を収納するための凹部15a、15bは、それぞれの底面(第1の壁面、第2の壁面)が対向するように形成されている。こうした上ケース12aや下ケース12bは、例えば金属板にプレス処理を施すことによって形成(用意)することができる。以下、出入口部11a、11bを結ぶ方向である流通経路方向を「X方向」とし、凹部15a、15bの底面に沿った方向であってX方向に垂直な方向を「Y方向」とし、X方向及びY方向に垂直な方向を「Z方向」とする。
【0020】
図2は、この実施の形態に係るフィンユニット16を拡大して示す図である。
図3(a)は、この実施の形態に係るフィンユニット16をZ方向から見た図であり、
図3(b)は、この実施の形態に係るフィンユニット16の1つのフィン群を流通経路方向に沿って見た図である。フィンユニット16は、例えば銅やアルミニウム、鉄などの熱伝導性の高い材料で形成される。フィンユニット16は、
図1及び
図2に示すように、冷却用流体の流通経路方向(X方向)に沿って、フィン列18a,18bと桟部17とが交互に形成されて構成されている。
【0021】
桟部17は、ケース12の凹部15a、15bの底面(X方向及びY方向)に沿った板面を有し、冷却用流体の流通経路方向に垂直な方向(Y方向)に長い直方体状の板状に形成されている。桟部は、冷却用流体の流通経路方向(X方向)に沿って互いに間隔を空けて配置されている。
【0022】
フィン列18a、18bは、隣り合う桟部17を接続(架橋)するように、隣り合う桟部17間毎に形成されている。一例として、この実施の形態のフィンユニット16では、冷却用流体の流通経路方向(X方向)に沿って桟部17が合計17個形成されており、桟部17の間毎にフィン列18a、18bが合計16個形成されている。
【0023】
複数のフィン列18a、18bのそれぞれは、冷却用流体の流通経路方向に垂直な方向(Y方向)に並んだ複数のフィン19a、19bを有する。複数のフィン19a,19bは、
図1から
図3に示すように、ケース12の凹部15a、15bの底面に対して傾斜するとともに冷却用流体の流通経路方向(X方向)に沿った板面を有する直方体状の板状に形成されており、フィン19a同士及びフィン19b同士の間には、それぞれに隙間が形成されている。ここで、フィン列18aの複数のフィン19aは、それぞれに略同一の形状に形成されており、フィン列18bの複数のフィン19bは、それぞれに略同一の形状に形成されている。また、
図2に示すように、フィン列18aの複数のフィン19aと、フィン列18bの複数のフィン19bとは、それぞれ桟部17に対して逆方向の向きに傾斜するように形成されている。
【0024】
フィン19a,19bの傾斜角度は30°〜80°がより好ましい。
図4は、フィンユニット16に荷重が加わったときの桟部の変形をシミュレーションして示す図である。このシミュレーションでは、1対のフィン19a,19b及びそのフィン19a,19b間に桟部17を挟んだ1ユニットを対象に計算を行っている。また、このシミュレーションでは、ろう付け時にフィン19a,19b及び桟部17にかかる荷重を想定し、0.3MPaをケース12からフィンユニット16に対して付与した。フィン19a,19b、桟部17、及びケース12の材料としてアルミニウムを用いている。また、ケース12の高さ(フィン19a,19bの高さ(Z方向の高さ))を5mm、フィン19a,19bのX方向の長さLを3mm、桟部17のX軸方向の幅aを2mm、板厚を0.5mmとした。
【0025】
図4では、縦軸に桟部17の変形量c(mm)(
図7参照)、横軸にフィン19a,19bの桟部17(XY平面)に対する傾斜角度β(°)を示している。また、
図4では、1対のフィンが平行であり(同じ向きに傾斜しており)、傾斜角度を45°とした比較例を示している。この実施の形態におけるシミュレーション例(発明例)では、1対のフィン19a,19bが逆方向に向いて傾斜しており、その傾斜角度βは20°〜80°とした。
図4に示すように、傾斜角度β(°)が大きくなるほど桟部17の変形は大きくなるが、比較例と発明例が同等の傾斜角度β(°)である場合には、発明例の方が桟の変形量が少なくなる。つまり、フィン19a,19bが逆方向に向いて傾斜している発明例では、フィンが同じ方向に向いて傾斜している比較例に比して、強度が高く優れていることがわかる。
【0026】
図4にも示されるように、フィンの傾斜角度は30°〜80°がより好ましい。傾斜角度が30°より大きいと桟の変形を効果的に小さくすることができ、冷却性能をより向上させることができる。一方、傾斜角度が80°より大きいと切り起こしが困難なため、生産性が悪くなる。フィン長さは1mm以上3mm以下に設定することが好ましい。フィン長さが3mmより大きくなるとフィン部材の中に占める桟の数が減少し、一つの桟あたりにかかるモーメントが大きくなるため、変形が増す。また、フィン長さが1mmより小さいと成形が困難であり、フィンの強度も低下する。
【0027】
桟の幅は0.5mm以上2mm以下に設定することが好ましい。桟の幅が2mmより大きくなるとフィン部材の中でフィンの表面積が占める割合が少なくなり、冷却性能が低下する。桟の幅が0.5mmより小さくなるとフィンから受けるモーメントに対して強度が低くなり、変形が増す。桟がフィンを支持することが困難であり、フィン部材の強度が低下する。
【0028】
