特許第6204049号(P6204049)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204049
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】カラーフィルター用着色組成物
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20170914BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20170914BHJP
   C09B 57/00 20060101ALI20170914BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20170914BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   G02B5/20 101
   C09D201/00
   C09B57/00 Z
   C09B67/20 F
   C09D7/12
【請求項の数】2
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-83735(P2013-83735)
(22)【出願日】2013年4月12日
(65)【公開番号】特開2014-206618(P2014-206618A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2016年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000105947
【氏名又は名称】サカタインクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 明
(72)【発明者】
【氏名】矢井 健二郎
(72)【発明者】
【氏名】纐纈 大介
(72)【発明者】
【氏名】関 伸章
【審査官】 辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−268124(JP,A)
【文献】 特開2004−307853(JP,A)
【文献】 特開2008−164985(JP,A)
【文献】 特開2012−155232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
C09B 57/00
C09B 67/20
C09D 7/12
C09D 201/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともシリカ粒子(A)、下記一般式(1)で表されるジケトピロロピロール系顔料(B)、有機溶媒(C)、分散剤(D)及びアルカリ可溶性樹脂(E)を含有するカラーフィルター用着色組成物であって、
前記シリカ粒子(A)は、表面にアクリル官能基を有しており、
前記シリカ粒子(A)と前記ジケトピロロピロール系顔料(B)との質量比[シリカ粒子(A)/ジケトピロロピロール系顔料(B)]が1/100〜30/100であり、
前記ジケトピロロピロール系顔料(B)は、下記構造式(2)で表される顔料を含み、
下記一般式(1)で表される顔料(ただし、下記一般式(1)におけるX及びXが、Br原子である場合を除く)と、下記構造式(2)で表される顔料との質量比が、[一般式(1):構造式(2)]=(90:10)〜(50:50)である
ことを特徴とするカラーフィルター用着色組成物。
【化1】
(式(1)中、X及びXは、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を示し、Y及びYは、それぞれ独立して、水素原子、−SOH基、−COOH基又は−CN基を示す。)
【化2】
【請求項2】
シリカ粒子(A)の体積中位粒径D50が40nm以下である請求項1記載のカラーフィルター用着色組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー液晶表示装置や撮像素子等に用いられるカラーフィルターの製造を可能にするカラーフィルター用着色組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
大画面化が一段落した感のある最近の液晶テレビにあって、次なる競争の対象は高画質化であり、特に、ハイビジョンなどの高品位・高精細映像の普及が、その競争に拍車をかける結果となっている。一方で、液晶テレビの価格下落は急速に進み、今後、目の肥えた顧客にターゲットを絞って、より高性能・高画質=高価格という図式をいかに維持できるかが、収益を確保する礎になると考えられている。また、新たに開発された高画質化の技術は、やがて普及価格帯の製品にも波及して、他社製品との差別化にも貢献することになる。
【0003】
この様な液晶テレビの高画質化を実現するために不可欠の技術として、高精細カラーフィルターを形成する技術がある。カラーフィルターとしては、ガラスなどの透明な基板の表面に、2種以上の異なる色相の微細な帯(ストライプ)を平行に配置したものや、微細な画素を縦横に一定の配列で配置したもの等がある。画素サイズは、数10〜数100μmという微細な大きさであるが、色相毎に所定の順序で整然と配列される必要がある。さらに、各色相の画素についても、基本性能として、色純度と可視光の透過率が高く、さらにハイコントラストであることが要求される。
【0004】
