特許第6204051号(P6204051)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204051
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】モールド成形用離型シート
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/56 20060101AFI20170914BHJP
   H01L 23/50 20060101ALI20170914BHJP
   B32B 3/30 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   H01L21/56 T
   H01L23/50 G
   B32B3/30
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-88297(P2013-88297)
(22)【出願日】2013年4月19日
(65)【公開番号】特開2014-212239(P2014-212239A)
(43)【公開日】2014年11月13日
【審査請求日】2015年10月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000153591
【氏名又は名称】株式会社巴川製紙所
(73)【特許権者】
【識別番号】390021670
【氏名又は名称】日本理化製紙株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健
(72)【発明者】
【氏名】市川 貴勝
(72)【発明者】
【氏名】守屋 祐一
(72)【発明者】
【氏名】望月 敬史
(72)【発明者】
【氏名】山田 友昭
(72)【発明者】
【氏名】高橋 真一
【審査官】 鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−200467(JP,A)
【文献】 特開2002−158242(JP,A)
【文献】 特開2010−087230(JP,A)
【文献】 特開2012−149210(JP,A)
【文献】 特開2011−224915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/56
H01L 23/50
B32B 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型とリードフレームとの間に位置させて半導体装置を製造するためのモールド成型用離型シートであって、基材の片面に、微粒子を含有しかつ表面が凹凸である前記金型に接触させる硬化した凹凸層が形成されており、もう片面に樹脂層が形成されており、前記凹凸層にアクリルアクリレート樹脂又はウレタンアクリレート樹脂が含有され、凹凸層の表面粗さRaが、0.2μm≦Ra≦2.5μmであることを特徴とするモールド成型用離型シート。
【請求項2】
微粒子の含有量が、凹凸層の全質量の10〜85質量%であることを特徴とする請求項1に記載のモールド成形用離型シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形などのモールド成形に用いられる離型シートに関し、特に半導体装置の製造に用いられる離型シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯型パソコン、携帯電話等の電子機器の小型化、多機能化に伴い、電子機器を構成する電子部品の小型化、高集積化の他、電子部品の高密度実装技術が必要になっている。このような背景下、QFP(Quad Flat Package)やSOP(Small Outline Package)等の周辺実装型の半導体装置に代わって、高密度実装が可能なCSP(Chip Scale Package)等の面実装型の半導体装置が注目されている。また、CSPの中でも特にQFN(Quad Flat Non−leaded)パッケージは、従来の半導体装置の製造技術を適用して製造できるため好適であり、主に100ピン以下の少端子型の半導体装置として用いられている。
【0003】
QFNパッケージの製造方法として、概略下記の方法が知られている。まず、貼着工程において、リードフレームの一方の面に接着シートを貼着し、次いで、ダイアタッチ工程において、リードフレームに複数形成された半導体チップ搭載部(ダイパッド部)に、ICチップ等の半導体チップを各々搭載する。次に、ワイヤボンディング工程において、リードフレームの各半導体チップ搭載部の外周に沿って配設された複数のリードと半導体チップとをボンディングワイヤにより電気的に接続する。次に、封止工程において、リードフレームに搭載された半導体チップをモールド樹脂により封止する。その後、剥離工程において、接着シートをリードフレームから剥離することにより、複数のQFNパッケージが配列されたQFNユニットを形成することができる。最後に、ダイシング工程において、このQFNユニットを各QFNパッケージの外周に沿ってダイシングすることにより、複数のQFNパッケージを製造できる。
【0004】