フィンユニット16を製造するには、例えば、まず、一枚の板材(金属板)20に対してプレス処理を施すことにより、板材(金属板)20から複数のフィン19a,19b(フィン列18a,18b)を切り起こして形成する。よって、フィン19a,19bの根元から先端までの幅Pと、フィン19aとフィン19bの間の間隔Gは等しい。なお、プレス処理とともに板材(金属板)20に切れ目を形成してフィン19a,19bを切り起こし形成してもよいし、予め板材(金属板)20に切れ目を形成してから板材(金属板)20にプレス処理を施してフィン19a,19bを切り起こし形成してもよい。
【0029】
そして、
図1に示すように、上ケース12aと下ケース12bとの間にフィンユニット16を配置して、フィンユニット16の桟部17及び複数のフィン19a,19bの根元が下ケース12bの内面に接触し、複数のフィン19a,19bの先端が上ケース12aの内面に接触するように、上ケース12aと下ケース12bとを当接させることによって、冷却器10を製造することができる。ここで、フィンユニット16と上ケース12a,下ケース12bとは、例えばろう付けによって接続されることが好ましい。また、フィンユニット16の高さを上ケース12aと下ケース12bとの隙間よりもやや大きく形成して、上ケース12aと下ケース12bとに若干の荷重をかけて互いに当接させるものとすれば、フィンユニット16とケース12とをより確実に接触させることができる。この場合には、隣り合うフィン列18a,18bにおけるフィン19a,19bが互いに逆向きに切り起こされているので、
図5に示すように、桟部17の受けるモーメントは相殺され、桟部17やケース12が変形するのが抑制される。
【0030】
以上説明した実施の形態の冷却器10では、フィンユニット16に複数のフィン列18a,18bが形成され、隣り合うフィン列18a,18bにおける複数のフィン19が互いに逆方向の向きに切り起こされているので、
図6に示すように、フィンユニット16をX方向に見たときに、フィン19a,19bが均等に配置されて、フィンユニット16やケース12の強度を高くすることができる。これにより、桟部17とケース12との間や、ケース12と発熱体との間を隙間なく接触させて、冷却性能に優れた冷却器10を容易に製造することができる。
【0031】
また、冷却器10を発熱体と接触させる際に、フィンユニット16が加圧に対する強度を有しているため、ケース12が薄型でも加圧力を大きくすることができ、接触熱抵抗を低減することができる。つまり、
図7に示すようなフィンユニット16の変形(歪み)や、
図8に示すようなケース12の変形(歪み)を抑制させて、フィンユニット16とケース12と発熱体との接触を確保することができる。そして、桟部17が変形することなくケース12内面に接合されているため、ケース12の平面度が保たれ、発熱面内の温度にバラツキが生じるのを抑制することができる。
【0032】
また、フィンユニット16を1枚の板材(金属板)20から切り起こして製造することによって、冷却器10を低コストに製造できる。また、フィンユニット16を製造する際にも、交互にフィン列18aとフィン列18bとを切り起こすことで桟部17の受けるモーメントは相殺され、フィンユニット16に変形が生じるのを抑制することができる(
図5参照)。そして、桟部17が変形せずケース12内面に接合されるため、ケース12から桟部17への熱を十分に伝達することができ、冷却性能が向上する。また、桟部17が変形してケース12内面の流路を塞いでしまうことも抑制することができ、冷却用流体の圧損が大きくなるのを抑制することもできる。
【0033】
また、フィン19a,19bの傾斜角度β(°)、根元から先端までの幅P(mm)、フィン19a,19bの長さL(mm)、桟部17の幅a(mm)をそれぞれ同寸法とすることで、桟部17を挟んで両側に存在するフィン19a,19bから桟部17に及ぼすモーメントの影響を理論上0とすることができ、桟部17の変形をより一層抑えることができる。また、それぞれ同寸法とすることで、順送プレスにて製造することもでき、生産性を向上させることができる。また、それぞれ同寸法とすることで、フィン19a,19bの高さ(Z方向の高さ)が一様になるため、冷却用流体を流すためのケース12の設計が容易となる。
【0034】
上述した実施の形態では、凹部13a、13b、14a、14b、15a、15bが形成された上ケース12aと下ケース12bの2部材からケース12が構成されるものとしたが、ケース12は、フィンユニット16の桟部17との接合面を有するように互いに対向する壁面を有して冷却用流体が流通する流通経路を構成するものであればよく、例えば、断面コの字状の部材に蓋がされてケース12が構成されてもよいし、四角筒状の一部材からケース12が構成されるなどとしてもよい。
【0035】
上述した実施の形態では、冷却用流体として、水や不凍液などの液体を用いるものとしたが、空気や二酸化炭素などの気体を用いてもよい。
【0036】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、様々な変更(構成要素の削除等を含む)をなし得ることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0037】
10 冷却器
11a、11b 出入口部
12 ケース
12a 上ケース
12b 下ケース
13a、13b、14a、14b、15a、15b 凹部
16 フィンユニット
17 桟部
18a、18b フィン列
19a,19b フィン
20 板材