最近では、液晶ディスプレーパネルの用途の多様化にともない、耐熱性、耐光性といった信頼性の面から、画素の色材として顔料が多用されている。そして、上記の耐熱性、色純度、可視光の透過、コントラストといった性能は、カラーフィルター中に分散されている顔料の分散性能に大きく依存する。また、顔料を微粒子化すると、一般的に耐光性、耐熱性は低下することが知られているが、パターニングの硬化やITO膜の蒸着時250℃程度の加熱処理をするため、特に耐熱性が必要とされる。
【0005】
このような問題を解決するために、例えば、特許文献1には、カラーフィルター用着色組成物中にシリカ粒子を含有させることで、耐熱性を向上させているが、未だ不充分であった。そこで、顔料の分散がナノレベルであり、且つ、ビヒクル中に安定に分散できるとともに優れた耐熱性を有するカラーフィルター用着色組成物の開発が強く要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−164985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、形成したカラーフィルターの高耐熱性、高コントラスト化が可能なカラーフィルター用着色組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、表面にアクリル官能基を有するシリカ粒子、特定のジケトピロロピロール系顔料、有機溶媒、分散剤及びアルカリ可溶性樹脂を配合したカラーフィルター用着色組成物において、表面にアクリル官能基を有するシリカ粒子と、特定のジケトピロロピロール顔料とを、特定量で配合させることにより、上記の課題を全て解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、少なくともシリカ粒子(A)、下記一般式(1)で表されるジケトピロロピロール系顔料(B)、有機溶媒(C)、分散剤(D)及びアルカリ可溶性樹脂(E)を含有するカラーフィルター用着色組成物であって、上記シリカ粒子(A)の表面にアクリル官能基を有しており、上記シリカ粒子(A)と上記ジケトピロロピロール系顔料(B)との質量比[シリカ粒子(A)/ジケトピロロピロール系顔料(B)]が1/100〜30/100であり、上記ジケトピロロピロール系顔料(B)は、下記構造式(2)で表される顔料を含み、下記一般式(1)で表される顔料(ただし、下記一般式(1)におけるX及びXが、Br原子である場合を除く)と、下記構造式(2)で表される顔料との質量比が、[一般式(1):構造式(2)]=(90:10)〜(50:50)であることを特徴とするカラーフィルター用着色組成物である。
【0010】
【化1】
【0011】
(式(1)中、X及びXは、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を示し、Y及びYは、それぞれ独立して、水素原子、−SOH基、−COOH基又は−CN基を示す。)
【0012】
また、本発明のカラーフィルター用着色組成物において、上記シリカ粒子(A)は、体積中位粒径(D50)が40nm以下であることが好ましい
【0013】
【化2】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明のカラーフィルター用着色組成物(以下、本発明の着色組成物ともいう)は、少なくともシリカ粒子(A)、ジケトピロロピロール系顔料(B)、有機溶媒(C)、分散剤(D)及びアルカリ可溶性樹脂(E)を含有する。以下、これらの各成分について説明する。
【0015】
本発明の着色組成物は、シリカ粒子(A)を含有する。
上記シリカ粒子(A)は、表面にアクリル官能基を有する。上記シリカ粒子(A)を含有することにより、本発明の効果が発現する理由は定かではないが、本発明の着色組成物を、後述する光重合性化合物等を添加してレジスト組成物としたとき、アクリル官能基を持つシリカ粒子(A)が、上記光重合性化合物中のアクリル官能基の架橋密度を向上させ、得られる塗膜強度を上げることで昇華物の発生を抑制し、耐熱性を向上させるためであると考えられる。
【0016】
上記シリカ粒子(A)の体積中位粒径(D50)は、カラーフィルターとした際に高コントラストを得る観点から、40nm以下であることが好ましい。上記シリカ粒子(A)の体積中位粒径(D50)のより好ましい下限は3nm、より好ましい上限は30nmである。なお、本発明において、「体積中位粒径(D50)」とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から50%になる粒径を意味し、測定方法は以下の通りである。
【0017】
<体積中位粒径(D50)測定法>
測定装置としてレーザ回折・散乱型粒度分布測定機(日機装株式会社製、マイクロトラックMT3300EXII)を用いる。50mLのイオン交換水に、約50mgの試料を入れ、更に界面活性剤である0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液をスポイドで3滴入れ、これを超音波分散機で処理する。得られた溶液を測定セルに入れ、蒸留水を加え、装置の透過率が適正範囲になったところで体積中位粒径(D50)を測定する。
【0018】