従来、QFNパッケージの製造方法においては、シリコーン粘着剤やアクリル粘着剤を使用した半導体装置製造用接着シートが使用されてきた。これらの半導体装置製造用接着シートを用いることで、これら接着シートを用いない場合に比べ、封止工程での樹脂漏れ(モールドフラッシュ)が改善される利点がある。しかしながら、上記ワイヤボンディング工程時に、接着シートの接着層が柔らかいことに起因してワイヤボンディング性が悪化すること、各工程の熱履歴によって接着テープが収縮し、リードフレームが反ってしまうこと、各工程の熱履歴やプラズマクリーニングなどの処理によって、接着テープを剥離する際に接着層がリードフレームやモールド樹脂側に残ってしまうこと、などの問題点が指摘されている。
このような問題点を解決するため、近年ではリードフレームに接着シートを貼着しないで半導体装置を製造する方法が注目されている。
すなわち、図2に示すような半導体装置の製造方法である。図2(a)は、複数の半導体チップ11がリードフレーム12に搭載された断面の図である。
【0005】
半導体装置の製造方法においては、先ず、図2(b)に示したように、半導体チップ11を下部金型13の各成形用空間部14内におのおの挿合させた後、該下部金型13の上方に離型シート15及び上部金型16を順次位置させる。この時、該離型シート15は、上記下部金型13及び上部金型16の両側に複数のリール17が位置されて離型シート15が成形のサイクル毎に供給巻返されるようになっている。
【0006】
次いで、図2(c)及び(d)に示したように、上記離型シート15がリードフレーム12の上面に密着されるよう上部金型16と下部金型13とを所定圧力でクランプさせた後、溶融されたモールド樹脂を各成形用空間部14内に注入させ所定時間硬化させて、各成形用空間部14当り1個の半導体装置18を成形する。次いで、図2(e)に示したように、上部金型16と下部金型13を半導体装置18から脱着させると、リードフレーム12の上面に半導体装置18が形成される。この後、リードフレーム12を切断して個々の半導体装置18になる。
【0007】
従来上記の離型シート15としては、ポリエチレンテレフタレートフィルムやフッ素含浸ガラスクロスなどが使用されていた(例えば、特許文献1参照)。また、このようなフィルムにサンドブラスト処理したものが使用されていた。このフィルムのサンドブラスト処理は、該サンドブラスト処理面を金型に接触させることによって、成形後、金型からの離型性を良好にするために行われるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−142106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、前記構成の離型シートは、次の問題を有していた。すなわち、サンドブラスト処理とは、フィルムに対して多数のサンド(粒状物)を高速で衝突させて基材の表面に凹凸を形成させる製造処理である。このようなサンドブラスト処理したフィルムは、製造工程において表面に付着された粒状物を除去しているが、完全に粒状物を除去することはできなかった。そのため、フィルム表面に残存した粒状物がリードフレームに接触し、リードフレームへのモールド樹脂の封止を阻害し、モールド樹脂の樹脂漏れを発生させ、半導体装置の製品歩留まりが悪くなるという問題を有していた。
また、短時間ながらモールド工程では150℃〜200℃の高温に曝されるため、離型シートの基材フィルムに含まれている低分子量成分がシート表面に析出することがあり、該低分子量成分がモールド金型に付着することで金型を汚染してしまうことがある。金型の汚染が進むと平坦性が失われるため、樹脂漏れ(モールドフラッシュ)が顕著となってしまう。この対策としては定期的に金型を清掃するしかないが、定期的なクリーニング作業を追加することで生産性が落ちてしまうという問題がある。
そこで、本発明は、リードフレームへのモールド樹脂の封止を阻害しないで、離型シート基材フィルムからの低分子量成分の金型への付着を防止でき、モールド樹脂の樹脂漏れがなく、半導体装置をモールド成形できる離型シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、金型とリードフレームとの間に位置させて半導体装置を製造するためのモールド成型用離型シートであって、基材の片面に、微粒子を含有しかつ表面が凹凸である前記金型に接触させる硬化した凹凸層が形成されており、もう片面に樹脂層が形成されており、前記凹凸層にアクリルアクリレート樹脂又はウレタンアクリレート樹脂が含有され、凹凸層の表面粗さRaが、0.2μm≦Ra≦2.5μmであることを特徴とするモールド成型用離型シートである。
また、前記微粒子の含有量が、凹凸層の全質量の10〜85質量%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のモールド成形用離型シートは、リードフレームへのモールド樹脂の封止を阻害しないで、モールド樹脂の樹脂漏れがなく、半導体装置をモールド成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のモールド成型用離型シートである。
