【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、表面にアクリル官能基を有するシリカ粒子、特定のジケトピロロピロール系顔料、有機溶媒、分散剤及びアルカリ可溶性樹脂を配合したカラーフィルター用着色組成物において、表面にアクリル官能基を有するシリカ粒子と、特定のジケトピロロピロール顔料とを、特定量で配合させることにより、上記の課題を全て解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、少なくともシリカ粒子(A)、下記一般式(1)で表されるジケトピロロピロール系顔料(B)、有機溶媒(C)、分散剤(D)及びアルカリ可溶性樹脂(E)を含有するカラーフィルター用着色組成物であって、上記シリカ粒子(A)の表面にアクリル官能基を有しており、上記シリカ粒子(A)と上記ジケトピロロピロール系顔料(B)との質量比[シリカ粒子(A)/ジケトピロロピロール系顔料(B)]が1/100〜30/100であ
り、上記ジケトピロロピロール系顔料(B)は、下記構造式(2)で表される顔料を含み、下記一般式(1)で表される顔料(ただし、下記一般式(1)におけるX1及びX2が、Br原子である場合を除く)と、下記構造式(2)で表される顔料との質量比が、[一般式(1):構造式(2)]=(90:10)〜(50:50)であることを特徴とするカラーフィルター用着色組成物である。
【0010】
【化1】
【0011】
(式(1)中、X
1及びX
2は、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を示し、Y
1及びY
2は、それぞれ独立して、水素原子、−SO
3H基、−COOH基又は−CN基を示す。)
【0012】
また、本発明のカラーフィルター用着色組成物において、上記シリカ粒子(A)は、体積中位粒径(D50)が40nm以下であることが好ましい
。
【0013】
【化2】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明のカラーフィルター用着色組成物(以下、本発明の着色組成物ともいう)は、少なくともシリカ粒子(A)、ジケトピロロピロール系顔料(B)、有機溶媒(C)、分散剤(D)及びアルカリ可溶性樹脂(E)を含有する。以下、これらの各成分について説明する。
【0015】
本発明の着色組成物は、シリカ粒子(A)を含有する。
上記シリカ粒子(A)は、表面にアクリル官能基を有する。上記シリカ粒子(A)を含有することにより、本発明の効果が発現する理由は定かではないが、本発明の着色組成物を、後述する光重合性化合物等を添加してレジスト組成物としたとき、アクリル官能基を持つシリカ粒子(A)が、上記光重合性化合物中のアクリル官能基の架橋密度を向上させ、得られる塗膜強度を上げることで昇華物の発生を抑制し、耐熱性を向上させるためであると考えられる。
【0016】
上記シリカ粒子(A)の体積中位粒径(D50)は、カラーフィルターとした際に高コントラストを得る観点から、40nm以下であることが好ましい。上記シリカ粒子(A)の体積中位粒径(D50)のより好ましい下限は3nm、より好ましい上限は30nmである。なお、本発明において、「体積中位粒径(D50)」とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から50%になる粒径を意味し、測定方法は以下の通りである。
【0017】
<体積中位粒径(D50)測定法>
測定装置としてレーザ回折・散乱型粒度分布測定機(日機装株式会社製、マイクロトラックMT3300EXII)を用いる。50mLのイオン交換水に、約50mgの試料を入れ、更に界面活性剤である0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液をスポイドで3滴入れ、これを超音波分散機で処理する。得られた溶液を測定セルに入れ、蒸留水を加え、装置の透過率が適正範囲になったところで体積中位粒径(D50)を測定する。
【0018】
上記シリカ粒子(A)の含有量は、本発明の着色組成物の全量を100質量部としたときに、0.1〜4.0質量部であることが好ましい。シリカ微粒子(A)の含有量が0.1質量部未満であると、本発明の着色組成物により耐熱性に優れるカラーフィルターが得られないことがある。一方、4.0質量部を超えると、着色組成物の流動性が損なわれることがある。上記シリカ粒子(A)の含有量のより好ましい上限は、2.0質量部、更に好ましい上限は1.2質量部である。
【0019】
上記シリカ粒子(A)の市販品としては、例えば、NANOBYK−3605(ビックケミー社製)等が挙げられる。
【0020】
本発明の着色組成物において、上記シリカ粒子(A)は、後述するジケトピロロピロール系顔料(B)との併用により、本発明の効果が発現するものと考えられる。本発明の効果発現の観点から、本発明の着色組成物中における、シリカ粒子(A)とジケトピロロピロール系顔料(B)との質量比〔シリカ粒子(A)/ジケトピロロピロール系顔料(B)〕は、1/100〜30/100である。上記シリカ粒子(A)とジケトピロロピロール系顔料(B)との質量比〔シリカ粒子(A)/ジケトピロロピロール系顔料(B)〕が1/100未満であると、耐熱性に優れるカラーフィルターが得られないことがある。一方、上記シリカ粒子(A)とジケトピロロピロール系顔料(B)との質量比〔シリカ粒子(A)/ジケトピロロピロール系顔料(B)〕が30/100を超えると、着色組成物の流動性が損なわれることがある。上記質量比〔シリカ粒子(A)/ジケトピロロピロール系顔料(B)〕のより好ましい上限は、10/100、更に好ましい上限は5/100である。
【0021】
本発明の着色組成物は、ジケトピロロピロール系顔料(B)を含有する。
上記ジケトピロロピロール系顔料(B)は、上記一般式(1)で表される顔料である。
上記一般式(1)において、X
1及びX
2は、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を示し、Y