上記シリカ粒子(A)の含有量は、本発明の着色組成物の全量を100質量部としたときに、0.1〜4.0質量部であることが好ましい。シリカ微粒子(A)の含有量が0.1質量部未満であると、本発明の着色組成物により耐熱性に優れるカラーフィルターが得られないことがある。一方、4.0質量部を超えると、着色組成物の流動性が損なわれることがある。上記シリカ粒子(A)の含有量のより好ましい上限は、2.0質量部、更に好ましい上限は1.2質量部である。
【0019】
上記シリカ粒子(A)の市販品としては、例えば、NANOBYK−3605(ビックケミー社製)等が挙げられる。
【0020】
本発明の着色組成物において、上記シリカ粒子(A)は、後述するジケトピロロピロール系顔料(B)との併用により、本発明の効果が発現するものと考えられる。本発明の効果発現の観点から、本発明の着色組成物中における、シリカ粒子(A)とジケトピロロピロール系顔料(B)との質量比〔シリカ粒子(A)/ジケトピロロピロール系顔料(B)〕は、1/100〜30/100である。上記シリカ粒子(A)とジケトピロロピロール系顔料(B)との質量比〔シリカ粒子(A)/ジケトピロロピロール系顔料(B)〕が1/100未満であると、耐熱性に優れるカラーフィルターが得られないことがある。一方、上記シリカ粒子(A)とジケトピロロピロール系顔料(B)との質量比〔シリカ粒子(A)/ジケトピロロピロール系顔料(B)〕が30/100を超えると、着色組成物の流動性が損なわれることがある。上記質量比〔シリカ粒子(A)/ジケトピロロピロール系顔料(B)〕のより好ましい上限は、10/100、更に好ましい上限は5/100である。
【0021】
本発明の着色組成物は、ジケトピロロピロール系顔料(B)を含有する。
上記ジケトピロロピロール系顔料(B)は、上記一般式(1)で表される顔料である。
上記一般式(1)において、X及びXは、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を示し、Y及びYは、それぞれ独立して、水素原子、−SOH基、−COOH基又は−CN基を示す。X及びXのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子等が挙げられる。上記ジケトピロロピロール系顔料(B)は、上記構造式(2)で表される顔料を含むことが好ましく、上記一般式(1)で表される顔料(ただし、一般式(1)におけるX及びXが、Br原子である場合を除く)と、上記構造式(2)で表される顔料との質量比が、[上記一般式(1)/上記構造式(2)]が、90/10〜50/50の範囲であることが、得られるカラーフィルターに好適に耐熱性を付与できることから好ましい。
【0022】
上記一般式(1)で表されるジケトピロロピロール系顔料(B)(以下、一般式(1)の顔料ともいう)の製造方法は、特に限定されず、例えば、ベンゾニトリル又はハロゲン化ベンゾニトリルとブロモ酢酸エステル等のハロゲン化酢酸エステルを、亜鉛粉末等の還元剤の存在下で反応させる方法、又は、上記方法により得られた化合物を更にスルホン化する方法等が挙げられる。
上記一般式(1)の顔料の具体例としては、例えば、C.I.ピグメント レッド254、同255等が挙げられ、その市販品としては、PR−254(商品名:「Irgazin DPP Red BO」、「Irgazin DPP Red BL」、「Cromophtal DPP Red BP」、「Cromophtal DPP Red BOC」、ともにBASF社製)等が挙げられる。
上記一般式(1)の顔料は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
上記構造式(2)で表される顔料(以下、構造式(2)の顔料ともいう)は、臭素化ジケトピロロピロール顔料であり、例えば、国際公開2009/144115号パンフレット等に記載の公知の方法を用いて得ることが出来る。
上記構造式(2)の顔料の製造方法としては特に限定されず、例えば、コハク酸ジエステル合成法等で製造する方法が挙げられる。具体的には、コハク酸ジエステル1モルに対して、4−ブロモベンゾニトリル2モルを、tert−アミルアルコール等の不活性有機溶剤中で、アルカリ金属又はアルカリ金属アルコキシドの存在下において、80〜110℃の高温で縮合反応を行い、ジケトピロロピロール化合物のアルカリ金属塩を生成させ、続いて、このジケトピロロピロール化合物のアルカリ金属塩に対して、水、アルコール、酸等を用いてプロトン化することにより、上記構造式(2)の顔料を得ることができる。このとき、プロトン化における温度、水、アルコールまたは酸の種類、比率や量により、得られる一次粒子径の大きさを制御することができる。
上記構造式(2)の顔料の市販品としては、例えば、商品名:「Pigment Red 3100DOB」(BASF社製)等が挙げられる。
【0024】
本発明で用いられるジケトピロロピロール系顔料(B)は、微粒子化処理されていることが好ましく、その平均一次粒子径は、得られるカラーフィルターの明度Y値の向上の観点から、60nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。上記ジケトピロロピロール系顔料(B)は、更に好ましくは平均一次粒子径が20〜40nmにした微粒化処理品である。
上記平均一次粒子径は、電子顕微鏡による粒子の観察により求められる粒子径の算術平均値である。
【0025】
本発明で用いられる上記ジケトピロロピロール系顔料(B)の微粒化処理法は特に限定されないが、例えば、塩化ナトリウムの存在下でミル破砕を行うソルトミリング法を用いることが好ましい。