図2】モールド成形用離型シートを用いて半導体装置を製造する工程を説明した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のモールド成形用離型シート(以下、離型シートという)は、図1に示すように、微粒子5含む凹凸層1と基材2と樹脂層3が積層した構成を有している。
凹凸層1は、コート材4に微粒子5が含まれている。凹凸層1では微粒子5の表面にコート材が被覆されているため凹凸層1から微粒子5が剥離することがない。よって、剥離した微粒子5がリードフレームに接触し、リードフレームへのモールド樹脂の封止を阻害し、モールド樹脂の樹脂漏れを発生させ、半導体装置の製品歩留まりが悪くなるという問題を生じさせない。
【0014】
コート材4としては、例えば硬化型樹脂を挙げることができる。硬化型樹脂としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等のラジカル重合性官能基や、エポキシ基、ビニルエーテル基、オキセタン基等のカチオン重合性官能基を有するモノマー、オリゴマー、プレポリマーを単独で、または適宜混合した組成物が用いられる。モノマーの例としては、アクリル酸メチル、メチルメタクリレート、メトキシポリエチレンメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等を挙げることができる。オリゴマー、プレポリマーとしては、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート、アルキットアクリレート、メラミンアクリレート、シリコーンアクリレート等のアクリレート化合物、不飽和ポリエステル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテルや各種脂環式エポキシ等のエポキシ系化合物、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル等のオキセタン化合物を挙げることができる。
【0015】
本発明においては、上記硬化型樹脂のうちアクリルアクリレート樹脂が好適に用いられる。本発明におけるアクリルアクリレート樹脂は、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有するアクリルアクリレート樹脂であって、ウレタン結合構造を有しない樹脂組成物である。このようなアクリルアクリレート樹脂を構成するモノマー成分としては、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルプロリドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、例えば、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0016】
上記硬化型樹脂は、そのままで電子線照射により硬化可能であるが、紫外線照射による硬化を行う場合は、光重合開始剤の添加が必要である。光重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のラジカル重合開始剤、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物等のカチオン重合開始剤を単独または適宜組み合わせて使用することができる。また、熱硬化を行う場合には、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、イミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、等の添加が必要である。これら架橋剤を添加し、所定の熱履歴を経ることで上記硬化型樹脂を硬化することができる。
【0017】
本発明における凹凸層1には、上記硬化型樹脂に加えて、その重合硬化を妨げない範囲で高分子樹脂を添加使用することができる。この高分子樹脂は、後述する凹凸層1の塗料に使用される有機溶剤に可溶な熱可塑性樹脂であり、具体的にはアクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
凹凸層1の厚さとしては、ハンドリング性を考慮すると、5μm〜50μmの範囲のもの、好ましくは5μm〜20μmのものが好適である。
【0018】
凹凸層1に含む微粒子5としては、有機微粒子や無機微粒子を挙げることができる。
本発明における凹凸層1には、金型との離型性を向上させるために有機微粒子や無機微粒子などを含有させる。また、凹凸層1に含まれる微粒子5が、離型シートを巻き取った時に生じやすいシートどうしのブロッキングの発生を抑制する。微粒子5の形状としては、球形や不定形など限定されないが、金型への損傷を防ぐために球形のものが好ましい。
微粒子5の平均一次粒子径は0.5μm〜10μmが好ましい。微粒子5の平均一次粒子径が0.5μm未満では十分な凹凸になりにくく金型との剥離性を十分得られにくい。10μmを越えたものでは金型によって押圧された微粒子が樹脂層3の面側に凸部を生じさせやすく、粘着層3とリードフレームとの密着性を阻害しやすい。
微粒子5の含有量は、凹凸層1の全質量の10〜85質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることがより好ましい。
【0019】