1及びY
2は、それぞれ独立して、水素原子、−SO
3H基、−COOH基又は−CN基を示す。X
1及びX
2のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子等が挙げられる。上記ジケトピロロピロール系顔料(B)は、上記構造式(2)で表される顔料を含むことが好ましく、上記一般式(1)で表される顔料(ただし、一般式(1)におけるX
1及びX
2が、Br原子である場合を除く)と、上記構造式(2)で表される顔料との質量比が、[上記一般式(1)/上記構造式(2)]が、90/10〜50/50の範囲であることが、得られるカラーフィルターに好適に耐熱性を付与できることから好ましい。
【0022】
上記一般式(1)で表されるジケトピロロピロール系顔料(B)(以下、一般式(1)の顔料ともいう)の製造方法は、特に限定されず、例えば、ベンゾニトリル又はハロゲン化ベンゾニトリルとブロモ酢酸エステル等のハロゲン化酢酸エステルを、亜鉛粉末等の還元剤の存在下で反応させる方法、又は、上記方法により得られた化合物を更にスルホン化する方法等が挙げられる。
上記一般式(1)の顔料の具体例としては、例えば、C.I.ピグメント レッド254、同255等が挙げられ、その市販品としては、PR−254(商品名:「Irgazin DPP Red BO」、「Irgazin DPP Red BL」、「Cromophtal DPP Red BP」、「Cromophtal DPP Red BOC」、ともにBASF社製)等が挙げられる。
上記一般式(1)の顔料は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
上記構造式(2)で表される顔料(以下、構造式(2)の顔料ともいう)は、臭素化ジケトピロロピロール顔料であり、例えば、国際公開2009/144115号パンフレット等に記載の公知の方法を用いて得ることが出来る。
上記構造式(2)の顔料の製造方法としては特に限定されず、例えば、コハク酸ジエステル合成法等で製造する方法が挙げられる。具体的には、コハク酸ジエステル1モルに対して、4−ブロモベンゾニトリル2モルを、tert−アミルアルコール等の不活性有機溶剤中で、アルカリ金属又はアルカリ金属アルコキシドの存在下において、80〜110℃の高温で縮合反応を行い、ジケトピロロピロール化合物のアルカリ金属塩を生成させ、続いて、このジケトピロロピロール化合物のアルカリ金属塩に対して、水、アルコール、酸等を用いてプロトン化することにより、上記構造式(2)の顔料を得ることができる。このとき、プロトン化における温度、水、アルコールまたは酸の種類、比率や量により、得られる一次粒子径の大きさを制御することができる。
上記構造式(2)の顔料の市販品としては、例えば、商品名:「Pigment Red 3100DOB」(BASF社製)等が挙げられる。
【0024】
本発明で用いられるジケトピロロピロール系顔料(B)は、微粒子化処理されていることが好ましく、その平均一次粒子径は、得られるカラーフィルターの明度Y値の向上の観点から、60nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。上記ジケトピロロピロール系顔料(B)は、更に好ましくは平均一次粒子径が20〜40nmにした微粒化処理品である。
上記平均一次粒子径は、電子顕微鏡による粒子の観察により求められる粒子径の算術平均値である。
【0025】
本発明で用いられる上記ジケトピロロピロール系顔料(B)の微粒化処理法は特に限定されないが、例えば、塩化ナトリウムの存在下でミル破砕を行うソルトミリング法を用いることが好ましい。
微粒化処理された上記ジケトピロロピロール系顔料(B)の市販品としては、PR−254(商品名:「Irgaphor Red B−CF」、「Irgaphor Red BT−CF」、ともにBASF社製)等が挙げられる。
【0026】
上記ジケトピロロピロール系顔料(B)の含有量は、本発明の着色組成物の全量を100質量部としたときに、0.1〜40質量部含有することが好ましい。上記ジケトピロロピロール系顔料(B)の含有量が0.1質量部未満であると、適度な色度が得られない。一方、40質量部を超えると、分散性が悪化し輝度が得られないことがある。上記ジケトピロロピロール系顔料(B)の含有量は、1〜35質量部含有することがより好ましい。
【0027】
本発明の着色組成物は、有機溶媒(C)を含有する。
上記有機溶媒としては、上記に挙げた顔料分散物に使用できる有機溶媒と同様のものを挙げることができる。なかでも、上記有機溶媒としては、常圧(1.013×10
2kPa)における沸点が100〜220℃のエステル系有機溶媒、エーテル系有機溶媒、エーテルエステル系有機溶媒、ケトン系有機溶媒、芳香族炭化水素溶媒及び含窒素系有機溶媒等であることが好ましい。
【0028】
これらの有機溶媒の中でも、溶解性、分散性、塗布性等が良好となる点より、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、蟻酸n−アミル等がより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが更に好ましい。
【0029】
上記有機溶媒(C)の含有量は、上記アルカリ可溶性樹脂の溶解性、顔料分散性、塗布性等が良好となる点より、本発明の着色組成物の全量を100質量部としたときに、50質量部以上含有することが好ましい。上記有機溶媒(C)の含有量は、70質量部以上含有することがより好ましい。
【0030】
なお、本発明の着色組成物は、沸点が220℃を超える有機溶媒を多量に含有していると、塗布形成された塗膜をプレベークする際に有機溶媒が充分に蒸発せずに乾燥塗膜内に残存し、乾燥塗膜の耐熱性が低下するおそれがある。また、沸点100℃未満の有機溶媒を多量に含有していると、ムラなく均一に塗布することが困難になり、表面平滑性に優れた塗膜が得られなくなるおそれがある。
【0031】
本発明の着色組成物は、分散剤(D)を含有する。