微粒化処理された上記ジケトピロロピロール系顔料(B)の市販品としては、PR−254(商品名:「Irgaphor Red B−CF」、「Irgaphor Red BT−CF」、ともにBASF社製)等が挙げられる。
【0026】
上記ジケトピロロピロール系顔料(B)の含有量は、本発明の着色組成物の全量を100質量部としたときに、0.1〜40質量部含有することが好ましい。上記ジケトピロロピロール系顔料(B)の含有量が0.1質量部未満であると、適度な色度が得られない。一方、40質量部を超えると、分散性が悪化し輝度が得られないことがある。上記ジケトピロロピロール系顔料(B)の含有量は、1〜35質量部含有することがより好ましい。
【0027】
本発明の着色組成物は、有機溶媒(C)を含有する。
上記有機溶媒としては、上記に挙げた顔料分散物に使用できる有機溶媒と同様のものを挙げることができる。なかでも、上記有機溶媒としては、常圧(1.013×10kPa)における沸点が100〜220℃のエステル系有機溶媒、エーテル系有機溶媒、エーテルエステル系有機溶媒、ケトン系有機溶媒、芳香族炭化水素溶媒及び含窒素系有機溶媒等であることが好ましい。
【0028】
これらの有機溶媒の中でも、溶解性、分散性、塗布性等が良好となる点より、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、蟻酸n−アミル等がより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが更に好ましい。
【0029】
上記有機溶媒(C)の含有量は、上記アルカリ可溶性樹脂の溶解性、顔料分散性、塗布性等が良好となる点より、本発明の着色組成物の全量を100質量部としたときに、50質量部以上含有することが好ましい。上記有機溶媒(C)の含有量は、70質量部以上含有することがより好ましい。
【0030】
なお、本発明の着色組成物は、沸点が220℃を超える有機溶媒を多量に含有していると、塗布形成された塗膜をプレベークする際に有機溶媒が充分に蒸発せずに乾燥塗膜内に残存し、乾燥塗膜の耐熱性が低下するおそれがある。また、沸点100℃未満の有機溶媒を多量に含有していると、ムラなく均一に塗布することが困難になり、表面平滑性に優れた塗膜が得られなくなるおそれがある。
【0031】
本発明の着色組成物は、分散剤(D)を含有する。
上記分散剤(D)は、上記ジケトピロロピロール系顔料(B)を上記有機溶媒(C)中で安定に微細化した状態で分散させうる分散剤であればよく、公知の分散剤を使用することができる。
上記分散剤(D)としては、例えば、特開平3−277673号公報、特開平10−339949号公報、特表2003−517063号公報等に記載の主鎖にアミド系骨格を有し、側鎖がメタクリル酸エステルによるマクロモノマーからなるグラフトポリマー:特公平7−96654号公報、特開平7−207178号公報等に記載の脂肪族ヒドロキシカルボン酸残基を有するポリエステル系オリゴマー:オルガノシロキサンポリマー(KP341等、信越化学工業社製):(メタ)アクリル酸系(共)重合体(ポリフローNo.75、90、95等、共栄油脂化学工業社製):カチオン系界面活性剤(W001等、裕商社製):ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤:アニオン系界面活性剤(W004、W005、W017等、裕商社製):その他市販品として、ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、20000、24000、26000、28000等(ゼネカ社製)の各種ソルスパース分散剤、アジスパーPB−821、PB−822(味の素ファインテクノ社製)、イソーネットS−20(三洋化成社製)、Disperbyk−160、161、162、163、164、182、184(BYK Chemie社製)、EFKA−46、47、48等(EFKA Chemicals BV社製)が挙げられる。
これらの中では、微細安定化の観点から、主鎖にアミド系骨格を有し、側鎖がメタクリル酸エステルによるマクロモノマーからなるグラフトポリマーが好ましく、具体的には、ビニルピロリドンを主鎖に含有し、側鎖がメタクリル酸メチルのマクロモノマーからなるグラフトポリマーが好ましい。
【0032】
本発明の着色組成物において、上記分散剤(D)の含有量は、使用する全有機顔料100質量部に対して、0.1〜55質量部含有することが好ましい。上記分散剤(D)の含有量が0.1質量部未満であると、添加した効果が得られ難くなることがある。一方、55質量部を超えると、過剰な分散剤により分散に影響を及ぼすことがある。上記分散剤(D)の含有量は、使用する全有機顔料100質量部に対して、0.1〜45質量部含有することがより好ましい。
【0033】
本発明の着色組成物は、アルカリ可溶性樹脂(E)を含有する。
本発明の着色組成物におけるアルカリ可溶性樹脂(E)としては、カラーフィルターを製造する際に、その現像処理工程において用いられる現像液、特に好ましくはアルカリ現像液に対して可溶性を有するものであれば、特に限定されるものではない。なかでも、上記アルカリ可溶性樹脂(E)としては、カルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂が好ましく、特に、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体が好ましい。
【0034】