上記有機微粒子としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオルエチレン、ジビニルベンゼン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、酢酸セルロース、ナイロン、セルロース、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂等を挙げることができる。
【0020】
また、無機微粒子としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、窒化ホウ素等の金属塩、カオリン、クレー、タルク、亜鉛華、鉛白、ジークライト、石英、ケイソウ土、パーライト、ベントナイト、雲母、合成雲母などが挙げられる。
【0021】
また、凹凸層1には、微粒子5を均一に分散させるために分散剤を含有することが好ましい。該分散剤としては、アルミネート系分散剤、チタネート系分散剤、カルボキシル基または無水カルボン酸基含有ポリマー、界面活性剤等を挙げることができる。分散剤の含有量は、前記硬化型樹脂100質量部に対して、5質量部以下、好ましくは0.001〜5質量部の範囲が好ましい。
また、凹凸層1の表面粗さRaが、0.2μm≦Ra≦2.5μmであることが好ましく、更に0.2μm≦Ra≦2.0μmが好ましく、特に0.3μm≦Ra≦1.8μmが好ましい。表面粗さRaが0.2μm未満では金型からの良好な離型性を得られ難いために好ましくなく、2.5μmより大きい場合では離型シート全体の厚みが不均一となることによりモールド封止側の平坦性が保たれないことによってモールド樹脂の樹脂漏れが発生しやすくなるために好ましくない。
凹凸層1の表面粗さRaは、JIS B 0601:2001で規定されている”算術平均粗さ”である。
【0022】
次に基材2としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、含ノルボルネン樹脂、ポリエーテルスルホン、セロファン、芳香族ポリアミド等の各種樹脂フィルムを好適に使用することができる。
基体2の厚さとしては、軽量化の観点からは薄い方が好ましいが、ハンドリング性を考慮すると、5μm〜100μmの範囲のもの、好ましくは20μm〜50μmを使用することが好適である。
【0023】
また、樹脂層3としては、微粘着性樹脂を含有し、該微粘着性樹脂としては、例えば、天然ゴム;スチレンーブタジエン系、ポリイソブチレン系、イソプレン系等の合成ゴム;アクリル樹脂、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、エチルアクリレートの重合体;オレフィン樹脂、例えば、ポリスチレン−エチレン/ブチレン共重合体、ポリエチレン、ポリスチレン−エチレン−プロピレンの共重合体;シリコーン樹脂、例えば、ビニルポリジメチルシロキサンの共重合体、ビニルトリクロロシラン−アルコキシシラン共重合体;ウレタン樹脂、例えば、ポリイソシアネートと下記のポリオールとの反応により得られるもの:ポリエステルポリオール、ポリエステルポリオール・ポリラクトンポリオール等、ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステルなどを挙げることができる。
【0024】
これら微粘着性樹脂の中では特にアクリル樹脂が好ましい。アクリル樹脂は、リードフレームとの間で好ましい密着性及び剥離性を得ることができる。アクリル樹脂は下記のアクリル系ポリマーを含有することが好ましい。
アクリル系ポリマーは、アルキル(メタ)アクリレートモノマーを少なくとも含有することが好適であり、官能基含有ポリマー(カルボキシル基含有モノマーと水酸基含有モノマーとアミノ基含有モノマーとアミド基含有モノマーとエポキシ基含有モノマーから選択される少なくとも一種)と、前記アルキル(メタ)アクリレートモノマーとを重合させて得られるものであることがより好適である。これらのポリマーの中でもアルキル基の炭素数が4〜12のアルキル(メタ)アクリレート{(メタ)アクリル酸アルキルエステル}モノマーと水酸基含有モノマーとを含有して重合されてなるアクリル系ポリマーを使用することが好適である。アクリル系ポリマーは、微粘着性樹脂固形分成分100質量部に対し50質量部以上含まれていることが好適であり、60〜99.9質量部の範囲がより好適である。
【0025】
アルキル(メタ)アクリレート(アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート)としては、特に制限されないが、例えば、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。尚、モノマー成分としてのアルキル(メタ)アクリレートは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。これらのアクリレートの中でも、n−ブチル(メタ)アクリレートの単体が特に好適である。アルキル(メタ)アクリレートの含有量は、アクリル系ポリマー100質量部中、1〜100質量%であればよいが、50〜99質量%が好適であり、70〜98質量%が更に好適である。
【0026】