上記分散剤(D)は、上記ジケトピロロピロール系顔料(B)を上記有機溶媒(C)中で安定に微細化した状態で分散させうる分散剤であればよく、公知の分散剤を使用することができる。
上記分散剤(D)としては、例えば、特開平3−277673号公報、特開平10−339949号公報、特表2003−517063号公報等に記載の主鎖にアミド系骨格を有し、側鎖がメタクリル酸エステルによるマクロモノマーからなるグラフトポリマー:特公平7−96654号公報、特開平7−207178号公報等に記載の脂肪族ヒドロキシカルボン酸残基を有するポリエステル系オリゴマー:オルガノシロキサンポリマー(KP341等、信越化学工業社製):(メタ)アクリル酸系(共)重合体(ポリフローNo.75、90、95等、共栄油脂化学工業社製):カチオン系界面活性剤(W001等、裕商社製):ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤:アニオン系界面活性剤(W004、W005、W017等、裕商社製):その他市販品として、ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、20000、24000、26000、28000等(ゼネカ社製)の各種ソルスパース分散剤、アジスパーPB−821、PB−822(味の素ファインテクノ社製)、イソーネットS−20(三洋化成社製)、Disperbyk−160、161、162、163、164、182、184(BYK Chemie社製)、EFKA−46、47、48等(EFKA Chemicals BV社製)が挙げられる。
これらの中では、微細安定化の観点から、主鎖にアミド系骨格を有し、側鎖がメタクリル酸エステルによるマクロモノマーからなるグラフトポリマーが好ましく、具体的には、ビニルピロリドンを主鎖に含有し、側鎖がメタクリル酸メチルのマクロモノマーからなるグラフトポリマーが好ましい。
【0032】
本発明の着色組成物において、上記分散剤(D)の含有量は、使用する全有機顔料100質量部に対して、0.1〜55質量部含有することが好ましい。上記分散剤(D)の含有量が0.1質量部未満であると、添加した効果が得られ難くなることがある。一方、55質量部を超えると、過剰な分散剤により分散に影響を及ぼすことがある。上記分散剤(D)の含有量は、使用する全有機顔料100質量部に対して、0.1〜45質量部含有することがより好ましい。
【0033】
本発明の着色組成物は、アルカリ可溶性樹脂(E)を含有する。
本発明の着色組成物におけるアルカリ可溶性樹脂(E)としては、カラーフィルターを製造する際に、その現像処理工程において用いられる現像液、特に好ましくはアルカリ現像液に対して可溶性を有するものであれば、特に限定されるものではない。なかでも、上記アルカリ可溶性樹脂(E)としては、カルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂が好ましく、特に、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体が好ましい。
【0034】
上記1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と共重合可能なスチレン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロールメタクリレート、N−フェニルマレイミド、ポリスチレンマクロモノマー及びポリメチルメタクリレートマクロモノマーからなる群より選択される少なくとも1種のエチレン性不飽和単量体との共重合体を挙げることができる。
【0035】
上記共重合体の酸価としては、50〜300mgKOH/gが好ましい。この場合、酸価が50mgKOH/g未満では、本発明の着色組成物をレジスト組成物として用いた場合に、アルカリ現像液に対する溶解性が低下する傾向がある。一方300mgKOH/gを超えると、アルカリ現像液に対する溶解性が過大となり、アルカリ現像液により現像する際に、着色層の基板からの脱落や着色層表面の膜荒れを来たしやすくなる傾向がある。
なお、本発明においては、上記酸価は理論酸価であり、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体とその含有量に基づいて算術的に求めた値である。
【0036】
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂(E)の質量平均分子量は、通常、1,000〜10万が好ましい。アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量が1,000未満では、アルカリ現像剤に対する溶解性が上がり現像特性が低下する場合がある。一方10万を超える場合は、有機溶媒への溶解性が低下し、本発明の着色組成物をレジスト組成物として用いた場合に、粘度が高くなる場合がある。
なお、本発明において、上記アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量は、GPCに基づいて得られるポリスチレン換算の質量平均分子量である。本発明において、装置としてはWaters 2690(ウォーターズ社製)、カラムとしては PLgel 5μ MIXED−D(Polymer Laboratories社製)を用いる。
【0037】
上記アルカリ可溶性樹脂(E)の含有量は、含有される本発明の着色顔料の全量を100質量部としたときに、10〜1000質量部であることが好ましい。
上記アルカリ可溶性樹脂(E)の含有量が10質量部未満では、例えば、アルカリ現像性が低下したり、未露光部の基板上あるいは遮光層上に地汚れや膜残りが発生するおそれがある。一方1000質量部を超えると、相対的に有機顔料の濃度が低下するため、薄膜として目的とする色濃度を達成することが困難となるおそれがある。
上記アルカリ可溶性樹脂(E)の含有量は、20〜500質量部含有することがより好ましい。
【0038】