上記1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と共重合可能なスチレン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロールメタクリレート、N−フェニルマレイミド、ポリスチレンマクロモノマー及びポリメチルメタクリレートマクロモノマーからなる群より選択される少なくとも1種のエチレン性不飽和単量体との共重合体を挙げることができる。
【0035】
上記共重合体の酸価としては、50〜300mgKOH/gが好ましい。この場合、酸価が50mgKOH/g未満では、本発明の着色組成物をレジスト組成物として用いた場合に、アルカリ現像液に対する溶解性が低下する傾向がある。一方300mgKOH/gを超えると、アルカリ現像液に対する溶解性が過大となり、アルカリ現像液により現像する際に、着色層の基板からの脱落や着色層表面の膜荒れを来たしやすくなる傾向がある。
なお、本発明においては、上記酸価は理論酸価であり、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体とその含有量に基づいて算術的に求めた値である。
【0036】
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂(E)の質量平均分子量は、通常、1,000〜10万が好ましい。アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量が1,000未満では、アルカリ現像剤に対する溶解性が上がり現像特性が低下する場合がある。一方10万を超える場合は、有機溶媒への溶解性が低下し、本発明の着色組成物をレジスト組成物として用いた場合に、粘度が高くなる場合がある。
なお、本発明において、上記アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量は、GPCに基づいて得られるポリスチレン換算の質量平均分子量である。本発明において、装置としてはWaters 2690(ウォーターズ社製)、カラムとしては PLgel 5μ MIXED−D(Polymer Laboratories社製)を用いる。
【0037】
上記アルカリ可溶性樹脂(E)の含有量は、含有される本発明の着色顔料の全量を100質量部としたときに、10〜1000質量部であることが好ましい。
上記アルカリ可溶性樹脂(E)の含有量が10質量部未満では、例えば、アルカリ現像性が低下したり、未露光部の基板上あるいは遮光層上に地汚れや膜残りが発生するおそれがある。一方1000質量部を超えると、相対的に有機顔料の濃度が低下するため、薄膜として目的とする色濃度を達成することが困難となるおそれがある。
上記アルカリ可溶性樹脂(E)の含有量は、20〜500質量部含有することがより好ましい。
【0038】
本発明の着色組成物は、上記(A)〜(E)の各成分を所定の割合で含有するので、高耐熱性、高コントラスト、及び、高透過率化されたカラーフィルターを形成することができる。
【0039】
次に、本発明の着色組成物の好ましい用途の一例であるカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物について説明する。
上記カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物は、活性エネルギー線硬化性を有し、アルカリ現像可能なレジスト組成物であり、本発明の着色組成物に加えて、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、有機溶媒、熱重合禁止剤、基板との密着性を向上させるためのシランカップリング剤やチタネートカップリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種添加剤を適宜含有させたものである。
【0040】
上記カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物における光重合性化合物としては、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する単量体、オリゴマー等を挙げることができる。光重合性不飽和結合とは、後述する光重合開始剤が、紫外線や電子線等の活性エネルギー線により分解した際に発生するラジカルやカチオンの作用により、重合することのできる不飽和結合である。
【0041】
上記光重合性不飽和結合を分子内に1個有する単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルメタクリレート又はアクリレート;ベンジルメタクリレート、ベンジルアクリレート等のアラルキルメタクリレート又はアクリレート;ブトキシエチルメタクリレート、ブトキシエチルアクリレート等のアルコキシアルキルメタクリレート又はアクリレート;N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート等のアミノアルキルメタクリレート又はアクリレート;ジエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル等のポリアルキレングリコールアルキルエーテルのメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル;ヘキサエチレングリコールフェニルエーテル等のポリアルキレングリコールアリールエーテルのメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル;イソボニルメタクリレート又はアクリレート;グリセロールメタクリレート又はアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート又はアクリレート等が例示できる。本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートを意味する。