カルボキシル基含有モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げられる。また、これらのカルボキシル基含有モノマーの無水物も、カルボキシル基含有モノマーとして用いることができる。
水酸基含有モノマーとしては、例えばアクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル等が挙げられる。
【0027】
アミノ基含有モノマーとしては、例えばアクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
アミド基含有モノマーとしては、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。
エポキシ基含有モノマーとしては、例えばアクリル酸グリシジルエーテル、メタクリル酸グリシジルエーテル、アクリル酸−2−エチルグリシジルエーテル、メタクリル酸−2−グリシジルエーテル等が挙げられる。
【0028】
カルボキシル基含有モノマーと水酸基含有モノマーとアミノ基含有モノマーとアミド基含有モノマーとエポキシ基含有モノマーは架橋剤との架橋点として作用する。これら官能基を含有するモノマーは0.1〜15質量%の割合で使用される。
アクリル系ポリマーは、公知の重合方法により製造することができるが、例えば、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合方法や紫外線照射による重合方法等が挙げられる。また、重合に際して用いられる重合開始剤、連鎖移動剤などは、公知のものを適宜用いることが可能である。
【0029】
アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、10万〜200万が好適であり、30万〜150万がより好適であり、40万〜120万が更に好適である。
【0030】
また、微粘着性樹脂は、架橋剤を含有していることが好適である。架橋剤としては、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、イミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、等が挙げられる。これらの中でも、エポキシ系架橋剤や、イソシアネート系架橋剤が好適である。
【0031】
エポキシ系架橋剤は、エポキシ化合物を含有し、エポキシ化合物としては、例えば、グリセリンジグリシジルエーテルなどが挙げられる。エポキシ系架橋剤の使用量は、アクリル系ポリマー100質量部に対して、0.001〜2質量部、好ましくは0.01〜1質量部、さらに好ましくは0.02〜0.5質量部である。エポキシ系架橋剤の使用量が0.001質量部未満では密着性や耐久性の点で好ましくない。
【0032】
イソシアネート系架橋剤は、イソシアネート化合物を含有し、イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネートモノマー及びこれらイソシアネートモノマーをトリメチロールプロパンなどの多価アルコールと付加したアダクト系イソシアネート化合物、イソシアヌレート化合物、ビュレット型化合物、さらには公知のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなどを付加反応させたウレタンプレポリマー型のイソシアネートなどが挙げられる。これらイソシアネート系化合物のなかでも、透光性基体との密着性向上の面からは、キシリレンジイソシアネート等のアダクト系イソシアネート化合物が好ましい。
【0033】
イソシアネート系架橋剤の使用量は、アクリル系ポリマー100質量部に対して、0.001〜5質量部、好ましくは0.01〜3質量部、さらに好ましくは0.02〜2.5質量部である。イソシアネート系架橋剤の使用量が0.001質量部未満では密着性や耐久性の点で好ましくない。
【0034】
樹脂層3の厚さとしては、ハンドリング性を考慮すると、3μm〜50μmの範囲のもの、好ましくは3μm〜30μmのものを使用することが好適である。
なお、本樹脂層には、その接着力及び剥離力を調整するための助剤を必要に応じて添加することができる。
【0035】
本発明においては、凹凸層1と基材2、基材2と樹脂層3とを十分に接着するため、凹凸層1と基材2との間又は/及び基材2と樹脂層3との間に易接着層を設けてもよい。易接着層としては、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂などを好適に用いることができる。特に、接着性の点から、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂から選ばれる樹脂を用いることがより好ましく、ポリエステル樹脂とアクリル樹脂、ポリエステル樹脂とウレタン樹脂、アクリル樹脂とウレタン樹脂を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
本発明の離型シートは、例えば、基体2上に微粒子と有機溶剤とを含んだ硬化型樹脂塗料を塗工し、乾燥後、硬化させることにより基体2上に凹凸層1を形成する。その後、基体2の反対面に樹脂層3を塗工することにより製造することができる。また、基体2上に有機溶剤を含んだ微粘着性樹脂を塗工して樹脂層3を形成した後、その樹脂層3表面に保護剥離フィルムを貼着させた後、基体2の反対面に微粒子と有機溶剤とを含んだ硬化型樹脂塗料を塗工し、乾燥後、硬化させることにより凹凸層1を形成して離型シートを製造することができる。