本発明の着色組成物は、上記(A)〜(E)の各成分を所定の割合で含有するので、高耐熱性、高コントラスト、及び、高透過率化されたカラーフィルターを形成することができる。
【0039】
次に、本発明の着色組成物の好ましい用途の一例であるカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物について説明する。
上記カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物は、活性エネルギー線硬化性を有し、アルカリ現像可能なレジスト組成物であり、本発明の着色組成物に加えて、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、有機溶媒、熱重合禁止剤、基板との密着性を向上させるためのシランカップリング剤やチタネートカップリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種添加剤を適宜含有させたものである。
【0040】
上記カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物における光重合性化合物としては、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する単量体、オリゴマー等を挙げることができる。光重合性不飽和結合とは、後述する光重合開始剤が、紫外線や電子線等の活性エネルギー線により分解した際に発生するラジカルやカチオンの作用により、重合することのできる不飽和結合である。
【0041】
上記光重合性不飽和結合を分子内に1個有する単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルメタクリレート又はアクリレート;ベンジルメタクリレート、ベンジルアクリレート等のアラルキルメタクリレート又はアクリレート;ブトキシエチルメタクリレート、ブトキシエチルアクリレート等のアルコキシアルキルメタクリレート又はアクリレート;N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート等のアミノアルキルメタクリレート又はアクリレート;ジエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル等のポリアルキレングリコールアルキルエーテルのメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル;ヘキサエチレングリコールフェニルエーテル等のポリアルキレングリコールアリールエーテルのメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル;イソボニルメタクリレート又はアクリレート;グリセロールメタクリレート又はアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート又はアクリレート等が例示できる。本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートを意味する。
【0042】
また、上記光重合性不飽和結合を分子内に2個以上有する単量体としては、ビスフェノールAジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスルトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、グリセロールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスルトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等が挙げられる。これらの単量体は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記光重合性化合物の含有量は、上記カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物中の全固形分に対して、3〜50質量%含有することが好ましい。
【0043】
上記カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物における光重合開始剤としては、紫外線や電子線等の活性エネルギー線を照射されることにより、ラジカルやカチオンを発生することのできるものであれば特に限定されず、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、ベンジル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、トリアジン系光重合開始剤等が挙げられる。これらの光重合開始剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本発明において、上記光重合開始剤の含有量は、上記カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物の全固形分に対して、1〜20質量部含有することが好ましい。
【0044】
以上の材料を用いてカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物を製造する方法を説明する。
上記カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物を製造する方法は、本発明の好ましい実施形態の一例であり、本発明ではこれに限定されるものではない。
先に記載した構成材料から、カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物を製造するためには、上記の方法により得られた本発明の着色組成物に、上記光重合性化合物、上記光重合開始剤、必要に応じて、上記アルカリ可溶性樹脂、有機溶媒、その他添加剤を加え、撹拌装置等を用いて撹拌混合する方法が利用できる。