【0042】
また、上記光重合性不飽和結合を分子内に2個以上有する単量体としては、ビスフェノールAジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスルトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、グリセロールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスルトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等が挙げられる。これらの単量体は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記光重合性化合物の含有量は、上記カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物中の全固形分に対して、3〜50質量%含有することが好ましい。
【0043】
上記カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物における光重合開始剤としては、紫外線や電子線等の活性エネルギー線を照射されることにより、ラジカルやカチオンを発生することのできるものであれば特に限定されず、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、ベンジル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、トリアジン系光重合開始剤等が挙げられる。これらの光重合開始剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本発明において、上記光重合開始剤の含有量は、上記カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物の全固形分に対して、1〜20質量部含有することが好ましい。
【0044】
以上の材料を用いてカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物を製造する方法を説明する。
上記カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物を製造する方法は、本発明の好ましい実施形態の一例であり、本発明ではこれに限定されるものではない。
先に記載した構成材料から、カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物を製造するためには、上記の方法により得られた本発明の着色組成物に、上記光重合性化合物、上記光重合開始剤、必要に応じて、上記アルカリ可溶性樹脂、有機溶媒、その他添加剤を加え、撹拌装置等を用いて撹拌混合する方法が利用できる。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、高コントラスト、高透過率、及び、高耐熱性を有するカラーフィルターを得ることができるカラーフィルター用着色組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味するものとする。
【0047】
(顔料分散助剤A−1)
100ml三角フラスコに濃硫酸を30ml仕込み、マグネチックスターラーで撹拌しながらC.I.ピグメントレッド254を10g投入し、室温で30分撹拌した。1Lビーカーに水50gと氷50gの混合物を入れ、上記反応物をこの氷水中に注ぎ、マグネチックスターラーで30分撹拌した。これを減圧下で濾過・水洗し、得られた固体を乾燥させて顔料分散助剤A−1を12g得た。
【0048】
(顔料分散助剤A−2)
100ml三角フラスコに濃硫酸を30ml仕込み、マグネチックスターラーで撹拌しながらC.I.ピグメントレッド242を10g投入し、室温で30分撹拌した。1Lビーカーに水50gと氷50gの混合物を入れ、上記反応物をこの氷水中に注ぎ、マグネチックスターラーで30分撹拌した。これを減圧下で濾過・水洗し、得られた固体を乾燥させて顔料分散助剤A−2を12g得た。
【0049】
(顔料分散助剤A−3)
100ml三角フラスコに濃硫酸を30ml仕込み、マグネチックスターラーで撹拌しながらC.I.ピグメントレッド177を10g投入し、室温で30分撹拌した。1Lビーカーに水50gと氷50gの混合物を入れ、上記反応物をこの氷水中に注ぎ、マグネチックスターラーで30分撹拌した。これを減圧下で濾過・水洗し、得られた固体を乾燥させて顔料分散助剤A−3を12g得た。
【0050】
<構造式(2)に示す顔料の製造>