基体2上に、硬化型樹脂塗料や微粘着性樹脂を塗工する手法としては、通常の塗工方式や印刷方式が適用される。具体的には、エアドクターコーティング、バーコーティング、ブレードコーティング、ナイフコーティング、リバースコーティング、トランスファロールコーティング、グラビアロールコーティング、キスコーティング、キャストコーティング、スプレーコーティング、スロットオリフィスコーティング、カレンダーコーティング、ダムコーティング、ディップコーティング、ダイコーティング等のコーティングや、グラビア印刷等の凹版印刷、スクリーン印刷等の孔版印刷等の印刷等が使用できる。
【実施例】
【0037】
次に、本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1]
下記配合aからなる原料を混合し、ポリエチレンテレフタレート製の基体(商品名:A4300、東洋紡社製、厚さ:38μm、表面に易接着層を備える)上に、乾燥後に層厚12μmとなるように凹凸層を塗工した。次いで、この凹凸層を100℃で2分間乾燥して溶剤を揮発させると共に樹脂を硬化させた。また、上記凹凸層を形成した基体の他方の面に、下記配合bからなるアクリル系粘着剤塗料を乾燥後に層厚10μmとなるように塗工して粘着層を形成し、本発明の離型シートを得た。この離型シートの凹凸面側のRaは1.1μmであった。
【0038】
[配合a]
・硬化性樹脂(アクリルアクリレート樹脂)100質量部
・球形の有機微粒子(アクリル樹脂、平均一次粒子径5μm)100質量部
・硬化剤(商品名:コロネートHL、日本ポリウレタン社製) 10質量部
・メチルエチルケトン
[配合b]
(アクリル系粘着剤の調製)
温度計、攪拌機、還流冷却管、窒素導入管を備えたフラスコ中に、n−ブチルアクリレート96.5質量部、アクリル酸3.5質量部、2−エチルヘキシルアクリレート60質量部、アゾビスイソブチロニトリル0.6質量部、酢酸エチル100質量部、トルエン70質量部を投入し、窒素導入管より窒素を導入してフラスコ内を窒素雰囲気とした。その後、混合物を80℃に加温して10時間重合反応を行い、重量平均分子量約120万の高分子量体の溶液を得た。この溶液を固形分が20%になるよう酢酸エチルを加えた後、硬化剤(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン社製)1.5質量部を添加・攪拌してアクリル系粘着剤を得た。
【0039】
[実施例2]
下記配合cからなる原料を混合し、ポリエチレンテレフタレート製の基体(商品名:A4300、東洋紡社製、厚さ:38μm、表面に易接着層を備える)上に、乾燥後に層厚12μmとなるように凹凸層を塗工した。次いで、この凹凸層を100℃で2分間乾燥して溶剤を揮発させた後、積算光量300mJ/cmにて紫外線照射し、硬化させた。また、上記凹凸層を形成した基体の他方の面に、実施例1の配合bからなるアクリル系粘着剤塗料を乾燥後に層厚10μmとなるように塗工して粘着層を形成し、本発明の離型シートを得た。この離型シートの凹凸面側のRaは1.0μmであった。
【0040】
[配合c]
・硬化性樹脂(ウレタンアクリレート樹脂)50質量部
・硬化性樹脂(アクリル酸エステル樹脂) 10質量部
・球形の有機微粒子(アクリル樹脂、平均一次粒子径5μm) 60質量部
・光重合開始剤(商品名:イルガキュア184、チバジャパン社製) 3質量部
・メチルエチルケトン
・トルエン
【0041】
[比較例1]
背面をサンドブラスト処理したポリエチレンテレフタレート製の基体(厚さ50μm)に、厚さ10μmのアクリル系粘着剤を形成させた離型シートを比較例とした。
この離型シートのサンドブラスト処理面側のRaは0.35μmであった。
【0042】
[比較例2]
実施例1の配合aを、
・硬化性樹脂(アクリルアクリレート樹脂)100質量部
・球形の有機微粒子(アクリル樹脂、平均一次粒子径3μm) 8質量部
・硬化剤(商品名:コロネートHL、日本ポリウレタン社製) 10質量部
・メチルエチルケトン
とした以外は実施例1と同様にして比較例2の離型シートを作成した。この離型シートの凹凸面側のRaは0.12μmであった。
【0043】
前記実施例1、2及び比較例1、2の離型シートを用いて図2のような製造過程で半導体装置を製造した。その結果、比較例1の離型シートでは、離型シートとリードフレームとの間にモールド樹脂が漏れていることが確認され、また金型の熱により生じたと思われるポリエチレンテレフタレート製の基体から発生した粉状のオリゴマー物質が金型に付着していることが確認された。また、比較例2の離型シートではオリゴマー物質の金型付着はなかったが、凹凸層の凹凸が不十分であったため、モールド封止後の金型からの離型性が十分ではなかった。一方、本発明の実施例1及び実施例2の離型シートでは、離型シートとリードフレームとの間にモールド樹脂が漏れてはいなかった。また粉状のオリゴマー物質は金型に付着していなかった。また、離型シートと金型の離型性にも問題はなかった。
【符号の説明】
【0044】
1 凹凸層
2 基材
3 樹脂層
図1
図2