還流管を付けたステンレス製反応容器に、窒素雰囲気下、モレキュラシーブで脱水したtert−アミルアルコール200部、およびナトリウム−tert−アミルアルコキシド140部を加え、攪拌しながら100℃に加熱し、アルコラート溶液を調製した。一方で、ガラス製フラスコに、コハク酸ジイソプロピル88部、4−ブロモベンゾニトリル153.6部を加え、攪拌しながら90℃に加熱して溶解させ、これらの混合物の溶液を調製した。この混合物の加熱溶液を、100℃に加熱した上記アルコラート溶液中に、激しく攪拌しながら、2時間かけて一定の速度でゆっくり滴下した。滴下終了後、90℃にて2時間、加熱攪拌を継続し、ジケトピロロピロール系化合物のアルカリ金属塩を得た。さらに、ガラス製ジャケット付き反応容器に、メタノール600部、水600部、及び酢酸304部を加え、−10℃に冷却した。
この冷却した混合物を、高速攪拌ディスパーサーを用いて、直径8cmのシェアディスクを4000rpmで回転させながら、この中に、75℃まで冷却した先に得られたジケトピロロピロール系化合物のアルカリ金属塩溶液を、少量ずつ添加した。この際、メタノール、酢酸、および水からなる混合物の温度が常に−5℃以下の温度を保つように、冷却しながら、かつ、75℃のジケトピロロピロール系化合物のアルカリ金属塩の添加する速度を調整しながら、およそ120分にわたって少量ずつ添加した。
アルカリ金属塩添加後、赤色の結晶が析出し、赤色の懸濁液が生成した。続いて、得られた赤色の懸濁液を5℃にて限外濾過装置で洗浄後、濾別し赤色ペーストを得た。このペーストを0℃に冷却したメタノール3500部にて再分散し、メタノール濃度約90%の懸濁液とし、5℃にて3時間攪拌し、結晶転移を伴う粒子整粒および洗浄を行った。続いて、限外濾過機で濾別し、得られたジケトピロロピロール系化合物の水ペーストを、80℃にて24時間乾燥させ、粉砕することにより構造式(2)に示す顔料を150.8部得た。
【0051】
得られた構造式(2)に示す顔料100.0部、塩化ナトリウム1000部、およびジエチレングリコール120部、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)中に仕込み、60℃で8時間混練した。次に、混練した混合物を温水に投入し、約80℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状として、濾過および水洗をして食塩およびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥させ、粉砕することにより構造式(2)に示す顔料96.5部を得た。
【0052】
(調製例1)
トリミックスTX−15(商品名、井上製作所社製)のタンクにC.I.ピグメントレッド254の750質量部、顔料分散助剤A−1の60質量部、粒径20μmの塩化ナトリウム7500質量部、ジエチレングリコール1800質量部を投入した。定格電流値9.3Aの70%となる範囲で、且つ45℃で3時間混練し、ソルトミリングを行った。次に得られた混練物1300質量部を3リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌しスラリー状とした。ろ過、水洗を繰り返し塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、40℃にて一昼夜乾燥し、95質量部のトリミックス処理ピグメントレッド254(PR254)を得た。
【0053】
(調製例2)
トリミックスTX−15(商品名、井上製作所社製)のタンクに構造式(2)に示す顔料の750質量部、顔料分散助剤A−1の60質量部、粒径20μmの塩化ナトリウム7500質量部、ジエチレングリコール1800質量部を投入した。定格電流値9.3Aの70%となる範囲で、且つ45℃で3時間混練し、ソルトミリングを行った。次に得られた混練物1300質量部を3リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌しスラリー状とした。ろ過、水洗を繰り返し塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、40℃にて一昼夜乾燥し、95質量部のトリミックス処理をした構造式(2)に示す顔料(Br−DPP)を得た。
【0054】
(調製例3)
トリミックスTX−15(商品名、井上製作所製)のタンクにC.I.ピグメントレッド242の750質量部、顔料分散助剤A−2の150質量部、粒径20μmの塩化ナトリウム7500質量部、ジエチレングリコール1800質量部を投入した。定格電流値9.3Aの70%となる範囲で、且つ45℃で3時間混練し、ソルトミリングを行った。次に得られた混練物1300質量部を3リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌しスラリー状とした。ろ過、水洗を繰り返し塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、40℃にて一昼夜乾燥し、95質量部のトリミックス処理ピグメントレッド242(PR242)を得た。
【0055】
(調製例4)
トリミックスTX−15(商品名、井上製作所社製)のタンクにC.I.ピグメントレッド177の750質量部、顔料分散助剤A−3の60質量部、粒径20μmの塩化ナトリウム7500質量部、ジエチレングリコール1800質量部を投入した。定格電流値9.3Aの70%となる範囲で、且つ45℃で3時間混練し、ソルトミリングを行った。次に得られた混練物1300質量部を3リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌しスラリー状とした。ろ過、水洗を繰り返し塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、40℃にて一昼夜乾燥し、95質量部のトリミックス処理ピグメント2レッド177(PR177)を得た。
【0056】
<顔料分散剤>
アジスパーPB−822:塩基性官能基含有共重合物(以下、PB−822ともいう。味の素ファインテクノ社製)
【0057】
<アルカリ可溶性樹脂>
BMA/MAA共重合体:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、理論酸価:120mgKOH/g、質量平均分子量:25,000
<光重合性化合物>
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学社製)
<光重合開始剤>
イルガキュア369:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(BASF社製)
<有機溶媒>
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
HDDA:ヘキサンジオールジアクリレート(新中村化学社製)
<シリカ>
NANOBYK−3605(ビックケミー社製、ヘキサンジオールジアクリレート溶媒中にシリカが50%混合、体積中位粒径:D50=20nm)
スノーテックMEK−ST(日産化学工業社製、メチルエチルケトン中に固形分濃度30重量%で分散したもの、体積中位粒径:D50=10〜15nm/BET法)
スノーテックMEK−ST−L(日産化学工業社製、メチルエチルケトン中に固形分濃度30重量%で分散したもの、体積中位粒径:D50=40〜50nm/BET法)
【0058】
(実施例1〜3、5、、参考例4及び比較例1〜7)
<カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物の製造方法>
表1の組成になるように、各成分を混合して、ビーズミルで40〜50℃の温度で3時間混練し、顔料分散物を得た。その後、上記顔料分散物と他の材料とを表1の組成になるように高速攪拌機を用いて均一に混合した後、孔径3μmのフィルターでろ過し、実施例1〜3、5、、参考例4及び比較例1〜7のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物を得た。
【0059】
【表1】
【0060】
(評価方法)
下記評価を行い、評価結果を表2に示す。
【0061】
<コントラスト>
実施例、参考例及び比較例のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物をスピンコーターを用いて膜厚が1.0μmになるようにガラス基板上に塗布し、100℃で3分間プレベークした後、高圧水銀灯で露光し、更に230℃で30分間ポストベークした。
次いで、レジスト組成物が塗布されたガラス基板を2枚の偏光板(日東電工社製、型番:SEG1224Du)で挟み、蛍光灯(波長範囲380〜780nm)で照射しつつ前面側の偏光板を回転させ、前面側の偏光板と後面側の偏光板の偏光面が平行であるとき及び直角であるときの透過する光強度を色彩輝度計(トプコン社製、BM−5A)で測定した。前面側の偏光板と後面側の偏光板の偏光面が平行であるときの輝度と、前面側の偏光板と後面側の偏光板の偏光面が直角であるときの輝度との比をコントラスト比として評価した。
コントラスト比=(前面側の偏光板と後面側の偏光板の偏光面が平行であるときの輝度/前面側の偏光板と後面側の偏光板の偏光面が直角であるときの輝度)である。なお、レジスト組成物をガラス基板に塗工していない状態のコントラスト比であるBareGlass値は、1000とした。
【0062】
<色特性>
上記膜厚が1.0μmの実施例、参考例及び比較例の各レジストの色特性(x,y,Y)を分光光度計(島津製作所社製、UV−2500PC、C光源2°視野)で測定した。ここで、実施例1〜3、5、、参考例4及び比較例1〜7では色度x=0.640での色度y、明度Yを求めた。
【0063】
<耐熱性>
実施例1〜3、5、、参考例4及び比較例1〜7のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物をスピンコーターを用いて膜厚が2.5μmになるようにガラス基板上に塗布した。次いで、100℃で3分間プレベークした後、高圧水銀灯で露光し、更に230℃で30分間ポストベークを行った。光学顕微鏡で析出物(昇華物)の有無を観察し、以下の基準で評価した。
◎:析出物が観察されない
○:ごく少数の析出物が観察される
△:析出物が観察される
×:多数の析出物が観察される
【0064】
【表2】
【0065】
実施例1〜3、5、6に係るカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物は、コントラスト、色特性、及び、耐熱性のすべてに優れていた。
一方、比較例1〜7に係るカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物では、コントラスト、色特性、及び、耐熱性の全てを満足するものはなかった。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明によれば、高コントラスト、高透過率、及び、高耐熱性を有するカラーフィルターを得ることができるカラーフィルター用着色組成物を提供できる。